くじら図書館 いつかの読書日記

本の中 ふしぎな世界待っている

「明日の子供たち」有川浩

2014-12-13 19:48:48 | 文芸・エンターテイメント
 コンセプトとしては「空飛ぶ広報室」に似ています。児童養護施設の女の子が自分たちのことを本に描いてもらえないかと作家に手紙を書く。
 彼女たちは高校を卒業後自立を強いられる。就職するか進学するか。施設を出たあとに頼りにできる大人が、場所があるのか。
 そんなことを新米職員の三田村の視点を中心に描きます。
 有川浩「明日の子供たち」(幻冬舎)。
 わたしはベテラン職員の猪俣さんが好き。(映像化するなら、ぜひ松重豊さんで!) 久志くんもいいよね!
 あっこちゃんが大学をやめたエピソードには、涙がこぼれました。有川さんのことだから、こういう展開なんだろうと思ってはいたのですが。
 ずっと心に引っかかっていたことのために、奏子の進学にも反対していた猪俣さんが、やっと重いものを下ろすことができたのには安心しました。
 また、久志と奏子が本について語り合うところも、いい。福原さんが本のよさを幼い久志に伝える場面は、非常に共感します。本を読むのは素敵なことと考える大人が、近くにいることは、彼にとってどれほど救いになったのか。そう思うと切ないですね。
 集団読書を提案したとき、ぱらぱらと本をめくっただけで投げ出してしまった子もいました。今は気持ちが揺らいでいるように感じます。違う世界を覗くのもひとつの力なのでしょう。
 和泉さんや三田村くんの若いパワーが、読んでいて心地よかった。
 わたしも多少のことで動じないように頑張ろうと思います。

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