いい国作ろう!「怒りのぶろぐ」

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フィリピンが土壇場でAIIB署名延期の怪

2015年06月29日 11時08分49秒 | 外交問題
日経がフィリピンは当面署名を見送る方針と報じた。

>http://b.hatena.ne.jp/entry/www.nikkei.com/article/DGXLASGM28H2V_Y5A620C1FF8000/


その理由は、南シナ海における領有権を巡る問題、中国の埋立実行という強硬姿勢ということらしい。

ヘンですねえ?
これまで、中比間の外交問題が大袈裟な衝突姿勢ということになったとは見られていなかったわけでしょう?

つい先日、中国の埋立問題がそんなに大問題なら、米国は中国からの輸入停止措置(や米国内資産凍結や資金移動・決済の停止などの)制裁措置を取れるのに、どうしてやらないんだ、と拙ブログで指摘しておいたんですよ。

今月追記した記事>安易な「米軍基地撤退後のフィリピン」を真に受ける無知なテレビ評論家たち

おまけ
2010年5月>米中連携ということ



しかもオバマ大統領が異例の懸念表明って、何らの実効性もないものを出してみたって、中国が本当に米国と喧嘩してるとか、フィリピンと海上戦一歩手前だといったことの証拠にはならないのにね。


あるとすれば、海上自衛隊の「活動範囲を拡げさせる」効果と、日本人に「中国脅威論」幻想をいつまでも植え付けるだけの効果くらいだろうね。日比の軍事上の協力を進める為の、口実として使われたというのが、現実だろう。


多分、騙される人たちって、気付かないのだろうと思うけど、中国の埋立はもっと以前からやっていたけど、AIIBの初期創設メンバーにフィリピンは入っていたわけで、2014年10月時点での21カ国に名を連ねていたわけですよ。もしも中比対立が鮮明ならば、単独でもメンバーに入ることを拒否したか、留保していても良かったと思いませんか?

>https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%A2%E3%82%B8%E3%82%A2%E3%82%A4%E3%83%B3%E3%83%95%E3%83%A9%E6%8A%95%E8%B3%87%E9%8A%80%E8%A1%8C


今年の3月末の次の期限に加入表明が相次いで、当初の2倍以上の50カ国超の参加表明となる前から、フィリピンはメンバーだったわけですよ。

これが翻意ということになれば、どうしてなのかな、と思いませんか?
だって、本気で中国との領有権問題を争うなら、外れるはずですもん。どうして、最初からそうしていなかったのか?
日米が参加しないと表明した時点であっても、もしフィリピンが日米に歩調を合わせたいです、と心の底から思っていたのであれば、一緒に抜けますねと言えたはずですよね?


3月時点と今とでは、何が変わったと思いますか?
それは、日米の孤立感が深まったこと、TPP問題がダッチロールを繰り返し米国の指導力低下が明らかになったこと、そして拙ブログ記事での追記が書かれたこと(笑)、くらいではないですか?


別に、中国とフィリピンとの対立激化がエスカレートした、ということもないですな。

そうすると、予想されるのは、まず日本側からの
「フィリピンへの経済援助・ODA・貿易」等
の取引材料を使った、ということでしょう。フィリピンは中国側には「いずれ正式署名し発効するので、今回は時期を少し延ばして欲しい」と説明し、日本側にも恩を売っておくことができるから。


米国は、直接的にはフィリピンへの働きかけは、あまり表立ってやらなかったはずでしょう。米国は、配下の日本というチャンネルを使って、間接的にフィリピンに「(日米に対して)少し譲歩した姿勢を見せて欲しい」とお願いしたものと考えられるでしょう。


なので、拙ブログの推測は、フィリピンが自主的に対中国への外交圧力を考えてAIIBの署名延期を表明したのではなく、日米からのお願いを引き受けることで利得が生じたので、署名延期条件を呑んだのではないか、ということです。


女子W杯2015~なでしこ決勝T QF豪州戦

2015年06月28日 06時52分55秒 | いいことないかな
勝てると思っていましたが、見事な勝利でした。
おめでとうございます。


堅守を誇ろ豪州守備陣を、遂に崩しての勝利でした。

相手のスピードスターを封じた日本の守備陣は見事。直線での走力では厳しいのですが、それをさせない守備が相手の得点を封じました。


日本の攻撃は、惜しいシーンがあるものの、中々得点できず。
けれど、早い攻めなども織り交ぜながら、堅い相手守備陣に、ボディーブローを何発か叩き込んで、遂に決勝点をもぎとりました。


なでしこは、最後のフィニッシュの部分で決まらず、焦りが出ても不思議でないけれど、精神的に浮き足立つこともなく、何度も何度もチャレンジして、得点をものにしました。
セットプレーからのこぼれ球に岩清水が反応し、キーパーに抑えられたもののこぼれを倒れ込みながらも小さく前に蹴り出し、岩渕が飛び込んで決めた。


日本は、ラスト10分(この意味は、今大会4試合ではいずれも攻め込まれていた時間帯だったものが、この試合では逆に攻め続けた、ということです、分かり難くてごめんなさい)で幾度となく攻め続けた結果だった。
日本の特徴は、得点者がバラバラなことで、誰を抑えると良いということでもなく、スーパースターのようなエースに頼らないことが強さとなっていると思える。サッカーはチームの競技であることの意味が、本当によく分かる。


次も期待しています。



ちょっと追記:

今大会ではお馴染みとなった、CKの時の4人縦隊ですが、あれも面白い工夫だと思った。
元から小さい日本選手は、バラバラに立つとポジション取りで押し負けることが殆どだ。それは、個々の体重差がモロに出てしまうから。

なので、彼女たちは考えた。
アタッカーを他の人が守ればいいのではないか?、と。

4人が密集隊形になっていると、相手選手に押されてしまうことはないし、事前にマークが張り付くこともない。
となれば、タイミングさえ合えば、ヘッドでも勝てるのではないか、と。


難しい点は、宮間が蹴る前に、一瞬でバラけて、しかもボールに合わせなければならないこと。
小さき者がいかにして戦うのか、守備隊形も含めて、とても勉強になる。そういう工夫の積み重ねと、努力と技術が生んだ強さ、そして、何よりも精神力と意思統一の重要さを学べるのである。

彼女たちの勝負強さは、やるべきことをいかに実行するか、各自の仕事をいかにきちんとこなすか、これを支えるメンタリティにあると思う。
本番で、実力をその通りに発揮することがいかに大切か、ということだ。できないプレーをするのではなく、できることをコツコツと着実にやるというのが、勝負強さに結びついているだろう。全く、できるビジネスマンの仕事を見るようだ。

やはり、サッカーというのは、理解するスポーツなのだと思った。



finalventは詐言で防衛政策を語るべきでない

2015年06月27日 16時56分00秒 | 防衛問題
久しぶりに「極東ブログ」を目にした。
はてブで人気記事だったので、あまりの釣りタイトルが目に飛び込んでしまったのだった。まんまと引っ掛かってしまい、釣られました。
>http://b.hatena.ne.jp/entry/finalvent.cocolog-nifty.com/fareastblog/2015/06/post-d27f.html


finalventは鳩山政権時代の普天間移設問題の時にも、空想世界の出鱈目を滔々と語っていたが、デマ拡散装置としてしか作用しない。そもそも軍事的な常識が欠落しているとしか思えないので、自民広報みたいな真似はやめてほしい。


『安保法制が否定されれば自衛官は死を覚悟して防衛するのだろう』
>http://finalvent.cocolog-nifty.com/fareastblog/2015/06/post-d27f.html


まったく自衛隊に失礼なタイトルだな。
今回の法案の成否に関わらず、もとから自衛官は死を覚悟して任務にあたっていることだろう。いつ何どき、何が起こるか分からない。サマワでもジブチでもゴラン高原でも、危険と隣り合わせだろうし、福島原発事故のようなトンデモない命令だって出されるわけだよ。死を覚悟した者でなければ、務まらないだろう。いや、実際自衛官に尋ねたわけではないから、本当はどうなのか知らないんだけどさ。


法案が否定されたら、あたかも自衛官は死を選らばされるかのような言説は正しくはないだろう。それを、現実無視、と言うのだよ。

以下、具体的にfinalventの信じる「お説」について見てゆくことにする。


1)米軍の輸送艦が日本人を大量に載せて退避する?

戦争映画とか見たことないのか?こんなことを想定する方が、極めて困難。米軍はタクシーじゃないし、民間人の大量輸送は元来想定していない。戦地となっている海域に、丸腰の輸送艦がノコノコ出かけてゆくとでも思っているのか?

イラク戦争の時だって、イラク領内に進攻してゆくまで、何カ月もあったではないか。いきなり戦闘地域になるわけじゃない。民間人の退避時間は、そこそこある、というのが普通だ。
イラン・イラク戦争の時には、日本人が取り残されたが、米軍機なんか日本人を救出するわけもなく、トルコ機が乗せてくれたというのは有名な話だ。かなりの電撃侵攻がないと、国外脱出時間もなく戦争状態に突入したりするのは想定できない。

それに、現代の衛星や情報収集能力を甘く見過ぎており、大規模戦闘の兆候なんてクリミア・ウクライナ問題の時だって、随分と前から戦闘部隊が国境付近に集結しているということは報道されていたではないか。外務省の退避勧告が出る前に戦争に突入する、という想定自体がかなりの絵空事であろうに。


また、たとえ戦闘激化になったとしても、米軍は基本的に日本人民間人を輸送しない。自国民でも具体的利害関係者でもないのに、乗せないよ。
過去において日米安保条約の存在下で、日本人を退避させる為に大量に輸送した実績があったのか?多分、ないね。


唯一例外的なのが、ベトナム戦争時代の国外脱出くらいでは。
ベトナム人を数千~数万人というオーダーで大量に脱出させた(米国移民は多かった)が、ほぼヘリ→空輸(ピストン)というパターンだったはず。日本人も取り残されていたが、日航機が飛ぶとか飛ばないとかでもめたくらいで、米軍は日本人を運ぶことなどほぼ皆無に等しかっただろう。中には、駐越米国大使館に強力なコネを持つ取材記者たちがいて、そういう人たちは米軍機の空きに乗せてもらったりしたことがあったかもしれない。が、それは例外的であり、日本人の退避は基本的に米軍と無関係である。米軍が撤退してからサイゴン陥落となるまでの時間を利用して、国外退避は実行されたのだよ。米軍撤退までに、民間人を大量に脱出させたわけではなかった、ということである。


2)危険な海域に輸送艦を送り込むバカが米軍にいる?

敵国とやらが米軍の輸送艦を攻撃する、とかって国会などでも言うんだが、それはどんな兵器で攻撃するの?どうやって?

夢物語しか考えられない連中って、昔ながらの艦砲射撃くらいしか思い浮かばないのかもしれないが、現実的に考えてみろよ。
輸送艦を攻撃できる位置に、敵軍の戦闘艦が存在し、なおかつその戦闘艦を攻撃できる位置に自衛艦がいることって、どういう状況だか考えられるか?


まず、敵軍の位置を把握するのは、戦争の基本中の基本なんだから、敵艦が攻撃可能位置にいるのに、わざわざ輸送艦を差し向けたりはしないだろうに。普通は、航路の安全確保が先決だろうに。アホか。そんな無謀な作戦行動あるかっての。

敵艦が例えば100km圏内に存在するなら、攻撃機や対艦ミサイルなどでまず排除すべく攻撃をしてから、輸送船などの移動になるに決まっている。退路を確保できてないのに、死地に向かって突き進むバカはいないだろうに。いちかばちかの博打じゃないんだよ。映画中でも、ピックアップポイントで避難のヘリが迎えに行っても、敵軍の攻撃が激しいとか避難の待ち合わせ時間に間に合わない場合には、迎えのヘリは帰投してしまうだろう。かなりの危険を冒してまで、ピックアップなんてしないんだよ。


だから、米軍の輸送艦が攻撃される範囲内に水上戦闘艦が存在するなら、まずは排除の攻撃が行われるし、退路(航路の安全)確保ができてないのに丸腰輸送艦が簡単に行き来したりはしないだろうよ。

じゃあ、魚雷攻撃だったら、どうなのか?
米軍の輸送艦が魚雷攻撃を受けました!
って、自衛艦はどうやって分かるの?見てるわけ?で、魚雷攻撃をどうやって阻止できるの?
普通は、敵軍が相当のバカじゃない限り、魚雷は命中してしまう。残念ながら、輸送艦は沈む。邦人が乗っていれば、死ぬかもしれません。
攻撃前に、阻止なんかできないじゃないですか。


それとも、輸送艦の大船団でも組んで移動している、とかいう想定ですか?一撃だけでなく、次弾も発射されるよ、と。
そういう場合だと、周辺海域を護衛がついているんじゃないですか?


空からも、海中も、水上も、警戒範囲しか移動しないのでは?
勿論、漏れることがあるかもしれないので、敵潜水艦の攻撃がある可能性はあるでしょう。けれど、輸送艦が攻撃されたら、米軍さえ発見不可能だった潜水艦を自衛艦が攻撃できる場面って、ほぼ皆無に等しいでしょうな。


大前提として、海域の安全が確保されなければ、輸送艦がノコノコと移動して、民間人を大量に運んだりはしない、ということ。


3)実行犯を割り出すのは容易でない

一番、現実的に考えてないのは、結論ありきの「自衛官がまず身を差し出して被弾した後、反撃に移るんだ」とかいう、バカげたことを言う連中である。世界の現実を知らない。というか、無視してるんだよ。

具体的に言うと、例えば、韓国哨戒艦沈没事件の時には、「北朝鮮の潜水艇」の仕業とか言われたが、それはあくまで推測でしかないし確定したわけでもないし犯罪捜査みたいに有罪が明らかというものでもない。
また、マレーシア機の謎の撃墜事件の際にも、親露派の対空ミサイル「ブーク」の仕業とか言われたが、米国やその他欧州諸国は証拠も出せないし、本当にウクライナ機の自作自演でないことも証明されていない。

通常の場合だと、潜水艦や戦闘艦が沈没したとしても、具体的に「誰がやったか」なんてものは、証明できないことの方が多いということだ。


では、敵軍潜水艦が民間人を退避させる為の輸送船団に向かって魚雷攻撃を仕掛けている現場を目撃した自衛艦があるとしよう。その敵軍潜水艦を撃沈したとして、誰がどうやって「自衛艦がやった」と証明できるのか、という話だ。

現実を考えろ、というのは、そういうことなんだよ。何も自衛隊が特攻みたいに、まず自ら被弾してからその後に攻撃しろ、というのを絶対的に肯定することではなかろうに。民間人への無差別攻撃はそもそも戦争犯罪なのだから、阻止行動は許容され得るだろう、という話である。


それとも、敵軍の対艦ミサイルを探知したとして、攻撃目標が恐らくは輸送船団であろうと推定できる時、敵ミサイルを撃墜したって、誰がそれを証明できるか?
だから、普通の軍事的行動としては、迎撃しますかと指示を仰がれたら、迷わず「迎撃せよ」となるに決まっている。人命救助が最優先であり、自衛隊の規則がどうか、というのは、その後に政治が解決すべき問題だ。少なくとも、俺が司令官だったら、そう命令するだろう。それが、現実だから、だ。


4)もしも自衛艦の攻撃であることがバレて国際問題になったら

敵水上艦艇からのミサイル攻撃は、ミサイル迎撃が基本であって、敵艦攻撃は原則として米軍の任務である。
潜水艦のような攻撃阻止手段がかなり限定的な場面で、潜水艦を攻撃する以外には輸送船を守れない場合には、正当化され得る。緊急避難の適用と言うしかない。民間人への無差別攻撃(避難民を乗せた輸送船だから、攻撃目標たる軍艦でない)に対する正当防衛か、緊急避難的措置であったと主張可能である。

急迫性は妥当(既に潜水艦からの攻撃が発生しており、猶予がない)、敵潜水艦の不法を問えない場合であっても緊急避難であれば説明可能であろう。それが相手国から認められるとは限らないが。それで解決できない時には、相手国(米軍の敵国)に金銭賠償をするとすればよい。均衡性を問題とされるなら、金しか方法がない。まさか交戦当事国にはなれまい?


これらから考えると、国会での与党説明だとかfinalventの言うような事態というのは、まず「遭遇することが想定困難」という役満(九連とか国士13面待ち)級の非常に稀な事態であり、現実にはほぼ起こり得ない状態であろう。
仮に起こった場合であっても、大義名分は立つこと、全くの説明不能な状態ではないこと、とは思う。


某国より核ミサイル発射を探知
 →自衛隊が迎撃可能体制にあり
 →迎撃指示を仰ぎ「迎撃実行」
 →某国が核ミサイルは日本により撃墜された証拠を提出

こうなったとして、日本の言い分として見れば

・核ミサイル探知後、日本国内への攻撃と判断した
・故に、個別的自衛権行使で迎撃したものである

と説明すれば、何らの問題もない。
第一、核ミサイル発射が正当化され、国際社会で支持を得られるという方が、極めて想定しにくいだろう。
日本の迎撃行為は英雄的と賞賛されど、非難を浴びる方が少なかろう。


で、某国が納得できない、となった場合、
「じゃあ、どこを攻撃目標としたんですか?」→「米国です」
ってなったら、米国がマジギレで某国はメッタ打ちに粉砕されるだろうに。



※ちょっと追加:6/28

(過去の経験則からすると、米軍って、基本的に報復空爆とか、ものすごく簡単に実行しているよね?誰からも非難されないからって、違法だろうと何だろうとおかまいなしに、倍返しの攻撃をしてきたでしょう?
reprisalなんて、いまどき国際法上で認められてないと思うけど、やってるよね?

イスラム国への報復空爆でも同じで、復仇という名目でシリア空爆を繰り返したでしょう?
ああいうのも、米軍の「やれ、やっていいぞ、もっとどんどんやれ」という教えや応援がなければ、普通はやってこなかったことなんですよ。)



それを恐れて、じゃあどこを攻撃したんですか?→日本です、だったら、別に集団的自衛権の有無は関係なく迎撃できるではないか。
また、発射地点不明の迎撃ミサイルが衝突した、ということが画像上で証明できたとしても、発射した国がどこの誰なのかを確定させない限り、文句の言いようがないわけで。
finalvent的には、それらが「神の視点」の如く、犯人もぜーんぶお見通しだぁ~ということを前提としているのだな。


今回の法案が通らないからといって、自衛隊員が敵の前に飛び出して被弾し命の犠牲を払え、などという非現実的要求はあろうはずもないのだよ。いつもなら、国民に対して無駄に言い訳能力を発揮しているのだから、こういう時にこそその能力を活かせばいいだろうに(笑)。
行政組織なんて、常々脱法行為を散々やってきているのに、こういう時だけ遵法精神で何故か四角四面の杓子定規な硬直的解釈だけを出すのは、ご都合主義というものだよ。

愚かの極み。


百田尚樹の本は、二度と読まない

2015年06月26日 19時59分28秒 | 俺のそれ
以前に、読んだ本のことを書いたことがあった。

>http://blog.goo.ne.jp/critic11110/e/b2ad6523589c0350c3adc12dec20938b


『永遠のゼロ』も読んだわけだが、著者の百田がこのような傍若無人の、破廉恥極まりない、常識はずれの人物であることなど、当時には知らなかったので、うっかり記事に書いてしまったりしたわけである。


当方の、浅はかな失敗でした。

痛恨事とは、まさにこのこと。

百田のごとき、偏見と差別に満ちた人間を賞賛してしまった自分が、あまりに情けない。


申し訳なかった。
深く反省するとともに、お詫び申し上げたい。

そして、正体を見た今となっては、百田の書籍は死んでも手にすることはないだろう。
心に固く誓った。



女子W杯2015~なでしこ決勝T オランダ戦

2015年06月24日 13時30分17秒 | いいことないかな
見事に勝利で、ベスト8決まりましたね。

おめでとうございます。


ここまでの予選3試合は、貫録勝ちで全勝でした。
不調とか、得点力不足とか、色々と心配されていましたが、本番で結果を出すのは立派です。


今日のオランダ戦でも早い時間帯で先制。
恐らくオランダはなでしこの体力消耗を待つということで、後半勝負と考えていたかもしれません。
前半は、あまり厳しいチェックに来てなかったようです。


先制点は、宮間からのセンタリングに、大儀見のナイスポストプレーでバーを叩いた跳ね返りを、有吉が落ち着いてグラウンダーで蹴り込んで生まれた。
密集体形だったが、見事にコースを狙っていた。


追加点は、大儀見のキープからセンターに繋いで、坂口のエリア外からのうわ隅へのシュートだった。

攻められていた時間帯だったので、ピンチの後のチャンスをきっちり決めたあたり、試合巧者ぶりと思った。


が、毎度おなじみの、ラスト10分は跳ね返すの連続で、かなり攻められてしまった。

スイス、カメルーン戦でもそうだったが、相手の体力(スピード、パワー、高さ)が上回る中、どうしても攻撃を凌ぐということになりがちである。ロスタイムでの1失点は、そういう中で生じてしまった。

やはり、2点リードの残り2分となれば、一瞬の注意力の切れのようなミスがあるということであろうか。


ただ、海堀は、決定的なオウンゴールの大ピンチを救ったので、そこでプラマイゼロと思えばいい。

兎に角、ここまでの4試合、全部を勝ってきた、という結果が全てであるのだから。
ある意味、勝負強い。

それとも、軽量級の横綱相撲的な勝ち具合?


何だかんだで、結果を出してくる所が、強いということだろうな、と。


肉体的には、むしろ不利な部分が多いし、キック力の違いで、パスのボール速度にも難があったり、遠い逆サイドのボールが難しいとか、ヘディングも劣るとか、勝てる要素を見つける方が大変なのだけれど、大柄選手と戦う技術とメンタルの強さ、そして、任務を着実に遂行するという点において、男子とはかなりの開きがある。日本の男子サッカーは、なでしこサッカーのこういう部分を見習うべきであろう。

得点を奪う為のトライも、色々とよく考えている。
勝つのが当たり前と思って、勝つというのは大変なのだが、強豪になるにはそれができなければならないのだ。


次も安藤の分まで頑張って下さい。



集団的自衛権に関する当ブログの見解

2015年06月21日 18時04分01秒 | 防衛問題
最近の話題ではあるものの、拙ブログでは過去に取り上げたので、それを踏襲している。


08年1月>http://blog.goo.ne.jp/critic11110/e/f27356e8117cee4779e10cd2703f77f5

   >http://blog.goo.ne.jp/critic11110/e/1b054a4a498987b43742e624597fda6d



記事中には、過去の法制局長官らの答弁も出ている。

丁度、東京新聞の記事で歴代内閣法制局長官の見解が以下の通り出されているので、参考になる。


>http://www.tokyo-np.co.jp/article/politics/news/CK2015062002000138.html


内閣法制局の歴代長官の安保法案に関する見解の要旨は次の通り。


◆宮崎礼壹氏 歴代の政府見解と断絶

 集団的自衛権の行使に関する憲法解釈は、一九七二年の政府見解で説明されている。安倍政権はこの七二年見解の論理は維持しながら、集団的自衛権の一部が限定的に認められると主張している。
 だが、この見解はそもそも、憲法上、集団的自衛権の行使が許されないことの理由を説明したものだ。
 当時の吉国一郎内閣法制局長官は「論理的帰結としてわが国への侵略がない場合の武力行使は、憲法上許されない」「憲法をどう読んでもだめだ」と語っている。集団的自衛権の行使は、まだわが国が侵略を受けていない段階で武力行使することだから、九条でどうしても読めない。
 少しは集団的自衛権もいいじゃないかというが、七二年見解は今のところはだめとか、ごく少しであればいいとか全く何も留保していない。それを根拠にするなんて百八十度違う話だ。
 七二年以降も国会で質疑がたびたびあった。だが、集団的自衛権が限定的とか一部とか認められる余地は、全くないと示されている。
 安倍政権の新解釈は、都合のよいところだけ取り出し、最小限の集団的自衛権なら当てはまるというが、それはまったく無理。これまでの政府見解から断絶した考えだ。
 今回はあまりにおかしな、ひどい議論が行われている。七二年見解の部分部分をつぎはぎし、集団的自衛権が認められるかどうかは事実の当てはめにすぎないと強弁するのは、こじつけ以外の何物でもない。
 現在の横畠裕介長官が最近、非常に問題のある解説をしている。七二年見解で憲法が武力行使をぎりぎり容認している「外国の武力攻撃で国民の生命、権利が根底から覆される急迫、不正の事態」の「外国の武力攻撃」に、「『他国への外国の武力攻撃』も含まれる」とした。
 ものすごく形式的な読み方をすればいいと思っているが、これは「日本に対する武力攻撃」と読まなければおかしい。何重の意味でもそんなことは読めない。
 政府解釈の根幹は変わっていないなどととても言えない。今までの論理を捨てるなら別の大きな問題となるが、法的な連続性が保たれているというなら、その主張は無理、うそだ。法案は違憲というのが正しい。


◆阪田雅裕氏 「ホルムズ海峡」憲法逸脱

 集団的自衛権の行使はこれまでおよそ認められない、必要ないと考えられてきた。法律の考え方は、理屈と事実をどう当てはめるかという問題がある。これまでは全否定だったが、自国の安全、侵略と関係あるような個別的自衛権と同じレベルのものもあり得る、としたのだろう。
 問題は、なぜそのように変える必要があるのかという十分な説明ができなければならないことだ。安全保障環境が変わったとの抽象的な説明しかしていないが、他国への攻撃に対処することが、国民を守ることとどう結び付くのか。分からない。
 憲法で武力行使が許されるのは、日本に影響があるようなことでは足りず、経済的な損失程度なら憲法の基本的論理の外になる。
 他国に対する攻撃でわが国に戦火が及ぶような状況という説明で、安倍晋三首相は「戦禍」(戦争による被害)という意味で言っているが、その程度ではだめで、「戦火」、まさに戦争が国に及ぶ状況でなければ従来の論理には合わない。政府は中東・ホルムズ海峡での機雷掃海もあり得ると言っているが、憲法論理の枠内に入らない。ホルムズ海峡での事態も法案に当てはまる可能性があるとの政府の説明なら違憲だ。


◆秋山 収氏 参戦に導く苦渋見えぬ

 集団的自衛権の行使を容認する政府の新解釈は、通常の言語感覚で理解すれば違憲とまで断ずべきものではない。ただ抽象的で多様に解しうる表現を使っているために「歯止め」が不十分だ。できるだけ自衛隊の活動の範囲を広げたい政府の具体的な運用の説明には、合憲の範囲を超えて違憲になるものを含んでおり、違憲の運用が行われる恐れがある。例えば「ホルムズ海峡が機雷で封鎖された場合、一定期間エネルギー危機に陥る」とか、「自衛隊を戦闘に派遣しなければ米国世論に見放され、日米安保が瓦解する」などの理由で派兵がなされるケースだ。
 首相の対応を初めから見ていると、一国のリーダーとして国を参戦に導くことの重さや苦渋がほとんど感じられず、解釈の範囲を広げられるだけ広げようという姿勢が見える。このような人を最高責任者に持つことに強い不安を覚える。


◆津野 修氏 条文ごとに具体説明を

 憲法上、集団的自衛権は一般的には行使できないのは当然だ。個別的自衛権でさえ国際法上のものより限定的で解釈されているのに、なぜ集団的自衛権の行使が認められるのか。
 集団的自衛権は違憲だと一般論では言ってきたが、全く何も認められないかというと分からない。政府の論理は非常に抽象的。具体論として条文が本当に違憲なのかは難しい問題。具体の条文については説明を聞かないと分からない。政府は分かるように説明すべきだ。


◆大森政輔氏 政府の理屈で武力行使

 集団的自衛権行使を解釈変更で認めるのは、憲法九条に照らし認められない。
 解釈変更と今回の法案が憲法上認められないのは、議論するまでもない。国会では常に問題にされ、政府の説明は国際法上は有しているが憲法九条に照らすと行使は認められないと一貫してきた。ほとんど自民党内閣がそう言い続けてきた。それが突如、憲法解釈の変更で認められるとなった。今更解釈変更と称してできるはずがない。
 解釈変更で武力行使できる新たな要件に、従来の「国民の生命、権利が根底から覆される事態」に「明白な危険がある場合」と余分な文言がついた。国民の生命、権利が覆される状態にまだない段階で武力行使する。九条とは相いれない。
 何をやるかの説明でホルムズの機雷掃海の話が出てくる。これで集団的自衛権を行使できるのなら、どんな事例でも理屈をつけたらほとんどできるようになる。非常に限定されているような文言だが、政府がやろうと思えば理屈がいくらでもつけられる要件だ。あの文言はうそを言っていることになる。違憲ということは明らかだ。


=======


安倍政権は、過去の政府見解をも放棄し、なおかつ多数の学者たちの見解も無視して、「安倍総理が合憲だと言うから合憲だ」との論理しか出せないままである。


法の壁を、楽々乗り越えてよいのだ、という理屈ならば、同じ口で「法の支配」とか決して言うべきではないのだよ。




TPPの命運を左右する米国議会のTPA攻防戦

2015年06月15日 11時51分41秒 | 政治って?
先週行われた合衆国下院における投票結果は、ご存じの通りだ。
TPA法案は賛成219で可決されたものの、成立の前提となっていたTAA法案は賛成わずか126(反対は302!)の圧倒的大差で否決された。これにより、TPAは事実上成立困難となったわけである。

当初、TAA否決ならTPAの採決は行われない予定であったが、下院の投票にまでどうにか漕ぎつけた推進勢力の面子がまる潰れとならないよう、或いは再投票での可決の可能性を維持できるよう、儀式的に投票が行われた。それが219票獲得の結果だったのである。


下院のリーダー達は16日に再びTAA法案の採決に持ち込もうと、オバマ大統領だけでなく、反対票を投じた302人のうち90人以上を翻意させようと必死のロビー工作を行っている。
もしもTAAが通ってしまうと、死に体のTPAが復活してしまいかねない。


TPAが通ってしまうと、TPP交渉の再開となって、妥結に向けて「オバマ大統領最後の置き土産」ということになるだろう。故に、今日明日は気を抜けない、油断ならない時間帯ということになろう。

もしも再度否決されれば、復活はほぼ絶望的となろう。ダメ押しというのか、死亡宣告に等しいと言えばいいのか、こういう時の決まり文句がどうしても言葉が詰まって出てこないのだが、TPPは人々の記憶から消し去られることになるのは間違いない。ゾンビのように彷徨うしかなくなるのだ。


上院で可決した時、TPP推進勢力の凄い執念に恐怖したが、下院ではどうにか阻止できた。これはひとえに、米国の善良な人々が懸命に戦ってくれたお陰である。普通の人々がきちんと生活できるようにしたい、これを政治家に働きかけ、様々な活動を通じて投票行動に影響を与えることができたということであろう。


日本では、経団連をはじめTPP推進の経済界がイエスと言えば自民党の国会議員なんて全部が「参加」に簡単に転ばされてしまうのだよ。過半数の国民が反対していても、だ。
その点で、米国の政治は機能していると言えよう。羨ましい限りである。議員が議員としての職責・行動をまっとうしているからだ。選挙民の声を聞き、反対すべきは反対するのだから。


だからこそ、強力なTPPコアリション軍団のロビー大作戦を撥ね返し、反対運動を行ってくれた普通の国民側が勝利したものと思う。特に、全米労組団体が中心的役割を果たしてくれたと思っている。


この恩義は、決して忘れない。
一生懸命戦ってくれた善良な米国民に感謝を捧げたい。



拙ブログでは常々アメリカのことについて、厳しく非難するわけだが、それに関与するのは政治・軍事・経済などのごく一部のエリート層か支配層しかいないだろうから、普通の方々に対して何らかの悪印象を持つものではない。
面白い映画やドラマや音楽やスポーツやITものや芸術や学問や、…素晴らしい色々なことがアメリカの人々によって生み出されている。ぼくもそれは好きだ。合衆国を支える多くの善良な人々を信じてきたし、これからも正義の国であり続けてほしいと思っている。



法学者たちの「違憲」表明について

2015年06月11日 20時53分38秒 | 法関係
安倍総理が、新たな安保法制を夏までに実現させると米国議会演説で大見得を切ってしまった為に、現在の窮状をもたらした。

憲法審査会での法学者3名が揃って「違憲」との見解を表明したのに続き、大勢の法学者が同じく「違憲」との立場を支持した。マスコミのアンケート調査などでも、やはり9割以上の法学者たちが違憲を支持している。
これにより、無法を強引に押し付ける安倍政権の姿勢が世間に知れ渡り、今後の審議は暗雲に包まれることとなった。


安倍総理が自ら会見を行った時、いかに正当な根拠を持った法案なのかを滔々と語ったのに、それは国民を欺く詭弁に過ぎなかったのだということを、憲法学者たちの思いもよらぬ告白によって知らされたのである。


きついお灸をすえられた政権は、何とか言い訳を見出そうと必死になっているが、いずれも有効な反論にはなっていない。逆に、稚拙な言辞を弄する閣僚や総理補佐官らの失態を目立たせるだけになっている。閣僚も与党議員たちも「単に強弁するしか能がない」ということを実証してしまった。


遅かれ早かれ、政府与党の穴は露見していたであろうから、これを機に出直すべきと多くの人が考えていることだろう。


拙ブログでの見解について、以下に述べておきたい。

まず、多数派が正しいのか、という点についてだが、必ずしもそうだとは思っていない。過去のブログ記事で書いてきたことなので、ここでは触れない。また、意見表明者の信頼性についてであるが、例えば長谷部恭男教授や小林節教授については批判してきた経緯もあるのであり、全幅の信頼ということにはならない。それに、権威主義的態度というのには、拙ブログではあまり同調的ではなかったと自己評価しているので、「東大の長谷部教授が違憲と言うのだから正しい」みたいなことを支持したりもしないだろう。



・長谷部恭男教授に関する記事
13年12月>http://blog.goo.ne.jp/critic11110/e/308038dda28248a10cc9babf9556a3b2


・安念潤司教授に関する記事
14年1月
>http://blog.goo.ne.jp/critic11110/e/8da760d94d6e08b3bcd32f30c09ab5b5
>http://blog.goo.ne.jp/critic11110/e/47abaa3da2f8bd403eb50c75b593efcb
>http://blog.goo.ne.jp/critic11110/e/77a9b7a8c38a0b2586ffae141f394084


おまけ、池田信夫、諸葛宗男、澤田哲夫ら
>http://blog.goo.ne.jp/critic11110/e/fadef836218ebfcb53feb5db1fb48bdc
>http://blog.goo.ne.jp/critic11110/e/1a32260990ed127b80b944a9f0830276


もう一つおまけ、岡本孝司、石川和男ら
>http://blog.goo.ne.jp/critic11110/e/dad1f2c2ca2a1bb1f9195bb4712a0b4b



冒頭の長谷部教授についての参考記事中では、次のように書いた。


学者の言い分が本当に正しいのだろうか?
政治的に立ち回る人なら、いくらでも態度を変えられるかもしれない。だから、東大教授がそう言ったから、というだけで信じることなど到底できない。その人をどう評価するかということが、まずある。
学者間で言い分の対立することであるなら、「学界においてもまだ評価が定まっていないのだな」ということが分かるだけ。つまりは、曖昧とか、不安定ということだ。ほぼ90%以上の専門家の人が同一の回答をする、ということではないと分かるだけである。それは、司法・法学分野だけではなく、経済学でも同じ。これも散々言ってきたわけだが。
なので、長谷部教授の見解はある一つの見方、という受け止め方にしかならないだろうな。


=======


法学者たちの見解を「そういう見方」だと受け止めても、9割以上がその結論に賛成している場合には、これを覆すのは容易ではない。
政府与党が行うべきは、多数派の意見を無視するのではなく、きとんとした反論を法学上の理屈で行うことなのである。愚かな反論だけ並べるからこそ、事態が悪化しているということに気付けないのだな。


「アンケートで9割以上の法学者が違憲を支持していますよ」
  →「学者の意見は無関係」
  →「俺ら議員の方が昔から考えてきた」
  →「判断は最高裁だから無関係」
  →「賛否の数は関係ない」


こういう反論が無駄であり、愚かしいということが分かっていないのである。
ネット上でも見かける、強弁、決め付け、という連中と同じ。


当方は、圧倒的大多数の法学者たちが違憲を支持しているということ以外、これといった論点を知らないので、少数派がどんな説明を行ったのか全く知らない。政府与党なり合憲支持の学者なりが、個別の論点について具体的に有効な反論を示せない限り、正当性など誰からも認められないであろう。


一応、拙ブログでの考えについて、若干述べたい。


1)多数意見であること

少数意見の方が正しいということもあるだろう。なので、一概には多数派が正しいと断定できない。けれども、無視できないし、尊重されるべきものであると考える。大陪審でも、多数意見が採用されるわけだし。
まず、少数派が正しいと考えるなら、多数派の出す論点について網羅的に具体的な反論を提示し、それが説得的であるか説明として妥当・合理的といったことが多くの人に理解されない限り、採用されることはなかろう。
多数派の意見を無視する場合には、結果として「横暴」とか「専横」といった評価しか出てこないだろう。今の政権がやってるのは、これ。


2)違憲審査は最高裁のやること

確かにその通りなのだが、9割以上の憲法学者が違憲と言うものを、最高裁が全く逆の判断を下すだろう、と推定させるには、あまりに無理がある。
法学者は憲法判断の意見を言うな、と言わんばかりの姿勢が、大きな反発を招いたのだよ。要するに「お前ら、学者ごときが何を言おうと関係ねー、最高裁は政府の味方だからいつも合憲と言うに決まっているんだよ、政府が決めたことには永久に逆らえないんだよ」という本音が出てしまい、それを見透かされたということだな。
「総理(=政府)が言うんだから、正しいんだ、合憲なんだ」というのと同じ。簡単に言えば「俺がルールだ」と。これを誰が信じると?


最高裁が違憲審査をするとしても、通常の裁判では違憲か合憲かの判断には触れられない。仮に今の戦争法案が立法されたとして、どうやってその違憲判断を最高裁に仰げると?
具体的に不利益を被る人が行政裁判を提起する必要があるとして、原告適格とか訴訟利益でほとんどが弾かれてしまうのでは?
特に、現実の運用前に違憲判断を仰ぐ機会など、ほぼ皆無に等しいのでは?そうすると、政府与党が「合憲と言ったから」という理由で、現実には立法措置が取られてしまうわけで、国民には合憲か違憲かの判断を得ることが事実上封じられてしまうも同然である。


そのような点からも法学上の研究や議論は有益であるし、形式的には存在するであろう最高裁の違憲審査であっても、事実上は国民に利用できる機会は殆ど得られないことから、法学上の議論がそれに代わるという役割が期待されよう。


したがって、最高裁の違憲審査があるから、という政府与党の意見は現実的ではなく、国民の憲法判断に関する検討機会を奪うに等しいものであり、妥当性を欠いている。


そもそも内閣総理大臣が、自信を持って「合憲である」と確信しているのであれば、違憲だとする法学者であろうと議員であろうと誰であろうと、合憲論でもって相手側論点を退けられよう。それを実行すればいいだけである。
なぜ、真正面から議論を受けて立たないのか?

それは、講学上の論点で勝てないから、ということではないのか?
そうではなく、政府の見解が正しいというのなら議論で勝てるはずなんだから、具体的に反論すればいいのだよ。



米国が最大の産油国にカムバック

2015年06月11日 17時18分39秒 | 経済関連
想定内の結果と思う。

拙ブログで以下の記事を書いていた。


13年10月>http://blog.goo.ne.jp/critic11110/e/b350e03a2030cd856bf4dd2437f3fbe9

(再掲)

もっと重要なことは、世界最大需要国であったアメリカが、増産したことでロシア以上の生産国に生まれ変わっており、結果的に輸入量激減となったわけである。

>http://jp.wsj.com/article/SB10001424052702304676604579112240284867788.html

サウジアラビアにしても、900万バレル以下しか生産しないと言っていた価格下落時と比べて、今は1100万バレル上に増産しているのだ。

単純に、アメリカの生産量1000万バレル以上(天然ガス移行分もあるから、旧需要量は無視することにする)分だけ供給量が増加したなら、世界需要の伸び以上の供給力増強だ。すなわち、価格下落としかならない。いくらナイジェリアとかリビア、イラク、イランなんかの問題があったにせよ、そこまで需給逼迫になんかならない。世界需要が約9000万バレル/日レベルであるのだから、アメリカ需要量が消えるということが、インパクトはそれなりに大きいはずだろう。世界最大輸入国が輸入をやめるんだぞ?それでも、供給が減っていると?(笑)


=======


むしろ原油価格が下がる時期が、これほど遅れたことの方がナゾだわな。
供給力の方が断然大きく伸びたのに、だ。



日経記事より
>http://www.nikkei.com/article/DGXLASGM11H1S_R10C15A6EAF000/


米が世界最大の産油国に 39年ぶり、14年英BP調べ
2015/6/11 10:27

【フランクフルト=加藤貴行】英石油大手BPが10日発表した世界エネルギー統計によると、2014年に米国がサウジアラビアを上回る世界最大の産油国となった。米国の首位は1975年以来、39年ぶり。14年後半から原油価格が急落した中でも、米国は新型原油「シェールオイル」の増産の勢いが衰えなかった。近年はサウジとロシアが世界首位を争っていたが、米国が一気に抜いた格好だ。

 14年の米国の原油生産量は前年比15.9%増の日量1164万4千バレル。12年から3年続けて同100万バレル以上増やした。BPによると、3年連続で100万バレル以上増産した国は初めてという。
 サウジの14年の生産量は0.9%増の1150万5千バレル。ロシアは0.6%増の同1083万8千バレルだった。世界の原油の確認埋蔵量は14年末で1兆7001億バレルと1年前とほぼ変わらず。世界の産油量の52.5年分に相当する。


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日本はただの「貢ぎ役」ということがよく分かる。
世界秩序というのは、誰にも見えない所で決まり、動いているということなのであろう。ノロマは金を払え、と巻き上げられるの図、とな。



日本の電力会社は原発を稼働させる能力に欠ける

2015年06月08日 20時24分45秒 | 社会全般
これまで福島原発事故に関する疑問点などを書いてきた。
根本的に、東電の説明はおかしい。そう解釈せざるを得ないことがあまりに多すぎる。



日本において、東電以外の電力会社ならば、福島原発事故のような事態を回避できるのか?
危機的状況に陥った原発を、きちんと救済、管理できるのか?


そのように考えることは、決してできない。


普通ならば、東電の説明や事故調査報告を読んで、一流のプロが見た場合の「評価」というものがあるはずだろう。
専門家同士で通じる論点とか、詳しく知る人間から見た正誤とか、そのような評価があってしかるべきだろう。


だが、福島第一原発の事故は不可避であった、津波が来たからしょうがなかった、このような結果は誰がやっても同じだった、ということを、全国の電力会社の連中は認めている、ということであろう?

勿論、東電内部の他原発担当者であっても、だろ?


それだけではない。
原発メーカーも、そう考えているということだろう?


誰からも、異議の一つすら出されない、ということは、全部の原発事業者が東電と全く同じだ、ということだ。
そんな低劣な連中には、原発を任せることなどできないと言っているのだよ。


例えば、1号機のICに関する疑問点というのがあった。
全国共通の設備ではないから、大勢が知っているということではないかもしれない。けれども、誰か「精通している人間」が少しは存在していてもおかしくないのではないか?
設備担当の企業とかだって、あるわけだろう?



「IC配管のリークを疑った」「弁の開閉操作を行った、建屋外からの蒸気を見た」
こういった証言が出た時、事情を知る人間ならば、疑問に思って当然なのではないのか?


dPIS(IC配管破断検出器)が存在することを知っているなら、「どうして見なかったのですか?確認しましたか?」ということが一発で思い浮かぶわけだろう?

差圧検出用取出配管があることや、弁開度計やIC水位計が付いていることも、知っていたわけだろう?
弁が開いているかどうか、冷却で水量が減っているかどうか、確認手段があることを知っていたはずだろう?
凝集水戻り配管があって、熱湯が流れていることも当然知ってるだろう?


こんなことは、分かる人間にとっては、初歩的な話であって、「ICが機能しているかどうか」を確かめる方法があるということを、普通に指摘できるであろうに。しかし、これを言った人間がいたか?


報道ベースでも存在しないし、事故調査報告(東電、政府、国会、民間)いずれでもなかったし、学会報告なんかでも確認ができない。


要するに、操作や対処法などの評価が全くできない業界(連中)である、ということだ。
実施した行為が正当だったかどうか、が、専門知識のある原発事業者たちの目から見てでさえ、評価できないということ。

不適切であった、というのを指摘できるだけの力量か眼力があるというのなら、まだ、東電よりはマシということが分かるけれども、全部がそれと同じくらいか以下でしかないなら、ヘボばかりということの証明でしかない。


ヘボ将棋を見た時、プロレベルなら「ひと目」ということ。
ああ、これは詰み筋ですね、とか、これは悪手ですね、といとも簡単に指摘できるだろうに。


そのようなレベルの高い人員が存在しない、ということだ。
だから、電力事業者からの指摘が一切でない。

知ってるけど出せない、というのなら、それも同じ。永久にヘボ将棋しかできない。


東電が隠し続けているのを放置してきた電力会社しか存在してないのだから、実力など大差ないということだろう。
そういう事業者が稼働します、って、違法レベルでは?
だって、最新知見を反映するのが事業者の義務なんですよね?


ならば、福島原発事故でのことは、他電力会社の人たちが見たり読んだりしても、全部スラスラと説明できなければならないはずだし、その対策も全て整合的な説明ができるはずだから。


仮に、1号機のICを何ら弁の調節をせずに運転を継続した場合の、冷却材温度の低下が55℃をはるかに超えて、どれくらいになるのか、タンクの水が何分で全部蒸発し補給水は最短で何分以内に実施が必要か、といったことも、直ぐに答えられないとおかしいだろう?


事故の対策というのは、そういうことなんだろ。
列車がカーブで脱線したのなら、速度超過を抑制するのに、何分前かどのくらいの手前の距離でブレーキを作動させなければならないか、というのを解明(説明)できないと、事故対策になんてならないだろ、って言ってるんだよ。


たとえ関西電力や九州電力の人間であっても、即座に論理的整合性のとれた説明ができなければ、最新の事故対策の反映になっていないだろう?


こんな腐った電力業界が、まともな管理ができるとは到底思えない。
いつまで経ってもヘボはヘボのまんまなんだよ。
簡単なことすら分からない連中に、一手一手の良し悪しが分かるわけがない。



福島原発事故を巡る東電の大罪~12

2015年06月06日 13時54分21秒 | おかしいぞ
福島原発事故後に、あの恐怖の現場で作業を継続してくれた人々の行動と勇気には、心の底から感謝申し上げたい。
英雄的行為を命懸けで実行してくれた人たちがおられなければ、今の日本はなかった。本当にありがとう、と思っております。



今は亡き吉田所長も、ガンで命を落とされたと報じられていたはずだ。原発推進派たちの二言目には、「原発事故で死んだ人は一人もいない」という妄言に同意することなど、到底できない。

吉田所長の死は本当に被曝による発癌ではなかったのか。あの過酷な事故がなければ、こんなに早くに若くして命を落とすことなどなかったのではないのか。

私には、事故が原因で亡くなられたのであり、命懸けで日本を守った為に、吉田所長は死去されたのだとしか思えない。


吉田所長は、表に出ている数少ない犠牲者なのではないか。
本当は、もっともっと大勢の方々が犠牲になられたのではないか。
そういう方々の命を、「誰も死んでない」などと軽んじることができようか。
真に使命感と勇気だけで、日本を救ったのだ。


彼らの犠牲をなかったことにすることなど、できない。
次の事故が起こった時も、死地に飛び込んでこいと命じなければならないような原子力発電所ならば、やるべきではない。



犠牲になられた方々の命を無駄にしない為にも、事故の原因と全容を明らかにすべきなのである。



福島第一原発において、最初から外部電源が喪失となったのだろうか?
その前提からして、かなり疑わしい。
発電所内の外部電源がなく、発電所内での発電も全部が地震のスクラムで停止したなら、まずやるべきはRCICかHPCIの起動である。1号機にはRCICがなかったわけだから、当然に選択の余地はなく、HPCIを起動するはずだ。簡略化したマニュアルのフローチャートでも、まずそこが最初のステップとして書かれているわけだから。


そのHPCIを起動していなかった時点で、発電所全停が起こった(全号機のスクラム後、計測機器電源が全て失われた為にMSIV全閉となった、というのが東電説明である)というのは、信じ難い。


D/Gが給電するまでタイムラグがあるのは当たり前だし、その場合には原子炉スクラムに伴う警報だけでなく、タービンや各種ポンプ関係、電気系統関係の警報が連続的に出ることになるわけで。
普通に、所内電源喪失、というのも確認されるわけである。それはD/Gからの母線充電が済むまでは、当たり前の応答だから。
また、480V P/C接続機器は全てに故障警報が出される。これも普通の応答であって、故障ではないし、D/Gが壊れたわけでもない。そのように表示されることになっている、というだけである。


しかし、パニック状態に陥っていたりすると、そうした警報が「異常発生による警報」なのか、電源切替に伴う「普通の形式的な警報」なのかの判別がつかない、ということになってしまうかもしれない、ということ。


推測では、3号機と1、2号機では初期対処が異なっていたであろう。
1号機では、原子炉モードを「停止(SHUT DOWN)」に切り替えることすら暫くの間忘れていたようであるから、適確な対処ができていたとは思えないのである。


多分、3号機では外部電源がしばらくは生きていたのではないか。3基の中では、当初から複雑な操作を必要とされなかったのが、この3号機だっただろう。しかし、2号機は2010年6月の時の事故と似ていて、同じく電源切替に失敗したのではないか、と。D/Gは起動しているものの、そこからの電源供給の方法が正しく出来ていなかったのではなかろうか、と。その理由は不明である。
何かの論理回路である操作(例えば何かのスイッチを入・切の切替とか、他の何かの条件を解除しないと遮断機が入らないとか何とか、みたいなこと。具体的には全く分かりません)をしないことなのか、設備的な問題なのか、分からない。


けれども、2号機においては交流電源喪失状態に陥ったのが、2010年6月の事故とよく似ていた、ということ。なので、最も早く(14:50)にRCICの手動起動を行ったのであろう、と。1・2号機の外部電源は喪失したが、D/Gは自動起動するので、正確な手順を踏めば電力供給はできたはずだ。

しかし、何らかの障害があってD/Gからの受電に失敗したものと思う。それでも、前年と同じで、どうにかなると思っていたのかもしれない。


むしろ、外部電源が来ていた(か、D/Gからの受電ができていた)3号機側から2号機側へ電源供給を受けようとして、切替操作が失敗に終わった可能性すらある。外部電源を本格的に喪失したのは、非常用母線関係のトラブルであったかもしれない、と。系統負荷の保護機能で外部電源が遮断されてしまった、とか。電気屋さんじゃないと理由は分からないと思うけど、そういった何らかの事情があったからなのではないのかな。


電力供給が回復しないと、読める計器類が限定される、ということが、1・2号機の原子炉の安定維持を困難にした。限られたパラメータだけから判断しなければならないので、熟練が要求されるだろう。使える冷却手段も限られるわけだし。


また、タービン建屋の状況確認に行ったのが18時以降だったこと、大勢の人たちが大慌てで逃げたことというのは、恐らく初期の放射線量の上昇がどこかにあったから、ではないのか?

まず、中央制御室の人員が直ちに降りて確認に行かない主な理由は、例えば1号機での地震直後のリーク発生があったから、なのではないか?
線量が上昇している場合、保安上の理由により「お前、被曝覚悟で行ってこい」とは簡単に命令することができないから、だ。現地のリーダーたちは、そういう非情命令を当然とするような軍隊的訓練を受けているわけでもない。

それこそ、「志願する人」が出てこないと、高放射線量領域に「入って確かめてこい」とは言うことができないから。志願兵のように、被曝上限の規定を破ることになっても、確認しに行こうという人が出てくるまで時間がかなり経っていたのではないのかな、と。


恐らく、確認するにしても「近づきたくても近づけない」理由が存在したのであろうな、ということである。そうして、18時過ぎ以降になってから、志願した「決死隊」のような偵察隊が行くことになって、外部から建屋内に入れそうかを確認したのではないか。


一般家庭の停電が発生した場合でも、数時間後には復旧することが多いわけです。架線が倒壊したり、電線が切れたりしても、復旧作業というのは何時間かで実施できる場合は少なくない、ということでしょう。

当日、福島第一には、数千人もの作業員がいたんですよ?
津波が去った後の16時以降に、全交流電源喪失であったことは明白だったわけですよね?
その時、どの個所で停電が発生しているか、調べないなんてことがあるのでしょうか?一斉に手分けして、全線の確認をすれば良かったのではありませんか?何時間も使える電機設備が判明しない、なんてことがあるものでしょうか?外部電源復旧作業をいち早くやらないなんてことが、あるのでしょうか?


どうして、3人一組で100~200グループとかを作って、一斉に被害状況確認とか、復旧に必要な作業の洗い出しをしなかったのでしょう?

できない理由があるとすれば、放射線量上昇により、屋内退避をすべき、とか、接近が困難といったことではなかったか?
そうであるなら、数千人も人がいる、ということの方が、混乱の種になってしまうだろうから。羊の群れが数頭なら、羊が音にビックリして走り回ってもどうにか制御できるだろうけど、数百頭の群れともなれば制御が困難だ。それと似てる。まず、混乱する大群をどうにか整理を付けるのに多くの人手や労力を割かねばならず、対応が後手に回るかもしれない。


重機だってあったはずなのに、電源車が到着するまでに受け入れ準備が出来ていたとは到底思われないわけです。だって、真夜中にほぼ手作業、人力で頑張る、ということだったわけですよね?

明るいうちに、何の準備もできてないことが本当に不思議だ。停電後なら、夕方以降は真っ暗なのは当たり前だし、機動隊の投光機を寄こせ、ヘリでもいいから照らせ、とか、いくらでも考えつくだろうに。報告書をいくら読んでも、津波以降からは、「何をどうしようとしていたのか」ということが全く分からないわけです。判断や行動の根拠となった事柄(説明)が皆無で、事後的に言い訳を考え出して辻褄を合わせた程度にしか見えないから。自発がゼロ、ということ。
(これをしなかったのはどうしてか?、というような責任追及をされたら逃れる為の言い訳や責任回避できる理由だけを述べるから、だろう。殆どが質問への回答のみで構成されている、ということ)


結局のところ、「主に現地で対処してくれ」「何が必要なことなのか分からない」「何を優先して作業・復旧すべきか分からない」「対処方法が分からない」「判断材料の見出し方も分からない」、そういう混乱だらけだった、ということだろう。正確な指示を出せる人間は、東電にも保安院にも原発企業にも、どこにもいなかった、ということだ。


それとも、実際には津波後でも電源が生きていた、とかであると、そう大騒ぎするほどでもないと思って、一刻の猶予もないという切羽詰まった感じで対応してなかったのかもしれないし。


何と言うか、専任伍長?さんみたいに、1号機の全体に精通している人間が1人でもいれば、短時間で必要なことがある程度分かりそうなものなのだが。そのような人は誰もいなかった、ということであろう。
運転員が何十人もいるのに分からないという代物であるなら、それは普通の人々が管理できるようなものではない、ということだ。



福島第一原発事故の、最大の要因は、「~ができなくて困っているんです」「~が分からないので、教えて」という、ごくありきたりの、本当のことを言いだせなかったこと、だろうな、と思う。


廃炉覚悟で「ホウ酸水を直ちに注入しろ」と言えたなら、爆発しないで済んだかもしれない。原子炉から漏れてる、って言えたら、危機対応は違っていたかもしれない。ICが分からないと言えば、もっと耐えられたかもしれない。
政府だって同じ。放射性物質が漏れました、って言うべきを、メルトダウンしてない、と言い張った。


こういう、隠すことだけが得意な人々によって原発を管理されてきたので、いざという時にも、そうした根本的に滲みついた習性が発揮されてしまったのだよ。


本当はこうなんだ、と言えば、おおごとにならずに済んだことが、隠し続け嘘の上塗りを続けた結果が、福島第一原発の惨状なのだ。こういう連中は、どこまでいっても信用することなどできない、って言っているのだ。何度でも失敗を繰り返す。

隠せばどうにかなる、って長年やってきたからだ。隠蔽すればなかったことにできる、という業界だったからだ。


なので、どこまでいっても、間違い続けるんだよ。
そういう体質だから、だ。
風土病だな。「原子力ムラ」特有の。



福島原発事故を巡る東電の大罪~11

2015年06月05日 21時53分09秒 | おかしいぞ
これまで、いくつかの疑問点を書き出してみたわけだが、東電の言い分では整合的な説明がつかないことが多々ある、とは思う。東電が正確な情報を隠してしまった為に、今では分からないことが多いだろう。


3月11日当日、何か重大な隠蔽があったことが推測されるのである。

例えば、福島第一のプラント全体には当時約6400人もの人々が働いていた、ということである。各号機の中操とか、免震重要棟などに分散したとしても、数千人も収容できたとは到底考えられない。

事故後の免震重要棟に詰める人々が数百人規模だったと記憶しているが、廊下まで人があふれていたようであった(それとも、オフサイトセンターだった?)。


多くは避難したのは分かるが、謎も多い。
4号機は稼働しておらず、作業中だったそうだ。そこには最も多くの作業員たちがいたようである。恐らく千人以上いたであろう。
福島第一全体では約2400人が管理区域内での作業に従事しており、退出ゲートに人が殺到したということであった。3/4号機サービス建屋の出口付近が最も混雑したようである。


五千人以上が駐車場広場に集合したとして、全員が行動するのには時間がかかる。どうやって行動決定をしたのだろう?

普通、地震が来た後で、ビルから飛び出して、一目散に逃げたりするだろうか?多分、そういうことは少ないんじゃないだろうか。
地震後に、被害状況が分からない中、仕事場から各自三々五々で解散とか、帰宅ということになるだろうか?
指示を待つ為に待機してた?津波が来るまでは、6千人くらいの人たちが駐車場なんかで、集合していたということなのか。そんな広さがあったのだろうか。よくわからない。

地震後に、各自が自主的判断で発電所の敷地内から出ていった、ということであると、何となく「そうかな」とは思う。つまりは、何らかの理由で逃げたのではないだろうか、と。


少なくとも、建屋内から急いで逃げなくてはならない状況であった、ということは分かる。タービン建屋にいようものなら、「生命の危機」を感じさせるような状況だった、というようなことだ。稼働してない4号機でさえ、だ。


仮に、津波までは駐車場に6千人以上の人たちが待っていたとして、その後にはどうしたのだろう?稼働に直接関与しない人たちは、敷地外へ退去するように命令が出たということだろうか?

でも、復旧作業には膨大な人手が必要になるかもしれない、というのに?
次の津波襲来があるかもしれないので、逃げられる人たちは逃げろ、ということだったのだろうか?


地震後に、どこも壊れておらず、建屋(原子炉含む)内のパラメータも何ら問題がなかったのであれば、作業員たちを戻して損害状況の確認作業などをやってもよかったように思うのだが、そうした点検等は行った形跡がない。単に駐車場に逃げた、出口に人が殺到した、ということが分かるだけである。


とりあえず、津波が来てからは、被害を受けると危ないので、千人程度の社員や作業員の人を残して、他の約5400人の人たちは自分たちの車などで逃げた、ということで話を進めますね。津波が来たのが15時半過ぎ、その後に、数千台もの車が敷地から退去するのに、どれくらい時間がかかるでしょう?

門が2つしかなく、正門と西門だけだそうです。
TDLの駐車場の出口を見たことがありますか?多分、あんな感じかな、と。千台以上の車が退去するのには、非常に長い時間がかかるでしょう。津波被害の後、どうするか判断するまで10分程度として、16時少し前くらいから車で脱出が始まる、ということですね。東電が10条通報した後くらいから、ということです。大混乱の道路状況だったでしょう。
けど、駐車場に逃げた人たちの身体サーベイ開始が15時50分だったそうで、どうも謎が多いです。


そんな中、モニタリングカーが16時半に出発しているのだそうです。
モニタリングポストの電源供給は、交流電源喪失時でも計測できるようになっているはずですが、何故か数値が分からなくなってしまったからなのだそうです。直流があるはずでは?


とりあえず、モニタリングカーは17時に体育館付近で測定したそうです。その後、複数ポイントで計測したり、西門や正門に行き、19時45分以降は正門での計測を続けたということだそうです。


一方、正門あたりの道路が損害受けた、ということで、道路の補修が行われたんだそうです。何と、正門方向に徒歩で道路の損害確認に向かった、ということらしいです。車で退去した人たちは、それまでいなかったということでしょうか。歩いて点検するなら、どうしてモニタリングカーがあるのに、それで一回りした方が早くないですか?正門から出て西門も確認とか、時間がかかりすぎるに決まっていますよね。

分かったことは、19:24に、
「西門は通行可能」「旧事務本館前は通行不可能」「2号機タービン建屋海側は通行不可能」などを対策本部に報告した
ということだそうです。


どうして、モニタリングカーが出た時に、それらを一緒に報告できなかったのでしょう?道路状況がどう、という話をするなら、モニタリングカーが行けるかどうか、正門や西門はどうか、ということくらい、車で見ればいいじゃないですか。しかも、身体サーベイなしで出ようとした人たちを保安斑が止めに行ったのは17時ですよ?


どうも辻褄が合わないわけです。


日没後では、確認作業が困難になることは明らかだったでしょう。
電源が落ちて真っ暗だ、という時(15時半以降)に、何故直ちに発電設備の損害状況確認に向かわなかったのでしょう?

1号機T/Bを見に行ったのは18時過ぎです。それまで、何をしていたんでしょう?
16時36分頃の15条通報から、1時間以上も何を待っていたのでしょう?

モニタリングカーが出た、というだけでは?
日没後だった為、暗闇の中を建屋周辺を徒歩で探索するのは時間がかかるに決まっていますよ。

どうして、自衛隊のヘリでも寄こさなかったのでしょう?
警察ヘリでもいい、サーチライトがあるなら、それで照らしてもらえるだけでも、随分と助かるのでは?

道路状況とかなんて、ヘリで上空から見てもらえば、日没前なら直ぐに判断がつきそうだったのでは?


要するに、当日には、人員は数千人規模でいたはずだった、日没までにできる確認作業を行わなかった、M/CやP/CやD/Gを確認しに行ったのは、18時以降だった、ということです。

中央制御室の人たちの中からは、誰も確認の為に下に降りていかなかった、と。わざわざ遠くの免震重要棟から徒歩で行った、と。中央制御室からサービス建屋1階に降りられるなら、そこからタービン建屋内に入ることが非常に困難であるというのは、どうしてなのかが分からない。


当日、何をどうしてよいのか、誰にも分かっていなかった、と。
しかも、危機的状況である、という認識が決定的に欠けていたのではなかろうか、と。
30分、1時間が生死を分かつという状況であったのに、そういう対応がとられていなかったのではないのか。


恐らく、中央制御室では混乱の極致となっており、何が何だか分からない、と。どうしていいのかさえ、誰にも分からなかった、と。しかも保安院に連絡したものの、東電がきちんと情報を伝えてなくて、保安院としても何をアドバイスすべきなのか、見当もつかなかったのでは?

それは、東電が非常にマズい状況であることを、「言いたくない」「おおごとにはしたくない」「責任を問われたくない」というようなことの積み重ねだったのではないのか。

「一体どうなってるんですか?」「それが、よくわからないんです」
これの繰り返しでは、物事が先には進まんだろう。



原子力緊急事態宣言は、19時過ぎに発出されたのだった。
時すでに遅し。