新国立歌劇場のニュープロダクションのローゼンカヴァリエを観た。
今回の公演は6回公演。
日取りはこんな感じ。
2006-2007シーズン
2007.06.06
2007.06.09
2007.06.12
2007.06.15
2007.06.17
2007.06.20
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公演は06.09を観たが、公演が継続中であるので軽く書き流します。
これから観る人はこのブログはすっとばしてください。
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2007年6月9日(土)2:00pm
新国立劇場
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シュトラウス作曲
オペラ ばらの騎士
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元帥夫人/カミッラ・ニールント
オックス男爵/ペーター・ローゼ
オクタヴィアン/エレナ・ツィトコーワ
ファーニナル/ゲオルグ・ティッヒ
ゾフィー/オフェリア・サラ
マリアンネ/田中三佐代
ヴァルザッキ/高橋淳
アンニーナ/背戸裕子
テノール歌手/水口聡
他
新国立劇場合唱団
NHK東京児童合唱団
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ペーター・シュナイダー指揮
東京フィル
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第1幕で元帥夫人がオクタヴィアンに向かって、あなたにはこれからきっと、私より若くてもっと美しい人があらわれる、というとき、3千円の担保、5百円の借り料で手に入れた左右別々の調整がきかないチープなオペラグラスで覗いた元帥夫人の美貌と胸にすでにやられている我々聴衆としては、そんな美人なかなかあらわれないだろうなと思いつつ、美貌の発言は妙に説得力がある、などと感じたりするから人間の心持は不思議なものだ。
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帽子屋とか動物商とかテノール歌手とか、いりみだれてはいってきたら、急に音楽が停滞してしまったのはなにゆえか。
外国から招いた主役級3人に対して、入り乱れてはいってきたのが全員日本人であったため?
そんなことはないと思うが、全くウィットが感じられないのは一体どうしてなんだろう。
聴衆もそうだ。劇のシャレに全く反応しない。オペラではたまにあるが、今日はノリの悪い客の日、かも。
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それでも、第3幕終場の女声三重唱(劇上は女二人、男一人)で舞台は一気に盛り上がった。
続く最後の二重唱も息の合ったものであり、見つめあう二人の男女(女女)の眼は妙にリアル。
最後まで、元帥夫人、ゾフィー、オクタヴィアン、見事であった。
この3人では、元帥夫人のニールントが声の線が一番細い。
ゾフィーのやや太めで芯のある声は聴衆に安定感を感じさせる。
またオクタヴィアンはやや硬質ながら、前面に出てくる声で自己主張がはっきりしている。
途中から消えてしまうオックス男爵のペーター・ローゼは性格俳優的なところを無理やり作りこんでいるようなところがあり、笑いが出るのはあらかじめそのストーリーを知っている人たちからだけ、といったところか。大柄のわりにはあまり印象的ではない。
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バイロイトで名をあげた指揮者ペーター・シュナイダーは、音楽のつぼを心得ている。
たとえば第1幕後半、元帥夫人による禅問答みたいな歌詞の連続する静かな箇所があるが、ピアニシモをドラマティックに表現できるのはさすがだ。
ピアニシモの音楽で聴衆を黙らせることができる。まさにワーグナーそのもの、といった音楽への強い集中力を聴衆に移植していく様は傾倒に値する、といってもその演奏の最中は聴く方としてもそんなことは全く考えてなく、場面転換などではっと我に返ったとき、それまでの静かさのドラマを感じとるということになるのである。
第2幕で、ゾフィーとオクタヴィアンの目が合うときの転調の表現のしなやかさも素晴らしかった。さすがシュナイダーだ。
シュナイダーは昔、日本でトリスタンとイゾルデを振ったことがある。
ここに書いてます。
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最初に書いたようにこの公演は終了しておらず、20日まであるので、是非見てほしい。
上質のオペラを納得のプライスで。
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