くじら図書館 いつかの読書日記

本の中 ふしぎな世界待っている

「偉大なるしゅららぼん」万城目学

2014-03-02 19:04:11 | 文芸・エンターテイメント
 まんが版がいろいろと印象的だったので、原作を借りてきました。万城目学「偉大なるしゅららぼん」(集英社)。
 なるほどなるほど。まんがは結構忠実になぞっているんですね。何点かアレンジもありましたが。(理科の実験が調理実習になっているとか、潮音の出番が多いとか)
 おかげでなんとなくぼうっとしていたところも、わかったような気がします。語りもずっと涼介の一人称ですし。「師匠」は結局ずっと遠い存在なのですね。実のところ、後継者は清子だったのでしょうが、彼女が承諾しないので新しい師匠を濤子にしたのでは。清子の能力が桁違いであることもそうですが、涼介の兄の力が高いのも切磋琢磨の賜物では。
 「二度付け」の意味も、まんがではわかりにくかったのですが、源爺の両親は二人とも能力がある(日出と棗は、能力者同士は結婚できないんですって)ということなんですね。
 棗では能力の有無を知ることができるけど、日出にはできない。そのことをお互いに知らないのです。能力の違いを、自分たちの常識にあてはめて考えてしまう。
 こういうところにも細かい伏線が張り巡らされていて、おもしろい。
 映画化するということですよね。先日、ラジオでロケの話題をやっていましたが、「ヒロイン役の深田恭子さん」というフレーズには驚きました……。
 いや、深田恭子が清子なのはともかく、この作品のヒロインって、清子なの? ってところが。
 わたしは速瀬さんが好きなんですが。淡十郎が想いを寄せているだけで、一般的にはノーマークってことですかね。まあ、原作には名前すら出てこなかったし。
 彼女の絵を見て美しさを感じる淡十郎の純粋さが、すてきだと思いました。