世界は相変わらず暴力の海であり、そこに乗り出すには、それ相応の覚悟がいる。アルジェリアでの今回の事件をめぐって、犠牲者が出たらば政府の責任だ、と声を張り上げる連中がいるが、お門違いもはなはだしい。先進国である欧米同様に、日本人だってターゲットになるのだ。そのリスクを承知で、海外に雄飛するしかないのだ。いうまでもなく、国家として日本もインテリジェンスを強化し、諜報戦を勝ち抜かなくてはならない。明治政府はロシアを弱体化するために、革命側に資金提供をした。実際に、その任にあたった明石元二郎大佐は、膨大な金を使ったとされ、一説によると、その額は現在の何十億円にも匹敵するといわれる。ロシアの侵略の脅威に対して、明治政府はそこまでやったのだ。明石の謀略工作が功を奏して、ロシアは30個師団の兵力を、極東に裂けなかったのである。明石は陸軍大学を出て、ドイツに留学。日露戦争時には、ストックホルムで諜報活動に従事した。何人もの明石大佐がいなくては、日本は危機の時代は乗り切れないのである。インテリジェンスとは、敵ともコンタクトが取れるようにしておき、交渉できる余地をつくっておくのが仕事だ。スパイ映画もどきの破壊工作よりも、そっちの方が優先されるのだ。ネットワークと情報戦なのである。安全保障上の観点からも、インテリジェンスの強化に、すぐにでも安倍政権は取り組むべきだろう。長い目で見れば、それが日本を救うことになるのだから。
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