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『Royal Scam』 Steely Dan ☆☆☆☆☆
スティーリー・ダンの『Royal Scam』をご紹介したい。これは泣く子も黙る名作『Aja』の前作で、日本語のタイトルは『幻想の摩天楼』。多分ジャケットのイメージをそのまま邦題にしたんだろう。美意識の結晶のような次作に比べて饒舌でダイナミックなアートワークだが、収録されている音楽もそれにふさわしいものになっている。
『Aja』がジャズ・フュージョン寄りの優美なサウンドとするならば、この『Royal Scam』は躍動感溢れるロックっぽさが特徴である。スティーリー・ダン史上もっともロックなアルバムはこれだろう。もちろん、ロックっぽいといってもそこはスティーリー・ダン、ストレートなロックンロールであるはずもなくジャズっぽさもたっぷりなのだが、この躍動感、ソリッドな演奏、彼らにしては妙に熱いこのサウンド、そしてぐいぐい来るアグレッシヴな姿勢、がロックを感じさせる。
よく言われることだが、エレクトリック・ギターでラリー・カールトンが参加しているのもやはり大きい。一曲目のギター・ソロが特に有名だが、彼のギター・プレイがアルバム全体のソリッド感の一因であることは間違いないだろう。が、ラリー・カールトンばかりの手柄というわけでもなく、他のギタリストが弾いている「Green Earrings」のソロも面白いし、リズム・セクションのキレも素晴らしい。とにかく充実した演奏だ。
それからもう一つ、それぞれの曲があきれるくらいキャッチーなのもこのアルバムの特徴。スティーリー・ダンらしい捻りはもちろんたっぷり効いた上で、どの曲も異常にキャッチーなのである。いちいち強力なフックを持っている。歌メロだけでなくアレンジ、演奏もそうで、特に前半1曲目から6曲目までの充実っぷりはもう非の打ち所がない。ヘッドフォンつけて大音量で立て続けに聴くと快感にのた打ち回ることになる。
冒頭から躍動感いっぱいのスリリングな「Kid Charlemagne」、あまりにもかっこいいサックスがフィーチャーされたミディアム・テンポの「The Caves Of Altamira」、ギターがむせび泣くメランコリックな「Don't Take Me Alive」、黒っぽさとはじけたピアノがたまらない「Sign In Stranger」、キャッチー過ぎる「The Fez」、そしてキレのいい「Green Earrings」。「The Fez」は珍しくディスコ風サウンドと言われているが、このクールさには失禁しそうになる。とにかくこの6連発は鉄壁である。
その後の三曲は個人的な好みという意味ではちょっと落ちるものの、楽曲のクオリティはやはり高い。レゲエ丸出しの曲調にトーキング・モジュレーターが乗っかる奇妙な「Haitian Divorce」、歌詞がダークな「Everything You Did」、も一つダークで重たい「The Royal Scam」。こうしてこのアルバムは幕を閉じる。「Everything You Did」は浮気された男が女房を撃ち殺すという物騒な曲だが、曲調はアイロニックでどこかふざけている。ダンの冷笑が見えるようだ。ちなみに「Everything You Did」と「The Royal Scam」のギターは再びラリー・カールトン。
『Aja』『Gaucho』に比べると洗練という一点ではひけをとるかも知れないが、躍動感とソリッドなロックっぽさはピカイチの、迫力満点のアルバムである。
スティーリー・ダンの『Royal Scam』をご紹介したい。これは泣く子も黙る名作『Aja』の前作で、日本語のタイトルは『幻想の摩天楼』。多分ジャケットのイメージをそのまま邦題にしたんだろう。美意識の結晶のような次作に比べて饒舌でダイナミックなアートワークだが、収録されている音楽もそれにふさわしいものになっている。
『Aja』がジャズ・フュージョン寄りの優美なサウンドとするならば、この『Royal Scam』は躍動感溢れるロックっぽさが特徴である。スティーリー・ダン史上もっともロックなアルバムはこれだろう。もちろん、ロックっぽいといってもそこはスティーリー・ダン、ストレートなロックンロールであるはずもなくジャズっぽさもたっぷりなのだが、この躍動感、ソリッドな演奏、彼らにしては妙に熱いこのサウンド、そしてぐいぐい来るアグレッシヴな姿勢、がロックを感じさせる。
よく言われることだが、エレクトリック・ギターでラリー・カールトンが参加しているのもやはり大きい。一曲目のギター・ソロが特に有名だが、彼のギター・プレイがアルバム全体のソリッド感の一因であることは間違いないだろう。が、ラリー・カールトンばかりの手柄というわけでもなく、他のギタリストが弾いている「Green Earrings」のソロも面白いし、リズム・セクションのキレも素晴らしい。とにかく充実した演奏だ。
それからもう一つ、それぞれの曲があきれるくらいキャッチーなのもこのアルバムの特徴。スティーリー・ダンらしい捻りはもちろんたっぷり効いた上で、どの曲も異常にキャッチーなのである。いちいち強力なフックを持っている。歌メロだけでなくアレンジ、演奏もそうで、特に前半1曲目から6曲目までの充実っぷりはもう非の打ち所がない。ヘッドフォンつけて大音量で立て続けに聴くと快感にのた打ち回ることになる。
冒頭から躍動感いっぱいのスリリングな「Kid Charlemagne」、あまりにもかっこいいサックスがフィーチャーされたミディアム・テンポの「The Caves Of Altamira」、ギターがむせび泣くメランコリックな「Don't Take Me Alive」、黒っぽさとはじけたピアノがたまらない「Sign In Stranger」、キャッチー過ぎる「The Fez」、そしてキレのいい「Green Earrings」。「The Fez」は珍しくディスコ風サウンドと言われているが、このクールさには失禁しそうになる。とにかくこの6連発は鉄壁である。
その後の三曲は個人的な好みという意味ではちょっと落ちるものの、楽曲のクオリティはやはり高い。レゲエ丸出しの曲調にトーキング・モジュレーターが乗っかる奇妙な「Haitian Divorce」、歌詞がダークな「Everything You Did」、も一つダークで重たい「The Royal Scam」。こうしてこのアルバムは幕を閉じる。「Everything You Did」は浮気された男が女房を撃ち殺すという物騒な曲だが、曲調はアイロニックでどこかふざけている。ダンの冷笑が見えるようだ。ちなみに「Everything You Did」と「The Royal Scam」のギターは再びラリー・カールトン。
『Aja』『Gaucho』に比べると洗練という一点ではひけをとるかも知れないが、躍動感とソリッドなロックっぽさはピカイチの、迫力満点のアルバムである。
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