石破大臣の地方創生講演を聴いて、今なお地方の自治体やまちがなすべきことを考えています。
石破大臣は「学ぶべき素晴らしい事例」として、「ローマ法王に米を食べさせた男」という本を紹介されました。
これは羽咋市に実際に勤務するスーパー公務員の方が、地元の米を売り出すための宣伝文句として、ローマ法王に地元の米を食べさせたという実話で、これが今度TBS系の日曜劇場で『ナポレオンの村』として放送されるのだそうです。
『ナポレオン』というのは、「我が辞書に不可能の文字はない」からもじったものだとのこと。まちづくりにも不可能なんかないのだから知恵と行動力で地元を売り込んだらどうか、というアドバイスです。
世の中を見ていると実に多くのまちづくり事例があって、どれも成功している間はもてはやされるのですが、いつの間にか話題にならなくなってしまうことが多すぎると思いませんか。
これは、自治体の首長が変わってしまったり担当者が昇進して担当から外れたりして、まちづくりの思想が伝わらないからだと思います。
「まちづくり、地域づくりは人だ」と言われますが、それは誰か優れた人材という意味もあるけれど、継続的に思想を注入してくれる『継続的な監督』という意味でもあるのだと思います。アイディアを出す人やさらには継続的にその面倒を見てくれる人、そしてさらにはいなくなっても思想が残るほどの影響力を与えてくれる人なのです。
そしてその典型的な好事例を私は二宮尊徳に見出します。
彼は神道・儒教・仏教が融合した独自の報徳思想を掲げて、江戸時代末期の飢饉に苦しむ北関東の村々を救済して歩きました。彼の思想に共鳴し心酔した弟子も同じ思想によってそれぞれ請われるままに村々を救済して歩きました。
今火山活動に悩まされている箱根も、尊徳の高弟の一人で「二宮翁夜話」を記した福住正兄が地域づくりを行ったことで知られています。
二宮尊徳のまちづくり思想は報徳思想として、心ある村々を救いました。二宮尊徳が亡くなった後も、その思想は人を介して生きつづけ、それを学ぶ者たちは教えを実践することによって地域づくりに成功しているのです。
傑出したリーダーがいつまでも地域の面倒を見るのではなく、人々の内なる心の中にふつふつとより良い暮らしへのモチベーションを沸かせることに成功している優れた事例ではありませんか。
我々は今日改めて二宮尊徳のリーダー像を学び身近な成功事例を学んでみてはいかがでしょうか。
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