なぜ日本のサヨクは駄目なのだろうか。黒ヘル全共闘の末端にいた私は、中核と革マルとの内ゲバを何度も目撃した。党派のイデオロギーを自分自身が信じていないために、それがかつての同志に投影され、「裏切り者」と鉄パイプを振り下ろすことになったのではないか。情け容赦なく「殲滅する」というのは、正気の沙汰ではないからだ。サヨクが巣食った民主党の分裂劇も、身近な存在に向けられた近親憎悪であり、これまでの縮小再生産でしかない。罵倒し合うのはそのせいだろう。太宰治に「徒党について」という一文がある。吉本隆明が『擬制の終焉』で引用していたので、そこで私は初めて知った。「『徒党』というものは、はたから見ると、所謂『友情』によってつながり、一把からげ、と言っては悪いが、応援団の拍手のごとく、まことに小気味よく歩調だか口調だかそろっているようだが、じつは、最も憎悪しているものは、その『徒党』の中に居る人間である。かえって、内心、頼りにしている人間は、自分の『徒党』の敵手の中に居るものである」と喝破したのだった。あえて他者との差異を強調することで、イデオロギーとして純化路線に徹するのは、本当は自分に自信がないからだろう。サヨクというのは、日本の歴史や伝統から自由であろうとして、自らの拠り所を見失ってしまった人間たちである。そんな人間同士が争うわけだから、人殺しを正当化したとしても、当然の成り行きなのである。
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