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紅麹騒動に見る、法制度を完全無視した官僚機構の狂気に等しい劣化

2024年04月02日 18時14分27秒 | 法関係
ここ最近マスコミを賑わせてる小林製薬の紅麹製品について、いくつか書いてきたわけだが、さっきふと気になって調べてみたんだが、どうも法律や行政手続とか運用が滅茶苦茶になっているようなのだ。


発端は、厚労省の紅麹工場への立入検査の報道だったわけだが、一緒に「大阪市職員」も立入調査に参加した、という話が疑問に思えたからだ。

行政権限による立入調査って、多くが「中央省庁の職員」か「都道府県知事(都道府県職員)」というのが通例だったように思ったわけだが、今回は何故か最初から大阪市がしゃしゃり出てきており、どういう権限なのだろうか、と。

以下、調べたことをメモがてら書いてみる。


1)大阪市の公表について

こちらのHPに記載がある。

>https://www.city.osaka.lg.jp/hodoshiryo/kenko/0000623818.html

要点として

 a) 根拠法は食品衛生法
 b) 事業者が大阪市保健所に製品回収の届出
 c) 大阪市は食品衛生法6条2号違反と断定
 d) 同法59条の権限により廃棄命令等の措置を講ずるよう連絡あり

ここで、疑問点を挙げる。根拠法はまあ「そうですか、初めて知りました」とw

大阪市が登場してきた理由は、b)の回収の届出があったから、のようだ。市町村長に管理監督権限があるのか?

後述するが、市町村長にはそんな権限は有してないww自治体の長に権限がないのに、何故末端の市職員に権限が委任されているのか?
通常の法規範では原則としてあり得ない。

HP上での記載がある通り、c)の違反事実は、未だ一つの事実も認定されていない。にも関わらず、何故大阪市が勝手に認定機関の如く振る舞い、違反と公表しているのか?越権行為も甚だしい。既成事実化を狙った、杜撰な措置である。

d)の廃棄命令を出す措置、これについても、市町村長にそんな権限があるのか?
普通はないわけです。


一言で言えば、この国の法規範も、行政法の運用も、条文の解釈・適用も、何から何まで杜撰と言うに尽きる。最初から、全部デタラメで出来ている。法律制定で設計された制度として、全く機能してない。滅茶苦茶な、場当たり的運用である。


アベ政治で法規範の破壊とか、行政法がほぼデタラメとなり、条文解釈や適用が嘘八百で通用するようになって、省庁の人間すら全部最初から嘘で誤魔化す無能ばかりになったということだ。


2)食品衛生法と安全管理や監督の制度は本来どういうものか?

条文はこちら
>https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=322AC0000000233


c)に関連の条文は以下。


第六条 次に掲げる食品又は添加物は、これを販売し(不特定又は多数の者に授与する販売以外の場合を含む。以下同じ。)、又は販売の用に供するために、採取し、製造し、輸入し、加工し、使用し、調理し、貯蔵し、若しくは陳列してはならない。

一 腐敗し、若しくは変敗したもの又は未熟であるもの。ただし、一般に人の健康を損なうおそれがなく飲食に適すると認められているものは、この限りでない。
二 有毒な、若しくは有害な物質が含まれ、若しくは付着し、又はこれらの疑いがあるもの。ただし、人の健康を損なうおそれがない場合として厚生労働大臣が定める場合においては、この限りでない。
三 病原微生物により汚染され、又はその疑いがあり、人の健康を損なうおそれがあるもの。
四 不潔、異物の混入又は添加その他の事由により、人の健康を損なうおそれがあるもの。



有毒・有害な物質かその疑いがある、ということで、販売禁止や製造禁止等の措置は、話としては分かる。
が、この事実は市町村長の管轄(管理)下にはないので、大阪市が違反を宣言する権限はなく、HP上に断定の記述をするのはおかしい。


上記d)に関しては、59条。


第五十九条 

厚生労働大臣又は都道府県知事は、営業者が第六条、第十条から第十二条まで、第十三条第二項若しくは第三項、第十六条若しくは第十八条第二項若しくは第三項の規定に違反した場合又は第九条第一項若しくは第十七条第一項の規定による禁止に違反した場合においては、営業者若しくは当該職員にその食品、添加物、器具若しくは容器包装を廃棄させ、又はその他営業者に対し食品衛生上の危害を除去するために必要な処置をとることを命ずることができる。

(2項 略)

危険な食品を廃棄等の処分をしろ、という命令権限がある、という規定である。
ここで重要点は、命令権限の発令者は

厚労大臣か都道府県知事

であって、市町村長ではない。すなわち、大阪市長には命令権限がないので、やってはいけない。
なのに、大阪市HPには、『廃棄命令等の措置を講ずるよう連絡』と書かれていた。全くの出鱈目である。

そもそも「連絡」が来る、ってどういうことか説明できるのか?
省庁が命令できるわけじゃないんだぞ?
廃棄命令を出すよう「連絡」って、行政法上の権限か効力について、説明してみ?
厚労省の局長通知とか、普通はそういう形式論があるわけだろ?

食品衛生法上で、廃棄命令等の措置を講ずる「連絡」って、一体全体、誰のどういう権限・所掌事務なんだ?

鍵となるのは、8条の条文である。

第八条 
食品衛生上の危害の発生を防止する見地から特別の注意を必要とする成分又は物であつて、厚生労働大臣及び内閣総理大臣が食品衛生基準審議会の意見を聴いて指定したもの(第三項及び第七十条第五項において「指定成分等」という。)を含む食品(以下この項において「指定成分等含有食品」という。)を取り扱う営業者は、その取り扱う指定成分等含有食品が人の健康に被害を生じ、又は生じさせるおそれがある旨の情報を得た場合は、当該情報を、厚生労働省令で定めるところにより、遅滞なく、都道府県知事、保健所を設置する市の市長又は特別区の区長(以下「都道府県知事等」という。)に届け出なければならない。

② 都道府県知事等は、前項の規定による届出があつたときは、当該届出に係る事項を厚生労働大臣に報告しなければならない。

(以下略)


製品製造の事業者が、指定成分等含有食品の健康被害等を生ずる危険情報を得た場合には、「都道府県知事か、保健所設置の市長か特別区区長」に届出しろ、という規定である。

紅麹が指定成分なのかもしれないが、事業者は大阪市保健所に届出したのは、この規定に従ったからであろう。
都道府県や市長・区長は厚労大臣に「これこれの情報を得ました」ということを報告せよ(2項)、ということになっているわけである。


ここで、条文上の取り扱いとして、

都道府県知事

都道府県知事等

は定義が異なる為、食品衛生法上では別個のものとして取り扱われる。

その為、先に見た59条規定の都道府県知事が有する「命令権限」は知事にはあるが、市町村長には「無い」のだよ。

事業者の届出先は、「保健所のある市長か区長」でOKだが、管理監督権限(各種命令権限や立入調査権、等)は知事にしかないものだろ。
それなのに、何故大阪市が出しゃばってきて、市職員が立入調査をやるわけ?ww

行政手続の基本となる立入調査の実施を通知した文書に、根拠法の条文を記載するはずだが?
そこには、何て書いてあったんだ?
見せてみろ。


もし59条の廃棄命令を出す場合であっても、正当な手続を経ない限りは、好き勝手に命令を発出できないぞ?


第二十六条 

都道府県知事は、次の各号に掲げる食品、添加物、器具又は容器包装を発見した場合において、これらを製造し、又は加工した者の検査の能力等からみて、その者が製造し、又は加工する食品、添加物、器具又は容器包装がその後引き続き当該各号に掲げる食品、添加物、器具又は容器包装に該当するおそれがあり、食品衛生上の危害の発生を防止するため必要があると認めるときは、政令で定める要件及び手続に従い、その者に対し、当該食品、添加物、器具又は容器包装について、当該都道府県知事又は登録検査機関の行う検査を受けるべきことを命ずることができる

一 第六条第二号又は第三号に掲げる食品又は添加物

(以下略)

有害物質が混入している可能性があると言う場合でも、大阪市が命令できるのではなく、知事が「サプリ錠剤の内容物の検査をしなさい」と所定手続に則り、命令できるのだ。


また、販売禁止や摂取禁止命令についても、例えば7条3項の

厚生労働大臣は、食品によるものと疑われる人の健康に係る重大な被害が生じた場合において、当該被害の態様からみて当該食品に当該被害を生ずるおそれのある一般に飲食に供されることがなかつた物が含まれていることが疑われる場合において、食品衛生上の危害の発生を防止するため必要があると認めるときは、厚生科学審議会の意見を聴いて、その食品を販売することを禁止することができる


や、9条の


厚生労働大臣は、特定の国若しくは地域において採取され、製造され、加工され、調理され、若しくは貯蔵され、又は特定の者により採取され、製造され、加工され、調理され、若しくは貯蔵される特定の食品又は添加物について、第二十六条第一項から第三項まで又は第二十八条第一項の規定による検査の結果次に掲げる食品又は添加物に該当するものが相当数発見されたこと、生産地における食品衛生上の管理の状況その他の厚生労働省令で定める事由からみて次に掲げる食品又は添加物に該当するものが相当程度含まれるおそれがあると認められる場合において、人の健康を損なうおそれの程度その他の厚生労働省令で定める事項を勘案して、当該特定の食品又は添加物に起因する食品衛生上の危害の発生を防止するため特に必要があると認めるときは、厚生科学審議会の意見を聴いて、当該特定の食品又は添加物を販売し、又は販売の用に供するために、採取し、製造し、輸入し、加工し、使用し、若しくは調理することを禁止することができる。

一 第六条各号に掲げる食品又は添加物
二 第十二条に規定する食品
三 第十三条第一項の規定により定められた規格に合わない食品又は添加物

(以下略)


の如く、厚生科学審議会の意見を聴取した上で、厚労大臣が危険な添加物等の禁止を命令できる、という建て付けになっているのだよ。


これまで、小林製薬の製品について、例えばプべルル酸の詳細について厚生科学審議会の意見を大臣が聴取したのか?
あるなら、厚労省が公表できるだろ。


「薬事・食品衛生審議会」は厚生科学審議会とは別物なので、意見聴取の代用とはできないはずでは?
厚生科学審議会は設置法により規定されているため、杜撰な国家戦略特区WGみたいな杜撰組織とは異なり、厳格な組織として規定されてきたはずではないのか?


一方で、アリバイ作りでやったかのような、不自然な会議体は何なの?

コレ
>https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_39396.html

薬事・食品衛生審議会 
食品衛生分科会 新開発食品調査部会 

新開発食品評価調査会及び指定成分等含有食品等との関連が疑われる健康被害情報への対応ワーキンググループ


肩書だか名称だかは異様に長くて覚えていられないw
何の「やったフリ」だよww


また、会議で提示された「厚生労働省健康・生活衛生局食品監視安全課長」名による『健生食監発 0326 第6号(令 和 6 年 3 月 26 日)』は何なの?

>https://www.mhlw.go.jp/content/12401000/001236934.pdf

『当該事業者が取り扱う下記の食品については、食品衛生法(昭和22年法律第233号)第6条第2号に該当するものとして取り扱い、同法第59条に基づく廃棄命令等の措置を講じていただくようお願いします』

って、ヒラの課長がお願い文書を出して、厚労大臣命令(権限)を勝手に盗んでるに等しいだろ?
このインチキ行政は、一体全体何なのか?


マスコミを大騒ぎさせて、空気で「製品を禁止させろ」というように持って行こうということをやってるだけだ。


厚労官僚は責任を一切負いたくないから、大阪市のボンクラ役人に「廃棄命令を出せ」という「連絡メール」(正式な行政文書とは程遠い、ただの連絡メモだろ?)を送った程度で、正規手続を踏んでやる、ということは面倒だからやらないか無知無能ゆえ杜撰処理をやってるのだよ。


少しは、正当な行政手続に則って、きちんと段階を踏んで仕事をやれや。
クズ役人どもが。

大阪市長が特別な対策班を設置、って何の権限、根拠法で行政権限を行使してるのだ?
>https://www3.nhk.or.jp/news/html/20240401/k10014409441000.html

目立ちたがりのド素人を操縦して、紅麹問題を大きく育てようという魂胆がミエミエだろうに。





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