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三井系マンションの傾斜問題

2015年10月24日 18時22分46秒 | 社会全般
どうもよく分からない。
この話が、そんなに大袈裟に騒ぎ立てる程の大問題なのか?
まるで「炎上ネタ」をマスコミが放り込んできているとしか思えない。政府が憲法に反して国会を開催しないという卑怯な真似をしていることから目を逸らせる為ではないのか、と思わないでもない(陰謀論好きですから)。世間というのは―殊にネット界隈は―バッシング対象という生贄を投げ込まれた途端に、一斉に叩く側に回るという傾向があるように思うので。


いや、勿論、住人で当事者となれば、大問題だとは思いますよ。ですが、それは日本全体を揺るがすような話なのですかね?
現実に大きな事故とか怪我とか、そういう被害が発生したわけでないなら、東日本大震災規模の大地震を経てさえ、大きな実害もなく健全だったということで、大袈裟に言う程の問題だとは思えないわけですが。


そんな、ごくごく僅かの傾斜が社会の大問題となるというなら、東電の原発事故とその汚染の方が、ずっとずっと遥かに深刻で悪質な問題でしょうに。2センチ程度のズレを生じたからということで、原因も因果関係も分からずとも、「最高値で補償、精神的苦痛も全額補償」みたいなことになるなら、何で福島原発事故後の放射性物質による汚染も最大限の補償をするべきだろうに。
逆に、「そんな程度の線量は健康に関係ない、全く問題ない、生活できるから住んでいいぞ」とかで、賠償金さえまともに支払わなくていい、ってことにされてるんじゃないのか。
「マンション手すりの2センチのズレ」と福島原発事故による「放射線量の上昇、汚染」とでは、どちらが重大問題なのだ?


マスコミの連中もおかしい。


とりあえず、話を戻そう。マンションの傾斜だそうだが、報道からすると「打ちこんだ杭が堅い地盤に届いてなかった」ということらしい。これをまるで犯罪かのように言っているわけだが、本当にそうなのか?杭の長さとか、法令で決まっているのか?


ちょっと疑問に思ったので、少し調べてみました。
非常に複雑な話のようで、専門知識のある人じゃないとまるで分からない。ただ、拙ブログで理解できる範囲で書いてみます。


(1)地盤の条件について

杭の基準については、国交省告示第1113号で決められているようです。
たとえば、こちら。

>http://www2.ashitech.ac.jp/arch/osakabe/semi/foundation/low/r93k1113.html


第2や第5にあるような複雑な計算式で算出するということになります。
非常に単純化して言えば、杭の長さが到達してるかどうか、だけが、条件というわけではありません。報道では「堅い地盤」とか「支持層」とか出てたりしますが、法令上では「支持地盤」と呼ぶようです。

・支持地盤とは:N値50以上、かつ杭の許容支持力度2500N/㎡
・N値とは:簡単に言うと地盤の固さを示す値。数字が大きいと強固。ボーリング調査で算出できる

許容支持力の算出は、第5より、第5算出の為の地盤許容応力度は第2より算出できる。


ここで、要点だけ取り出すと、次の式になります。

  Ra=Qp・Ap+1/3Rf

第1項は、杭先端の地盤許容応力度×杭先端の有効断面積である。第2項は細かい計算式から出される地層の先端以外の(支持力に関係する)抵抗値のようなものと思って下さい。


この杭の許容支持力度を左右するのは、大きく分けて「杭先端部の強固さ」と「先端以外の支持力」となります。勿論、先端部の数値はダイレクトに反映されますが、先端部以外は影響度が1/3にしかなっていませんので、杭の先が支持地盤に刺さっているというのが数式の数値を大きくするのに効果的ではあるのです。

しかし、計算式の結果が要求水準を満たしていたのであれば、杭先端の位置が「支持地盤内にあること」は絶対条件ではないのではないか、ということです。支持地盤の強度には劣るかもしれませんが、先端部の地盤の固さがそれなりにあって、そこに至る以外の部分でも支持力がないわけではない、ということです。Rfが要求に達する大きさであるなら、すなわち合計値としてのRaが杭先端が支持地盤に到達している場合と大差ないなら、不法ではないのではないかということです。たとえ杭先端のN値が50以下(=定義から支持地盤でない)だったとしても、Raが基準を満たしているかどうか、では。


(2)最近の検査は正確なのか?

横浜市に三井さんが報告した、ということらしいのですが、8本の杭が支持地盤に到達していないようだ、と。

簡単に言うと、ボーリング調査と物理的調査があります。ボーリング調査はN値を出すのに必要ですので、最も基本的と言えるでしょう。実際のボーリングが一番状況確認をし易いのではないかと。

しかし、先日実施しようとしたところ、ボーリングが困難ということで中断しました。では、支持地盤の深さと杭の位置関係は、どうやって分かったのでしょう?報道からは不明です。


実際にボーリングしなくても、調査する方法があるのです。それが、

・反射法地震探査
・微重力アレー探査

です。

計測地点を増やしてS波を計測すれば、その数値からN値を計算で算出できる(=支持地盤の上端の位置(深さ)が分かる)というものです。当方の理解で言えば、実際のボーリング調査が信頼性が高いですが、相関関係からN値を出すというのも、大体の推定値を出せる上に掘らなくてもいいので構造物があるような場合には、便利ではあります(動脈血を実際に採取して酸素分圧を測定するのが正確ですが、実際に動脈穿刺せずともSpO2は測定でき、一定程度には相関的なのと似ている)。


しかし、ここで問題があるわけです。
測定方法が異なれば、必ずしもピッタリ一致する数字が出るわけではない、ということです。理解するには意味がありますが、数学の答案みたいな厳密な答えということにはならないんじゃないか、ということです。かえって、物理探査の数字とボーリング調査では合わないのが普通だろうということです。


それから、東日本大震災の前後で、地層に若干の変化は生じたりはしなかったのでしょうか?
具体的に言えば、支持地盤の深さというのは常に一定なのでしょうか?大きな揺れで隆起したり沈下したりすることはないのか?
建設工事時点と、現在とでは、全く条件は変わっていないのでしょうか?同じ測定結果が出せるというものなのでしょうか?


計測方法の違いとか測定条件の違いで数字が変動するなら、現在の数字をもって過去の工事時点での不当を言えるかどうかは、よく検討してみないと分からないのではないでしょうか。


(3)地盤改良工事はどうなのか?

先の計算式で杭先端部以外の数値を改善する、ということも可能なわけである。地盤改善でRaが改善(地盤改良では恐らくRfを上げる、のだと思う)するなら、たとえ杭先端のN値が支持地盤に到達してないとしても、杭の基準値を満たすことは可能なのではないか、と。

当方の想像で喩えるなら、壁に釘を打ち込む場合に似ている。
木材板と石膏ボードの層があって、石膏ボードまでしか刺さっていないと、釘の支えが少なく抜け易い。硬い木材板の層まで釘が届いていると、しっかりと刺さる、というようなことです。
木材まで到達する釘がない時、どうするか?
石膏ボードに接着する接着剤を釘穴の周囲に流し込んだ状態で釘を打つ、といったことでも、釘を支持することができるのではないか?

地盤改良というのが、恐らく、この「接着剤」に匹敵するような役割をする、ということだろう、というのが拙ブログでの理解です。地質が砂質や粘土質みたいにN値が低いとしても、セメント系固化材を用いて地盤改良が行われていれば、地盤許容応力度は上がるのではないかということです。
(セメントの流量だか粘度数値だったか、偽装があったというようなのが45本というのも、それはどういった意味なのか分からないのですが、地盤改良の為のセメント系固化材のことなのかもしれないなと思いました。うどんのコシですら、その日の気候条件によって変わるなら、セメントも同じではないかと思えますね。硬化速度が速いこともあれば、混ぜてる時の粘りがユルいか硬いかということもあるだろうし、その時の現場にいなければ説明できないことは多々あるのではないかと思えます)


ただ、地盤改良工事を実施したとして、広範囲になっていれば、かいつまんで言うと、硬い地点と柔らかい地点のようなムラができることになるから、事後的に沈下量が変わる可能性も出てくるかも。
ケーキ菓子なんかで、スポンジ部分に固い梨や林檎の固体を詰めてあると、上から圧力がかかった際に、柔らかいスポンジの厚みが多い部分は多く潰れるし、固形物の厚みがある部分は潰れが減少する、みたいな、不均等を生じるかもということ。



以上、(1)~(3)から、

ア)杭がN値50以上の支持地盤に到達してなくても、基準を満たすことは可能
イ)測定方法の違いで差が出る、現在の値だけで工事時点の不当を言えるか不明
ウ)地盤改良で許容応力度は改善できるが、不均等原因にもなり得るかも

ということで、「支持地盤の現在深さ」と「杭の長さ」が合ってないから不法行為が行われたのだ、ということは、必ずしも言えないのではないかと。


従って、前述の通り、支持地盤の上端位置(深さ)は、本当に不変なのかどうか、測定方法の違いで数字が異なっているのではないか、仮に到達してないことがあるとしても、杭の許容支持力を満たしているなら工事そのものに過失なり不法行為なりがあったわけではないかもしれない、ということである。


更に、沈下について、書く。

一般に、 
   沈下量=即時沈下量+圧密沈下量
ということらしい。
圧密沈下量は、地面内の水や気体が重みで潰れて下がってゆく、というようなことである。漬物の樽での、重石が沈下してゆくのにも似てる(笑)。


即時沈下量は、次の式だそうだ。


即時沈下量=基礎平均荷重度・基礎底面短辺長さ(or直径)・(1-ρ^2)
        ×沈下係数/地盤弾性係数

ρ:地質のポアソン比(地質ごとに大体決まっている)


何が言いたいかと言うと、支持地盤に到達している場合には、地盤弾性係数が大きくなるだろう(※最初、「小さく」と書いていましたが、うっかりミスでした。分母が大きくなる=沈下量が小さくなる、の意でした。訂正します)、ということです。恐らく、ここが一番影響を受けるのではないか。土地の性質で影響される項目がそれだから、です。あと、ポアソン比も変わりますが、数字そのものの大きさが1未満なので全然大したことないです。
最終的に、建物全体で数センチ以内の沈下量となると、地質の差がどの程度の影響度があったかは、かなりの専門家とかじゃないと、分からないのではないかな。
支持地盤そのものの弾性係数が無限大ではないわけだし、N値が何十倍も違っていなかったかもしれないですし、地層全体での弾性係数がどれほど違っていたのか。


具体的に、何が沈下原因か分かっておらず、工事そのものが本当に不適切だったかどうかも分からないのに、全てを杭の長さと深さだけにするのは、どうなんでしょうか。


C型肝炎問題の時にも、一律救済ってあったけど、あれと似てる。
大騒ぎして、限りなくゴネた方が、全額補償してもらえる、みたいな。


その一方では、東電をマスコミも政府も原発ムラも必死で守るから、いくら補償せよと騒ごうと、訴訟が何千何万人から起こされていようとも、大問題になんかされないんだよ。


マンションの2cmズレた問題よりも、汚染地域の人々に補償も慰謝料も満足に払われていないことの方が、百万倍いや百億倍重大問題だろうに。




「1億総活躍社会」は人間力の焼き直し

2015年10月23日 18時40分43秒 | 政治って?
安倍政権のスローガンというのは、当初アベノミクスを掲げていたわけだが、それが大した効果を挙げることができず、むしろマイナス成長を招く結果となっている。
経済界も総出で「成長戦略だ、政府は早く成長戦略をやれ」などという世迷言を繰り返していたわけであるが、それが無駄であるということに気付くことはなかった。官業中心の社会主義国でもあるまいし、そんなに政府に成長させて欲しけりゃ、民間企業は政府所有にでもしてもらえ、と思わないでもない。


アベノミクスの「3本の矢」とは別に、実は裏三本というか、三本柱というものがあったようなのだ。

それが、こちら
>http://www5.cao.go.jp/keizai-shimon/kaigi/special/future/index.html

「選択する未来」ということで、この3本柱が
・成長
・地方
・人の活躍
なのである。

そう、簡単に言えば、パクリだな。小泉政権時代にあった、『21世紀ビジョン』と似たものだ、ということ。看板を替えただけでは。10年経っても、何らの進歩もない、ということかと。

05年12月>http://blog.goo.ne.jp/critic11110/e/956dec96525856f54d832bf03c3d4fc7

当時には、人間力とか政策が間違いだの、ニートと分類・呼ぶのがダメ、とか、散々批判があったものだが、安倍支持層では「転向組」も続出か?(笑)

参考:06年2月>http://blog.goo.ne.jp/critic11110/e/b089fbe352cc9c6a3db1a8ba0879053d

対人的政策を否定していたなら、今も否定すべきではないかな。考えが変わったなら、それはそれでいいが、懺悔の告白でもしてみてはどうか。



で、成長戦略をどうこうという話は産業競争力会議だか何とかで、TPP推進だ、法人税下げろ、もっと規制緩和しろ、的に以前と変わらぬ主張が続いている、と。けれども、これといった成果なんか当然何一つなく、マイナス成長を招いているのは彼らのような「経済音痴の集まり」が考えた結果が、いつも反映されるからだろう。


第二の柱である、地方創生ってやつね(笑)。
これも、石破大臣が結果を見せることなく年数だけ経過しており、その間に地方はマイナス成長に喘ぐということだな。特に、アベノミクスでの東京一極集中効果と大企業への恩恵があった為に、他地域では軒並み打撃を受けてマイナスになるのもしかたない、というところだろう。
ただ、地方創生って一口に言っても、短期間で成果を挙げられることは難しいということはあるだろう。目覚ましい政策の一つも出てこないのに、成果など期待できるはずもないんだが。


ここまでで、成長が1アウト、地方で2アウト、ってことなんだわ。
最後に残されてたのが、「人の活躍」ってヤツで、これを多分「1億総活躍」にしたんだろうと思う。
成長担当が甘利大臣でスカ、地方が石破で凡退、「1億相」がアレ誰だっけ?忘れた。まあ、予想では、普通に3アウトチェンジ、だな。


人間力の時にも、かなり毛嫌いされてたし、総スカン気味だったわけで。今回はあの時以上に、空振りに終わる気配。こんな話が行われているようなので。

>http://www5.cao.go.jp/keizai-shimon/kaigi/special/future/wg2/0903/sankou_02.pdf


一例を挙げると、
『既に多くの先進国では、教育施策のレベルで、コンピテンシー、あるいはキー・スキル、汎用的能力、ジェネリック・スキルと言われるようなものを、コンテンツと並んで一つの軸に据えた複眼的な目標論とかカリキュラム構成論を生み出して進んでいる。』
とか、
『教育課程の枠組み自体は現行で大きな問題はなく、カリキュラムの大枠を変える必要はないが、コンピテンシーの視点でこれまでの教育内容を再編成することはありうると思う。小学校ではよい取組が行われているが、中高はコンテンツ・ベイスから抜け出せずにいるので、変革を要するかもしれない。』
『初等教育か中等教育の頭くらいから、デザインシンキングなどをカリキュラムとして作っていくとよいのではないか。イノベーティブな人を養成する強化校のようなものを置くことも考えられる。』

みたいなことが、話されているわけですよ。何を言ってるか分かりますか?

私には皆目見当もつきませんね。
どういったことをやれば、「1億総活躍」できるのか、この流れから読み取れる人たちは、本当に凄いと思えます。
日本国民を今後、こういう方向に教育して、端的に言えば人間改造させて、国家の為に稼げる人間を育てよう、ってことですわな。その教育効果が出てくるのには、どれくらいかかるのでしょう?何十年か先なのでは?
待っていられますかねえ、現代の有権者たちが。


けど、目玉政策が完全払底してしまった安倍政権が、なけなしの知恵を振り絞って投入してきたのが、この「人の活躍」政策ってことなんだわ。これは、かなりの長期的視点での話ではないかと普通は考えるわけだが、これの担当大臣を今置いて、何をどうしようと言うのだろうね(笑)。


支離滅裂につき、全く分かりませんわ。「1億総活躍」ってネーミングがダメだな。ネットで募集でもすれば、きっとすぐにいいのが決まるのに。



そういう話ではなく、単純に「生涯現役で」って言えば、それで終わっていたものではないのかねえ。
例えば弁護士だって、定年とかないから、体の続く限り「現役」で仕事をする、というわけでしょう?仕事を継続することによって、年金にだけ頼ることが減らせるし、やりがい・生き甲斐が確保できることで、ボケや孤独といったことも回避されうるし、社会との接点が継続されるということで、良い面がふえる、ということでしょう?社会の生産活動にも寄与できるわけでしょう?

過去には、農業従事者が多かったので、皆、そうやって高齢でも自作自農でやってたんじゃないですかね。病気とかで引退する人も勿論いますが、できるだけ現役を続けたいという高齢者は多いわけですよね。
それこそが、今後の労働人口減少を補う力になるし、高齢者は仕事を通じて生き甲斐が保てるし、介護のお世話になる機会を減らせて社会保障費削減に貢献できるね、ということでしょう?

高齢者の人口がざっと約3600万人、6割が仕事をするだけで2160万人もの労働力になるわけです。
高齢女性にしても、子育て係や介護係を「老老介護」なんて言わないで、できる人がやるという社会になっていれば、収入も得られて頼りにされるなら、喜んでやる人もいるのでは?
これまでは孫の世話をする、ということだったかもしれないが、少子化で孫がいない世帯も増えるだろう。それなら、保育のお手伝いをすることで、孫の面倒をみると思えばいいのでは?


これは、遠い将来ではなく、割と近未来ではないかな。年金額が少なければ、必然的に各自が仕事をして収入を補おうとするわけで、現在でもそうなりつつあるのではないか。日本全体が貧乏になれば、必然的に働かざるを得なくなる。でもそれが逆に、結果オーライになることだってあるかもよ、と。生き甲斐があった方が、高齢者だって楽しい人生かもしれないな、と。
個人的印象だと、仕事してる高齢者は、「仕事やめたいけど、生きる為には仕方ない、辛い日々だなあ」とか思うよりも、「生きてる限りは、今の仕事を続けたい」って言う人の方が多いのではないのかな、ということです。


一方では、仕事がキツイ、と言いながらも、国民全体で就業率8割弱とか行くようになると、それはそれでいいような、悪いような、どうなんでしょう。働きたくない人も、生きる為には仕方がない、と。生産年齢の人であっても、働きたくないってことはよくあるから、どうしたものか。



若年者の悪性新生物の罹患率は近年上昇したか

2015年10月19日 19時45分58秒 | 社会全般
前の記事で甲状腺癌が何故か03年以降に罹患率上昇が見られた、と書きました。これに関連して、追加記事を書いてみます。
区分する年は03年というのが特に理由があるわけではありません。なので、04年でも05年でもよいのですが、90年以降のデータ数が多い群と、05年以降のデータ数がかなり少ない群に分かれてしまうので、有意な上昇なのか判定が難しいかと思って、03年で切り分けることにしました。


で、こうした傾向は、甲状腺癌に限らないのでは、ということが分かりました。
甲状腺癌の場合というふうに、発生部位を特定することなく、全部位での罹患率を見てみることにしました。すると、やはり意外な結果が出たのです。数値は、国立がん研究センター発表のものです。


年齢階級別で15-19歳、20-24歳、25-29歳という、全年齢に比べて、悪性腫瘍術後の生存率が低いとされる世代で見てみました。


各年毎の罹患率を90~02年と03~11年のグループに分け、t検定を実施してみました。

 検定結果:
   N  有意差なし
  *1  P<0.01
  *2  P<0.001  


【15-19歳】

   年     男     女 
  90~02    10.62   13.55
  03~10    11.33   17.36
  検定結果    N    *1


【20-24歳】

   年     男     女 
  90~02    18.80   8.72
  03~10    23.30   11.12
  検定結果   *2    *1


【25-29歳】

   年     男     女 
  90~02    15.13   29.26
  03~10    19.83   39.43
  検定結果   *1    *1



ご覧の通り、15-19歳男性だけが有意差なしでしたが、他は有意差ありという結果でした。

問題は、どうして03~05年頃から、15歳~29歳という悪性腫瘍の罹患が高齢層に比べて少ないとされる年代において、これほどに悪性新生物の罹患が増加しているのか、ということです。

全年齢での悪性新生物の罹患数とか死亡率の増加というのは、長寿化などの理由がある程度は思い浮かびますけれども、若年層の特に結婚出産に適した年代での悪性新生物罹患率の増大は、社会的にも大きな問題だろうと思います。


福島原発事故以前においてでさえ、こうした状況ですから、若年者の悪性腫瘍対策というのが急務であると思えます。直近の数字を早くまとめると共に、減少に転ずるなどの傾向の変化がなければ、原因検索も含めて、きちんと対策するべきでしょう。


若年者の甲状腺癌について

2015年10月19日 18時43分20秒 | 社会全般
少々調べてみたので、書いておきたいと思います。
国立がん研究センターの出している調査結果があり、そこから数字を拾ってみました。


①甲状腺癌での死亡例(1990年~2014年)

1990年以降で、20歳未満の甲状腺癌患者における死亡数は、10歳未満は男1名のみで他は全て10代であり、男4名、女6名だった。合計11名で極めて稀である。

一方、20~39歳においては、年齢増加と共に死亡数も増加し、次のような結果であった。


  年齢    男   女 
  20~24   6    9
  25~29   11    4
  30~34   18   11
  35~39   31   48


甲状腺癌の手術適用となる大きさに成長するまでの時間経過が、5年以上とか10年以上といった長期の場合には、30代以降に治療開始ないし手術実施となると、死亡する可能性は高くなるかもしれない。早期判明例が不利益とは限らないだろう。

甲状腺癌の罹患率は女性の方が男性よりも高く、女性の早期診断は甲状腺癌の死亡リスクを低減効果があるかもしれない。


②若年層の甲状腺癌罹患率

15歳未満での罹患率は、1990年~2010年の期間における平均で男0.058、女0.112であった。非常に稀な疾患である。同年代男性1000万人中に6人程度しかいないということである。

15~39歳の年代において、興味深い傾向が見られたので、以下に述べる。
90年~02年の期間と、03年~10年の期間では、罹患率の傾向に違いがあった(罹患率は死亡数、死亡率と異なり、10年までのデータしか見つけられなかった)。各年毎データの平均値は以下の通り(他省略)。


    年      男      女 
   90~02   0.82    3.99
  03~10   1.57    5.67



つまり、03年以降においては、男女とも甲状腺癌の罹患率が上昇していた。
t検定では1%水準で有意な上昇(p値は男0.0012、女0.0059)


15歳未満では甲状腺癌の罹患率は低下傾向にあり、発症が後ずれした可能性はあるのだろうか?(例えば以前だと12歳で発覚していたものが、最近では17歳で発見されるようになった、とか)
仮にそうだとしても、15歳未満での罹患そのものが男性だと0.1にも満たないわけで、15歳未満での患者がゼロで全部の累積が15~19歳で発覚した場合であっても、これほどの上昇(0.82→1.57なので+0.75)の理由とはならないだろう。

ちょっと、謎ではある。これは、また別の機会に。


以上、①と②から、甲状腺癌が早期スクリーニングにより治療対象とされるとしても、

・年齢依存的に甲状腺癌死亡率は上がる(30代での死亡数は10代より断然多い)
・03年以降はそれ以前に比べ甲状腺癌罹患率の上昇が見られる

という点から、発見により相対生存率の改善につながるかもしれない。


続・福島原発事故後に小児白血病が増加した可能性はあるか?

2015年10月17日 16時49分54秒 | 社会全般
前の記事に追加です。一応、自分なりに検定もどきでやってみました。ダメダメかとは思いましたが、恥を忍んで出しておきたいと思います。

既に前回記事で、小児の毎年の出生数が減少傾向だということで、基本的には疾患の出現がほぼ同じような割合であるなら、小児の人口が減ることによって、悪性腫瘍の小児患者の絶対数も減るだろう、という仮定を述べました。

そこで、この傾向が説明力があるなら、事故以前の傾向は人口によるものであり、事故後の人数増加が有意な変化であるかどうか、ということを検討してみることにしました。


用いるデータは以下の通り。

・年少人口;0~14歳の人口(単位千人)
(小児慢性特定疾患治療研究事業の対象者の年齢とは厳密に異なるが、18歳以下人口とほぼ同傾向であるという推測に基づく)

・悪性新生物の登録者数(人)
・新規診断の登録者数(人)
(いずれも数字を調べることができた範囲で前回より長いH12年からとした)


年度   年少    悪性    新規

12   18505   19253   3271
13   18283   20046   3137
14   18102   20026   2821
15   17905   19124   2998
16   17734   18656   2837
17   17585   15095   2563
18   17435   13736   2230
19   17293   13768   2140
20   17176   12802   2133
21   17011   12150   2061
22   16839   12609   2054
   ――――――――――――
23   16705   14131   2374
24   16547   13984   2375




H12~22年の11年間のデータから、年少人口と悪性新生物、新規診断の間に相関関係を仮定し、単回帰直線を計算してみた。


()式:年少人口(x)と悪性新生物(y)
 y=-83894+5.674x
  R二乗 0.861


()式:年少人口(x)と新規診断(z)
 z=-12054+0.8296x
  R二乗 0.920



いずれも割と適合よく相関が見られた。
次に、この回帰直線から、より相関係数の高かった「新規診断」の予測値を計算し、23、24年度の実際の数字が「外れている」値なのかどうかを検討した。

()式にx=16705と16547をそれぞれ代入した結果が、23年度と24年度の予測値となる。
  23年度 予測値  1804
  24年度 予測値  1673

この予測値から、信頼区間の下限と上限を求めた。
(t分布表のp値=0.001 を使用)
結果は以下の通り。

 平成23年度
下限  1382.8
上限  2225.2


 平成24年度
下限  1198.1
上限  2147.9


実際の数値を再掲すると、23年度が2374、24年度が2375であるので、いずれも回帰直線の予測値からは、有意に上限値を超えていると考える。

悪性新生物のデータでも、恐らく似たような結果が出ると思うが、計算が面倒で疲れたのでやらなかった。p値が0.01か0.05くらいの上限値を多分超えているんじゃないかと思う。


以上から、平成12年~平成22年までの11年間における、「年少人口」と「悪性新生物」及び「新規診断」の件数には比較的高い相関関係が認められ、平成23年度と24年度においては、その回帰直線による「新規診断」予測値の上限値を有意に超過した値(0.1%水準)となっていた。




福島原発事故後に小児白血病が増加した可能性はあるか?

2015年10月16日 15時46分47秒 | 社会全般
福島の健康調査に関連して、事故後からずっと様々な意見や憶測がネット上に流れているようだ。賛成・反対に分かれて、反対陣営を厳しく攻撃している様を見かけることもよくある。
最近でも、津田らのグループ甲状腺腫瘍の発生についての報告に関して、強烈な批判が出されていたりするようである。自分の専門外なことであろうと、まるで最初から正解を知っているかのように、振舞う人々は少なくない。例えば池田信夫の如く、統計や疫学や医学や放射線に関する専門知識の裏付けが何らも有しないような人間であろうと、どんなデタラメ言説であっても好き勝手言える、ということだ。

勿論、批判するな、とは言わない。反対だ、とか、信じることはできない、とか、そういう意見を表明することも自由である。拙ブログにおいても、常々専門外のことに言及し続けてきたわけだし、その道の「プロだか専門家(笑)」みたいに自称してる連中の嘘八百まがいの言説について批判をしてきたから、他人事みたいには言えない(笑)。
自省は、それなりにあるけど、安易に信じない性分なので、ごめんなさい。


ただ、特にこれといった論拠すら有せず「デマだ」「○○は嘘つきだ」のような批判はいただけないのではないかと思う。厳しく批判するなら、対抗言論をまず自らが提示して、反対を述べるべきではないか。論文を否定したいなら、論文上で勝負するべきだし、反対の根拠を別のデータなり数字なりで示せるはずだろう。


本題に戻ろう。
最大の関心事は、原発事故後の現実に発生が危惧される疾病の状況である。津田グループも、福島県の県民調査でも甲状腺癌に関する大規模スクリーニングが行われていたわけだが、その他悪性腫瘍、特に白血病についてのデータは数字が出されていないようである。

そこで、いくつかの方法を考えてみることとした。実際に福島県内で医療機関を受診して白血病が発覚したとしても、それが表沙汰には出てこない、数字も把握できないようになっているようだ、ということで、別角度から検討してみることにしたわけである。


それが、特定疾患に関する医療費助成制度、である。
難病支援の制度として特定疾患研究事業のようなものがあり、診断を受けた患者は登録されるわけである。なので、人数の追跡がそこそこ可能、ということである。成人を対象する制度とは別に、小児に対する医療支援制度もある。これが小児慢性特定疾患治療研究事業というものだった。この疾患分類毎に、患者の登録者数が分かるということだ。


偶然か意図的か分からないが、この制度は平成27年1月をもって別制度への改定された。その議論が起こったのは、事故後であった。

簡単に言うと、事故以前から難病支援制度について改革が必要とは言われてきていたので、審議会レベルではいくつか議論があったものである。小さな改定は幾度か行われていたし、小児を対象とする医療助成という点では、障害者自立支援法の制定に伴って、割と大きく改変されたということがあった。

しかし、難病対象の制度部分は小児患者については、今年に大きく変えられたわけで、変更がほぼ確定的となったのはH25年に入ってからである。つまり安倍政権になってから、ということだな。

・小児慢性特定疾患治療研究事業の制度変更に関して2013年の議論
  平成26年 児童福祉法改正を予定→予定通り27年1月より施行
参考資料>http://www.nanbyo.jp/betusite/140218syukai/siryo2.pdf

(成人の難病支援制度改正と並行で議論され、同時に改正となった)



意図的なのか偶然なのか分からないが、下衆の勘繰りを言うなら、旧来制度との連続性をここで一度「大きく断ち切る」ことができれば、過去のデータと比較が難しくなる、ということだな。また、制度が変更されると、法律名や制度名が変わるから、ネット検索も難しくなるという寸法であろう。

これによく適合しているのが、旧薬事法である。あの三木谷が大騒ぎして、激昂した挙句、会議の席上で机をバンバン叩きまくったくらいに大揉めにモメた、例の件だよ。最高裁判決文すら米国法判例チックな香りがする、三木谷一派の思い描くようなクソ判決が出たという、いわくつきの法律さ。
『医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律』
とかいう、似ても似つかぬ法律名に変えられてしまった。過去との連続性が絶たれたのは、憲法解釈だけじゃないってことだよ。誰でも簡単に覚えられるような名称じゃなくしておくのは理由があるんだ。


また話が逸れた。
で、要するに、小児患者数の推定に、旧制度である小児慢性特定疾患治療研究事業の登録数を比較してみるよ、という話である。
27年1月1日から変更になるということは、平成26年度のデータは他年度との比較に使えなくなるし、27年4月以降のデータだけを取り出せるか分からないし、制度変更直後って、書類処理とかに混乱があったりすると、正確性が落ちるかもしれないし。数値を隠したい側にとっては、思惑通りの展開となり易いってことだな。


拙ブログが調べたのは、以下のHPである。

小児慢性特定疾病情報センター
>http://www.shouman.jp/


必要部分だけ、下記のような表とした。各項目の説明はこれ。


 全体;悪性新生物で登録された患者数
 新規;新規診断と登録された患者数
 白血病;疾病分類で白血病で登録された患者数


年度    全体     新規     白血病

19    13768    2140    4604
20    12802    2133    4626
21    12150    2061    4278
22    12609    2054    4523
23    14131    2374    5122
24    13984    2375    5093



このデータからは、あまり細かいことは分からないでしょう。ただ、傾向としてどうなのだろうか、ということは見ることができるかと思います。この情報を登録するのは、指定された医療機関だけであり、信頼性は割と高いだろうと思います。確定診断も、難病の専門医が行うので、診断基準のばらつきといったことも少なくなるかと思います。これ以後の数値が分からないので、何とも言えないのですが、23年度と24年度は特徴があります。

 ①悪性新生物の全体数と新規診断数が増加していること
 ②白血病の登録数が増加していること

もっと長期で見れば、違った傾向ではないかという見方はあり得るでしょう。
これ以前の数字で見ると、例えばH14年度には、全体20026、新規2821、白血病6841と、10年後よりもずっと多い数だったことが分かります。ただし、これ以降の年度では、毎年毎年前年を下回る数に下落していき、20年度までは一貫して全部下落なのです。21と22年度では若干の上下がありますが、ほぼ似たような数値に落ち着いていたと思えます(悪性新生物に占める白血病の割合は、事故以前からおおよそ35%前後で、その傾向はあまり変わっていません)。


この最大の理由としては、出生数が毎年毎年減少してきたから、ということが考えられます。同じ割合で発症すると、絶対数が同年度生まれが150万人の年と100万人の年では、新規診断数が減ることになり、白血病の人数もそれに伴い減少してゆくはずだから、です(死亡や治癒や年齢が制度上限を超えるなどの変動もありますが、傾向は人口ボリュームに依存することが多いかな、と)。


つまり、ほぼ減少傾向が約9年続いてきた後での、一転しての増加ですから、これはどうしてなのかな、というふうに思うわけです。全体の小児の数が減少する中にあって、悪性新生物の全体数や新規診断数や白血病患者数が増加したのは、何故なのか、と。


果たして、統計的に有意な増加なのかは、まだ確かめていないです。
ですが、増加に転じた理由があるなら、それが何なのかを確かめることが学術の役割ではないかと思うわけです。これから出てくる数字も、秘匿するのではなく、公開すべきであり、国民に事実を伝えるべきでしょう。

厚労省も職員不祥事でバッシングに晒されていますが、偶然同じ時期だっただけなのでしょうかね(何でも陰謀)。
こういうデータを見て見ぬふりをすることどうなのか、何らかの対応を考えるべきなのか、それとも無関係な数字の動きならそれなりの検討結果を出すべきではないかと。


マレーシア機撃墜事件の謎~その5

2015年10月14日 13時58分24秒 | 外交問題
これまで、その1~4は作ってなかったんですが。第5弾ということで。


14年
7月19日>http://blog.goo.ne.jp/critic11110/e/30e796c18ac0cf8fd6929173121aa98f

7月20日>http://blog.goo.ne.jp/critic11110/e/daf345373d3d5547e1232757aad0ce67

7月22日>http://blog.goo.ne.jp/critic11110/e/fe820b777b76e992cb05bd418b8dac64

7月28日>http://blog.goo.ne.jp/critic11110/e/4f3ad96483cf6de75b8446a915a1f08a


今は、シリア情勢に関連して立場が苦しくなったアメリカさまが、何とかロシアへのネガティブキャンペーンを繰り広げたいということで、古いネタを使ってきたのかもしれません。



>http://www.afpbb.com/articles/-/3063050

(一部引用)

【10月14日 AFP】昨年7月にウクライナで発生し乗客乗員298人が死亡したマレーシア航空(Malaysia Airlines)MH17便撃墜事件で、オランダ安全委員会(OVV)主導の国際調査チームは13日、同機はロシア製の地対空ミサイル「ブク(Buk)」によって撃ち落とされたと結論付ける最終報告書を発表した。しかし大惨事から1年3か月が経過した今も、ロシアと欧米諸国は依然事件の責任を押し付け合っている。

 報告書は、ミサイルの発射地点として、ウクライナ東部320平方キロの地域を特定。この場所がウクライナ政府軍と戦っていた親ロシア派武装勢力の支配域内にあったかどうかについては明確な記述がないが、オランダ安全委員会のチブ・ヤウストラ(Tjibbe Joustra)委員長は後に、それを示唆する発言をしたもようだ。

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ブークによる撃墜説を裏付ける有力な証拠というのは、殆どない。状況を見るだけなら、当初のウクライナ政府側の発表からして、極めて怪しい。墜落原因が掴めていないうちから、親ロシア派勢力の「ブーク」撃墜を言っていたのも不可解だ。半日くらいで、そんなに簡単に情報が判明するのも疑わしい。ネットの書き込みを信じて、それを判断材料としていたことも、情報操作の可能性がうかがわれる。ミサイル搭載車両の移動写真や動画のアップとかもあったはずで、ああいうのも用意周到に見えた。

索敵レーダーや照射用イルミネーター等の車両が存在してなかったのも変だったでしょう?

今回のオランダ報告という形で、米国以外から出されたけれども、HE破片効果弾頭による小孔が多数だとしても、破壊状況に合致しているものとは考えにくいだろう。機関砲による貫通弾痕のような穴についての説明も、整合的なものはなさそうに見える。


いくらSu-25には上昇限度があって、1万mには到達できないとしても、攻撃可能位置につくことは十分に考えられる。

旅客機の前下方側に位置している場合だと、速度差の問題や高度の問題は解決可能である。

空対空ミサイルのR-73かR-60を発射すると、同じく破片効果弾頭なので小孔が多数生じる。その後、旅客機が高度が落ちてくるわけだから、機関砲での射撃ができないわけではないだろう。


ま、当時のウクライナ政府や米国の発表が、いかにも疑わしいものだったので、今更オランダの報告が出されたところで、決定的証拠にはなっていないだろう。


世界中が、ロシアに比べて、非常にマズい状況となっている米国に対し一層厳しい眼を向けてくるので、こういうネガティブ情報を流さざるを得なかったのであろう。



多重債務者は減少したか~再論

2015年10月13日 20時31分03秒 | 経済関連
久々だが、丁度記事が目に留まったので。


>http://cards.hateblo.jp/entry/major-cf-kozasu2014/

(一部引用)

こちらでの数字では、無担保無保証で借入を現在行っている人の人数は1141万人だそうです。内訳は下記の通り。

1件借入がある方:748万人
2件借入がある方:252万人
3件借入がある方:95万人
4件借入がある方:32万人
5件以上借入がある方:14万人


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借入人数の数字を見てはいなかったので、どういう経過だったかは分からなかった。

ただ、傾向はつかめているね。
端的に言えば、多重債務者は減少し、2件以下の借入者は増加した、ということだな。


08年2月>http://blog.goo.ne.jp/critic11110/e/0e825b7cf95256f379d12c79eb28d4f2

当時は全情連のデータで、現在のJICCとかっていうのとちょっと違うんだけど。

(再掲)

1社借入は約500万人で約16万人増加、2社は約240万人で7万人増加、3社は約155万人で0.7万人減少でほぼ横ばい。つまり、金利引下げで貸付残高の少ない層への貸出は増加する、ということだろうかね。よく判らんけど。
傾向が出ているのは、借入件数の多い層だ。
4社借入は約108万人で8万人減少、5社以上借入は約125万人で51.4万人減少だった。


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この文から数字を拾って、前記14年の数字と比較すると次の通り。

          現在は
1件借入:500万人  +248万人
2件借入:240万人  -12万人
3件借入:155万人  -60万人
4件借入:108万人  -76万人
5件以上:125万人  -111万人


要するに、1件借入者が大幅に増加して、複数社借入の人は軒並み減少し、特に多重債務と呼ばれる人たちの減少効果が大きかった、ということだな。
結果的には、自己破産件数が減少し、闇金被害も大きく減った。

全体の人数は、約30万人減少にとどまる。
池田信夫は800万人だか900万人減少する、って断言してなかったか?(爆)


参考:

08年6月>http://blog.goo.ne.jp/critic11110/e/e4e2696b999eedf33c1b52124e2c00ef


石井孝明のような者もいたな。

12年8月>http://blog.goo.ne.jp/critic11110/e/8a30dbf0fe59d2a7034e51f93f30360a


日本という国においては、まず、こういう池田信夫や石井孝明のような、屁理屈にもなっていないデタラメ言説をばら撒く連中がいて、そういう連中の影響力の方が大きいのだな。


その上、経済学の知識とかいう、ヘンな理屈を掲げる連中にしても、まともな判断をできない上に、検討の邪魔を平気でやってくる無能学者気取りが大勢いるんだ。


現実を見てみろよ、現実を。
嘘つきって、やっぱり治らないんだね。嘘を言っている、という自覚すらないのだから。



今が、結果なんじゃないのか。
恥ずかしくはないのか?
間違いはどこにあったか、検証した人間はいたか?(笑)


まあ、所詮は素人以下の無能な連中ばかりだから、誰一人として反省も検証もできんのだろうけどな。


日本という国に、「経済学」なんか存在してるのか?
その知識だか、論理だか、役立つものとか、政策決定に活かされているとか、本当にあるもんなのか?


オレには、到底そうは思えんね。

圧倒的大多数が、無能、正しく理屈を理解できてなくて、使いこなすことなど夢のまた夢。
逆に間違いを言い続ける分だけマイナスなんだよ。仕事量ゼロより悪い。
正真正銘の役立たず。

マイナスの仕事をする人間って、足を引っ張るから、いない方がマシなの。

レンガ積む仕事があるとするだろ?
するとだな、こっちが必死で正確に積んで行こうとやっているのに、クソ無駄な無能なバカが、全く間違ったデタラメの方法で積んでいくわけだ。
脳みそがぶち切れそうになるけど、その間違って積み上げた部分を、また、崩して、レンガを綺麗にして積み直すわけ。
な?分かるだろう?

無能のバカがいなけりゃ、自分だけで積むからまだマシなの。けど、バカのやったマイナスの仕事のせいで、崩して、綺麗にして、積み直すから、ゼロから積むより仕事が増えており、いない方がマシなんだわ。


日本の経済関連の人間たちの多くが、この「マイナスの仕事しかできない、バカ」なのだよ。
まともに使える人間って、あんまり知らない。
というか、そんなにまともな学者が揃っていたなら、日本がこういう経済運営で来るなんてことはあり得ないわけで。


それでも、日本の経済ナンチャラとかいう連中の多くは、目が覚めないんだそうだ。
ちょっと考えてみれば、ある程度は分かりそうなことが、何故か無能のトンチキ連中には分からないんだそうだ。世間の人々も、そういうトンチキの権威に騙され続ける、と。そうして、失敗の拡大再生産。


終わってるな。



ラグビー日本代表にありがとう

2015年10月12日 10時25分51秒 | 俺のそれ
日本のラグビーは、これまでの長きトンネルを遂に抜けました。

初戦の南アフリカ戦で奇跡の大逆転勝利をものにして、一気に注目を集めることになりました。


今日のアメリカ戦にも勝って、初の3勝という、本当に信じられないくらいの成績を挙げてくれて、これまで応援してきた人々は皆、感涙にむせぶことになったでしょう。


素晴らしい活躍でした。
代表チームの皆さんに、本当にありがとう、と感謝申し上げたい。よくぞ短期間で、ここまで強くなったな、と。勝つことだけに集中して、厳しい練習を積み上げてきた賜物なんだな、と。


前回大会では、惜しいところを見せてはくれましたが、やはり世界の壁は厚く、勝利するというのが、本当に遠かった。
試合に勝つ、というのは、これほど困難なことなのか、と。やっぱり、日本はラグビーで勝てないのだろうか、と。


すみませんでした。
お詫びしたいです。壁は厚過ぎて、無理だよな、やっぱり、日本では勝ち切れないんだな、とか、希望を失っていたのはぼく自身だったんですね。代表チームの人たちは、決して諦めてなんかいなくて、決勝Tに進むことだけを考えて、信じられない程、苦しい練習とか生活とか、頑張っていたんですね。


あれから、もう6年も経っていたんですね。

09年9月>http://blog.goo.ne.jp/critic11110/e/e166a44421e344f4b9b504110d1ade5c


あっという間でした。前回大会では対仏戦をちょっと記事に書いたのですが、日本では殆ど知られることもなく過ぎていましたから…
でも、今大会で夢のような活躍を見せてくれて、多くのファンは満足してしまったと思いますよ。まず、一つ勝ったというだけで大喜びなんですから。これが、南アを含む3勝なんて、もう、兎に角信じられない、としか言いようがないんですよね。


けど、選手の皆さんは、満足なんてしてなくて、次の大会での雪辱を心に誓ったんだと思います。
日本のラグビーが一躍脚光を浴びましたが、サッカーのW杯と似ていて予選突破後に沈むということもよくありますから、次の主催大会で期待は高まるものの、油断禁物とも思っています。


お疲れさまでした。
素晴らしい大会を、試合を、ありがとうございました。



続・シリア難民はアサド転覆戦争の犠牲者

2015年10月08日 18時08分34秒 | 外交問題
(続きです)


5)国際社会の初期対応はどうだったのか?

アサド打倒を目指す米国からすると、2011年の騒乱の発展に時間がかかってしまってイライラしていたことだろう。デモ隊の鎮圧とか、叛徒の制圧といった話で終わってしまうと、戦争の儲け話にはつながらない。

反政府テロ集団には、散発的に銃撃戦をさせたり、自動車爆弾で自爆テロを仕掛けさせたが、戦争という状態ではなくテロ行為でしかなかった。が、どうにか騒動を継続させ、ようやく国連人権高等弁務官事務所をして、「これは事実上の内戦である」と言わしめた。

当初の予定では、2012年中には米国他が”参戦”できる計画を組んでいたのかもしれない。それには、介入の口実にできる、「大義名分」というものが必要だった。これが中々難しかった。市民を虐殺した罪?人道上の罪?
そういった口実を見出そうとはしていたのだが、どうも決定的な理由にはなっておらず、安保理決議なんかでも中国やロシアを説得する論拠が乏しかった。何らかの決定的証拠が必要とされたのだ。

そこで、アラブ連盟の監視団、という手を使うことにしたのである。イスラム世界の対立勢力をぶつける、という手であった。国連監視団よりも、まずアラブ連盟を用いたのには、ワケがあったのだ。それは、ボスニア紛争時の介入と似た手段を用いよう、というものだった。国際紛争ではなく、内戦、この人道上の罪、軍事介入の正当化と口実はこれだ、と。その初手が、11月のアラブ連盟の資格停止処分という制裁措置だった。


ここで、アラブ連盟の地域的取極と国連憲章8章の権限を適用するんだ、という算段が立てられたということ(恐らく主導していたのは、GCC諸国ということになろう)。この件は、類似事例として、イエメンでの紛争例を先日書いた。

国連憲章8章適用を画策した例
15年9月>http://blog.goo.ne.jp/critic11110/e/44139d7f8938875ef83a7c779568577b


アサド大統領は、アラブ連盟に対して中立的立場からの停戦・仲裁を拒否していたわけではない。むしろ、申し出に対しすんなりと受け入れているのである。

2011年12月23日
>http://jp.reuters.com/article/2011/12/23/tk0693202-arab-league-syria-idJPTYE7BM00X20111223

[ベイルート 23日 ロイター] シリア反政府デモへの弾圧停止に向けたアラブ連盟の監視団の先遣隊が22日、同国に到着した。
同連盟筋によると、先遣隊は十数人で金融や法律の専門家らが含まれる。約150人から成る本隊が今月末までに到着するための準備を行うという。
アラブ連盟はシリア政府に経済制裁を科したり、和平案を国連安保理に提出すると警告したりするなど、同政府に対する圧力を強め、和平案への合意を要求。アサド政権は19日、監視団受け入れを明記した同案に署名した。
一方、監視団受け入れ直前の今週、人権団体「シリア人権監視団」によると、北西部イドリブや中部ホムス、南部ダルアーで弾圧により130人以上が死亡。同団体は、監視団が到着する前に政府がイドリブやダルアーで弾圧を強めているようだと指摘した。
英国を拠点に活動する人権団体「Avaaz」は22日、反政府デモ弾圧による死者は、政府側も含めて6237人以上に上るとし、そのうち少なくとも400人は子どもだとしている。


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11年12月27日には、アラブ連盟の監視団本隊がシリア入りした。団長のムスタファ・ダービ団長は、ホムス入りして以降ロイターのインタビューに対し「恐るべきものは見なかった」と答えている。アサド政権軍が完全制圧して、市民を無差別攻撃したり過激な銃撃戦をやっていたということはなかった、ということである。

アサド打倒を狙う連中にとっては、濡れ衣だった、で終わっては、念願の戦争勃発に繋がらない。何としても、軍事介入できる理由が必要とされた。しかし、これといった成果が何一つ得られなかった上、アサド大統領の無実の証拠だけが報じられてしまうことになった監視団は、年明けすぐに撤収命令となってしまった。わずか1週間程度で、引き揚げたのである。
ここで監視団が留まり続けていれば、無駄な血が流されることはなかったかもしれないのに、だ。アサド政府軍が、欧米報道のような残虐行為をやっていたわけではなかったことがバレてしまっては、困る連中がいたんだよ。暴徒対処は、軍隊ではなく治安部隊がやっていたわけだし。政府側は、テロ鎮圧行動をとっていたに過ぎない。

>http://jp.reuters.com/article/2012/01/02/tk0697308-syria-arab-league-withdrawal-idJPTYE80100N20120102


何が起こっているか世界の人々がよく分からないまま、12年2月には米国大使館の撤収にはじまり、英仏大使館もこれに右に倣えで在シリア大使館を閉鎖した。日本大使館は、これに遅れること約1カ月後、同じく撤収となったのである(日本の方が遅かった理由というのは、明らかではない。これまで日本大使館の方が現地に長く留まり続けた例というのは多いのだろうか?)。

4月、今度は国連監視団が入ることになった。安保理決議で派遣されることが決まったわけだが、4ヶ月後の8月には撤収が決まった。停戦に効果がないからという理由で、だった。治安悪化の最大の理由は、反政府テロ集団との小競り合いが続いていたことであり、小規模戦闘が繰り返され、数百~千人レベルでの死亡者が出ていた。

そして、この撤収翌日、8月20日に、ジャーナリストの山本美香さんが射殺された。
戦争を生み出す為である。
シリア政府軍を攻撃する口実にしたいが為だ。
政府軍による銃撃で射殺された、と公表したのは、自由シリア軍の報道官という人物だった。日本人ジャーナリストなんかに、シリアで起こっている本当のことを報道されては困ることがある、ってことだ。日本人にテロの恐怖を植え付け、アサド政府軍の罪を喧伝することに利用されたんだ。


1月のアラブ連盟監視団を撤収したことも、国連監視団を増強せず、或いは平和維持軍の派遣に繋げることもせず、敢えて「騒乱を長引かせたい」と。「ここでやめてもらっちゃ、困る」という連中が、大勢いたんだよ、シリア国外には。

12年10月には、ブラヒミ国連・アラブ連盟合同特別代表らの停戦案がアサド政府と反政府勢力とに提案されたが、履行されることはなかった。わざと停戦合意を破るように仕掛けていたからさ。もう、次の行動の絵図が出来上がっていたから、だ。

そして、11月、いよいよ米国が本腰入れて参戦する準備が整ったかに見えた。

>https://kotobank.jp/word/%E3%82%B7%E3%83%AA%E3%82%A2%E5%9B%BD%E6%B0%91%E9%80%A3%E5%90%88-190351

2011年1月から続いているシリア騒乱の中、バッシャール・アル=アサド政権への対抗勢力として12年11月11日に結成された政治組織。反体制各派が合同し、軍事組織「自由シリア軍」をも傘下に収めた統一組織として発足した。発足時のメンバーは約60人。代表は、穏健派イスラム教説教師でイマーム(イスラム教徒の統率者)であるムアーズ・アル=ハティーブ師。発足当日の11日から13日にかけて、湾岸協力会議、アラブ連盟、フランス、米国が、シリア国民連合を「シリア国民の正当な代表」として承認、アサド政権後の受け皿となる暫定政府づくりを促した。
(2012-11-16)

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このように、米仏とGCC・アラブ連盟が協力して、アサド排除を既定路線とし、暫定政府を承認することとしたものである。拙ブログにおいては、「尚早の承認」ではないかと指摘したものだ。
アラブ連盟は13年3月にこの団体の加盟資格を正式に認めた。つまり、外形的に正統な代表政府ということにした、ということ。シリアが内戦状態であるとしても、正統政府をアサド政権から反政府テロ集団に移動させることになれば、重大な国際問題となるわけである。
こうした「アサド政権憎し、アサドを排除すべし」という目的の為に、反政府テロ集団であった武装勢力に、米仏やGCC諸国を筆頭とするアラブ諸国が実質的に軍事支援を続けたことが、シリアの現在の崩壊を招いたのだ。
初期の対応が根本的に誤っていたから、ここまで悲惨な状況を生んだのだ。

外国政府を転覆せんが為に、米仏GCC諸国がテロ支援を継続した。本当に邪悪な連中は、誰なのか?テロ支援国家たる、米仏ではないのか。


6)フランスが加担したワケとは?

これも陰謀論的な話でしかない。ただ、英国がシリア問題対処で米国との共同歩調を拒否したこともあって、米国は誘える仲間がいないと踏み切れないという態度だったろう。そこで、袖にされた英国ではなく、フランスに転じたわけだ。すると、話に乗ってきてくれることになったわけである。


フランスでは、権力交代時期が重なっていたことが、シリア問題の片棒を担ぐことになったであろう。
サルコジ大統領は、どちらかと言えば「英雄」タイプであり、オバマ大統領の言うことをすんなり聞いて、どうこうしたいと思う人間ではない。もっと「自分が世界の中心だ」的な発想の、叩き上げ系の人間である。リーダーのタイプとしては、プーチンに近い。なので、独自路線というものを信じてきたし、大事にしたいわけだ。他人の指示だの米国の連なりだのといったものに、興味はないのである。

サルコジには、野望があったはずだ。以前から書いてきたが、中国との関係重視で、IMF改革―SDRと人民元―問題にいずれ踏み込みたいと考えていたであろう。

米国がフランスへの締め付けに使った最初の手は、ルノー日産の問題だった。多くの人は忘れたか気付かぬうちに終わってしまったかもしれないが、ちょっとした事件だった。因みに、米国が好んで用いるようになったのが、自動車会社叩きだということは覚えておくとよい(三菱とて例外ではなかった、ということは記憶しておくべき)。トヨタバッシングで効果絶大だったからね。VWの問題にしても同様。発覚経緯は、全て「盗聴、のぞき見」の集大成の結果である、ということだわな(笑)。


・ルノー幹部が中国へ情報漏洩したとされる事件は、「でっち上げ」
11年3月>http://www.afpbb.com/articles/-/2790593

この問題が発覚した当初、ルノー幹部が仏検察の取調べとなり、ゴーンさんはサクっと首切りをした。けれども、事件そのものがでっち上げだったことが判明。でも、米国はこれで終わるはずがない。次の一手も当然あった。

・ストロスカーン前IMF専務理事の事件
11年7月>http://blog.goo.ne.jp/critic11110/e/274685b14fb9f5a88e37b647cf1786a2


サルコジは次第に政治力を殺がれていった。12年に入ってからは、自らの大統領選に忙殺されてしまった。しかも、リビアコネクションが醜聞として報じられ、カダフィ大佐からの巨額資金授受などで評判を落とした。そして、大統領選挙の結果、オランド大統領の誕生となったわけである。サルコジは去った。
さて、オランド大統領に交代して間もなく、サルコジ時代には冷たくあしらってきた米仏関係の改善が図られることになった。その効果は即、目に見えたわけだ。
それが、シリア問題における米国と一致協力して反政府テロ集団を「政府代表」として承認を与える、というものだった。先進国では、フランスだけが歩調を合わせたということ。
(ユーロ安は、その恩恵かどうか分からないが、オランド交代後に大きく戻したでしょう?偶然かな?ん?どう?その後に、ロシアのルーブルが売り込まれたのも、ただの偶然だと思いますか?通貨は攻撃手段なのだよ、米国側にとっては。だから、世界の通貨改革なんぞやられたら、米国の特権的地位を失うから恐れているし、それを封じよう、邪魔しようとするんだよ)


オランド大統領は、よき同調者であり、今年初めにフランスでのテロ勃発とその後のイスラム国退治の一連の活動は、そうした成果なのだよ。


7)まとめ、とか、その他雑感諸々

もしも、米国以外の主要な同調者が現れなければ、シリアへの破壊工作は中断か諦めていたかもしれない。しかし、12年中には攻撃開始ができそうだと予定を立てていた軍関連の方面からすると、本格参戦ができなかったことが大いなる誤算だった。
仕方なくお友達を待って(フランスだ)、GCCを軸とするアラブ連盟で「有志連合」を形成し、正統政府の入れ替え儀式をやって、さあ13年にはシリアへの本格攻撃だ、と仕切り直したわけだよ。化学兵器攻撃というのも、そうした軍事介入の正当化に用いる口実として用意したものだった。



当初は、アサド政権の「人道上の罪」で攻撃しようとした。市民弾圧、と。
しかし、監視団は正直に報告してしまい、その根拠が極めて弱いということになり、小規模戦闘を現地テロ集団(ヌスラ戦線とかアルカイダのお友達とかみたいなのも含む)に託して時間を稼いだ。
次が、シリア内戦として、正統(自分たちが承認した)政府との軍事協定、からの8章適用ないし集団的自衛権行使を目論んだ。
が、これも「でっち上げ感」満載でロシアとかには簡単に見破られて、ちょっと待ったということになったわけだ。
それで、もっとテロの凄いのを口実にしよう、ということで、イスラム国立ち上げで、イスラム国への攻撃を隠れ蓑にして、アサド政府軍への攻撃を繰り返すということになった。

イスラム国のプロパガンダは、よく効いた。違法だろうと、堂々とシリア領内への空爆を有志国連合が繰り返したくらいだから。
しかし、その嘘も長続きはしなかった、ということ。


遂には、ロシアが参戦することになった。
ロシアがグルジアに介入した後、南オセチアで現在のシリアのような紛争が続いて住民がみな脱出し、難民になったという話を聞かないが、それはどうしてなのだろうか?
むしろ、停戦に強力な効果が発揮されたから、ではないのか?


シリア難民の真の敵は、米仏であり、彼らが支援したテロ部隊である。善人の顔をした邪悪な連中が、紛争を煽り、テロを支援し、育て、武器を与え、全てを破壊させたということである。どうりで、イスラム国が破竹の進撃を続けたわけだな。


シリア難民はアサド転覆戦争の犠牲者

2015年10月08日 14時09分23秒 | 外交問題
世界中が数百万人にも及ぶシリア難民問題について、高い関心を持つようになったが、このような惨状が生じた最大の責任は誰にあるのか、よく考えてみるべきである。これほどまでに事態が悪化する前に、厳しい批判の目を向けておくべきであったのだ。それができなかった為に、壊滅的な状況となってしまった。


シリア問題については、過去に拙ブログで取り上げてきた。


12年8月>http://blog.goo.ne.jp/critic11110/e/b3314873404dcf29512d58a4143a804f

13年8月>http://blog.goo.ne.jp/critic11110/e/ed32bb044e401db26eedc835b8647143

13年9月>http://blog.goo.ne.jp/critic11110/e/808b0173b976212af4c721c37b261b46

15年2月
>http://blog.goo.ne.jp/critic11110/e/6e8003678144e5aaaa05e76e50bfc249
>http://blog.goo.ne.jp/critic11110/e/9bd2212390f5f52161566e6f0483925d


最近になって、ロシアがシリア政府への軍事支援を開始するに至ったが、拙ブログでは基本的な考え方は変わっていない。

そもそもの発端は、2011年の「アラブの春」といった革命機運の高まりということではあるが、それは人為的に発生させられた運動であり、その主導的役割を担ったのは米国であろう。煽動工作活動が、見事にうまくいった、ということだ。

その便乗として、シリアを親イスラエル・親米政権に統治させたいという目論見があったものと考えている。それが、アサド政権の排除計画であり、これは米国単独のものでなく、加担した国々は当然あった。

真の敵とは、一体誰なのか、それをよく考えてほしい。
拙ブログなりにこれまでの流れを整理し、簡単なまとめとして書いてみたい。


1)アサド大統領は極悪人だったのか?

テレビ映像でシリア難民がスマホや携帯を普通に使っていることに気付いた方々はいるだろう。ニュースやネット情報でも、現地に残っている人たちが、やはりスマホやネットを使っているということをご存じかと思う。

ここで、ふと疑問に思いませんか?
どうして、ネットワークが使えているのかな?と。戦火でボロボロのシリア都市部ですら、WiFi環境が残っているということを、不思議に思いませんか?
スマホの提供会社の通信網は現存しており、どういうわけだか完全破壊からは免れている、ということなのですね。
普通の激戦状態の国であると、放送・通信網は乗っ取られるか、それを妨害・阻止する為に設備は破壊されるでしょう。敵軍に鹵獲されて利用されるより破壊して逃げた方がよい、ということはよくあるのです。特に、相手がテロ勢力である場合、軍用の通信手段は保有していないことが普通であるので、携帯やスマホ通信網というのは、重要な通信インフラということになるでしょう。これをそのままにしておく理由というのは、ないわけです。


もしも、世間で喧伝されるが如く、アサド大統領が非情で極悪非道ならば、どうして一般市民に通信網を利用させておく必要性があるのでしょうか?北朝鮮とか中国共産党がやっているみたいに、制限を厳しく課すこともできるし、アクセス制御や情報統制も可能なはずです。政府軍関係者以外は使用できなくすることなど、難しいことではないでしょう。
仮に、反政府勢力に施設が占拠されてしまった場合であろうと、主要な基地局を破壊できれば、全部を使えなくすることはできるでしょう。シリアにスマホ通信網の供給業者が何十社も存在していて、残存通信網が何回線もあるのだというのも、ちょっと信じ難いですね。

この一事からでも、北朝鮮レベルの独裁国家とは思われず、中国の情報統制水準よりも緩いのではないか、としか思えないわけです。


騒乱以前では、日本人留学生がシリアに行っていたこともあるし、日本語教師としてシリア在住の人もいたようです。普通に考えると、極悪な軍事独裁者が支配する国に留学したり就業したりしに行くとは思えませんから、極端に迫害や統制が酷いとか文化・生活水準が著しく低いということではなかったでしょう。戦火の中でインターネット網やスマホ通信網の新設工事は行いませんから、2010年以前のインフラですら、それらが普通に利用できる程度には生活水準は保たれていたということです。
他には、シリアが国連の機関等から、虐殺が非人道的だとする非難が度々出されていたということもなかったのであれば、最悪レベルの極悪国家とは思えないわけです。アサド批判で出されるような、悪魔の権化が如しというのはプロパガンダに過ぎないのではないかということです。


2)2011年以前のシリアはどうだったのか

度々テロによる攻撃を受けていたことはあったでしょう。
ダマスカスにおいては、04年から毎年自爆テロが発生し、死傷者を出しています。また、06年には在シリア米国大使館の襲撃事件が発生、治安当局が対テロ戦を徹底して行う必要性に迫られていました。
アサド政権が自国民に発砲し死亡させた事件としては、08年3月に3人死亡、5人負傷、10年3月にも1人死亡、数名負傷ということがあったようです。いずれも、治安当局が、テロ犯罪を攻撃するということで発生した死傷事件であるということです。もしも、真に極悪非道国家だったのであれば、死傷事件のニュースなどは情報秘匿となって、海外に知られることはないでしょう。それに、反政府主義者たちを根絶やしにする為に、大規模な掃討作戦で殺しまくることがあっても不思議ではないでしょう(因みに、米国ははるかに大勢の民間人を世界中で殺害しまくっており、数千~数万人規模で殺害したテロ国家である)。

けれども、そうはなっていないわけです。
テログループは、主にクルド系の反政府活動を行う自爆攻撃をも厭わない連中です。シリアの治安維持の為に、自爆テロを行う犯罪者たちを射殺することがあっても、やむを得ない場合もあるのではないか、アサド政権が対峙していたのは、そうしたテロリストたちだったとしか言いようがないのです。


イスラエルとの関係で見れば、レバノン問題というのが最大の焦点だったろうと思いますが、どちらかと言えば、シリア側から攻撃的になるということはなく、むしろ退いていったものと思えます。シリア軍のレバノンからの撤退によって、イスラエルの増長は激しくなり、イスラエルはシリアへの空爆やガザ地区攻撃などの軍事行動が非常に目立つようになったのです。まさしく後顧の憂いが退縮したことで、思う存分に攻撃できるようになったかのようです。

振り返ってみれば、2000年代において、イラク、アフガン、イエメン、ソマリアなどが問題視されていたわけですが、これにイランや北朝鮮が加わっているとして、シリアが極悪非道の軍事独裁国家で、残虐暴君のアサド大統領が人道上の大問題である、ということなっていなかったのではないかということです。


3)シリア陸軍はなぜ弱体化したのか?

騒乱の当初であると、反政府テロ集団が対抗できる戦力というのは、たかが知れていたでしょう。あるのは、カラシニコフくらいだったはずです。
さて、叛徒が2~3万人で政府軍を攻撃できたとして、手持ちの武器が自動小銃のみであると、シリア正規軍の陸軍戦力に対抗できたでしょうか?
その可能性は、極めて乏しいというのが、拙ブログでの見解です。たとえ叛徒の勢力が5倍とかになって、10~15万人が各地で蜂起してシリア政府の正規陸軍と戦って勝利できるかというと、甚だ疑問です。

2011年の主な騒乱は、民衆の暴動であり、放火や爆弾テロといったものが主流でした。治安部隊への発砲や攻撃というのもあったわけですが、それでも銃撃戦程度であって、市民への被害レベルは限定的であり、街中が瓦礫の山と化すような戦闘にはならないでしょう。たとえ国際社会から批判を浴びたとしても軍隊を出動させるだろうし、戒厳令を敷いて軍隊が完全に制圧してしまえば、暴徒程度は雲散霧消できるし、自動小銃程度の攻撃能力しかない反政府テロ集団が陸軍部隊を壊滅できるはずもないでしょう。
アサド政権は無差別に住民を虐殺していたのではなく、むしろ軍隊による徹底した制圧戦を実行しなかったので、デモや暴徒が長期化したものと思われるのです。


また、シリア陸軍には、ある特徴があります。それは、戦車の保有台数が非常に多い、ということです。世界中のベスト5に入るほどに、戦車を有しているのです。その全部がフル稼働できなくても、主砲が使えずとも弾避けにはなりますし、機銃掃射レベルなら反政府テロよりも圧倒的に強いでしょう。4千両のうち、1500両しか使い物にならずとも、相当な戦力であることは間違いありません。

旧式のT-72やT-64であろうと、反政府テロが有する自動小銃に比べ、圧倒的に有利なはずです。ところが、空軍基地を反政府テロに占拠されてしまったりしているのですね。遮蔽物の少ない空港で、歩兵戦力だけで、政府軍を完全排除できるものなのだろうか?装甲車両は、政府軍がたくさん持っているのに、です。


本当に戦車千両を相手に、歩兵が自動小銃でもって、戦って勝てるものなのでしょうか?そんなことは、到底考え難いでしょうね。

特別の支援がなければ、戦車部隊を相手に勝てるはずがない。特別の支援とは、第一に安価な対戦車兵器を十分に行き渡らせること、第二に対戦車ミサイルで攻撃できる無人機なんかが支援すること、第三にもっと規模の大きい航空支援攻撃ができること、でしょう。

当初の市街地戦で安価な兵器による攻撃が継続されたが、効果を挙げるには時間がかかったはずです。シリア陸軍だってバカではありませんから。
そこで、無人機攻撃が豊富にできるであろう米国やイスラエルが大活躍で、膠着状態の戦闘箇所で、政府軍の戦車を攻撃し破壊していったのではないかなと。これにもそれなりの時間を要した、ということになりますか(恐らく、本格投入となったのは、2012年末頃か13年に入って以降ではないでしょうか)。
大規模航空支援をするようになったのは、「イスラム国」喧伝でうまくいくようになってから、で、14年の夏以降、そして有志国連合でアラブ諸国も空爆参加するようになったというわけです。この頃になると、シリア軍の持つ対空ミサイル兵器はほぼ完全に沈黙状態にできるようになったから、でしょうね。破壊し終えたか、制圧(捕獲)したか、です。例えば戦争慣れしてないUAE空軍が空爆に参加して、これが楽々実行できるというのは、対空兵器の心配は極めて少ない(反撃はほぼゼロ)ということを意味するんですよ。


多分、シリア陸軍の戦車の数が多かったので、そこを潰すまでに時間がかなりかかった、ということではないかと思います。長期化の最大の理由は、これではないかな、と。シリア正規軍がテロ集団と同等レベルにまで弱体化したことによって、イスラム国のような軽装武力でも対抗できるようになってしまった、ということではないかな。



4)「たる爆弾」による攻撃は、本当に政府軍によるものか?

樽状の容器にガスボンベや可燃物などを大量に詰めて、金属片なども多数入れておき、殺傷力を高めてある急造の爆弾、ということらしい。
これがシリア政府軍によって大量投下されており、そのせいで民間人の死傷者が大量に出たという説明が付けられているようなのです。

この説について、本当にそうなのか疑問に思うので、書いておきたい。

いつ頃から、たる爆弾が投下されるようになったか、知らない。
ただ、初期の頃の反政府テロ集団の戦力と言えば、小銃しか持ってないのであれば、爆弾で攻撃する機会は、殆ど皆無に等しいでしょう。つまり、シリア空軍が航空戦力でミサイルや爆弾などの兵器類を消耗することは、殆どなかっただろう、ということです。市街地にバラバラに分散する歩兵に対し、一人や二人の攻撃の為に爆弾を投下してビルを吹っ飛ばす理由がない。

そんな無駄なことをするくらいなら、地上部隊が戦車隊と共に展開して掃討する方が確実だし手っ取り早い。シリア空軍が保有する攻撃機で地上攻撃をするのには、相手の戦力が相当数集結している拠点とか、比較的大きい戦線になっていて突破がどうしてもできないような場所になっていないと、空軍による攻撃という意味がない。

正規軍の進軍突破を阻止できるほどに強力な機銃陣地とか、相当数の歩兵の展開とか、そういう地点じゃないと攻撃目標が定まらない。


例えば民間人100人いるビルに、テロ2~3人がいて、治安当局と銃撃戦になっている時、そのビルを空爆して完全破壊するということは、想定しづらいということ。テロ部隊100人くらい、政府軍も数百人が撃ち合いになっている場所って、民間人がそのまま残っているような場所なのか?
しかもそこが、たる爆弾で空爆される、というのは、政府軍さえもが一緒に吹き飛べってことだよね?


たる爆弾は、あまりに疑問点が多い。
・そんなに爆発力があるのか?:
写真などで見ると、ビルがかなり吹き飛んでいたり、街角全体にブロック(コンクリート?)の破片が相当広い範囲に飛び散っている。ガソリン満タンで落としたって、ここまでの爆発力があるとも思えないわけだが。建物半分を吹き飛ばすには、かなりのガス爆発みたいなことにならないと無理。隣の建物とか、壁ごと吹き飛ばせないし。そういうのは、超巨大な樽じゃないと無理だ。

・どうやって点火できるのか?:
樽状の物体を落下させた時、着地した衝撃で毎回爆発させることってできるのかな?通常の爆弾だと信管みたいなのがあってきちんと爆発するが、たる爆弾は空中姿勢を制御できないから、落下面を一定にできないので、点火方法がない。直接点火してから落とすのか?火炎瓶みたいに?

・攻撃機にどうやって搭載でき投下できる?:
シリア空軍にはスホーイ24か何かの攻撃機がある、ということらしいのだが、たる爆弾を投下するとして、どうやって吊り下げる?あんまり太っちょでズングリな形だと、地面に着いちゃうんだよ?
お手製の爆弾だとして、パイロンに付かないと運べない。しかも、それがスイッチ一つの操作で投下できなければならないんだよ?よほど精巧な作りをしないと、無理では。


実際のシリア国内の写真
参考>http://www.afpbb.com/articles/-/3062281?page=3


運搬、投下、点火、爆発という一連の方法を考えてみても、たる爆弾がそんなにうまく爆発させられるというのが、不思議。ジェット攻撃機で投下攻撃なんかできるかな?
本当に政府軍攻撃機による投下だと誰が分かるのか?
ヘリか、投下口のある低速プロペラ機(輸送機?古い爆撃機とか?)とかなら、点火して落とすとか何らかの方法で爆発させられるかもしれないが、普通のジェット攻撃機では恐らく困難だろう。
これを、目視攻撃で、政府軍と対峙している敵勢力が展開しているであろう「辺り」に、どういう風に落下するか分からないけど、適当に落としてみるってことだよ?

どんだけ一か八かの作戦なんだ。
味方損害が出たらどうするか、って考えるでしょう?ならば政府軍が遠く離れている場合に使われると?
それは政府軍と戦闘していない場所なのに、反政府テロ部隊がそこら辺に集結している、とかが何故かシリア空軍にはまる分かりで(米軍みたいに無人機や衛星があるわけじゃない)、そこの辺りに適当に攻撃してみろ、と命令が来て、たる爆弾で空爆?
命中させる方が極めて困難で、まぐれ当たりを期待するしかないのに?


前述したように、当初空軍による攻撃は必要性が乏しかったはずであり、空軍のミサイルや爆弾類はほぼまるまる使われずに残されていても不思議ではない。そうであるなら、空軍力を活かすのならば、ミサイルや対地ロケットや機銃掃射などが選択されるはずだろう。それとも、戦車が何両か奪われて、それを爆撃とかならまだ分かる。けれど、たる爆弾で空爆という意味は、軍事的にはほぼ皆無だろう。住民への嫌がらせか、政府軍に罪をなすりつける為か、というものでは。

反政府テロ集団に、空軍基地を奪われたという報道があったやに記憶しているが、正規軍人でなくヘリのパイロット程度の能力しかないなら、そういう素人集団がやった可能性があるのでは。素人ゆえに、お手製爆弾を積んで、投下してみるということはあり得るのではないだろうかと。ジェット攻撃機は専門的訓練を受けた人間じゃないと無理なので。

それと、参考に挙げたAFPの記事に、毎日朝夕のだいたい決まった時間に軍用機が飛んでくる音がする、というのは、もしもそれがシリア政府空軍なら十分な運用能力がまだ残されている、ということではないかと。偵察飛行を毎日決まって行える、というだけで、空軍部門の余力がないと無理な話だろうと思うので。
そうであるなら、有志国連合が易々と空爆しに行ってるのは、ちょっとおかしいな。対空戦闘をケアしなくていい、なんてことはないわけで、対地攻撃任務に専念できるというのは、かなり疑問だな。

(もし米軍の無人機なんかが毎日飛んでいる、ということなら、話の筋が通るねってとは思う)


(つづく)



天津大爆破事件の真の狙いはどこにあるか

2015年10月04日 13時46分30秒 | 社会全般
今年8月に天津で起こった巨大な爆発であるが、具体的な情報は未だに明らかになっていない。原因についても、未解明のままである。


それに類似する連続爆破事件であるかのような事件が、中国の広西チワン族自治区でつい最近発生した。


>http://news.tbs.co.jp/newseye/tbs_newseye2603399.html

中国南部で起きた連続爆破事件で、現地メディアは「容疑者の男が現場で死亡していた」と伝えました。
 中国国営の新華社通信によりますと、広西チワン族自治区の連続爆破事件で、容疑者と特定されていた33歳の男が現場で爆発に巻き込まれ死亡していたことを警察がDNA鑑定などにより確認したということです。
 また、犯行の動機については、男が、働いていた採石場をめぐリ、近隣の住民や関係機関とトラブルになっていたことを挙げています。
 先月30日から1日にかけて18件相次いだ爆発で、これまでに10人が死亡、50人以上がけがをしています。(02日20:21)


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天津の事件との関連性は明らかになっていない。が、今回の一連の事件は、天津の巨大爆発とは傾向が異なるもののように見える。

連続爆破事件は、割と素人っぽい単純なものが多いようだ。それに、爆発規模も限定的である。全く比べ物にはならない。もしも、爆死したとされる33歳容疑者男性が、天津の事件と今回の連続爆破事件の同一犯であったとすれば、自治区での爆発規模を抑える理由というものはあまりなく、破壊効果の大きい爆破を狙っていたことだろう。男は敢えてそうしなかった、ということだ。採石場で用いる発破の火薬類での爆破、といった線なら、割と単純で筋書きもなるほどということになる。


今回の連続爆破事件は、天津の事件を覆い隠す為のものであるか、あたかも同一犯による犯行、といった印象を与えるものだ。


バンコクで起こった連続爆破事件についても、ウイグル人の関与ということが言われていた。

>http://www.afpbb.com/articles/-/3060146


この犯行部ループと、中国自治区での爆破事件に関連があるものではないかもしれないが、どちらの事件も天津の巨大爆破とはレベルが違うものである。


何故、天津の巨大爆破が起こったか?
化学物質の杜撰な管理?
一か所にシアン系の有毒な薬品類が保管されていたから?
そんなことが理由で、あれほどの規模の爆発が起こるものだろうか?



以下に、ある空想小説の筋書きを書いておく。


元々は、「外国からのミサイル攻撃」というものを作り出せるかどうか、という検討から始まった。
まるで核ミサイルか何かの攻撃のような、そういう現象を人為的に生み出せないかということを考えたのだ。プランがあれば、実験することになる。それが組織というものだ。

実験は極秘裏に行われた。
当然、うまくいった。爆発の原理は使えそうだ、と。

次は、実践投入である。実戦ではなく、実践。
大がかりな下準備が怪しまれることなく実行でき、爆発の被害規模の観察ができる場所が選定された。それが、天津のあの場所だった。

爆発はいくつかの段階に分かれており、初期爆発・炎上と計画通りに最終的な爆発がもたらされることで「最後の一撃」が発生するというものだった。
実践は、想定通りに、上々の出来だった。唯一の難点は、ステージが進むまでの時間が思ったより長くかかってしまったこと(それで最終爆発より前にニュースが流れてしまった)だった。また、失敗ではなかったものの、中国当局がもっと情報を抑制し隠すと想定していたが、意外にも映像などが公開されてしまい、余計な詮索を招くという心配をせねばならなかった。そこで、仕方なくバンコクでの爆破事件を用意したが、インパクトが違い過ぎてあまり役に立たなかった。


もしも、あの爆発が日本のどこかで起これば、事前に「某国Xからのミサイル攻撃が来る」という緊急警報をネットやメールやラジオやテレビから一斉送信し、その予告通りに「着弾した」という現実を目の当たりにされれば、効果絶大は間違いなしだ。

日本の都市のどこかに、ポッカリとあの巨大なクレーターができ、周辺の建物が破壊され、多数の死傷者が出ることになれば、否応なく戦争に突入することになるだろう。躊躇う日本人など、あまりいないだろう。もし反対する人が出たとしても、少数派だし「もっと大勢が殺されてもいいのか」と糾弾されることなって、最終的には戦争を支持することは間違いないだろう。


あの巨大な爆発をミサイル攻撃だと言われて、それを信じない人などいるだろうか?
日本政府の公式発表がそうであり、事前に攻撃が来るとまで警報を出しているのだから、政府が人々を騙していることなどあり得ないだろう、と圧倒的大多数の人々が考えるのは何らの不思議もない。

深刻な被害を受けた後で、戦争を反対する者など、そういるものではない。
すなわち戦争の準備段階は整った、ということである。日本の政府も協力態勢を構築し、法制度も完備したので、後はいつやるか?

  今でしょ!

の言葉が、どこかでこだまする。

◇◇◇◇◇◇


ヤラセ、でっち上げ事件というのは、現代でもよく用いられる手法なのですよ。

参考:
13年9月
>http://blog.goo.ne.jp/critic11110/e/dd3c160cfc9a245c383c731fd6ccb663
>http://blog.goo.ne.jp/critic11110/e/b97676ce70276f2fa13a664b7f6d7ddd




楽天銀行の口座凍結措置は杜撰ではないか?~その3

2015年10月02日 13時25分05秒 | 社会全般
楽天銀行の口座凍結に関する謎は、未だ解明されていない。あまりに理不尽というか不自然である。


今回は、追加情報を発見したので、補足しておきたい。


まず、最初の話はコレ。

>http://thutmose.blog.jp/archives/44121238.html


記事中には、先頭に件数と被害額があり、H26年には激増している、というような印象を与えているわけである。一見すると、まあそうなのかな、と思わせるものである。が、実際にはそうではないのだ。
この示されたデータというのは、取引停止対象となる犯罪利用口座の件数や総額ではない。単なる「ネットバンキングによる不正送金の被害状況(件数、金額)」である。

すなわち、振込も引き出しも全くできなくなった口座、ということではない。逆に、口座を凍結されていれば、犯罪者の別口座に送金されずに済んだが、犯罪者が好き勝手に振込できる状態だったので、不正送金され被害に遭ったということ。
この件数は、楽天銀行等の口座凍結措置を受けた口座数とは、直接的には関係がない。


>http://www.yomiuri.co.jp/science/goshinjyutsu/20150918-OYT8T50097.html

先日に、この記事が出ており、H27年分の数字も追加されている。グラフも数値も出典が同じものだ。具体的に見れば、例えばH26年の件数がどちらも合計1876件で一致している。


なので、最初の記事中での件数や被害金額というのは、楽天銀行の口座凍結の説明にはなっていない、ということ。
被害者側の口座凍結とか廃止は一般人の口座凍結と無関係。また、不正送金を受ける先の口座は犯罪者保有(か支配)のもので凍結されても当然なので騒ぎにならない。そこから一般人宛て(例えばオークション代金とか)に振込があるというのは、通常考え難い。中継口座として利用された場合を想定すると、犯人利用口座宛てに身に覚えのない振込記録が残るから、被害者となる立場であって、そういう人たちは「勝手に口座凍結された」とは騒がない。


ネットバンキングによる不正送金被害、これに係る口座という点から、楽天銀行の口座凍結(取引停止措置)の説明を導くことは困難である。一般人の取引停止措置を受けた口座が増加している、との説を補強する材料にもなっていない。



それから、今日の読売朝刊に出ていた事件だが、ネット配信されていないようだ。概要は、毎日と埼玉新聞に出ていたようだ。

>http://mainichi.jp/shimen/news/20151002ddm041040196000c.html


マネーロンダリングを国内口座を用いて行っていた、というような詐欺事件らしい。読売記事ではもうちょっと詳しく出ているので、そちらから引用する。


(一部引用)

発表などによると、4人は共謀し、2013年12月、杉本容疑者が管理する法人名義の銀行口座に、マレーシアの熱帯魚養殖会社から振り込まれた現金586万円が詐欺事件の被害金と知りながら、銀行の問い合わせに、虚偽説明で犯罪収益であることを隠した疑い。
県警の捜査で、木下被告が管理する複数の口座には、杉本容疑者の口座など国内50口座から、計11億7000万円の入金があったことが確認された。県警が国際刑事警察機構(ICPO)に照会したところ、これらは偽メールなどを使った詐欺事件で海外13か国の貿易会社などがだまし取られた被害金と判明。県警は木下被告が口座から引き出して資金洗浄した現金をリーダー格のオノイエ容疑者に渡したとみている。



この事件から分かることがある。

ア)木下被告(別詐欺事件で公判中)の複数口座に杉本容疑者の50口座から入金
イ)木下容疑者宛て金額は11.7億円
ウ)杉本容疑者に銀行から問い合わせがあったこと
エ)詐欺事件容疑者の口座に振込してた杉本容疑者の口座は生きていたこと
オ)杉本容疑者の50口座には海外13カ国企業からの入金だったこと


ア)から、詐欺事件被告の口座に振込が繰り返される相手側(杉本容疑者)口座は、逮捕直前まで凍結されてはいなかったのではないか。詐欺の犯罪収益を隠匿している可能性の高い被告口座に対し、度々入金をしている相手側口座はそうそう簡単には凍結されていない、ということでは。


イ)から、50口座の平均振込額は2000万円超であり、楽天銀行の口座凍結を受けた人たちのような少額ではない。回数を分割しているにせよ、一回当たり送金額は100万以上か少なくとも10万単位である可能性が高く、数万といった水準ではないだろう。
月々10万円を50口座から振込でも年間6000万円しかならず、12億円近くの被害額なら20年近くかかる。これを2年で行うなら、月100万円×50口座の振込で年額6億円となる。これくらいの高額な振込を繰り返す必要があったろう。


ウ)から、杉本容疑者の管理する口座について、銀行側から照会があったということであり、有無を言わせずいきなり口座凍結措置なんて取られていない。しかも、13年12月の件が逮捕容疑になっているので、当時から今まで普通に口座利用していたとしか思われない。今よりも取引停止件数が多かった時期にも関わらず、だ。また、エ)についても、被告が逮捕・送検・裁判となっていく過程ですら、杉本容疑者への捜査が及んだのはつい最近になってから、ということで、犯罪利用が疑われた(木下被告の)口座への送金履歴のある(杉本容疑者管理の)口座が直ちに凍結されていたとも思えない。


オ)から、海外からの入金が度々、ということのようであり、楽天銀行の口座凍結を食らった人たちがそうした海外からの振込が複数回ある、といった傾向は窺われていない。勿論、犯罪収益は国内のみもあるだろうけど、何が疑わしいと判断されるかが不明である。
それに、本事件では振込実行の相手側は「被害に遭った海外企業」であって、多額の振込をした相手が犯罪者だった、とかいう話ではないようである。つまり振込人が犯罪者のようで怪しいから、杉本容疑者の口座が疑われたのではない。
例えば、振込人であるオークション相手がどうも怪しいので、楽天銀行の口座が凍結される、というのはおかしい気がする。


いずれにせよ、楽天銀行が、顧客に対し、事前に確認事項を通知して説明をさせ、その上で凍結に踏み切るならまだ分かるが、何の連絡もなく突然に凍結というのは明らかにおかしい。
それができる場合とは、振り込め詐欺被害の犯罪者側銀行口座を停止させる場合であり、それ以外には、法的根拠は希薄であろう。


続々・安倍政権の経済政策失敗は想定通り

2015年10月01日 18時40分11秒 | 経済関連
続きです。

9/4>http://blog.goo.ne.jp/critic11110/e/4ce500be71ce45add18a673e655545b9
9/7>http://blog.goo.ne.jp/critic11110/e/42c0ee78ccb210bbf47b0ddb443061e3


マイナスだぞって言っているのに、それでもなお「いやいや、これからだ、調子が出てくるのはこれからだ」みたいな、寝言を言う連中の脳みそがどうなっているのか、本当に見てみたいわ。

月例経済報告8月
>http://www5.cao.go.jp/keizai3/getsurei/2015/0826getsurei/main.pdf


速報値でマイナス成長だった後ですら、こういう危機感のないおバカ脳が政策判断をやっている、ということだわな。
>http://www.asahi.com/articles/ASH8V4J2CH8VULFA00Q.html


世の中に対しては、『個人消費は底堅い動き』だの、『緩やかな回復基調が続く』だのという、官庁のバカ作文をマスコミを通じて拡散する、と。8月26日だったので、中国経済が、とか世界中の株式市場が暴落か、とか、既に情報は分かっていた時期であるにも関わらず、である。

で、1カ月経過して、どうなった?
>http://jp.reuters.com/article/2015/09/30/gdp-idJPKCN0RU0EY20150930?sp=true


連続のマイナスか、と危惧されとるではないか。
そんなもん、難しい経済学とか知らなくても、ごくごく普通の常識があれば、誰でも分かる程度の「景気悪いよね」だろ。


もうね、本当に、バカって、永遠にバカのままで、いくら警告しても治らないから、どうしようもないね。


前から言ってるが、この国には、普通に、普通のことが考えられる人材というものが、経済界隈とか政策界隈にも、全く存在してないということだな。


14年11月>http://blog.goo.ne.jp/critic11110/e/0eddb4d096a471ac1a7e3510d1aa3e13


しかも、何から何まで判断が遅い、動きが鈍い、バカばっかり揃っているから、事態悪化をただ手をこまぬいて傍観しているのみ。

こんなんだから、世界のビジネスから置いていかれるんだろ。
どうして、政府にはこういういかれポンチしかいないんだ。経済を知らないアホな連中が、何故政策を司り、失敗ばかり積み重ねられるんだ。この国は、普通じゃないわ。

果てしなく、愚か。
とことん無能。頼んでも、ここまで無為無策の失敗を重ねることはできんわ。
大阪のおばちゃん団体に任せた方がはるかにマシ、というレベル。


看板はずせ。
無能集団に存在価値など、ないわ。