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【金曜恒例】反原発北海道庁前行動(通算289回目)でのスピーチ/福島事故刑事裁判に見る「原発事故と科学者」

2018-05-12 13:24:17 | 原発問題/一般
 みなさんこんにちは。

 今日は、5月8~9日に連続で行われた、東京地裁での勝俣恒久元東電会長らの刑事裁判について述べます。今回の裁判では、相次いで今後の鍵を握りそうな重要な人物が証人として出廷しました。8日の法廷で証言した気象庁職員の前田憲二さんは、2002年から04年まで文部科学省に出向し、地震調査研究推進本部(地震本部)の事務局で地震調査管理官として長期評価をとりまとめた人物です。その後、気象庁気象研究所地震津波研究部長などを歴任、04年から17年までは地震本部で長期評価部会の委員も務めていました。地震の確率に関する研究で京大の博士号も持つ「気象庁の地震のプロ」というべき人です。

 なぜ博士号が東大でなく京大なのかと思う人もいるかもしれませんが、東日本大震災が起きるまで、戦後最も大きな被害を出したのは阪神大震災でした。そのような事情もあって、地震の研究が全国で最も進んでいるのは関西だと言われていたんです。やや古いですが、私が2003年10月に参加した京大での地震学会セミナーでは、地震学者でもある京大の尾池和夫総長が「地震予知が国民の悲願であるならば、今は無理でもその実現に向けて前進するのが地震学の役目だ」と言っていたことを昨日のことのように覚えています。

 前田さんは、地震がいつでも起こり得るものなのに、その危険性が十分市民に理解されていないという問題を解決するために地震本部が作られ長期評価がまとめられたと述べました。いわば地震本部の誕生から現在までを裏方から担った地震本部の生みの親、育ての親とでも言うべき人物です。その地震本部が2002年にまとめた長期評価で「三陸沖北部から房総沖の海溝寄りの領域のどこでもマグニチュード8.2前後の地震が発生する可能性がある」と指摘していたこと、その評価が委員の総意であり、表だった反対意見がなかったと証言したことはきわめて重要です。東電が2008年に、いったんはこの長期評価を取り入れようとしながら、安全対策を不可解な理由で中止した。この長期評価を信頼性が低いと結論づけ、カネのかかる安全対策の「必要がない」とのお墨付きを出してもらうために「業界団体」であり身内である土木学会への調査依頼で時間稼ぎをする。その東電のやり方を根底から覆す証言だからです。長期評価の「信頼性が低い」と書くよう、内閣府から圧力をかけられたとの重要な証言もしました。

 9日の法廷では、元原子力規制委員会委員長代理だった島崎邦彦さんが出廷、「長期評価をきちんと取り入れ安全対策が行われていれば事故は防げ、もっと多くの命を救うことができた」と証言しました。これも前田さんの証言に劣らず重要です。

 私は2人の姿勢に、科学者の良心を見た思いがしました。同時に、科学者をひとまとめに「御用学者」と批判してきた自分を少し反省しました。真実と社会的立場の間で揺れ、それでも真実を貫こうとした多くの科学者がいたこと、彼らが原子力ムラという狭い世界の利益のために良心と誇りを踏みにじられ、悔し涙を流してきたことを初めて知りました。

 『科学者が科学者たりうるのは、本来社会がその時代時代で科学という営みに託した期待に応えようとする努力によってであろう。社会と科学者の間には本来このような暗黙の契約関係が成り立っているとみるべきだ。科学者たちは、まず、市民の不安を共有するところから始めるべきだ』。高木仁三郎はこのような言葉を私たちに遺しています。ガラス細工のような危ういバランスの中で、それでも真実を貫くための努力を続ける科学者を支えることも、私たち市民の仕事だと考えを改めさせられる重要な証言でした。

 さて、この刑事裁判が行われている最中に大飯原発が再稼働するなど、私たちの思いに逆行する安倍政権の姿勢はとどまるところを知りません。しかし悲観することはありません。経産省に支配された「安倍官邸」がどんなに再稼働を続けようとも、日本の原発には終わらざるを得ない明確な理由があります。原発事故の刑事裁判は来週、再来週は休みですので、もし来週以降もここに来られるようであれば、「日本の原発が必ず終わらざるを得ない2つの理由」を2回シリーズでお話ししたいと思います。キーワードは「経済性」と「核のゴミ」です。楽しみにしていてください。今日はここまでです。ありがとうございました。

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