草莽隊日記

混濁の世を憂いて一言

正直者に寛大であった山本夏彦のコラム!

2013年01月17日 | 思想家

 山本夏彦の本はかたっぱしから読んでいると思ったらば、そうでもないのに、最近になって気が付いた。平成8年発刊の『世は〆切』に掲載されているを見てみると、それまでに何と30冊もあった。平成14年に亡くなったが、驚くなかれ、それから13冊も世に出しているのである。ほとんどは揃っているはずだが、すぐに本棚から出せるかというと、そう簡単ではない。山本の文章の冴えは、他のコラムニストととは、一味も二味も違っていた。とくに、人間を見る目は、苦労人であっただけに、愛情が深かった。『世は〆切』に収録されているのに、「正直」という一文があり、三木清について、正反対の見方があるのを紹介している。山本のすごいのは、昭和25年に今日出海が「新潮」に発表した「三木清における人間の研究」が真実だとしても、それだけで思想家としての価値が決まるわけではない、と言い切ったことだ。三木は、戦争中に軍部を痛罵しながらも、興奮がさめると、「内緒にしてくれ」と今に懇願したという。性的なことについても暴かれ、一流の思想家であった三木の評判は、死後5年目にして、ガタ落ちになった。しかし、生身の人間を重んじる山本は、逆に、三木の正直さを評価した。人間臭い思想家として、共感を禁じ得なかったのだろう。いつの世であっても、下ネタを話題にして人を裁きたかる傾向がある。世に媚びることがなかった山本は、正直な人間に対しては、どこまでも寛大であったのだ。


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国際テロ組織とも組みかねないのが中共や北朝鮮だ!

2013年01月17日 | 安全保障

 アルジェリアで日本人3人を含めた約40人が、アルカイダ系の武装組織に人質となっている事件は、マリ北部でのフランス軍の軍事作戦の停止を求めているようだ。今回はそうであっても、これから注意すべきは、国際テロ組織が、中共や北朝鮮と組んで、在留邦人をターゲットにする事態が予想されることだ。無防備な日本人を狙うのは容易であり、それで日本人の戦意を喪失させれば、一戦交えなくても、日本を追い詰められるからだ。尖閣諸島に軍備を増強すると同時に、在留邦人の生命を守ることも、日本はなおざりにすべきではない。永井陽之助によると、カール・シュミットは『パルチザンの理論』のなかで、敵概念を三つに分けている。一つは在来型である。絶対君主間の戦争で、騎士道の決闘のような規則があった。二つは現実の敵で、これは生々しい憎悪のイメージをともなっており、ナポレオンの時代からベトナム戦争までが含まれる。三つは「絶対の敵」概念である。「公的な敵」概念に、「正邪善悪の観念が侵入し始める」こととなった。現代の戦争が残酷になった背景には、それがあるのだという。正義を主張するようになると、全てが許されてしまうのである。アルカイダに資金援助して、テロを実行させることだって、一つの選択肢になる。相手の出方次第では、正規戦というよりも、見えない敵との戦いになる。日本に迫りつつある危機は、そこまで深刻なのである。


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