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東電融資は銀行の暴走?

2011年05月31日 22時04分33秒 | 政治って?
今となっては、経団連も全銀協以下銀行団も、ひっそりとしているようだが、あの元気はどこにいった?
銀行団の言い分というのは、どうも怪しいのだ。
以下、思うところを書いてみた。


①追い詰められていった東電

11日の震災の影響によって、短期的な株価下落は予想されたであろう。ただ、東電の場合には、メキシコ湾原油流出事故となったBPよりも深刻な状況と看做されたはずである。12日の1号機爆発以降、東電に対する不安と恐怖は日増しに強まっていたからだ。

週末の明けた14日から東電の株価は連続ストップ安をつけた。10日には、2153円の終値だったが、11日には小幅安の2121円で済んだ。地震発生が市場の閉まる終了間際だったこともあるだろう。ところが、14日には1621円、15日1221円、16日921円と連続で下げることになったわけである。これには、東電も東電株を持つ金融機関等も恐れおののくことになった。決算期末が目前に迫っていたことも、より不安を増大させたであろう。17日には売買成立で798円の終値を付けて、とりあえず底なし沼状態は止まったようだった。ここまで、10日の株価から約3分の1まで下落していた(率では約63%)。翌18日には、僅かに値を戻してはいたものの、更に困ったことが発生していた。

それは、格付けの引き下げである。S&Pもムーディーズも揃って格付け引き下げを発表し、更なる引き下げで検討継続とされた(実際、期末の31日までに、5段階引き下げとなってしまった)。
資金調達が困難になると伴に、自己資本が細ってゆくことが懸念されたはずだ。そこで東電はメガバンクに泣きついて、融資の要請を行ったのである。これが18日と、報道では伝えられていた。


週末に入り、銀行サイドでは急いで検討に入ったのであろう。どうしても東電を救済して欲しい、東電の資金繰りについては政府が全面的にバックアップして欲しい、といったような要望が銀行を中心に、経済界からも出されていたに違いない。
19日からは丁度3連休になっていたので、動く時間も確保できたはずだし、検討したり相談したりする時間もあったであろう、ということである。銀行団は東電に追加融資を実施するということで意見集約したのであろう。その時の話としては、東電が賠償責任を被るということは何とか避けよう、ということだったのではないか。思惑として、銀行や財界、東電、経産省、それらが「3条但書適用」に向けて足並み揃えて動き出した、ということだったのでは。


②枝野官房長官の爆弾発言

東電の債務超過不安等を払拭するには、巨額の資金調達を宣伝する必要があった。メガバンクの融資検討というような報道から、週明けには「融資実行」ということで東電の株価急回復などを狙っていたはずではなかったか。
恐らく、21日までには各メガバンク含めて融資実施がほぼ固まっていたはずだろう。

ところが、である。
驚くべき事態が発生したのである。それは、枝野官房長官の爆弾発言が飛び出したからだ。
21日の官房長官会見後の質疑応答で、次のような発言があった。

補償は、金額の見通しはこうした措置がどの程度続くかで全く変わるので現時点で予断をもつことはできない。基本的にはまずは一義的には、原子力災害に起因するものなので、まずは東電に責任を持っていただく。それがもし十分に補償できない場合は国においてしっかり対応する。これが法律の基本的構成だし、それにそって対応する。』(朝日新聞記事による)

この「一義的には、原子力災害に起因するものなので、まずは東電に責任を持っていただく」という部分こそが、銀行団等東電擁護一派の目論んでいた、「3条但書適用」という願望を打ち砕く政府見解となっていたのである。

多分、経産官僚も銀行も、そして東電も、腰を抜かしそうになるほど驚いたであろう。彼らの思惑が狂ってしまう、という危惧を抱いたのは当然だったろう。
ここから、マスコミを動員して、一派の巻き返し工作がスタートしたわけだ。その匂いは、ぼくにでさえ感じ取れた。

22日>福島第一原発~重大事故の連鎖
『東電の負うべき賠償責任について、政府が肩代わりするといった観測記事のような報道があるようだが、経営陣を含め、会社としての責任を問われるのは当然であろう。』

追い打ちをかけるように、22日の国会答弁で、高木大臣はやはり東電に賠償責任がある旨、発言しているわけである。これで政府見解というものが、3条但書適用の予定はなさそう、ということがほぼ確定的と見られたわけである。


◇ 2011年3月23日03時03分 読売新聞
(一部引用)
 同法は、原発事故の損害について原則、電力事業者がすべて賠償すると定めている。ただ、地震や津波などの災害が理由の場合は、国が原発1か所あたり1200億円までを負担する決まりだ。政府は、福島第一原発の事故がこれに該当すると判断している。同様に周辺への避難指示が出た福島第二原発も含めれば2400億円となる。

 同法には「社会的動乱、異常に巨大な天災地変の場合」にはすべてを国が補償するとの例外規定もある。しかし、政府は、今回の事故の原因が「社会的動乱」や「異常に巨大な天災地変」にはあたらないとして、東電も責任は免れないと判断している。高木文部科学相は22日の参院予算委員会で「一義的には東京電力に責任を持っていただく。その上で、被害者救済を最優先に国も必要な対応をしなくてはいけない」と説明した。

 賠償は、営業できなくなった企業や農産物が出荷できない農家が対象となる見込みで、支払いの範囲によっては総額が数兆円になるとの見方もある。東電の支払い能力を超えた場合に、国がどのように賠償を支援するかが焦点となりそうだ。一方、与党内には国がすべて負担する例外規定を適用すべきだとの声もある。

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参考までに、この読売記事は、以前拙ブログにて紹介した見出し(損害賠償、国も負担へ)を持つ記事だ。


③巻き返し工作

まず、東電会見では「異常な津波によるもの」ということが殊更強調されたのだった。これが22日だ。武藤副社長がそういう発表を行ったのだ。土木学会の想定を超えてるだとか、何とか解説したのだった。
そして、政府が賠償を負うかも、とか、天災地変に該当するといったような記事が23日以降に出されてゆくわけである。

【放射能漏れ】原発事故、国が賠償負担 被害数兆円、例外適用で全額負担も (1/2ページ) - SankeiBiz(サンケイビズ)

天災地変だから、ということで、3条但書適用で当然じゃないかというような空気を醸成する為だ。

その一方では、銀行団の融資実施という速報などが出されていて、少なくともこの時点で銀行団は融資をほぼ決めていたはずだ、ということである。日経記事にあったのは、25日に松永次官と奥頭取の会談があって、そこで融資要請をされたかのような話だったが、本当はそうではなかったのではないかということだ。23日時点で、銀行団の融資実施が大々的に報道されていた、ということである。

東電への2兆円緊急融資、3メガ銀行など相対方式で全額実行へ=関係筋 | ビジネスニュース | Reuters

この2兆円融資話の効果は、週明けの市場で好感されたと見えて、東電株価の値を戻すのに一役買った。22日終値で1098円まで戻した。翌日も1049円と持ちこたえた。しかし、日が経つにつれて、やはり東電はどうなるか不明ではないかという疑心暗鬼が広まり、28日696円、29日566円、30日466円、31日466円とストップ安をつけるまでに戻っていた。

政府が賠償する気がなさそうということと、放射能漏れが発覚してゆくにつれて賠償額が巨額になりそうだということで、一派の目論見からは大きく外れて、株価大暴落+格付けも奈落に転落ということになったのだった。
融資実行に踏み切ったのに、東電を救える目途さえなかったのだ。

このままじゃ終われないと焦った銀行団と霞が関官僚は、3条但書適用の大合唱をしつこく行ったわけだ。経団連会長も担ぎ出して、幾度となく天災地変だから賠償は国がやれ、と言い、全銀協も、同友会も、使える手は何だって使って、大運動を展開したというわけである。

昨日紹介した日経記事によれば、大手銀行首脳が「事実上の政府からの要請」ってことで、緊急融資をしたみたいに書いてあったが、金融庁がそういう要請をしたってことなのか?
それは、一体誰だ?名前を言ってみろ。
本当に、金融庁が「東電に金を貸して下さい」って言ったのか?
それも、金融庁長官とか金融担当大臣とかの大物ではなく、もっと下っ端の官僚が言ったものを「政府の要請」とまで言うのは、どんだけ偉い官僚なんだよ(笑)。
官房長官や所管大臣よりも、格上か?おい。

それでいて、松永経産次官に会う前から、融資実施がほぼ決まっていたんじゃないか。そりゃ、銀行の勇み足だったんじゃないのか?
格付け引き下げをされたばかりの会社に、審査もロクにせず2兆円もぶち込んでおいて、焦げ付きそうになると国に「払え」と勘定を付け回すってか?
それのどこが「民間企業の貸し借り」なんだよ。出鱈目言ってるのは、どっちだと思うか?これが、資本主義か?市場原理か?

「一部債権放棄でも考えてみたらどうかね」とたしなめられると、ふざけるんじゃねえぞ、民間の話に国が頭を突っ込んできて、あれこれヘンなこと言うな、口出すなってか?
何、調子いいこと言ってんだよ。
銀行のやってるのは、談合と一緒だろ?
官製談合みたいなものと同じなんじゃないのか?


一官僚だか何だか知らんが、ペテンにでもかけられて、ホイホイ金を出したのが悪かったんじゃないですか?それも、政府の要請というくらいに重要なポジションにいる人物って、誰だよ。銀行団にとっては、官房長官よりも上の人間、という扱いに違いないわな(笑)。
これが、権力サークルの秘密クラブじゃなくて、一体何なのよ。

クズが集まるってのは、やはり想定内だったということか(クズがクズを呼び、権力中枢にはクズばかり)。



政治家不在の国~東電問題に見る財官癒着

2011年05月30日 14時07分42秒 | 政治って?
何かの免罪になるとでも言いたげだが。


東電支援の舞台裏 2兆円緊急融資、大手銀は即決  :日本経済新聞

経産や財務、東電負担上限で攻防 難産の「政府原案」  :日本経済新聞


2つの記事を読んで即座に感じた最大の疑問は、この中にはただの一人も「政治家が登場しない」ということだった。
つまり、この国では、重要な案件を相談したり考えたりする時には、政治家なんかには用はない、官僚が即決すべし、ということであろう。

民主党政権になったとて、やっぱり官僚主導国家ということだろう(笑)。

記事を読んでゆくと分かるが、官僚が勝手に思惑で発言したり決めたりして、それに銀行も従うという図になっているわけである。銀行が従うというよりも、本当は銀行サイドの意向を受けて官僚が動いた、ということかもしれないし。


大きな問題なのは、官僚はあたかも”国”を代表してしまっている、ということである。一官僚に過ぎない人間が発言したり、行動したりするわけだが、それがどういうわけか「国が約束した」ということにされてしまっている、ということである。官僚の考え・発言=国(政府)決定というすり替えをまんまと利用されているのだ。

国という仮面を被った単なる個人の意向が、権力サークルのメンバーの為に最大限利用されているということである。
国が、というのは、都合よく用いられるシンボルでしかない。


東電の緊急融資に関して言えば、松永経産次官が銀行に頼み、金融庁(ここには何故か個人名が出てこないが)が銀行の御意向を確認したのだそうだ。

じゃあ、もしも銀行の融資回収に穴が空いたら、松永次官が個人で責任を取って、弁償でもしてくれるとでも言うのか?
口約束みたいにして、銀行に金を出させるというのは、「国が決めたこと」とでも言うつもりか?

金融庁・森、経産省・北川と山下らの官僚が、誰のどういった指示で動いていたのか、ということだ。そこに政治家の存在が、全く見えてこないのである。
官僚の暴走と何が違うのか?

彼らが画策したのは、東電を守る為という大義名分の下、早い話が銀行と経産省の利益を守ることというのが、双方一致していたというだけに過ぎないんじゃないのか?
そりゃあ、そうだわな。何たって、天下の東電さんだ。

銀行は金も惜しいが東電株だって惜しい。経産省は東電を守るということ、すなわち電力行政と省益を守るということ、この両者の利害一致で結託し、好き勝手に自分たちで物事を決め、推し進め、その挙句に官僚の口約束程度のものを「国が約束した」と既成事実化してしまった、ということだ。

権力を握るのは、こうした連中なんだね、そこには政治も不在、国民への説明も当然なし、ということで、銀行と官僚が東電擁護の為に好き勝手にやったというだけに過ぎないんじゃないのか、ということである。

だったら、銀行が緊急融資を即決した理由というのが「官僚の話を聞いてやった」ということなら、銀行は松永次官に賠償請求せよ。
金融庁の誰が知らんが、融資をするよう銀行に言ったとかの事実があるなら、国家公務員個人に賠償請求をすればいい。彼らは、「国の決定」を代表するのではあるまい?


民主党の掲げていた、政治主導とかいうのも、笑える。
逆襲されて、政治家が汲々としてしまうのである。



司法もやっぱりメルトスルー(笑)

2011年05月29日 11時44分04秒 | 社会全般
日本というのは、このようにして出来ているんだな、物事はこうして決められ進められるのだな、ということがよく判って良かったんじゃないか。

はてなブックマーク - 『原発は安全』 判決書いた最高裁判官が東芝に天下りしてた:ハムスター速報


これに類することなんて、多かれ少なかれあったんじゃないかと思うが。
もう驚くに値しなくなってしまったよ。最高裁への疑念と不信が顕在化してしまって以降、腐敗の象徴として君臨することになっただけである。法の番人とか何とかなんて、そんなのは幻想に過ぎない。最高裁判事を以前みたいに、そう簡単に信じることなど、できるわけがない。


ま、学べて良かったわ。
日本の肝心要の部分こそが、本当に腐敗している仕組みとなっているのだな、ということである。

クズの巣窟だった「最後の砦」


最高裁や検察といった日本の腐敗司法が、特定勢力の増長を招いてきたのである。彼らが司法の力を利用することを許してきたのは、他でもない司法を支える人間たち―裁判官や検察官など―である。それらに加担したということへの贖罪の意識があるかといえば、司法サイドには今でさえ存在しているようには見えない。

あるのは官僚主義的な態度だけである。
過去への反省など許されない、無謬性の護持に必死ということだけであろう。即ち、自己正当化と自己保身のみ、ということだ。



未公表データはこれだけか

2011年05月28日 18時42分55秒 | 社会全般
東電の隠蔽体質らしさの顕れではないかと思うが、いかがであろうか。

未公表分の測定データ公開=高放射線量、18時間HPに出ず-東電 (時事通信) - Yahoo!ニュース

個人的な感想を言えば、本当にこれだけなのだろうか、とは思っている。もっと隠してあるデータはあるんじゃないのかな、ということである。例を挙げると、運転日誌のデータにしても、マスクしてあって見えなくなっている部分はあるよ。あの部分がどうして隠されたのか、ということの説明(ex.軍事機密に該当するので見せられない)がないと、どうして一部だけ見せて、他の部分が隠されているのかということの意味が判らないから。傍目には、「見せるのは都合が悪いから」というふうにしか解釈できない、ということです。

他にも、例えば11日夜の中央制御室などの放射線量データなんかも不明みたいですが、そういうのも本当は測定していたわけでしょう?
じゃないと、立ち入りできるとかできないといった判断ができないですもんね。

21時何分か以降には制限区域となってしまったのであれば、そのデータ公表が必要でしょう。
また、23時何分か以降には、更に退避区域が拡大したんでしょう?1号機の原子炉建屋には容易に近づけなくなったということがあったのではなかったのですか?
しかも、それは社長の権限でそうしたんですよね?違った?

11日の避難指示が出されて以降の、1号機等の放射線量データは隠されたまま、ということでは。


多分、これだけじゃないということなんじゃないの?
事故の原因推定とか、悪化要因の推定に繋がる部分とか、そういうのは殆どが隠されたままなのではないですか?
肝心な部分、最重要なデータというものが、本当に明らかになっているのかといえば、違うのではないか。

そうとしか考えられないのですよ。
東電の隠蔽体質というのは、本当に根っこの更にまた根っこの部分にまで浸透しているんでしょう。


今更、責められることを恐れて隠蔽しても仕方がないのに、こんな状態になってでさえ隠すというのなら、本当に組織として終わってますわ。
荒療治が必要、ということになってしまいますよ?

隠し通せる、ということを信じているなら、やめた方がいい。
福島原発が終わるとか、東電が潰れるとか、そういうレベルの問題ではないのだぞ。

日本そのものの信用が失われるほどの事態なんだ、ってことを、肝に銘じるべきである。
これを解明できなかったとしたら、日本企業がどういったダメージを受けることになるか、よく考えろ。



逆襲の一派

2011年05月27日 13時46分42秒 | 政治って?
自民党の元総理である安倍議員がこの情報を初めに出した、ということのようだが、彼がどういう筋から情報を手に入れたのか、ということが気になる。

全くの推測を書いてみよう。
情報を出した人間は、中枢には近いけれども、内部情報を手に入れられる程の距離にはいない。あるのは、耳にする「噂話」程度ではないかと思われる。つまり、また聞き、という次元の情報ということである。

で、最も可能性が高いのは、経産官僚、ということかと思われる。どうしてかというと、NISAに割と近くなければならないはず、東電とのやり取りの一部を知る人間が傍にいるはず、ということだからである。
最も大きな要因としては、経済界を中心とした「東電救済スキーム」に関する不満や政権への圧力、という点である。例えばこれが財務省の人間、ということになりますと、保安院と経産省とのやり取りとか、官邸や内閣官房の動きとか、そういうのを把握するのは難しいのではないだろうか、と。


狙いとしては、菅政権への一撃と責任追及であわよくば退陣論を盛り上げてしまおう、というのが最大。そこに至らないまでも、「オレらのいうことをきけ」というのを通そうという為に、菅政権を弱らせることが必要。だから、何かネタがないか、というのを、霞が関内部の情報屋みたいな存在の人間に一報が行っていたのであろう。

初期の頃から言われていたのが、「ベントの遅れは菅総理のせい」というネタだったが、総理到着がベントを遅らせたという説はあまり有力なものではなかった。
そこで、情報屋の彼は別な話を探していた折、あることを聞き及んだ、ということでは。「海水を入れる入れないで、もめてたらしいぞ」みたいな話を。ここからは情報屋の本領発揮です。それとなく情報を聞き出し、NISAの情報も経産省に上がって来たものを仕入れ、東電側の情報についても東電幹部は人脈が豊富なので(財界は勿論、天下り経産官僚の省庁とのパイプも残されている)入手はそれほど困難ではなかったのでは。その辺はよく判らんが、(原発対応で)「もめた」という話としては、目の付けどころは悪くはなかったのかもしれない。


そうして、絵図が出来上がったわけだ。
この情報は早速有力筋に伝えられたのであろう。その対象者は安倍議員だった、と。誰かが手を回した風であると困るから、なるべくそういう形にはしないようにしたわけだ。マスコミを使いたいとも思ったのだが、マスコミ筋は既に「疑いの目を向けられている」ということで、今回は選ばれなかった。
官僚の習性なのかどうかは不明だが、早速の「ご注進」ということで、議員を動かすことに成功した。多分、受ける側の安倍議員も情報を流す側の官僚も、そういうのが通例通りということなので、素早く事が運んだということかもね。

ただ、情報屋の彼が知らないこともあったわけである。
一つは、東電側から「FAXが送られていたこと」だ。
東電側から「海水を入れる」という連絡はあった、ということは判っていた。だが、その連絡方法とか時間帯とかを詳しくは知らなかったのだろう。
もう一つは、「官邸=菅総理のせい」で海水注入を中断したらしい、ということは知っていたが、「官邸=菅総理のせい」ということの実態をよく知っていたわけではなかった、ということだ。「官邸=菅総理のせい」というのは、直接的な命令(指示)として、「海水注入を止めろ」と命じた事実があったとは確認できていなかった。

多分、本店と所長とのやり取りの経過についても知らなかったようなので、東電内部の中枢に近い人間であるという線は薄いのではないかな、と思う。噂話をかき集めてご注進に至った程度の人物であり、彼自身が情報の整理とかをできる能力を有してはいなかった、ということは言えるかも。

ま、これに踊らされている安倍元総理のお手柄、してやったりという感じなのも、残念ではある。追及したから出てきたんだ、よかったじゃないか、という強弁も、間違った指摘を行った可能性が高いことに変わりはなく、かつて前原代表が陥った「ガセネタ・メール騒動」と似てなくもない(当時の小泉総理が国会答弁で「ガセとは…、ネタとは…」とユーモア答弁を披露したあの一件)。
自民党が総力を挙げて取り組んだネタの割には、「ベントが遅れたのは菅総理のせいだ」説が敗退し、今度は「海水注入中断は菅総理のせいだ」説が敗退確定、ということになった、と(笑)。

引っ込みがつかないから、情報伝達のあり方がどうのとか、指揮命令系統がどうのという話を持ち出してくるわけだが、マスコミも含めて情報検証能力に欠ける部分は多いのは同じではないか、と思うわけである。自社の記事のアーカイブを辿れば、かなりのことが分かるはずなのだが、そうした検証を行わないということであろう。


落とし穴はどこにあったかといえば、「海水注入プラン」という話は、官邸ばかりではなくマスコミも含めて、割と早い時間帯からみんな知っていた、ということなのだよ、多分。その情報の出所としては、当時の時点だと東電かNISAとか官邸や内閣官房に詰めている記者たちということであり、だとすると東電からの連絡は行っていたであろうし知ってる人間の数もかなりいたはず、ということになるわな。

先日拙ブログ記事で紹介したsankei bizの記事では、おおよそ午後4時過ぎくらいにはマスコミが知ることとなった状態にあった、ということが推測されるわけですから。更に、官房長官会見の中身を振り返ると、そういえば「海水注入」に触れていたな、というようなことも確認できうるのでは(当方にはその確認手段がないので、判りません)。

やる予定です、みたいに政府会見で言ってるのに、それを政府自身が否定して「注入するな」という命令を出すというのも、やや考え難いことではあると思いますね。


情報屋はこうした経過を振り返るだけのアタマを持ち合わせていなかった、ということなのさ。
噂話みたいな、他人の失態なんかにはついつい飛びついてしまうタイプの人間である、ということだろうね。そして、こうした情報を流すとか利用することで、自分の役に立ててきたような人間である、ということなんだよ。いるんだよね、他人の失敗を利用して、自分の地位向上とかに勤しむようなヤツが。

漫画やドラマでも出てくるんじゃない?
行動原理としては、そういうのと一緒ということなのさ。人間なんて、そんなもんだ、きっと。厭らしい人間ではあるよな。友達にはなりたくないヤツだ。

ケッ。


こういう情報屋を動かせるだけの人間となれば、それは限られてくるわな。
表立っての「免責せよ」みたいな批判は劣勢に立ったから、今度は搦め手からの逆襲ですかな。

一派のヤツラもあの手この手をよく繰り出してきますな(笑)。

それにしても、政府内の防御態勢もあんまり良くはないわな。


当方としては別に誰を支持、というのもないわけだが、どちらも残念ではある。虚しい。
不利益は国民に、ということに変わりないので。


処分を検討って、何バカなことを

2011年05月26日 21時24分38秒 | おかしいぞ
色々とワケの分からん展開に。

海水注入「中断しなかった」、東電が訂正(TBS系(JNN)) - Yahoo!ニュース


大きな問題となったのを受け、東電は、24日から25日にかけて改めて関係者からヒアリングしたところ、福島第一原発の吉田所長が実際は海水注入を停止していなかったことを明らかにしたということです。

 「(吉田所長は)注水の継続が何より重要だと」(東京電力 武藤 栄 副社長)

 また、東電の武藤副社長は海水注入をめぐる経緯について、当時の状況をより詳しく説明しました。

 「(官邸に詰めていた東電関係者から)『首相の了解が得られていない』と。責任者である首相のご判断がない中で実施はできない雰囲気だと」(東京電力 武藤 栄 副社長)

 この報告で東電本店と現場の発電所がテレビ電話で注水停止で合意しましたが・・・
 「所長の吉田が無視したというよりも、注水を継続したほうがより安全だろうと(判断した)」(東京電力の会見)

 吉田所長は、「国際原子力機関の調査があり、事実を報告する気になった」と話しているといいますが、東電は吉田所長の処分を含めて検討していることを明らかにしました。

 重要な事実が曲げて報告されていたことに枝野官房長官は・・・
 「国民の皆さんが疑問・不信に思う。正確な事実関係の把握のうえで、正確な報告をしてほしい」(枝野幸男 官房長官)

 また枝野長官は、東電の間違った発表は、意図的なものでなく、しっかりとした情報共有や意思疎通がなかったことが原因だと強調しました。しかし野党側は、東電にこうした対応を許した政府に対しても批判の矛先を向けています。

 「あまりの事実説明の迷走に開いた口がふさがらない」(自民党  谷垣禎一 総裁)

 こうした中、海水注入にあたっての「再臨界の危険性」に関する発言内容をめぐって一時焦点となったこの人は・・・
 「(海水)中断がなかったら、私はいったい何だったんでしょう・・・。教えてください・・・」(原子力安全委員会 班目春樹 委員長)

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こういう雰囲気を生み出した菅総理と政権に問題はあったんじゃないのかな。

つまりは、「菅総理がOKと言ってない」みたいなことさ。
菅総理がやれと言った、という、いうなれば免罪符が必要とされた、ということであろう。

重大な責任、重大な決定、そういうものが伴う時、こうした行動は見られるかもしれない。
そして、トドメの一言が、
 「○○さんがやれって言いました」
 「○○さんがやっていい、って許可をくれました」
というヤツさ。
日常生活の中でも、よくこうした光景を目にするんじゃないのかな?

当然、○○に入る人は、権威とか地位とか権力権限を有している人物ということであり、例えば教授、上司などだ。
自分を下位に置き、尚且つ、威光を利用したいというか、後ろ盾になるもの、ということで、こうした権威のようなものを利用する、というわけである。

役所なんかでも、
「こんなの、誰がやれって言ったんだ、ド阿呆が」
というような場面があって、すると
「ああ、それ、大臣がやれって言ったんですけど」
「……(シーン)」
ってな感じですわね。


今回の件がそうだったと言うつもりではないけど、こうした誰かの威光を利用する場合、自らの保身にはなるわけですよ。
結果が良かったら、責められないし、たとえ悪くても「だって○○さんがやれって言うから…」と確実に言い訳する理由にできるというわけなんですよ。

ま、東電本店の方でそういうことだったとは言いませんけど、菅総理があまりの剣幕だったのでついつい「菅総理に従うしかないよね、そうじゃないと、また罵倒の雨あられだもんね、そうはなりたくないよね」ということになってしまいますもんね。
だから、総理がやっていいって、まだ言ってないことを着手しちゃったらマズいんじゃないの、ということになってしまったのかもしれない。

だからといって、所長の処分を検討するってのは、ヘンでしょ。
海水を入れ続けてくれた方が良かったんだから、よくやってくれました、と褒めることはあっても、処分するなんてのは見当違いもいいとこ。

そういうアホなマネは止めて下さいね。



ちょいと訂正とお詫び

2011年05月25日 17時50分25秒 | 社会全般
この前、東電幹部が海水注入を渋っていたのではないか、水素爆発の後で海水注入を決断した(きっかけとなった)のではないか、というようなことを書いたのだが、それは、どうやら間違っていたようです。

海水注入中断騒動は、枝葉末節に過ぎない


この中で、次のように書いた。

恐らく、爆発の事実は直ぐには官邸に伝わっていなかったのかもしれない。けれども、東電ではこの事態を先に把握していたであろう。
ホウ酸や海水注入を躊躇っていた幹部連中に、心胆寒からしめる急所の一撃となったであろう。即、海水注入を決断したはずだ。それが、水素爆発から約30分での海水注入プランの提示だったであろう。


(中略)

官邸側では、東電からの海水注入提案を受けて、新たな対応に追われることになった。17時のNISA会見を急遽中止し、爆発についての説明を官房長官が17:45からの臨時会見で行った。その場において、今後に海水注入の予定があることを触れていたであろう(東電の準備が出来次第始めたい、といったような話だ)。同時に、避難指示の拡大が伝えられた。それは、海水注入に際して、念のため万全を期して避難して頂く、というようなニュアンスのものであったはずだ。


水素爆発が起こったので海水注入を決めた、というのは、間違いでした。そうではなかった。爆発前から、海水注入の方針が伝えられていたようです。


asahi.com(朝日新聞社):「準備整いしだい海水注入」東電、ファックスで国に連絡 - 社会

 東日本大震災の直後、東京電力福島第一原発1号機への海水注入が始まった後に一時中断された問題で、経済産業省原子力安全・保安院は25日、「準備が整いしだい海水を注入する予定」という東電からの連絡を、水素爆発直前の3月12日午後3時20分にファクスで受け取っていたことを明らかにした。

 西山英彦審議官によると、海水注入の連絡は、ファクスで届いた紙の右下にある「参考情報の欄」に書かれており、「主たる連絡ではない」という。受け取った保安院の担当者がこれを読んだかどうかについては確認できないという。


=======


個人的には、記憶が曖昧だったが、官房長官会見で「準備が出来次第海水注入を始めたい」といったような説明があったように思っていた。なので、東電側からは、爆発の後にきっと決断したのかなと思えたのだが、幹部も含めて海水注入は爆発以前の方針だったようです。

東電幹部の方々や東電の中の人たちに、お詫び申し上げます。
すみませんでした。



華麗にメルトスルー(笑)

2011年05月25日 03時55分25秒 | おかしいぞ
日本というのは、本当に笑えるというか、隠蔽が好きというか、事実から目を背けさせるのが好きな国なのだね。

説明はウソでもいい、どんな出鱈目でも通用する、ということなのだろう。

専門家とかいう肩書きでメシを食ってる連中の酷さといったらないな。これは、経済学(笑)だけの話ではなかったみたいだね。原子力ムラ関係でも同じだった、ということみたい。


◎「容器の健全性は保たれている!」

はい、これはどうやらウソでした、ということらしい。
メルトダウンを通り超えて、「メルトスルー」という初めて聞く用語まで飛び出したようだ。それも、悪びれることもなく、あっさりスルー。サクッと、漏れ漏れ詐欺の告白。

東電、2・3号機でもメルトダウンと公表(TBS系(JNN)) - Yahoo!ニュース

(一部引用)

「炉心は一部溶融したものの、圧力容器の損傷には至っていない。ただし、実際の水位がより低い状態を想定した場合には、圧力容器の損傷に至るとの解析結果となる」(報告書より)

 一読すると、さほど大きな事態に至っていないようにも見えます。しかし、カギとなる「水位」。現在、水位計は「水が燃料棒の半分まである」と表示されていますが、1号機同様故障し、ほとんど水が溜まっていない可能性が高いのです。東京電力も「水位が表示より低かった場合、燃料のほぼすべてが圧力容器の底に溶け落ちた可能性が高い」と分析しています。

 さらに・・・。
 「高温の溶融したペレットが触れることで、(圧力容器の底が)損傷受けている可能性はあると思っています。燃料そのものも一部は圧力容器から格納容器に移っている、落下していると」(東京電力の会見)

 燃料が溶け落ちる「メルトダウン」。さらに、溶けた燃料が圧力容器を壊し外側の格納容器にまで達する、いわゆる「メルトスルー」が起きた可能性についても認めたことになります。


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まあ、アメリカとかであれば、これは犯罪認定クラスではないですかね。
底抜け脱線ゲーム、底抜け底抜けウランが通る、ってことかいな。くだらなくて、すまん。

やっぱり、3月15日くらいまでに殆ど勝負は決まっていた、というようなことだわな。


それと、土壌汚染の地域について、範囲の推定が出されたみたい。

福島第1原発:「土壌汚染600平方キロ」推計値を報告 - 毎日jp(毎日新聞)


チェルノブイリ原発事故では、1平方メートル当たり148万ベクレル以上の土壌汚染地域約3100平方キロを居住禁止、同55万~148万ベクレルの汚染地域約7200平方キロを農業禁止区域とした。

 河田氏は、文部科学省が作成した大気中の放射線量地図を基に、福島県内で土壌中の放射性物質「セシウム137(半減期30年)」の蓄積量を算定した。その結果、1平方メートル当たり148万ベクレル以上の地域は、東京23区の面積に相当する約600平方キロ、同55万~148万ベクレルの地域は約700平方キロあり、それぞれ複数の自治体にまたがっている。


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ま、範囲は少し狭い、ということかと。
だが、数百平方キロ単位、ということなのだな。

参考>

”腐海”完成

土壌改良なんて、そう簡単にできるのか?


ざっとの大雑把な推定で400k㎡という数字を挙げてみたのだが、全然違った。もっと広かった、ということですわ。

ああ、それから、嘘つき野郎どもがいると思いますけれども、よく「放射能は危なくない、たったの○%ガンのリスクが高まるだけに過ぎない」とか、知ったような口を叩いている人がいるようだが、だったら、お前が防護服なんかもなしで福島原発の高濃度放射線を思う存分浴びてこい、って言ってやりたい。
それでもなお、「いやー、原発っていいもんですね~」とか言えるなら、原発推進派の気概やよしと認めてやってもいい。これでも僅かに発ガンリスクが上昇しただけ、だから全然平気さ、どうせ人間はガンで死ぬもんだし、というような主張をすることを許そう。だから、早速福島原発に行って、ボランティア作業でもやって放射線浴びてきてくれ。




福島第一原発 1号機はどうなっていたのか

2011年05月24日 20時15分28秒 | おかしいぞ
東電が公開したという大量のデータについて、ちょっとだけ見てみた。東電としては、ホラこの通り、情報を出しているんだから隠蔽なんかしてないぞ、という姿勢を示したいのかもしれない。まあ、そうだ。公開してはいる。一見すると。
東北地方太平洋沖地震発生当時の福島第一原子力発電所プラントデータ集|東京電力

だがこれは、悪知恵の働きそうな人間ならば思いつくであろう、紙爆弾ではないだろうか。生データを出して、その中から本当に重要な部分とか意味のある部分とかを拾い出してきて、解析かつ解説できる人間など極めて限られるに決まっているからである。同時に、不可欠な部分とか、本当に重要な部分を意図的に取り除いたりして(悪く言えば隠して)公開しておけば、「公開はしてるぞ」といううアリバイ作りが出来るとともに、事実を隠蔽することもできるという、一粒で二度美味しい作戦なのではないのかな、と。

前に、日本郵政がこうした手法を取ったのではなかったかな、と思い起こしてみたわけです。アレな連中というのは考えることが似ているので、勉強になりますね。他の事例が参考になる、というわけですね。ああそうか、国税庁の査察官とかも、こうして参考事例を積み上げてゆくことで、様々な手口に対抗できるノウハウを蓄積してゆくというわけですね。ほんのちょっぴり理解できたような気がします。

話が大きく脱線しました。
1号機の話に戻りましょう。以下の記述は、あくまで素人の視点によるものだということですので、悪しからず。データの見方とか、各資料なんかは、初めて目にするもので、全く判りません。用語なんかも不明ですね。そうではあっても、疑問に思える部分がありましたので、書いておきます。


①「2.チャート」の圧力変化について

チャートだけでもたくさんの資料があったのですが、印字が見づらくて、判読できないものが多い(水位や原子炉圧力のデータとかがそうでした)のと、意味が判らないものが沢山ありました。
取り上げたいのは、『原子炉格納容器圧力/圧力抑制室差圧 (1/2)』という時系列データ表です。
多分、圧力の高い方が格納容器圧力かと思いますけれども、これが、3月11日0時には約5kPaだったのですが、徐々に6kPaくらいになっておりまして、地震発生直前の値がそれくらいであったのではないかと思います。地震後には、急激に上昇が見られ、3時30分過ぎくらいには約8.3kPaになっていたように見えます。

地震発生後に原子炉停止となったものと思いますが、津波が到来する以前に、停止直後から格納容器内の圧力が上昇していたということです。

また、圧力抑制室との差圧ですけれども、これもやはり上昇が見られました。地震発生前にはゼロでしたけれども、3時10分~15分くらいの時点で約2kPa、その後の数分間で更に上昇が見られ、3時15分~30分の間に約3.6kPaくらいになっていると思います。こうした圧力変化は、恐らく冷却システムが止まってしまった影響ということであろうと思われ、非常用復水器の停止が悪化をもたらした可能性があるかと思います。

まとめると、
・原子炉格納容器圧力
地震前 6kPa → PM3:40分頃 8.3kPa

・圧力抑制室差圧
地震前 0kPa → PM3:15分頃 2kPa → PM3:30分頃 3.6kPa

ということでした。既に、津波前の時点で、既にこれほどの圧力上昇が起こったということです。東電説明のような、原子炉の圧力が急激に低下したので非常用復水器を手動で止めた、というような説明は不整合としか見えないわけです。
他のチャート類を見ても、肝心な地震発生直後のデータが殆ど分からず、この圧力変化のデータは有力な手掛かりかと思います。


②「警報発生記録等データ」について

これも全く意味の分からないものですから、どういう意味があるものなのかはよく分かりません。ただ、気になった部分がありましたので、取り上げます。

14:52 の『RX MODE SW』について、です。これによると、
STAT、OPER、REFUELの3種があるのですが、はじめはそれぞれ順に、
「ON、OFF、ON」だったものが、続いて「OFF、ON、OFF」と変わっています。
緊急起動のスイッチオンで、手動がオフ、何かの供給がオン、ということでしょうか。断定するのは憚られますが、RXは非常用復水器の起動ということなのでは?
そうだとすると、自動緊急起動でオン、手動がオフ、復水器の給水オン、ということで納得がいくように思えます。これを切り替えて、手動オンで復水器の給水オフとしたのではないか、ということです。

津波襲来前にも関わらず、3時以降の警報発生記録がないのは何故なのか分かりませんが、機械的な要因なのかもしれません。

上のデータの話もそうなのですが、重要部分が欠落しているとしか思えないようなデータになっている、ということですね。

他の資料も含めて、分かる人間が、全てを読み込んでいき、解釈することを積み上げないければ、正しく理解することは非常に困難でしょう。特定部分のデータを隠しているかもしれない、ということについても、記録システムのことに詳しい人間じゃなければ、判らないでしょう。

そうした検証を今後やってゆく必要がある、ということです。


当方のような素人が、限られた時間の中でチラッと見てもこれだけの疑問点が出てくるのですから、もっと正確に判る人がきちんと見ないとダメであろうと思います。



海水注入中断騒動は、枝葉末節に過ぎない

2011年05月23日 21時18分23秒 | 政治って?
今更になって、こんな問題を大袈裟に取り上げるのは、意味不明である。恐らく、菅総理の引き摺り降ろしネタとしたいが為の、煽動工作に過ぎない。斑目委員長とかの言った、言わない、という話にしても、はっきり言えばどうだっていい。
この国のマスコミ層というのは、本当に終わったんですね、やっぱり。
問題の本質的なこととまるで離れたことだし、問題解決に繋がらないようなことを、いくら争ってみたってしょうがないのに、そういう煽りをやって物事を動かそうとする姿勢は、本当に酷いと思うね。単なる煽動装置だ。


菅総理が怒鳴りまくってどうしたとか、そういうのも、別にどうだっていい。石破とか、終わってるな。菅総理が残ろうが、退陣しようが、福島原発の作業は厳しいのが続いてゆくし、この困難をみんなで協力して乗り越えない限り、どうにもならない。最前線では、戦いが続いてゆくだけ。福島原発をどうにか収束させることに比べれば、菅総理のタマなんざ全然軽いもんだ。別に、総理を降りたって、命が取られるわけでもねえ。
だが、福島原発では、既に命を落とされた方々が、何人もおられるんだ、ということを忘れるな。今も、命を削って作業に当たっている人々がいてくれるということの方が、菅総理の言った言わないなんてことより、何百万倍も重要なことなんだよ。
若い命が散ったんだ。
前途ある若者が、命を賭して何をなそうとしていたのか、ぼくはどうしても知りたいんだ。


過ぎてしまった出来事は、もう取り返しがつかない。だから、個人の責任に帰するのだけは、やめてくれ。責任を問われるべきは、トップもトップの、本当の上の人間だけでよい。現場では、難しい選択、重要な選択を迫られるんだぞ。それを個人の結果責任として、問うのは止めて欲しい。赤か青のコード切断を迫られた人間のようなものなのだ。一つは無事に済むが、別な方は数万人の被害者がでるかもしれないコードで、どちらかを正確に選び出さねばならないということを求められるのだから。この責任をごく少数の人間だけに負わされ、決断せねばならないのだ。


ただ、起こったこと、やったこと、事実、これは、大事だ。
何が起こったのか、なにをどうしたら、どうなったのか、そういうプロセス全体というか詳細な経過は重要なんだよ。これはどんな事故だってそうだろう。そういう事実とか、謎とかを解き明かさないと、次の失敗を防げることには繋がらない、ってことを言っているのです。だから、個人の責任を追及したりしない代わりに、細かいことを全部包み隠さず明らかにし、何がどうなって、状態が悪化することになっていったのかを、解明する必要があるのだ。

その為に、官邸からの作戦指示が来ていて、その通りにやりました、ということなら、そういう事実を現場の人間も含めて、検証しなけりゃ分からないと思うよ。これは、まあいい。


あくまで当方の記憶と推測に基づいて、あの時期にはどうであったのか、ということについて書いてみたい。

以前にも書いた(続・Fukushimaは人災か~隠蔽される福島第一原発の疑惑)ように、当初の危機感の高まりは11日午後8時半~9時頃だった。
恐らく現地から放射線量の上昇の報告を受けたのではないか。それは、炉心溶融の始まりを意味するものだったろう。これを受けて、20時50分に2キロ圏内の避難指示が発動された。

一晩で危機的状況に陥り、翌12日早朝には1号機の内圧が高まり、ベントを行うべきという判断の下、避難指示を10キロ圏に拡大。AM5:44に避難指示が出された。

ところが、弁が動かず、いくら待ってもベントが開始されない。同時並行で、現場では海水注入準備に取り掛かっていたはず。冷却用の淡水が尽きる時間が迫っていたからだ。元々準備されていた真水の冷却水の残が、どんどん減って行っているということは判っていたはずだ。その後には、冷却手段は海水しかなくなる、ということはほぼ確実だったのだ。

ところが、東電幹部には、海水注入に抵抗感がまだあったであろう。二度と使えなくなる、という恐怖が頭をよぎったからだろう。ホウ酸や海水注入は、何としても避けたい選択肢だったわけである。

そうして、遂に水が尽きた。
12日、PM14:53 注水停止。
ベント開始が、この少し前の2時半だった。

この時点で、ギリギリ限界に来ていたのではないかと思われる。それは、現場の作業を行っていた人たちにとっても、1号機にとっても、ということだ。水が尽きて、海水を続けて投入できていればよかったかもしれないが、官邸側からはベントを早くしろ、と矢のような催促が幾度も来ていたし、東電幹部からは海水注入は早まるなと釘を刺されていたのではなかったか。ベントか、海水注入か、という作業を同時並行で進めるには、あまりに過少戦力だった。ベントをまずやるしかない、ということで、そちらを優先せざるを得なかったのではないかな。

そして、PM15:36頃、1号機の原子炉建屋で水素爆発が起こった。
注水ラインは、ダメージを受けたに違いない。


恐らく、爆発の事実は直ぐには官邸に伝わっていなかったのかもしれない。けれども、東電ではこの事態を先に把握していたであろう。
ホウ酸や海水注入を躊躇っていた幹部連中に、心胆寒からしめる急所の一撃となったであろう。即、海水注入を決断したはずだ。それが、水素爆発から約30分での海水注入プランの提示だったであろう。
福島原発事故 7つの場面検証(上)「想定外」…対応後手に (5/6ページ) - SankeiBiz(サンケイビズ)

恐らく、現場では「もう廃炉でも仕方ないから、ホウ酸と海水を入れるよりない」といった意見が出されたのではないかと思う。だが、中々そこの踏み切れなかったのであろう。「もうやるしかないんだ!」という思いと、決断できない上層部、ということだったのでは。

ベントは12日朝早くに行うつもりだったのだろう。だが、弁が開かず、手間取ることになってしまったのだ。それが、14時半までずれ込んだ理由だった。障害がなければ、あれほど遅れることになることもなかった。誰もうまくベントできないなんて事態が生じることを思ってもみなかった。

おまけに水が尽きてしまうという不幸が重なった。
そして、水素爆発が起こってしまったのだった。

爆発・崩壊した原子炉に海水注入の準備に向かわねばならない作業員たちの胸中を思うと、不安と恐怖はいかばかりであったろう。作業を実施した方々の覚悟が、本当に凄まじきものだったに違いない。

官邸側では、東電からの海水注入提案を受けて、新たな対応に追われることになった。17時のNISA会見を急遽中止し、爆発についての説明を官房長官が17:45からの臨時会見で行った。その場において、今後に海水注入の予定があることを触れていたであろう(東電の準備が出来次第始めたい、といったような話だ)。同時に、避難指示の拡大が伝えられた。それは、海水注入に際して、念のため万全を期して避難して頂く、というようなニュアンスのものであったはずだ。

そうして、PM18:25に20キロ圏内の避難指示が発動された。
崩壊した1号機原子炉建屋の脇では、海水注入準備が行われていた。放射性物質の降り注ぐ中で、必死の作業に当たっていた。
水の注入が止まったのは、15時少し前だ。あれから注水が行われていないということが、今後にどのような展開となるのか不安を抱かせた。カラ焚きの蒸し風呂状態になってから、既に4時間が経過していたのだから。

海水注入にあたって、官邸側が最も恐れていたのは、多分水蒸気爆発ではなかったか。なので、試験注入が開始されていたことを知らずにいて、東電側からの試験注入という情報が入った時には、「何??もう入れたのか!!」と驚いたとしても不思議ではないだろう。
どうしてか?
18時25分に避難指示を拡大したのだが、住民避難が全く捗っていなかったからではなかったか。まだ周辺住民が残っているのに、海水を入れて水蒸気爆発が起こったらどうするんだ、という話になってしまったのではないのかな、と。
住民避難が進むまで、もうちょっと待て、と。


この時点で、10キロ圏の住民避難さえ、まだ完了していなかったからだ。なので、海水を入れるのを待てと言ったとしても、理解できないわけではないのだ。

それに、後に訪れる大きな余震で、海水注入作業は数時間に渡り中断を余儀なくされたことはあった。菅総理が止めたかどうかによらずとも、あの時点では大差なかったかもしれない。それほど事態は深刻化してしまっていたからだ。

なので、注入を止めた最大の理由は、住民避難が進捗していなかったから、ということであろう。それを止めさせた人間が誰だったのかは、あまり大きな問題ではないように思える。再臨界の可能性云々とか、そういうのが重要な論点だったとは思われない。


勝負を分ける大きな分岐点は、もっと前の時点での話だった。

厳しい状況に陥るのは、大抵の場合、思わぬことなんかで足元をすくわれたりして、いつもならもっと確実にできることさえもがうまくいかなくなるのだ。そういうのが重なって起こるのである。だから、より事態が悪化してゆく。誰がそれを招いたという単純なものでもないのだ。

恐らく、事故は起こるべくして起こる。
だが、そこにはいくつもの修飾因子のようなものが、いくつも複雑に絡み合ってくるのである。それがなければ、大事故には至らないのだ。重なって発生してしまう確率なんて滅多にないことが、何故か「ハマリ」の時にはいくつも発生してしまうのだ。



前の記事にちょっと追加だが

2011年05月22日 17時52分12秒 | 社会全般
(追加というか、直接的にはあんまり関係ないかな。)


東電とその一派からすると、裁判所が判断を下すというような事態は、むしろ恐れていたはずです。不確実性が高まるから、です。行政サイドほど圧力や工作が効かないから、ということでしょう。政治家や官僚等であれば、動かしようがあるから、ということです。なので、「3条但書を適用する」と行政サイドが判断してしまえば、損害賠償請求は「全て国が持つ、面倒をみる」ということにできる、と考え、その為にインフォーマルな力を行使して行政に働きかけ、裁判所判断を封じようとするのは当然ということになるでしょう。ヘタに裁判所の判断が先に出されて、「いや法的には、天災地変には該当しませんよ」とか大々的に言われてしまおうものなら、大変なことになってしまうから(笑)。
国が「賠償責任は私です」と判決前に宣言してしまうと、東電に賠償請求する利益というのはなく、判決の上でも「国に請求するのが正しいので、国に請求して下さい」ということで、裁判を終結させられるはずですからね。


もしも、本気で国と法解釈を争うつもりがあったのなら、東電は勿論、銀行だって動くことは不可能ではなかったはず。
ノーアクションレターのような制度があるのですよ。法令適用事前確認手続をまず出して、緊急の追加融資をする前に「3条但書の適用になるか、否か」ということを聞くことはできたはずだ(民事訴訟が提起されて以降であれば、行政庁が答えない(回答を避ける)ということはあるので、返答が得られないかもしれない)。

東電にしても、原子力損害賠償補償契約の補償金請求(原子力損害賠償補償契約に関する法律)があるはずで、条文上の解釈を確認したいのであれば、「賠償措置の有無の確認」とか「請求権が東電に存在しない(=天災地変条項(施行令1条2号)適用の為)ことの確認」とか、行政庁の公式見解を確認することはできたはずである。
こうした、所謂フォーマルな手続きを踏んでしまうと、証拠として解釈論が残ってしまうのと、法解釈上の行政側裁量(悪く言えば曖昧さとか恣意性とか)を利用したい(=賠償責任を逃れる為の3条但書適用を確約させる)ということが達成できなくなる虞がある、ということだったろう。法的に戦うということになると、要するに「表の戦い」になってしまい、手練手管を利用し政治力や財界影響力などの全力行使でどうにかできるという「裏の戦い」からは外れてしまう、ということを最も恐れたのであろう、と。

ク●どもの考えそうなことって、どうせそんなもんだろう。


だから、本気で3条但書適用を争うのであれば、裁判での決着となろうとも、行政側解釈に挑まなければ覆せるはずもないということだ。しかし、これをやってしまうと、フォーマルな手続きとなってしまう為、東電とその一派の実力行使が中々及ばなくなるから残念無念ということだったのだろう(笑)。

結局のところ、東電と一派のヤツラがやろうとしていたのは、これまで通りに「内々で処理、いいように処理、我らの利益になるように処理」ということでしかなかった、ということだろう。


因みに、拙ブログで裁判所の判断に従うよりない、と書いた(笑い者の「東電救済スキーム」)のは、判決云々ということではないぞ。倒産会社それとも更生会社としての、更正計画とかの再建手続は、裁判所が決定を下すものであるから、それに従え、というものだ。

そういう公的な再建計画に従う(例えば会社更生法適用とか民事再生法適用等)のが困難であるというのなら、昔みたいにメインバンクを中心とした銀行団と再建企業が協力して、いうなれば「私的更生計画」を目指すよりないんじゃないの、という話だ。
どこまで資金手当てが可能か判らないが、更正会社に準じた処理を自発的にやって、賠償に備えた引当なりを積んでみて、それでもどうしても不足する(会社が本当に倒産してしまう、債務超過に陥るのが確実)というのなら、はじめて国(と国民)が負担しましょう、支援しましょう、というのが筋なのではないのか。メインバンク時代であれば、率先して債権放棄を示したのが銀行であり、メインバンクが債権を一番カットする姿勢を見せなければ、他の金融機関に「どうか減免して下さい」なんて頼めなかったんじゃないの?
せいぜいが「なに、殿様商売を気取ってんだよ、お宅が頑張って削ってないのに、何でウチがかぶらにゃならんのよ」ということで突っぱねられて終わり、みたいなもんだ。


ところがどっこい、東電はもとより、銀行団にしても、どこからどう見ても更正会社に準じた態度でもなく自覚もないようですから、だったら、放置でいいんじゃないですか、自分たちの好きなようにやったらいい、それで倒れたら法的手続きに移行したっていいんじゃないの、という話だわな。倒産に準じた状態じゃない、まともな一流企業のまんまでやれるんだ、という自信がみなぎっているようですから、だったら「国の支援・援助」なんざ、金輪際必要ないんじゃございませんかね、ということですわ。
東電と銀行なりマーケットなりで、自分たちの好きなように法に基づいて処理したらいいんじゃございませんの、という話なんだわ。

そうすりゃ、債権放棄をしろなんてアホな政府(笑)にも言われずに済むわけだし。
自分たちの好きなようにやれるでしょうが。
経団連や全銀協の言う、法に基づいた処理、法理論に則った処理というものが達成されるでしょう、ということを言っているんだよ。どうしてそれをやらないのか?
やれるはずなのに、やろうとしないのは何故なのか?


ま、こんなもんなんだろうね。
所詮、出鱈目を言うくらいしか能のない連中なので、人の懐を当てにすることしかできんわけだよ。
勿論、自分たちの腹を痛めたくはないから、全部他人の金で手当てするわけさ。
他人の金というのは、税金であったり、電気料金という名の強制徴収資金だわな。
で、何でも国の責任、国の金を当てにしておきながら、都合のいい部分だけはマーケットの論理を振りかざすという、出鱈目「学者もどき」と一緒ってことだな。


学者を名乗っていながらにして、堂々と出鱈目を披露し、それを恥とも思わない人はいるんだな、ということか。
社会的に肩書きだとか地位とかが偉くたって、同じく出鱈目を言い募るというのが尽きないのと一緒だね、と。


日本社会のダメさ加減を痛感させてくれて、有難う。



小幡績氏の全く間違った論説

2011年05月22日 15時56分45秒 | 法関係
小幡績氏の論説には、全くの誤りであるとしか思えない部分が含まれている。

はてなブックマーク - ごく普通に東京電力の賠償スキームを考える : アゴラ - ライブドアブログ

(以下に一部引用)

賠償の対象は審議会などの検討を経て決定する。風評被害などをどこまで賠償するかは審議会の検討を踏まえて、内閣が最終的に判断、決定し、賠償を行う。この範囲については、個別被害者から訴訟を受ける可能性があり、それは司法判断となる。また現在進行中であるから、賠償責任も範囲も本来は確定しないはずだ。だから、国が全責任を取るのはおかしいという議論がありうるが、同時に一義的に東京電力の責任と内閣が断定的に発言するのもおかしい。したがって。正式には決定できない。
原賠法第三条但し書きを適用してすべてが国の責任であると判断しない限りは最終的な責任主体は確定しない。ということは、逆に言うと、一義的に東京電力の責任という判断はいかなるロジックをもっても誤りである。個人的な意見として東京電力に責任を負わせろという投書が新聞に掲載されるのはありうるが、権威ある日刊紙が社説としてそう断定するのですら、社説の立場としては難しく、ましてや、政府が断定することはありえない。ここにも政府の完全な論理的誤りが存在する。これは裁判所で決まるもので、政府の意見はあるだろうが、司法判断を待つしかない。だから、現実には最終的な賠償責任主体を確定せずに走るしかない。


========


大学の教官ということらしいのですが、酷い間違いが多すぎるのではないかと思われます。ウソを書いている部分について、見てゆくことにします。以下、小幡氏の記述した問題部分を赤で表示します。


ア)国が全責任を取るのはおかしいという議論がありうるが、同時に一義的に東京電力の責任と内閣が断定的に発言するのもおかしい。したがって。正式には決定できない。

ここで言う「正式には決定できない」ということの意味ですが、異議申立てなどがあって訴訟となれば、最高裁まで行く可能性があり、そういう点で「最高裁判決が確定しないと正式決定ではない」という言い分なのかもしれません。確かに最高裁判決が出されるまではどうなるか不明、ということならば、殆どの事柄についてそのようになってしまいます。
曖昧な言い方を避けるということならば、
・行政府は決定できる権限を有する
・しかし、その決定(処分)が確定しているとは言えない
・行政訴訟等で司法判断によって覆される可能性は残されるから
というふうに、正確に表現すべきでしょう。

そもそも政府には、決定する権限がありますから、内閣が「東京電力の責任」と決めてそれを公表(発言)することはできます。小幡氏のいう「発言するのもおかしい」というのは、行政府が決めたことについてではなく、「発言するのは不適切(場面、時期、内容、影響等々を考慮すると)」という意味合いでならばあり得るかもしれませんが、政府が「東電が賠償責任を負う」という判断を下すのが誤りという見解ならば、それは間違いです。


イ)原賠法第三条但し書きを適用してすべてが国の責任であると判断しない限りは最終的な責任主体は確定しない。

前項以上に酷いウソがこれです。
前にも述べた通り、「原子力損害の賠償に関する法律」3条及び4条により、原子力事業者が責任主体であり、他の者はあり得ません。3条但書が適用された場合には賠償義務を負う者はなく、原子力事業者は免責されると同時に、国の賠償責任も消滅します。但書適用の場合において、国は「被災者の救助及び被害の拡大の防止のため必要な措置を講ずるようにするものとする(17条)」とされており、賠償義務を負うものとは解せられません。
「但書を適用して全てが国の責任」とか、「責任主体は確定しない」というのは、全くの出鱈目と言ってよいでしょう。

(参照:原子力損害の賠償についての検討


ウ)逆に言うと、一義的に東京電力の責任という判断はいかなるロジックをもっても誤りである。

いかなるロジックをもってしても、小幡氏の主張は間違いでしょう。前記2項から、明らかです。


エ)ここにも政府の完全な論理的誤りが存在する。これは裁判所で決まるもので、政府の意見はあるだろうが、司法判断を待つしかない。

これもア)で述べたのと同様に、司法判断を待つしかない、というのは誤りです。裁判が行われている場合ならば、当然ながら裁判所が判断を下すことになるかと思いますけれども、行政の全てで裁判が行われているわけではありませんから、いちいち裁判所に確認することなどできるはずもないのは明白です。行政が判断する権限を持ち、適用とか適用外とかの判断を下すよりないのです。その処分や裁定などに不服である時には、別な方法で紛争解決を図りましょう、という制度になっているのですから(行政事件訴訟法、行政不服審査法など)。



ここで、当方が例題を勝手に考えてみました。そちらの方が分かりやすいのではないかな、ということで、説明の補足にしたいと思います。

最近のユッケ騒動もあり、予備試験の問題にもなった食品衛生法を取り上げてみます。

(参照条文) 食品衛生法 第六条

次に掲げる食品又は添加物は、これを販売し(不特定又は多数の者に授与する販売以外の場合を含む。以下同じ。)、又は販売の用に供するために、採取し、製造し、輸入し、加工し、使用し、調理し、貯蔵し、若しくは陳列してはならない。
一  腐敗し、若しくは変敗したもの又は未熟であるもの。ただし、一般に人の健康を損なうおそれがなく飲食に適すると認められているものは、この限りでない。
二  有毒な、若しくは有害な物質が含まれ、若しくは付着し、又はこれらの疑いがあるもの。ただし、人の健康を損なうおそれがない場合として厚生労働大臣が定める場合においては、この限りでない。
三  病原微生物により汚染され、又はその疑いがあり、人の健康を損なうおそれがあるもの。
四  不潔、異物の混入又は添加その他の事由により、人の健康を損なうおそれがあるもの。


このような法律がある場合、例えば、牛肉の生肉であるユッケは販売できうるか、また、事故が多数発生している場合に行政はこれを止める権限を有するか、といったことが問題になるでしょう。
(しつこいようですが、あくまで架空の例示であり、事実とは関係ありません)

具体的な事実として、
・ユッケに提供された牛肉から細菌が検出された
・ユッケを食した人に、食中毒患者が複数出た
ということがあったとします。

すると、6条3号の病原微生物による汚染(又はその疑い)、健康を害する虞、という要件を満たしているものと判断することは不可能ではないでしょう。そうすると、55条規定により知事(保健所)には営業停止権限があるので、この根拠をもって業者甲に営業停止を命令したら、甲はこれを不服としてその処分の無効を主張しました。

さて、このような場合、6条3号に該当しているか否かの判定は誰が行うのか、ということです。まず行政にその判断を行う権限が与えられているのであり、裁判所がいきなり判断をしてくれるわけではない、ということです。
爛熟した桃が厳密に言えば腐敗しているとみなせるかもしれないが、行政が1号但書に該当していると判断するなら、敢えてこれを禁止しない、というような決定をすることも同じです。

行政の出した処分が不適切であると考えるならば、裁判なり不服審査なりで争え、というのが現行制度となっているのです。これを「行政が判断することが誤り」とか言うのは、根本的に誤りであろうと思います。例題の場合に、業者甲が訴訟提起し、最高裁まで行った場合ですと、確かに「6条3号に該当するか否か」の最終的な判断は最高裁判所が行うのであって、行政(保健所)の処分が正式決定でない、というのはその通りでしょう。ただ、それは言葉のアヤというか、用語の使用が混在しているとか不適切というだけであって、例えば「正式決定」というのは何を意味するのかが、当人以外には分からないわけです。小幡氏独自の用語定義に基づいて使われているのであれば、理解困難となるだけでしょう(以前にも、似たような話があったな、そういえば)。


要するに「異常に巨大な天災地変」に該当するかどうか、ということについて、その当初の判断権限は原則として行政にある、ということです。



生煮えの菅総理

2011年05月21日 17時09分02秒 | 政治って?
菅総理も色々と批判が出されると、簡単に靡いてしまう態度というのは、本当にどうにかならんのか。

はてなブックマーク - 痛いニュース(ノ∀`) : 菅首相、「サンライズ計画」表明へ…2030年までに全ての屋根に太陽光パネル設置目指す - ライブドアブログ


なに、このガンダムはwww。

おまけに、「原子力は諦めません、キリッ」みたいな宣言を言わされるのって、「原子力ムラ」(因みに、”原子カムラ”ではありません)からの猛反発&巻き返しに屈し、つまるところ「菅降ろし」を避けんが為の策ってことでしょう?

浜岡を止めさせておいて、「日本は今後も原発をこれまで通りにやってゆくよ」とか言うのって、どうよ?
アホだな。
漸減してゆくよ、と宣言するなら、ああそうなんだねって判るが、原発推進派のいいなりになって今後もやるつもりだと言うのは、●●なし男くらいなんじゃないのか。

せめて、原子力技術の向上とか安全技術を高めるとか言うのならまだしも(日本国内に原発は不似合・不適切・適応外、もっと厳しく言えば禁忌だが、諸外国においては適応のある場合というものも想定できなくはないから、だ)、これまで同様に推進するからね、というのは全く理解できない。

自分の手で管理できない、対処できない、というシロモノを、どうして日本に置いておかねばならんのか、まるで判らん。

自分で管理できない手術方法を選択し、アクシデントに対処できる技量も持ってないのに、「これまで通りの方法で手術をします」って言うようなもんだぞ?
百万年早えんだよ。

そういうのを選択していいのは、できる人間だけ。
圧倒的自信のある人だけが、特別な手術方法を選べるんだよ。発生するアクシデントにも対処する能力とか技術とか、そういう裏打ちのある人間だけが、「やってもいいですよ」ということなんだよ。それは術者だけじゃなく、周囲のスタッフとかサポート部門の人たちとか、全部ひっくるめての態勢として、「受け入れていい、やっていい」ということなんだよ。

喩えて言えば、腹腔鏡の手術をやっていいのは、その技量がある人間だけ。アクシデントに対処できる能力とか、開腹手術の基本的技術とか、そういうのが備わった人間だけだ、ということだ。それに、術者側の能力が備わっているとしても、ハイリスク例ではやるべきではない、というのも当然なんだよ。日本は、いうなればハイリスク・グループなんだよ。自然災害のリスクは大きい、と考えるべきだろう。

そうなのであれば、その土地、実情に合った選択というものを考えるべきなんだろ。


アホみたいに、ガンダム計画だかを言ってる場合ではないだろうに。



免責を訴えていたお偉いさんたちはどうした?

2011年05月20日 21時32分26秒 | おかしいぞ
あれ~?
おかしいですね。

経団連会長は、3条但書を適用すべき、免責すべき、とか、言ってましたよね?
全銀協会長だって、そういうようなことを言っていたんですよね?

東電問題、政府は賠償免責検討を 全銀協会長 - 47NEWS(よんななニュース)

全国銀行協会の奥正之会長(三井住友フィナンシャルグループ会長)は14日の記者会見で、東京電力の福島第1原発事故で見込まれる巨額の損害賠償について「本件は(免責の対象となる)異常に巨大な天災地変に当たると考える余地は十分にある」と指摘。「政府の関与が必要だ」と述べた。原子力損害賠償法には巨大な自然災害などの場合に電力会社を免責する例外規定がある。

一方、枝野幸男官房長官は東電への免責適用を否定しているが、日本経団連の米倉弘昌会長も免責の適用を訴えている。奥氏は、東電への融資について「(大手銀行で)2兆円近い融資をした。公益事業と日本の産業を守ることに社会的使命を感じて融資している」と語った。


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こうした支援を受けた東電社長は、免責という考えを表明していたわけでしょう?
操り人形みたいな立場だったから、そういうことを言ったのかもしれませんが。

経済界は金も顧問弁護士軍団も大量に抱えているんだろうから、免責を争えばいいんじゃないの?(笑)


東電に賠償義務はありません、ということを、法廷で主張し、国と争えばいいじゃないか?
ほら、行政が判断することが間違いとか、法治国家にもとるとか、経団連会長おん自ら仰っていたくらいですから。

銀行さんも、民間だとか豪語するんだから、国に頼らずに「市場の論理」で処理を進めるべきなんだろうよ。行政が余計なおせっかいをするな、間違った手出しをするな、ということを、徹頭徹尾主張したらいいんじゃあございませんか~?
「神の仕業」の与謝野大臣という、強力な援軍も閣内にいるようですし。
どうした?
それだけの度胸もないのか?

法的に正しいと思っているからこそ、免責だ、異常に巨大な天災地変だ、とか大騒ぎしたわけだろう?
だったら、その解釈が正しいと考えているんだろうから、戦えよ。どうして、それができんのよ?
自分に都合のよい解釈を適用する場面だけは、「行政が『免責となる』という判断をしてくれ」ということか?
その場合は、「行政が判断することが間違い」とは言わないわけね?(笑)


東電は免責される、という主張が通れば、銀行の貸した金だって、安泰なんじゃないですか?
適用されないとなれば、銀行が追加融資したのは、適正な判断だったのかどうか、ということが問われるのではないですか?
そんな軽はずみなことをやって、市場が許してくれますかね?


まさか、ウチみたいなド素人の解釈論に、参った、とでも言うつもりですか?(笑)
弁護士軍団を無駄に飼っているわけではないんだろうから、覆せるだけの立論を行えば済むだけではないですかね?
「異常に巨大な天災地変」だと言っていたんだから、それを主張しろよ。

原子力損害の賠償についての検討


消えた米倉経団連会長の日経記事(笑)


旗色が悪くなると、ダンマリか?
あれから、免責、免責と騒がなくなっているみたいだが、どうしちゃったんですかね?
もう諦めですか?

経団連会長や全銀協会長が、揃って主張しておったことが、実は出鱈目だったということを認めるつもりですかね?

それでいて、「国が払え、国が責任持て」ということを強要するというわけですね?
「異常に巨大な天災地変」なのだから、国も払うな、と寧ろ主張すべきなのでは?(笑)

誰にも賠償責任を負わせられない、という状態が、3条但書の適用なんだろうよ。

金利減免など念頭にない、と言った翌日には、妙な観測記事を出すんですか?
asahi.com(朝日新聞社):大手銀、東電に金利優遇支援へ 債権放棄の回避図る - ビジネス・経済

一体何なんですかね。


菅政権もわけがわからんが、経済界も同じくわけが判らん、ということなんだよ。



東電は優越的地位濫用で警告を受けるべき

2011年05月20日 18時37分54秒 | おかしいぞ
おいおい、今日の決算短信の発表を見たか?

金がないから協力企業に払えない、ということで、出鱈目を言っていた連中は、今すぐ出てこい。
現預金の額は、楽々2兆円超あったぞ?
何、まさか、期末以降にそれを全部使ってしまった、注ぎ込んでしまった、とでも言うつもりか?


天下のTEPCOさんは、キャッシュで2兆円超を保有していても、僅かな金すら払えないんだそうだ。


言ったよな?

東電の行き過ぎたファイティング・ポーズ(追記あり)


東電さんよ、数億円程度の金さえも払えねえって?
奴らは、経団連、経済同友会、全銀協等、使えるコネを全部動員して、こういう汚いマネをやって、賠償義務を逃れようと画策してたんだぞ。

原子力損失の賠償についての検討~2

思った通りじゃねーか。国民を騙そうって、その腹が赦しがたい。
この期に及んで、責任逃ればかりか、協力企業等下請などの弱者虐めで、おのれの保身を図ろうなんていう、その図々しく腐った根性が、どうしても許せない。
仮払い金にしても、maxで800億円程度にしかならない、と書いたが、払った実績なんて200億とか300億くらいでしかなかったそうじゃないか。これも想像していた範囲内だわな。それとも、キャッシュが神の仕業でもって消えた、とでも言うか?


東電批判封じ込め作戦にまんまと引っかかる愚

匂いで判るんだよ。ゴミどもの腐った臭いがするんだ。
金を渋るとか、どんだけ「強請り体質」が滲み込んでいるか、ってなことだ。

特損で1兆円積んだって、その全部をいきなり支払ったわけではないぞ。
なのに、金がねえってのは、どういう了見なんだよ。

な?だから言ったろ。
こういう腐敗した連中の性根を叩き直すには、尋常な方法じゃ無理なんだって。
地獄のどん底に落ちてみなけりゃ、反省してみようなんてことは思うわけないんだっての。

許さん。
どうしても許し難い。