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去る者日々に疎し

2020年12月18日 | トランプのアメリカ

  この4年間、私のブログを賑わしてくれた悪ガキのようなトランプちゃんでしたが、14日の選挙人による投票で無事「一巻の終わり」をむかえました。本人が何を言おうが、そんなことは全く関係なし。完全決着です。

  でもこれからもしばらくはいろいろと我々を楽しませてくれるでしょう。一番の楽しみは先日書いたように、訴訟の嵐です。また、ことによると司法当局から訴追を受ける可能性もあるでしょう。就任時すでに3千件の訴訟を抱えていた彼は、今後さらに大嵐に見舞われますし、資産の目減りも彼にはボディーブローのようにではなく、ノックアウトパンチになりそうです。

  と言うのも、トランプのメインビジネスはリゾートホテルや不動産賃貸ビジネスですが、コロナを笑う者はコロナに泣く、を文字通りいっています。全米のホテルリゾートがどこも稼働率を大きく下げている中、トランプだけは例外どころか、トランプ嫌いの人々は彼のリゾートなど使うわけもないので、ダブルパンチを受けています。そして彼は顧問や弁護士など、これまでに辞めさせた自分の側近たちから深い恨みを買っているため、大統領でなくなったら即、意趣返しが始まるに違いないのです。

 

 まず17日のロイターニュースを見てみましょう。引用します。

<法的リスク>

トランプ氏は大統領退任後、複数の法的な問題にも対処が必要になる。

ニューヨーク・マンハッタン地区検察のサイラス・バンス検事長(民主党)は、トランプ氏とファミリー企業であるトランプ・オーガニゼーションへの刑事捜査を続けている。

 当初重点が置かれたのは、16年の選挙前にトランプ氏と性的関係を持ったと主張する2人の女性に支払われた「口止め料」を巡る問題だった。しかしバンス氏は最近裁判所向けに提出した書類で、捜査範囲が広がっており、銀行・税・保険関連の詐欺や事業報告の改ざんを焦点にする可能性があると説明した。トランプ氏はこうした捜査は、政治的動機に基づく嫌がらせだと批判している。

 やはり民主党であるレティシア・ジェームズ・ニューヨーク州司法長官は、トランプ氏とファミリー企業に対する税務上の不正を調べているところだ。きっかけになったのは、トランプ氏の元顧問弁護士マイケル・コーエン氏が議会で、トランプ氏はローンや保険の費用節約のために資産価値を水増しし、不動産税負担軽減のためには資産価値を過少申告していたと証言したことだった。ニューヨーク州司法長官の調査は民事のため、罰金を科せられる可能性はあるが投獄にはならない。

 またトランプ氏は2人の女性から、性的暴行の疑いで名誉毀損の訴訟を起こされ、姪のメアリー・トランプ氏からはファミリー企業の持ち株を不当に奪われたとする訴訟を起こされている。

 司法省が今後、トランプ氏を連邦所得税逃れの容疑で刑事訴追する可能性もある。NYタイムズは最近、トランプ氏が16年と17年に納めた所得税はたった750ドルだったと明らかにした。

 引用終わり

  しかし検事長や司法長官の名前の前に「民主党の」という修飾語がつくのも、違和感がありますね。上の記事をまとめます。まずトランプは女性問題だけでも2人に性的暴行で訴えられ、関係を持ったポルノ女優を含む別の2人に対して選挙資金から違法な口止め料を払った疑いがある。

  さらにビジネス上の脱税・詐欺疑惑が多数。共犯者として彼を長年助けたコーエン弁護士もすでに彼を裏切り、というよりもトランプが切り捨てたので、逆に司法省に協力しており、十分な証拠をもって訴追される可能性があるのです。

 

  最近の報道では「トランプは共和党支持者からの支持を相変わらず得ているし、影響力を保持し続けるだろう。そして24年の大統領選に出馬する宣言を、バイデンの就任日に行う」などと報道されています。

  私はそれがこの先続くとは全く思っていません。出馬は彼が勝手に宣言できますが、「去る者日々に疎し」となり、さすがの熱狂的トランプ支持者も少し冷静になれば、多くは自分の愚かさに目覚めるに違いないと思っています。ましてや共和党の議員連中も自分の再選を考えるといつまでも負け犬のトランプのそばにいるわけにもいかず、いずれは距離を置かざるを得なくなるでしょう。

 

  その一方で降りかかる訴訟や訴追に対してトランプが準備している奥の手は、「大統領の恩赦特権の行使」かもしれないと噂されています。

  自分の犯罪に自分が恩赦を与えようという禁じ手です。

  常識的にはありえませんが、彼のような非常識者であればアメリカ大統領の権威を損ねるようなことでも平気でやりかねません。ただし「恩赦するということは罪状ありと自白するようなもの」ですし、果たして最高裁が恩赦の効力を認めるか否か疑問です。

  トランプが10月になって指名した女性のバレット最高裁判事は、トランプの選挙結果の差し止め請求を棄却する側に一票を投じ、トランプの期待には沿っていません。保守派ではあっても常識は持っているようですので、非常識にはノーを突き付けるでしょう。

  一方、トランプの元には恩赦の嘆願書が山のように積もり積もっているという報道がCNNから流れましたので、それをかいつまんで紹介します。16日のCNNによればホワイトハウスのウェストウイングのトランプ執務室には恩赦願いの手紙やメールが山のように来ていて、ついにその情報をエクセルシートで管理し始めたほどだというのです。彼の回りにいかに悪党が多かったかを物語る証拠書類です(笑)。

  すでにレーム・ドナルドダックとなったトランプは、かつて忠実な部下であった内通者に苦しめられています。恩赦願いは側近からビジネスパートナー、支持者から、彼とは全く無関係の重大犯罪人にまでに及び、ホワイトハウスでは門前市をなしているのです。

 

  今一度申し上げます。しょせん「去る者日々に疎し」

トランプネタがなくなるのはちょっと寂しい気もします(笑)

 

コメント (1)
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