1989年にベルリンの壁が崩壊したことで、共産主義は否定されたのである。もはや妖怪が世界を徘徊することはなくなったのである。それなのに今の日本では共産党が存在し、民進党を思いのままに操っている▼もっともラディカルな思想家であった竹内好に「日本共産党」という論文がある。竹内は日本の共産主義者に二種類あることを指摘した。一つは「インテリで、これは自分の観念のなかで共産主義は是か非かと問うた末、是なりと決断して入信した偶像崇拝者」である。もう一つは「大衆で、利益にひかれて生活の便宜のために入党するものである」。インテリは現実を無視しても、自らの思い込みを絶対視する傾向がある。日常の利益に固執する大衆は、あくまでも損得勘定を優先させがちである。竹内は後者について一刀のもとに斬り捨てる。「革命、つまり権力の転移は、日常の利益と相反することであり、生活の次元では達成されないから」である▼もはや共産主義はインテリの心をつかむ代物ではなくなっている。悪行の数々が暴露されてしまったからだ。現世的な利益の面でも、共産党のような体制を否定するようなイデオロギーは、跳ね上がりとしか見られない。それでも日本で共産党が政治的な力を拡大しつつあるのは、民進党がだらしないからである。共産党の支持者は限られている。それ以外の国民からはそっぽを向かれることになるのである。民進党は本当にそれでいいのだろうか。
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