いい国作ろう!「怒りのぶろぐ」

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ガン患者やモルヒネをバカにしてるのか!

2008年08月31日 14時26分02秒 | おかしいぞ
こりゃ、不適切発言だろ。

総合経済対策、モルヒネと同じ=民主・山岡氏(時事通信) - Yahooニュース


民主・山岡国対曰く、

「選挙目当てのばらまきだ。がん患者にモルヒネを打つような話で、一時的にはいい気持ちになるが、長期的に見ると体をむしばむ」

って、誤解も甚だしいのではないか。

これでは、まるでガン患者の人たちは「一時的にはいい気持ち」になる為にモルヒネを使っているかのように思われるじゃないの。

モルヒネを使うことが悪いわけじゃないんだって。
用量を適切に使いましょう、という話であり、デメリットや危険性というものにも注意しましょう、というだけだ。なのに、単なる麻薬中毒か何かだとしか思ってないんじゃないのか?ガンの人たちに対して失礼だろ。

昔、値下げは麻薬のようなものだ、とか言ってた大企業経営者がいたな、という話を拙ブログ記事に書いた記憶はあるが、喩え方は似てるようで違うだろ。

国会議員というのは、こういう無理解が蔓延している、ということの一例となるかもな。


久しぶりの男子の活躍~男子テニス

2008年08月31日 14時08分36秒 | いいことないかな
これはスゴイぞ!!

全米テニス、錦織が第4シード・フェレール破り16強入り(読売新聞) - Yahooニュース

【ニューヨーク=小金沢智】テニス四大大会の今季最終戦、全米オープン第6日目は30日、ニューヨークのナショナル・テニスセンターで行われ、日本勢として35年ぶりの男子シングルス3回戦に進んだ錦織圭(ソニー)は、第4シードのダビド・フェレール(スペイン)に競り勝ち、全米の日本人男子では1968年のオープン化以降初めて16強入りした。

 6-4、6-4と2セット連取した後、3-6、2-6と続く2セットを奪われたが、最終セットを7-5で取った。

=====


オリンピックの時には、かなり頑張ったけど競り負けてしまって、ちょっと残念だったけど、それでも出場できただけでも偉かったと思うよ。1セット取ったしね。
(日本国内では、あまり知られていなかったかも…)

今回はメジャー大会で第4シード撃破ですから、これは大変なことです。取り返されて苦しかったろうに、最終セットで勝ったのは大きかったよね、多分。精神的なスタミナというかタフネスが、かなり強化されたんじゃないだろうか。

凄いぞ。本当に。
是非、決勝目指して頑張って欲しい(笑、高望みしすぎ?)。

いや、昔、アジア系では厳しいとか言われていたのに、マイケル・チャンが全仏で優勝したのを忘れられないんだよね。パワー隆盛の時代にあっても、優勝チャンスはあるんじゃないか、って、微かな希望を今でも捨ててないんです(笑)。



癒着胎盤例と死因究明のこと(資料追加)

2008年08月31日 13時32分54秒 | 法と医療
こちら経由で知りました。

産科医療のこれから 癒着胎盤で子宮摘出し、大病院であっても救命できなかった一例

総合周産期母子医療センターの癒着胎盤例ということのようです。
残念ながら子宮摘出にも関わらず、救命できなかった1例ということのようです。大野病院事件だけに限らず、難しい症例はあるのだな、と思いました。

が、報告を読んでいて、気になったことがあります。あくまで素人考えですので、ご了承下さい。
本報告書作成には医師11名(弁護士2名)が関わっているようなので、既に検討された論点かもしれません。


①貧血と自己血について

『臍帯血の値も貧血』と表現されているのは、恐らく「Hbが低かった」ということだろうと思われる。数字がないので、どの程度であったかは不明ですけれども、10g/dlを切る水準であったのかもしれない。ここから想像するに、術直前の段階において、「母体のHbが割と低かった」のではないかと思われる。児娩出までは僅か2分足らず、そこまでの出血量は少量であると思われ(数字的には400となっており、これには羊水含む量かと想像しますが、定かではありません)、貯血しておいた自己血を返血していることもあって、そんなに多くの血液が喪失したとは思われない。なので、元々の「術前の数値としてHbは低目であった」と考える。

さて、本症例では貯血の為に24w以降33wまで5回に渡り採血を行い、1200mlの自己血を得ていたということである。保存期間の問題があるので、早くから採血していた血液はどうしていたのか不明であるが(期限前に返血していたのかもしれない)、取っては保存し、暫くしてから取って保存、というのを繰り返していたのかもしれない。この採血段階で、どの程度までHbが回復していたのか、というのが気になるところだが、数値は全くないので判らない。最後の採血前時点では恐らくHbが10~11程度まで回復していたであろうと想像されるが、それがいつ(手術のどれくらい前か?)だったのか、というのは不明。もしも、回復が見られていなかったけれども、採血してしまえば、当然Hbは低値となってしまうであろう。

貯血開始後には鉄剤投与とか、エリスロポエチン投与とか、そういうのが行われていたのであろうと思うが、その実施具合と貧血の関係との記述がない為に、母体の術前状態が「貧血の程度がどうであったか」というのが一切不明のままである。もしもHbが9とかくらいしかないのであれば、術中に返血したとしても、出血量が多くなればやはり低いままであった可能性は考えられるのではないか。


②呼気ガス濃度について

報告によれば、「娩出直後から血圧低下が始まり、PaO2低下」という記述が見られるが、直接的な血液ガス分析をいつ行ったのか、というのは不明である。多分、血液ガスで見る前にSpO2のモニター数値が低下していき、酸素飽和度が99~100だったのが次第に90近辺とかに落ちていったのを見たのではないかと思うが、どうだろうか。普通は、モニター数値が低下するので先に気付くのではないかと思うのである。で、血液ガスの測定結果とカプノの数字からは、ETCO2は正常範囲であったのではないか。報告書の中では「呼吸終末PCO2も低下していない」という記述になっており、これは、数字が正常よりも高いままで推移し(例えば50以上とか)正常範囲までには低下しなかった、ということを言っているのか、ほぼ正常範囲のままでそれ以上に低くなるということはなかった、ということを言っているのかが判らない。が、文章の感じからして、後者であろうと推測した。

つまり、血液中の酸素濃度は低下したが、呼気中の二酸化炭素濃度は低下していなかった、ということが起こったのであろう、ということだ。これが重要なカギではないかと、私は考えた。


③では、何が起こったと考えるか?

あくまで可能性だけ考えたものですので。
貧血傾向であったこと、PaO2の低下、ETCO2は低下せず、ということから、不整脈発生をもたらす要因となったのは、低酸素血症であろうと考える。低酸素血症は、致死的不整脈を惹起する要因となり得る。Hbが5.5くらいまで低下していたこと、PaO2がかなり低下していたこと、などから、そう考えた。純酸素で換気しても、低い酸素分圧となっていたのであろう。
が、低Hbが致死的かと問われると、単純にそうとも言えないかもしれない。

これ以外に存在した要因の可能性としては、肺水腫(高山病とか、よく出る病態です)を疑う。非心原性のものである。
娩出後から出血量は多くなっていたものの、自己血やMAPなどでかなり補っていたであろうと思われ、1600~2000mlの出血程度であれば、自己血1200他血液を補充されるので、カバーできないほどの量ではない。貯血例での出血量としては、飛びぬけて多い量とも思われない。が、出血とは別に、モニター上でSpO2低下が始まっていたのではないだろうか、と。そうであれば、単にHbが低いから、という理由だけではなく、呼吸器系に問題が生じていた可能性があると思うのである。で、疑わしいのは、肺水腫だったのではなかろうか、と。それが低酸素血症を招来していたのではないだろうか、と。これは、ETCO2が低下していないこととも整合的である。

更に、入院後から常用していたのが、子宮収縮抑制剤である塩酸リトドリンであった。入院がいつだったのか記述がないので不明であるが、貯血などもあってある程度の期間の入院となり、術前の割と長い期間に使用されていた可能性はあるのではないか。本剤の副作用としてよく知られているものに、肺水腫がある。肺水腫自体は、リトドリン使用の如何に関わらず、妊娠中には見られることがあるものなので、関連性は判らない。

術前から低Hbであったと思われること、それと同じように膠質浸透圧低下の素因(要するに血液サラサラみたいな)があったかもしれないこと、リトドリンの影響、などから、PaO2低下の原因として疑わしいのは肺水腫ではないか、と考えた。特に、術前に赤血球、Hb、Ht、Alb、Pltなどの数値が低目で、リトドリンのような子宮収縮抑制剤を用いていれば、その発生リスクは高まっていたのではないかと思う。


返血後にも別にMAPやFFP等の輸血は行っていたであろうと思うが、血圧低下が著しかったこともあって循環血液量を維持する為に輸液も大量に行ったのではないかと思われ、水分が多く入ったことによって肺水腫は起こりえるかもしれない、と。しかし、解剖所見からは肺に関する記述が見られないので、実際にどうであったかは不明である。


また、子宮を摘出したのに出血が続き、しかも出血部位が不明というのは、よく判らない。解剖所見でも特定できないのであれば、術中に出血点を特定するというのは極めて困難なのではないか。子宮を摘出したのに出血するとなれば、癒着胎盤の大量出血例の場合には子宮を摘出すべし、という意見そのものが無効ということなのだろうか。この辺もよく判らない。


追加です。

資料を探したら、見つかりましたので。

日本輸血細胞治療学会誌第53巻第3号目次

この中に、『妊産婦における自己血輸血の安全性の検討―多施設共同研究に向けての予備研究―』という原著がPDFで読めます。


あと、こちらも。

JJSCA : Vol. 26 (2006) , No. 1 86-89



控訴断念~福島産科死亡事件裁判後

2008年08月29日 19時44分41秒 | 社会全般
産科医の無罪確定へ=帝王切開死、検察が控訴断念-「今後は慎重に捜査」・福島(時事通信) - Yahooニュース

(一部引用)

同地検の村上満男次席検事は「裁判所が要求したほとんどのものが従っているという一般性のある医学的準則も一つの考え方。過失と(医師の)注意義務をどうとらえるかで、検察と異なっていた」と説明。控訴しても、裁判所の判断を覆すことは困難とした。
 加藤被告の逮捕、起訴について「法律と証拠に基づいてやった。判断としては間違っていない」としたが、「今後はより慎重、適切な捜査をしたい」と述べた。 

=====


とりあえず、一報。


追加です。

最高検との協議の結果だろうと思われますが、勇気ある決断だったと思います。控訴断念によって、検察に対する見方(医療者たちやその他法曹)は信頼が保たれたのではないかと思います。

たぶん、地裁の出した判決文が、「ある水準」に到達していた為であると思います。法的な考え方という点で、検察側が認めざるを得ないというものであったから、ということが最大の理由であろうと思います。

更に言えば、医療界ばかりではなく、国民にも関心を持たれた事件となり、一定の成果を挙げたということもあるかと思います。医療側に法を意識させ、学ばせる機会を提供してくれました。医療の窮状を、広く社会に知らしめるきっかけともなりました。今後の医療行政にも大きな影響を与えたものとなったでありましょう。

逮捕、起訴された医師にとっては多大な負担となり、人生を大きく変えるものであったことは間違いないでしょう。そうではあっても、……生きているのです。

過酷な言い方になってしまいますが、患者さんは死亡されました。
医師は、大変な裁判を背負わされましたが、生きているのです。これから、再出発することはできるのです。しかし、亡くなられた患者さんは、もう二度とやり直すことはできません。亡くなられた患者さんも、起訴された医師も、非常に大きな犠牲を払ったのです。
だからこそ、本件から、できるだけ大勢の人たちが、できるだけ多くのことを学び取らねばならない、と思うのですよ。

そうでなければ、亡くなられた患者さんも、起訴された医師の失われた時間やその他のものも、消えていってしまうことになってしまいます。

医療を受ける一般国民、医療者、警察、検察、裁判所、弁護士、等々、それぞれに今後活かすべきことを考えてやっていくことが大事なのだろうと思います。私はとても多くのことを学ばせてもらったと思っています。



高カリウム血症に関して気になること

2008年08月29日 18時57分04秒 | 法と医療
以前、大野病院事件の死亡理由について、「高カリウム血症」の疑いについて書いたことがある。

福島産科死亡事件の裁判・その2


これと似た症例が報告されていたようで、天漢日乗さんの所で見ることができました(有難うございます)。

天漢日乗 産科崩壊 昨年大病院で延べ人数にして産科医4人心臓外科医1人救命センターの外科医1人麻酔科医8人麻酔科研修医5-6人、看護師15-20人、臨床工学技師2-3人を動員して術中心停止をなんとか救命できた癒着胎盤子宮全摘の症例→追記あり


中身が濃いので、私のような人間からは何とも言い難いわけですが、「自己血1200ml」ですか。結構驚きました。そういう時代になっているんですね(因みに、いくら貯血の為とはいえ、そんなに度々採血されたら、私ならフラフラになってしまいそう。←ウソだけど。でも、血を抜かれるのは怖くて、実を言うと、今まで人生で一度(400)しかしたことない……母は強し、ということなんですね)。

この高カリウム血症は腸骨動脈阻血後の再還流によるものだろう、という考察かと思います。大量輸血(保存血)による高カリウム血症ということではないだろうと思います(MAPは4単位でしかないですし)。が、阻血時間が多くても30分程度(※注意!!ここの記述は誤りでした。申し訳ありません。今―といっても2日後なんですが―見たら、気付きました。阻血時間は約60分だったようです)であったにも関わらず、それほどの高カリウム血症が惹起されるものなのか、ということはかなり意外でありました。子宮摘出までに6500の出血があり、還流再開後に急速に心停止に陥ったということのようです。GI では改善されなかった為、CHDF実施となった、と。ECG上では、高カリウム血症が疑われる所見があったようなので、そこにも注意するべき点があったかも、と。

それにしても、よくぞ頑張ったな(患者さんも医療者も)と思います。



手術とは関係ないのですが、こうした阻血?が理由で「突然死」のような状況に至るのではないかと、内心疑っていることがあるのです。まるでクラッシュ・シンドロームのような例ではないか、と疑っているのです。

それはどういった場合かと言いますと、「逮捕」などの場合です。
警官が暴れる犯人を暫く押さえつけていたら、連行しようとすると「いきなり死亡に至る」というケースがよくあるのです。

押さえつける側は必ずしも警察官ばかりということではなく、万引き犯を捕らえた店員などの一般人もあったりするようです。

例えばこんなの>
現行犯逮捕直後に死亡 - 元検弁護士のつぶやき

エンタメ!一般!ときどき脱線? 万引き犯が死亡…取り押さえた店員2人逮捕…

その他もいろいろあるみたい
押さえつけ 逮捕 死亡  - Google 検索


これらが全部同一の死因かどうかは判りません。中には頭部外傷によるものとか、高血圧性脳症のようなものとか、そういうのがあるのかもしれませんが、割と健康そうな人が暴れたりして複数で取り押さえられ、暫くその姿勢を取っているうちに死亡している、ということがあるのです。
私が勝手に想像している理由を書きます。
この原因としては、やはり高カリウム血症による致死的不整脈の発生なのではなかろうか、ということです。

機序としては、
・激しく暴れる→筋組織挫滅や破壊→カリウムが血中に出る
・取り押さえた後に同一姿勢で押さえつけ→何らかの還流障害(阻血?)
・偶然還流再開とか阻血が解除される
・再還流後高カリウム血症様の症状を呈する
・致死的不整脈発生

通常は、不整脈が発生した時点では気付かず、その後に急速なポンプ機能低下を生じて、脳虚血となった状態になってはじめて「グッタリした状態」に気付く、ということになるのではないかな、と。僅か数十分前まで、あれ程元気に暴れていたのに、場合によっては「人一倍」とか「これ程暴れている人間を見たことがない」というくらいに暴れていると思ったのに、いきなり死んでしまうとは通常考えられないのです。それが発見を遅らせる要因でもあると思うのです。

これと似た状態で事故が発生しているケースはあります。
例えば、歯科治療を行う際に、強度の抑制を行っている場合です。幼児や知的障害者の治療で抑制具を用いていることはあり、そうした器具が危険ということではないかもしれませんが、偶然にも上記犯人を押さえつけたのと同じような状態に陥る可能性はあると考えています。そうなれば、少し前までは激しく暴れていたのに、いきなりグッタリする、ということになります。実際に治療中の死亡例があり、死因としては薬物によるアナフィラキシーショックとか、そういうのが疑われたのではないかと思いますが、本当に薬物によるショックだったのかどうか、というのは疑問の余地があるのではなかろうか、と思ったりします。


そういうわけで、逮捕などの場合に同一姿勢をとり続けるのは避け、例えば5分程度毎に膝で押さえている場所を変えるとか、うつぶせに押さえているなら、腰の当たりにばかり体重をかけずに、時折頭部を股にして両肩に均等に体重をかけるとか、何らかの工夫をするべきではないか、と。
あと、応援を待つ時間の中で、数分おきに犯人の呼吸(胸が上がるので判る)とか、意識レベル(声を出すか、とか)を確認するように注意した方がよいかもしれません(実行可能であれば、ですが)。一般人が逮捕した場合にも同じで、警察に通報があったなら、犯人を確保しているかどうかを聞くと思いますので、押さえつけの注意について電話で指示した方がよいのではないかと思います。

とは言うものの、実際にこうした抑制と高カリウム血症の関連性が確認されたわけではありませんので、全く別な死因であれば、こうした注意は役立たないかもしれません。全くの見当ハズレかもしれませんし。

が、よく似ていると思っていたのですよ、こういう事例が。
激しく暴れていたこと、無理矢理押さえつけたこと、抑制下で数十分程度の時間経過があること、急に死亡に至ってしまうこと、そういった共通性が見られていることから、「何かあるのではないか」とこれまで感じてきたので。

できれば、専門家の方々によく研究していただければ、と思います。



福島産科死亡事件の裁判・その8

2008年08月28日 19時55分02秒 | 法と医療
警察や検察の反応がいくつか出てきたようです。

21日の吉村警察庁長官が、「判決を踏まえながら医療事故の捜査について慎重かつ適切に対応していく必要がある」と発言したとされる。これは長官側から出されたものか、記者からの質疑の中で答えたものかは判らない。しかしながら、警察当局としては、「慎重かつ適切に」対応していくという姿勢を見せた、と考えてよいものと思います。悪く解釈すれば、単なる模範解答に過ぎず、所謂お役所答弁の一種と取れなくもないが、警察トップの言葉の重みとして受け止めたい。
今後、告訴を受理せねばならない状況があるとしても、いきなり身柄拘束といったような旧来型の捜査手法・段階を選択しない、という可能性は高いかもしれない(ただし、警察が好き勝手に逮捕できるわけではないはずで、逮捕状請求は裁判所に行われるのだから、ここでも裁判所が適切に判断して逮捕拘留の許可を与えなければ防がれるはずなのだが)。


検察の方はどうかといえば、控訴を断念するかどうかの調整中ということのようです。

<大野病院事件>検察、控訴断念へ最終調整 (毎日新聞) - Yahooニュース

(一部引用)

福島県大熊町の県立大野病院で04年、帝王切開手術中に患者の女性(当時29歳)が死亡した医療事故で、福島地裁(鈴木信行裁判長)が業務上過失致死などの罪に問われた産婦人科医、加藤克彦医師(40)に無罪判決(求刑・禁固1年、罰金10万円)を出したことについて、検察当局が控訴を断念する方向で最終調整に入ったことが27日分かった。
(中略)
福島地検が上級庁と協議を進めているが、女性の症状の「癒着胎盤」は症例が極めて少なく、剥離を中断した臨床例の提示も困難なことなどから、慎重に検討しているとみられる。

=====


この記事は、毎日新聞だけが先に掴んだのかもしれません。
結論が出されたわけではないと思いますので、どうなるのかはまだ判りませんが、どうも他の報道などからの雰囲気からしますと、「断念」という可能性が強まりつつある、ということではないかと思います。

◇◇◇


検察で思い出したのですが、読売新聞に出ている「時代の証言者」の今シリーズは、元検事総長の松尾氏なんですよね。とても興味深く読んでいるんですが、私がまだ子どもだった、あの浅間山荘事件の担当検事だったのかと知り、時代や時の流れをじみじみと感じましたよ。同じ時代に生きていて、同じ事件を全く違う立場・角度から眺めている、というのが、なんというか不思議です。


映画の『ダークナイト』でも出てきましたが、正義や正義の味方というのは、どこからもやって来ないし、タダで楽して手に入れられるものではない、ということなんだろうと思うのです。正義の象徴としての「検事」を守るべくバットマンは行動し、あの警官もその正義の象徴を守ろうとする(因みに、あの警官がああなって奥さんや子どもに知らされるシーンがあったけど、涙が滝のように出たぞ)。「我が身可愛さ」や「自己利益」で行動してしまう愚かな大衆、というのを意図的に見せていましたよね。大衆はまさにあのような状態になりがちかもしれない、ということなのでしょう。真実を知らずに、「誰か」をひたすら非難する。生贄として差し出そうとしてしまったりもする。

が、究極の選択を迫られても、人々は「心の底から悪になれる人は滅多にいない」ということを知るのです(いや、中には根っからの悪人が存在するかもしれんけど、とりあえず)。やはり人間として踏み越えられない一線というのがあるのだ、ということなんですよね。そして正義というのは「ヒーロー(誰か)に与えられる」のではダメなのだ、人々が自ら気付き、選択し、行動しなければ、決して得られないのだ、与えられるものではなく勝ち取るものだ、ということなんですよね。全ての検事に、この映画を(笑)。



『L change the world~最後の23日間』観たよ

2008年08月27日 20時39分18秒 | 俺のそれ
もうこうなったら、書きまくり。(何で?)


結構前に観たのだけれど、書き忘れていたので。

これまで松山ケンイチ君を高く評価してきた妻や子どもからも酷評された作品だった(笑)。

端的に言えば、「なんじゃこりゃ?」
(実際にそう言っていたわけではありません)

「つくり」として、もう以前のL(エル)ではなくなっていました。
不都合な部分が多すぎて、苦しい展開をゴリ押し。

まあ、しょうがないでしょうな。
「デスノート」の大当たりを引いたが故に、甘くなった作品かもしれません。


スピンオフ作品としては、踊るシリーズで「交渉人」が結構当たったので、真似しようとしただけかもしれませんね。真下の場合は、キャラが崩れるということはなく、展開力で勝負したのだと思えるのですが、L(エル)の場合には、作りこみが甘あまで、キャラだけで勝負しようとしたことが破綻原因なのではないでしょうか。極端に言えば、松山くん頼み、みたいな。

いくつかの個別のプロットとしては、一生懸命やったっぽいと思いますけれども、エルに無理させ過ぎ。周辺部分の矛盾というか、有りえなさが気になるので、途中で萎える、という感じかも。


ひょっとすると、次のスピンオフで「二ア」(near?)を狙っているのかもしれませんが、展開とか設定として「これは、あんまりだ!」と思うようなのは避けるようにして頂いた方がよいかもしれません(笑)。いや、もう作らないよ、ということかもしれませんが。



『ヒトラーの贋札』観たよ

2008年08月27日 13時14分02秒 | 俺のそれ
またまた鑑賞記事。新記録かも。


北朝鮮が頑張ってやっていた、という理由がよく判ったような気がする(笑)。歴史から学ぶというのはこういうことなのかもしれない。
古今東西、贋作というのは、いつまで経っても廃れないというか、不変なのかも。人間の欠陥(情報の非対称?)を利用しているという点で、「経済理論」に適っている(笑)。経験則が役立っているということか。


ユダヤ人技術者たちが贋札作りに協力させられる姿をうまく描いているし、理不尽な殺戮や「命惜しさ」の心理や行動を通して、生きることの困難さや人間を描き出していた。

結果的にナチへの多大な支援となってしまう矛盾、しかし、目の前の「生」を捨てることができないのが人間なのだ。それが悪いということでもないし、局所的には正しいのかもしれないが、戦争全体にとっては「間違っている」のだろうけど。そういう葛藤が、とてもよく伝わってきた。

それと、ロシア系ユダヤ人にとっては、共産主義のソ連も地獄ではあったし、それを逃れてきたとてナチの迫害に遭ってしまったので、いずれであっても同じく苦しみなのだ、ということなんだろう。「元共産党員だったが、ナチの党員になった」というドイツ人青年がいたが、これも当時の社会を感じさせるものだった。


大義のために命を捨てること、どんな形でもいいから最後まで生きること、どちらにしても難しいことなのだと思った。


ところで、イングランド銀行の紙幣鑑定というのが当時にあったのだな、ということを初めて知りました。割と贋作が多かったせいなのかもしれません。



『犯人に告ぐ』観たよ

2008年08月27日 12時50分32秒 | 俺のそれ
しつこく鑑賞記事(笑)。


どうしてこんな作品になってしまったのかが、よく判らなかった。


キモい引き籠もり、みたいなワケのわからなさ。
猟奇的犯罪を描いているというわけでもないが、ちょっと狂ったような臭いだけがでてくるだけ。


犯人の頭が悪すぎな気がするし。

劇場型とか言うので、「キラとLの対決」みたいな心理戦のようなものかと思ったら、全然違っていた。手紙の内容とか中身の分析みたいなことが、あまりに稚拙な感じだった。

真柄署から一緒に来たベテランデカだけはうまく描いていたと思うが、本部長に掴みかかるという刑事はどうよ、と思うけど(笑)。

小道具として、色の呼び方、掌紋、というのを用いたのは悪くないと思ったが(笑、私の記憶では、ああナルホド、と思うところです)、全体の流れが悪すぎだし、犯人逮捕の困難さみたいなものがほぼなかった。


ま、いいか。
残念な映画だった。



『ミッドナイト・イーグル』観たよ

2008年08月27日 12時23分59秒 | 俺のそれ
連続で観たわけではないです(笑)。
記事を出していなかったので、ちょっと書いておこうかな、と。


一言で言えば、かなり厳しい作品だった。家族の評価も、散々。
悪いが、駄作の範疇に入れられてしまうのではないか。


出演者の方々はそれなりに頑張っているかもしれないが、全体的な雰囲気というか、うまく言えないけれども焦点ボケ、みたいな。
クライマックスのカメラ越しのやり取りも、ううーむむむ、って感じかな。アルマゲドンは良かったが、本作ではダメっぽい。
玉木くん死亡のところでも、まるで泣けず。

簡単な感想を言うと、あっさりと死んでいった自衛隊員が可哀想。

『ホワイトアウト』『八甲田山』『バーティカル・リミット』などに比べると、雪山とか山岳モノという点でも、かなり落ちる。


防衛省全面協力らしく、海保協力の『海猿』超えを目論んだのかもと思うが、思惑が完全に外れて実らなかった(笑)。


全体的に、どうしたいのかが判らなかった一作。



『サン・ジャックへの道』観たよ

2008年08月27日 11時06分02秒 | 俺のそれ
先日DVDを借りたので、いつもの如く家族にも無理矢理鑑賞を強いたのだった(笑)。


ありがちな展開であるかもしれないが、それが安心感を与える。妻や子どもには大変好評だった。
フランスの世相というか、置かれている状況をうまく描いていると思った。
例えば――スカーフ判決を象徴的に示す、強烈な体制批判的左派傾向の教師、イスラム系移民のこと、携帯電話に縛られる人々、みたいな感じ。ド田舎の木の下で、一気に世俗に戻る滑稽さがある。


映画の中でも触れられているが、巡礼の旅というのは、実は宗教による大きな違いみたいなものはなくて、イスラム教であろうとカトリックであろうと、或いは日本であろうと、「似たようなもの」なのだな、ということを実感させてくれる。イスラム教徒の青年の発する素朴な言葉の中にそれが示されていた。
日本であれば、有名なのが四国88箇所巡礼―お遍路さん―があるが、あれと似ているなと思った。


旅を通じて、それまで「重たい荷物」を背負っていた人々が、次第に「荷を降ろしていく」姿がうまく描かれていた。それが判りやすく描写されていたのは、「現代の生活に必要なもの」をたくさんリュックに入れていたのをこっそりと「捨てていく」シーンだったろう。私たちが生きていく時には必ずああなっているのだな、と自らを振り返りながら思い知らされたような気がした。人間って、何かを捨てるっていうのが、結構難しかったりするのだ。色々と背負い込んで自らを苦しませているのは、自分自身なのだな、と感じた。巡礼の旅というのは、社会的地位だの学歴だの財産だの…そういうのを捨てさせ(それとも、一時的に忘却させる)、自分自身を振り返させる不思議な効果があるのかもしれない。一歩一歩、歩いて行くのは「ただ1人の人間」なのだな、と。それはあなたも私も、同じく歩む人間なのだ。1人で歩くには辛い道のりで無理かもしれないが、一緒に歩けば遠い距離なのに歩けるのかもしれない。


あと、いくつかの夢のシーンが出てくるのだが、あれも「くだらなさ」を通り超えて、「夢のイメージ」を映像化するという無謀とも思えるチャレンジをしていたと思う(笑)。多分、普段自分たちが見ている夢を、覚醒した後から「表現してみてください」と言われたら、あんな感じになってしまったりするのかもしれない。心の奥底にある劣等感のようなものや苦しみの対象として、大袈裟に表現されていた。


巡礼者一行だけではなく、キザな理屈重視の口だけビジネスマンやアル中の社長夫人など、設定がうまく考えられていたし、巡礼者たちの背負っているエピソードにも、すぐに思い当たる程度の「社会の光景」のようなものが散りばめられていて、観客を飽きさせない。幸せとは何かと自問する人がいるかもしれません。


現代社会に生きる私たちが、おいそれと数ヶ月にも及ぶ巡礼の旅に出かけられるわけではないかもしれないが(民主党の菅さんは行ってたけど、笑)、映画を観ればそうした気分にはなれるかもしれない。

印象的な台詞を紹介しておこう。
巡礼者の1人が必要としていた薬は一体何だったかと言えば、こんなものだった。

「人生の苦しみに耐える薬」


少し荷物を降ろせば、楽になれるかもしれません。


家族にも好評でしたので、超オススメです。



超爆裂自摸ーー!!、みたいな

2008年08月26日 19時05分56秒 | 政治って?
こんな偶然ってあるのだろうか。
腹が痛い。笑いすぎて、腹筋ちぎれそう。

はてなブックマーク - 太田誠一氏の「政治団体事務所」は隣の家だった - 池田信夫 blog

ところで、ノビーは在宅勤務なのか?(笑)


それにしても、「海底で自摸って裏3つ乗った感じ」(id:FTTH氏)というぶくまコメントには、思わず膝を打ったよ(笑)。



これは罠?(笑)

2008年08月25日 21時36分50秒 | おかしいぞ
「メトロで触って」

<痴漢容疑>与謝野議員秘書を書類送検 警視庁(毎日新聞) - Yahooニュース


パロディ失礼。ちっとも笑えないね。ごめん。

こんな追い越しざまに触った、とかって、どうやって証明するんだろうね。被害者の証言以外には有り得ないと思うんだけど。万が一、カバンとかだったら?とか思ったりもする。

ハメられた、とかじゃなくて、実際に起こった事件なんだろうけど、でも、どっちの言い分を認めるのか、というのは難しそう。本当に被害者の勘違いみたいなことって、ないんだろうか。ほんの一瞬触れたとして、それって、本当に痴漢目的だったのだろうか。よく知らんけど。

痴漢って、もっと長い時間接触しているものかと思っていた。スリのプロみたいに、ほんの一瞬だけで、何かいいこと(触る男性側にとって、ということです…)ってあるのだろうか。意味がわからん。


ごめんね。
別に被害女性が悪いとか言ってるわけではありませんので。



本気か?

2008年08月25日 21時19分46秒 | 政治って?
これを考えた奴は、一歩前へ出て歯を食いしばれ。


民主党「消費者権利院」創設法案を提出へ 「消費者庁」に対抗(産経新聞) - Yahooニュース

(一部引用)

民主党人権・消費者調査会(仙谷由人調査会長)は25日、政府の「消費者庁関連法案」への対案として、消費者権利官を長とする「消費者権利院」を創設する法案の要綱案をまとめた。民主党は「次の内閣」で正式決定し、臨時国会で議員立法として衆院へ提出する方針だ。

 法案の名称は「消費者権利院法案」。民主党は、政府・与党が検討する「消費者庁」は、中央に設置する内閣府の一外局に過ぎず、地方の消費者行政と連携が取れないなど、実効性のある行政が展開できないと判断。内閣の外から行政機関を監視するため、会計検査院のように、内閣や国会から独立し、強い権限を持つ「消費者権利院」を創設することにした。

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「権利院」って(笑)、腐ったような名称は何だ?
まさか、「義務院」って兄弟組織でも後で作ろうってことか?
英語表記できんの?
いや、別にどうだっていいんだけどさ。

独立した強い権限、って、おま、、、合法的な「吊るし上げ」機構を創設ってことじゃんか。霞ヶ関の「みのもんた院」だか「ほっとけない院」だかを作ろうって魂胆なんじゃないの?
おいおい、よしとくれよ。ほっといてくれよ。

○ね>民●党


今までよりも更に強権を与えようってんだから、いちいち「ヒステリック」に大騒ぎになっちゃうんじゃないか?

大変だー!
ナニナニがこんなに危険なんだー!
これも、あれも、みんなアブナイんだー!!
アレでコレが病気になってしまうんだー!


ハイ、これ禁止、あれは販売中止、みんなに賠償せよ、…

目に浮かぶようで怖い。



星野ジャパンを振り返る

2008年08月25日 14時45分38秒 | いいことないかな
1)予選

予選は全勝だったら嬉しいけれども、そうじゃないからといって、ダメなわけじゃない。どちらかといえば、調子の良い者と悪い者を篩にかけていくような意味合いだろうと思います。日本は、初戦のキューバに負けた後、ちょっと気落ちしたというか、出鼻を挫かれた感はあっただろう。特に、「ダルビッシュを立てて負けた」ということにちょっと気にしたのではないかと思います。ま、それでも収穫はあったわけです。田中が好投したし、終盤には得点を許さなかったわけですから。

台湾戦は、終盤9回まで2-1の僅か1点リードで抑えて、最終回に4点取って突き放したのですが、試合の殆どは「1点リード」のままでした。ですから、かなり厳しい試合だったことは間違いないでしょう。オランダには楽勝でしたので、投手にとっては楽な展開だったのではないかと思います。

さて、韓国戦を迎えた日本は、キューバに負けた後、台湾とオランダ戦に勝ち、2勝1敗でした。韓国は初戦の米国戦をサヨナラ勝ちして勢いに乗り、カナダ戦では1-0の辛勝を納めて2連勝で日本と対戦でした。
日韓対戦はいつも接戦になります。アジア予選の時もそうでした。終盤までは同点で進んでいたのですが、9回に3点勝ち越しを許し、日本は1点返したものの敗戦となりました。この時の経験を次の試合に活かすことだけを考えておけば良かったのだろうと思います。負けはしましたが、日本の形がある程度出来ていたのだろうと思います。この時には、「意図的に無理に勝ちには行かない」ということなんだろうな、と思っていました。記事にも書きましたが、細かい野球をしているようには見えなかったからです。相手に手の内を明かさない為の方策なんだろうな、と、そういうことです。

日本はカナダ戦で1-0勝ちを収め、あの試合では日本の投手がよく抑えたと思います。あれが守りの野球、ということだろうと思います。


2)決勝トーナメント

準決勝は韓国戦でしたが、早々に2点リードしたので、日本ペースで試合が運べていたと思います。ポイントになったのは、6回以降の日本の攻撃、或いは守備ということかと思います。是が非でも「次の1点」を取りにいく野球をするのであれば、「何らかの工夫」が必要でした。前回の韓国戦でも、終盤までは勝ち越しを許していなかったわけで、韓国は終盤にかなり粘ってくるというチームなのだということは判っていたはずです。日本の投手力を考えれば、中々逆転は難しいということは当然です。そういう野球をやるべきであったのだろうな、と思います。

次の米国戦ですが、これは金メダルを逃したことへの絶望感みたいなものが、モロに出てしまったからではないかと思います。和田と阿部のバッテリーは、同じミスを前回同様にやってしまいました。まあしょうがないでしょう。運がなかった。

一つ言えるのは、最後まで自分たちの力を信じることができなくなってしまった、というのが敗因かと思います。それは、予選でキューバ、韓国、米国のいずれか1試合でも勝っておけば、自信を失わずに済んだのかもしれませんが、「勝ってない」という現実が目に見えないプレッシャーになったのではないかな、と思います。


3)韓国はどう戦ったのか

まず、優勝した韓国についてですが、チームとしてうまくまとまってやっていた結果だろうと思います。実力はあるというのは認めますが、ダントツの力があったかと問われれば、日本が優勝していても不思議ではなかっただろうな、と思います。最後の最後は「チーム力」で差が出たのだろうと思います。

韓国の予選をみると、1点差勝ちが4試合で、どちらかと言えば「薄氷を踏む」思いで試合を重ね、結果的に全勝で抜けていきました。
初戦の米国戦では最終回に逆転を許して6-7となった後の9回裏にサヨナラ勝ちを納めたのですね。台湾戦では、8-0の楽勝ペースから何と同点に追いつかれたものの、終盤で1点を勝ち越し、その虎の子を守って勝ったのです。雨でサスペンデッドになった中国戦は延長タイブレークで1-0勝ち、カナダ戦も1-0勝ちでした。

つまり、辛勝を重ねて勝ち上がっていったのだ、ということです。で、途中の日本戦に勝ったことが、勢いをつけるのに役立ったのだろうと思います。キューバにも打撃戦で勝ちましたから。

準決勝の日本戦では、前回登板で好投した同じ投手を立てて、終盤まで1人で引っ張りましたよね。あれはかなり勇気のいる作戦だったろうと思うのですが、2~3点勝負になる、ということに賭け、しかも終盤に必ず追いつき逆転できる(してやる)、という気迫以外の何ものでもないでしょう。味方がいつ点を取ってくれるか判らないけれども、じっと耐えて投げ続けたあの投手の精神力は、凄いと思うね。必ず追いつくから待ってろ、みたいな強さがチームにはあったんだろうと思います。それが実って、終盤に同点から逆転へと繋げていきました。

決勝のキューバ戦では、韓国は僅か4安打でしたが、HRで2点先制し、終盤に1点を追加して、これが決勝点になりました。キューバも5安打で、単発のHRで2点取っただけでした。最終回のキューバの攻撃は、ノーアウトで1塁に出すと、HRバッターに送りバントをさせて2塁とし、その後四球で1アウト満塁と攻め立てました。一打逆転サヨナラのケースです。
韓国はキャッチャーが抗議で退場となり、かなりピンチの場面でした。外野フライでも同点になってしまうかもしれませんからね。
ここで、予選の日本戦で最終回に登場しGG佐藤を三振に仕留めた、あの軟投派の緩いボール使いを登板させたのです(日本戦では1アウト2、3塁でした)。こう言っては失礼だろうと思いますけれども、長いリーグ戦とかであると目覚しい成績を残せる投手なのかどうか疑問が残りますが、初対戦とか少ない対戦でなら「抑えられる」ということなんだろうと思うのです。剛球なんかなくてもいい、あるのは「自分を信じる力」だけだったのではないかと思います。恐らく、気持ちの強さ、というだけで、日本戦で登場したし、キューバ戦の絶体絶命の場面でも投げたんだろうと思うのです。で、内野ゴロを打たせ、ゲームセットとなりました。この投手にこそ、勝利のヒントが隠されているのではないかな、と思います。

韓国は、よく考えて野球をやったのだと思います。日本がやるべき形の野球を、韓国ができたのだということです。決勝の試合が、その答えなのではないかな、と思います。
力の差が少ないとなれば、そうそう打てるものではありません。だから、せいぜい3点とか5点以下の試合を勝たねばならない、ということだろうと思います。少ないチャンスを活かし、いかに得点するか、また失点をどう防ぐか、ということです。3点取った韓国が勝ち、2本のHRを打ったものの2点しか取れなかったキューバは負けた、ということです。


4)日本には何が足りなかったのか

自画自賛になってしまうかもしれませんが、日本の投手力は他の全チームと比較しても、ダントツで1番だったと思います。安定度や失点の少なさということでは、粒が揃っていたと思います。これを活かす野球、というものを考えてやらねばならない、と思います。

あんまり打てないのであれば、それはそれでしょうがないのです。ならば、「ノーヒットで1点を取る」野球をやらねばならん、ということです。カッコよく、打って勝てるならそれでいいのですが、難しい時にどうするかを考えてプレーする、ということです。カッコよさとか、自分の信念とか、そういうのはどうでもいい。ホームランでも1点だが、ノーヒットでも1点ですから。ソツのなさ、というのが足りなかったと思いますね。

例えば、2アウトからランナーが出たら、いきなり初球から走らせる、とか、そういうギャンブルを見せなければ、突破口が開けていかないのでは。何の為に足のある選手を入れているかといえば、走れる為なのだから。そういう揺さぶりをかけていくことを考えなければ、攻略できないこともある。2アウトからヒットが出て、1、2塁になったとしても、その後に打てないことも多々あるから。連続でヒットを連ねるというのは、中々大変だから。特に、いい投手に当たってしまえば、連打は難しくなる。初球から走られたら、たとえ1度はアウトにできたとしても、次のケースからはキャッチャーを悩ませることになるだろう。

抜いたチェンジアップとか変化球は投げさせにくくなる。ストレートを待たれると、より厳しいコースに投げなければならない。1球外して様子を見れば、カウントを不利にする。そういうモロモロがあると思うのですよ。塁に出るのなんて、クリーンヒットなんかじゃなくても、エラーだろうが何だろうが、何だっていいのですからね。そういうことの積み重ねが相手にプレッシャーを与えていくと思うのですよ。走ってくるかもしれない、と思えば、守る方は大変だし、投手はかなり気を遣うだろう。
走らせる、バント、エンドラン、などを組み合わせてやっていかねば、チャンスは生まれないだろう。例えば、準決勝の6回、青木がノーアウトで出た後の攻撃は、そういう「考えた野球」というものがなかった。進塁打を考えて、左投手の球をおっつけて右に打つとか(後から代打で出た宮本がそうやってヒットを打った)、青木に盗塁を仕掛けさせるとか、そういうこともなかった。ただの「早打ち」だけ。1点をもぎ取りに行く野球、ということを、もう少し考えておいて欲しかったな、と。

日本チームは、「勝っている」自分たちが、自ら窮地に追い込んでいったように思うけど。打てない焦りのような、そういう何かだ。「増幅する不安」というやつだと思うよ。韓国の9回に登場した、あの投手のように、「緩い球」しか持たないのに、「自分の自信のある球を投げるんだ」というような気持ちがあれば、何かが違っていたかもしれない。


いずれにせよ、決勝トーナメントは「1戦必勝」しかないのだから、自分を信じ、仲間を信じて、目の前のプレーに集中する以外にはないのだと思います。それで敗れたのなら、相手の力量が上回っていたのだ、ということです。そうではなくて、気持ちで負けてしまうのは、残念でなりません。