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「世紀末の牝(メス)シルバー」-武本サブロー・作画(真樹日佐夫・原作)-

  

 空手の女子世界選手権での優勝歴を持ち、法務省外局扱いの全国犯罪調査庁所属でFBI 研修留学経験のある、ナイスバディな日本人女性·白銀純は表向きは女子プロレスラー兼女子格闘家。武道や犯罪調査庁の先輩であり、今は法務省所属の南田雄介に、新たに秘密裏に犯罪調査庁内に発足したマルチョウ部門の専属調査員にスカウトされる。

 白銀純は美人レスラーとして日本のリングに上がり、アメリカ本土やハワイではオクタゴン·ゲージの中で格闘技の試合を行っている。全国犯罪調査庁の中に設けられたマルチョウとは、有識者で構成された超法規委員会なるものが審査し判別した、世の中に害を成す国内の巨悪や凶悪を、秘密裏に超法規措置として葬り去るセクションで、まぁ、いわば“必殺仕事人”のような役目のプロの始末屋ですね。

 本来なら警察が逮捕して検察が起訴するべき巨悪·凶悪だが、ワル賢くズル賢く法の網を擦り抜けて悪を働き続けて社会に害を成している悪人どもを、秘密裏に始末する仕事屋ですね。

 といってそのプロのメンバーは、マルチョウ管理側で繋ぎ役の南田雄介と現場で調査と悪の始末·処理を直接行う、空手の達人·白銀純のたった二人だけ。現場での任務遂行の活動はほとんど白銀純一人の仕事。タマにシルバーこと白銀純が窮地に陥ったとき、上司になるのかな、先輩·南田雄介が助けに入ることもある。

 昼間は女子レスラー、夜は必殺仕置き人、シルバー=白銀純は始末屋の仕事のないときは人気女子レスラーとしてプロレス興行のリングに上がり、巡業で地方回りなどもしている。メインの必殺体術は空手道の技々だけど、アメリカ在住時代にブラジリアン柔術の技術も修得している。

 仕事人として始末する悪党どもは、表向きは大きな企業の看板掲げて、裏側で麻薬密輸や人身売買、違法賭博や未成年売春などなどの違法商売をやって金儲けをしている連中や、日本の暴力団組織や日本で犯罪を働く海外マフィアの組織など、大規模から小規模までさまざまな悪党ども。

 

 白銀純は拳銃も使えるけど、だいたい格闘技のワザで悪党どもを叩きのめしてやっつけて行きますね。中には敵側の用心棒に何らかの格闘技の使い手が居たりして、リアルファイトの異種格闘技戦になったりもしますけどね。

 「仕置の刃-世紀末のメス・シルバー」は原作が真樹日佐夫氏、作画が武本サブロー氏の、凶悪犯罪者打倒の痛快格闘技アクション劇画です。シルバーが潜入捜査などよくやるから、スパイ·サスペンス活劇ものでもありますね。コミックス単行本は全8巻刊行で、リイド社から8巻それぞれが初版発行された時代が1998年末頃から2000年中までの間です。雑誌の初出連載はリイド社の青年コミック誌·リイドコミックですね。

 リイドコミックという青年コミック誌は、さいとうたかをのリイド社が発行する隔週刊(月二回刊)雑誌で、1971年創刊で最初は月刊誌だったようですね。定期刊行の雑誌としては2001年に休刊(事実上の廃刊)になってます。リイド社はさいとうたかを先生関係の出版社で、創業から長らくさいとう先生の実兄の方が代表·社長を勤めてました。

 僕はリイドコミックという雑誌は多分、一度も購読したことはないと思う。何度か、喫茶店とか何処かの食堂でとかで読んだことはあるとは思うけど。リイドコミックに連載された漫画をコミックス単行本で読んだことは何作もあります。リイドコミックにも、さいとうたかをやさいとうプロ所属作家の作品や、他の有名人気漫画家の作品も数多く連載されてました。収録漫画の漫画作家陣も他のビッグコミックや漫画アクションと遜色なかったですからね。

 

 「仕置の刃-世紀末のメス・シルバー」は青年コミックらしくエッチなシーンも満載で、さいとうたかを劇画タッチで描く武本サブロー氏描画のシルバーのナイスバディーな容姿もセクシーで魅力的だし、格闘アクションシーンも迫力ある作画で楽しませます。原作が空手の達人·真樹日佐夫氏ですしね。漫画のセリフまわしも真樹日佐夫ぽいですね。「ワル」や「けものみち」で味わったあの独特のセリフまわしですね。言わば“真樹日佐夫ぶし”というストーリー展開や格闘シーンに、カッコ良いセリフまわし。

   真樹日佐夫さんの小説や原作漫画には、男が熱くなってシビレる独特の“男イズム”が全編に流れててカッコ良いですよね。一方のダンディズムみたいなカッコ良い熱血活劇味というか。「世紀末のメス·シルバー」は主人公が女性になってるから、そういうテイストは「ワル」や「けものみち」などに比べるとちょっと薄まってるかな。

 僕は「世紀末のメス·シルバー」をリイド社のSP コミックスで1999年から2000年内にほとんど初版発行で購読していますが、読んだのは全8巻の内、5巻くらいまでだと思います。全巻は読んでないですね。事件ごとの一話完結の連作漫画で、連続する長い一つのストーリーものじゃなかったですからね。

 日本漫画界のレジェンドの一人である超大御所漫画家、劇画の代表的存在·さいとうたかを氏は50年代後半、貸本漫画からスタートし、60年代半ば頃から市販雑誌漫画に移り、“劇画”を世に拡張して行く訳ですが、さいとうたかを氏が貸本時代後半、自分のさいとうプロダクションを設立してからこっち何十年と劇画家·さいとうたかをを両腕として支えて来た、さいとう先生の盟友が二人居ました。石川フミヤス氏と武本サブロー氏です。

 貸本漫画時代のさいとうたかを氏は、さいとうプロダクションからだいたい毎月一冊、定期的に刊行していたオムニバス貸本誌がありました。「ゴリラマガジン」です。肥満体形でイカツい氏のアダ名が当時から“ゴリラ”で、さいとうたかを氏主催の劇画オムニバス誌だから「ゴリラマガジン」でした。

 「ゴリラマガジン」は分業制さいとうプロダクションの作品が主体で、メイン作家はさいとうたかを氏で、さいとうプロ所属の漫画家が短編漫画を発表し、「ゴリラマガジン」には毎号、短編漫画が三作から四作くらい収録されてました。中にはさいとうプロ所属ではない貸本漫画家の作品も時折掲載されてたと思います。

 だいたい月一冊刊行の「ゴリラマガジン」には臨時増刊の「別冊ゴリラマガジン」もときどき出ていましたが、どれくらいの頻度か記憶してないのですが(二ヶ月に1巻くらい?もっと?)「ゴリラマガジン別冊·MGシリーズ」という貸本誌が刊行されてました。この“MGシリーズ”の作者が、石川フミヤス氏と武本サブロー氏でした。“MGシリーズ”は両漫画家の共作で「ゴリラマガジン別冊·MGシリーズ」一冊のほとんどを“MGシリーズ”の一話が締めてましたね。余ったページに他の短編作品が一つくらい入ってたかも知れない。

 石川フミヤス氏は、さいとうたかを氏が漫画の世界に足を踏み入れた大阪·日の丸文庫時代から、ずうっと行動を共にしたさいとう氏の盟友ですね。日の丸文庫~劇画工房~さいとうプロダクションと常に一緒に漫画作品制作の現場でやって来た劇画仲間です。

 石川フミヤス氏は貸本時代は、さいとうプロ以前から一冊一作刊行の貸本単行本も描いてましたし、また、さいとうプロ所属になってからも“MGシリーズ”以外にも、ときどき一作単行本をさいとうプロから出してました。市販雑誌時代に入ってからはほとんどさいとうたかを氏の片腕として、さいとうプロダクション·チーフ作家としての活躍でしたね。

 武本サブロー氏も、さいとうたかをプロダクションのチーフ作家の一人です。武本サブロー氏は少年時代からの石川フミヤス氏と旧知の仲で、武本サブロー氏も50年代後半、貸本漫画から出発しました。60年代初めに、同じく漫画作家の道に進んでいた旧友·石川フミヤス氏に相談して、さいとうたかをプロダクションに入りました。さいとうプロでは腕を買われてチーフ作家として活躍した訳です。

 僕は小学校一年から小学校五年までほとんど毎日、近所の貸本屋に通ってましたが、「ゴリラマガジン」も大好きな貸本漫画の一つでした。だいたい貸本時代からさいとうたかをの漫画が好きでしたからね。当時の貸本漫画は玉石混淆、絵のヘタクソな漫画家も多かった。小学生時代の僕はストーリーとかよりも絵の上手い漫画本を優先的に借りていた。さいとうたかを氏は貸本漫画家の中でも抜群に絵の上手い漫画作家でした。だいたい、さいとうプロダクションの漫画家はみんな絵が上手かったですね。「ゴリラマガジン」は毎号楽しみに待ってた貸本単行本でした。

 

 さいとうたかを先生は貸本を描き始めた最初、SFを描きたかったそうですが、SFは当時の貸本漫画読者にウケが良くなかった。だから人気の出るアクション劇画を主体にしたそうです。「ゴリラマガジン」もだいたいメイン作品はアクション劇画でしたね。その他には青春ものやときどき学園もの、ごくタマにSF ものとかあったんじゃないかなぁ。青春ものはけっこうシリアスなドラマだったような気がする。タマにホラー作品の短編も載ってたかな。だいたいアクション劇画主体だけど。

  石川フミヤス先生·武本サブロー先生共作の“MGシリーズ”も、やはりアクション劇画で、探偵サスペンスものかな。僕は石川フミヤス氏の貸本の一作単行本は覚えてるけど、武本サブローさんの貸本の一作単行本は読んだ記憶はないですね。貸本漫画は描いて本を出してるだろうけど、さいとうプロ所属以降は「ゴリラマガジン」には短編作品を載せてるだろうけど、さいとうプロから単独作品の単行本出してたのかな?僕が知らないだけで多分、描いてはいるんでしょうね。

  さいとうたかをプロダクションの全盛期には、もう一人チーフ作家が居ました。甲良幹二郎氏です。往時は石川フミヤス、武本サブロー、甲良幹二郎の三人のチーフ作家で、さいとうプロは3班体制で回してました。

  甲良幹二郎さんがいつ頃さいとうプロを離れたのか解りませんが、長いこと、さいとうたかをの劇画作品の表紙絵クレジットには、さいとうたかをの下にチーフとして、石川フミヤス·武本サブロー·甲良幹二郎の名前が記載されてましたね。

  さいとうプロの全盛期って、貸本時代もさいとうたかをは人気が高かったし、雑誌に移って直ぐマガジンの「無用ノ助」は大ヒットしたし、60年代後半に入ってからもう、さいとうたかを劇画は雑誌で引っ張りだこでしたからね。60年代末からは青年コミック誌で引っ張りだこになったし。

  さいとうたかを劇画は60年代後半から90年代までずーっと売れてましたね。さいとうプロの劇画には中年から高齢者までの男性高年齢世代のファンが定着してますから、2000年代以降も一定の人気は保ってますよね。その中でもさいとうプロの全盛期ってやっぱり70年代·80年代かなぁ。

  甲良幹二郎さんも90年代頃さいとうプロダクションを離れたのかな?甲良幹二郎さん単独作品の絵柄もバッチリさいとうたかを劇画タッチの絵柄ですね。さいとうたかをプロで長年仕事して来た漫画家はみんな、さいとうたかを劇画タッチの絵柄になってますね。

  さいとうたかを先生の両腕だった、武本サブロー先生は2008年にお亡くなりになり、石川フミヤス先生は2014年にお亡くなりになりました。御大·さいとうたかを先生は2020年10月現在83歳で元気に「ゴルゴ13」など執筆されてます。さいとうたかを先生は11月3日生まれだからもう84歳か。

  ちなみに「世紀末のメス·シルバー」は実写映画化されていて、映画のタイトルは「SILVER」だけになってますね。主人公の白銀純役を桜庭あつこ、南田雄介役を羽賀研二がやってます。1999年の制作でVシネマのようですね。僕はこの映画は見たことありませんが。

(下世話なスキャンダル話になるけど、お騒がせ芸能人、羽賀研二が当時、梅宮辰夫の一人娘·梅宮アンナが熱愛交際の芸能記事が話題になってた頃、自ずから羽賀研二と親密交際してたと公表した桜庭あつこの芸能情報が世間を騒がせましたが、件の桜庭あつこと羽賀研二はこのVシネマで知り合って交際に発展してたんですね。羽賀研二と梅宮アンナの熱愛報道はアンナの巨額貢ぎや父親·梅宮辰夫の激怒など当時は世間を騒がす話題となりました。)

  桜庭あつこさんてグラビアアイドル出身の女優で後には格闘技の試合にも出場してるようです。あんまりメジャーな女優さんではなかったかな。Vシネマの出演が多く劇場版映画の出演もあるようです。

  真樹日佐夫先生はご自身の原作漫画などを積極的に実写映画化してましたね。特に漫画原作の代表作である「ワル」シリーズは全作で十本以上映像化されていると思います。「ワル」の実写映画はVシネマ作品もありますが何本も劇場版映画になってますね。

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