腹立たしい事件をもう1つ
障害者「奴隷生活」 札幌市、対応に遅れ
■06年秋に面談調査
「無報酬のまま奴隷のように食堂で働かされた」として知的障害がある4人が札幌地裁に提訴した問題で、札幌市が06年10月の時点でこの人たちを面談し、すでに身なりの異様さに気づいていたことが13日わかった。しかし、その後も対応は遅々として進まず、実際に経営者を呼んで給与未払いの実態が把握できたのは8カ月後の07年6月。すでに弁護士が4人を保護しようとしていた時だった。
◇
札幌市によると、市の知的障害者更生相談所が06年10月、障害者の手帳の更新にあたって面談を実施。その中で、今回原告になった人たちに会った。古びた服を着て、つめの汚れ方も尋常ではなく「給料をもらっていないのでは」「生活環境はきちんと保たれているのか」との疑念を抱いたという。
同相談所はその後、市役所本庁の障がい福祉課や食堂がある地元の白石区役所に連絡をとったというが、文書で報告を上げたのは3カ月後の07年1月。さらに、市障がい福祉課などが実際に経営者の話が聞けたのは6月4日だったという。
経営者は「服などの小遣い程度の実費を除き、給料は払っていなかった」「4人に支払われた障害基礎年金は店の運営資金に流用していた」と不正を認めたという。
ここに至って事態の深刻さに気付いた市側は翌日、年金が振り込まれていた通帳を差し押さえた。その後、生活場所の移動についても検討を始めようとしたというが、それに先んじて同月22日、今回の訴訟の代理人にもなった西村武彦弁護士(札幌弁護士会)が知的障害者施設に4人を保護した。その後、ほどなく食堂は廃業し、経営者らは行方がわからなくなっているという。
市障がい福祉課は「就労支援に力を入れていかなければならない時にこうした問題が起きた。もう少し踏み込んで実態調査をすべきだった。反省すべきこともあった」としている。
これに対し、西村弁護士は「札幌市には何度も問題を指摘したが、全く動こうとしなかった。こうした行政の対応を何とかしない限り、知的障害者の労働搾取や虐待の問題をなくすことはできない」と批判している。
保護された4人は現在は健康状態が良くなり、女性たちは化粧を楽しんで笑顔を見せるようになったという。
今回の訴訟で4人は、食堂を経営していた会社「商事洋光」(札幌市白石区)のほか、本人確認をすることなく障害基礎年金の振り込み口座の開設を認めたとして北門信用金庫(滝川市)を、劣悪な環境を見逃したとして障害者支援団体「札幌市知的障害者職親会」をそれぞれ訴えている。(2008年02月14日)
障害者への偏見・差別意識が、こうした事件を助長するのでしょうか
なかなか自分の意思や考えを主張できない知的障害の方々の「権利擁護」をしっかりと位置づけ、取組んでこそ、差別・偏見のない社会になるような気がしています。特に行政は、より毅然と対応して頂きたいものです。皆がノーマライゼーション社会の実現のために頑張る。その実践の成果を発表・公表しながら積み上げていくしかないように考えます。
障害者「奴隷生活」 札幌市、対応に遅れ
■06年秋に面談調査
「無報酬のまま奴隷のように食堂で働かされた」として知的障害がある4人が札幌地裁に提訴した問題で、札幌市が06年10月の時点でこの人たちを面談し、すでに身なりの異様さに気づいていたことが13日わかった。しかし、その後も対応は遅々として進まず、実際に経営者を呼んで給与未払いの実態が把握できたのは8カ月後の07年6月。すでに弁護士が4人を保護しようとしていた時だった。
◇
札幌市によると、市の知的障害者更生相談所が06年10月、障害者の手帳の更新にあたって面談を実施。その中で、今回原告になった人たちに会った。古びた服を着て、つめの汚れ方も尋常ではなく「給料をもらっていないのでは」「生活環境はきちんと保たれているのか」との疑念を抱いたという。
同相談所はその後、市役所本庁の障がい福祉課や食堂がある地元の白石区役所に連絡をとったというが、文書で報告を上げたのは3カ月後の07年1月。さらに、市障がい福祉課などが実際に経営者の話が聞けたのは6月4日だったという。
経営者は「服などの小遣い程度の実費を除き、給料は払っていなかった」「4人に支払われた障害基礎年金は店の運営資金に流用していた」と不正を認めたという。
ここに至って事態の深刻さに気付いた市側は翌日、年金が振り込まれていた通帳を差し押さえた。その後、生活場所の移動についても検討を始めようとしたというが、それに先んじて同月22日、今回の訴訟の代理人にもなった西村武彦弁護士(札幌弁護士会)が知的障害者施設に4人を保護した。その後、ほどなく食堂は廃業し、経営者らは行方がわからなくなっているという。
市障がい福祉課は「就労支援に力を入れていかなければならない時にこうした問題が起きた。もう少し踏み込んで実態調査をすべきだった。反省すべきこともあった」としている。
これに対し、西村弁護士は「札幌市には何度も問題を指摘したが、全く動こうとしなかった。こうした行政の対応を何とかしない限り、知的障害者の労働搾取や虐待の問題をなくすことはできない」と批判している。
保護された4人は現在は健康状態が良くなり、女性たちは化粧を楽しんで笑顔を見せるようになったという。
今回の訴訟で4人は、食堂を経営していた会社「商事洋光」(札幌市白石区)のほか、本人確認をすることなく障害基礎年金の振り込み口座の開設を認めたとして北門信用金庫(滝川市)を、劣悪な環境を見逃したとして障害者支援団体「札幌市知的障害者職親会」をそれぞれ訴えている。(2008年02月14日)
障害者への偏見・差別意識が、こうした事件を助長するのでしょうか
なかなか自分の意思や考えを主張できない知的障害の方々の「権利擁護」をしっかりと位置づけ、取組んでこそ、差別・偏見のない社会になるような気がしています。特に行政は、より毅然と対応して頂きたいものです。皆がノーマライゼーション社会の実現のために頑張る。その実践の成果を発表・公表しながら積み上げていくしかないように考えます。