いーなごや極楽日記

極楽(名古屋市名東区)に住みながら、当分悟りの開けそうにない一家の毎日を綴ります。
専門である病理学の啓蒙活動も。

ホンダのハイブリッド戦略

2012年11月15日 | 自動車
 トヨタが1997年に初代プリウスを発売して以来、技術と販売台数で常に後塵を拝してきたホンダが、苦節15年の末にやっと同等の商品を投入してくるようです。今回は一挙に3タイプのハイブリッドを並行開発していたそうです。

 日本市場で一番売れそうなのが、小型の1モータータイプ。元々のホンダIMAシステムでは扁平な小出力モーターをエンジンに直付けしていましたが、トヨタの2モーター方式(THS, THS-II)に比べて駆動トルクやエネルギーの回生効率が明らかに劣っていたことから、現行インサイト発売時には「マイルドハイブリッド」と叩かれていました。今度はモーターをトランスミッションと結合し、クラッチでエンジンから切り離せるようになりましたので、THSと同じくモーターだけの走行が可能です。

 これだけではトヨタに勝てないので、リチウム電池による電池容量の増大と高出力化、エンジン本体の改良に加えて、VWのDSGなどと類似したデュアルクラッチ方式のトランスミッション(DCT)を新開発してきました。ホンダはアイシン(トヨタ、ダイハツ、スバル、三菱、マツダ、スズキなどが採用。VWやBMWにも販売実績あり。)やJATCO(日産、三菱、ルノー、現代などが採用)のATを購入せずに自社生産しており、小型車用のスチールベルト式CVTは他社と横並びの印象で自社生産する意味が乏しく、また生産量の少ない中大型車用のトルコン式ATでは5AT止まりで商品力を大いに損なっていました。

 ホンダの気持ち良く回るエンジンにダイレクトな感触のDCTを組み合わせれば、きっと素晴らしいAT車になるだろうと、多くの人が期待しているはずです。DSGとの違いはまだ発表されていないためわかりません。早く詳しい情報が欲しいところです。多分、同社が世界で初めて量産した二輪用DCTとかなり共通した構造なんでしょう。もっとも二輪用では6速でバックギアがないので、四輪用はより複雑な仕組みになります。

 中間の2モーター方式はアコードに搭載とありますので、派生車種であるオデッセイにも積まれるんでしょうね。プラグインハイブリッド(PHV)に向いた方式のようですから、いずれPHVが出てくるのでしょうが、今のガソリン代では高価なPHV(と充電用設備)の元を取るのは難しいですから、個人的にはこのクラスもDCTの方がいいかな。ただしCVTながら直結モードがあると書いてありますので、現行よりは改善されるのでしょう。

 大型の3モーター式はNSXやアキュラの上級車種用の4WDですから、極楽家にはあまり縁がないかな。上記1モーター式に左右の後輪駆動用モーターを追加した構成なので、これもDCT採用というのは朗報です。

 ところで乗用車のホイールベースは年々伸びており、タイヤの幅も広がる一方で、しかも複雑な4WD機構ということで、回転半径がかなり大きくなっているのではないかと気になります。FRベースのトヨタやレクサスの上級車が、大きさの割に取り回しがいいのに比べて、FFベースのホンダはどうしても不利ですね。ここは後輪駆動のモーターに左右逆回転の小回りモードを組み込むような工夫が欲しいところです。戦車で言えばその場でくるっと回る、超信地旋回に近い動き方をするわけですね。まあこの3モーター方式に関しては前輪がエンジン駆動なのでその場回りは不可能ですが、劇的に回転半径が小さくなることは期待できます。少なくとも動作はすごく面白そうなので、私みたいな機械マニアにはすごくアピールすると思います。
コメント
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