草莽隊日記

混濁の世を憂いて一言

性同一障害の原告が最高裁で逆転勝訴

2023年07月11日 | LGBT
 だから言ったではないか。LGBT法が通るとそれでとんでもないことになると。「千丈の堤も蟻の一穴により崩れる」のである。
 経産省に勤務する肉体は男であるトランスジェンダーの職員が、女子トイレの使用を制限されていることを不服として提訴した裁判が今日、最高裁第3小法廷で結審した。今崎幸彦裁判長は国の制限を課す対応を違法とする判決を下した。2審の東京高裁判決で適法としたのを破棄した上での原告側の逆転勝訴であった。
 これはあまりにも衝撃的であった。この職員が性同一障害者で、ホルモン治療歴があり、健康上の理由で性転換手術ができなかったことを最大の理由にはしているが、素直に判決文を読めば、その職員が女子トイレを自由に使用することを認めた内容である。
 ホルモン治療歴と健康の問題を主張すれば、もはや阻止することは困難なのである。男女の壁が低くなったことにより、社会的混乱が生れるのは必至である。医学的な根拠ほどいい加減なものはなく、そこでは本人の意思が最大限に尊重されるからだ。
 いうまでもなく、LGBT法が後押しをしたことは否めない。今後相次いで裁判を起こされれば、司法としても手に余ってしまうからであり、その法の趣旨にそって判断することを強いられたのだろう。
 LGBT法を廃案にしておけば、こうした判決にはならなかったはずだ。岸田首相が早期の法案通過を目指した背景には、今回の最高裁判決を念頭に置いていた可能性も否定できない。
 もはや笑いごとではなくなってきた。女性を守るためには、新たな法律で対抗する以外にない。そして、このような判決に根拠を与えるような決断をした、岸田首相を退陣に追い込まなくてはならない。これ以上の暴走を断じて許してはならないからである。
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不甲斐ない今の自民党であれば高市新党に期待するしかない

2023年07月11日 | 政局
 岸田自民党では、岩盤保守の支持をつなぎとめることができない。頼みの安倍派も、安倍さんに匹敵するような政治家はいない。逆に保守の旗をかなぐり捨てて、リベラル色に染まりつつある。
 もはや自民党は限界である。高市新党しかこの局面を打開することは無理である。次世代の党と違うのは、高市さんという指導者がいるということであり、日本初の女性首相誕生という画期的な出来事が視野に入ってくるからだ。
 候補者が足りなければ、国民民主党とも組むべきだし、日本維新の会の保守派との提携も進めるべきだろう。玉木雄一郎代表は、高市早苗さんを押し上げて、その勢いで後継の座を勝ち取ればいいのである。
 日本の政党史をみれば、目まぐるしく政党名が変り、離合集散の歴史であることが分かる。政治は生き物であり、時として決断を強いられる場合もあるのだ。
 もちろん、高市さんを絶対視しているわけではない。ただ今となっては、彼女を育てることしか、目前に迫った危機に対処できないからである。
 中村菊男は『政治家の群像』で「政治家の評価はその人の上げた業績をもってすべきである」と書いている。その点では高市さんの評価は高い。派閥をつくれなかったという批判があるが、それが功を奏する場合だってある。政策一本やりの方が共感を得やすいからである。
 高市さんに発破をかけるわけではないが、周囲がそうした環境を整えるべきなのである。ベストが自民党内の保守派が主導権を握って高市総裁を誕生させることだが、それができないのであれば、高市さんに決起してもらうしかないのである。
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安倍さん暗殺犯の母親は毎月40万を得ていた

2023年07月10日 | 治安
 安倍さんへのテロを正当化する根拠として指摘されているのが、旧統一教会の件である。テロリストの母親が莫大な献金したことで、家庭は崩壊した。このためテロリストは旧統一教会の「宣伝塔」であった安倍元首相を殺害したのであり、同情の余地があるという見方である。
 しかし、ジャーナリストの加藤文宏氏が去る8日に「イタコまがいに山上の真実とやらを語るより、できごとを時系列で並べるほうがよっぽど有意義。山上の母親が破産するのは彼が成人してからだ。5,000万円は返還されている。彼は鈴木エイト氏の読者であった。直前に標的を安倍氏に変更。これくらいしかわかっていないのだ」とツィートした。
 それを受けて、ブログ「川塵録」でも「2002年 山上21歳母親破産。2005年から14年までの10年間(山上24~33歳)で計5000万円が母親らに返金された。つまり、21歳で母親の資産がゼロになった(同時に、債務もゼロになった=マイナスの資産もなくなった)。しかし、その後、24歳から33歳まで、母親の手元に、毎年500万円が入ってきた。ってことは、単純計算で、月額40万円。何もしないでも、毎月40万円が母親の懐に入っていた。うーん、これは結構デカい。山上(24~33歳)の人生を支えるのに十分な資金。そうであるのに、42歳になって、『母親を破産させた家庭連合が悪い』と考えて、その家庭連合(の関連団体)を支援した(と思い込んだ)元首相を暗殺…逆恨みというか妄想というか、むしろ家庭連合に感謝してもいいんでは、って思っちゃうほど」とコメントした。
 昨日あたりのNHKを始めとする地上波のテレビは、鈴木エイト氏や、元弁護士のテロリストの伯父の発言を鵜呑みにして、安倍元首相と旧統一教会が抜き差しならぬ関係であったかのような報道をしている。 
 安倍さんを殺害したテロリストの思いをなぞるのではなく、犯行時までのを時系列を再確認すれば、旧統一教会の恨みということではなく、もっと別な動機が浮かび上がってくるのではないだろうか。
 人間の心は単純化することはできないからだ。旧統一教会というよりも、社会全体に対する不満があって、誰でもいいから、有名な人物を狙ったということも考えられる。さらに、テロリストの背後にそそのかす個人や団体が存在した可能性も否定できない。注目すべきは、裁判の中で、それがどこまで究明されるかなのである。
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岸田首相は安倍政治の継承者にはあらず

2023年07月09日 | 政局

 岸田首相が安倍さんの遺志を継いでいると思っている人は、岩盤保守では皆無ではないだろうか。LGBT法案をゴリ押しし、米国との核の共有について議論することも拒否し、経済政策では、まさしく財務省の言いなりの緊縮派である。
 そんな人間が安倍さんの政策を継承しているわけがない。一周忌にあたる昨日、岸田首相は「安倍氏のご遺志に報いるために、先送りのできない課題で答えを出さなければならないとの思いで職務に努めてきた」と語ったが、その言葉に空々しさを感じたのは、私だけではないだろう。
 さらに安倍派のなかにも、安倍さんの思いに反して、LGBT法案に加担したり、岩盤保守を「ネトウヨ」呼ばわりするの者まで出てくる始末だ。タガが外れたおとで、自分のことしか考えられないのである。
 これでは岩盤保守がそっぽを向いても仕方がない。何度でも言うが、自民党内の保守派が反転攻勢に打って出るには、安倍派が一丸となって高市早苗さんを総理総裁に担ぎ、その勢いで自民党をリベラル派から奪還することなのである。
 安倍派の幹部の頭の中にあるのは、自分が総理総裁になることであって、高市さんを担ぐ気など微塵もないのである。それよりは岸田首相に尻尾を振った方がいいと考えているのだろう。
 彼らの中には危機意識が欠けているのではないか。そのときにどのように身を処するかについて考えて置くと同時に、今何を為すべきかを政治は語らなければならないのである。
 岸田首相ばかりでなく、安倍派の大半も危機が迫ってくることの理解が乏しい。米国の兵器を買うことで平和が維持されると勘違いしている。国を守る気概と、一致団結する精神が日本国民になければ、とんでもない目に遭うことになるのを、露ほども理解していないのである。
 今は亡き安倍さんは、現在の日本の姿をみて悲憤慷慨しているに違いない。岸田首相に日本丸の舵取りを続けさせておくべきではなく、一刻も早く退陣に追い込むべきなのである。 
 

 

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安倍さんの死を乗り越えて政治的統一体としての国家を

2023年07月08日 | 祖国日本を救う運動
 私たちは安倍元首相を乗り越えていかなくてはならない。それほどまでに危機は切迫しているからだ。
 すぐにでも現行憲法で否定されている「交戦権」を奪還しなくてはならない。そうすることで政治的統一体としての国家を、自分たちの手に取り戻さなくてはならない。戦後の日本が失ってしまった政治的な自由と独立を守る能力を回復することが急務なのである。
 カール・シュミットが言うように、自ら敵を決断することができなければ、その決定権は米国に委ねることになってしまうからである。しかも、その米国がもはや頼りないのである。
 安倍さんは現行憲法に「自衛隊」という名称を書き入れることで、憲法違反という見方を否定しようとした。しかし、それでは心もとないのである。国家の根本である「交戦権」が認められないのでは、自衛隊は絵に描いた餅でしかない。
 現在の日本が直面しているのは、日本に敵対し、分断しようとする国内外の勢力である。我が国の権力を彼らの手に譲り渡すことはできない。もしそうなれば、我が国は絶望のどん底に突き落とされることになるからだ。
 しかも、私たちを敵視する勢力というのは、正戦を主張して攻撃してくるのである。日本を徹底的に悪の権化に仕立て上げ、何をしても許されるとの考え方に立脚しているのだ。
 米国による広島、長崎への原爆投下は、正義の戦いというプロパガンダがなければ、実行に移すことができなかった。それと同じことが、中国によって行われる可能性が高いのである。
 昨日の香港、今日の台湾、そして明日の日本なのである。米国は徐々に東アジアから手を引こうとしている。日本が中国の属国となるか、さもなければ自立した道を選択するかの岐路に立たされている。そのうちの後者を選ぶとすれば、「交戦権」の問題は避けては通れないのである。
 安倍さんは日本を取り戻そうとしたが、政治的なリアリズムもあって妥協を強いられた。私たちはその先を目指すべきなのである。
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岸田首相は宏池会の正統な後継者にはあらず

2023年07月07日 | 歴史
 宏池会を立ち上げたのは池田勇人であり、二代目は前尾繁三郎であった。三代目の大平正芳のときに、田中角栄との盟友関係もあって、共産中国に急接近したのである。
 宏池会の名前を付けたのは、右翼の論客であった安岡正篤である。沢木耕太郎が『危機の宰相』で書いているように、池田も愛国者であり、敗戦を潔しとしない熱血漢でもあった。
 宏池会をハト派と見るのは、あまりにも短絡的である。今の岸田文雄首相は、チャイナスクールの外交官出身の加藤紘一に近いように思えてならない。
 僕は伊東正義と八田貞義の伝記を執筆している。いずれも会津の政治家で宏池会に属した。後に八田は中曽根派に移ったが、それは宏池会内部の権力闘争で、前尾派が大平派に敗れて、力関係が逆転したために、居場所がなくなったからであった。
 しかし、私からすれば、保守派政治家としての矜持があったのは、大平ではなく前尾であった。前尾は明確な国家観を持っていた。
 前尾は「人間は父祖からの文化を取得し、これを発展させ、さらに、これを子孫に伝承する使命をもち、自ら文化を創造し、文化に寄与することによって生きがいを感ずるときである。そういう意味でわれわれ人間の目標は、福祉国家もさることながら、文化国家にあるといいたい。豊かな社会など思いも及ばなかった終戦当時のわれわれは、せめて道義高く、香ある文化国家に希望を託していたのである」(『續々政治家のつれづれ草』)と述べていたからだ。
 岸田首相は宏池会の正統な後継者ではなく、大平と加藤の流れを引き継いでいるだけなのである。前尾の思想を理解していたならば、LGBT法案に前のめりになることなど、絶対にありえないからである。
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岸田首相に怒りの矛先が向いているのは日本人のプライドを傷つけたからだ

2023年07月06日 | 思想家
 岸田内閣を岩盤保守がこき下ろすのは、日本人としてのプライドが傷つけられたからである。バイデンやエマニュエル大使の言うことに対して、唯々諾々と従う姿に怒りを覚えたのである。
 このことが日本の政治に与える影響は計り知れないものがある。E・エリック・ホッファーは、人間にとってプライドがどれだけ重要であるかを問題にした。
 ホッファーは「人民にプライドを与えれば、かれらは、パンと水だけで生き、かれらの搾取者をたたえ、かれらのために生命さえも投げ出すだろう」(『情熱的な精神状態』永井陽之助訳)と書いている。
 戦後の日本の政治は、米国との同盟関係を軸にして行われてきた。敗戦という精神的なダメージを押し隠すように、民主化という言葉によって、それを正当化してきたのである。
 それでも経済復興を成し遂げ、欧米に匹敵する国家として、それなりの国際的な役割を担いつつあった。しかし、今回の米国の傲慢な態度と、その走狗と化した岸田内閣の体たらくによって、日本人のナショナリズムに火が付いてしまったのである。
 岸田首相はまだ、その恐ろしさを知らないようだが、ホッファーは「プライドは、もともと自分の一部でないものから、引き出される価値の感覚である。空想された自己、指導者、聖なる大義、集合体や所有物に、自らを同一化するとき、われわれはプライドを感じる。だから、プライドには、恐怖と不寛容がある。それは感じやすく、非妥協的である」(『同』)とも指摘している。
 人間はプライドなしには生きられないのであり、岸田首相に対して、岩盤保守が怒り心頭に発するのは、予想されたことなのである。
 ことここにいたっても、岸田首相はなぜ批判されているか分からないはずだ。これからはダッチロール状態になるだけである。一刻も早く政権の座をおりるべきだろう。このままでは自民党そのものが消滅しかねないからである。
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岸田首相では危機の時代に対応できない

2023年07月05日 | 安全保障
 岸田田首相という政治家は、かつて丸山眞男が口にした「戦後民主主義の虚妄」に賭けて、あろうことか自民党を壊し、その勢いで日本全体を壊そうとしているのである。
 安倍さんが外務大臣時代の岸田首相に、国際関係の厳しさを説いても、まったく理解できなかった人間なのである。しかし、それは岸田首相だけの問題ではないのである。
 保守派の論客であった、あの佐藤誠三郎ですら「日本と中国・ソ連・北朝鮮等との関係の改善は、東アジアの緊張緩和をさらに促進し」(『死の跳躍』を超えてー西洋の衝撃と日本-)と書いた時代があったからだ。
 田中角栄と周恩来の間で実現した昭和47年の日中国交正常化に異を唱えたのは、言論界では唯一福田恆存、政治家では石原慎太郎、中川一郎らが所属した自民党タカ派の青嵐会くらいであった。
 大半の国民が日中友好ムードに踊らされて、その先に待ち構えている危機など、予想だにできなかったのである。それよりも、中ソ対立の方が深刻のように思えて、日本は対岸の火事として勝手なことを言うことができたのである。
 しかし、それから50年以上が経過した今となっては、逆にブレジンスキーが『ひよわな花日本』で、日本が軍事大国化へ見かわせる圧力として「対外的不信感」「アメリカの核の傘に対する信頼感の低下」を指摘していたが、中国による軍事的挑発や、北朝鮮の核ミサイルの開発などで東アジアは緊迫し、アメリカの東アジアでのプレゼンスも大幅に低下している。
 だからこそ、エマニュエル・トッドが日本が核武装すべきだとアドバイスをし、安倍さんも、アメリカとの核の共有について、話し合いを始めるべきだ、との見解を示したのである。
 自民党が目の前の危機と真摯に向き合わなければ、日本国民の命を守ることができないのである。とんでもない事態になっているのに、間抜けなことしかできない岸田首相を、一体いつまで担ぐのだろうか。岩盤保守層を失ってもよいと思っているのだろうか。
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任せられる政党がないから自民党という時代は終わった

2023年07月04日 | 政局
 岩盤保守の自民党離れが深刻である。時代遅れの立憲民主党や共産党、社民党、れいわなどの左翼政党は問題外であり、自民党だけは「腐っても鯛」という思い込みがあったのが、今回のLGBT法案のゴリ押しで、見事に裏切られてしまったからだ。
 もっとも警戒せべき者たちが、何と自民党内に巣食っていたのである。安倍さんがテロリストに殺害されてから1年が経とうとしているが、安倍さん亡き後の日本の政治は、最悪の事態を迎えている。
 これまで鳴りを潜めていた党内左派が、チャンス到来とばかり、LGBT法にとどまらず、日韓通貨スワップ再開ということまでやってのけたからだ。
 韓国に保守政権が誕生したことは、日本にとってもプラス材料ではあるが、外交とはあくまでもギブアンドテイクである。日本の国益を最優先させなくてはならない。バイデンが何を言ってこようが、そんな圧力に断じて屈してはならないのである。
 岸田首相の体たらくを日々目の当たりにすると、北岡伸一が「国民にとって、自分の主張を託せる優れた政治家を選ぶことが、政治をコントロールする最も有効な方法である。それゆえに。政党のリーダーの質-政党が有能なリーダーを国民に提供できるかどうかーが決定的に重要なのである。要するに、政党とは、国民を主役とする政治における道具であると私は考えている」(『自民党 政権党の38年』)と書いたのは、まさしく正論なのである。
 北岡も触れているように「かつて自民党は、自民党であるということだけで支持を受けていた。他に任せられる政党がないから、というのが、政党支持の最大の理由であった。リーダーと政策を、ことさら明示する必要はなかった」(『同』)のである。
 しかし、今はそうではない。獅子身中の虫を排除するためにも、保守の旗を高く掲げなければならないのである。当面は少数派であるかも知れないが、多くの国民の思いはそちらに向きつつあるからだ。
 日本の平和が維持されるには、国家として自立せねばならず、国際社会に対しても、応分の責任を果たすことが求められてきている。
 その意味でも岸田首相の首に誰が鈴を付けるかであり、第二第三の岸田首相を誕生させないようにする力が、まだ自民党の保守派国会議員に残っているかどうかなのである。
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日本のインテリのフランス礼賛に水を差したパリの暴動

2023年07月03日 | 思想家

 日本のインテリのフランス礼賛は、あまりにも異常であった。マルクス主義の影響もあって、フランス革命をブルジョア革命と理解して、その物差しで日本の歴史を裁断しようとしたのである。
 だからこそ遠山茂樹などは「自由民権運動は、結局において、知識人という性格をあわせもつ士族と地主の指導する上からの啓蒙運動の域を脱しきれなかった」(『日本近代史Ⅰ』)と断言し、「ブルジョア的発展雄未成熟が、自由・平等・人権。革命という政治意識を政治意識を外来的な物、非日常的なものの止めさせ」(『同』)とまで書いたのである。
 そこまで遠山はフランスを理想化しているが、フランスは戦後長らく植民地を持っていた国家であり、現在の内乱状態というのは、そのツケが回ってきただけなのである。
 そのフランスの物差しで、日本を遅れた国と規定した者たちの古めかしい思想が、未だに日本の言論界を支配しているのである。フランスで起きているとんでもない事態を、ほとんどテレビが報道しないのは、自分たちが言ってきたことと、真逆のことが起きているからだ。
 明治維新というのは、欧米化を推進しただけではなく、「和を以て尊ぶべし」との肇国の精神に立ち返ることであった。国会開設も、議会政治も、我が国独自の歩みをしてきたのである。
 もう一度それを見直すべきではないだろうか。パリのモンマルトルは日本にはない、それを日本の知識人は嘆いていたが、それはあまりにも卑屈な態度なのである。
 植民地政策を長年にわたって続けてきたフランスは、アルジェリアの移民の対応の頭を悩ませることになったのである。安易な移民政策を行えば、そのような結末を迎えるのだ。そうした政策でいいのかどうか、日本は立ち止まって考えるときなのである。

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