いい国作ろう!「怒りのぶろぐ」

オール人力狙撃システム試作機

拘束邦人4名の一部釈放

2010年09月30日 14時07分48秒 | 外交問題
これは、当然の対応。
特別なことがなかったとしても、ほぼ予想される結果である。

はっきり言って、拘束されたことにビビりすぎ。
こんな軽微な違反とやらで死刑宣告され、本当に死刑にされた場合、どのような反応が起こると思うか?

国際社会での中国批判は厳しいものになるだろう。
中国がそんなリスクを冒してまで、日本人を死刑にするメリットなどない。
あまりにバランスを欠いた比較でしかない。

たとえ日本人を死刑にして溜飲を下げるとか、よく知らんけど反日感情を満たすことができたとして、それと引き換えになる不利益はあまりに膨大だ。


どうしてかといえば、”北朝鮮ですら”解放しているから、だろ。
不法入国や違法な取材等で米人が拘束されて、北朝鮮国内法では完全に有罪であっても、無傷で釈放されたではないか。元大統領のクリントンが迎えに行ったりしたじゃないの。

それなのに、中国が日本人を死刑になんてしようものなら、ただでは済まんでしょうが。


なので、拘束に怯え過ぎる日本政府筋?はバカなのかな、と思わないでもない。


今回の3名解放についてだが、これもほぼ推測できたこと。
見当はずれな解説としか思えないのが、これだ。

邦人3人解放 反中感情の高まりに配慮 1人残したのは中国批判封じ狙いか (産経新聞) - Yahoo!ニュース

この中で、

『今回、1人を残したことについては「4人を一緒に解放すれば、日本で記者会見を開き、中国のやりかたを批判する可能性もある。そうさせないためではないか」と分析する声もある。』

とあるが、アホだな、と思う。

中国側は3名解放だろうと4名解放だろうと、記者会見とかは予想されるのは一緒だし、中国が批判される可能性は当然だと考えているだろう。そんなのは、3名でも4名でも一緒だ。
中国側としては、法的手続きに特別異常とか重大な問題がない限りは、いくら批判されても痛くも痒くもない。手続き上の重大な瑕疵でもない限りは、全く問題ない。

日本でだって、犯人と間違えられて留置場に何日もぶち込まれてることだってあるだろう?
釈放で無罪放免となったって、それはあり得る、という話に過ぎない。日本国内であることが、中国であったって、それは不思議でもなけりゃ、特別に責められる筋合いのものでもないだろう。こんなのちょっと考えれば、すぐに思い浮かぶだろうよ。


批判封じ、とかなんて、違うだろ。
1名残したのは、中国漁船の船長も同じく「1名だけ残されたから」だろ。

事件発生が7日、船員解放で帰国が13日だったか14日だろ。
つまり、1週間程度ってことさ。
だから、3名も同じように22~23日頃拘束、29日だか30日に解放、ってほぼ同じタイミングでしょうが。

そうすると、最後の1名が戻されるのは、船長と同じようなタイミング―24日釈放だったから、やはり同じような進行ということを考えれば、10月9日前後、ということになるだろう。そして、もしこの日よりも以前に解放された場合には、日本への「政治的配慮」をしました、というメッセージ、ということだろ。

日本のボンクラ民主党政権とおバカ外務省なんかの実例(船長の逮捕、勾留というのと同じようにやって見せてくれている、ということさ)と比べて、日本への特別の取り計らいをしましたよ、ということなら、それより先に解放されるであろう、ということだ。恐らく、今の雰囲気でいけばその可能性は高いだろう。
だが、前原外相みたいに、後先考えず、おのれの目立ちたいだけというような(強硬な)態度がありありと見えるような場合であると、先延ばしされることだってあり得る、ということになるわな。

そのような場合には、クリントンが迎えにいった時のように、それなりの要人を迎えに差し向けて、最悪の場合、解放には一定の条件を付けるということだってあり得る、ということになる。


つまり、そういう「カード」を中国側は手元に残したのだ、ということさ。
選択権は、中国側にある、ということだろ。

ただ単純に「記者会見での中国批判を防ぎたい」とかいう、マヌケな考えとは違うんじゃないか?



米国に絶対服従の菅政権が選ぶ道

2010年09月30日 13時30分04秒 | 外交問題
だから、言ったろ。
気付けよ、愚か者どもが。

はてなブックマーク - イラン油田から日本撤退へ、米要求受け入れ : 経済ニュース : マネー・経済 : YOMIURI ONLINE(読売新聞)


こうなると、民主党って本物のアホ揃いだな、ってことがよく分かるわな。日本のマスコミだって、狂ったように「言いなりになれ」と要求し煽動工作を仕掛けてくるような国だから、どうしようもないんですわ。
政治家や官僚がどう、という問題だけではないんだわ。


何でもかんでも、米国の言いなりになる、ってことしか考えられないのだそうです。
今の日本の政権も、外務省の犬どもも、本当に日本のことを考えているのか疑問である。国益なんてものは、ただのウソっぱちである。

本気で日本を破壊に追い込もうとしているのが、今の民主党だ。
その愚かさに従米派の犬どもが便乗して、日本を売り渡すわけである。おのれの利益の為には、日本という国を売ってもよい、というのが奴らの発想である。


どうしようもないわ。

特定企業が規定に引っ掛かってしまうというなら、こういう時こそ「政府系」の出番ではないのか。
公益法人でも何でもいいから、出資団体を作って、そこに権益を移管すればいいだろ。売却するなり、何なりでもして、INPEXから買い取って権益を残すとか考えればいいんじゃないのか。

外資系金融機関との取引をしなくても済む特定団体なら、別に困ることもないはずだし。
外貨決済が必要とかなら、JBICの役割の移管先(日本政策金融公庫)が代わって決済するなり何なりを考えて、日本のメガバンクに頼めばいいだけなんじゃないのか。取引先を経由するのがそんなに大問題とも思わないけど。

一体、何の為の政府系なんだよ。
こういう時こそ、ペーパーカンパニーでも何でも「入れ物」を作って、そっちに移せばいいんじゃないの?


財務省も経産省も外務省も、何でボケっと見ているのだよ。
お前らには、官僚の気概というものがないのか?
総理秘書官を出してるのはダテか?

この国は、本当に終わりが見えてるのかもね。
何から何まで、劣化が及んでいるわ。
どうして考えるってことをしないんだ。


あまりに残念無念である。




新たな貸金ビジネス

2010年09月30日 12時15分06秒 | 社会全般
総量規制の始まった消費者金融業界ですが、これに伴って新手(というか以前からあったものだろう)の金貸しビジネスが広がっているようである。

そもそも、どうして東京都公安委員会のHPを見たのかというと、古物商の登録を確認する為であった。きっかけは、1枚のFAXだった。
非常に腹立たしいのだが、無用なFAXがあちこちから送りつけられてくるわけである。用紙が無駄になる上に、もっと困るのは印字の為のカートリッジがやたらと消費されるのである。こういう嫌がらせのようなFAXを送りつけるのを防ぐ方法はないものなのだろうか。これはまあいい。


話を戻すけれども、その送られてきたFAXというのは、「金を借りませんか」というようなものだった。どうしてウチみたいな一度も借りたことのない人に送られてくるのか不思議なのだが、電話帳等に載せてると一斉に送信とかしてくるものなんだろうか。

そのFAXの文面から判断すると、クレジットカードの換金ビジネスであろうと思われた。即日入金、書類不要、信用情報も汚れない、ということで、いかにも困窮者を餌にビジネスをやっているという感じではある。

電話して確認したわけではないけれども、まずクレジットカードで目一杯の金券類購入をするのであろう。
①換金しやすそうな商品券やその他金券等を限度額付近まで購入させる
②それら金券類を業者に有利な割引率で買取
③更に一定の手数料を割り引いて現金を振り込む

ということではないかな。所謂手数料ビジネスってやつだ。これだと、支払いはカード会社にするのだから、この業者に回収コストは必要ないし、その後に払えなくなろうと破産しようとリスクはないから、問題なし。現金を振り込んだ時点で、この業者の利益は確定する。何てうまいビジネスなんだ。

実際の手口を想定してみよう。
あるクレジットカードがあって、限度額はショッピング枠が100万円あるとする。現状残高が10万円として、残りは90万円だ。
・89万4千円で商品券を購入
・894000円分の商品券の買取価格を93%の831420円とする
(たとえば普通の金券ショップでは849300円なのに)
・この831420円の97.5%を振込額とする
・すると、810634円が借り手が得られた金、となる

ポイントは、商品券の買取価格を予め相場より低く設定しておき、実際の金券ショップに売却した時のサヤを残すこと、買取価格からの返金率で更に手数料を引いておくこと、ということになるかな。
上の例だと、17880円がまず業者に入り(金券買取差額の2%分)、手数料分として2.5%という謳い文句で20876円が入ることになる。
合計で38756円が業者の取り分となり、借り手は894000円分のショッピング枠の返済をするということになる。勿論利息は別だ。となると、借り手側は、最初から83366円ものマイナスを背負いつつ、ショッピング枠の返済分利息は894000分を払うことになるので、かなり大幅なマイナスを背負わされるということになるわけである。

こんなのを利用する人は、わざわざ金を出して苦難を購入するようなものとしか思われないのだけれど、本当に金に困れば藁をもすがる気になってしまって、まんまと引っ掛かるということなのかもしれない。まあ、ボロい商売ではある。


で、この業者というのは「東京都公安委員会許可」というのを謳っており、それが金券や商品買取とかの「古物商」ということなのかな、と思ったわけである。それで、古物商の登録があるのかな、と思って調べたら、会社の名前は載ってなかったということであった。
その過程で公安委員会HPを見たら、文字が異常な表示となっていて、見た事もないような表記の漢字列になっていたのだ。それを先日書いたものである。


世の中、様々なことが勉強材料になるなと実感した次第、ということでございます。



米中連携ということ~4・尖閣事件再考

2010年09月29日 12時33分37秒 | 外交問題
詳しく見たわけではないので正確には分からないが、今回の一件で軍閥の暴走といったような珍奇な解説があったようだ。また、これを機に「日米関係強化」というスローガンをやたらと有難がる連中が、まるで手先の如くに吹き上がっているのを見るにつけ、愚かというのは罪だなと感じた。
日本というのは、こうも簡単に操作されてしまうものなのだな、と落胆と共に危機感を覚えた。今回の政府対応が典型的な例であると思うが、基本的に知識層・エリート層の堕落と無知蒙昧が酷いレベルになっている、ということを示したものと思う。


こういう言辞がいとも簡単に通用してしまう、ということである。

はてなブックマーク - 中国政府がおかしい: 切込隊長BLOG(ブログ) Lead‐off man's Blog


中国の対応が徐々にエスカレートしていったのは、軍閥の暴走だの何だのといったことのようには見えない。ただ単に、「中国の利益」というものを考えればそうなるだろう、ということだけで十分である。自国の利益になるから、という理由があるだけで実行に踏み切れる、ということだ。
更には、日本政府の対応がお粗末過ぎたということが影響しており、もっと優秀で勘の良い人間がやっていれば、ここまでの事態には至らずに収束していた可能性は高いであろう。

当初は抗議とガス田交渉延期申し入れという、比較的軽微な反応であった。この時点くらいで落とし所を探っておけば、ここまで大袈裟になることもなかったはずである。
しかし、日本側の対応が鈍い上に、マスコミの論調なども「中国は失礼だ」といったものばかりで、「解決に向けた動き」というものを一切見せなかったことが、中国側の硬化を更に招くことになったであろう。

例えば、菅総理の訪米では日米会談のセッティングにだけ集中しており、代表戦後の菅総理が中国側首脳と会いたい、という申し入れすら全くしていなかったであろうから、余計に厳しい反応を招くということになるであろう。
そうした外務省の対応についての観測(日本国内報道)が流れて以降、観光客の大規模キャンセル、SMAP公演中止、という具合に、中国側は政府間のやりとりに留まらず、広範な分野での「拒絶のメッセージ」を送り続けてきたわけである。このような搦め手戦術の是非については、異論は多くあろうけれども(決して褒められたものではない)、日本側は無視し続けたわけであるから、更なる措置を招いたというのが中国側の言い分であろう。


中国は米中会談を控えていて、それなりの成果を示そうとしていたはずである。その一部が、こうした日中間の「緊張」というものであった。米国は、これに便乗してもよい、或いは「この程度まではやるだろう」という暗黙の了承の下にあった可能性すらある。米国の反応は後述するとして、再び中国の強硬な措置に話を戻そう。

分岐点となったのは、19日の勾留延長だった。
報復措置として、上海万博訪問団の一方的拒否、政府の省や部の交流・遣り取り停止、21日にはニューヨーク入りした温家宝首相の「無条件釈放要求、起こることは日本側が責任を負う」という強い声明が遂に出されることとなったわけである。中国側首脳の直接的表現となったのは、この温発言が初めてであり、少なくともそれ以前には国際社会に向かっての強烈なメッセージというものは出されていなかったわけである。

これ以後は、取られる手段がより強硬となった。
まず4名の邦人拘束、翌日にはレアアースの輸出停止が報じられた。


そして、温・オバマ会談、前原・クリントン会談、菅・オバマ会談となった。
日本での釈放は、これらの流れの中で実施された。特に、前原・クリントン会談で米国側からの「早期解決」を暗に求められていたものと思われる。

菅総理とオバマ大統領の会談では、尖閣問題に触れることすらなかったからだ。
前原大臣は、日米安保の適用を確認した、と報じられたので、尖閣問題について話す機会を持っていた。で、翌日に釈放となったわけである。

中国はこのタイミングというものを予め知っていたか、読んでいたのではないか。つまり中国側がかなり強硬な手段に出たとしても、米国側から「早期に解決を目指せ」と求められれば、日本が「釈放に応じるだろう」ということを予期するのはそう難しいことではない、ということである。つまるところ、「日本はアメリカの言うことを聞くはずだ」ということを織り込んでいた、ということである。中国にとっての利益とは、これだ。
間接的に「日本がアメリカのいうことを聞く」というのを達成できれば、それは米国への利益提供なのであり、そこは米中間での損得勘定、ということなのだから。



では、米国にとっての、今回の一件はどうなるだろうか。
日本の愚かな連中にしてみると、「日米同盟の重要さが確認された」とかいうお得意のスローガンを言うに違いない。それは、アメリカにとっての成果、ということになるだろう。

傍観者を決め込んでいた米国にとっての利益とは、まさしくこのような日本国内の反応・雰囲気を作り出すことである。だからこそ、米国が日本に突きつけた要求とは、先日も書いた(米中連携ということ~3)が「金よこせ」というものなのだ。

18日に思いやり予算の増額要求が報じられた。その大義名分とは、「対中抑止・対中戦略経費」といったものだ。つまり、「今のように尖閣で暴れる中国」を相手にするのだから、もっと金出せ、ということである。米国にとっては、中国が暴れれば利益となるのである。だからこそ、米中は今回の一件で呼吸を合わせていたと見ることができる、ということだ。


キャンベル次官補は、釈放が報じられた後で「釈放してよかった」と述べた。更に、菅総理や前原外相を持ち上げる、クサイ外交辞令を述べた。2人の指導力や政治的決断を褒め称えたのである。これは、どう見ても怪しいわけである(笑)。

ベーダー上級部長は、オバマ大統領と温首相の会談で尖閣の話を一切しなかった、と述べた。

米国務長官:尖閣問題で日中に「対話」促す、米は中立表明(Update1) - Bloomberg.co.jp

オバマ大統領は、菅総理との会談時にも尖閣問題はおろか、中国には一切触れなかった。普通であれば、人民元問題について協調して取り組みましょう、とか、中国軍事力に共同で対処しましょう、とか、定型的な話を取り上げてもよさそうではあるのに、全く触れなかったということだ。

その上、日本の愚かな連中は「尖閣が安保の対象という言質を得た」と大喜びで語っているけれども、PJは「尖閣諸島の”主権”に関してはいかなる立場もとらない」と明言しているわけである。この意味を考えることができないのだろうね、犬どもは。
「主権が日本にある」とは言ってない、ということなのだよ。

それを、米国は尖閣を守ってくれる、とか信じているなら、なんてお目出度い連中なんだ、とは思うね。ここまで来ると、本物のアホかな、と思う。
本当にアメリカが日本のことを大事に思っているのなら、中国に警告の一つも言うはずだ。自分の彼女が悪者に絡まれたら、「オレの女に手を出すな、どうなるかわかってるのか」くらいのガンを飛ばすくらいできるだろ(笑)。そういうのがない、ってことだな。


ここ最近の海外メディアの論調が中国に批判的になったもんだから、米国政府も「(韓国や日本という)パートナーを支援します」という表現をしてくるようになっただけ。
少なくとも日米会談前までは、尖閣問題について完全中立・完全傍観者という立場を米国がとっていたわけで、これは客観的には「中国寄り」ということを意味しているわけである。



結局、米国は外交的利益を獲得した、とみなすことができる。

日本には、思いやり予算増額要求、普天間は返さない(かグアム移転費大幅増額を示唆=棚上げ)、日米同盟の効果を強調、などである。

中国との間では、ゲーツ訪中を中国側から招請、停止していた軍事交流再開、人民元問題に触れるが目立たず、胡錦涛国家主席の訪米調整、などだ。


従って、日米中での関係で見れば、日本一人負け、である。


中国は、「日本が低姿勢なら、応じる用意はあるよ」ということで、頭を下げてくれば元に戻してやってもいい、というようなものだ。時間が経てば、さほど傷はつかない。

04年のASEMでも中国側が拒否とかあったし、原潜の侵犯事件とか反日デモなんかが05年にかけてあったけれど、一時的にデメリットはあったがその後の中国の商売ができなくなったりはしなかった。もしそういうリスクをもっと評価していたりするなら、05年以降の中国の経済活動はもっと停滞していてもよかったはずだ。



要するに、尖閣についての米国の言質を取れた、なんて、今更何言ってんの、と。日米同盟の価値云々なんてのも、勘違いとしか思われず。中国の脅威についてとか、05年以降からずっと言われてきたことで、欧米諸国の一時的措置などは幾度かあったし。


日本は外交の資質に欠けている。
外務省がバカなのは、理由があるんだろう。彼らだけの責任でもない、ということかな。



舞台の内幕は伏せておけって

2010年09月27日 21時32分29秒 | 政治って?
この期に及んで、まだ失点を重ねるつもりかよ。
アホちゃうか。

こんなの、公表せんでもよろしい。
手の内がバレるじゃないの。


日中関係の状況聴取=釈放決定前、外務省担当者から―那覇地検 (時事通信) - Yahoo!ニュース

(以下に引用)

民主党は27日午後、尖閣諸島沖の中国漁船衝突事件に関する合同部門会議を開き、政府側から経緯の説明を受けた。法務省の説明によると、公務執行妨害の疑いで逮捕された中国人船長の釈放が決まった前日の23日、那覇地検が外務省担当者から日中関係について聴取していたことが分かった。
 部門会議には政府側から小川敏夫法務副大臣、松本剛明外務副大臣らが出席。席上、長島昭久前防衛政務官が、同地検の釈放理由で「今後の日中関係も考慮した」と説明したことに関し、「判断材料を持っていたのか」と質問すると、法務省側は「23日に地検が外務省から国際状況のヒアリングをした。一般的な日中関係、今後の日中関係について話を聞いた」と答えた。外務省担当者がどう説明したか詳細は不明だが、地検は、船長の扱いが日中関係に与える影響などを調べたとみられる。
 一方、27日開かれた自民党の合同部会で、外務省の石兼公博アジア大洋州局参事官は「外務省が検察の要請を受け、首相官邸と協議し、職員を那覇地検に派遣した。釈放に当たっての協議ではない」と説明した。

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どんだけマヌケだったかを今から調べてどうすんだよ、ハゲ。
そういうのは内輪でやって、公表しない方がマシだろ。

なんでもかんでも、見えるようにすればいいというものではあるまいに。
経緯の中には、言わない方がいいことだって多く含まれるわけで、そういうのを晒すと今後に支障を来す虞があるよ。

マジックだって、ネタを全部バラしたら、次から通用しなくなっちゃうじゃないの。
頭を使えよ、頭を。



為替相場と「白川総裁終了」説というデマ

2010年09月25日 18時39分41秒 | 経済関連
船長保釈報道の騒ぎの陰で、微妙に面白かった話題がこれだ。


丁度、釈放報道が出たあたりの14時過ぎから、ドル円相場はかなり急激に円安方向に動いた。


きっかけは正確には分かっていなかったようである。

で、マーケット関係者たちの間では、実しやかに「すわ、為替介入だ」という噂が広まったのであろう、きっと。

だが、こんなタイミングで本当に仕掛けてきたのかな?
今の菅政権のマヌケ具合からみて、そんな一時的な仕掛けなんてするとは思えなかったのだけれど。

で、報道では「介入が行われた」といった観測が流されたわけだ。


しかし、どうも「為替介入した割には、ヘンだな」という感触があったらしく、今度は「日銀が何かの重大発表でもあるらしい」とか、そういう噂話が流れていったのではないだろうか。

そうすると、日銀が重大発表って何だろ、ということになって、「ひょっとして白川総裁が辞めるとか??」みたいな、最初は冗談で語られたような勝手な憶測とかが噂になってしまい、尾ひれ背びれがついて「白川総裁が辞任なんだって、やっぱ、日銀への緩和圧力が強まって嫌になってきたのかもね、政治的圧力に屈したくないっていう根性を見せたかったのかもね」とか、妙に説得力を強化したような噂にまで発展したのでは。


で、日銀が「白川総裁辞任なんていう説はありません、ウソです、それは単なるデマです」みたいに全力否定。笑えるな。


ドル円相場の急激な変動は、船長保釈という意表の発表を受けて、何かと勘違いした人たちとかが慌てて売買を実行したとか、そういうことでは?


少なくとも、白川総裁辞任説というのは否定されたわけで、そんなことが理由で円安に動くとすれば、それはそれで笑えるわけである。
政府介入の説も、かなり怪しいんじゃないですかね?

ま、謎の14~15時くらいの値動きではありましたな。


それにしても、総裁辞任説を思いついた人は、中々凄いな。

こんな噂話に翻弄されてしまうマーケットってのも、悲しいやら笑えるやら。
どこかの誰かが、泡を食ったのでしょうな、きっと。



尖閣沖衝突事件での対応を考える

2010年09月25日 13時31分57秒 | 外交問題
日本政府の間抜けぶりだけが際立つ結果となってしまった今回の事件であるが、あまりに稚拙な菅政権の対応は日本の信用を大きく損ねた。愚かとしか言いようがない。

まず、いくつかの論点について、個別に述べたい。

・「日米同盟がもっとしっかりしていれば」という言い分

今回の一件にかこつけて、必ず日米関係が云々、ということを言い出す人がいる。確かに、そういう一面はあるかもしれない。たが、それは腕っ節の強い番長頼み、というのと一緒の心性ではないかとしか思えないわけである。

ジャパン君が隣のクラスのチャイナ君に小突かれて、胸倉掴まれオラオラといたぶられました。すると、ジャパン君はすかさず腕力に自信のある番長のアメリカ君に泣きついて、助けを請いました。「何とかしてください」と。
日米同盟云々を言う人が求めている姿がこれだ。日米関係が良好であれば、というのも、番長のパシリに勤しんでジャパン君に番長が目をかけているよ、というのが、傍目で見ても誰の目にも明らかというような状態を求めているわけである。自分では解決できる意志も能力もない、ということを肯定するということだ。

永久に番長の後ろに隠れて、「やーい、やーい」とはやし立てる、虎の威を借りる狐みたいな真似しか能のない人間でいたい、ということなのかもしれんな。


・尖閣諸島が日米安保の適用である、と言ってもらえた

今回のクリントン国務長官の発言が、まるで前原外相が獲得した言質であるかのように喜んでいる人たちがいるかもしれない。それは大きな勘違いであろう。
前原大臣が類稀な外交能力を発揮し、かねてより親米路線で築き上げた信頼関係があって、外交努力の成果として「尖閣諸島は対象です」と米国政府に言ってもらえたわけではない。

こんなのは、もっと以前から適用となるという合衆国政府の公式見解を得ているわけで、麻生政権下での国会答弁や09年3月の米国公式見解で既に明らかであった。よって、別に前原大臣が何かをしたわけじゃないし、中国漁船衝突事件があったから言ってもらえたわけでもない。


では、今回の対応として、どのようにするのが望ましかったのか。
個人的な考えに過ぎないけれども、一応書いておく。

当方が記事を書いたのが13日時点。
存在感を誇示する中国~尖閣沖衝突事件で異例抗議の謎


7日の事件発生から既に6日経過していたので、引き際を探るのは当然であったろう。ところが日本の外務省は、鈍感ゆえの動きの遅さ。
こんなの素人でも分かりそうなのに、いくら警告を送ったって無駄なのさ。まあ、拙ブログのような場末の人間の言うことなど、耳を貸すはずもないだろうけれども(笑)。


で、最大の失敗は勾留延長だった。

外務省や官邸は全く注意を向けていなかった。ボンクラ外務省とか菅総理とか前原大臣は、「外交デビュー(笑)」のことで頭がいっぱいになっており、同時に複数の処理を進めることが困難だったのだろう。

外務官僚とかでも気の利く人間がいて、しっかり進言するとか、代りに処理を進める算段を組んで内を預かる官房長官とかにやってもらうとか、いくらでも考えようがあったはずなのに、そういうのも全くできていないのだな。あるのは、「どうしたらいいのか判らない、とりあえず先送り」みたいなヌルい姿勢だけである。


外交上の判断を気にするなら、略式起訴で罰金刑といった迅速処理も可能であったはずだ。日本側の面子も傷がつかないし、中国側の言い分であるところの「船長を早く戻してくれ」ということも実現できうる道があったかもしれない。
そういう手立てや算段を考えてやるのが官僚ではないかと思うのだが、そういうのがまるでないのだな、この国では。
酷い堕落だ。ここまで酷いのはどうしてだ?
(ご主人さまにどうすれば気に入られるかという、ゴマすり人間だけが出世してきたからなのかな。特定の誰かに寵愛を受けられるように競うことならできるけれど、独力で処理することを考えるとかができない人間揃いなのかもね。)


あまりに酷い予定変更である。
杜撰としか言いようがない。
検察に起訴させるところまでやる、という方針を立てていたのであれば、それを実行すればいいものを、いよいよになってから急激に腰砕け。だったら、最初から頑張って勾留延長なんかせずに、さっさと釈放しとけ、ってことになるわな。

正真正銘のドたわけ。

しかも、最大の失敗は検察発表を組ませて、それを全くのチェックもせずに、おバカ発言をさせたことだ。官邸も外務省も、本物の役立たずだ、ってことは証明されたでしょう。


中国側主張や圧力の数々は、国際社会では認め難いものばかりであり、到底支持を得られるものではないはずだった。なのに日本は、まるでトランプタワーが崩れるかの如くに、ガラガラと崩壊し、国家としての体面を失ったわけである。


政治家だけじゃなく、日本の支配層に売国の犬たちが浸透してきた結果なのだ。この国には、「自立」という言葉はもう存在していないのである。
いつでもdependentという、真の愚か者の国になってしまっているのである。



処分保留で釈放なんて~尖閣沖事件

2010年09月24日 16時35分55秒 | 外交問題
菅政権は本物のマヌケだな。
外務省のボンクラどもも、真の役立たずってことか。


こんなに簡単に釈放してしまうと、海外から見ればただ単純に「中国の圧力に屈した」としか映らないわけで、もし不起訴とかで釈放するにしても、きちんと声明なり何なりを出し、所有する映像も全世界に公表した上で、「我が国領海での事件だったので、当局が国内法に基づいて厳正に判断した」とか言わないと、どうしようもないだろ、たわけが。


那覇地検のコメントが、

「日中関係に配慮した」

って、本物のバカだろ。

仮に、配慮が政治・外交上であったにせよ、決して口に出してはならんだろ。
なんで、こんな地検単独のコメントを出させたんだよ、仙谷と周辺の官邸は全くのアホ揃いだなってことが、改めて判明したというだけ。


政治的決着じゃない、あくまで当局(検察)の判断だ、ということを建前としなければ、ただの脅しと恫喝外交の前に屈したってことにしかならんだろが、この頓馬!

ダメだ、この国の劣化は、本当に酷い。


民主党も、菅政権も、前原大臣以下外務省も、仙谷官房長官以下官邸筋も、イカレぽんちしかいないのか。




だめだ、本当に、この政権はおかしいぞ。

軽すぎる。
あまりに軽い。
だから舐められるってことが分かってないようだな。
鳩山だけがルーピーなんじゃないんだわ。
民主党政権という、壮大なルーピー集団なのかもしれんね。

海外メディアの書いてた「簡単に釈放させる方法」、みたいなもんだ。
そうしたら、マジで簡単に釈放してしまったんだと。

政府の連中はバカ揃いなのか?
何をやってんの?
外務省は寝てるだけか?


追記:

日本のおバカ外務省をあざ笑うかのように、向こうの勝利宣言が出されたそうですぜ。

船長に対する日本の法的措置は「違法で無効」=中国外務省 (ロイター) - Yahoo!ニュース


アホだな。
一方的に日本だけ、おバカ。

本物のドあほうって、こんなの見たことない。
ホント、酷いわ。
外務省は、前原以下、解体的出直しが必要だな。

ゴミを一掃せよ。



米中連携ということ~3

2010年09月23日 17時45分39秒 | 外交問題
ここに至っては、赤子同然の菅政権では、問題に対処する能力が低いであろう、という判断があると思う。いや、民主党政権全体の能力に問題がある、ということだろう。前鳩山総理時代の日米共同宣言で、それがよく判ったはずだ。


ここまで中国は事態をうまく利用しようとしていることは見てとれるわけである。だが、逆にやりすぎた、ということでもある。過剰演出なのだ。あまりに賭け金を釣り上げてしまうと、引っ込みがつかなくなるだろう。いずれそのブラフ戦術は破綻を来たす。

これと似た事態は、今年目にしたであろう?
そうだ、韓国と米国の無様な姿のことである。
韓国哨戒艦沈没事件に端を発した北朝鮮への非難は、悉く失敗に終わった。G8サミット、安保理、ARFと舞台を変えて、失敗が明白になってしまった、ということである。韓国は国内政治にも混乱を来たし、外相は引きずり降ろされた(外見上は外相(長女)の「縁故採用問題」ということだったが、あまりに電撃的な辞任で幕切れとなった。長女の契約社員歴は08年以降からあったのであり、それは外相に就任する前からのもので、そうした勤務経験からすると特別に疑問というほどでもなかったのではないか。むしろ2+2後に失敗引責で切られたと見ることができる。米韓外交の失敗、これの責任を問われた可能性がある。)。

参考までに、過日韓国が中国漁船を拿捕した、という事件があったが、これはもし日本の外務省が頼んでやってもらったのなら、まずまずの手ではあった。日本の尖閣沖事件の少し後であったことから、韓国の同調というメッセージにはなったであろうから、ということがある。韓国にとっては、哨戒艦事件以降の中国に対しては「面白くない」ということであったので、拿捕には一定の意味があった。


話を戻そう。
あまりに賭け金を張り続けると、手痛いしっぺ返しを覚悟する必要があるだろう。
過ぎたるは猶及ばざるが如し、である。
今の中国は、既に「やり過ぎ」に足を踏み込んでいるだろう。


で、当方の推測通りに、ゲーツ招請ということが報じられた(中国:温首相がゲーツ米国防長官の訪中招請 - 毎日jp(毎日新聞))わけである。


言った通りだったでしょう?

存在感を誇示する中国~尖閣沖衝突事件で異例抗議の謎

この中で次のように書いた。
『双方にとって突っ慳貪な対応の夏を過ごしたが、この修復を考えたいというのが根底にあるだろう。6月にゲーツ訪中を断って以降、南シナ海を巡る発言や演習、黄海での演習など、米国の海の権益を守ろうとする動きが中国との衝突を生んできた。その修復を図りたい、という姿勢が最近の中国側からは窺える、ということである。例えば、ゲーツの年内訪中の可能性を探る、というのがその一例である。』


従って中国としては、対米関係を改善し、対日強硬姿勢をとりつつ日本を出し抜きたい、ということであろう。それは、商売などの上でも、ということである。勿論為替も含まれる。

この中国の態度に歩調を合わせるが如く、米国からも要求が出された。
要は、「金よこせ」というものである。
思いやり予算、普天間移転の大幅遅延、等々で、日本はもっと金を出せ、と。そのような要求を飲ませるのには、「中国様」の脅しを使うのが効果的、という前鳩山政権時代にも使った手口を再び用いたということ。


米中連携ということ~2


Obama\\\'s 10 Days ~鳩山政権の逸機

特にこの記事中の記述を再掲しておく。

『中国側の対応としては、たとえばイラン制裁問題への協力、貿易統計で貿易赤字計上、人民元は緩徐な切り上げ同意、沖縄近海の艦隊通過、などである。常識的には、イランの核問題と人民元が焦点となろうが、最後の艦隊通過というのは、中国側の意図とメリットというものが殆どない中で行われており、そういう点でも潜水艦の浮上航行というのが何を意味するか、という点では注目に値する行動だった。
その「何故」こそが、米中連携という視点からみれば、明瞭なメッセージが窺われるわけである。米国にとっての沖縄(基地)、これを正当化するのに最大限の効果を持たせるのが、「中国海軍(艦隊)の脅威」だからである。』



昨日あたりに、改めてオバマ大統領が「人民元問題」に言及したのは、日本が為替介入を実施してしまったからさ。このタイミングでなら、中国の為替操作というのは目立たないから、ということ。日本の為替介入のお陰で、中国の罪が少し軽くなった、というようなものだ。ここのお供えを盗み食いしたのは誰だ、という時、「チャイナ君が犯人です」というだけだとチャイナ君に非難轟々となって風当たりが強いものだが、「ジャパン君もやったみたいです」ということなら風当たりが弱まろうというものだからだ。

こうして中国への非難を匂わせておけば、米中連携の隠れ蓑にできる、ということがあるわけである。双方にとって必要な相手、という認識が米中間では出来上がっているものと思われる。

なので、加州の鉄道事業入札なんかにしても、地元にしてみれば中国系や韓国系が多いのだから、その両者のいずれかの企業になってもらうのが必然ということになるので、新幹線なんかに需要はない上に勝ち目も当然ないわけだよ。だから、米国側としては中国企業か韓国企業に「資金」と名乗りを上げてもらいたい、ということである。


そういうわけで、日本はどちらからも利用されて、いいようにあしらわれるだけ、ということに気付くべきなのだ。それなのに、菅政権ときたら、従米姿勢をとことん貫きたい、ということらしい。
今年5月の日米合意なんて有名無実であり、米国防総省が移転計画は「まあ無理だな、のんびり時間をじっくりかけてやる」という、ヤクザ並みの”居座りゴネ得大作戦”展開中なのに、菅総理はバカみたいに「アメリカの言うことを聞きます」と宣言するしか能がない。その上、明け渡しもしないのに、もっと金出せ、とせびられる始末。愚かとしか言いようがない。


こうやって、米中にいいように搾取される日本、ということになっているわけである。まさしく、愚か。
しかも、そういうのを応援する売国の親米派やマスコミ連中なんかが、日本ではなく相手側を全力で支援するときているから、救いようのない本物の愚かな国なのである。



輸出企業の呪い

2010年09月23日 13時16分42秒 | 経済関連
90年代後半の日本では、大きな変革が訪れた。
それは、日本の経済を支えてきたと自負する、輸出企業の苦境であった。主に電機、自動車などの世界に名の知られた企業群は、円高に苦しむばかりではなく、過去の投資負担や海外勢との競争で窮地に立たされていったのだ。そこで、大規模なリストラの実施、資産売却、系列解体、等々が実行されていったのである。


輸出企業の対GDP比のウェイトは年々低下していたし、輸出総額の比率そのものも低下していたので、本来的には日本経済を壊滅させるほどの影響があったとは思われなかった。しかし、当時の風潮というものが、影響力を大きくしていったものと思う。そもそも、80年代以降、東南アジアを中心に海外展開を着実に進めてきていた(*)こと、国内工場の整理と人件費の安い海外へと生産拠点を移していっていたこと、そういったことも相まって、GDP比の輸出比率が低下するのは当然であった。にもかかわらず、「日本を代表する企業」という自負が、日本国内での影響力を強めていたものと思う。

(*):多分、この対応は間違っていなかったであろう、と思う。戦争の爪痕、という贖罪的な思いというものが、かつての日本人の中に根強く残っていたことも影響していたかもしれない。ODAなんかも役立っていたことはあるかもしれない。色んな理由はあるだろうけど、アジア地域に投資をしていったことが、まさに今花開いてきたのではないかと思える。過去の投資が、産業育成・購買力となって返ってきたのではないか、ということである。


経済界のお偉いさんたちの中で、輸出の多い製造業の影響力がそれなりに大きかった、ということがあるだろう。特に自動車や電機といった業界の発言力は、日本では強かった、ということである。
彼らは、常に海外企業との競争に晒され、生産性向上や経費節減に血の滲むような努力を強いられているのに、国内勢の連中といえばロクに努力もせず弛んでいる、と思っており、それを強要したようなものだった。

例えば、バブル期に銀行、不動産、建設業界の連中がたんまりと積み上げた不良債権のせいで日本全体が大打撃を受けたとか、内需関連の企業群が製造業ほどのリストラをしていないとか、そういった怨嗟の念が内包されていたのではないか。よくある「公務員は民間ほどの努力をしていない(=だからもっとリストラや給与引き下げをせよ)」という非難とよく似たものではないだろうか。

結果的には、電機業界のリストラ策は台湾、韓国、香港、中国などの躍進を支える原動力の一部となったかもしれない。日本の技術や何かを含めて、「やり方」というものを持ってゆくことができた。これがその後の日本の電機業界のライバルたちとなって帰ってきたようなものである。

いずれにせよ、輸出の多い製造業を中心に、「国内の連中は努力が足りない、合理化不足だ、競争に晒されていない」というような声が強まったのではないか、ということである。これが間違いのもとだった、ということだ。


どうして良くなかったか、ということを考える前に、おなじみの喩え話で書いてみたいと思う。
簡単に言えば、勘違い亭主のようなもの、かな。
亭主は外に働きに出て、会社で出世競争(笑)とか成果主義の評価とかノルマ評価なんかで、厳しい競争に晒されているわけだ。そうすると、亭主は辛い、と思うわけである。ところが、専業主婦の家内ときたら、いつものんびり過ごしているように思えるから、ついつい文句を言ってしまう、と。
「お前は、競争に晒されず、努力もしてない、だからダメなんだ。オレがどれほど厳しい思いをしているか、判ってないんだ。お前も、もっと同じくらいに苦しめ」

確かに、亭主の稼ぎが増えたからといって、家内の生産性が向上しているとか激しい合理化の結果であるとか、そういうことではないだろう。夫の給料が増えるのは、妻の大幅な能力向上の成果なのか、と。亭主から見れば、妻は何か特別の努力をしているようにも思えないし、ヨソの女との厳しい競争に晒されているようにも見えない(笑)。浮気する男の場合には、競争が生じている、とも考えられなくはないかもしれないが。だけど、女同士で妻の座を争う、というのが一般的だと言うほどの競争があるとも思えない。

極端に言うと、亭主の給料が減ったのなら、妻にも何かの苦しみを味わってもらう、というようなことを亭主が言い出す、というようなことである。

日本を代表する輸出企業の多くは、それに類することを言ったんだ、ということである。これを日本全国で実施すると、どうなると思うか?全部の家庭で、夫が苦しいんだから妻も苦しめ、というのをやると、一体どうなると思うか?

全員が委縮していった、ということである。
それに伴って、経済も委縮した。消費も低迷した。
一部の拝金主義者たちや、海外コネクションでうまくやった人間たちだけが、うまみにありついていたかもしれないが、殆ど多くの日本人は委縮したのだ。デフレは強化され、世界経済の好調に支えられて輸出で儲けた大企業だけが恩恵を受けることができたのだ、ということである。その結果として、製造業のGDP比は上昇してきたが、世界経済の大幅な減速や円高によって苦境に陥っているわけである。


そもそも、製造業が苦しいんだから、他の内需産業も一緒に苦しめ、的な発想が根本的な間違いである。それは、医療や教育なんかがもっと苦しめ、みたいな発想そのものが、日本経済をこれほど強固な低迷をもたらしたのだ。輸出で苦しい大企業の連中に、足を引っ張り込まれたようなものだ、ということ。
亭主の給料が下がったのは、家内の能力のせいではない。家内が努力不足だったので、亭主の賃金が削られるわけじゃない、ってことだ。それでも、亭主のピンチを見た家内は、どうにか家庭内のやりくりをして節約に努めたわけだ。亭主(=輸出企業)は自分の能力には関係ないところで、たまたま会社の業績好調(=世界経済の成長)の恩恵を受けて、少し給料が上がったのに家内には「お前らは使うな」といって家庭内に金を入れてこなかった、ということさ。そうすると、使うお金が増えてるわけじゃないから、前の節約生活のまんまというのが続くだけなので、家庭内で努力した分だけデフレ圧力となってしまう、ということだな。


こういう亭主の恨み節が、日本の経済委縮を招いた一因ではないか、というのが、私の感想である。
日本には、自動車会社がこれほど残っているのだが、他にそんな国はない。トヨタ、ホンダ、日産、マツダ、スバル、スズキ、ダイハツ、…、「ものづくり」日本だからこそ残れた、という見方もあるかもしれない。だが、苦境に陥るたびに円高介入をやったり、特別な補助金を出したり、そういうことをやってきたけれども、無駄に延命させただけかもしれない。電機企業だってそうだ。昨今、よく言われるのが、サムスン1社にも及ばない、というのがあるが、これほど多く電機企業が存在しているのは何故なのだろうか?

こうした輸出系製造業の大企業を救う為に、多額の資金を投入し、補助金や税制なんかでも優遇したり、雇用政策なんかでも彼らの主張が通ってきたりしたかもしれないが、そういう結果が今なんじゃないのか。


亭主は、「オレがこんなに頑張って稼いだ金なんだから、オレのものだ、お前らには使わせないぜ」といって、自分の懐に金を入れたままにしたのさ。家内は亭主の両親の介護なんかで頑張っているけれど、亭主は認めないのだな。毎年歳をとってゆく亭主の両親には、だんだんと医療費や介護費がかかるようになってきているのに、亭主はそれでも金を渡そうとはせず、「お前らの効率化が足らんのだ」と言うわけだ。金を渡して使わせると、需要不足なんて解消されるのに。


普通の消費者から見れば、円高で輸入価格が低下すると原油等の値下がりの恩恵があるはずなので、その余裕分は他の何かに消費されてもよいわけである。そうすると、その恩恵を受ける企業というのが現れてくるからその企業の業績がよくなる。別に、日本の企業は輸出企業だけじゃないんだから、他の企業が良くなってくれれば、日本全体で見ればあまり変わらないとも言えるわけだ。
輸出企業の低迷が続くと、獲得外貨が減るから円買い資金は縮小するので、放っておくと(その他要因が変化がないなら)円安方向に行くに決まっているんだよ。そうすると、前の水準に戻ってゆくから、いずれ輸出企業にも好調な局面というのが訪れるであろう。


輸出系製造業の大企業は、日本経済への影響度というのが結構あるので、それの好不調というのが社会的にも大きかったのだけれども、今後はその割合を縮小させてゆくべき、ということになるだろう。「エースで4番」みたいな発想そのものが、間違いだった、ということ。
要するに、たった一人の選手の成績がチーム全体を大きく左右するということになれば、それは弱いチーム、ということだ。もっと層を厚くしなければならない。エースで勝てない時だってある、だからこそ、2番手、3番手の選手の能力を向上させておかねばならない、ということだ。4番打者が三振しても、他の誰かがヒットでつなぐよ、ということだっていいのだ。4番だからって、毎回毎回ホームランなわけないじゃん。
誰かはエースの称号を受けるし、誰かは4番に座るのだから、それが例えば自動車だとか電機だとかであったとしてもいいけど、それに頼る構造がダメなんだ、ということ。調子が悪いなら、4番を降りてもらうことだってあるよ、ということでしかないのだ。
例えば苦手な左投手が対戦相手の時だって、試合はせねばならんのだよ。左投手が苦手だからって、逃げていては戦えないんじゃないのか?「オレは4番を打ちたいから、苦手な左投手の時には相手のピッチャーを替えさせろ」とか言うつもりか?円高を介入によってどうにかしてもらう、というのは、そういうことなのだろ。


もっと根本的に、長期的な対応としてデフレをどうにかせねばならんのだよ。
為替レートは、短期的な投機とかは別として、貨幣供給のバランスによって成り立っているということであれば、日本国内の貨幣供給を増加させるよりないわけで、そちらをまず優先的に考えるべき。

即ち、「デフレ脱却」こそが、円高不安払拭への近道である、ということだ。



司法制度を根底から揺るがせた特捜検察

2010年09月22日 16時29分17秒 | 法関係
例の郵便不正事件後の処理に絡んで、主任検事が逮捕されたという事態に発展した。最高検が「ケジメ」を取るという形で、身内を切ったものと思われる。だが、それで信頼回復に繋がるか、というのは、甚だ疑問である。既に、検察の信頼は失われ地に堕ちてしまっているからである。

今年1月に警告したではないか。


続・今の「小沢まつり」について

「”反検察”というラベル」で誘導するかのような切込氏のポジションが気になる件

検察批判を封じ込めるマスコミの自己正当化

続・検察批判を封じ込めるマスコミの自己正当化

司法への信頼を失わせた検察



だが、止まるということはなかった。地検幹部は2月時点で報告を受けていたらしいというのに、それでも村木局長の裁判につき進んでいった、ということである。当然起訴担当の検事たちもいたのだろうし、そういう人たちはあくまで元の作られたストーリーを信じ込んでいたわけでしょう?
誰も、振り返ろうとはしなかった、ということなんでしょう?

途中で改めようとか、変更した方がいいんじゃないか、とか、できなかったということでしょう?


検察批判を非難していた連中は、このような事態についてどう考えているのか、是非とも「検察擁護」でもやってもらって、正当性を主張したらいいんじゃないか(笑)。


あと、裁判で無罪になったのだから「司法制度は十分機能していた」、みたいなことを言う人がいるが、そういうのは単なる「結果オーライ」みたいなのと何が違うのか。
証拠捏造とか、そんなのやられたら「反証できない」ようなものの場合、実際どうすんの?まともにそれが信じられることになるんだよ?

このような腐った検察を、どうやって信じろと?


失われた信頼は、簡単には戻らない。


正義はどこへいったか?

検察は死んだ。

こういうのを止めようがない、間違いを認められない組織なのだ、ということが、明らかになったということさ。

そして、そのような検察と一体となって追い込むマスコミ。

(村木局長の事件の時には、毎日新聞なんかが被疑者の無実の訴えを記事にしていたらしくて、必ずしも全部が叩きに回っていたわけではなかったみたい)


日本を動かすのは、こうした連中なんだ、ってことだ。
木村某とか、今回の検事なんかもそうかもしれんが、こういう末端のしっぽだけ切られたって、しょうがないってことなんだよ。

本質は何も変わっちゃいない。

形式的に人身御供が出されて、処理されたようなフリをするというだけ。
構造は残されたまま、ということさ。



昨日の飯田言説についての補足

2010年09月22日 11時01分59秒 | 経済関連
ひょっとしたら、飯田泰之氏の言ってるのは、拙ブログでも書いていた以下のような部分について勘違いをしているのかもしれない。

場当たり的な菅政権が失望を増幅させる

『急激な円高が来たら、日本専用の政府系ファンドが割とインフレ率の高そうな国の優良実物資産を買うとか、やってくれるといいんだけどね。今の円高に対しては、外貨準備で大量に保有している米国債を売って、為替損を少し取り返し、そのドルで実物資産を購入すればいいのにね。金利が上がるから、そこにドル買いに向かう資金が入ってくるだろう。』


「今の円高に対しては」という部分で、為替介入をするよりも「外貨準備で保有する米国債を売る」という手法について、飯田氏には「それは介入して買ったドル資金じゃないか」としか思えないのかもしれない。

まあ、そこだけ見れば「過去の介入で買ったドル」ということに違いはない。
現状では、直接為替介入するよりも、米国債売却→資産買い、というのを実行する方がいい、というのが当方の考え方で、それは米国債指標金利が上昇するので、通常であれば短期的にはドル買い資金が入ってくるであろう、という推測に基づいている。

飯田氏には、そういう意図が理解できないのだろう。
そうであれば、米国債を売ってみたところで「(ドルからドルの資産内容の変更なので)為替は変化しないし、円高は変わらないまま」という発想、ということだろう。彼は、「金利の変化は、為替レートに影響を与えない」とか真剣に信じているのかもしれない。


そうであれば、彼の言説の説明がつく、ということである。



為替介入しなくても、海外資産は買えるぞ(笑)

2010年09月21日 16時30分52秒 | 経済関連
岩本先生と飯田泰之先生の議論とかがあったそうで、そちらを眺めていたら、出くわした。


この先生は、一体何が言いたいのだろうか。

飯田先生曰く、

『介入より円高を利用して海外資産を買え・・・という意見をたまに聞くけど,それって「介入した後の資産運用」の話だ(海外資産を買うには円売ってドル等を買うしかない)ということに気づいていない人が結構いそうな希ガス』

だそうで。

はあ?
介入した後の資産運用の話とは限らんでしょうよ。

この先生は、円高局面での為替介入ってのが、どんなことをやるのか知ってるのかな?

「円を売ってドルを買う」

なんじゃないの?


だったら、円で海外資産を買えば、自動的に「円を売って海外通貨(例えばドル)を買う」効果を持つということで、同じじゃないですか。これの何が不満だと?

これが何で介入を伴わなければ実行できない、とか思ってんだろうね。


ウチみたいなブログを見ているわけはないと思うけど、当方の主張で「海外の実物資産でも買え」と書いているからって、まさか喧嘩でも売りたいとか?(笑)
それはないか。

ま、いいけど、飯田氏本人が書いている通り、「海外資産を買うには円売ってドル等を買うしかない」わけで、それは円売り介入と同等だ、ということだわな。
これをやることの何が問題なのか、説明してくれるといいだ。


それとも、介入してドルをまず買い、そのドルを持ってないと海外資産を購入できない、とか信じているわけではあるまいね?

為替介入を伴わなくても、外貨建ての海外資産は購入できるでしょうよ。
何が問題なのか、全く分からんな。つーか、素人を舐めてるとしか思えんな。




為替介入とequilibrium

2010年09月21日 13時37分11秒 | 経済関連
昨日の為替の話の続きです。

非常に話を単純化して、簡単な例で考えてみます。よくある2国間モデルとかに倣って、世界には2つしか国がないものとしましょう。

「甲」国と「乙」国があります。甲で生産される財Aが非常に重要なもので、生きる為には乙で必ず輸入しなければならないものとします。現実世界でいえば、小麦とか原油とか、そういったようなものです。この財Aは常に一定量の輸入をしており、その代金は甲の通貨でaとします。乙が甲に払う、ということになります。貿易はこの財の取引だけだとします。すると、甲は常に輸出超過で、乙は貿易赤字が恒常的となります。甲と乙との為替レートは変動し、甲の通貨:乙の通貨の交換比率は、1:kとします。先ほどの財Aの代金がaだったので、乙の現地通貨では代金はakとなります。

 ・甲 財Aを輸出  代金a 受取
     ↓       ↑
 ・乙 財Aを輸入  代金ak 支払

甲と乙で資本移動がないなら、為替変動はこの財Aの支払代金のみしかありません。乙は甲に払う為に自国通貨で甲の通貨を買うことになります。

これが継続してゆくとどうなるか。
甲の通貨はきっと高くなっているだろう、ということです。ずっと甲に代金を払うということによって、通貨買いを継続することになるのですから。ある時点での為替レートがk=ko、これより何期か後の時点でのレートがk=k'だったとすると、
 k'>ko
という関係になっているであろう、ということです。
甲から輸出超過が続く限り、為替レートは上昇を続ける、ということです。

この状態は永続できるのか、ということになりますと、かなり疑問ということになるでしょう。為替レートが上昇を続けると、甲の生産財Aの価格は同じく上昇を続けることになるので、乙での価格はいずれ無限大になってゆくことになってしまいます。今は、生存にどうしても必要だから、ということで一定量の需要として考えていますが、普通はそうはならないでしょう。

輸出超過が止まる(=乙は輸入しなくなる)か、無限大に向かって代金を払い続けるか、ということになるでしょうか。後者の場合には、乙の内需が代金支払いに充てられるくらいに成長していかないと、輸入材Aの価格上昇に追いつけない、ということになるでしょう。


これが現実世界であると、財Aの価格上昇が需給を調整しますし、資本移動があるので為替レート上昇を抑制するでしょう。
つまり、ここから分かることは、輸出が強ければ強いほど、「輸入を増やす」か「海外投資を増やす」ということくらいしかない、ということでしょう。
上記例でいえば、甲の稼いだ代金a分だけ乙に投資すればよい、ということです。そうすれば、為替レートは一定に保たれます。それとも、甲の稼いだ金を国内で使って国民の所得を上げ、その結果として乙からの輸入を増加させる、とかですね。


要するに、昔からある教訓的なものが、ここでも生きている、ということなんですよ。「自分だけ儲けようとするな」みたいなものだ。或いは、「他人に施せ」だ。昔話の訓話みたいなのものだ。
強欲じいさんが自分の為だけに金を懐に入れるとロクなことはなく、儲けた金を人々の為に使うことが、結果的には巡り巡って自分に返ってくる、というようなことだ。



equilibriumという考え方は、経済学では「均衡」と呼ばれるが、化学で言うところの「(化学)平衡」というのと非常に似ているわけである。
偏在があると、必ずそれを是正するかのような動きを生じ、例えば為替レートの変動に顕れる、ということになるわけである。それとも価格に反映される、ということになるのだ。もっといえば、「より安定的な状態」に近づくような動き方をするのが、経済の中に存在する「神の見えざる手」ということの意味だ。それは、「価格(交換レート)」、「取引」、「市場」といった”仕組み”(システム?)によってそれが達成されるだろう、ということである。それは、人為的にそれと同じことを実現しようと思うと、大変難しいことであるのに、自由にさせておくと自然と達成できる、というものなのだ。これは、化学平衡と同じである。


水溶液中の塩であれば、

 NaCl ⇔ Na+ + Cl-

となっていて、温度、水の量や塩の量によって、自動的に各状態が決まるわけだ。各分子に識別番号を割り当てたとして、それぞれの状態が変化する中で各分子に「2067番のClは結晶化しろ」「11099番のNaは陽イオンになれ」とか、刻々と変化している中で人為的に正しく調節するのはとても大変で難しい、ということだ。そのコストは膨大になってしまう。ところが、水溶液中で自由にさせておけば、きちんとある濃度や平衡定数の通りに「勝手に」正しく分布しているよ、ということなのである。

しかも条件は一定ではないので、水の量は増減するし、様々な理由で塩の量が増やされたり減らされたりすることもあるのだ。そのような状況下であっても、正しく人為的に分子の状態を調節しなければならないとなると、これはもう大変なわけである。容器を完全に不透過の膜で二分して、右と左では塩の濃度が違う時、両方の結晶とイオンの割合を同じにするように調節するのは結構難しい。
だが、右と左の仕切りを移動制限のある不透過膜ではなく、完全に移動制限を撤廃する(不透過膜を取り除く)か、そこまで完全自由化できないとしても、半透膜に変えることで容易に左右の濃度調節が達成されるわけである。

そう、この「勝手に濃度が同じになる」というのが、まさしく「神の見えざる手」ということの意味だ。それを意図したものが、市場とか取引の仕組みなのだ。人為的に完璧に調節することは難しいが、こうした仕組みを利用すればもっと簡単に達成できるはずだ、ということだ。それが、equilibriumという言葉が充てられた意味ではないだろうか。


二分された容器とは、2国間モデルとほぼ同じであり、左右のNaイオンとClイオンの存在量や濃度に違い(当然水の量も)があっても、移動制限がなくなれば、ある平衡状態に落ち着くはずだろう、ということだ。財、資本、通貨というのが、これらの溶質や水(溶液)の関係と似ているのである。
経済活動というのは、甲と乙の平衡状態を生み出すような動き方をするのであろう、という予測が立つわけである。これまでの円高という現象は、こうした「平衡状態へ近づこうとする過程」を見ているのだとすれば、人為的操作が好ましいものではないかもしれない、ということである。非常に短期的に見れば、時には投機筋のまさしく「人為的操作」というものが加えられた結果であるかもしれない。それには人為的操作を是正させるという為替介入の意義は存在するだろうが、それが明確ではない時或いは部分についてまで介入しようというのは、かえって難しいかもしれない。


喩えて言えば、投機的通貨取引というのは、こっそり誰かが容器の底をバーナーで炙って水温を上昇させ平衡定数を変動させた、というようなものだな。このような場合であっても、バーナーで加熱したことで水温が何度上昇したのかが正確に判らないと、イオン濃度の変化の理由というものが正しく判るわけではない、ということである。いくらイオン濃度の観察をしていても、Naイオンが増加したのは「バーナーで加熱したせいで平衡定数の条件が変わったためだ」という説明が、本当に正しいかどうかは判らないということである。バーナーの加熱による影響よりも、単純に新たに投入された塩の量が多かったから、ということだってあり得る、ということである。すなわち、どこまでがバーナーのせいで、どこからが新たに投入された塩の影響なのか、といったことを正確に調べない限りは判断するのが難しい、ということである。
現実世界では、これが中々難しいわけである。全ての観察データを正確に知ることが出来難いからだ。しかも、容器の状態や仕切りの具合なんかが、完璧に判っているわけではないからだ。


いずれにせよ、自由貿易とか自由な資本移動というものは、equilibriumに近づこうとしてくれるので、財や貨幣などの偏在を勝手に解消してくれるのに役立つ、ということは言えるだろう。ただ人類は、完成形態であるところの、平衡状態というものを誰も知らないし、見たこともないのだ。存在するのは、あくまで理念の中、モデルのような想定する世界の中でしかないのである。

それは、現実世界の化学とも近いかもしれない。地球上の酸素分子の移動制限は殆ど存在してないが(中には、気密室や海中の潜水艦の中とかのような特殊な環境は存在するから)、観測場所によって酸素分子の濃度は異なっている。分布の具合は、現実には均一にはなっていない。全く同じ高度であっても、場所が違えば濃度が違うことは珍しくない、ということである。それが現実だ。理論的には同一濃度になる、ということが正しい事実であろうとも、実際の観測結果はその通りにはいかない。きっと経済というのも、そうなんだろう、ということである。