



10月31日、今年も恐山は無事閉山日を迎えることができました。掲載の写真は、恐山の御用達でもある写真店「みなみや」さんの工藤氏から提供していただいた、閉山直前の宇曽利山湖の秋景色です。プロの写真はやはり違いますね。
ここ3年くらい、開山している半年間、毎月恐山に来られる方がいます。しかも、常に4、5日の連泊。年のころは40歳前後か。従業員にはひそかに「Oちゃん」と呼ばれ(従業員は60代以上がほとんど)、泊まる部屋も決まっています。現在、恐山唯一の「常連さん」。
5日も何をしているのか? わかりません。部屋にいることが多いのか、ほとんど見かけません。気がつくと、何度も温泉に入ったり出たり、境内をぶらぶらし、時々自分の車で出かけ、夕方帰ってくることもあるようです(ただ、朝のお勤めには必ず参加)。
毎日、同じ朝食と夕食を食べ続けています(昼食は出ない)。市内のコンビニに買い出しに行くこともあるらしい。毎月5日もいるんだから、特別に日替わりのメニューにしてあげたらという意見もあったのですが、なんとなく、「ほっといた方がいいんでないの」、というところに落ち着いてしまいました。
関東の人ですが(恐山まで自家用車で来る!)、それ以外は職業もふくめ正体不明です。本人も話さないし、我々も訊かない。
しかし、今年、吐血して死にかけたそうです。倒れて気絶しているところを、たまたま訪ねてきた父上に発見され、一命をとりとめたと言います。父上いわく、「恐山に行ってる功徳だな」
驚いたのは、かなり長い入院の直後(退院翌々日らしい)に、また恐山にやってきたことです。吐血の話はそのとき客室係が聞いたのです。
というわけで、我々の間では、彼は独身で(そうでなければ、「毎月恐山」は許されまい)、IT系企業の経営者で(吐血するほど激しい競争の最前線にいる)、想像を絶するストレスにさらされている心身を恐山で癒している(それ以外の「5日滞在」は考えられない)、ということになっています。
一度、境内で和尚さんとすれ違った時に、
「皆さんは、僕が気楽なぼんぼんで、遊んで暮らしていると思ってるんでしょうが、本当に、本当に大変なんですよ」
と、しみじみ言っていたそうです。とんでもない。我々は真逆なことを思っています。
またある日、客室係に、
「僕は毎月恐山に来る日を決めて、それを楽しみに頑張るんです」
と話していたそうです。
そういう方にも恐山に来ていただけるわけで、有り難く思う次第です。
晩秋の風情が感じられます。
恐山はそのような過ごし方もできるのですね。
何年か前から、都心の屋内で仕事をしていて季節を感じずに日々が過ぎていくのを惜しく思うようになりました。
都会の喧騒から離れて、恐山のような場所で季節の移ろいを感じてみたいものです。
Oちゃんに色んな意味で強く親近感を覚えます(笑)
しかし関東から自動車というのも凄まじいですね。
およそ半日はかかるでしょうに・・・。
毎月、5日連続で休めるって、どんな職業なんでしょう。
自営業。風俗のスカウトマン。あの事件の犯人の顔を連想してしまいました。
強烈な事件でしたからね。
あるいは、全ての存在には、本来同一なる、不滅の実体、アートマンが有る、そして、それは宇宙の根源たるブラフマンに同じ、汝は、それである、とか。
そんなことも連想しました。
そんなことも頭に浮かんで‥。
すいませんね、しつこくて。
諸縁を放捨し万事を休息する、換言すれば「意味の消去」を可能にする場が恐山なのでしょうか。
恐山を支えてくださる皆様に、心より深く感謝申し上げます。
Oくんも、恐山では「ナニモノ❗❓」なのでしょうね。
何故に恐山を選んで来てるのか❓
イタコさんや南さんに用もなく、部屋に籠っているのなら、わざわざ「恐山」という場所でなくてもよい点が、気になるところですね。
温泉保養なら他にもあるでしょうしね。
閉山おつかれさまでした。
山に一人となって、この世をじっと見るのでしょうか。
自分をじっと見つめる一時にしても、恐山を選んだ理由が謎ですね。