いーなごや極楽日記

極楽(名古屋市名東区)に住みながら、当分悟りの開けそうにない一家の毎日を綴ります。
専門である病理学の啓蒙活動も。

日経サイエンス 破局噴火特集

2015年03月10日 | 極楽日記(読書、各種鑑賞)

 以前、同誌でスーバーボルケーノ特集というのがあったはずですが、今度は破局噴火という造語が使われています。最近は川内原発再稼動との関連で注目されているようですが、実際は破局噴火に分類される巨大噴火の場合、それだけで人類の生存が脅かされるほどの破壊や気候変動が起こりうるため、相対的に原発の問題は小さくなります。破局噴火と原発事故は、その規模も確率もまるで異なる問題なので、一緒くたにせず別の危険として対応するべきです。

 火山列島と言われる日本ですが、破局噴火レベルの噴火は北海道と九州に集中しています。こうした局在の理由は以下の通り。噴火が起き易いスポットには寿命があります。プレートテクトニクス説により地殻が大規模な移動と生成、潜り込み(消失)を継続していることが説明されています。日本列島付近では地殻が潜り込むことで、この地殻成分がマントル層から熱エネルギーを受けて溶解し、マグマの泡(と言っても火山地帯の熱源になるほど大きい)となって上昇して、表面にある地殻の下から岩盤を溶かして削り、薄くなった地殻の直下に位置している間に噴火活動が起きるみたいです。このマグマの泡が冷えてエネルギーを失えば、活動性も低下します。

 日本列島における破局噴火の確率は1万年に1回。この数千年は起きてないので、かなりエネルギーが溜まっていると予想されています。恐らく今度も北海道か九州なのでしょうが、その規模や予兆については不明。規模によっては九州どころか関西まで壊滅的なダメージを受けます。ここまで大きな災害だと、人類史上にないような広域非難が必要になり、それだけで国の機能は麻痺します。そもそも予兆があったとして、数週間で数千万人を避難させるのは物理的にまず無理だし、財政的にも不可能でしょう。次の破局噴火ができるだけ人里離れたところで起きて欲しい、規模もあまり大きくならないで欲しい、と願うしかありません。
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