安全問題研究会~鉄道を中心とした公共交通を通じて社会を考える~

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【金曜恒例】反原発北海道庁前行動(通算291回目)でのスピーチ/日本の原発が必ず終わらざるを得ない2つの理由(2)核のゴミ問題

2018-05-25 21:56:48 | 原発問題/一般
 みなさんこんにちは。

 今日は、先週に引き続き、「日本の原発が必ず終わらざるを得ない2つの理由」についてお話しします。今日は後編、核のゴミ問題です。

 95年のナトリウム漏れ事故以降、ただの一度も動くことなく、ただの1ワットも発電できず、この間、1兆円を超える血税をドブに捨て続けてきた高速増殖炉「もんじゅ」の廃炉が決まって1年あまりが経ちました。「もんじゅ」は青森県六ヶ所村の使用済み核燃料再処理施設と並び、国策である「核燃料サイクル」の中核をなす施設です。その一角である「もんじゅ」が廃炉に追い込まれたことで、経産省の全面的なバックアップを受ける安倍政権がどんなに頑張ったとしても、日本の原発推進政策は破たんに向けての最終局面に入ったといえます。

 「もんじゅ」が20年間、1兆円の血税を捨て1ワットも発電できなくても、1万件を超す点検漏れが発覚しても「聖域」として存続できたのは、プルトニウムを次々と再生産できるこの施設が核開発と結びついていたからに他なりません。核兵器製造能力を持つためには、ウランやプルトニウムを「取り出す技術」「濃縮・加工する技術」を持たなければなりません。取り出したばかりの天然ウランの99.7%は核分裂しないウラン238で、核分裂を起こすウラン235はたったの0.3%です。これを100%、ウラン235だけの塊にすれば核兵器の原料になり、5%程度に濃縮すれば原発の燃料になる。プルトニウムを拡大再生産できる「もんじゅ」、使用済み核燃料からプルトニウムを抽出する六ヶ所村の再処理工場は、核兵器開発能力を維持するため必要不可欠な施設であり、日本政府にはこの野望があるために、「もんじゅ」や再処理施設の事業実施がいかに困難でも、失敗続きで先の見通しが持てなくても、決して撤退ができなかったというのが、この間の事情なのです。

 「もんじゅ」の廃炉が決まった今、次に起きるのは再処理施設への波及です。この施設は、当初の計画通りなら1997年に稼働開始する予定でした。その稼働開始はすでに24回も延期されています。こちらも「もんじゅ」同様、どこまで血税をドブに捨てれば実現するかは見通しがありません。核燃料サイクルにとって車の両輪である「もんじゅ」が破たんし、朝鮮半島情勢の好転によって核武装の根拠も失われつつある今、再処理施設もそう遠くない将来の検証が避けられないでしょう。

 再処理施設の破たんが公式に認定された場合、その影響は「もんじゅ」の比ではありません。もともと再処理施設は研究用であり、ここを高レベル放射性廃棄物の最終処分場にしないことは国と青森県との約束になっています(参考資料:高レベル放射性廃棄物の最終的な処分について(平成6年11月19日付け6原第148号)。

 そればかりではありません。『再処理事業の確実な実施が著しく困難となった場合には、青森県、六ケ所村及び日本原燃株式会社が協議のうえ、日本原燃株式会社は、使用済燃料の施設外への搬出を含め、速やかに必要かつ適切な措置を講ずるものとする』――1998年7月、こんな覚書が青森県、六ヶ所村、日本原燃(施設の運営主体)の間で結ばれています。再処理事業が終了したとき、再処理施設から使用済み核燃料を搬出するというのは、この3者の間で取り決められた約束であり、このことは「青森県の原子力行政」というパンフレットにも、きちんと書いてあります。青森県原子力立地対策課に言えばこのパンフレットは送ってもらえます。

 「搬出」といっても、そこは人が近づいただけで即死してしまうような高レベル放射性廃棄物です。核燃料がもともと存在していた各地の原発以外に「搬出先」などあるわけがありません。しかも、各原発の使用済み燃料プールはすでに使用済み核燃料で一杯になりつつあります。もしここに六ヶ所村から使用済み核燃料が「返還」されてきたら、使用済み燃料の貯蔵場所がなくなるため、日本のほとんどの原発はその瞬間、運転停止に追い込まれてしまうのです。仮にそうならなかったとしても、今のペースで原発の再稼働が進み、新たな使用済み核燃料が再処理工場に運び込まれたら、再処理工場はパンクしてしまう。

 再処理工場も各原発の使用済み燃料プールもパンクして、各原発では原子炉から使用済み燃料が取り出せなくなり、やはり原発は止まってしまう。運転したくても物理的に不可能になる。そうなるまでにあと6~10年しかないと推定する学者さえいます。それも、原発反対派ではなく推進派の学者がそう予測しているんです。安倍政権がどんなに原発再稼働を強行しても、日本の原発がまともに稼働していられるのは、あと数年限りと見ておくべきでしょう。安倍政権の次か、その次の政権は、否応なくこの問題に直面することになります。

 今年1月に亡くなった「原子力市民委員会」座長で反原発派の学者、吉岡斉(ひとし)さんは、「政府が進めている高レベル放射性廃棄物処分場の受け入れ地を絶対に決めさせてはならない」と話していました。この言い方は、聞き方によっては無責任に聞こえるかもしれません。しかし、核のゴミの処分場はもちろん、処分方法さえ決めないまま「トイレのないマンション」といわれる原発を推進してきた側の誰に吉岡さんを批判する資格があるでしょうか。このまま処分場誘致に名乗りを上げる地域が現れなければ、間違いなく10年後にはこのシナリオ通りになります。

 ですからみなさん、安倍政権が次々と再稼働を進める中にあっても希望を捨てないでください。福島の状況は依然として厳しいですが、少なくとも私、そして皆さんの命があるうちに、再びこの問題がきっかけで日本の全原発が止まる日が必ず訪れるでしょう。吉岡さんの墓前に全原発停止を報告できる日が1日も早く来るよう、私は今後も核のゴミの処分場を決めさせないための闘いに全力を注ぐつもりです。皆さんも力を貸してください。

 今日は以上で終わります。ありがとうございました。

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