日本のマスコミは自分たちが被害者のような顔をしているが、ジャーナリストとしての使命をどう考えているのだろう▼ノーム・チョムスキーは『メディア・コントロールー正義なき民主主義と国際社会』(鈴木主税訳)において、「民主主義社会」には二つの概念があること示した。一つは「一般の人びとが自分たちの問題を自分たちで考え、その決定にそれなりの影響をおよぼせる手段をもっていて、情報のアクセスが開かれている環境にある社会にあるということで」あり、もう一つは「一般の人びとを彼ら自身の問題に決してかかわらせてはならず、情報のアクセスは一部の人間のあいだだけで厳重に管理しておかなければならない」というものだ▼「一般の人びとを」を無視するような考え方を、チョムスキーは「観客民主主義」とも評した。今の私たちにとって大事なのは、一つ目の概念をどこまで発展させられるかなのである。チョムスキーは「典型的なレーニン主義者」の見方を批判した。「万人のためになる公益は少数のエリート」しか理解できず、大衆を思いのままに操れるという思い上がりがあるからだ▼日本のマスコミは自由な言論が脅かされていると騒ぐよりも、事実によって物事を暴露すればよいのであって、上から目線では誰も付いていかないのである。NHKや朝日新聞がネットで攻撃の対象になっているのは、特権意識が鼻につくからである。安っぽいプロパガンダではなく、事実に迫る報道をすべきなのである。
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