生かされて

乳癌闘病記、エッセイ、詩、童話、小説を通して生かされている喜びを綴っていきます。 by土筆文香(つくしふみか)

球根のうた

2006-03-25 11:43:17 | 
1月16日に植えたチューリップの球根が芽を出しました。(「ありがとう わたしのいのち」の記事参照)
時期をとうに過ぎてから植えたので、芽が出ないかと思っていました。植えて数日後、大雪がふりました。土の中で球根は凍ってしまったかもしれない。死んでしまったかもしれないと思っていました。
2週間ほど前、プランターに小さな芽がいくつか顔を出しているのをみつけ大喜びしました。少しずつ成長してきています。花が咲く日が楽しみです。

遅く植えたチューリップの球根でも、ちゃんと芽を出しました。球根の気持ちになって書いてみました。
  
        球根のうた

ここは、真っ暗な土の中
春だよ
春がきたよと
だんご虫が叫びながらごそごそと 
のぼっていった
土の上は明るい世界だという
ぼくも明るい世界をみてみたい

一匹のだんご虫がもどってきていった
「きみはなぜ芽を出さないの?
もうあったかくなったのに
ほかのプランターにはムスカリが花を咲かせているよ」

ぼくだって芽を出したい
どうしてぼくは芽が出ないんだろう……
誰にも知られないまま
土の中で腐ってしまうのかな

ぼくはどうしてここにいるんだろう
どうして生まれてきたんだろう
生まれてこなければよかったのに
苦しいよう
苦しいよう
このまま消えてなくなってしまいたい……

どれくらいたったんだろう
気が遠くなるほどの長い時間、真っ暗な中にいたけれど
いま、目覚めたら、新しい世界がみえた
何て明るいのだろう
まぶしくてびっくりした

「まあ。やっと、芽を出したのね、待っていたのよ」
女の人が、やさしいまなざしをぼくに向けた
「土の中にぼくがいること知ってたの?」
「もちろんよ。だって、わたしが植えたんだもの」
「あなたが植えてくれたの?」
「そうよ。よかった、毎日水やりしたかいがあったわ」
「ぼくのために水をかけてくれてたの?」
「そうよ。遅く植えたから、芽が出るか心配で、掘り起こしてみたいのをがまんしていたの。
ちゃんと根が伸びていたのね」
「ぼく、知らなかった。根が伸びていたこと……。ありがとう」
「成長させてくださったのは、わたしじゃないわ、神さまよ。
春を造って下さったのも、あなたのことを造って下さったのも神さまよ」
「そうなんだ……。神さまありがとう!」


聖書のことば
「わたしが植えてアポロが水を注ぎました。しかし、成長させたのは神です(Ⅰコリント人への手紙3-6)」


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