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国家戦略特区諮問会議・民間議員の独善的暴論

2017年06月26日 20時55分29秒 | おかしいぞ
アベ総理が窮地に追い込まれて、遂には「全国どこでも自由に大学」宣言を出すに至ったらしい。加計学園だ、1校だ、と文言などを責め立てられたので、じゃあ限定はしないことにするから、と。そうすれば、特区諮問会議や安倍総理の責任逃れができるとでも思っているのかね。


安倍政権が直ぐに前言をひっくり返す、という傾向があることは、前にも指摘しておいた。

5月21日>http://blog.goo.ne.jp/critic11110/e/8b4f7b08c1247ac54f22b08e1fe13b71

(再掲)

安倍政権は、過去との分断を掲げる政府であり、「全部ひっくり返す、なかったことにしたい」という態度・考えがうかがわれ、憲法議論においても、何の断りもなく「これまでの政府見解は覆すことにする」と宣言して終わる、みたいなものである。


そういう点からすると、革命的政権である、ということなのかもしれない。昨日言ったことも覆す、そういうタイプなのである。どこにも、まともな理屈もなけりゃ、説明もない。繰り返すのは、「何ら問題ない」という答弁だけである。
これを暴走政権、それとも独裁的政権と呼んだとしても、不思議でも何でもない。




アベ総理だけじゃなく、特区諮問会議の誰一人、まともな説明なんぞ出来てはいないでしょうに。まずは、その説明をしてからだろうね。

高橋洋一が矢鱈と高評価しているらしい、民間議員たちの緊急弁解記者会見の模様がアップされていたので、読んでみましたよ。
案の定、「石破4条件」を満たしていることの説明を誰もできなかったわけね。爆笑ものだね、特区諮問会議の面々は。

>http://www.kantei.go.jp/jp/singi/tiiki/kokusentoc/pdf/170613youshi.pdf


発言内容については、後で述べるとして、大雑把な論点として、八田達夫や高橋洋一なんかが言う、「そもそも規制している告示があるのが悪いんだ」論について、反論しておく。


文科省側から見た意見としては、既に拙ブログ記事で述べたので省略するが、基本的には「平成15年の小泉内閣時代、竹中平蔵が大臣でアベが幹事長だった時代に作られた、文部科学省告示第45号」があるから、である。また、平成17年中教審答申による中期計画に基づく政策決定であったものと思われる。


6月13日>http://blog.goo.ne.jp/critic11110/e/055d3bb2d8faae2403f24bc01220d7df


なので、文科省としては、告示が悪いんだと責められたとて、それは小泉内閣の閣議決定が悪かったんだ、としか言いようがなく、じゃあ竹中平蔵は反対して閣議で異議をぶってみるとか、署名を拒否する(郵政民営化法案の際、島村農水大臣は署名を拒否して、大臣を更迭されたぜ?)ことくらいはできたでしょうに。

当時、竹中自身が、文科省告示第45号にのうのうと署名し認めておきながら、今は知りませんってのもどうかと思いますね。卑怯者のやり口である。
竹中らの「構造改革、規制緩和派」が旗振り役で、大学の設置認可を大幅に緩和しろ、となったでしょう?それ故、大学院とかも増えたし、法科大学院も続々出来たし、何と言っても目玉は「株式会社立」大学の認可だったでしょう?

それまでは、学校法人とか限定的だったものが、株式会社にも大学を自由に作らせろ、そんな規制があるから悪いんだってことで法改正をやったはずですよね?
で、その規制緩和の恩恵は、どこにどのような効果をもたらしたのでしょうか?自由に設置できるようにすることが、本当に国民にとってプラスだったとでも?

潰れた大学だってあるんじゃないですかね?
ある意味、補助金泥棒みたいなもんじゃないですか?本当に、粗製濫造大学みたいなのが増える必要があったのでしょうか?
昨今では、無駄に増えすぎた大学を「統廃合するなり、特色出すなり、どうにか処分をつけろ」と求められたりしてませんでしたか?


誰でも自由に大学を設置できるようにすること、これは、本当に必要な政策だったのですか?
法科大学院や、株式会社立の大学の惨憺たる結果は、どう見ますかね?


まあ、当時には、そういう「誰でも自由に大学設置」っていう、規制緩和の攻勢が続いていたので、主に医療系が「抵抗勢力として」破壊的な大学新設自由化に歯止めをかけたい、ということで、厚生族(当時には既に厚労省になっていたけど、旧区分ということで)に働きかけて、かつては「審査の内規的条件」(閣議決定)だったものを、(審査基準の)明文化するという趨勢によって、「文科省告示」に格上げとなったのでしょうね、恐らくは。


何でも自由化の波が医学教育にも襲ってくるかも、そういう危惧が誠実な教育・医療界の人々にはあった、ということでしょう。拙ブログでは、インチキ大学をゴロゴロ作る風潮には反対であり、告示の中身を知ったのは実は加計学園問題以降だったが、必要なものだったと考える。規制なしでは、補助金詐欺みたいな、教育ビジネスが蔓延るのを防げないわ。臨床教育なんかも、そう簡単にできるとは到底思えないし。


「規制の文科省告示が悪い」論を言うなら、八田達夫はこれまで寝てたのか、という新たな問題が生じる。

それは国際医療福祉大学の医学部設置に関する問題だ。八田達夫は、特区民間議員として、その決定過程には存在してきたのだろう?ならば、どうして、当初から「文科省告示第45号を撤廃せよ」と主張しなかった?


医学部新設問題で「自由に作らせろ」と主張して、告示撤廃論を演説したら良かったでしょうに。何故、告示そのものの撤廃を言わないのだね?
で、加計学園問題が発覚して、批判に晒されたら「全部自由にしろと言ってきた」と。告示が悪いんだ、と。調子良すぎ。


前にも提示したが、医学部設置の場合には、文科省を交えた「3省合意文書」が作成されたわけ。獣医学部の場合にも、文科省は同様の手続きを踏むべきだと申し入れたが、拒否されたでしょ?そこがおかしいわけよ。


>http://www.iuhw.ac.jp/about/medicine/pdf/2015.09.17a.pdf

国家戦略特別区域における医学部新設に関する方針』と内閣府、文科省、厚労省と所管省が合意を交わしているのだよ。加計学園にも同じくやれば良かったでしょう?

出来ない理由、というのがあったんじゃありませんか?
それは、国際医療福祉大学医学部の場合には、講義のほぼ全部を英語でやるとか、海外医師招聘だけじゃなく、患者も日本人以外の外国人を想定しているとか、要するに海外医療機関と同等の施設を目指すといった、日本の「大学病院」という枠組みとは別の、特徴的な大学を作ったから、でしょう?


しかし、今治市と加計学園の場合には、当初から四国の「地域の獣医師不足」を掲げてスタートしていたので、日本のどこにもない誰もやってない「獣医師養成」なんて、架空の夢物語的であって、具体的な構想なんて浮かばなかったのでしょうね。だから、文科省や農水省を交えて交渉ってなったら、到底合意など得られそうもない、ということで、特区諮問会議で強引に突き進めばいいとなったわけだな。

そこそこ頭の回る人間であれば、全くのバカでもあるまいし、諮問会議に呼ばれる程度の脳味噌があれば、いちいち総理が力説せんでも「誰でもゴールは理解できる」はずですよ?(笑)


さて、告示撤廃論を言う人間ならば、医学部設置の前にその論議を詰めておくべきものだし、特区でどういう内閣府告示が出されたかというのは、知らないはずがないのですよ。


医学部設置の場合には、文科省告示第45号の規制にかからないようにする為の措置は、告示で行われた。


文部科学省関係国家戦略特別区域法第二十六条に規定する政令等規制事業に係る告示の特例に関する措置を定める件
(内閣府・文部科学省 告示第一号  平成二十七年十一月十二日)

第二十六条の規定に基づき、文部科学省関係国家戦略特別区域法第二十六条に規定する政令等規制事業に係る告示の特例に関する措置を定める件を次のように定める。


国家戦略特別区域法(以下「法」という。)第七条の国家戦略特別区域会議が、法第八条第二項第二号に規定する特定事業として、平成二十九年度に開設する医師の養成に係る大学の設置(法第二条第一項に規定する国家戦略特別区域における医師の養成に係る大学の設置をいい、「国家戦略特別区域における医学部新設に関する方針」(平成二十七年七月三十一日内閣府・文部科学省・厚生労働省決定)に従い、国際的な医療人材の育成のため、一校に限り学校教育法(昭和二十二年法律第二十六号)第四条第一項の認可を申請されるものに限る。)を定めた区域計画(法第八条第一項に規定する区域計画をいう。)について、内閣総理大臣の認定を申請し、その認定を受けたときは、当該認定の日以後は、当該大学の設置に係る学校教育法第四条第一項の認可の申請の審査に関しては、大学、大学院、短期大学及び高等専門学校の設置等に係る認可の基準(平成十五年文部科学省告示第四十五号)第一条第四号の規定は、適用しない。



非常に長くごちゃごちゃと書かれており、読み辛いですが、重要部分だけ取り出すと、

「(国家戦略特区の)特定事業として、医師養成に係る大学(=医学部)の設置を定めた区域計画について、総理に認定を申請し、その認定をうけたときは、文科省告示第45号4号規定(=医学部設置規制の告示)を適用しない」ということです。特区認定で医学部新設が可能になりますよ、という意味になります。

これには条件が付けられており、それが、

国家戦略特別区域における医学部新設に関する方針」(平成二十七年七月三十一日内閣府・文部科学省・厚生労働省決定)に従い、
国際的な医療人材の育成のため、一校に限る

というものです。先に示した「3省合意」が限定理由として明示されている、というわけです。



これが、加計学園の場合には、どうなっていたか?

告示の内容はこちら>http://www.kantei.go.jp/jp/singi/tiiki/kokusentoc/dai27/sankou4.pdf


上記の告示を第1項とし、第2項に追加という形式がとられました。中身は、


2  法第七条の国家戦略特別区域会議が、法第八条第二項第二号に規定する特定事業として、平成三十年度に開設する獣医師の養成に係る大学の設置(法第二条第一項に規定する国家戦略特別区域における獣医師の養成に係る大学の設置をいい、「国家戦略特区における追加の規制改革事項について」(平成二十八年十一月九日国家戦略特別区域諮問会議決定)に従い、一校に限り学校教育法第四条第一項の認可を申請されるものに限る。)を定めた区域計画について、内閣総理大臣の認定を申請し、その認定を受けたときは、当該認定の日以後は、当該大学の設置に係る同項の認可の申請の審査に関しては、大学、大学院、短期大学及び高等専門学校の設置等に係る認可の基準第一条第四号の規定は、適用しない。


となっており、見た目は殆ど同じです。当然に違っているのは、「医師の養成」ではなく「獣医師の養成」ですが、先の3省合意文書とは違う根拠が書かれているわけです。


医学部の場合には3省合意文書の決定が基本でしたが、今回は何故か「平成二十八年十一月九日国家戦略特別区域諮問会議決定」なのですね。前のは3大臣の合意、ということで決定文書だったものが、今回は「特区諮問会議」決定が来ている、と。3大臣の決定と同等の価値ってことを言うものでしょうかねえ?
諮問機関がここまで偉らくなった、と(笑)。


因みに、特区諮問会議決定のタイトル『国家戦略特区における追加の規制改革事項について』という文書は、同じ名称の文書が何十本もあるものなのですよ。非常に大事な「岩盤規制突破の告示を出すんだ」ってことなら、医学部設置の時みたいに特別のタイトルの文書でも作れば良かったのに、平凡な同名文書が多数あるものと同じくしておいた、というわけですね。「木を隠すなら、森」ってのはアニメなんかの鉄則らしいですが、それを地で行くものなのでしょうか。


要するに、元の文科省告示第45号が異常なんだ、ってことなら、告示まるごと撤廃するという議論をまずは出せよという話だし、獣医学部設置の場合の告示改正にしても、どこかインチキ臭いわけでして、「1校に限り」の文言は獣医学部の場合でも瓜二つってことで、真似するのに都合が良かったというだけではないですかねえ。




次は、記者会見での八田達夫の発言を見てみよう。


○記者 4条件についてお伺いしたいのですが、加計学園の計画というのは4条件を満たしていると思われますか。

○八田議員 当然思いますし、それは3大臣が満たしていると納得されたわけですね。

○記者 その根拠は議員の皆さん、どのようにお考えなのかと。つまり、国会審議を見ていても明確なエビデンス的なものは示されない中で、実際満たされているのかどうかというのはまだ疑問符がついたままだと思うのです。

○八田議員 まず、条件というのは元来つけるべきではないのですが、閣議決定でついたわけですね。それに対して3大臣が納得されたわけですね。私どもはもともと全部やりたいわけですから。

○記者 そういう議論ではなくて、その4つについてどういう形で満たしているのかという御認識をお聞きしているのです。

○八田議員 それは当然全部満たしているわけで、向こうが満たしていないのならば満たしていないと言うべきです。私どもはもともと全部やりたいわけですから。

○記者 つまり、先生方はどのように満たしているのか具体的に御存じないということですか。

○八田議員 基本的に説明責任は、そういう規制をつくっている農水省や文科省の側にあると思います。そちらがオーケーと言ったら、それでオーケーだと思います。

○記者 どのようにそれが満たされたかというのは御存じなのでしょうか。

○八田議員 もちろん知っていますけれども、これにはいろいろな判断がありますね。それが当該の大臣がオーケーであると言っているのに、我々がそれはだめですと言うわけはないではないですか。しかも、我々は全部通したい側なのですから。


記者に問い詰められても、答えられず。

八田達夫は、満たしていることは知っている、と断言(笑)。しかし、記者には教えない、と。どうせ言えないから、でしょ?違うなら、学者だもの、即答しているだろ。

しかも、文科省と農水省に答えさせろ、って、条件を決めたのも所管しているのも内閣府なんだが。行政の基本を知らない連中が、何故こんなに暴論をぶちまけることが許されるのだろうか。


答えられるわけがないんですよ。だって、獣医学部でしかできない、創薬の最先端研究なんて、特に決まったものがあるわけではありませんから。しかも、右も左も分からないひよっこ学生よりも、百戦錬磨の腕に覚えのある研究者を集めた研究機関の方が、研究分野においては圧倒的に優れているのは、ほぼ疑う余地がない。

国際レベルの研究云々を言うなら、ぽっと出の新設獣医学部なんぞ作るより、理研とか既存大学や研究機関を支援した方がずっと良い結果を得られるだろうね。


何でもかんでも、都合が悪くなると、挙証責任は、文科省や農水省にある、って、官僚に押しつけて、自分たちは全くの責任逃れ。
獣医師の需給は無関係だって攻撃したのは、民間議員の方だったろ。検疫職員を増加するというのも、全然違うって言ったでしょ?

自由に設置させろ、って妄言を言えるとすれば、それは国や公共団体等から、補助金等を一切もらわずに運営する、完全自立の民営型の学校だけじゃないの?税金をガバガバ飲み込んでおいて、何を言ってるんだか。


それに、たとえ4条件の適合性が八田達夫説の「文科省、農水省に説明責任がある」ってなったとしても、特区が自ら言った『獣医師が新たに取り組むべき分野における具体的需要に対応するための獣医学部』の適合性は、国家戦略特区側に説明責任、挙証責任があるんだよ。


1月4日>http://www.kantei.go.jp/jp/singi/tiiki/kokusentoc/pdf/bessi_hiroshima.280104.pdf


公募したんだから、これに適合したとされるのが、加計学園であることは確実。文科省が適合性を審査したわけではないぜ?
ならば、「新たな分野」というものの具体的な中身、それには「具体的需要」とやらが存在しており、それはどういう水準のものなのか、具体的数値なり需要見通しなりを説明出来ない限り、加計学園が合格したかどうか、誰にも分からないでしょう?

そこそこ「何らかの基準」ってのがあって、それに「到達してますね、だから公募に合格ですね」って、なるはずですよ?
だから、その審査した時の基準というものが、どういった内容のもので、合格してますねって判断したエビデンスを聞いておるのですわ。


それを、国家戦略特区諮問会議の連中も、内閣府の連中も、アベ内閣も、閣僚なり総理なり、誰一人として返答できてないのは、異常ですねオカシイですね、って話なんだわ。


医学部新設の場合なら、3省合意文書があるので、交渉結果も中身も具体的な新設大学の特徴なんかも、大体は掴めるでしょう?
文科省の方で言った言わないだの、いやいや厚労省がどうのとか、揉めないのは、文書の形で公表されておるかでしょう?何故、医学部設置はできたのに、獣医学部の場合には、これが全くないのか?って話なんですよ。


まあ、隠すべき理由というものが存在しておれば、必死でこコソコソとやりますわな。
それを実現させるべく、便利な手駒として用意されている人材というのも、分からないではありませんから。


これまで判明している情報からすると、まあ、真っ黒黒すけですわな。
ロクに説明もできないのに、よくぞまあ緊急記者会見なんぞやったもんですな。記者諸君の頑張りのお陰でした。よくぞここまで追い込んでくれました。有難うございます。


インチキを通したんですわ。
医学部と同じく、最低限の手続きを踏んでおけば、こんなことにはなってなかったであろうはずが、もうね、ボロボロですわな。諮問会議連中への眼差しってのは、ハハ―ン、となりますよ。


そこそこ知能があって、弁が立てば、口でならいくらでも言い逃れなんて、できますからね。詐欺師を見てごらんなさいな。書類とか物証がないと、口で勝てる人間なんぞ、そう多くはないですからね。



独善的マイルールを行政に持ち込む八田達夫の暴論

2017年06月13日 14時24分14秒 | おかしいぞ
八田達夫は、まるで安倍独裁が憑依したかの如く、暴君のように振舞っているようだ。いかに国家戦略特区諮問会議とて、一諮問機関の、一民間議員でしかない人間が、こうも官僚機構の頂点にでも立ったかのような言動を見せるというのは、安倍政権の特徴を示している。
平たく言えば、「俺たちゃ、何だってできる」、そういう心性を官邸もそれに連なる「おトモダチ」連中も持っているのだ。


本日の読売朝刊に、加計学園問題について、八田達夫の弁が掲載されていたので、一部引用してみよう。


『規制が正当だと証明する責任は規制する側にある』

『だが、文科省は獣医学部新設に関して、獣医師の需給関係を崩すことになる場合は審査することさえ認めていない。この制限は法律ではなく告示に基づく。獣医師会の利権を守るために文科省が作ったと言えるだろう。』

『獣医学部の新設は、国家戦略特区では新潟市が2014年7月に最初に提案しており、WG会議で何度も議論した。文科省は一校も作らせないと主張したが、その規制が正しいという理由を説明できなかった。』


八田達夫の言い分は、全て自己中心的な発想に基づくものである。彼の言い分の大半は、自身の無知に基づくものである。
八田は、これまで行政がどのように物事を決めてきたのか、それはどういう手続等を経た結果なのか、それらを一切無視している。何故かと言えば、自分自身が法体系なり、行政の仕組みなりをよく知らないからである。
これが大学教授クラスで、しかも政府の重要な会議に呼ばれ、長年審議会等の席を占めてきた人間の発言なのかと思えば、この程度の人物を重用する安倍政権と行政機構がいかに杜撰なのかがよく理解できよう。


以下に、いくつかの論点に分けて述べる。


1)官僚個人が現行法体系を変更できるわけがない

最も基本的で大原則なのが、これである。
八田の最大の勘違いというか、無知は、この当たり前のことである。仮に、八田の『制限は法律ではなく告示に基づく。獣医師会の利権を守るために文科省が作ったと言える』という主張が正しいとして、文科省が省益最優先とか獣医師会の利権を忖度して、官僚が好き勝手に「規制の告示」を出せたとでも言うのか。

安倍政権の暴走内閣府でもあるまいし、そんなことは不可能である。告示は、いかに文科省の事務次官とか局長が省益第一と考えたとしても、官僚が好き勝手に発出することは不可能である。


2)当該規制の告示は、小泉内閣が出したものである

獣医学部や医学部等の新設を制限した告示とは、
「大学、大学院、短期大学及び高等専門学校の設置等に係る認可の基準」
(平成十五年三月三十一日文部科学省告示第四十五号)

である。

言わずと知れた、構造改革を推進し、規制緩和の旗振りを盛んにやっていた小泉政権時代に告示が出されたものである。従って、告示の制定責任は、小泉内閣にあるというべき。文科省が独自に出せるものではない。告示は閣議決定の結果に過ぎず、すなわち制定責任は全て内閣に存するものだ。
八田のいう『獣医師会の利権を守るために文科省が作った』説というのは、どこにどのような証拠があるのか出してみよ。ハッタリ(笑)かね?

文科省が作ったんじゃないぞ、内閣が作るんだ、八田達夫よ。そんな簡単なことも知らないのかね?
内閣総理大臣以下、閣僚は全員署名したろ。その責任は、全て内閣が負うものだ。文科省の官僚がどんなに頑張っても、事務次官や審議官や局長級がいかに偉くて権勢を誇ったとしても、勝手に告示は出せない。内閣が許さない限りは不可能であり、それが行政の仕組みというものだよ。


3)規制の正当性の立証責任

八田が文科省官僚に「規制した理由を言え」と求めるなら、「閣議決定なので、私は変更できません」と言えば済む話である。

それとも何かね?
八田は文科省の事務次官が「告示を撤廃しますね」と言えるとでも思っているのかね?(爆)
ああ、官僚が勝手に作成して出したものだと信じているような人間なのであれば、そうだろうね。しかし、それは大間違いだ。


会社のあるルールがあるとして、例えば、毎朝社歌を歌うというのがあるとしよう。頭の悪い新入社員が、「どうして社歌を歌わせるなどという規制があるのか、その立証責任は部長にある!」って求めたとして、部長は何と答えるか?
「社長が決めました」
これで終わりでしょ。部長には、この「社歌を歌う」ルールを覆す権限は与えられておらず、その立証の責を負うべき明確な理由などないでしょうに。そんなことを言うのは、八田の独自ルールに過ぎない。どこの世界に、そんな行政の原則があるのかね?


官僚は、過去に作られた法体系を維持することはできるが、原則として自ら変更はできない。その説明責任なり、変更権限を持つのは、政治家たる大臣とか内閣であり、国会である。

なので、八田がどうしてそんな告示を決めたのか言ってみろ、とどうしても要求したいなら、小泉内閣に説明を求めるべきである。平成15年当時、自民党幹事長の要職にあった安倍に、告示制定の意図なり根拠を聞けばよいのではないか?(笑)


文科省官僚が答えられるのは、例えば
「医療従事者については、将来の需給バランスを見通しつつ、養成計画の適正化に努める。特に、医師及び歯科医師については、全体として過剰を招かないように配慮し、適正な水準となるよう合理的な養成計画の確立について政府部内において検討を進める。」(昭和57年閣議決定)
がありました、と事実を述べることは可能である。

更に、
「大学医学部の整理・合理化も視野に入れつつ、引き続き医学部定員の削減に取り組む。あわせて、医師国家試験の合格者数の抑制等で医療提供体制の合理化を図る。」(平成9年閣議決定)
がありました、と述べることはできよう。

これらの閣議決定の責任所在は、内閣に決まっており、それを文部省(官僚)が医師会に忖度だか配慮して勝手に決めた、などという理屈は通るわけがなかろうに。政治責任とはそういうものだろ。内閣が決めたんだよ、あくまでも。過去の閣議決定を、現代の官僚個人の権限で覆せるとでも思っているのか。それこそ政治主導への反抗だろ。


政策決定の説明は、原則的に政治家が負うべきものであり、当時の政治家がいない場合には、官僚は制定に至る過程を述べることは可能だが、官僚個人が当時の政策決定(列記の閣議決定等)の意図なり理由を述べるのは、必ずしも適当ではないだろう。そうした過去の経緯を後日に知る為の材料として、各種文書の保管が重要であるのに、現在の安倍政権下では「全部破棄した」のオンパレードでは、あまりに矛盾するだろう。

平成15年告示は、何故決めたんだ、理由を言ってみよ、言えないのなら俺様が「文科省が獣医師会の利権を守る為に決めたんだ」と決めるからな、という感じなのが、八田の理屈だ。
八田よ、それはあんたの独自のルール、屁理屈に過ぎないんだよ。

八田の言い分は、自分勝手な単なる決め付けであり、合理的推論でもない床屋談義レベルのものである。


4)行政には中長期的見通しがある

安倍官邸や、八田の言い分に共通するのは、彼ら個人の、ついここ数日とか数年の「思いつき」レベルで、政策決定を好き勝手に行う、という傾向である。これは、共謀罪の取組でもそうだし、戦争法案の際でも同様だった。

これまでの議論の経緯を、全てなかったことにしたり、無視することで、独自の屁理屈でもって押し通そうとする、という姿勢である。そういう輩にとっては、昨日今日で突然の政策や判断の変更がいくらでも可能、ということになるわけだ。

最高裁の判例変更なんて、大陪審などで「変更の根拠」をできるだけ精緻に述べると思うが、突然の思いつきで行動したり言辞を弄することのできる輩というのは、掌を返したように、何の説明も合理的理由も目ぼしい根拠もなしで、いきなり変えてしまうのだ。それを異常と呼ぶのだよ。


獣医学部の設置に関して、平成15年当時の文科省官僚が単なる思いつきで、制限の告示を勝手に作ったわけではない。

昭和46年中教審答申、「今後における学校教育の総合的な拡充整備のための基本的な施策について」に基づいて、中長期的な方向性が出されたものである。

例えば医学部定員は増加の年代というのがあったが、その後抑制策へと転じたわけである。
参考>http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chousa/koutou/043/siryo/__icsFiles/afieldfile/2011/01/18/1300372_1.pdf


しかし、また政策変更を受けて、08年以降には増加となったものである。
これらは、文科省官僚が勝手に決定したものではない。

防衛庁・省にも、ずっと以前から「防衛大綱」が閣議決定されてきたが、これも防衛官僚が勝手に政策変更できるわけではない。あくまで大綱に基づく整備計画というのがあるわけで、5年毎程度に見直しされてきた。これは政治的に決まるものであり、官僚の力は若干はあるが、責任所在は政治家にある。

それと同じく、高等教育の中期計画は更新されてきており、第5次の「高等教育の将来構想」(H12~H16年、五カ年計画)においては、それ以前と同様に「医師や獣医師について拡充予定なし」、というのが政策的に決められていたものである。こうした方針は、現在の官僚たちが、自己の責任において決定権限があったものではあり得ず、当時の政治的な決定過程を経たものである。ここに至る(第4次計画)まで、中期計画で拡充が予定されなければ、政策変更はなされないだろう。
これをもって、岩盤規制と呼ぶのは、いかがなものか。

全ては、決定当時の政治家の責任なのだよ。大多数の国民が獣医師の拡充を求めたわけではなかった為に、変更されなかったに過ぎない。医師については、08年以降、拡充へと大きく舵が切られたわけで、それも国民からの「医療崩壊」危機というのが社会問題化し、その対応がとられたものと考えられる。

政策変更には、相応の理由が存在した、ということであって、昨日今日の思いつきで好き勝手に官僚が政策決定できるわけではない。
それを実現したのは、安倍官邸と森友学園事件とか、本件獣医学部の設置といった、極めて異常かつ特殊な決定過程を経たものではないのかね。ルールを無視すれば、そういう暴走的な「思いつき政策」を軽々しく実行できるだろうけどね。


5)中長期計画は、平成17年中教審答申に基づく

何度も述べてきた通り、安倍の「好き勝手思いつき内閣」が過去を全部無視してやるのとはワケが違うんだよ。
審議会の議論や答申というのは、基本的に尊重されるべきものであり、それ故きちんとした議論を重ねる必要がある。中教審は教育への政治介入等を排除しつつ、議論してきたはずのものだったが、昨今ではそうした審議会そのものの信頼性は大きく地に落ちた。八田や竹中のような、それに類する輩が審議会等に蔓延るようになったが為だ。

話を戻すが、中教審答申はこれだ。

>http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chukyo/chukyo0/toushin/attach/1335594.htm


第2章 新時代における高等教育の全体像

○ 本章では、中長期的(平成17(2005)年以降、平成27(2015)年~平成32(2020)年頃まで)に想定される我が国の高等教育の将来像のうち、主として高等教育の全体像に関する事項を示すこととする。


======

冒頭は、こうなっているでしょう?まさに、今の時期を見通した計画が、これだということです。


で、獣医師に関する計画(見通し)はどうなっているか、といえば、以下の通りである。

○ これまでの高等教育政策においては、昭和50(1975)年度から平成12(2000)年度までの高等教育計画で、大学等の新増設について抑制的に対応しつつ、第2次ベビーブームによる18歳人口の急増期においては受験競争の緩和等を目的として、臨時的定員を措置するなどの政策的な対応が図られてきた。

○ 平成12(2000)年度から平成16(2004)年度においては、基本的に抑制基調が継続される中、臨時的定員の解消が進められる一方で、新分野への対応等の事情により新増設の動きは続いていた。その結果、入学定員の規模としては大きな変化は見られなかった。

○ 平成14(2002)年8月の中央教育審議会答申「大学の質の保証に係る新たなシステムの構築について」を踏まえ、平成15(2003)年度以降は、大学が社会のニーズや学問の発展に柔軟に対応でき、また、大学間の自由な競争を促進するため、抑制方針は(医師、歯科医師、獣医師、教員、船舶職員の5分野を除き)基本的には撤廃されている。


========


従って、文科省官僚が、例えば高等教育局長が、獣医師会の利権を守るべく好き勝手に決めたものではない、というのが明らかでしょう。何故、獣医学部設置はできないのか、と問われれば、

・平成15年文科省告示 第45号が閣議決定されていたから
・「平成17年中教審答申」により、『医師、歯科医師、獣医師、教員、船舶職員の5分野』についての抑制政策は維持の方針と示されたから

と答えることができる。

閣議決定は、官僚の責任範囲であろうはずもなく、また、中教審答申に基づく政策決定や方針策定は、内閣なり大臣の仕事であって、文科省官僚が決定権限を有しているものではない。

ここには、官僚個人の裁量の介入余地はかなり乏しく、政治の負うべき責任が大きいのであり、説明責任を果たすべきなのは、政治家である。時の内閣が、政策決定の説明責任を果たすのが当然なのだよ。

過去の決定経緯について、不明点があれば、当時の資料を探すなり、証言者を見つけ証言してもらう等が必要であろうが、文書隠蔽の安倍内閣では、それも覚束ないだろうね。


八田達夫の出してきた屁理屈は、全くの独自ルールを文科省官僚に投げつけただけに過ぎず、これまでの一般的な行政の仕組みを知っているなら、恥ずかしくてあのような暴言を新聞紙上に発表したりはできないだろう。


そもそも、何の為に審議会の議論があるのか、諮問するのは誰で答申を受ける人は誰なのか、政策決定の権限や責任がある人間とは誰なのか、少々でも頭を働かせれば誰でも直ぐに分かりそうなことなのに、それを知らないという恐るべき人間が政府の諮問会議民間議員として居座っており、官僚を顎で使って独自行政論を展開された日には、どうにも手の施しようがないだろうね。


再度書いておくが、いくら文科省官僚の事務次官や高等教育局長を、はったり紛いの暴論でもって痛めつけたり、凹ませたりできたとして、政策変更の決定権限は官僚にはないし、告示変更もできるわけがないのだよ。


内閣府や国家戦略特区会議・特区諮問会議の連中なら、上記程度の説明はできるだろう?

だから、獣医学部設置の正当性について、お前らが説明責任を果たせよ。大きな政策変更は、最高裁の判例変更と同類の過程なのだから、変更を決定した理由・根拠・正当性について、合理的説明ができなければならないに決まっているだろうが。


少なくとも、「閣議決定された平成17年中教審答申」に反して、抑制方針の維持を変更するだけの理由は、提示できなければならない。規制してるのは、文科省の官僚が独自で好き勝手にやっているのではなく、文科大臣の権限下でやっているのだよ。

一言で言えば、「小泉内閣が決めた、プゲラw」で終わりだろ。
どう正しいか言ってみろ、って、その説明責任も、規制を撤廃する理由の説明も、全部自民党の国会議員に尋ねるべき質問だろうに。


前の記事にも書いたが、八田達夫を国会に呼んで、加計学園の担う予定の、ライフサイエンス分野だの、研究分野だの、研究需要だのを立証させるべき。

11月9日「諮問会議決定」とは、一体全体何なのか、どういう根拠でどういう理由で決まったのか、議長たる安倍が「ぼくちんの所管外だ、答えられないよ、総理は関与できないよ」とほざいたんだから、八田達夫が肩代わりして代弁できるんだろ?

何の為の諮問機関なのか?
総理に、「答えを教える、説明の仕方を準備する」為にこそ、あるもんじゃないのか?
だったら、諮問会議内で理屈が共有されていなけりゃおかしいし、誰に聞いても、安倍であろうと八田であろうと同じ答えが返ってくるって寸法だろう?

それを答えろよ、八田殿。

できないのかな?

なんだ?
ハッタリ野郎なのかね?
違うんでしょ?
答えてみろ。


八田達夫式の暴論によれば、例えば20年前とか5年前の防衛大綱で「護衛艦は10隻以内」と決められたとして、現代の防衛官僚に対し「お前は、護衛艦10隻が正当である、という立証をしてみろ」とか無謀な要求を行い、防衛大綱を決定したのは過去の政権だと答えたら、「ようし、護衛艦10隻以内の正当性を証明できなかった、よって、制限を解除せよ、来年から30隻にしろ」と言うようなものだ。


そんな屁理屈は、どこにあるのだね?
普通に、論理として、明らかにおかしいでしょ。大丈夫か?


国家戦略特区の獣医学部設置は、安倍政権の壮大なヤラセ

2017年06月11日 14時07分33秒 | おかしいぞ
安倍総理・官邸のでまかせや言い逃れを放置すべきではない。徹底追及するべき。

安倍は自らの責任を隠し、他人に擦り付ける為に、説明を拒んでいるのだ。安倍が決めたのではない、内閣府が決めたので、総理の関与は不可能だとかインチキ答弁を繰り返しているわけだが、その答弁自体が嘘である。


前の記事にも書いたが、安倍総理の許可がなければ、国家戦略特区の採択はあり得ないのだから。

>http://blog.goo.ne.jp/critic11110/e/aef9b91020843d7e151cab41bbeb126f



ここで、安倍の国会答弁を見ることにしよう(3月13日参院予算委員会)。

>https://news.yahoo.co.jp/byline/watanabeteruhito/20170605-00071757/

質問2に対する安倍の答弁。

これ、担当大臣を呼んで頂けますか。あの-、山本さんがですね、担当大臣なんですよ。で、山本さんを呼んで頂かなければ、私、それ、お答えのしようがありませんよ。詳しく、私、存じ上げませんから。これ、所管外ですから私、お答えできませんよ。

短くまとめると、

①安倍自身は、詳しく知らない
②安倍総理は所管外である(=答えられない)



手続的にどうなっているかと言えば、
国家戦略特別区域会議(以下、「特区会議」と呼ぶ)が
・区域計画を作成し
・内閣総理大臣に申請する

申請を受けた総理大臣は、
・基本方針や区域方針に適合しているか、等の3要件(8条7項)により判断する
・適合が確認できれば、総理大臣が認定する

ということになっているわけである。
まず、ここで出鱈目が確定するわけだ。内閣総理大臣は、要件の適合について検討し、それが満たされている場合には「認定できる」ということになっているのであるから、「よく知らない」ことを認定しているなら、その時点でアウトだ。

ましてや、総理権限でしか認定できないものを、「所管外である」と断言する程度に、酷い間違いを犯しているのであるから、安倍総理が認定の法的要件を充足できたものとは考えられない。


区域計画には、特定事業と実施主体(含む、特定事業者)が定められるわけだが、これも総理大臣が「区域計画を精査・検討」することなく認定したので、それは手続として異常事態である。

この認定の判断をする前に、専門的事項等につき判断材料を得るべく諮問したい場合には、特区諮問会議に意見を聞くことができる。特区諮問会議に議題をかけるかどうかは、総理次第であり、必然ではない。あくまで総理の最終的な決定の一助とする為に、諮問会議の意見を聞いてみる、というだけに過ぎない。


安倍総理は、自分がよく知りもしないことであり、所管外であると誤信している程に、何らの検討も経ることなく、基準の適合性を考えることもせず、ただ単に「特定事業、実施主体の認定」を行ったことを、自らが暴露したのである。
この認定は、正当性はどこにもない、ということが明らかである。


山本担当大臣は、総理への申請をする所までが所管(特区会議の事務方・進行としての役割)であって、認定は総理が行うものだ。それを、総理自身がよく知らない、けれども認定だけはやった、というのは明らかにおかしい。



質問5に対する安倍の答弁。

民間、民間事業者の選定はですね、国家戦略特区法の、これ国家戦略特区法の原則に従いですね、公募手続が取られ、学校法人加計学園より応募があったわけであります。で、公募期間は8日間としたが、この期間は、<原稿から顔を上げる>他の事業と同程度であります。これだけ速かったわけではないんですよ。だいたいですね、まず、特区ってのは、そんな長い、この戦略特区でありますから、その前にこれは、だいたいやるということはだいたい決まっていて、多くの人たちが知っているんですよ。関係者はみんな知っているんです。知ってる中においてですね、もうこれは、そういう方向で進んでいるということは、多くの人たちが知って、知っているんです。その中で8日間、で、ほかと比べてですね、特別短ければ別ですよ。これだいたい他と同じですから。<原稿に目を落とす>で、その後ですね、え、6日間の追加申し出の手続を行いましたが、他の事業者から応募はなかった訳でありまして、応募の内容については分科会や、区域会議、諮問会議において、新設に必要な要件を十分に満たしていることを適切に確認をしております。なお、獣医学部の新設に関心を持つ事業者や自治体に対しては、特区で取り上げられるに至る前段階から、内閣府が随時、提案や相談を受け付ける体制を整えています。

無駄に長くて何を言ってるのかワケが分からない部分が多いが、まとめは、

③公募期間8日は標準的
④戦略特区はその(公募)前からやることが決まっている
⑤多くの関係者たちは、みんな知っている
⑥追加の6日間でも申し出がなかった
⑦区域会議、諮問会議において、新設に必要な要件を充足していることを確認


ここで、安倍は「(どうせ)公募をやる前から、決まっている」んだから、という、いわば(笑)出来レース的な手続に過ぎないと宣言しているに等しい。これぞ、結論ありき、では?(笑)
なので、パブリックコメントで獣医学部設置の反対意見が多数であろうとも、無関係に総理が決める、ということになるわけね。なるほど。


特定事業や特定事業者に認定する段取りというのは、もうずっと前から決まったようなものだから、総理の認定は「形式的」に過ぎない、と。それゆえ、総理の所管外とか、担当大臣は内閣府の担当大臣だと言うのである(=私・安倍が決めたのではない、諮問会議や区域会議が決めたんだ、と。故に私は関与できない、関知しない、総理の力はどこにも作用しようがない、と安倍は言いたい、と)。

そんなんだから、安倍は「特区担当大臣が諮問会議に諮問した」と言い張るわけだよ。質問3の答弁で、
『平成27年12月に特区担当大臣から特区諮問会議に諮り、指定を決定した訳でございます。この指定決定する、いわば大臣が、委員会に諮問をした訳でありまして、そこで、しっかりと議論をしてるんですよ。』って答弁してるんだわ。頭がおかしい。諮問するのは、総理自身であって、内閣府内務大臣が諮問するわけないだろ。


更にもっと問題なのが、⑦の主張である。
区域会議や特区諮問会議で「新設に必要な要件を十分に満たしていることを適切に確認」した、と安倍が言うわけだ。
これは一体、どういうことか?

文科省の手続、設置審や文科大臣の認可は形骸化しており、これこそ「所管外」でしかない、区域会議や特区諮問会議が「新設の要件」を審査、確認したということを言っているわけだ。越権行為ではないのか?
違うと言うなら、要件は何か、確認した中身は何かを言えるだろう。それを誰一人として説明できない、というのが、現状までの安倍、官邸、内閣府、国家戦略特区会議及び特区諮問会議、の面々なのだろう?


内閣府担当の山本大臣や八田達夫を国会に呼ぶべき。
そこで「新設の要件」を開示させ、十分に満たしているのを、どのように確認できたのか、説明させるべき。
八田達夫なら、「新たなライフサイエンス分野」「その研究範囲」「対象となる研究者の需要」なんかを正確に説明できることだろう。海外の「需要増を示す」実在の数字と、日本国内の数字を対比させ、説明できるはずだ(爆)。八田が嘘つきでない、というのならば、な。しかも研究機関新設ではなく、学生教育でなければ実現できない、という理由についても、合理的説明ができることだろう。
それに、従来型の獣医師要請のような獣医学教育ではない「何かに特化した獣医学」教育であって、それは何に特化しており、それが教育できる専門の教員とは具体的に誰なのか(どの程度、日本に存在しているのか?)、その人物を指定できるだろう。その人物を文科省なり設置審に呼んで、整合的な説明が出来ない場合、大学設置は不認可でよいのでは。

どんなことを教える大学なのか、特化した獣医学というものが何なのか、新たなライフサイエンス分野とは何を意味し、獣医学でなければ研究・教育が困難なものというのが何か、整合性のある説明ができなけりゃ、獣医学部新設の趣旨が根底から崩れ去ることになるのだから。


決めた理由なり根拠なりが、何一つ説明できない、という点が、安倍政権の異常さを物語っているのである。「どうして決まったのですか」と問えば、「週刊誌を見て印象操作するのはおかしい、あんた責任取れるのか」って、質疑応答になってない。

これは、あらゆる事柄に共通の、安倍官邸の特徴である。
国連のケナタッチ氏書簡に抗議はすれども、論理的な回答が一切行えないというのが全く同じなのだ。質問したら「何で批判するんだ、抗議する」って、返事にもなっていないでしょう。


議論にならない、論理的なやり取りが不能、自分が答えたくないことは一切答えずに誤魔化す、という、幼児なみの政権だということさ。
「質問に答えなさい」
「やだね、言いたくないもん、答える必要がないもんね、ば~か」
菅官房長官の会見はこれに類するものであり、言いたくないので答えないの姿勢を貫く、説明責任放棄の幼稚な政府、ということである。安倍も菅も、同じ調子。これに右へ倣え、なのが、大臣や省庁幹部である。


こんなのは、民主主義とは呼べない。


ま、安倍が国会で自白した通り、前からみんな特区で決まるのを知ってて、結論ありきで安倍はロクに審査検討もせず、よく分からないのを承知で、「特定事業、特定事業者」を認定したんだ、というのは、明らかになったわけだな(爆)。安倍が認識できたのは、「今治市と加計学園」の結論部分だけ、と。


違法じゃないから、これでいいんだ、って?

安倍と周辺の取り巻きが滅茶苦茶やっただけ、って明らかになったってことですわな。