いーなごや極楽日記

極楽(名古屋市名東区)に住みながら、当分悟りの開けそうにない一家の毎日を綴ります。
専門である病理学の啓蒙活動も。

オーストリア製ビールを試す

2010年08月04日 | 飲み物、食べ物

 リカーマウンテンが輸入しているオーストリア製ビールを試してみました。1本ずつ飲んだだけなので評価と言うのもおこがましいですが、大体の傾向はわかりますので私の覚え書きとして記します。

 左のゲッサーはドイツのビールにありがちな風味で、日本のビールのような「キレ」よりは「コク」で勝負するタイプと見ました。ちなみに私のドイツビールのスタンダードは「ベックス」、日本で評価基準にしているのは「キリンラガー」です。だから「スーパードライ」が一番だと言う人とは意見が合わないと思います。

 ゲッサーの味作りは、日本酒で言えば雑味が残ることを気にしない、という感じでしょうか。すっきり仕立てたいばかりにコクまで除いてしまうようなことはしない姿勢がうかがわれます。日本のピルスナーではまず味わえない甘さとか酸味があって、麦茶の味がすると言う人がいてもおかしくありません。ただ全体に味が濁りすぎで、もう少しすっきり感が欲しいです。

 右のツィプファーは更に特徴のある味で、日本人がビールに期待する咽越しの良さとかキレをほとんど感じません。イーストの沈殿物(エビオスなどの製剤を飲んだことがあればわかると思います)が口腔内に残す余韻が相当に強く、違和感を覚えます。

 ドイツのヘニンガーなどもこんな傾向があるのですが、ヘニンガーは「これも個性」と思える程度なのに対して、ツィプファーはよりしつこい感じ。ちょっとこれでは、と思ったので、普通はビールにあまり合わせないハードタイプのチーズを合わせてみたら何とかなりました。チーズの塩気と濃縮したアミノ酸系の味で、ビールの違和感を打ち消したわけです。

 リカーマウンテンには悪いですが、今回の2銘柄は、恐らく日本では売れないでしょう。オーストリア人は年間に日本人の倍近いビールを消費しますから、決してビールへの要求が小さいわけではありません。ただビールに求めるものが大きく違うようです。味覚の違いもあるでしょうが、料理の違いも無視できないと考えます。慣れればもっとおいしく感じるのかも。

 麒麟麦酒の統計によれば、かなり古いデータしかないものの、オーストリアのビール醸造量はドイツの20分の1、日本に比べても6分の1程度しかありません。消費量はかなり多いので、ドイツなどからの輸入ビールがかなりのシェアを占めていることが推定できます。オーストリア製のビールは今まで国内消費専用で、あまり輸出に回らなかったと解釈するのが自然です。従ってより地方色が好まれるということはあるでしょう。まあ、ドイツの代表的な輸出ビールであるベックスやビットブルガーと比べれば、今回の2本はあまり輸出向きの味ではないなとは思います。
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