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ダム崩壊はどちらの仕業か

2023年06月10日 | ロシアのウクライナ侵攻

 ウクライナのダムの決壊問題が深刻かつ大きな問題になっていますね。ウクライナとロシア双方にとって直接の洪水被害は甚大だし、南部のロシア占領地帯に攻勢をかけるための支障にもなるため、とても心配です。

 お互いに責任のなすり合いをしていますが、ウクライナ側もロシア側も自分たちは真相を知っている可能性はあります。なぜなら自分たちが実行したかしないかはわかっている。であれば、自動的に相手がやったか否かもわかるからです。私自身はどちらが実行したのか、もちろんわかりませんが、一つ考慮すべきなのは、事故や老朽化による崩壊かもしれないということです。

 6月6日のダム崩壊以降、多くの報道で様々な角度から分析が行われていますので、それを参考にしながら分析を試みます。

 ダムの完成は1956年とかなり古いもので、貯水湖は全長が240㎞、幅は広いところで23㎞、面積はなんと琵琶湖の3倍もあります。貯水量は日本全体の1年分の水を賄える量だそうです。

 破損したのは水門部分、つまり発電所部分です。私が注目したのは、5月28日、決壊前の画像と、決壊前日6月5日一部分決壊の比較写真です。まだ6月6日の大きな決壊にはいたっていませんが、ダムの上にある道路が破損して道路は寸断、水が流れ込み始めていました。それがアリの一穴となり、翌日の大崩壊につながったとすると、自然崩壊説もかなりの説得力を持ちます。

 その後の西側の分析によると、ダムの崩壊時点で爆発によると思われる地面の振動を観測したそうですが、一方で発電機が爆発したという分析もでています。しかし最も確かなのは5月28日と6月5日の写真による一部崩壊ですので、私にはどうも自然崩壊説が有力に思われます。

 では、今回の浸水被害での損得はどうか。洪水による住宅地・農地の被害面積は、日本の全農地の10分の1にも相当するということですので、ウクライナという国の大きさに驚きます。ちなみに国の面積は60万平方キロ、日本は37万平方キロなので、1.6倍もあり、しかもほとんどがフラットな可耕地です。いわゆる豊かな黒土地帯の大きな部分を占めています。そのためか崩壊後一瞬、シカゴ市場で小麦の先物価格が上昇していましたが、さほど大きな上昇ではなく、むしろその後値を戻していました。

 衛星画像による分析では今回の洪水予想面積は、ウクライナ側1とするとロシアの占領地区はおよそ2~3倍で、影響はロシア側の方がかなり大きいのです。それとロシア軍部隊の一部が洪水に飲み込まれたという情報もありました。するとウクライナの仕業か?しかし一方、ウクライナの攻勢を防御するために、ロシアは占領地帯の外側を泥沼にして進軍を防ぐことは有効であるといわれ、ロシアの仕業かともとれます。

 どちらにしろ洪水で被害を受けている地域に住む住人にとっては大きな災害であることに間違いありません。

 

 そして絶対に許せないのは、ロシア軍がウクライナ側の洪水被災者の避難所を攻撃し、死者まで出したことです。まさにプーチンとその軍隊の残虐ぶりを体現する悪魔の所業です。

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