まさに「コストカットが最大の美徳」派みたいなもんだな。こういう方々が物事を決める権力中枢に存在している限り、日本の未来が良くなるなんてことにはならないと思いますね。
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日本の医療制度を守るために(医療介護CBニュース) - Yahoo!ニュース
はっきり言えば、受益者側の主張ということだけですね。平たくいえば、
「払いは共産主義、受けるサービスは高級ホテルなみ」
といった感じだ。
払うものを払うなら、高いサービスを要求するというのは判るね。だけど、安ホテルの料金だけ払って、外資系高級ホテルとかと同じサービスをしろと要求されても困るだけなのでは。そういう積み重ねが医療崩壊を招いているのではないかと思えるが。都合のいい部分だけは、資本主義、でも、支払いは共産主義というのでは、オカシイわけで。
記事から引用してみる。
『今回の改定で実施される、レセプト電子請求が義務付けられている医療機関に対する明細書の原則無料発行義務化などを通じて、患者が主体的にかかわることで、医療費の適正化が進むことを期待している白川さん。』
期待している、というのは、あくまで個人の願望であろうから別にいいけど、それを一般論として正当であると考えているのであれば、これは困るのではないかと思うが。
では、お尋ねしよう。「適正な医療費」というのは、どういったものなのか?定義できるか?計算などで立証できるのか?
やれるもんなら、やってみて。白川さんじゃなくたっていいですよ。健保組合連合会で出せるはずでしょう。彼らの言う「適正な医療費」というのは、根本部分には「理想となる医療費」というものがまずあって、それとの乖離があるからこそ「こんなに高い!医療費が多すぎる!」といった主張がなされるわけでしょう?(いや、実際はどうなのか知らんけど)
だったら、その基本となる「適正な医療費」なり「適正な(医療)価格」なりを出せばいいのではないか?彼らはできないはずがない。何故なら、その適正額がなければ、現状の医療費(医療価格)が多いとか少ないとか言うことができないからだ。
だから、適正な医療費を出せ。できるはずだよね?
次。
『現在、患者は原則3割負担ですし、日本国民は医師に対する信頼度が非常に高いので、分からないことがあっても自分の胸にしまって「分かりました」と黙って払っています。国民性でもあるのですが、医療機関側はこうした患者の姿勢に甘えず、料金体系を明示し、必要があればきちんと患者に説明をするべきだと思います。』
これも、本気で言ってるのかな、とは思いますわな。
まず、保険者が発行すればいいだけじゃないの。何故それをしないのか?保険者には全ての被保険者の診療報酬データが集められているのだから、自分たちが被保険者の求めに応じて発行すればいいだけだろ。何故、それをしないのか?
それなのに医療機関にその義務を課すのはオカシイわけである。保険者にデータがなくて、発行が不可能とかならまだ判るが、全て揃ってるのに発行できないはずはない。保険者が行えば、電子化加算なんかもなくせるし、医療費抑制になるからいいこと尽くめじゃないの。発行する保険者が費用抑制をしてくれるだろうから、患者の求めに応じて無料で発行すればいいだろ。どうしてそうしないのか?
本当は保険者がやりたくないから、というだけなんじゃないの?費用も手間もかかるから、やりたくないだけなんじゃないの?
こういうのを、押しつけ、というのだろ。医療機関への負担の押しつけである。
それから、患者は黙って払う、とか言うんだけれども、じゃあお尋ねしよう。
トヨタのプリウスって、ハンドルの値段とか、リアガラスの値段とか、そういうのは明細が書かれているのか?(笑)購入者はそういう細かい値段を「明細書を発行しろ」とか言って、全ての値段が書かれたものを要求できるのか?ああん?
(健保組合連合会によれば、適正な医療費・適正な医療価格が決められるわけだから、車の値段だって消費者側が「適正なプリウスの価格」ってものを決められるはずだね。何て素晴らしい制度なんだろう!)
まったく、何を言ってるのかと思いますよね。
サバ味噌煮定食とか食堂で注文したら、サバの値段やみそ汁やご飯や漬物の値段を明細書にして発行しろ、なんてことがあるか?仮に、800円を払う時、その中身について説明を受けてることなんてあるのか?労賃はいくら、場所代はいくら、個別材料費はいくら、ってコストを調べてるのか?自動車の購入費は、宣伝広告費とか、メーカーの利益率とか、そういうのを購入者に説明してるのか?そんなのウソだろ。洗濯機を購入する時、洗濯機の製造コストと販売リベートの額とか、要求すれば教えてもらえるのか?
本当に、不思議なんですよ。こういう人たちって、医療費だけは、まるで別格の如くに扱うんですよね。どうして、医療費の中身も、他の財やサービスと同等なのだということを想像しないのかな、と。医療費だけは、他のものとは違うのが当然で、そういう要求をトコトン突きつけてくるわけなんですよ。
だったら、その要求に見合うだけの「負担をしてください」というのが普通なんじゃないですかね?お金を出せば、そういう要求にも応えられるようになりますよ、というだけでしょう。なのに、どうしてかは知らないけど、「患者」という究極の最強特権者は、医療について全てを知る権利を有する、ということなんですよ。知りたけりゃ、自助努力をかなり必要とするというのは普通なんでは。
医療機関は、値段を決められないわけですよ。保険診療の価格は、公定価格だから。製薬会社もそうですけど、薬の値段は勝手に決められるわけですよ。コストの中身には無関係に、決められるわけ。会社であれば、人件費とか製造コストなんかを上乗せして、更に利益も見込んで、「価格を決めている」でしょう?だけど、こういう保険者とか、患者といった立場の人たちは、「お前らの作る車は100万円で提供しろ、嫌なら商売させないぞ」みたいなことを言うわけです。
で、権利だけは米国なんかと同等で、払う費用は米国の半分で、ということで、医療サービスを享受しているんですよ。それは、医療従事者の奉仕によって行われている、ということですわな。
顧客(患者)本位、ということを追求したいなら、価格についても市場原理を原則としてもらう以外にはないと思いますけど。これが、冒頭で述べた「払いは共産主義~」ということなんです。弁護士の料金だって、タイムチャージなんですから。説明しろ、と求めるなら、その要求に見合うだけの料金を払った人が、その権利を有するのですよ、本来は。もの判りが悪いとか、納得できないと言い続けるとか、そういう人に1時間とか2時間とか長時間の説明を強いられてもタダなんて仕組みが、他の業界でもありますかね?
コストは利用者が払うんじゃないですかね、基本的には。
大体、日本の大企業株主は「役員報酬の明細書を見せてみろ」という要求を取締役会に要求すると、「それはできない」と拒まれているじゃないの(爆)。
ですよね?>経団連
株主は「黙って払わされている」じゃありませんか。情報開示せよ、と求められても、経団連は拒否しとるでしょうが。まず、健保組合の企業は全て、株主の求めに応じて公表すべきだろ、役員報酬の明細を。それをやってから、医療機関側に要求すべきだろう。それに、説明するだけなら、健保組合でできるでしょう。個別に対応するより、被保険者全体にきちんと説明したらいいじゃないの。
それともあれですか、会社は株主一人ひとりに、個別に会社の経営について説明をやってるか?社長出てこい、と言ったら、説明に応じているのか?オイ。健保組合の保険者をやっているような企業さんだから、株主第一主義ってことで、一人ひとりに納得いくまで、会社の経営方針とか、どうしてそんな損失を出したかとか、個別にトコトン説明を日々やっているということだね?それも担当医師と同様に、経営担当の人間が。
それをできたなら、患者に説明しろ、とか言ってくれよ。
当然、できるんだよね、健保組合連合会の保険者の企業ならば。
まさか、自分たちはできもしないし、やってもいないようなことを医療側にだけ求めるなんて、卑怯な真似はしないんだよね?(笑)
そうだな、例えば、適正価格をオレが決めてやるから、プリウスの明細を出してもらえ。個別の値段の一から十まで、全部出せ。そうしたら、このオレ様が「消費者(顧客)」という立場から、代表して価格を決めてやる。それ以外は一切認めないからな。
健保組合連合会の人たちは、全員賛成するよね?