この前、六本木で例によってお酒を飲んでいたら、途中おなかがすいたのでバーを抜け出し、吉野家の牛丼と味噌汁をたのんで、さぁ食べようかなと、箸を手にしたら、となりに、道端の客引きとおぼしき真っ黒な黒人がすわりやがって、牛丼スタッフの東南アジアのおばさんに、これ、などと言いながら同じ牛丼をたのみながら、スプーンも一緒、などど付け足しながらしゃべくりはじめた。
クロ
『ヘィ、ヨー、メン、ジャップ。ホワッツアップ』
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カッパ
『ナメンジャネェ、クロ、シズカニクワセロ』
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クロ
『アイムソーリー、ジャップ』
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カッパ
『サイキン、アメコー、イタコー、ミンナダメダメネ』
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などと会話をかわしたかどうか定かではないが、とにかくこっちは酒の幕間のひととき静かに牛丼を食べはじめた。
そうこうするうちに、クロにも牛丼がきた。味噌汁はない。牛丼と水である。
食べるさまを見たいわけではないが、となりに座っているので見たくなくても見える。
まず、牛の部分をサァと食べる、そうするとつゆだく気味の白いご飯部分が見えてくる。
そこにおもむろに七味唐辛子をかけるのである。しろいご飯が見えなくなるぐらいの量。
そしてまた、牛の部分をサァと食べ、ドバッと唐辛子。これのくり返し。
全部食べ終わるまで見てやったが、七味唐辛子が三分の二ほどなくなっていた。クスリには強いクロだからやみつきだなぁ。きっと。
キムチなども常用性があるというから同じような感じなのかもしれない。河童はとてもまねできない。紅ショウガが5カケラほど食って、味噌汁で胃に流し込むのがせきのやまだ。
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クロ
『ゴチソウサマ、イクラ』
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東南アジア
『ヨヒャクハチジュウエン、デス』
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クロ
『ホラ、ゴヒャクエン』
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東南アジア
『ニジュウエン、オツリデス、ドウモアリガトウシタ』
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カッパ
『オメエラ、ナンデ、ニホンゴ、デ、シャベッテルンダヨ』
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クロ&東南アジア
『郷にいては郷に従え、というじゃないか。』
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カッパ
『オー、スミマセンデシタ』
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ということで、六本木のミッドナイト3時は、特に週末であれば、おひるの渋谷の交差点なみ、とまではいかないが、何でこんな時間にこんなに人が歩いているのだ、という感じで異次元世界だ。
特に、人種的には、この夜なかに遊んで歩くジャップは3-4割。あとは、アメコー、イタコー、ロシコー、アジコー、シロクロ、なにがなんだかわからない。外国にいるみたい、というよりもスターウォーズの宇宙バーみたいなもんだなぁ。おもしろいといえばおもしろいが、六本木で遊ぶときは、一軒ぐらいはいきつけの店がないといけない。何事につけ骨休めが必要だ。
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ところでクロがオーダーしなかった味噌汁であるが、最近はアメリカ人でも味噌汁を食えるハイソサエティな人種がいるが昔はそうではなかった。
マンハッタンで朝、アメリカ人社員に車でピックアップしてもらった日本人が、途中で降ろされたそうだ。
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アメリカ人
『オハヨー、ミスター、クルマニドウゾ』
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味噌日本
『サンンキュウ、今日も朝飯はご飯に味噌汁さ』
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アメリカ人
『アサメシ、ダイジネ』
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味噌日本
『ソウダ、ソウダ』
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アメリカ人
『ヤッパリ、オリテクレ』
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味噌日本
『ナンデ?』
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アメリカ人
『ソノ、ニオイ、タエラレナイ、オリロ』
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ということで、通勤の途中、車から放り出されたというなさそうでありそうな話があった。味噌汁のにおいはアメリカ人には耐えられない以上のものだったのだ。
似たようなものに魚の缶詰があった。魚の缶詰もオープンするとほぼ気絶する。
おわり
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