森進一は今、風当たりが強くて、人生この時期、風雪がやってくるとは思いもしなかったに違いない。
一日1ミリの思い上がりが積もり積もってしまったのかもしれないし、ひとはみな同じような思いあがり人間ばかりだから、他人の思い上がりと自分のそれのあやを考えなくなってしまうぐらい思いあがってしまったのかもしれない。
今は今として。。
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森進一が昭和41年頃のある日曜日のたしかお昼11時ごろのテレビ番組に出てきて、とんでもない声で歌ったのを家族みんなが唖然として見ていた原風景が目に浮かぶ。
とんでもないかすれ声で奇妙に細かった。だみ声ではない。
今思うと完全に唱法が確立されていたのであろうし、またかなり練習を重ねた結果の歌だったのだろう。驚愕の声ではあったが、下手ではなかった。
森のデビュー曲「女のためいき」は、曲、歌詞、歌唱、が見事に一致した心にグッサリささる歌である。
オス河童としてはメス河童の気持は100年来、未来永劫のテーマであり、知る由もないが、女の気持を男の角度でとらえた見事な詩、そして振幅のあるフレーズの動き、あれは森の声、歌唱力がいきなりベストマッチした素晴らしい作品。
昨今の噂がどうのこうということは、芸術の本道とは関係ない。あのときに3者がこれ以上ないくらい合体した、いい歌だったのだ。
森の歌はこの「女のたいめいき」が最初でベスト、あとはリピートするごとに感興がもりあがる不思議な曲「港町ブルース」がいいぐらいで、ほかは駄作に近いのではないか。むしろカバーの方がいい味をだしている。
「女のためいき」はデビューオリジナル盤と2005年リメーク盤がある。リメーク盤は、携帯ダウンロードが一番手っ取り早い。
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女のためいき
吉川静夫 作詞
猪俣公章 作曲
森進一 歌
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死んでもお前を離しはしない
そんな男の約束を
嘘と知らずに信じてた
夜が夜が夜が泣いてる
ああ 女のためいき
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どうでもなるよになったらいいと
思いなやんだ時もある
なににすがって生きるのか
暗い暗い暗い灯影の
ああ 女のためいき
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男と女の悲しいさだめ
なんで涙がつきまとう
ほれているから憎いのよ
未練未練未練一つが
ああ 女のためいき
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