60~90年代名作漫画(昭和漫画主体・ごくタマに新しい漫画)の紹介と感想。懐古・郷愁。自史。映画・小説・ポピュラー音楽。
Kenの漫画読み日記。
「少年の町ZF」
前回が、ヤンマガ掲載、松本光司さん作画の和製ヴァンパイアホラー漫画「彼岸島」を書いたので、そのまんま、吸血鬼ネタで行きます。「彼岸島」は最初、怖いホラー漫画でしたけど、全体的に見るとこれはサヴァイヴァル物語ですね。本編の舞台は閉ざされた孤島の中ですし。ほんの一握りの人間の生存者が、限られた空間内で、ウヨウヨいる怪物達から逃げ惑いながら戦うサヴァイヴァルドラマ。
僕は、確かに怖いけれども、ずっとヴァンパイアって興味ありますね。映画も漫画も小説も歴史も。
という訳で、吸血鬼もの続きで、今度は映画。もう昔々から洋画のホラーでは、ヴァンパイアものは王道です。数十年前のドラキュラ映画以来。最近のヴァンパイア映画は、吸血鬼はドラキュラではなくて、やはり中世の貴族ですが別人の不死者で何百年も生きている美貌の男性。此の頃の作品ではよく、中世からのヴァンパイア一族のヒストリーを扱ったものが多いようです。まあ、ヨーロッパの貴族である吸血鬼達は歴史ある一族ですから。最近のこの手の洋画では、狼男は吸血鬼の下にいる、つまり高貴なヴァンパイアの手下のような身分の低い存在として描かれていますね。同じ西洋の妖怪でも、やはり片や高貴な貴族、片やもうけだものそのもの。西洋の吸血鬼って思想的にも悪魔に近いのでしょうね。多分、狼は悪魔の家畜みたいな位置なのでは。わかりませんけど。
ヴァンパイア映画で、面白かったのはいろいろありますが、最近のでは「ドラキュリア」とその続編で作られた「ドラキュリア2」がなかなか良かったです。正統的西洋吸血鬼もので、人間のちゃんとしたヴァンパイアハンターが出てくる。一番期待外れが「ヴァン・ヘルシング」。これはもうホラーではなく、要するにコミックですね。アメコミワールドそのものの、コメディー味付けありのヴァイオレンス入りヒーローものです。CG使いまくりでもうコミックです活劇の。西洋有名妖怪総登場でみんなCG特撮。ヴァンヘルシングさんて、あの最初の大元の原作、古典怪奇小説の、ブラム・ストーカー作「ドラキュラ」に出てくる、ヘルシング教授の事なんでしょ?確か「ドラキュリア」で吸血鬼を封じ込めている老齢の学者が、ヘルシング教授じゃなかったか?過去のいろいろなドラキュラもので、ドラキュラを倒す生身の人間の、ドラキュラの手強い相手の名は、みんなヘルシング教授のような…(?)。「ドラキュリア2」のヴァンパイアハンターの聖職者役のジェイソンスコットリー、なかなか良かったですね。研ぎ澄まされた剃刀のような、吸血鬼専門の殺し屋の役。
「クィーンオブヴァンパイア」というのもあんまし面白くなかったなあ。コメディー味全くなくシリアスタッチの吸血鬼もの映画だったけど。何でもこれ、あのトム・クルーズが美貌のヴァンパイアになる「インタビューウイズヴァンパイア」の続編らしいけど、違ったかな?僕は「インタビューウイズ…」は話題作であったけど、見てません。「クィーンオブ…」の女王役は、この映画の撮影直後に若くして亡くなった黒人女性シンガーの、ええ~と、思い出せない、名前。申し訳ありませんが、僕には、ビョーク、ビョンセ、アシャンテェィ、アリィーヤの区別がつきません。ブラックミュージック女性ボーカルファンのみなさん、ごめんなさい。
活劇で面白かったのは、というより、そのカッコ良さに魅了されたのが、「アンダーワールド」という映画の中のスーパーヒロイン役で、全身真っ黒いコスチュームで両手で拳銃撃ちまくりの美女ヴァンパイア好演のケイト・ベッキンセール。非情でクールで男性的に行動力決断力を持つが女の情愛のもろさも見せる。くうあーっ、かーっこいぃーっ!なのだ。それでもっておいら、ケイト・ベッキンセールが助演ヒロインの、「ヴァンヘルシング」も見たのだ。でも「ヴァンヘル」はCG特撮はすごいけどつまんなかったですね。子供だまし映画って感じで。
ところで元々の「ドラキュラ」の、ヘルシング教授っていったい何の学者だったんだろう?「ヴァンヘル」の方では、孤児上がりのちょっと荒くれた、知性とは程遠そうな感じのワイルドガイだったけど。もともと神学者か考古学者か?
「漫画読み日記」が映画の話ばかりになってしまった。漫画に戻ります。え~と、ヴァンパイアもので今も印象に残り続ける、僕にとっての吸血鬼漫画名作は、これ、「少年の町ZF」。70年代の終わり頃の、小学館ビグコミオリジナル連載の、小池一夫さん原作で漫画平野仁さんの、ヴァンパイアものだけどSF漫画作品。これも僕は80年代初め通しで全巻読んでいますが、勿論今は手元にありません。名作ですが、何故か一度Bigcomicsになって以来、単行本復刊を見てません。文庫化もされてないと思う。小池一夫さんは自分の会社というか自分自身の出版ルートを持っている筈なんだが、数々のご自分の原作名作を刊行しながら、これは確か再刊されていないと思う。何故かな?
このお話は、侵略宇宙人が吸血行為によってある町の人々をじわじわだんだんと宇宙人の仲間化(吸血鬼化)してしまい、気が付けば残された町の純粋な人間は数人の少年だけになっていて、その数少ない人間の少年達の団結と知恵で侵略宇宙人と攻防するという、これもいわば町という限られた境界内のサヴァイヴァルドラマでした。はらはらどきどき感いっぱいの面白い漫画でした。
この「少年の町ZF」の吸血鬼の設定が、宇宙のウイルスとか細菌が元々で、この宇宙微生物が取り付いた知的生命体が吸血行為によって仲間を増やし続けているという、つまり侵略宇宙人そのものも実は自分の身体を吸血微生物に侵略されているというややこしものでした。と思う、確か。そういうややこしい設定だったという気がする、記憶があります。あやふやでごめんなさい。あやや、は好きですが、あやふやはいけませんが記憶がはっきりしませんが、多分そういう設定だ。
今のアメリカ映画のゾンビものにこの設定が多いですね。最近の「ドーンオブザデッド」とかあの「バイオハザード」なんかも。つまり新種のウイルス感染でみんなゾンビになっていくという…。ゾンビも噛み付いて相手をゾンビ化して行き、吸血鬼の増殖方と同じ。
ZFって確かZ旗の事だったと思う。めちゃ面白いです、「少年の町ZF」。
キンモクセイの「夢で逢えたら」のCDケースのジャケットのイラスト、かわゆい絵で良いです。好きです、この絵。曲も大瀧詠一さんの往年の名曲のカバーで良いけど、イラストなかなかイイ!下のポポロときのこの森は何だ?