ブロムシュテットは、ブル8のこのSACDでゲヴァントハウスを退任し、後発のレコーディングはないと思っていた。
そしたら今度はこんなSACDがでた。
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ブルックナー作曲交響曲第7番
(ハース版)
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ヘルベルト・ブロムシュテット指揮
ライプツィッヒ・ゲヴァントハウス管弦楽団
2006年11月23-25日 ライヴ
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SACDハイブリッド・レコーディング
前後の拍手。楽章の間も収録されている。
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ゲヴァントハウスの常任は2005年シーズンまでで、その後は名誉指揮者になっているようなので、退任しても機があれば振るということなのだろう。
それにしても1927年生まれの菜食主義者の充実度は普通ではない。
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一言で言って、
全く素晴らしい、
という言葉以外見つからない。
第1楽章の空気感。
森林浴、音楽浴。
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スローで角が取れ、柔らかな音が心地よく響く。
などと書くと、昔のカラヤンのキャッチコピーのように聴こえるかもしれないが、何もかも明らかに違う。このすなおで清涼な空気感。
ホールの余裕のある響きも一役かっているようだ。
それにSACDサウンドのなんともいえずこれまた余裕のフォーマット。
素晴らしいの一語に尽きる。
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ブロムシュテットの第3拍を早めに切り上げる振り方はどうであれ、4拍目のアウフタクトの呼吸を素直に感じることができるし、また、オーケストラ全体、特に第1ヴァイオリンにリラックスした運動の響きを感じとることができる。
それに中弦、特にチェロの安定感、多彩なニュアンスは類を見ない。
いずれにしても中身は買ってのお楽しみ。
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ブロムシュテットのブルックナーは昔のドレスデンとのものは別にして、ゲヴァントハウスに就任する際に9番をいれている。
これはロンドン・レーベルであり普通のCD。ロンドン特有のクリアでやや硬質なサウンドであり、今回の8番、7番のような雰囲気はいまひとつでていない。
ゲヴァントハウスとブロムシュテットの組み合わせとしては、7番8番9番と出揃ったということかもしれないが、今回の8番7番の素晴らしさを聴くにつけ、もういちど9番を入れなおしてほしいものだ。
今回と同じレーベルで当然SACDでの収録を望む。
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ブルックナーの7番は演奏が充実すればするほど、構成のバランス感がいまひとつであると感じる。
第1楽章の3つの主題の提示、展開、再現の強固な構築感。
第2楽章の5部形式。
そのあと定型的に3,4楽章が進むが、第1,2楽章の充実度があまりにも素晴らしいため、第3,4楽章は展開度、長さ的にも今一歩であり、しりつぼみ的な傾向は否めない。
曲の構成感を第1とする指揮者ほど、後半2楽章の弱さがでてしまう。スクロヴァチェフスキーが読響を振ったときも、あまりの素晴らしさとバランスの悪さを同時に感じたものだ。
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とにもかくにもこの7番は必聴だなぁ。
おわり
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