北の心の開拓記  [小松正明ブログ]

 日々の暮らしの中には、きらりと輝く希望の物語があるはず。生涯学習的生き方の実践のつもりです。

地方創生には橋渡しができる人材を

2015-07-12 23:46:03 | Weblog

 昨日の石破茂地方創生大臣の稚内での講演。

 パネルディスカッションでは地元の6人のパネラーの皆さんが地域を紹介する場面があり、私の知らない稚内や宗谷地域の情報を知ることができました。

 例えば棒たらが関西ではおせち料理に使われるほど愛されているとは知りませんでした。調べてみると、「棒たら=たらふく(鱈福)食べられる」という意味があるそうで、こういう伝統や文化を頼りにする産物は、ただ美味しいことや安全であることに加えて非常に意味があると思います。

 こういう縁や縁起を作り出したり歴史から引っ張り出すということもマーケティング上のコツなんでしょうね。


       ◆

 二次会は数十名ほどが石破大臣を囲む食事会。会場には今日のパネルディスカッションに参加した人たちの中央テーブルが据えられたほか、十人程度の丸テーブルが五つ並べられていました。

 上手だと思ったのは、各テーブルに空いた椅子が一つずつ置かれていたことです。大臣が真ん中から動かずに、出席者が大臣の周りを無秩序にまとわりつくということではなくて、石破大臣が各テーブルを回るのでその際にその椅子に座るという設定でした。

 イスとテーブルの懇親会などでは、参加者と同数の椅子にされると場が馴染んできたころに他のテーブルを回ろうと思っても誰かの椅子を追い出さないといけないのですが、このように余裕の椅子を置くというのはよいですね。

 大臣も各テーブルを回ってさらに精力的に意見交換をされました。


 私の座ったテーブルには、利尻礼文の離島の三人の町長さんがおられました。大臣が来られて話をする中で、実は利尻島には石破大臣の出身である鳥取県からの先祖がきていて、「麒麟獅子」という鳥取の伝統芸能が今に伝えられています。

 その話をすると大臣は身を乗り出して熱心に聞いていて、「まだ利尻礼文へは行ったことがないので行きたいけれど、呼んでくれないと行けないんですよ」とちょっと苦しそう。

 大臣が別のテーブルに移ってからはもっぱら利尻島でどうやって大臣を呼ぼうか、ということが話題になったのですが、すると礼文町の小野町長が「利尻島は石破大臣を呼ぶネタがあるけれど礼文島にも来て欲しいね」というので、「それはやはり国境離島としての日本の端を地方創生大臣としてだけでなく、元防衛大臣としても見ていただきたい、とお願いするのが良いのじゃないでしょうか」
「そうか、そういう切り口がありましたか。いいねえ」

 
 島の三人の町長が盛り上がったところで豊富町の工藤町長が、「島はいいけれど豊富にも来てもらいたいところですがね」と割って入りました。

 すると島の一人の町長が、「豊富町は冬は"陸の孤島"になるんだ、ってのはどうだろう。全部島だわね」と言って一同大爆笑。洒落にしても良くできていました。


       ◆ 


 それぞれのマチの個性を出して、やはり一人でも多くの中央のオピニオンリーダーには地方を見てもらいたいものです。

 豊富町では、ふるさと納税の額が約一億円にもなるそうです。一万円納税してくれた方には五千円相当の地域の産物を送ることにしているので、実質のあがりは五千万円ですが、送られる産物を通じて地域経済にも大きく寄与しています。

 工藤町長さんは、「なかには『アトピーを治していただいたのでお礼の意味も込めて送ります』とか『豊富でアトピーが治った友人から言われて送ります』というような方が結構いるんです」とおっしゃいます。

「税金を五千万円も企業活動から集めようと思うと、とっても無理ですから、こういうファンがいてくださるのは実にありがたいです」とも。

 
 こういう面白い情報がもっと発信できれば良いのに、と思います。

 地域が一番がんばらないといけないのは、何を発信するかだけではなく、外の人がどう感じるかを計算することで、そういう意味でちょっとだけ外の視点をもっていることなのではないか、と思います。

 大臣は「地域のことは地域の人しかわからないのだから、地域が頑張ってほしい」とおっしゃいましたが、地域の中の人だけではやっぱり限界があるのです。

 地域の理解とシンパシーを持ったうえで、大都市や中央とのパイプや人脈を有し、情報やビジネスの橋渡しをするような質の高い仲介者が必要です。

 私はそれが霞が関から送り込まれてくる中央官僚だけでは不足で、それに加えて役所の組織には入らない民間ベースの橋渡し役を見つけ出すべきだと思います。役所の中に入ってしまうと、行動や議会など様々な制約が出てしまうので、それらから離れて行動できる自由度が必要だと思うからです。

 そういう形の地域アドバイザーにも交付税が割り当てられるような制度があると地域が頼りにできる人を雇い入れることもできそうだと思います。

 地域と外との関係性。これこそが大事だと思うのです。

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