いい国作ろう!「怒りのぶろぐ」

オール人力狙撃システム試作機

秋霜烈日―検察官という仕事2

2005年04月25日 15時38分35秒 | 法関係
前にも書きました(参考記事)が、読売新聞の「検察官」シリーズは毎日続いています。今日は第4回で、不起訴となった事例のお話でした。かいつまんでお話しますと、2000年に起こった東京メトロの日比谷線脱線事故についてで、当時の警察捜査から書類送検されたのですが、検察捜査の結果、「不起訴処分」となったということでした。5名の死者を出した事故だったのですが、法的責任を問うことは出来ないというのが検察の最終判断で、これを被害者や遺族への説明に当たった検事のコメントも出ておりました。


東京地検刑事部の古賀検事が、事故原因について捜査した結果は、「「起訴は困難」との結論を出さざるを得なかった」。このことを遺族や被害者に説明したのが、担当検事であった加島検事であった。曰く「「事件を担当した自分がやるしかない」と感じた」。


検察庁舎で不起訴処分直前に、5日間に渡り説明を行ったそうだ。記事には、こう書かれている。

時間の制限は設けなかった。説明に納得できず、厳しい処罰感情をあらわにする人も多かった。「とにかく自分にぶつけてもらうしかない」と加島は思っていた。「起訴すれば、被害者の無念は調書や証言の形で公判に出る。しかし、不起訴ではそうならない。被害者が思いの丈を話せるのは今、この時しかない」




遺族たちは、納得できない人もいる。そうだろう。何の過失もなく、乗車していただけで、尊い命が失われたのだ。これについて、遺族の声は、記事で次のように書かれている。

「誰も責任を問えなかったのは、検事の力不足だ」
「でも、不起訴はそれで終わり。あんまりだ」




また、検事たちの言葉が、次のように記されていた。

加島は言う。「仮に自分の身内が同じ事故にあったら、私だって納得できないだろう」。古賀も「何とかしたいのは山々だったが、法と証拠に基づいて判断せざるを得なかった」と振り返り、「遺族の思いに応えることができなかった以上、批判は検察が受け止めるしかない」と思っている。


怒りと無念さを吐き出す、公判という場を失ったことで、遺族や被害者たちはそれを昇華する機会を失うのだな、と感じた。同時に、こうした不起訴処分の陰にも、苦悩、無念さや批判を一身に受け止めねばならないという、検事たちの知られざる苦労があるのだなと思う。説明会での、遺族の叫ぶような無念の言葉を聞いた時、何処に自分の心を置けば良いのか、とも思う。こうした苦悩は、経験することがないので、私には判らない。だが、それを経験する人々がいる、現に検察官は日々こうした苦悩を乗り越えるのだな、と思うと、彼らに対して以前とは少し違う見方になったような気がする。


奇しくも今日尼崎での脱線事故(Yahoo!ニュース - 読売新聞 - 電車脱線マンションに激突、37人死亡220人けが)が伝えられている。死者は今判明しているだけで37名と大惨事となっている。こうした事故で尊い命が失われ、再び遺族や被害者が多数生じさせられるというのも悲しすぎる。

恐らく検事達の新たな苦悩が生み出されてしまうことだろう。



補選後の局面

2005年04月25日 13時10分58秒 | 政治って?
小泉さんに「神風ぞ吹く」。自民の連勝で、民営化反対派の策動は全て封じられました。残るは党議拘束の最終段階へと向かいます。閣議決定には大きな障害は残っていません。ヤマタクは、本当に良かった。宮城の方は、おまけでしょう。ロボ岡田さんは、出来れば引き分けで、と思っていたでしょうが、接戦だったのに4割を切る低投票率ではいかんともしがたかった。自民にタナボタ勝利ー。


深刻なことは、両補選とも驚くほど低い投票率だ。住民の意思・意見反映に有効なのは投票権だとは多くが思っていないか、初めから関心が著しく低いかだ。こんなことでは、国政を変えていくことなど難しい。イラクの投票率より低いなどという、平和の国・日本としては恥ずべきことだろう。凄くがっかり。悲しい。結局の所、人任せ、惰性、考えない、などの無関心とか諦めが多いのかな?政治への幻滅の究極形なのか?


逸れてしまったが、ヤマタクの当選に全てが懸かっていたといっても過言ではなかった。青木さんの鋭い読みは、正しかったな。今日の小泉さんは上機嫌に違いない。


与謝野さんは、人権擁護法案を郵政民営化との取引材料に使ったな。古賀ちんに恩を売って、反対派抑制の約束を取り付けたんじゃないかな。こんなことのダシには、人権擁護法案を使わないで欲しいぞ。そんなことせんでも、郵政民営化法案は可決出来るはずだ。与謝野さんの立場も判るが、「人権擁護法案を古賀氏へ一任」という政調会長裁定とすることによって、古賀氏からは「郵政民営化の反対には絶対回らない、反対派を抑えるよう努力する」という言質をとったりすると、人権擁護法案反対派が「執行部の暴走だ」ってな具合で、やぶ蛇とならないでもない。おまけに、人権擁護法案は波乱含みだし、あまり古賀氏に肩入れしない方がよいぞ。今後、人権擁護法案反対に回っている、安倍ちゃんの立場とかこれを支持する若手とか、そこら辺も混乱しかねない。この党内対立には与謝野さんは距離をとるべきで、下手に首を突っ込まない方が無難だ。古賀氏支持に回ると、これからまずいよ。


首脳会談後の「何の成果もなかった」という国内批判も、とりあえずは放置でいいんじゃないですか?一定の成果はあった、と思うけどね。そりゃあ、こちらの要求や意見を全て伝えることも出来たかもしれないが、小泉さんが細々と言うべきことでもないと思う。


中国側の「口(言葉)だけじゃなく、行動で示せ」という意見も、きっと中国側の「デモ封じ厳戒態勢」をホレ見ろって自慢気に見せられてもね、向こうも謝罪してないんですから似たり寄ったり。あんな暴力的行為は、無くて当然なんですから。防いだ事は自慢にならん、ってこと。今後の日本側の態度としては、実務者レベルでのガス田協議、北朝鮮問題などを進めていくこと。これが回っていけば、次のステップも見えてくるかもしれない。当面は6カ国協議が再開されるかどうか、これが一つの目安となろう。出来た時には、日中関係は沈静化し小康状態ということ。再開されなければ、外交問題は何一つ進展なし、ってこと。まずは、目の前の一つひとつの課題を推進していくように努力することですね。


スマート町村さんは、厳しい発言役も容認されうる。次の内閣改造で、留任しない可能性があるからで、そういう人が「言うべきことを言う」という役回りならば、大して揉めることもない。国内的な、反中意見の抑制にはなるだろう。「何で、もっと厳しく要求しないんだ」「内政干渉を許すな」といった意見に対する、牽制策ということだ。今の日中関係で力比べをするよりも、中国に独り相撲をとらせて日本が最後に笑う、ということを目指せばいいのではないかと思う。


民主党は、かなりの反省が必要だな。国会始まる前から何度も忠告したのに、まともな政策論を展開することも出来ず、政府与党に切り込むこともしなかった。予算審議でも、自分達の立案と厳密に対比したりもせずに、すんなり流した。やったことと言えば、傍観作戦と審議拒否くらいだ。政治資金規正法関係も追及が甘く、旧橋本派を追い込むこともできなかった。血迷った挙句に、目標を失ってドサクサ紛れで「平ちゃん叩き」では、どうしようもない。民主党は、自分でコケて2議席失ったばかりか、自民党に労せずしてゲットされた上に「小泉応援歌」演出&党内の岡田バッシングを呼び込むという結果となった。目先の小利に囚われた失敗の典型だな。リーダーシップの弱さが出てしまった。昨年の参院選はムードに過ぎず、民主党の実力評価を受けた訳ではない、ということを忘れていたのだ。それが、この結果を招いたと言える。