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社会保障再構築

2005年04月15日 21時17分58秒 | 社会保障問題
先日の経済財政諮問会議の進捗度評価で、見事「落第」の栄誉に輝いた社会保障改革。とりあえず設置された衆参合同会議はスタートした。ここまで来るのに、えらく回り道したが、いよいよ本格議論へのテーブルは出来上がった。各党の年金改革の主張も提示され、何となく捉える形が見えて来たかもしれない。


あり方会議では、平ちゃんと谷垣君に攻められっ放しの尾辻さんが、「成長分野と考えることも出来る」と主張する気持ちはよく分りましたよ。私も以前の記事にそう書いたんですから。国家財政上の話で考えるとキャップ制とか歳出総額コントロールという方法は、もっともな意見でしょう。事実経済財政諮問会議の民間議員4名から、総額規制の話が出されていましたから、経済的視点からはそうなるのが普通かと思います。しかし、これは私は賛同できないし、尾辻さんが反対するのは当然だと思います。


年金部分が固定されているため、変動部分は医療関係費(医療+介護)となり、この給付コントロールはかなり難しいでしょう。財源が尽きてしまえば、「これ以上払えないので、医療機関か患者負担として下さい」ということを永続的にやっていくことになります。しかも、患者負担が現在3割ですが、将来予測値のカバーということになれば5割負担ということも起こってしまいます。これは、国民負担を一方的に増やすだけの、無責任行政ですね。「予算はこれだけ、あとの足りない分は自分達でなんとかしろ」という放置政策です。いくら何でもこれは出来ないと思います。


合同会議の方に話を戻しましょう。進行は記事のようなものであったようです。
Yahoo!ニュース - 産経新聞 - 衆参合同会議 一元化、財源で対立 年金改革の実質協議開始

会議のイントロはこれくらいにして、次に進んだ方が宜しいかと思います。現状で、自己主張を続け、他党の方法をいくら批判しあっても、解決方法は見えてきません。今後は、そういった自党の主張はぐっと飲み込んで、現行制度の問題点をピックアップしていった方がよろしいかと思います。それぞれの方法をいくら見比べてみても、具体的に何が不足しており、何を優先して解決するべきか、といった事柄は出てきませんよ。それと、社会保障全体の中で考えるべきで、年金だけを見ると失敗しますよ。


1人の人間の人生の中で、どのような行政サポートが必要か、というような考えでもありますね。はっきり言えば、金持ちは年金が少なかろうが貰えなくなろうが関係ありませんね。また医療費が高くても困ることはありません。資産も沢山あるわけですし。そういう高額所得層については、社会的還元を役割として頂くとして、もっと低所得層の人がどういった生活となるのかに、思いを巡らせて欲しいと思います。例えば、何とか大学まで行かせてもらったが、正社員の道がなく、フリーターになってしまい、その人が35歳までフリーターで、その後正社員として60歳定年まで働き、その後ビル清掃の仕事に5年従事して、年金生活となる。この人はどういう行政サービスのサポートを受けてこられたか、その後どういう生活が待っているか、ということですね。

参考記事:
実態を考えない幹事長達
医療費の罠

訂正 4/16 19時ころ
参考記事に違うのが入ってましたが、直しました。最近gooの投稿は変に表示されたり、異常に時間がかかったり、画面表示が遅かったりと、トラブルが多いです。アクセスが混雑していて開けない時も多々あります。間違えた言い訳になってしまいますが、申し訳ありませんでした。


特別会計は抜本改革せよ

2005年04月15日 18時37分45秒 | おかしいぞ
行政のいい加減さには、呆れるばかりです。読売新聞が厚生労働省やエネ庁の特別会計について、「公費の行方」シリーズで鋭くえぐり出していますが、今日は雇用保険関係の「雇用・能力開発機構」の有様についての記事が出ておりました。特別会計関係の無駄・不可解な歳出は、年金、雇用保険、エネルギー関係、道路財源、等々、きりがありません。これは、特別会計というシステムに大きな問題が潜んでいるようです。


YOMIURI ON-LINE 年収1億なのに維持費21億・・・京都の「私の仕事館」

この施設は修学旅行の生徒に利用されており、職業体験が出来るので教育上好ましいという意見も報道されていますから(確か昨年の読売の記事だったと思います)、あながち無駄とも思いませんが、運営方法に大きな問題があると言えそうです。通常の民間施設なら、固定費を抑制するための努力をしますが、こうした「人の金」(本当は国民から預かったお金です!)で運営する公的機関は、得てしておバカな運営をしがちです(というか、必ずでしょうか)。


例えば、経済産業省の「石油及びエネルギー需給構造高度化対策特別会計」というのがありますが、平成15年度決算では、石油公団1452億円、NEDO1255億円、独立行政法人産業技術総合研究所35億円、公益法人496億円、地方公共団体59億円、と言う具合に、公的部門に相当注ぎ込まれています。民間には、1223億円で、約4分の1だけです。他の特別会計もそうですが、仕組みが大体決っているのです。役人達が考える資金還流システムは、天下り・省庁権益などを優先し、ひたすらポストや給料・退職金を巻き上げるシステムとなっているはずです。


特別会計は法律によって決められております。導入にあたっては、当然政治家やら産業界やらも噛んでいたでしょう。官僚達はこの予算を配分する権限を活かすのですね。別枠となっている予算ですから、財源的には確保されている訳です。


公団や独立行政法人などは、天下りによって、トップは勿論、その他職員も当然省庁から供給されます。これら元受組織は、影響力行使が出来る公益法人に業務を発注したりします。この公益法人も当然の如く、天下り先ですね。ここで、不採算な業務発注が行われます。国からもらった金が必ず流れてくるので、川下で「桃がどんぶらこ、どんぶらこ」とやってくるのを待つだけでよい。特別な努力は必要ありません。それから、公団や独立行政法人は民間企業にも仕事を発注しますが、ここでも浪費が行われます。何故なら、受注先は天下り野郎を受け入れており、その繋がりで受注されるのです。酷い場合には、一見単なる民間企業のように見せかけて、実は役人達が作った法人で、独占的に業務を請負ます。当然この民間企業の役員は天下りポストとして存在し、国からの会計監査などもない、やりたい放題の企業として存在するのです(必ず「桃」が流されますから、安心して給料や退職金を貰える)。それか、常識的には考えられないような金額で、随意契約が結ばれたりします。この受注企業は大企業の場合もありますが、省庁のご機嫌伺いをしたり、天下り人脈をフルに活かします。おかしな随意契約はどのような仕組みなのかはわかりませんが、IT関係の入札を見れば分るように、1円で落札しても、その後の毎年支払われるとんでもない額の契約の方がはるかに「旨み」があるはずなのです。これと似たような、非効率な随意契約は、おそらく腐るほどあるでしょう。


公団や独立行政法人には、特別会計からと、場合によっては一般会計からの繰り入れがある場合もあります。これは省庁の予算貼り付けで、自分達の権益だけは確保せねばなりませんから、著しく非効率な運営であるとしても、足りない額は補充されるのです。省庁からは、委託費、補助金、交付金、補給金(これは利子補給金とかだから、大した額ではないかもしれません)といった、幾つもの名目を与えた形で、国民から徴収した税金が大量に注入されるのです。


勿論、全ての事業が不必要な訳でもありませんし、公益性の高い不採算部門には税金の投入は必要です。収益事業でなければ民間企業が決して手出ししないでしょうから、そういう部門には公金は必要なことは確かです。ところが、これが非常に歪められた形で、「わざと」浪費システムを組み上げたのが、官僚達です。普通民間企業ならば、本業としての営業利益は大切であると思いますが、こうした政府系機関では、全くと言っていいほど考慮されていません。郵便事業もそうですが、仮に赤字になってしまうとしても、公金投入額を最少にするように効率的運営がなされるように努力・工夫されなければなりません。にもかかわらず、壮大なる浪費システムをさらに肥大化させるような運営を行い、言うなれば営業赤字がどれ程膨大になろうとも一顧だにせず、自分達の給料や退職金をごっそりと引き抜いていく訳です。全くもって無責任な所業と言わざるを得ません。こんなことは許されるはずもありません。


行政はこれを変える気など、毛頭もありません。まあ、自主的に変えようとするなら、とっくに改められているに違いないのですが。民主党の菅直人氏は先日ある大学における講義で、「官僚主権国家だ」と発言しておられたようです。きっとご自身の厚生大臣時代にエイズ問題について取り組んだ時、官僚達の激しい抵抗に遭い、また、官僚達が堅持してきた組織風土に直面した際に、その壁を崩し、乗り越えようとすることがどれ程のエネルギーを必要とするのか、実感されたことから出た発言であろうと思うのです。そういう傾向は未だに随所に残されており、いや、本質的には何も変わっていないのかもしれません。


ですから、公庫公団、独立行政法人については、役割をもう一度見直して、不必要な組織には退場してもらうほかありません。資金供給もカットして、不適切な関係を清算してもらう以外にないでしょう。まるで、悪女との手切れみたいですが、まさにそんな感じですね。何とか「金の切れ目は縁の切れ目」となるように、行政トップの方々に尽力して頂くほかありません。


そうは言っても、いきなり清算することもできませんから、当面特別会計予算の厳しいチェックと余剰分があれば一般会計に繰り入れできるように立法できないものなのでしょうか。