ストレスフリーの資産運用 by 林敬一(債券投資の専門家)

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そうだ、もう一度千葉に行こう!

2019年09月19日 | 旅行

  今回の台風では千葉県が大変な被害を受けましたね。今回被害を受けられた方には心からお見舞い申し上げます。

  ここ東京では、いまだにNHK地デジの画面は左側と上側に災害関係のテロップが常時流れています。避難所や水食糧の情報などです。今回の台風では東京電力関係だけでなく、様々な被害が当初の見込みより大きなものでしたね。その原因を私は以下のように考えています。それは台風の通過が夜間だったためでしょう。

  今回同様かあるいはより大きな被害を伴う台風は、去年大阪を襲った台風でもあったのですが、大阪の場合は昼間だったため多くの衝撃映像がTVやSNSに映し出され、誰もがそのひどさに気が付きました。ところが今回は夜間だったために強風が屋根や車を吹き飛ばしたり、電柱、送電線の支柱やゴルフ練習場の支柱を倒す様子が一切画像として流れませんでした。この差はかなり大きいと思います。そのため、救援・復旧などの初動で圧倒的に後れを取ったのだと思うのです。


   今年の4月初旬、私は家内と一緒に千葉県の鋸南町(きょなんまち)を訪れました。一泊どまりの温泉旅行です。鋸南町という地名も台風被害がひどかったため一気に有名になりましたね。鋸山(のこぎりやま)の南にあるため付けられている地名だと思われます。我々は鋸山観光をしてから、「ビーチサイド・温泉リゾート・ゆうみ」という名前のホテルに泊まりました。自宅からほぼすべて高速道路で行けるため、1時間半もかからずに着けます。今回は千葉を応援するために、来月早々もう一度そこに行くことにしました。

   台風のあと心配だったのでHPを見ると、やはり被害を受けていて、ホテルは当分クローズとなっていました。それもそのはず。このホテル、砂浜の波打ち際に建っていて、ふだんでも西からの風が強ければ波しぶきを直接受けるほどのロケーションにあるのです。

  前回は穏やかな快晴に恵まれたため、夕方波打ち際を散歩した後、海岸に面したテラスでカクテルを飲みながら夕日と富士山を眺めることができました。夕食はもちろん海の幸のてんこ盛りのフルコースで、とてもおいしくいただきました。温泉風呂も海に面した側が外に向かって解放されているので、セミ露天風呂になっています。

  こうして書くといかにも高級なリゾートホテルを想像しますが、ロケーションと施設の割に料金は割安です。理由はホテルの成り立ちが元損保会社の保養所だったからです。それをまるっきり新しくリノベーションして、きれいな今どきのリゾートホテルに仕上げているのです。

  しかも驚いたのは従業員が全員若い。温泉というと年齢のいったサービス係を想像しますが、ここは20代・30代の人がほとんどで、しっかりと教育も受けている様子でした。聞いてみるとほとんどが地元の出身者で、東京などからの出戻り組も多いとのこと。きっと彼らの自宅も台風被害に遇われているかもしれません。今回は応援のつもりでホテル「ゆうみ」の再開に合わせて再度訪れることにしました。

 

  以上、「そうだ、もう一度千葉に行こう」でした。

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ニセコの変貌から見えるもの

2019年03月14日 | 旅行

  旅行と著書の取り組みで、最近記事が減っていますね。でもしっかりネジを巻きます(笑)。  

突然ですが、質問です。

 「2018年の市町村基準地価ランキング上昇率1位はどこでしょう?」

   答えは北海道倶知安町(くっちゃん)です。理由はニセコがあるから。年間の上昇率はなんと33.3%。今後もスキー場周辺は大規模開発が続くので、まだまだ上昇しそうです。毎年同じスキー場に行っているのでよくわかるのですが、周辺地区の変貌ぶりはすさまじく、終わる気配は全くありません。

   スキー場周辺の大規模開発といえば、越後湯沢を思い出す方が多いと思います。バブル時代に高層のリゾートマンションを作りまくり、それがバブル崩壊とともに一気に暴落。今やゴーストタウン一歩手前です。価格は3千万~4千万円程度で売り出されたものが、今や数万円~数十万円と100分の1から1,000分の1。時にはただ同然で売られています。管理費を払うのが負担になり、タダでもいいから売りたいのです。都会で1部屋5万円の安いアパートに住んでいる老夫婦がただ同然のマンションに引っ越し、同じ5万円程度の管理費だけを払って3倍の広さの部屋に住めますし、暖房や給湯も込みです。

  ニセコもいずれ将来は、と思うのは間違いです。去年もレポートしましたが、開発主体は海外のリゾート開発業者が中心で、かなりしっかりした開発計画を持ち、需要も海外中心のため、日本特有のバブルとは色彩が異なります。

   昨年の同時期に私はニセコの不動産に関して以下のようにみなさんに報告しています。

引用

驚異的なのは、この2-3年で建てられたコンドミニアム群です。ゲレンデに面していたり、街なかに建てられていたりするのですが、外国人のデザイナーによる素晴らしい外観とインテリアで、驚くほどの高価格です。英語の不動産情報を探すと、

・リフト5分、330平米、ツイン4部屋+シングル4部屋、リビング、キッチン 価格3億5千万

・リフト5分 223平米、ツイン4部屋、リビング、キッチン 価格2億8千万

・ゲレンデに面するコンドのペントハウス277平米、4部屋、4億9,800万円

引用終わり

  いわゆる億ションばっかり。

  そして今年新たに目を引いたのは、ニセコでも海外スキーヤーがほとんどの花園スキーエリアの大規模開発でした。我々は滞在しているヒラフ地区からリフトを乗り継いで花園まで滑走して行くのですが、ふもとには建設中のリゾート物件、ハイアットリゾート・ホテル&レジデンスがゲレンデ横に4棟も並んでいて、写真に写りきらないほどの規模になっていました。ゲレンデの最下部なのでリフトのすぐ脇、スキーヤーにはとても便利な一等地です。  

  開発主体は香港のパシフィック・センチュリー・グループで、ホンコンフラワーから身を起こし世界でも有数の金持ちになった李嘉誠氏の一族です。これらの物件をホテルとコンドミニアムとしてハイアット・リゾーツが運営を受託します。コンドは一般オーナー兼投資家にも販売して、家主は自分が使わないときにホテルとして貸し出すこともできるようになっています。今世界の一流リゾートで、はやりのシステムです。

   こうした世界的なリゾート開発グループのやることですので、湯沢の轍は踏まないでしょう。そもそも日本人からの需要はあまり期待せず、世界の金持ちのための資産でありリゾートなので、景気の影響を受けにくいのです。北海道の大自然が迎えてくれるので、本州のチマチマしたスキー場とはわけが違います。

   遊びのバラエティも驚くほどあります。スノー・シーズンだけでも、ガイド付きバックカントリー(ゲレンデ外滑走)、スノーシュートレッキング(かんじきでのトレッキングです)、スノーモービル(エンジン・キャタピラ付きの雪上バイク)、テレインパーク(ボーダーがジャンプしたりレールを滑ったりできる施設)など。子供にはスノーパークやスキー教室が英語で用意されています。

   そしてみなさんがきっと心配されるオフシーズンですが、ニセコにオフはなく、グリーン・シーズンと呼び、様々なアクティビティーが用意されていて、どれも本格的です。ゴルフはもちろん、激流でのラフティング、渓流でのカヌー、ちょっと野蛮ですがキャニオニングと呼ばれるスケルトンでの滝や渓流下り、フィッシング、絶景を楽しみながらのマウンテンバイク。これはスキー用のリフトを利用して上り、頂上から下るだけの比較的楽なバイクツーリングです。

  食の楽しみはホテルや街でもでも味わえますが、花園にはゲレンデ脇に今シーズンオープンした本格フレンチレストランがあります。このレストラン、ロケーションのよさと格式からしてさすがの野沢温泉ハウスサンアントンもかないません。ランチコース4,500円、ディナーは16,000円なりとかなり高級でスキー場のレストランとはいいがたいものがあります。北海道は食材の宝庫ですから、さぞかし美味しいでしょう。我々は高くて行けませんでした(笑)。

   では一体このリゾートに来るのはどんな金持ちか。例として今回出会った人々のお話しをします。まずはニュージーランドからのご夫婦です。彼らとは夕刻に倶知安のすし屋に行く往復のシャトルバスで知り合い、30分ほど話し込みました。彼らは我々がいつもベースにしているニセコのヒラフ地区に数年前から別荘を持っていて、今回の滞在予定は2か月とのこと。もともとニュージーランドのスキー場のホテルのオーナーでしたが、それを売ってリタイア。日本とスキーとゴルフが大好きでニセコに別荘を買ったそうです。2か月の間に北海道の主なスキー場を巡り、本州に渡って蔵王をはじめとする東北のスキー場も車で巡りたいとのこと。さらに夏はゴルフをするために訪れるそうです。

  ご婦人はゴルフの腕前がハンディ4というトップクラスのプレーヤーで、アマチュア選手権に出場する腕前。ご主人は彼女のお供でただのダッファーと言っていました。ダッファーとはボールより芝生を飛ばすほうが得意な腕前だという意味です(笑)。北海道は優雅な暮らしぶりの人々にとって食事はもとより、夏冬両方楽しめる理想郷だと言っていました。私にスキー場とゴルフ場、たくさんあるけどこを巡ったらよいかという質問をぶつけ、熱心に聞いていました。答えているうちに別れの時間が来てしまい、再会を期して別れました。

  次の例はオーストラリアのシドニーからの家族連れで、やはり日本の食と景色とスキーが大好きで、それに加えて日本人が親切なので、やはりニセコに別荘を買ったとのこと。ゴンドラの中のためわずか20分程度の会話でしたが、ご主人は不動産の販売業で財をなしたようです。彼らもスキーのほかに冬も避暑地として使っているとのこと。オーストラリアと日本は夏と冬が逆です。でも去年からオーストラリアの不動産は下落し始めたので、これから商売は厳しそうだと言っていました。

  私がなぜ便利で安いホテルでなく、別荘を買うのかと質問したところ、「ニセコに可能性を感じている」という不動産屋らしい答えが返ってきました。さらに「でも往復の運賃を考えたらペイしないでしょう」と聞くと、「いや、ここと同じ雪質を求めるならヨーロッパまで行かなくてはならないので、ニセコはとても手ごろだよ、時差もないしね。」というのです。多くの海外スキーヤーが世界でもトップクラスのパウダースノーを求めてニセコに来るのです。

  それにしてもここの地価が前年比で3割も上昇し、全国一番の上昇率だったのには驚きました。その上昇を支えているのはオーストラリア人ばかりでなく、資本としては中国資本も入ってきていて、開発も湯沢のように一つのリゾートマンションを単独で開発するといういかにも日本型ではなく、オールシーズンを考え非常に大規模で計画的であること。そして投資家と利用者をうまく結びつける仕組みで開発会社もオペレーターも投資家もリスクを分散できることなど、学ぶことは多いと思います。

   私はいつもみなさんに、「外資は三顧の礼をもって迎えよ」、と言い続けてきました。株式投資しかり、企業買収しかり、ゴルフ場買収しかり、都心のビル投資しかり、そしてリゾート投資も。特に不動産は持って帰れないので、いくら外資が入っても大丈夫です(笑)。

   日本の観光資源の豊富さを見つけてくれているのは、最近は海外客かもしれませんね。

  以上、ニセコからのレポートでした。

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日光を見ずして結構と言うな

2018年09月13日 | 旅行

  先週、4年前についで生涯で4回目の日光見物をしてきました。ハイライトは改装なった東照宮の陽明門です。実は観光だけに行ったわけではなく、日本中のゴルフ仲間と年に一度のゴルフツアーを楽しみました。毎年場所を変えて6・70人が全国から集まり、ハンディなしのスクラッチ戦を楽しみます。今回は私の大好きなコース設計家、井上誠一設計の日光カンツリークラブです。男体山から流れ出る大谷川(ダイヤがわ)の河原を埋めて作られましたが、もちろん河川敷コースの風情は全くなく、立派な松の木に囲まれた風格ある林間コースです。

  何故プレミアム・コースなのかと言えば、ここでは男子の日本最高のトーナメントである日本オープン選手権を過去に開催し、2020年には日本プロゴルフ選手権が行われるというメジャートーナメント開催にふさわしいコースだからです。井上誠一のコースは日本に30数か所あるのですが、そのうち3分の1程度のコースがトーナメントコースに使われています。

  ところで、このコースの名前は「カントリークラブ」ではなく、「カンツリークラブ」と付けられています。カントリーとカンツリー、いったいこの差はなんなのでしょうか。

  ゴルフ場の名前をリスト化すると多くはカントリークラブなのですが、一定の法則をもってカンツリークラブという名前がつけられていることに気づきます。その法則とは、どうも戦後数年目くらいまでに作られた比較的古いコースはカンツリークラブ、その後はカントリークラブになっているのです。

  一般的に「名門」と呼ばれるクラブは古いコースが多いので、カンツリークラブが多いのです。例えば20年のオリンピックでゴルフ競技を開催する霞が関カンツリークラブ、霞が関と同様、入会条件が原則世襲になっている相模カンツリークラブ。関西では茨木カンツリークラブなどがそれにあたります。

  カンツリーという名前が名門の必要条件ではありません。古くとも「ゴルフクラブ」という名称も多くあるからで、同じく世襲でも霞が関の隣の東京クラブや関西の広野ゴルフクラブ、日本で多分一番敷居の高いゴルフ場である軽井沢ゴルフクラブなどがあります。むしろ名門の必要条件は入会が世襲限定であること、なのかもしれません。

  カンツリーの名前を色々調べてみると、どうやらカンツリーという表記は、ビルヂングと同類の表記らしいことがわかりました。

  丸ビルは丸の内ビルディングではなく、正式には丸の内ビルヂングです。私の入社当時のJALの本社は中央郵便局の並びの東京ビルヂングでした。いずれも三菱地所のビルです。

  調べてみると外来語の表記は文科省によってこうしなさいというガイドラインがあって、1952・3年までとその後は比較的大きくガイドラインが変わったようで、その時にビルヂングはビルディングになり、カンツリーはカントリーになったのではないかと思われます。確証はありませんが。さらにその後1991年と2015年にも表記のガイドラインは改定されたようです。

  話をもとに戻します。日光のことでした。4年前に訪れたとき、東照宮にあるあの有名な陽明門はすべて幕に覆われていて見ることができませんでした。平成の大修理の最中だったのです。13年から17年の初めにかけて修復工事が行われ、あの豪華絢爛な門が見事な姿を再び見せてくれました。

  その修理を請け負ったのは古美術や古い建築物の修理を専門とし、なんと寛永年間から300年以上も歴史の続く小西美術工芸社です。まあ、世界最古の会社と言われる金剛組の800年に比べれば半分以下ですが、それでも300年以上の歴史とはたいしたもんです。ウィキペディアから会社概要を引用します。

「株式会社 小西美術工藝社は、日本の東京都港区に本社を置く、社寺等の伝統建築や邸宅の設計や施工、国宝や重要文化財などの文化財の修繕と補修を業務とする企業。2016年時点で日本の文化財装飾に関わる4割の職人を抱える業界最大手企業である。」

  4割とはすごいシェアーですね。そして不思議なことにこの会社の現在の社長はデービッド・アトキンソンというオックスフォード出のイギリス人で、実は私のソロモンブラザーズ時代の同僚の一人です。

  彼は90年代の初め、ソロモンの東京オフィスで日本の金融業界のアナリストをしていました。その後ゴールドマンに移り、マネージング・ディレクターになってのちリタイアし、何故か茶の湯の道に入り、宗真の名を持っています。日本好きのイギリス人なのですが、数年前に彼に会ったとき、なんで小西工芸の社長になったのと聞くと、「軽井沢の別荘の隣に小西さんと言う会社のオーナーが住んでいて、会社の窮状を聞かされ助けることにした」と言っていました。要は偶然だよと言うのです。

  それでも彼の日本好きは筋金入りで、「観光立国日本論」など日本再生に関する著書をはじめ、日本政府観光局の特別顧問まで勤めていて、日本の観光ブームに大いに貢献しています。

  我々の仲間のゴルフの今年の優勝者は福岡在住のげんさんで、彼の職業はこれまた珍しい「宮大工」です。彼は昨年瀬戸内海ゴルフクラブで開催された時も優勝しているので、連続優勝です。しかし昨年の優勝スコアはパープレーの72ストローク。今年のスコアは80ストローク。井上誠一のコースの難しさがわかるというものです。瀬戸内海ゴルフクラブも男子プロのミズノオープンを毎年開催するトーナメントコースではあるのですが、難易度は格段の差があります。

  げんさんは日本中の社寺の由来や建築関係に非常に詳しくて、こうした時、いつもみんなの観光ガイド役を務めてくれます。その彼も小西美術工芸のことはよく知っていて、機会があったら社長に紹介してくれと言っていました。

  みなさんも是非新装開店の東照宮陽明門をご覧あれ!

以上、「日光を見ずして結構と言うな」でした。

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秋田県大館市から十和田、奥入瀬渓流へ

2018年06月09日 | 旅行

 

  今回は5月下旬に初めて家内と秋田県を旅行した時の旅行記です。これまで大館空港からアッピのスキー場まで行ったことはあるのですが、県内の旅行は初めてです。といっても空港からレンタカーをして大館市内で秋田犬会館で犬たちに会い、秋田杉の曲げわっぱを郷土博物館で見学し、工房で製作体験をし、一泊しただけです。その後は十和田に向かい、十和田ホテル泊、そして青森県側の奥入瀬渓流ホテルに泊まるという旅行でした。このブログでは写真は貼らないので、もし写真をご覧になりたい方はフェースブックで「林敬一」を検索してください。公開していますので、どなたでもご覧いただけます。

  旅の最初はちょうどザギトワちゃんに送られて人気沸騰中の秋田犬に会いに行きました。秋田保存会の入る会館は血統書を出す権威あるところで、そこで4匹の犬たちに出会い、隣の城址公園を散歩する犬たちにも偶然出会うことができました。大館の街中でも散歩中の秋田犬をよく見かけました。

   秋田犬はけっこういろいろな色の犬がいますね。いわゆる赤毛、白、黒ブチなど、大きいけど人懐こくて、とてもかわいい犬たちでした。秋田犬保存会のHPに行くと、私たちの会った犬たちの写真があります。

   秋田犬のあとは、大館市郷土博物館で秋田杉の曲げわっぱの工芸品を見ました。名工たちの手による曲げわっぱは、とても見ごたえがありました。そのあと、今回の旅行の目的の一つ、曲げわっぱの製作体験です。体験工房で製作のまねごとをすることができました。体験工房では先生に教えてもらいながら制作したのですが、杉板を熱湯で煮て曲げるのはとても無理。その工程を終えたものに底板を取り付けたり、磨きの工程を体験しました。

  郷土博物館で見た作品の写真を先生に見せたところ、実は大半の作品は私たちが習った佐々木先生ご自身が製作したものであることが判明。工房の方が説明してくれたのですが、佐々木先生は「現代の名工」として国から表彰されている、名工中の名工だそうで、そんな方に教えていただけるとは恐れ多いことです。現代の名工は、様々な分野から毎年数名しか選ばれない、名工中の名工です。

   参考までに。製作した曲げわっぱは弁当箱やお重として適当なサイズのものですが、お店で購入すると一つ約1万円もします。それを先生に習いながら自分で作ると約2時間で一人5千円。実に割安な体験でした。自分たちで作ったお弁当箱、大事に使います。家で実際にお弁当を詰めていただくと、ごはんそのものがとてもおいしくいただけますね。秋田杉の香りと水分がほどよく保たれるからでしょう。

   大館でのランチは地元の比内鶏の親子丼をいただきました。大館市内は残念ながら地方にありがちなシャッター商店街でしたが、この「比内や」さんだけは大賑わいで、身のしまった鶏肉にとろけるような卵が乗せられ、とてもおいしい親子丼でした。比内鶏とは大館市比内町の特産で、実は「比内鶏」は天然記念物のため食べてはいけない、とある方から指摘を受けました。我々が食べているのは比内地鶏という食用にしてよい鶏だそうです。もう一つ、一緒に付いてきた漬物が、秋田県横手市あたりの名産「いぶりガッコ」。たくあんの燻製ですが、これまた香りがバッチリついていて、とてもおいしかったのでお土産にも買って帰りました。 

   そして秋田での夕食はもちろんキリタンポ。キリタンポって、タンポを切って鍋に入れるからキリタンポだって、知ってました?私はもちろん知りませんでした。地元で一番の有名店、元祖キリタンポ「むらさき」でいただきました。串に刺していないタンポを手でちぎって鍋に入れますが、とても大きくて、つぶの残ったお餅という感じでした。鍋にはもちろん比内地鶏が入り、あとは山菜ときのこだけ。鶏の出汁がよく出ていて、おいしくいただきました。

    大館市から樹海ラインという名の道路で山に入ると、「七滝」という道の駅があり、車を止めると道路の反対に「七滝」が見えました。道の駅からも直接見えて、里山にいきなり落ちるとても不思議な滝です。しかも滝の下には左から右へ流れる穏やかな渓流があって、滝は渓流に対して直角に落ちてきているのです。日本の滝100選にも入っている名滝だそうで、落差60m、七段になっているので七滝と呼ばれるそうです。道の駅から直接見える、不思議な滝でした。

   十和田湖を目指して峠を上り、湖の見える展望台に出ると、十和田湖の絶景を見ることができました。展望台の駐車場にはいまだに雪が残っていて、途中の峠道にも残雪がたくさんありました。5月の末なのに、雪深い地域なんですね。そういえば雪の深さで最近よく耳にする酸ヶ湯は秋田でしたね。

   十和田湖畔に出て初めに訪れたのは、秋田杉で作られたビジターセンターです。十和田湖の成り立ちを説明するジオラマやここに生息する動植物の説明があって、楽しく見学しました。 

  この日の宿泊は十和田湖で一番古い十和田湖ホテルです。秋田杉で作られた歴史を感じさせるホテルでした。建物自体が有形文化財に指定されています。

  このホテルの沿革をフロントの人に聞くと、おもしろいストーリーを教えてくれました。完成は昭和14年と古いのですが、実はまぼろしとなった昭和15年=1940年のオリンピックに合わせ、外国人観光客誘致のために秋田県が作ったというのです。運営は現在も椿山荘や小涌園を有する藤田観光にまかされていています。

   幻のオリンピックのことをネットで調べてみたら、興味ある事実を見つけました。一つはメイン会場が神宮外苑ではなく、現在の世田谷区の駒沢オリンピック公園だったそうです。64年のオリンピックではサッカーやホッケーの会場で、近くに住んでいたため学校からサッカーなどを見に行きました。もう一つの発見は、なんと同じ40年の冬のオリンピックも札幌で決まっていたんだそうですね、びっくりです。

  十和田ホテルの特徴は秋田県の象徴である秋田杉でできていることと、全室から十和田湖の絶景が見えることです。我々の部屋からも古めかしい窓枠の大きなガラスの向こうに森と湖の絶景が広がっていました。このホテル、お勧めです。食事はもちろん十和田湖を望む展望風呂も素晴らしく、ホテルから湖までの散歩道があって、朝の湖畔の散歩は最高でした。

  十和田湖をあとに、我々は旅のハイライトである奥入瀬渓流に向かいました。宿泊は星野リゾート奥入瀬渓流ホテルです。到着するとちょうどお昼時だったので、渓流に面したテラスで「渓流ランチ」をいただきました。旅にはベストシーズンの5月、毎日晴れていたので外でのランチにはもってこいでした。

  渓流テラスでのランチがとても気持ちよかったので、朝食も同じ場所を予約しておきました。 

  ランチ後は渓流散歩です。奥入瀬に行ったことのない方のために渓流散歩をちょっと案内します。私が日本で最も好きな散歩道かもしれません。渓流に沿った遊歩道はほぼ平坦で、十和田湖から発して奥入瀬渓流ホテルまで14kmもあります。車道とはセパレートされ安全な歩道になっていて、オゾンとイオンを思いきり吸いながら歩けます。

   歩き方のお勧めは、一日で全部は無理と心得て、3分の1から半分程度にして、のんびりと歩くことです。大事なのは往復すると飽きるので、片道はバスに乗ること。そして渓流に逆らって下流から上流に向かって、つまりホテルから十和田湖に向かって歩くべきです。なぜなら見どころである滝や急流は、下からでないといちいち振り返る必要があるからです。ここのベストシーズンは紅葉の季節ですが、その時期の散歩道は行列だそうです。我々は2度目なのですが、1度目は9月末、2度目は新緑の5月でどちらも平日のため空いていました。ホテルのシャトルバスで上流3分の1ほどのところにあるバス停、石ヶ戸(いしげど)まで行き、そこからさらに上流に向かって2時間ほど歩き、3分の2ほど上流にある雲井の滝まで行きました。

   宿泊した奥入瀬渓流ホテルは2つの棟に分かれていて、どちらのロビーにも岡本太郎の作った巨大ないろりがあり、大きなガラスの向こうに渓流と緑が見える素晴らしい演出で客を迎えてくれます。

    ミシュランの三ツ星の定義は、「料理を食べるだけのために、わざわざ旅行をする価値がある料理」だそうです。夕食はまさに定義に沿った、素晴らしい料理でした。あらかじめ宿泊に含まれているコース料理のみですが、個人の嗜好やアレルギーなどには十分に配慮してくれます。コース料理を少しだけ紹介させていただきます。

   まずは前菜が7種、プラスもう一品。それにメインの魚料理と肉料理。そしてデザートですが、なんとデザートだけでまた5種類。

   さすが星野リゾートだけあって料理もさることながら、サービスも完ぺきで、ウェイトレスの女性は約20種もある料理の素材から調理法・味付けのすべてをよどみなく説明し、質問にも的確に答えてくれました。  

  渓流テラスでのランチ、朝食を含め、料理だけのためにわざわざ青森県まで出かける価値があることを実感しました。もっともミシュランに青森版はないので、星のやですが星はついていません。

  以上、秋田と青森の旅行記でした。

  

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ニセコの変貌

2018年03月03日 | 旅行

   北海道は大荒れの天候で、とても大変でしたね。それでも死者の数は同じような天候だった5年前の9名を大きく下回ったようです。みなさんが十分に準備し、気を付けたからでしょう。でもこんな猛吹雪の3月2日、エゾシカ撃ちに出かけたNHKの記者が車で動けなくなり救援を求め、救出に行ったロードサービス会社の社員が逆に遭難して亡くなりました。実に気の毒な出来事です。

  その前日の1日は、私が北海道のニセコから帰る日に当たっていました。私たちはニセコをバスで午後4時くらいに出て千歳空港から8時の飛行機に乗るはずでした。バスのルートは峠を越え支笏湖を通るルートでしたが、安全のため道路が封鎖され、小樽経由の電車に振り替えられました。その道中、途中の小樽や札幌でも吹雪などは全くなく、帰宅時間は予定より2時間遅れでしたが無事に帰宅することができました。

  スキー場では好天に恵まれ、滑りすぎるほど滑ることができました。相変わらず海外のスキーヤーがとても多く、ランチを食べるときはどこも8割がたは外国人で日本人は少数派のため、とても日本のスキー場とは思えません。外国人のうちざっと3分の2はオーストラリア人で、あとはヨーロッパ・カナダ・中国というかんじでした。

  ニセコは大きく4つのエリアがありますが、特に花園エリアへ行くと、すべてはオーストラリア人仕様になっています。花園地区全体は中国資本が入って運営されているのですが、リゾートセンターの受付からしてオーストラリア人の女性がいて、スキースクール、その他のエンターテインメントはすべて英語。400人も入れるレストランのメニューも、1,700円する巨大ハンバーガー、3千円のステーキ、6リッター入る1mの高さの筒型ピッチャーが7千円。量も値段もオージー仕様です。日本で味わえる本格海外スキー場(笑)と言えます。

  スキー場を離れてニセコの街に出ると、もっと驚きます。ホテル、レストラン、ショップのほとんどが英語表記で日本語があまりなく、不動産の開発からオーナー、ホテル経営者もオーストラリア人ばかりです。そしてレストランに行くと驚くのは、価格がオーストラリア値段で高くなっています。

  さらに驚異的なのは、この2-3年で建てられたコンドミニアム群です。ゲレンデに面していたり、街なかに建てられていたりするのですが、外国人のデザイナーによる素晴らしい外観とインテリアで、驚くほどの価格です。英語の不動産情報を探すと、

・リフト5分、330平米、ツイン4部屋+シングル4部屋、リビング、キッチン 価格3億5千万

・リフト5分 223平米、ツイン4部屋、リビング、キッチン 価格2億8千万

  軽井沢でもなかなかないような価格帯の物件が数多く売り出されています。

  たまたま居酒屋のカウンターで隣に座った息子と二人連れのオーストラリア人から話を聞くと、彼らは我々のホテルから近い高級なブティックホテルに宿泊。そのホテルをネットで調べると2人で1泊8万円から20万円。彼らは今回は2週間の予定で来ていて、毎年夏もニセコで過ごすことが多いそうです。ジェットスターだとシドニーから往復12万円ほどなので、ヨーロッパやアメリカより割安で来られるし、時差もなし。それにしてもみんな驚くほどリッチですね。

  何故オージーはこれほどニセコが好きなのでしょう。理由は私がわざわざ本州から行くのと同じで、雪質です。それと私はやりませんが、ニセコでは堂々とゲレンデ外のバックカントリー・スキーができることが理由です。今回もゴンドラで乗り合わせた多くの海外スキーヤーと話をしました。たとえばカナダのカルガリーから来ていた二人連れにニセコに来る理由を聞くと、やはり雪質とバックカントリー。カナダやアメリカのロッキーより雪質がよいと言うのです。ヨーロッパ人も同じで、フランス人も地元のアルプスよりニセコが上だと言っていました。

  そひてもう一つの理由が食べ物です。どこから来る人達も「日本はオイシイ」のです。これは東京人の我々も同じで、北海道の海の幸、山の幸はオイシイ!

  最近の日本食ブームはかなり本格的になっているように思われます。ニセコでも誰もがはしを問題なく使いこなし、すしなどの生もの、焼き鳥、うなぎ、うどんそばを食べ、日本酒を飲んでいます。そして驚くのはラーメン好きなことです。ニセコの街には何軒かのラーメン屋がありますが、夕食時にいつも列ができているのがラーメン屋で、並んでいる客のほぼ全員が外人客なのです。

  我々日本人スキーヤーは、オージーだけでなく中国人などの海外スキーヤーに大感謝しています。日本のスキー人口は減る一方だし、スキー場もどんどん閉鎖される中で、彼らこそが救世主。私が好きな白馬八方尾根、野沢温泉などのスキー場も、「歓迎外国人スキーヤー 御一行様」なのです。

 

  ところでやっと落ち着いたかと思っていた株式市場ですが、トランプの発言でまた大荒れですね。

次回から「アメリカと米国債は大丈夫か」について書いていきたいと思っています。

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