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赤頭巾ちゃん気をつけて

 
 
 
 
 

 雑誌にジ·アルフィーの高見沢俊彦さんが「赤頭巾ちゃん気をつけて」と若い頃の読書体験についてエッセイで簡単に書いていて、それを読んで僕も、17歳頃に庄司薫の芥川賞受賞作「赤頭巾ちゃん気をつけて」を読んでいたので、その時代に読んだ庄司薫の“薫くんシリーズ”を思い出して懐かしかった。

 

 高見沢俊彦さんのエッセイでは「赤頭巾ちゃん気をつけて」を中学生時代に読んだとあったが、僕が読んだのは多分、僕が高三になってからだと思う。ひょっとしたら高二だったかも知れないけど。調べてみると庄司薫が「赤頭巾ちゃん気をつけて」を発表したのは1969年で単行本として刊行されたのも同年だ。僕が読んだのは72年か73年だけど、「赤頭巾ちゃん気をつけて」が文庫化されたのが73年6月となってるから、僕は多分「赤頭巾ちゃん気をつけて」を文庫本で読んでると思うから、読んだのは73年で高三当時ですね。高見沢さんは多分、単行本で読んだんでしょうね。

 

 庄司薫が「赤頭巾ちゃん気をつけて」で芥川賞を受賞したのが1969年か。受賞後単行本刊行されて当時のベストセラーとなる。また、同作を含む“薫くんシリーズ”はその後も長く読まれ続けてロングセラーになったんじゃないかな。

 

 僕は「赤頭巾ちゃん気をつけて」の後も庄司薫の“薫くんシリーズ”を読み続け、「白鳥の歌なんか聞こえない」「さよなら怪傑黒頭巾」「狼なんか怖くない」と文庫本で読んだ。「バクの飼主めざして」というエッセイ集は単行本で買って読んだ。ここまでは多分高三までで読んでると思うなぁ。

 

 高見沢さんは中学生時読んだ「赤頭巾ちゃん気をつけて」が、その当時読んでいた他の文学小説に比べると、軽妙な文体で非常に読みやすかった、というようなことを書いていた。僕も高校生時読んだ「赤頭巾ちゃん気をつけて」は、当時僕は、流行小説の大衆小説は読んだが、ほとんど文学小説なぞ読んでなかったけど、一応芥川賞受賞の文芸作品である本作が、文体的に平易に感じられて本当に読みやすかった。と記憶してる。

 

 高見沢さんは意外と文学少年だったみたいで、学校教師だった父親の本棚にはズラリと日本文学の名作が並び、歳の離れたお兄さんの本棚には海外文学の名作が並んでいた、という子供の頃から本に囲まれた環境で育ったらしい。ロックのスター·高見沢俊彦は少年時代から日本や欧米の近代文学を読む文学少年だったのだ。

 

 “薫くんシリーズ”最後の作品「僕の大好きな青髭」を読んだとき僕は社会人で働いていた。単行本で読んだ。「僕の大好きな青髭」の初出刊行は77年の7月。多分僕が読んだのもその頃だろう。「僕の大好きな青髭」の中に深夜に新宿御苑の中に侵入して行く場面があったと思うんだが、「僕の大好きな青髭」の内容をもうほとんど忘れてしまっている僕が、どうしてそこの部分だけ覚えてるかと言うと、当時僕は仕事の休みの日の暇な昼間、よく新宿御苑に行ってベンチとかにごろんと寝てたからだ。本とか読んでたのかな。だから物語に新宿御苑が出て来たことだけ覚えてる。

 
 
 

 庄司薫の「赤頭巾ちゃん気をつけて」は劇場映画化されてて、調べたら1970年制作·公開らしいけど、僕がこの映画を見たのは70年代末くらいだと思う。映画の内容とかもうほとんど覚えてないけど、見た映画館は江古田文化で、これははっきり覚えてる。この当時の江古田文化は名画座系の映画館で、多分このときも三本立てとかだったんだろうけど、「赤頭巾ちゃん気をつけて」の併映とか全く記憶していない。仕事休みのウィークデーに入ってガラガラだったように微かに覚えている。

 
 

 “薫くんシリーズ”第二弾の「白鳥の歌なんか聞こえない」も劇場映画化されたらしいのだが、これは知らなかった。知らなかったから当然映画は見ていない。

 

 

◆赤頭巾ちゃん気をつけて (新潮文庫) 文庫 – 庄司 薫 (著)

 

 
 

◆赤頭巾ちゃん気をつけて [DVD] 岡田裕介 (出演), 森和代 (出演), & 1 その他 形式: DVD

◆白鳥の歌なんか聞えない 赤頭巾ちゃん気をつけて (中公文庫) Kindle版

 

 
 

 

◆ぼくの大好きな青髭 (新潮文庫) 文庫 – 庄司 薫 (著)

 

 
 

◆さよなら快傑黒頭巾 赤頭巾ちゃん気をつけて (中公文庫) Kindle版 庄司薫 (著)

 
 

◆狼なんかこわくない (中公文庫) Kindle版 庄司薫 (著)

 
 

 

◆ぼくの大好きな青髭 (中公文庫) Kindle版 庄司薫 (著)

 

 
 

◆ぼくが猫語を話せるわけ (中公文庫 し 18-6) 文庫 – 庄司 薫 (著)

 
 

◆赤頭巾ちゃん気をつけて 改版 (中公文庫) Kindle版 庄司薫 (著)

 
 

◆バクの飼主めざして (中公文庫) 文庫 – 庄司 薫 (著)

 
 

◆白鳥の歌なんか聞えない (新潮文庫) 文庫 – 庄司 薫 (著)

 
 
 

 高見沢俊彦さんは高校に進学してからも文学読書熱は冷めず、実存主義文学に傾倒し、サルトル·カミュ·ニーチェなどを読破して行く。特にカミュの「異邦人」に思い入れが深いらしい。ニーチェまで読むなんて凄いですね。

 

 僕も19歳か20歳頃に、サルトルの「嘔吐」や短編集、カミュの「異邦人」や「ペスト」を読んだが、さすがにニーチェにまでは手が出なかった。ニーチェなんて読んでも多分俺は解らないだろうと。サルトルの「存在と無」を古本屋で買って来て最初の方ちょこっとだけ目を通してそのままほとんど読まず本が何処かへ行ってしまった。でもサルトルの短編集はけっこう解りやすかったし、カミュの「ペスト」は面白かった。「ペスト」は文学というよりパニック小説的なハラハラ·ドキドキ感のある面白い物語だった。カフカの「変身」やカミュの「異邦人」やサルトルの「嘔吐」はよく解らなかったなぁ。まぁ読み手の僕が頭が悪過ぎるからなんだが。

 

 高見沢さんは少年時代に本をいっぱい読んだんで、そのまま読書癖が着いて大人になってからもずっと本を読む人になったんだとか。だからツアーでも何処行くでも、高見沢さんのギターケースには本が入ってるらしい。

 
 

 そんな文学少年上がりの読書家、ロック·ミュージシャン·高見沢俊彦さんがよわい六十を過ぎて小説を書いて発表した。2017年から18年に掛けて小説雑誌「オール読物」に連載した小説作品を2018年7月単行本上梓した。高見沢さん現在おん年64歳か。ロック·ミュージックのシンガー·ソングライターでバンド·ギタリストで作家業と大活躍ですね。カッコ良いなぁ。

 
 

◆音叉 単行本 – 高見澤俊彦 (著)

 
 

◆美旋律 ~Best Tune Takamiy~(初回限定盤A) Limited Edition 高見沢俊彦 形式: CD

 

 「赤頭巾ちゃん気をつけて」が発表された後、評論家たちにJD ·サリンジャーの「ライ麦畑でつかまえて」との類似性を指摘されたんだっけか影響が強いって言われたんだっけか。芥川賞の選者の一人の三島由紀夫が作品を評価しながらも、肩の力が抜けている、って言ったのかな?何か力が抜けているって言葉を選評で言ってたと思うんだけど。昔の話だしなぁ。

 
 

 あの時代、サリンジャーの「ライ麦畑でつかまえて」は若者の読むべき青春文学の代表格みたいな感じで、海外文学の中ではベストセラー扱いだったんじゃないかな。あの時代の海外作品の青春文学というと、サガンの「悲しみよこんにちは」とか、フイリップ·ロスの「さようならコロンバス」とか、シリトーの「長距離走者の孤独」とかかな。

 
 

 今の若者の文学好きの人たちって、こういう作品は読んでるのかなぁ。何かあの当時は新鮮な青春文学って感じがあったよな、これらの作品には。

 
 

 僕は19歳~20歳当時、間違いなく「悲しみよこんにちは」「さようならコロンバス」「長距離走者の孤独」は読んでるのだが、この三作品見事に内容を記憶していない。何となくうっすらと物語の感じは微かに覚えているけどストーリーなんて全然解らない。まぁ一回読んだだけだし何十年も前の話だしなぁ。

 

 サリンジャーの「ライ麦畑でつかまえて」は確かに本屋で買って来てると思うのだが、多分本のアタマしか読んでなく、その内本が何処か行っちゃってる。だから内容なんて全く解らない。当時は仕事も忙しかったし、漫画本は小説などの活字本の三倍、いや五倍くらい読んでたし、僕も若かったから職場の同僚や友人たちとしょっちゅう飲み屋行って酒飲んでたし遊んでたし、タマにはお寺巡りとか名所旧跡にも行ったりしてた。あちこちの本屋に寄るのは毎日の日課みたいなもんで、小説やエッセイ集の本もよく買って来てた。仕事も遊びも忙しいし毎日漫画もいっぱい読んでるし、部屋に活字本が溜まる溜まる。その内読まないまま本が何処か行ってしまう。比較的難しい本はアタマだけ読むかパラパラするだけで置いたままで、その内何処か行ってしまう。せっかく本の定価のお金出して新品買って来てるのに。ちなみに当時の社会人は未成年でも平気で飲酒してた。働いてたら未成年で飲酒してても周囲も許してた。大学生も当時は一年生から酒飲んでたと思う。高校生で飲酒してたら咎められたが、あの時代は高校卒業の年齢だったら飲酒してても何も言われなかったなぁ。勿論当時も二十歳未満の未成年飲酒は法律違反だったけど。

 
 

 「赤頭巾ちゃん気をつけて」とあんまり関係ない僕の思い出話ばかりが続いて恐縮しますが、「赤頭巾ちゃん気をつけて」とかを読んでた頃って、僕が少年から青年になって行く時代の頃で、何か懐かしくて。年代的に青春期で若かったし。文学の世界では調度、ソビエトの反体制作家·ソルジェニーツインがノーベル文学賞受賞した頃で。ソ連の社会主義体制の裏面を告発する内容の反体制文学で、当時は僕ももの凄く関心が強かったのですが、結局ソルジェニーツインの小説は一編も読んでない。まぁ僕は頭の悪い少年でしたからね。

 
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