くじら図書館 いつかの読書日記

本の中 ふしぎな世界待っている

「十の輪をくぐる」辻堂ゆめ

2021-03-07 07:55:26 | 文芸・エンターテイメント
バレーが出てくる小説と聞いて借りてきました。
想像以上にバレーだった!
ちゃんと春高の録画が遅れて放映されるのも、2016年の女子決勝が東京対戦なのも、リアリティある!
バレーはしょっちゅうルール変わるので、オポジットとかミドルブロッカーとか新しい名称になってるんだけど、主人公が五十代のバレー経験者だから昔のルールで見ていても違和感ない。(逆にバレーを知らない読者には現行の用語は難しいと思う)

東京五輪。
苦しい生活を続けてきた万津子は、かつて自分が熱中したバレーボールで「東洋の魔女」たちが優勝したことに感動します。
多動で感情の制限ができない息子が、バレーをするときはひたむきに取り組めると知り、故郷を捨てて東京へ。
その事実を知らない息子。会社では人間関係に悩み、家庭でも軋みを感じています。
だけど、奥さんがいい人なんですよー! 娘の萌も!

万津子は、不屈の努力に立ち向かう人になるべく、自分も「東洋の魔女」の一人だと思い定めます。「七人目」の魔女だと。
いや、東洋の魔女は登録メンバー十二人いるから、「十三人目」の方がよくない? と思わないでもないけど。
このあたりのことがちょっとした謎になっていて、面白く読みました。
「十の輪をくぐる」(小学館)。二回の東京五輪をたとえたタイトルなんですね。
オリンピック延期で、結構実施を見越した作品が「パラレルワールド」化してしまいましたが……。この作品は2020年の一月で終わっているので影響ないところも、成功していると思います。
春高優勝は東龍ですね。準優勝は古川学園。
オリンピック代表に選ばれる女子高生選手、登場してほしいなー。

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