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福島原発事故を巡る東電の大罪~10

2015年05月20日 23時22分28秒 | おかしいぞ
(続きです)

色々と疑問点を調べているうちに、ちょっとよく分からない感じになってしまいました。
迷いもあるのですが、とりあえず書いておきたいと思います。


疑問点21:
ガス作動弁はどうやって動かしたのか?



この点について、疑問を抱いた理由はいくつかある。
ひとつは、1号機の水素爆発がどうして発生してしまったのか、ということだった。

格納容器圧力は設計値の約2倍まで上昇していた、ということで、一応の容器破壊は免れていた段階であったのではないかな、ということであった。メルトスルーが生じて格納容器にリーク部分が生じれば、水素ガスが蒸気などと一緒に抜けていくかもしれないが、建屋内に爆轟を生じるほどに溜まったとも思えなかった。ベント作業によって、格納容器圧力が下がったが、その時にベントライン以外に漏れて、建屋内に水素ガスが溜まった、ということも、にわかには信じ難かった。


過去の火災事故例でも、原子炉建屋が吹き飛ぶというのは、あまり類を見ないことでもあった。

>http://www.rist.or.jp/atomica/data/dat_detail.php?Title_Key=02-07-04-18


当初、想像した理由というのが、タービン発電機内に封入されている水素ガスが漏れたのではなかろうか、というものだった。冷却用として、水素ガスが大量に用いられているはずなので、タービンと原子炉建屋で連絡している何らかの配管が破断するなどして、原子炉建屋に流れ込んでしまったのではないだろうか、と。

だが、1号機のみならず3号機や4号機までもが、大量に漏れ出る、といったことは想定し難いのではないか、と思えた。
で、記事に書こうと思っていた矢先、東電が突然の発表。


2号機のベントが失敗していた、というものだった。
何故今頃になって、そんな大した論点でもない”失敗”を公表したのだろう?
理由というものが、全然わかりませんでした。

排気塔を出る際に破られるはずの、ラプチャーディスクが破れていませんでした、ということを言った所で、特に何かが分かるというものではないでしょう。東電の責任が何か変わるものでもないし。



とにかく、頑丈な建屋が、特にタービン建屋ではなく原子炉建屋が次々と爆発したことの理由について、当方の推測を述べてみたい。


ズバリ、ベントラインや給水ラインを形成する為の操作に、水素ガスを使ったのではないか、というものである。


①置換用窒素ガスは1プラント分しかない

タービンに封入されている冷媒用水素ガスは、大規模災害時には基本的に「別の不燃ガスに置換せよ」というのが原則なのだ。通常では、水素ガスを排気して、窒素ガスに置換する装置を作動させれば、安全に水素ガスは消失するのである。しかし、この窒素ガスの量が1プラント分しかないので、今回の福島原発のような多重事故を生じると、水素ガスを置換できないのである。

火災防止の為に、水素ガスの緊急排気を行うこともできるそうだが、それが実施されたかどうかは不明である。火災や爆発事故防止の為には、二酸化炭素に一度置換してから排気する、といった手法もあるようだが、そんな時間的余裕があったとは思えない。なので、水素ガスはそのままにされていたのではないかな、と。

なので、1~3号機のどこかのタービンで水素ガスから窒素ガスへの置換が行われたのかもしれないが、それが実施できたのは1つだけだったはずだ。


②ガス作動弁用のガスが尽きたのではないか
(1号機のSRV動作記録が秘匿されていたことと整合的である)

各種の弁は、大きく分けて電動弁と空気(ガス作動)弁がある。空気弁は実際には酸素濃度を下げる意味から、空気ではなく窒素ガスが用いられているのではなかろうか、と。

そうすると、窒素ガスは弁作動用のもの、建屋内の酸素置換用のもの、タービン内水素置換用のもの、と多様な利用が想定されていたであろう、ということである。配管類やガスのボンベ・タンク類は全部別々の設計や構造になっており、独立系であるということなら、窒素ガスが減ったとしても弁作動用ガス圧が低下する、といったことは起こらないのかもしれない。この辺りの構造がどうなっているのかは、全く分からない。



ただ、タービン冷媒用水素ガスに関してでさえ、水素トレーラーがプラント内に存在することは珍しいわけではないようである。大規模災害時には、この水素トレーラーの退避なり、水素タンクとの接続をきちんと管理すべし、というのが防火上の措置ということである。多分、タービン建屋のどこかか、いくつかのプラント分のタンク(ガス建屋?)がどこかにあるということではないかな、と。



ガス動作弁に関して言うと、通常は殆ど用いられないSRVが2号機でも3号機でも、目一杯活躍していたわけです。他の弁についても、通常以上に動作を必要とされた場面が多かったのではなかろうか、と。そうすると、動作用の窒素ガスがなくなってしまったりすることはないのだろうか、と。実際、1号機のベントラインを作ろうとした際にも、電動弁は電気がないので動かないとか、ガス動作弁のガスがなくて遠隔開弁ができない、といったことがあったはず。そうした中で、現場で手動で開いたといった話が出ていたのではなかったかな、と。



ベント作業が難航したのは、そうした開弁ができないということだったはず。
そこで推測されたのが、ガス動作弁を開弁する為に、窒素ガスが尽きてしまっていたのなら、どうやったのだろうか、と。ひょっとすると、水素ガスボンベしか残っていなかったのではなかろうか?

窒素ガスボンベの代わりに、水素ガスボンベを接続して、仕方なくガス圧を維持したりしたのではなかったか?


そうすると、1号機の水素ガスが滞留した理由として、ガス動作弁を開弁する為に水素ガスを用いてしまい、しかもそれまでSRV動作についても水素ガスでどうにか作動させていたとしたら、どうなんだろうな、と。


これが建屋内に充満してしまうことになり、遂には爆轟を生じてしまったのではないかな、と。
1号機の燃料棒が露出した状態になっており、爆発前までに炉心を水没させられるほどには給水できたとは思えず、ジルコニウムと水との反応で生じた水素が水素爆発の原因となったわけではないのかもしれない。


そう考えたりしたわけだが、蒸気とジルコニウムがあれば十分な量の水素を発生させられるのかもしれず、よく分からない。ただ、窒素ガスの量が1プラント分しかなかったということ自体が問題であり、複合事故が生じた時に問題になることは想定できたであろう。


4号機までもが原子炉建屋が吹き飛ぶのは、ちょっと不自然であり、理解し難い。

水素ガスが約18%といった高濃度でなく、ずっと低濃度でも破壊はできる、という東大の先生のご意見も読んだが、疑問に感じた。使用済燃料プール水から発生する水素ガス濃度なんて、かなり限られているから。それよりも、水素ガスボンベが意図的なのか、誤ってなのかは不明だが、窒素ガスボンベの配管に接続されてしまった場合の方が爆発するような気がする……、ということである。


これは、単なる想像に過ぎないので、現場の人たちにしか、本当のところは分からない。


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福島原発事故を巡る東電の大罪~9

2015年05月20日 11時56分08秒 | おかしいぞ

疑問点19:
1号機の直流電源室はケーブル配管経由で浸水したか?



これまでは、水が到達する経路は主に階段等の広い交通路を想定してきたが、他には換気システムや電気ケーブルの周囲から、ということもあるのかもしれない。

換気システムの配管内に海水が浸入するのは、配管の破断がないとほぼ起こり得ないだろう。建屋の損壊は殆どなく、配管類も壊れていなかったということであるから、換気システムは除外されると見てよいだろう。


電気配線等のケーブルは部屋を出て中央制御室等にまで配線されていなければならないから、水の移動可能性だけ考えればあるのかもしれない(配線の経路は不明なので、実際には調べようがないのだが)。


けれど、ケーブル類さえもが、完全にシール構造を有している、ということが分かった。シールは耐圧試験があるそうで、基本的に施設内の配管や配線は密閉性を維持するべく、細心の注意が払われている、ということだろう。


なので、防火・防水という面でも、ケーブルは防御されていた、ということである。
電源室の上部から水が降ってきた、というような可能性もほぼないと言えるだろう、ということ。廊下や階段やエレベーターなんかの開口部ないし交通路しか、水が移動する経路は存在しないだろう、ということである。


(追記)


疑問点20:
東電原子力線は何故喪失したのか?



外部電源喪失ということで、地震で鉄塔倒壊などがあった、という話だった。外部電源は、1~4号機に大熊線1L~4Lが、5、6号機に夜の森線1Lと2Lが接続されていたとされ、それぞれが全部使えなくなった、ということだった。これら外部電源は、全て新福島変電所であったので、変電所側の故障(O‐32~34、及びO-91、92)というものもあり、簡単には復旧できる状態ではなかった、ということらしい。全部が同一変電所だったら、そこを失うと大変なことになる、というのに、6回線全てを一箇所に集めていた、ということだ。女川原発のような、外部電源の分散化をどうして採用していなかったのだろうか、と疑問に思うわけだ。


で、よくよく資料を読んでいくと、実は別の外部電源が存在していたことが分かる。
それが、東北電力の富岡変電所から来ていた「東電原子力線」ということだった。


大熊線がダメだった、というのが事実だとして、何故東北電力からの東電原子力線が接続できなかったのだろうか?
その明確な理由というのは、説明がないのでよく分からないわけだ。


3月18日以降の電源復旧の際には、最初に回復したとされるのが、この東電原子力線と夜の森線1Lということだった。
地震直後の外部電源喪失の時、東電原子力線は接続できない状態だったのか?
破壊状況の説明がないのだよ、この線については。



それから、D/Gからの給電が途絶えた(全交流電源喪失)ということで、電源車を現地に送っても、M/CやP/Cが使えない状態だったのなら、冷却機器の復旧はできないということは明白だったのですよね?
それなのに、電源車を送った、ということでしょうか?


   電源喪失  だから  電源車を送る


もしそうであるなら、電源車をどこかに繋ぐ必要があるわけで、それはどこを想定していたと?
津波で被害を受けたことは、2階中央制御室から1階に降りてみれば、腰だか肩の高さまで被水していたことは、明々白々だったわけですよね?
だって、泥水が壁に痕を残すわけですから。

C/BもT/Bも、1階部分は全部水に浸かったんでしょう?
なのに、電源車を送るように要請したと?


被害状況確認の為、地下のD/Gの状況も見ただろう(普通は復旧を目指そうとするだろうから、だ)し、M/CやP/Cの設置場所は目視で確認できるはずだから。にも関わらず、電源車が大量に向かった、ということは、接続ができる部位が必ずある、ということだ。

それは具体的にどこだったのか?

直流電源もない、バッテリー室もダメ、メタクラもダメ、パワーセンターもダメ、だったら、どこに繋いで電源回復ができると?
電源車が出発したのは、少なくとも15条通報の16時台よりも後だったはずだろう。


電源車を向かわせる前に、D/Gの被害状況を確認し、手動起動ができないかとか、動かせそうかどうか、というのを見たはずだ。T/B地下に降りなければ確認できない。そこに向かうついでに、例えば2号機のM/Cを見ないわけがないでしょう?


見た上で、電源車が大量に送り込まれたのなら、それはどこに繋ぐ予定だったのか、ということ。
5号機とかに接続しても、意味ないでしょう?だって、6号機D/Gがあったのだから。


そういうわけで、

 東電原子力線はどうして接続できなかったのか
 被水状況を確認した上で、電源車をどこにどうやって繋ぐ予定だったのか


大いに疑問である。



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福島原発事故を巡る東電の大罪~8

2015年05月19日 18時20分59秒 | おかしいぞ
疑問点17:
津波で建屋内にどれくらいの浸水があったのか?



どうも信じ難いのが、津波によって「大量の海水が流れ込んだ」という説である。まず、原発施設なのだから、「閉じ込める」機能を発揮させるべく、外部への開口部は「極めて限られている」だろう、ということだ。それは、逆に言うと、外から内部へ入ってゆく経路も限定的にならざるを得ない、ということ。

例えば、弁当箱かタッパーのような容器に、錐で小さな穴を開けたとして、これを風呂の底に沈めてみた場合に、どれほどの水の侵入があると思うか?密閉式の容器であれば、穴の大きさが小さいと内部に入る水の量は限られる、ということである。
津波でかなりの水圧がかかったにせよ、外部との交通路はおそらく「殆どなかった」であろうはずだから、どうやって大量の水が入り込んだか、というのが気になるわけだ。冷却設備が津波で破壊されて穴が開いてしまったりして、そこから入ったということなら、大量の海水が入るとしても理解できる。だが、そういった外力による損壊は殆どなかった、ということなのだから、簡単に言うと「建物の殻に穴が開いて、そこから水が入った」ということと全く違う、ということになるわけだ。


では、どうやって入ったか?
換気システムとかの出口とか?エレベータの設置場所?
とりあえず、そういった僅かな隙間があって、水が入ったものとしよう。普通の家で言えば、車庫のシャッターの下の隙間とか、玄関の扉の隙間とか、そういうようなもの、と。

津波が押し寄せて、退いて行くまでに、どの程度の時間がかかるのだろう?
20分も浸かっているとは思えない。せいぜい、数分ではないかな。長い場所でも10分以内くらいではないかと思うが、どうだろうか。

そうした短い時間で、水密扉とか、エアロック構造になっているであろう、構造物の出入口を突破して、海水が浸入したとしよう。隙間が小さい場合だと、1分間当たりでどれくらい入るものなのだろう?
毎分1tの海水が浸入してしまったとしよう(面倒なので、1㎥の体積だったとします)。因みに原子炉を冷やす場合だと、スクラム後では毎時20~30tの注水が必要らしいので、それよりも2~3倍は多い条件だ。


そうすると、浸水が10分間続くと、10㎥の海水が入ったということになる。これが地下まで水浸しにしてゆく、ということだな。低い方に流れるので。
ここで疑問が生じる。タービン建屋の面積はどれくらいあるか?相当広いだろうね。何たって、巨大施設だから。
水は均等に広がるから、段差が存在しなければ同じ深さとなる。
階段までの面積が100㎡だと、水の深さは10cmということになるわけだ。これが地下へと流れ落ちてゆく、ということだな。でも、そんなに狭いはずはないだろう。だって、10m×10mなんて、一般家庭の部屋くらいしかないではないか。あり得ないだろうね。

P/Cの設置されている広さだけでも、400㎡程度はあるだろう。そこに至るまでには、扉を通過したりする必要があることはほぼ間違いないであろうが。タービン建屋1階に浸水したとして、それが本当に深さ50cmとか60cmなどというレベルにまで溜まると思うか?それは、具体的に、何百tの浸水が必要なのだ?
気密性の高い構造物の建物が、何時間も水没していたわけでもなく、水の配管が破壊されて内部溢水が大量に漏れたわけでもないのに、どうして100tオーダーの浸水が発生すると言うのだね?

地下のD/G室までには、いくつも水密扉があるだろう。そもそも火災発生可能性が高い場所なんだから、他の場所との区分がより厳密になっていなけりゃならないに決まっている。消火できんだろ?消火栓を開いた途端に、原発が爆発していては話にならんだろう?


そうであるのに、たとえ10tくらい水が浸入しても、地階のD/G室まで相当な障壁を乗り越えなけりゃ、浸水したりはできんぞ?
現実には不可能な水準ではないか。
建屋の広さから見て、水深が均一に5cm溜まるとしても、面積が50m×30m=1500㎡くらいだと、75tの水量が必要。腰くらいの高さまで浸水跡があった、との証言からすると、少なく見ても70cm、通常レベルなら90cmとかの水没なんて、ほぼ不可能だろうに。わずか数分で1050tもの浸水があると?

水深20cmでも、300tもの水が流入する必要があるんだぞ?
そんなもの、できるわけがない。
毎分30tの濁流って、見たことあるか?
それは沈没船のレベルだろ、って言ってるんだよ。


疑問点18:
1号機の直流電源室は、どうやって水没したか?



直流電源であるバッテリーは、1号機のC/B(コントロール建屋)地階にあるとされているが、そこにC/B1階から直接降りられる階段はない。ほぼ隔離されたような場所になっており、T/Bの地階から、いくつもの扉を通過しないと辿りつけないはずだ。非常用照明電源も恐らく同じ場所にあるだろう。

津波で真っ暗になる、ということになると、T/B地階まで水が落ちてゆき、D/G室も含めて全体に水が広がって、ようやく浸水するんだよ。それも、水密扉を超えて、だ。本当に、そんなことが可能なのか?

浸水跡がある、という話は、殆どがメルトスルーした後の、水をいくら入れても漏れる、という状態になってからの話なんじゃないの?


それから、T/B地階には、トレンチがあって排水というか漏洩水は溜まる仕組みになっているはず。ドレンは各所から来ており、床ドレンサンプポンプがあるのだ。機械ドレンサンプも勿論ある。
これは、水が漏れていたら、集めて放射性物質の混入がないか調べて、廃棄処理される、というものだ。だから、水漏れがある場合には、こうしたドレンに流れ込んで、それはサンプポンプで廃棄されるはず、ということ。


そうすると、海水が外部から仮に進入したとしても、床ドレンがあるなら、そこから排出されるはずだし、サンプのタンクが満杯になるまではポンプで排出されるのではないか、ということである。浸水が大量であると、排出が追い付かなくなり、溢れてくるかもしれないが、ある程度の量まではトレンチやドレンや床サンプなどに溜まるはずだろう、ということ。

なので、津波で浸水が起こったとしても、量的に何十トンも入ったとは考え難い、床ドレンサンプで排出される、ということで、水密扉をくぐり抜けて直流電源室やD/G室が浸水したとは信じ難い、ということだ。



津波で水没した、という言い訳が使えなくなると、どうなると思う?

意図的に嘘を言った、ということだろうね。
そして、全ての辻褄が合わないことになる。


もしも浸水が本当なら、もっと別の理由しか考えられないだろうね。例えば、T/B内なら、復水器の配管がもの凄く破壊されて、復水タンクの水が全量くらい漏れた、とか。そのくらいの水量がないと、無理だわ。



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福島原発事故を巡る東電の大罪~7

2015年05月18日 09時53分15秒 | おかしいぞ
(続きです)

疑問点14:
1号機の直流電源喪失が早かったのはどうしてか?



津波で電源喪失後、バッテリーさえもが使用不可となってしまい、計器類はもちろん照明も落ちた、ということだったはず。事故の数か月後に作られたNHKの再現ドラマでもそれに基づいて真っ暗とされていた。だが、それは本当だったのだろうか?


まず、中央制御室の構造として、1号機と2号機は同一の部屋となっていたようであり、大部屋を左右に分けるような形で1号機側と2号機側があったようである。そうすると、2号機が照明アリの場合、1号機の方にも灯りはもれるはずで、部屋の遠くの角付近は暗いかもしれないが、操作盤あたりが全く見えないということはなかったのでは?

ただ、バッテリー節約の為に、照明をカットしていたかもしれないので、それなら1号機も2号機も暗闇で操作せねばならなかっただろうけど。けれども、津波が到来した途端に非常用D/Gが止まって発電できなくなり、いきなり一般家庭の停電時みたいに真っ暗になるというのは、本当なのだろうか、と疑問に思える。


少なくとも、2号機においてはRCICが何日か動いていたわけで、RCICの機能は直流電源の存在下でなければ維持できないことは確実だ。すなわち、2号機の直流電源は生きていた、ということ。


ここで新たな疑問が生じる。
2号機のバッテリーはどこにあったか?
C/B(コントロール)建屋の地下1階に設置されていたのである。コントロール建屋というのは、原子炉建屋とタービン建屋の間にある、中央制御室の入った別棟の建物なのだ。人の出入りについて、放射線量の管理上もあって、厳しい制限があるのはもちろん、保安上でも侵入防止から簡単な構造ではないであろう。その建物の地下に設置されていた、ということだ。


では、1号機のバッテリーはどこにあったのか?
中央制御室は1、2号機は同一で、同一建物内にあったわけだが、1号機バッテリーもやはりC/B建屋地下にあった。同じような条件だが、2号機バッテリーは数日使えていて、1号機だけは津波直後にダメになったと?


それは、どうしてなのか?
説明としておかしいのではないか?


水の浸入条件が同じで、同一建物の地下の別の部屋か別の場所にあったというだけのバッテリーは、それほど水に対する条件が異なる理由とは何か?
C/B建屋に大量に水が簡単に流れ込み、電機機器だのバッテリーだのが簡単に水没する構造ということなら、どうやって放射性物質の管理をできるというか。厳重な何重かになっているであろう水密扉を超えて、地階のバッテリー室まで水が1mほどまで浸かるというのは、本当なのか?


◎疑問点15:
重油タンクが津波で流されたことと電源喪失とは無関係では?


当初、よく言われていたのが、燃料の入っているタンクが流されてしまって、非常用の発電機は使えなくなったんだ、というような説明だった。たしかに映像で津波被害が分かり易いのだが、あれは重油タンクということだったのだ。
つまり、重油だから、暖房やボイラー設備の燃料ということであって、非常用ディーゼル発電機の燃料ではなかった、ということ。

D/Gは、燃料が軽油だから。

なのに、燃料タンクが流された=発電機が使えなくなった、というプロパガンダに利用されていた。
当時は、あまりの衝撃にオイルタンクが流されて使えない、と言われたら、何の疑問も抱かずに「そうだろうな」と思っていたのだが、こんな簡単な事実(だって、自動車のエンジンでは常識だ)をどうしてこれまで気付かなかったか、自分でも笑ってしまうくらいだよ。


現実には、D/Gの燃料は流されていないし、燃料がなくなったわけでもなかった(小規模タンクがあって8時間程度は燃焼できる、建物の外部タンクにはさらに1週間分くらいは常備されている)、ということ。なので、燃料がない、という言い訳は使えなくなった。
残された理由というのが、発電機が水没した、か、メタクラ(M/C)だの、パワーセンター(P/C)だのといった設備が水没したからだ、というものだった。当初に言っていたことと、若干違うということだな。直流電源が使えるけど、それら設備は使えない、と?


因みに、直流電源喪失の通報は、なかったように記憶している。3号機もHPCIが使えていたことは確実なので、バッテリーは残存していた。津波で全部が一気にダメになった、というのは疑問だ。



◎疑問点16:
ICが機能しているか、確認手段はなかったのか?


11日夕方(18時過ぎ)頃、偶然にも1号機の電源が一時的に回復した際、ICの弁の開閉を操作した、ということがあったでしょう?
その際、建物の外に排出される「蒸気」が上がっているかどうかで、確認した、ということだった(21時過ぎの時点でもあったか?)。

だが、ICには、弁の開度計が設置されていた。原子炉建屋の4階に行けば、開度計でどの程度弁が開いているのか、分かったはずだ。
内弁の1Aや4Aについて分かったかどうかは不明ではあるものの、少なくとも外弁は判定ができただろう。


また、ICには水位計が設置されており、残量も目視で確認できたのでは?

4階から3階にかけては、ICで蒸気から水に戻された水を圧力容器に戻す配管があったはずだ。それは「凝集水戻り配管」であり、もしもICが機能している場合には、その配管温度はかなりの高温になっていたはずだ。少し手を触れてみれば、簡単に分かるだろう。伝導熱だけだと、そう簡単には100℃以上にまでならないだろう。ICが動いており、戻される熱湯が流れていれば、150~200℃くらいの熱湯である可能性が高いので、配管の表面温度は相当熱いはずだ。


少なくとも、津波後、原子炉建屋4階まで上がってみれば、ICの動作は確認できた。不運にも1号機の直流電源が落ちていたとしても、だ。
もしも1、2号機間では、本来融通できたであろう電力のうち、480V交流電源が使えて、CVCFの残量があったのであれば、早期に1号機のIC内側弁(1、4-A/B)の開弁操作を実行し、トリップ信号(差圧300%)は「手動で切」にしておくことができたなら、ICは維持できた可能性があるのではないか。


ICへの補給水は、消火系からでも復水補給水系からでも、補給が可能だった。
何故なら、圧力容器内やメルトダウン後の高圧となった格納容器内への注水(高圧をまず下げないと注水できないから)よりも、ずっと簡単だったはずだから、である。途中の開弁操作も、比較にならないくらいに、ICへの給水の方が簡単だから、である。


津波被害後、電源が落ちたのなら、直流が使えるかどうか、冷却機能は何が残っているのか、確認するしかなかったであろうに、ICの弁開度計の数値や水位計の数値を目視で確認しなかったことがどうしてなのか疑問だ。


格納容器圧力が高圧になる以前なら、消火系ディーゼルポンプが動いていたのだから、そこから格納容器内へ注水(勿論、ICの冷却水にも)することだってできたであろうに、給水ラインがなかったことが致命的となった。


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福島原発事故を巡る東電の大罪~6

2015年05月16日 13時38分29秒 | おかしいぞ
(続き、追記部分あり)


疑問点12:
1号機の「原子炉水位が分からない」とはどういうことか?



枝野官房長官の発表などで「水位が分からなくなっている」という文言を聞いたように記憶している。普通に考えると、「言うに言えない」ってことであり、バレたらまずいので「分からないと言うしかない」くらいに非常にヤバい状況ってことだと、殆どの人たちは受け止めていたのではないか。


なので、まず「水位が分からない」というのは、裏返せば「燃料棒が露出しているであろう水位です」とか「冷却材はほぼゼロです」というような話ではないかと。

他には、電源がないので計測できない、という可能性はあるだろう。東電はそれを言ってきたわけだ。パラメータが分からないから、やむを得ないのだ、と。これについては後述する。

別の可能性というのも存在する。
操作ミスとか運転員(東電の対策本部の頭でっかち)たちの知識欠如に由来する場合、だ。
操作ミスというのは、現場の運転員たちが自力でやってしまうこともあるし、遠く離れた本部の連中が、教科書的知識だけに基づいて誤った指示を出してしまい、かえって状況を悪化させたりするか、時間と労力だけを浪費させ徒労に終わるだけということもあろう。


具体的なミスの事例は存在する。
2007年10月30日の1号機において、原子炉圧力が計測できなくなった。A系とB系にそれぞれ4系統ある配管の弁の誤操作により、計測数字が表示されなくなったというものである。一つの系には、原子炉保護系に2管、IC系に2管が接続されており、その元弁が閉止されてしまった為であった。
ここから分かることは、原子炉圧力を測定するのに、保護系は2×2(A、B)と4管が使われていること、IC系にも同じく圧力測定用の配管が存在すること、の2点である。IC系の圧力測定を行うのは、前述した通りにトリップ条件が差圧によるものであるからで、安全機構を動作させる為には圧力数値が分からなければならない、ということだ。


仮に、どこかの配管からリークが疑われたものの、場所の特定ができない時、とりあえず可能性のありそうな所を「閉めてみろ」という指示に基づいて、手動でこうした元弁を閉じたりすると、計測用配管も閉じてしまって圧力が測定できなくなってしまう、ということ。誤操作というのは、事故発生以前から存在している場合(顕在化しなかったのは偶然使用される場面がなかったから)でも、事故後に実施した操作でも起こり得るから、何が間違いか、何が問題だったか、というのを検証するのが難しいこともあるのだ。


東電は普通の計算モデルを持っていたはずだろうから、たとえ計測数値が正確に分からない場合であっても、おおよその見当はついていたはずだろう。注水が止まっていれば、内部水の量とか発熱量は殆どが分かるはずなので、水がどのくらいの時間で「なくなってしまうか」というのは、計算できるはず、ということ。


過去の研究モデルのざっとの水準でも、2時間を過ぎると燃料棒露出の可能性がでてきて、2時間半~3時間もするとメルトダウンが始まるであろうことは言われていたわけでしょう?

つまり、17時半~18時くらいの時点では、既にこのままでは「メルトダウンの可能性大」というのが明白であったわけで、格納容器に接近できた時期にあらゆる手段を講じるべきだった。最初の2~3時間が勝負を分けることになるのは、原発を管理する人間たちならば誰もが分かっていたはずだろう?
にも関わらず、何ら有効な方法をとることなく、無為に時間だけが過ぎてしまったのだよ。誰も解決策を見出したり、的確な指示もできなかったということだ。


因みに、当日のネット配信記事では、次のような発表だった。


読売新聞 3月11日(金)18時26分

福島第一原発の1、2号機が運転停止

地震のため、両機とも運転を停止したが、原子炉を冷却するシステムが復旧しないという。同本部によると、2~3日は問題ない見通し。


=======


何という暢気な姿勢であろうか。18時過ぎの時点でさえ、「2~3日は問題ない」見通しって、超甘いことを言っていたわけだよ。こんな記事を書かせた連中というのは、どこのどいつなのだ?本部の人間って、こんなにバカなのか?
結果は、真逆で、2~3日もしないうちに原発の爆発が相次いだんじゃないのか。メルトダウンどころか、メルトスルーという世界でも類を見ないレベル7の事故を起こし、核物質をまき散らすことになったんじゃないか。


18時半の時点で、1号機はメルトスルーに至っていたかもしれないのに、だ。
格納容器はまだ保たれていたであろうが、内圧はうなぎ昇りになっていたであろうに。水位が読めません、なんて段階ではなかったのだよ。今の福島原発のような、壊滅的事態を招くであろうことは、ほぼ想定できたであろう。現場を知る人間ならば。


水を入れる方法を、3時間も誰も考えていなかったことが、不思議でならんわ。



(追加)16時半頃


3月11日の夜、電源車が何台も到着したはずだろう。それから、何時間も大勢で何をやっていたのか、本当に不思議でならない。しかも、皆さんは本業の電気屋さんたちなのですよね?電力会社の、本職の、専門家たちなのですよね?
それでも、電源が供給できるようにならない、というのが、全く分かりませんわ。


病人がいるとしますか。救急搬送された人でもいいんですが、とりあえず「やるべきこと」は限られていますね。
基本中の基本は、点滴をつなげられるようにすること、つまり「血管確保」=輸液ルート確保、です。原発の給水ラインを確保するのと、何ら違いがない。


東電や保安院がやったことというのは、現地に「輸液ボトルを100本運べ」とか、「輸血用の血液100単位を運べ」ということで、病人のベッドの横に輸液ボトルや血液パックが山積みにされたわけだ。

これでどうやって治療できると?
作業が慣れている人間がたった一人でもいれば、点滴セットや延長チューブや三方活栓などは、忘れず組み立てられるわけ。でも、知らない人間がやると、ボトルや血液がたくさんあっても、「入れようがない」ってことになるんだよ。現場で組み立ててから、「延長チューブがないので届きません」って、何を言ってのかと思うね。

細くても難しくても、とりあえず「何が何でも」ルート確保、これが最優先に決まっている。輸液ボトルを大量に輸送する納品業者が100人いたとしても、決してルートは確保されないんだわ。たった1人でもいい、刺すべき血管が分かること、そして実際に刺せること、これが実行できれば、最低限1ルートは確保できるわけだよ。必要なのは、たった一人の「分かる人間」であり、時々刻々対応し判断できる人間、だ。東電は、それすらもできなかった、ということ。


1号機は、兎に角1ラインでもいいから、給水ラインを確保しなければならなかったのに、「計器を読むこと」なんかに時間を無駄にかけてしまっていなかったか?
血圧がいくらか、なんて、数字見ても見なくても、ルートがなけりゃ手段が限られるんだから、血圧測定の結果が出るまで待つとか無意味。正確な数字を知ってみたところで、やるべきことはルート確保だから。血圧が極端に下がってるな、とか、逆に上がってるなってのは、パッと見で分かるんだから、必死でルートを確保するに決まってる。

また、輸液してても、「何かおかしい」と感じたら(入っている感じがしない、効果が感じられない、等)、チューブ類が途中で外れてるとか漏れがないか、チェックするのも当たり前だろうに。
全体像を把握して判断する、というのがどうして普通にできないのか、全く分からない。


3日以内に輸血しないと死亡するかも、という場合、無駄に24時間とかを使うと思うか?何日もダラダラと引き延ばすか?
そんなわけがないだろうに。全力で輸血準備をするだろ。だが、東電は3日経っても間に合わず、全てを壊滅させた。


2号機や3号機は、24時間以上経過していて、その間、奇跡的にバッテリーが継続し、RCICやHPCIやSRVが機能しており、1号機のようなメルトダウンが免れていたというのに、どうしてあんなに何十時間も経ってからでさえ、冷温停止ができなかったのだ?
電源復旧をしてバッテリー車を繋いだと言っていたのに、それでもダメってどういうことなの?
普通は、10時間くらいもすると、冷温停止に至るわけでしょう?
長いケースでも12時間もすれば、RCIC(HPCI)使用から低圧系の何かで冷却が終われるくらいになるんですよね?
S/Cのプール水は、冷温停止にできる量をはるかに超える水量が入っているのですよね?


それで、どうして、36時間以上経っても冷温停止にできなかったのかが分かりません。ひたすら水を入れればよかったのに、冷温停止にできない理由というのが、全然分からないわけです。要するに、誰も冷却方法もラインも分からなかった、打開策も正確な指示も考えつかなかった、ということですよね。

それが、原発を管理してきた東電、保安院、原発メーカーや技術者集団の、出した答えだった、ということなんですよ。


簡単に言えば、「どうしていいのか、分かりません」だ。
そして、現実は、その通りになり、反映された結果が、3基とも爆発、だ。


でも、次回からは、「オレが答えを知っているから、大丈夫だ、オレに任せろ」ということになるんですか?どうして?


2011年3月のお前ら(の実力)と、今のお前らでは、一体全体何が違うと?
そんなに、実力が上がったとでも?
嘘だろ、そんなの。
昨日までろくに手術できなかったのに、何人か殺せば、できるようになるとでも言うつもりか?明日は、手術が成功できると?アホだな。


格納容器は健全だ、って豪語してたんなら、作業ができなかったなんてことはあるわけないだろう?放射性物質が漏れることなどあり得ないし、建屋が吹き飛んだくらいでは漏れないんだろう?(笑)
被曝だって、全然へっちゃらなんだろう?


だったら、どうして1日や2日で、代替ポンプ仮設とか、電源復旧とか出来なかった?2号機や3号機に給水ラインを作ることさえできなかったわけだろう?
その程度の簡単なことすらできなかったのに、どうして次からは大丈夫だと断言できるんだ?
分からない人間が何人集まっても、分からないんだよ。


(更に追加)


疑問点13:
IC系配管の破断は検出できなかったのか?



既に書いた通り、ICの圧力計測用配管というのが2管は接続されているであろうことが分かった。
そして、他にも機能があるであろうことも分かった。東電資料では、一切述べられていなかったわけだが。


それは、「IC配管破断検出器」(dPIS)である。
当初、運転員の証言として、ICの手動停止はICの配管にリークがないか確かめる為、ということがあったであろう。
だが、元からdPISが備わっていたのであれば、ICを起動して開弁状態になった時に配管のどこかに破断の存在が疑われる時には、圧力測定で圧低下が観察されるから破断検出されるはずなのだ。目視確認とか、そういうレベルの話ではないのである。

機械的にリークの警告は検出可能であったはず、ということ。アラームがなかったのであれば、破断の可能性はほぼ無視してよかったであろう。もしICの閉弁をする場合でも、A系かB系の片側は残しておくべきであった。発生蒸気が戻り水になるICのシステムは、最も原子炉水量を維持するのに役立つのだから。


それから、計測用配管2管と同じなのか別なのか分からないのだが、差圧によるトリップ条件の発動に必要な配管が「差圧検出用取出配管」である。もしもIC系の配管にリークを疑うなら、ICに接続される配管やこの差圧検出用取出配管系に漏洩ということだ。これらが機械的にdPISで感知できないという可能性は果たしてどれほどあるかということと、たとえ微小リークが疑われたとてICを止めるリスクとの比較でどうか、という点からして、IC停止を正当化できるほど強い理由は誰も立論してないだろう。


何の為の自動化なのか、よく考えてみるべきである。


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福島原発事故を巡る東電の大罪~5

2015年05月15日 13時50分15秒 | おかしいぞ
(続きです)

疑問点9:
1号機の原子炉運転モード切り替えが遅かったのは何故か?



アラームタイパでICの自動起動信号の直前にあるのが、原子炉モードの切り替えのようであり、通常スクラム後にはモードを「運転」から「停止」へと切り替えるわけである。それが実行された時間が、スクラム47分から約5分後の52分だった、ということだ。


14時52分

RX MODE SW STAT ON
RX MODE SW OPER OFF
RX MODE SW REFUEL ON
RX MODE SW STAT OFF
RX MODE SW SHT DOWN ON
RX MODE SW REFUEL OFF


当初、この信号の意味が全く分からず、非常用復水器の稼働と停止ではないかと思ったりしていた(http://blog.goo.ne.jp/critic11110/e/0e8f10d4335ff8043a8de02e1c0ad6ea)のだが、その後の東電説明により原子炉モードの「停止」操作であることが判明した。

原子炉スクラム後にするべき当初の動作として、制御棒挿入確認と原子炉モード切替操作であり、運転から停止にするのが普通のはずである。各種説明や運転マニュアルなどでもそうなっているだろう。

ところが、1号機の運転員はこの操作を実施したのが5分も経過してからだった、ということである。どうしてなのだろうか?
考えられる理由はいくつかあるが、単純ミスだけだろうか?
これまで書いてきたように、過去に経験したことのない状況に陥ってしまっていたとしたら、「どのように操作すべきか」が混乱して分からなくなってしまっても不思議ではないんじゃないか。
中央制御室が、地震被害によって、通常の操作ができるような状態になかった?
もっと深刻な警報(既に漏洩関係の可能性を指摘した)が出ていて、そちらに気を取られてしまい、「停止」操作を失念したとか?


スクラム、MSIV全閉、発電機トリップ、ポンプトリップ、となってから、原子炉モードを「停止」にするというのは、どうしてなのか?



疑問点10:
ICに自動停止機能は存在したのに、何故手動停止は必要だったのか?



津波前であっても、スクラム後から非常に多くの警報に対応しなければならず、やるべきステップ数は多いだろう。また、外部電源が喪失していたということなら、D/G起動後の電源切替操作もやらねばならなかったはず。これらを同時処理するのが困難な上に、ICを手動でコントロールするというのは、かなり熟達した人たちでなければ難しいだろう。


そもそも、機械的にパラメータで制御するのは、人間のミスを減らす為にあるわけで、多数の作業を処理しつつ機械がそれを補ってくれるはずなのだ。
なので、難しい判断を必要とする原子炉操作は、元から「使い慣れないIC」なのだから、自動制御に頼った方がよいに決まっている。

ICの自動起動は7.13MPa、という条件と書いたが、自動停止(自動の閉弁だろうか)条件があった。
復水器への蒸気管差圧(300%)か、復水器からの復水戻り管差圧(300%)信号でトリップする。マニュアルで見ても、ICは基本的に手動停止させない。電源喪失原因が何であれ、IC手動停止は「原子炉圧力が1.04MPa以下」であって、手動停止はない。



疑問点11:
無停電交流電源装置(CVCF)は全く無効だったのか?



東電が言うには、MSIV全閉となったのは計測機器電源が喪失(外部電源が喪失したことによる)したからだ、ということだった。
本当に、そんな現象が起こるのか?

普通の重要機器を考えてみるとよい。例えばパソコンなんかでも、停電に備えて、無停電電源装置を設置していることはあるだろう。これと同じ原理が原発施設でも採用されていない理由があると思うか?

本当は、外部電源が落ちたくらいで、全部の計測機器が電源喪失となるわけではないだろう。基本的には、CVCFが備えられているので、非常用ディーゼル起動で給電が開始されるまで停電状態になんてなるわけないのでは?

そんなに安い設備だったら、重大な緊急事態の場面で、最初の数秒が「計測機器が電源落ちて空白時間帯です」って、なってしまうではないか。

アラームタイパからすると、D/W圧力計やS/Cプール水位計が動作しており、それはMSIV閉信号が出る14時47分50秒直前でも計測していたことがうかがわれる。主蒸気管AとCが先に閉信号が出たが、BとDの信号が出るまでの間(51秒710)でも、「SUPPRESSION LEVEL」及び「DRYWELL PRES」の計測信号が出されていたように見える。


*D/W圧力計やS/Cプール水位計は、全交流電源が喪失すると、計測できなくなる機器である(DC電源で監視可能なのは、原子炉圧力と水位(狭・広帯域)計である)。これら計測機器が生きていた、ということは、1号機MSIV閉信号の時点で交流電源は使えていた、ということを意味する。


これは恐らく、CVCFが機能していれば「計測機器電源」は一時的に外部交流電源が受電できない状態であっても、内部のD/Gが2台使えるわけだし、計測機器を停電にすることなど通常ではあり得ないだろう、ということだ。

また、このCVCFはHPCIとも関係しており、交流電源喪失状態になった場合には、原子炉スクラム後原子炉水位の調節には、やはりHPCIを使えるようにする、ということになっているわけだ。原子炉圧力の監視と調節は、基本はSRVとHPCIなわけで、しかも計測電源が喪失(外部電源やD/G起動できず使用できない=全交流電源喪失の場合)したとしても、CVCFがあるので「HPCIタービン入口蒸気圧計」で圧力監視が補われるということになっているのである。したがって、HPCIを起動しない理由というものは、基本的には存在しないと言えよう。もしあるとすれば、水位高L-8信号でトリップする場合くらいだろう。

前項の原子炉「停止」モードにするのを忘れたいたくらいだとすると、HPCI手動起動まで頭が回っていなかったことは想像に難くなく、余程とんでもない状態にでも陥っていなければ、スクラム+MSIV閉後の基本操作を取らない理由はないだろうからね。


東電が何か重大なことを、事故直後からずっと隠し続けてきたのだろう。内部の人々も、自分の失敗を隠そうとしたりしたか、非常にマズいことを情報集約に回さなかったが為に、対策が誤りであったり遅れたりしたことは間違いないだろう。


隠そうとしたことが、3月11日の1号機の状況を極端に悪化させることになったはずだ。


計測機器電源が全号機の「MSIV全閉」理由でない、とすると、東電の出鱈目が明らかになるわけだ。
意図的に、嘘を言い続けてきた、ということだ。
これが犯罪的ではない、と?


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福島原発事故を巡る東電の大罪~4(追記あり)

2015年05月12日 21時31分44秒 | おかしいぞ
◎寄り道:


未だに東電の罪は、隠されたままである。彼らのような連中がのさばり続ける限り、日本に未来などない。


東電の説明は明らかに異常である。
なのに、誰も指摘できない。一部について、事故調でお小言を言う程度でしかないのだ。まともな学識者たちも殆ど存在しないか、矛盾点を追及できる人間など全くいないということなのだ。このような連中に、これからも原発を任せていかねばならないとなれば、廃炉作業など夢のまた夢なんじゃないかとしか思えない。


また喩えで申し訳ないが、東電の異常さについて言うと、以下のような感じ。
将棋の棋譜ってあるでしょう?
あれは、応手がきちんと把握でき、先手がどういう手を指したか正確に分かるわけです。事後的に見ても再現できるし、あまり将棋が強くない人が見ても分かるわけです。

東電の説明というのは、これとは全くかけ離れています。
通常の棋譜ならば、初手が何、7手目は何、15手目は何、と分かりますよね?しかも、どうしてこの手を指したのですか、と尋ねれば、きちんと理由が返ってきます。しかし、東電の説明は全然違う。


8時25分、将棋会館へ向かうバスに乗る。
その日は必須アイテムの扇子を忘れた為、集中できず実力が発揮できなかった。扇子は勝負に組み込まれているようなものなので、やむを得ず。
11時30分頃、5手目に歩を突いたが、仕方ない。他の手は選択できないからだ。
26手目で飛車を取られた。玉を守る為だったから、しょうがない。
15時46分くらいに、トイレに立つ。
51手目で金で受けた時、観戦記者が入室。苦しい形勢だ。
78手目、大駒だけでなく、金銀も失う。戦意喪失だ。
89手目、詰んだ。もう玉の逃げ場がなかったからだ。


こんな感じ。バカみたい。

これで、どうやって対局の刻々の変化や一手毎の良し悪しが分かると?棋譜を正確に全部出せ、って要求したら、「ああ、昼食はカツカレー、おやつはケーキを注文しました」って、全く将棋の内容には関係ないようなことばかりを並べてきやがるわけだよ。アホか。「観戦記者さんはね、○○新聞の人なんですよ、知ってました?」とかって、無駄情報入れてくるな、ボケが。


問)5手目の歩を突いた局面は、他の選択肢がないというのはどういうことですか?
→いや、戦型的には定跡らしいんですが、戦型は秘密で言えません

問)飛車を取られたのは王手飛車だったのですか?
→そうでもないんですが、玉形が悪過ぎて、どうしようもなかったんですわ

問)詰みの形と手順って、どういう感じだったんですか?
→もう敗北のプレッシャーで混乱してて、あまりよく分かりませんが詰まない順はなかった、というのは確かですね


もうね、こういうのらりくらりで、まともな答えになってないわけですわ。知りたいことが全く判明しないし、言わない。
で、結局、将棋の内容とかの検討が全くできないわけです。都合の悪い部分は全部隠しているから、対局の状況が全く見えない。でも東電のバカはこれが「オレ達の棋譜だ」って言い張るわけ。


観戦記者の様子とか、トイレ休憩とか、中心部分とは無関係じゃないの。だけど、そういうゴマカシを入れないと、棋譜らしきものにもならないから、言い訳大王気質が全開で、無駄情報を満載にしてくるんだわ。オレが知りたいのは、一手一手の記録だ。正確な棋譜なんだよ。
こんな卑怯な手を使ってくるのは、東電くらいだろうに。そういう能力だけは長けているからだ。クズ官僚どもと一緒。無駄な書類作成とか、無駄情報の山を築くことはできるが、中身がない、ってやつだ。
他の人たちなら、棋譜を提出して下さい、って言うと、普通の棋譜を出すんだよ。しかし、官僚主義帝国企業の東電さんは、違うわけ。負けの棋譜を隠すんだ。その上、言い訳だけは満載なんだわ。で、結局、情報が少な過ぎて、差し手が分からないから、戦型の適否も、悪手の存在も、何も分からないようにできているわけさ。
「どうして金で受けたら苦境だったのですか?」って尋ねても「普通は受けは金っていうのがセオリー」とか返答してきやがるから、それ以上言いようがないわけだ。ほぼ全部がこんな調子。




話は変わるが、津波被害で浸水して、発電機も配電盤も使えなくなったんだ、だから仕方ないんだ、って言い分ね、これもヘンだと思わない?

だって、原子力施設って、水だらけじゃないですか。
原子炉内部も、使用済燃料プールも、巨大な抑制室プールもそう、蒸気配管や、給排水ポンプと配管類もそう、復水器関係もそう、どこもかしこも水だらけ、ではないですか。
なのに、水がこぼれてしまい、濡れたので、原発が次々と爆発しました、って、相当頭が悪いとしか思えないんですが。そんなに簡単に隣の部屋に水がこぼれていってしまいます、って構造なのですかね?本当ですか?

だとすると、もうね、頭がおかしい。
そんなに簡単に、配電盤がいかれたくらいで、原発が終わってしまってたら、水災だけじゃなく、火災とかだってあるだろうし、電線故障とか、何があるか分からないでしょう?
その度に、電源喪失だ、M/C(メタクラ)やられた、もう駄目だってなるのか?
どこが多重防御なんだよ。単純に、メタクラだか配線だか失ったらおしまいだろ。その程度のものを、偉そうに大丈夫だ、とかよく言えるな。


津波で浸水って、本当か?
今回の記事で書いたが、SGTSとかPCISって機能は、とにかく密閉性を高めて、外部には漏らさない、ってことなのだよな?


それなのに、ちょっと水かさが増えたくらいで、あっという間に原発中が水没するもんなのか?
だったら、気体を外部に漏らさないなんてシステムそのものが、何の意味もないだろうに。アホか?
例えば、各部屋毎に気密性の高い扉の構造になってないと、建屋の陰圧ができないのでは?二重扉、水密扉とかじゃないと、意味ないんじゃないのか?


こういうのって、原発施設内部を見たことがある人間ならば、すぐに分かることなんじゃないのか?
海側のヒートシンク系ならまだ分かるよ?
だけど、原子炉建屋内部に、そんなに簡単に水が腰まで、とか、浸かるもんなのか?到底信じ難いわ。建屋内部に一つ目の部屋には水が滲み出しました、程度ならまだ分かるが、次々と水浸しになるもんなのか?だったら、本当の冷却材漏洩事故が発生したら、簡単に漏れ漏れになること間違いなしではないか。


まあ、本当にそういう構造物なら、作った人間もバカ、運用してる人間たちも相当のバカじゃないと、あり得ないわな。それでよく安全です、漏洩しません、って断言できたね。

この程度の連中が作ったのなら、やっぱり信頼などできるわけがないわな。だって、根本的におかしいから。構造物として。その程度のトラブルすら予期できないってことだし。
違うというなら、東電の大嘘がバレるので、やっぱり出鱈目業界だってのは確定だな。
どの道、異常なんだよ。原子力ムラの連中ってのは。


その上、平然と国民を騙し続けるんだから。


(追記)

これまでにも、何度も嘘をついている、と指摘してきたわけだが、政府は勿論、マスコミさえもがみんな黙り込んでいるのだよ。
原発事故で死亡した若者たちを忘れたか?

「多発性外傷」が起こった理由というものを、本当に考えたことがあるか?

2011年4月3日>http://blog.goo.ne.jp/critic11110/e/a8ebcbafc093b2266bb448ad0483cce3

津波で浸水したとしたって、タービン建屋内部に、濁流が押し寄せるとか、映画『タイタニック』みたいな船内通路が急流みたいになって押し流されるみたいなことが、現実に起こり得ると思うか?

そんなのは、デタラメなんだろうよ。騙しているだけだろ。

引用した記事だが、ヤフーニュースにあって、紙の紙面にない場合、それはどういうことなのか問題になるだろう。
紙でもやっぱり記事があるなら、讀賣新聞の過去記事検索で必ず存在するはずだ。

そして、この報道内容が虚偽でないなら、通常では考えられないようなことだが、水の被害で2名の若者が死亡したってことだ。それとも報道内容が虚偽であったのなら、建屋内の浸水が激流であることは否定されるが、読売新聞記事がデタラメであることは確定するだろう。


2014年1月19日>http://blog.goo.ne.jp/critic11110/e/b845d6783fe52e6a851fc917760d892e


この時にも、ヤツラの罪について、糾弾するべく記事を書いたわけだが、原発推進派たちには何らの効力もなかったわけだよ。
世の中の弁護士たちの中で、戦いを挑める人間がいるなら、たった一人でもいい、専門家たちの知識に太刀打ちできるよう、力をつけてもらいたいものだ。どんな記録でも資料でも、くまなく調べれば手がかりや糸口は見つけられるはずだ。拙ブログは、無駄かもしれないが、記事に書いたことが今でも役立っているように思える。諦めずに、調べて欲しい。


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福島原発事故を巡る東電の大罪~3

2015年05月12日 13時51分52秒 | おかしいぞ
続きです(追記あり)。


疑問点7:
1号機のMSIV全閉が起こった理由は計器電源喪失が原因か?



①主蒸気管の異状?

アラームタイパによると、主蒸気管閉信号が出る前に別のアラームが見られていると思われる。

・14時47分50秒920
STM LINE RAD A   HGIH

・14時47分50秒930
MAIN STM VALV A   CLOSE
STM LINE RAD C   HGIH
MAIN STM VALV C   CLOSE

・14時47分51秒720
STM LINE RAD B   HGIH
MAIN STM VALV D   CLOSE
MAIN STM VALV B   CLOSE
STM LINE RAD D   HGIH



推測では、CLOSE信号が出る直前に、「主蒸気管放射能高」信号が出されたようであり、A弁及びC弁が立て続けに閉鎖されたように見える。同様にBとDでも閉鎖信号が出たように見えるわけだが、Dはほぼ同時に閉鎖と放射能高信号が出た為に表示が前後していたのかもしれない。
「主蒸気管放射能高」信号はMSIV閉鎖を自動起動するはずである。


②SGTSの自動起動と自動停止

通常だと原子炉スクラム後には、SGTSが起動する。いわゆる「閉じ込める」機能を確保する為である。PCIS(格納容器隔離系)も起動する場合がある。
1号機アラームタイパでは次のようになっていた。

・14時47分21秒920
SGTS B START ON

・14時47分50秒920
SGTS B START OFF


一度自動起動したSGTSは何故か30秒未満で停止となった、ということであろう。次の瞬間には、多分別の機能の「ラディエイション モニタ」(高濃度検出?)が自動起動した、と思われるのである。


・14時47分51秒720
SGTS RAD MON HI(L/R) ON



SGTSの通常の空調システム(建屋内部を陰圧に保つ)が一度動かされたのに止まって、「放射能高の場合」の別機能が動作したように見えるということ。


これらアラームタイパからの、スチームライン(A~D)放射能高とSGTS機能を見ると、いずれの警報も一致して「放射能高(RAD HIGH?)」状態が発生した可能性を示しているのではないか、ということである。
その理由とは何だろうか?
制御棒挿入時に燃料棒の一部損傷が発生した、とか?


③D/G起動信号はMSIV閉信号よりも後

アラームタイパでは、D/G起動はMSIV閉より少しだけ遅れて発動している。

・14時47分51秒940
6.9kV BUS VLT 1D LOS ON

・14時47分52秒080
6.9kV BUS VLT 1C LOS ON

・14時47分57秒070
DIES GEN CB 1D-1 ON

・14時47分58秒920
DIES GEN CB 1C-1 ON



これらの時間が、2号機や3号機の場合と一致しているようには見えない。
また、MSIV手動閉としていたのは3号機であった。自動閉ではないようだ、ということである。本当にタービンバイパス弁(BPV)制御を使っていなかったのか?(もしも使っていたなら、3号機だけがRCICの起動時間が遅かったことと整合的である)
計器電源喪失が原因であれば、全部同じく自動閉となるはずなのだから。



疑問点8:
1号機は津波が来るまで何をしていたのか?



あくまで推測でしかないが、東電が公表していたものとは違うのではないかと思う。拙ブログでの見解を述べてみたい。

スクラム直後からの数分では、各種のアラームが発せられるので、全部を確認するのは難しいだろう。少なくとも、制御棒挿入などの基礎的事項の確認作業に追われることになるだろう。
主蒸気管の放射能高信号でMSIVが全閉となり、原子炉は隔離された状態となった。ここで、SGTSなどの「放射能高」信号か、D/W(ドライウェル)圧力上昇か放射線量上昇、原子炉圧力低下、などが重なっていたら、どのように判断しただろうか、ということである。

原子炉圧力低下は、ICが動いていたから、という理由の他、SRV関連による理由というのも想定されよう。
同時に、D/Wの変化をどう読むべきか?
「ひょっとすると、圧力容器からの漏洩がD/Wにあったのではないか?」
そのように考えても不思議ではない、ということだ。
そもそもMSIV閉が「主蒸気管放射能高」信号で発生していたなら、D/W内放射線量上昇があっても「おかしくない」と現場で判断したとしても整合的であろう、ということ。


記録から分かることは、

ア)圧力抑制室プール(S/C)の水位警報がアラームタイパで頻繁に見られた
イ)格納容器圧力上昇、S/C差圧上昇
ウ)CCSを機能させたとの証言、動作記録(15時04分頃B系 同08分頃A系)
エ)SRVの動作状況が津波前に見られないこと

などである。そして、運転員が「漏れを確認する為、ICを手動停止させてみた」と証言したとされる、国会事故調などの記述だ。


推測されるのは、例えば、ア)からSRVの弁機能かその周辺(接合部やS/Cへの配管系)の故障か損傷か異状である。
本来であると、開閉が自動的に起こって閉弁されるのだが、漏れが続くと蒸気がS/C内に持続的に噴き出すことになろう。しかも、アラームタイパでは正常水位信号と水位高信号が交互に頻繁に出てるので、水位計のうち噴出部付近の水位計だけが異常値を示すもののプール全体は大きいので他水位計は正常値を返す、の繰り返しだったとか?

他には、D/Wへの漏洩であるが、この場合にもSRV周辺の漏洩箇所があれば、MSIVが全閉になっても漏れるので、D/W放射線量上昇か圧力上昇(温度上昇までにはもう少し時間がかかるのかもしれない)が観察されていたのでは?

そうすると、SRVのどの弁に故障があるか分からず、手動で弁を閉止した、ということなら、SRVの動作記録が存在してなくても、おかしくないかもしれない。
また、ICを手動停止した理由として、リークがないか確認した、という証言があったことは、D/Wへの漏洩を想定するなら整合的だ。圧力容器を出たICに接合される配管のどこかにリークが存在する場合、D/Wへの蒸気漏洩になる可能性があったので、「閉じてみた」ということであろう。

また、CCSを作動させていたなら、これとも辻褄が合う。
何故なら、D/Wに放射性物質が噴出している場合には、D/W中に格納容器冷却系のスプレイを噴霧することで物質飛散防止効果があるし、リーク箇所からの蒸気噴出による温度・圧力上昇に対する低下効果が期待できるからだ。条件イ)とウ)を説明することができる。

チャートでも『TRS-1601-71A』でS/Cプール水温が低下していたが、もしも東電が言うようにICが動いたのでSRVが全く作動しなかったとするなら、SRVからの蒸気が流入することのなかったプール水を冷却する意味は殆どない。逆に、前述のようにD/WかS/Cへの漏洩があると判断していたなら、格納容器スプレイでもS/C冷却のいずれでも有用であり意味がある。

すなわち、津波到達以前に、D/WかS/Cへの漏洩が強く疑われた状態だったのではないか。
そうであるなら、格納容器隔離は確実に行われるし、リーク箇所を探索する操作をいくつかトライするとしても、当然かもしれない。それが、IC閉弁とか、SRV閉などであったのではないか?

そうではあっても、RCICのなかった1号機ではICを閉じてしまうと冷却能が失われるので、HPCI起動で注水力を確保すべきだったと思う。SRV+HPCIがあれば、上まで水位が保たれ、たとえリークが存在していても水位低下よりはまだマシだったかもしれない。満水にしてしまえば、格納容器冷却でもどうにかできた可能性もある。


それから、リーク箇所探索を行っている最中に、弁の閉操作を手動でやったりしているうちに、丁度閉じた状態で「電源喪失」になってしまったが為に、後々開弁操作が困難になってしまった可能性があるのではないかな。
それは、

・D/WかS/Cへの漏洩で、堅固な格納容器隔離が機械的に発生してしまう
・リーク箇所の探索の為、各弁の手動閉操作を行っていた途上で電源喪失

などにより、
原子炉の調節能の大部分が失われた、という結果を生じたのではないか、と。


簡単に書けば、

格納容器に漏れる→閉じ込めようとする→各種弁は原則閉じられる→後にアクセスが困難になる

ということ。
それは、後のベント作業が非常に困難になってしまった、ということだろう。


なので、1号機に関して、整合的な説明があるとすれば、格納容器内へのリークの存在が示唆されること、ではないか。しかも、燃料棒損傷等による放射線量上昇でMSIV全閉に至ったのであれば、やはりD/W放射線量高となるかもしれない、ということである。



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福島原発事故を巡る東電の大罪~2

2015年05月11日 22時09分18秒 | おかしいぞ
続き


疑問点6:
1号機のMSIV全閉の時刻は、2、3号機と一致していたのか?



チャート類からは、読み取れない。疑問点1で前述したように、記録起止時間がバラバラだからであり、警告時刻や時系列表でもあまり正確には分からない。東電説明によれば、MSIV閉の理由は外部電源(交流電源)が落ちたことにより計器電源が一時的に喪失し、その信号で自動的に閉鎖となる、というものだった。この事実の根拠となるものは、どこにも示されていない。
唯一あるのは、東電の説明、だけである。もしも電源喪失が原因ならば、全基が同一の外部電源だったはずなので、同時に全閉となる。

そもそもこの事実こそ、疑わしいように思われる。


①単一信号でMSIV全閉が自動的に起こるのか?

通常、原子炉スクラム信号であっても、大雑把に言えばA系とB系があって、A系だけの信号の場合には自動停止動作は起こらないはずだ。何故なら、スクラム後の面倒を考えれば、信号の誤発信とか、機器の故障とか、理由があり得るからだ。

にも関わらず、MSIV全閉は、「原子炉計測機器の電源喪失信号」でもって、いきなり閉じられる、ということか?
原子炉のスクラム前に閉信号が発生することはある(代表例がLOCAだ)が、その場合、前後して原子炉スクラムとなる。

すなわち、どんな理由であれ、計測機器の電源喪失信号があれば、
  MSIV閉→原子炉スクラム、発電機停止
となってしまう、と。

その場合、非常用ディーゼル発電機D/Gの給電信号は全く関係ない、と。
そういうものだ、と言われたら、そうなんだなと思うしかないわけだが、そんな設計になっているのだろうか?
因みに、福島原発事故以前には、日本中の原発研究者たちや技術者たちでさえ、計測機器の電源ダウン信号でMSIV閉が起こることを誰も知らなかった、ということかね。
どんな成書にさえ、そのような記述がどこにもない、と。設計仕様にも書かれていない秘密の事項、ということか?


普通は、原発施設内で発電しているわけだから、自分で発電した電力を自家消費しているに決まっているだろう。ただ、外部電源は事故防止の為に必要ということであるが、もの凄く遠くの開閉所とか変電所なんかが壊れたり、台風なんかで電線事故がどこかで起こったりして、電線が切れた途端に、発電所内部で発電中であるにも関わらず、いきなり「計測機器の電源喪失」信号が発生する、と?

普通は、原子炉のスクラム信号が出た直後であっても、発電機は回ったままだから発電は直ぐには止められないはずだろう。数秒か数分は変わらずに発電し続けられるのではないか?
それに、発生蒸気はタービンを回しているが、その圧がいきなりゼロに途絶えたりはしないだろう。そうすると、原発施設内では通常通り発電中であるのに、外部電源の信号が途絶えただけで、計測機器電源が落ちた信号が出されてしまい、いきなりMSIV全閉→原子炉スクラムへと突き進む、と。そんなことがあるのか?


隣の原発が健全で発電を続けている場合、外部電源の故障があっても、D/Gを起動して何ら問題がないなら、外部電源が本当にダウンしてるか確認したりできるだろうし、計測機器電源を直ちにゼロにしてまでD/Gに切り替える意味があるのか?
もしもD/Gが先に起動していて給電できていれば、計測機器電源は保たれるのに?

D/Gは起動した直後に発電ができるわけでなく、定格に届くまで数秒はかかる。大体7秒前後、規則では10秒以内と定められている。したがって、D/G起動後であっても、電圧が一定になるまでは現実に機器接続などできるわけないし、施設内発電でまかなっている場面で、ゼロになっている外部電源に切り替える意味すらない。

1~3号機の計測電源喪失信号が同一時間に発せられない限り、全部がMSIV閉になることはなく、同一時間に電気信号が出されるなら、それはスクラム時刻が3基とも同じで、D/G起動後の給電がない状態で計測電源が切り替えられてしまった場合、ということしかないのではないか。原子炉施設内の発電機はまだ発電しているのに、外部電源に無理矢理切り替えられてしまう、とな。

参考までに、2号機のチャートを計測してみたが、おおよそ14時48分20秒前後であり、1号機の閉信号の時間とズレがあった。1号機では、47分50秒~51秒にclose信号(A、C、B、Dの順)が出ていた。もし、計測機器電源喪失信号が同一時間だったのなら、MSIV閉信号の出る時間もほぼ同一でなければならないはず、というのはそういうことだが、チャート上からは約30秒程度のズレがあるように思われる。ただし、不正確なグラフをいくら計測しても正確な結果ではないから、チャートは証拠にはならない。
ただ、設計として、異様なシステムだな、とは思う。信じ難い。


②3号機だけ冷却してなかった時間が長い

スクラム→MSIV全閉となって、2号機が14時50分にRCIC手動起動、14時52分に1号機ICが自動起動、だった。だが、3号機だけは、15時05分までは何にも手をつけていなかったのだ。その時間に手動でRCICを起動したが、約20分間も一切給水することなく放置していた、ということである。本当にそんなことが可能なのか?

前述した通り、MSIV開の場合だと自動調節が容易なのだが、全閉の場合だと調節が極めて難しいのだ。3号機が調節機能を保っていたのは、唯一SRVだけ、ということになる。原子炉圧力が高まるので蒸気が抑制プールに逃がされるが、水位はみるみると下がってゆくはずだろう。給水なしで、10分も持つわけがない。1号機だって、5分程度でICが起動している。

3号機はL-2でHPCIとRCICが自動起動するし、停止後20分間も水位がそのレベルまで低下しなかったとは考え難い。
あるとすれば、3号機だけは別の方法で冷却できていたのではないか、ということくらいだ。しかも、MSIV閉ではない、普段から慣れた主復水器を使う方法によってではないか、と。それならば、何もしてなかったとしても、合点がいく。


つまり、3基のMSIV全閉のタイミングは、一致していなかったのではないか、ということである。しかも、1号機と2号機は別の理由によって生じた可能性がある、と推測している。
少なくとも、計測機器の電源喪失信号という信じ難い理由で、MSIV全閉に至ったわけではないんじゃないか、ということである。


コメント
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福島原発事故を巡る東電の大罪~1

2015年05月11日 15時58分14秒 | おかしいぞ
事故当時から、どうも疑問点が多かった。東電の説明というのは、言い訳に終始しており、どうも後付けの都合のよいゴマカシをひねり出していた印象がぬぐえない。

拙ブログではその都度、疑問点を記事に書いたりしてきた。


2011年3月12日
>http://blog.goo.ne.jp/critic11110/e/05dfa2e4bdec954ee6aa41d60affc62e

2011年5月24日>http://blog.goo.ne.jp/critic11110/e/0e8f10d4335ff8043a8de02e1c0ad6ea

2011年10月26日
>http://blog.goo.ne.jp/critic11110/e/3ecfb64c88554a0258aa06000ad5692b

2011年12月27日
>http://blog.goo.ne.jp/critic11110/e/cc3adee362ad2c312ddc499248ac5ee6


東電は、何かを隠そうとしては、言い逃れができそうな理由を発表してきたのではないかと思える。一貫性や分かりやすく説明しようとする姿勢が皆無だからだ。
彼らが得意だったことは、巨大な原子力施設の危機的状況を乗り切れるだけの専門的知識や技術などではなく、いかに責任逃れと隠蔽を行うかということだけだった。


東電が平成24(2012)年5月に発表した資料を再度読み返し、彼らの言い分の矛盾点について考えてみることにした。900ページ以上の文書なので、ウンザリするのだがね。

東電資料『福島第一原子力発電所  東北地方太平洋沖地震に伴う原子力施設への影響について』である。


疑問点1:
各号機のチャート類が統一的ではなく、時間の起止も不一致であるのは不自然


基準点が例えば1号機で「14時45分33秒」、2号機だと「14時45分26秒」などと別々のデータを提出している。記録のスタート時刻が違うから、とか、元の印字だと見えにくいので分かりやすく再構成して表記した、ということがあるのかもしれないが、それならタイムスケールを統一しておけばいいだけであろう。
元の記録を出しているものと出していないものがある。安易に信じられるものではない。
また、水位、温度、圧力のグラフに関しては、ちょっと信じ難い。もっと変動が激しいのが普通だと思うのだが、何かの意図に基づいてデータが作り出されたかのような印象を受ける。この点に関しては、別項でも述べる。



疑問点2:
冷却操作での「55℃/hの基準」に拘るのは本当か?


拙ブログでは、当初からそれはヘンだと言ってきた。何故なら、巨大な金属塊の原子炉圧力容器数百トンと内部に数十~百トン規模の水が入った「入れ物」が、本当にたったの8分程度の冷却で55℃も温度が低下してしまうのか、ということへの直感的な疑問があったから、だ。

2011年8月>http://blog.goo.ne.jp/critic11110/e/188e9f2b836e7a07e749655e071edf90

同9月>http://blog.goo.ne.jp/critic11110/e/da07b9d81e438daaf1bd3403b835c176


①原子炉全体の冷却はそんなに簡単ではない

全体の重量が大きいこと、圧力容器中の水量がかなりあること、内部は約270~280℃の熱湯と蒸気であり簡単には冷えないこと、原子炉停止後の初期崩壊熱の発生量が最も大きいこと、などから、IC起動で圧力が一時的に急減したとしても、冷却材(燃料棒を満たしている水、ということ)温度急低下は困難である。


②東電資料の『TR-260-11』のグラフ、「再循環ポンプA、及びB」の入口温度の温度低下は不自然

第一に、内部の熱湯とICから戻した水を混ぜても温度低下は限定的である。
再循環ポンプというのであるから、内部の270℃以上の熱湯を汲み出して別の給水と混ぜて戻す、というものであろう。単純に270℃の熱湯と100℃の冷却水を等量混ぜたとしても、温度は185℃である。グラフは、それ以上に下がっている。
戻り冷却水の温度の方が優先的に反映される、ということがあるかもしれない。その場合には、内部熱湯を少しだけ混ぜて、IC戻り冷却水が大半であるかもしれない。それなら、温度が低いことがあるかもしれないが、矛盾点がある。それが第二の点であり、ポンプAもポンプBも大幅に温度が下がっていることだ。15時くらいでは、Aが140℃程度、Bは130℃以下だ。

しかし、ICの戻り冷却水は、再循環ポンプの両方には接続されていない。B系のみの接続であり、ポンプ直前にIC戻り水が混ざる仕組みなのだ。よって、再循環ポンプA系の温度がこんなに低下している理由は不明。1号機はスクラム直後に隔離されているので、給水ラインは全部止まっているから。従って、仮にICが頑張って冷却したとして、循環ポンプBの温度低下があったとしても、Aはそんなに下がることは考え難い。

両方が下がることがあるとすれば、それは、内部の熱湯温度自体が200℃以下とかに低下しており、戻り水が下に貯まって温度不均一となること、くらい?しかし、再循環ポンプ出口(圧力容器への戻り水の注水口)は燃料上部にあり、再循環ルートの出口(容器内の熱湯が出てゆく所)ノズルは、注水口の正反対側でかなり底部にある。冷たい戻り水が上から入れられるから、そもそも下に冷水が貯まる設計になどしてあるわけがない。崩壊熱で熱せられた水は底部付近の出口から出てゆく(この熱湯がポンプ入口に到達する)のだよ。その温度が150℃以下に低下しない限り、A系の再循環ポンプ入口温度が150℃以下に低下することなどほぼ不可能だろう。上から冷たい水注入、反対側の下から熱湯が流出、なのだよ。
現実にはほぼ考え難いのではないか。


③8分間のIC稼働で戻り水はどれくらい冷却効果を持つか?

ICの蒸気流量は「100.6t/h」ということである。従って、8分間だと約13.3tの蒸気が通過できただろう。一番最初に通過する蒸気は、ICの元々の温度(室温?)程度まで冷やされるだろう。しかしそれはごく僅かの量だ。次から次へと約280℃の蒸気が流入してくるからだ。そうすると、IC内部のタンク水はみるみる温度上昇することになり、沸騰する。沸騰したら蒸気が外に逃げてゆく。この気化で原子炉内部の蒸気を冷やすことができる。沸騰してしまえば、戻り水の温度は100℃以下には下がらない。いよいよになれば、280℃の蒸気が凝集するだけとなって、280℃の熱湯に戻るだけかもしれない。
仮にICで冷やされた結果、100℃の戻り水13.3tが戻されたとして、内部水が6倍量(約80t)の270℃熱湯だとしても、温度低下は約54℃でしかない。これは熱湯に100℃の水を混ぜたらどうか、という程度の簡単な試算なのですが。

条件として、
・実際の熱入力はもっとある
・蒸気は無視している
・容器温度も無視している
・内部水の量はもっと多いかもしれない
なので、
温度低下はずっとずっと限定的になることに疑いの余地はない。冷却材温度低下55℃/h基準に基づく説明は、極めて疑わしい。主復水器が動いている場合と全く違う、ということ。



疑問点3:
IC運転についての自動化部分が全くないのか?



普通は、警告信号などによってある程度の自動化がされているだろう。圧力や水位等のパラメータに沿って、運転したり止めたりといったことが自動的に行われるはず、ということだ。ICにはそれがないのはどうしてか?

RCICならば、自動起動した後、冷却能が効き過ぎれば「水位高」で停止信号が出て自動的に止まる。すなわり、仮に人間がうまく操作できない場合があったとしても、自動化でそこそこは事故回避が可能なようにできている、ということだ。
なのに、ICには停止条件というのが存在しないのは、何故なのか?
東電が明らかにしたのは、圧力条件だけであり、「7.13MPa以上」が自動起動条件となっている。

自動停止が存在しないのか?
もしそうなら、どうしてか?
また、水位条件が不明なのはどうしてか?
通常、RCICや高圧注水系のHPCIなどでは「水位低」信号で自動起動するのに、どうしてかIC起動にはそれがないのだ。

仮に、ICを運転したまま一切放置したらどうなるか?
SRVと違う点は、隔離された原子炉内部の水の絶対量が減らない、という点である。
SRVが作動したら、蒸気が圧力抑制室のプール水に戻されるので、内部水の絶対量は確実に減る。外部から注水しないと、いずれ水が枯渇する。しかしICの場合には「蒸気を水に戻すだけ」なので、圧力減少と伴に水位が上昇するのだ。しかも、駆動源がいらない、というのも重要。ICの信頼性が高い、というのは、そういう意味なのだ。

よって、完全放置すると、ICの水がなくなるまで冷却能は保たれる。水位が上まで行ったらどうなるか?自動停止能がない場合、ICの蒸気取り込み口まで満水になるだろう。そうすると、ICには熱湯が流れ込むことになる。ただ、そこまで冷やせるのか、というのは分からない。
少なくとも、弁が開いており、銅側の冷却水を補給できるなら、いつかは冷温停止に至るだろう。隔離された原子炉の内部水の絶対量は変化しないから、だ。もしも自動停止の条件が設計思想に存在しないなら、それは止めない(という前提だ)から、ではないのか。



疑問点4:
1号機のHPCI自動起動の水位条件は「L-2」ではないのか?



2号機以降のものだと、冷却材喪失事故等に備えて「水位低信号L-2」でHPCIが自動起動する。しかし、1号機では「L-2水位」の基準が示されていないのである。どうしてか?
東電資料によれば、L-3まではあるけれど、それ以下は「L-L」という基準しか存在しない、ということらしい。冷却材喪失事故への備えが、1号機だけはとてもユルい、という理由が全く分からない。

他号機だと、水位低L-2信号で、RCIC、HPCI自動起動、MSIV閉、といった、いわゆるLOCA対応の措置が多重で採られる。さらに水位低下L-1だと低圧系のECCSが作動することになっている。それに、RCICもHPCIも直流電源(バッテリー)があれば動くので、交流電源喪失時には欠かせないはずである。

仮に水位信号が全て「L-L」で発動したら、どうなると思うか?
アラートが止まらない、のではないか?
MSIV閉、D/G起動、HPCI、炉心スプレイ系、格納容器冷却系、RHR、ADS、全部がいっぺんに動くのか?
設計思想として、そんな処理システムになっているとは到底思えないわけだが。


でも、SRVより低圧設定となっているICだけが「圧力高7.13MPa」信号で一番最初に機能する、と?
それなら、他の冷却システムより一番先に利用される可能性と頻度からすれば、ICは最重要機器に他ならないだろうに。単純操作かつ運転は自動化されておらず、停止信号も存在しなければ、どの冷却機構よりも精通してて当然だろうに。
なのに、その運転マニュアルが存在せず、緊急時用のマニュアルを誰も作ろうとしたことさえない、だと?


疑問点5:
1号機の原子炉圧力や水位のチャート類のグラフが、キレイすぎるのはどうして?



恐らく、生データを見たことがある人間ならば、スクラム後でかつMSIV全閉となっている原子炉がどういう変動を見せるのか、というのは分かるのかもしれない。

1秒毎のデータとか、5秒毎のデータなんかであると、振幅が非常に大きく、刻一刻と数字が変動するから、「今どれくらいだ?」と聞かれても、答えようがないくらいに、もの凄く変化するよ、ということのはずだ。喩えて言えば、日々の株価変動(高値-安値)のギザギザを見るようなもの。でも週単位や月単位で見れば、もうちょっと大雑把なグラフ描記となる、みたいな。

東電資料の1号機データが分単位とかだとしても、もっと振れ幅が大きいはず。通常の停止過程での蒸気ラインも給排水ポンプも生きている時の自動制御時のグラフとは、全く異なるものだ、ということ。

人間が判断できるとしても、日々の株価変動とかではなく、一連で眺めてみた時には上昇トレンドとか下降トレンドが認識できるのに似ていて、大きな変動方向を見極める、ということだろう。トレンドと言うのか、モメンタムと言うのか、分からないけれど、変動の方向性、ということである。秒単位のギザギザを見ても難し過ぎて分からないだろう、と。

1号機の原子炉水位や圧力は、変化があまりに乏し過ぎる。まるで理想モデルの計算結果から導出したみたいなグラフではないか、ということ。移動平均みたいな平均値の描記だとしても、水位変動幅はかなり大きいはず。特に、スクラム後(MSIV閉)からの30分や1時間以内だと、もっとぐわんぐわんという変動があっても普通だということ。なのに、IC起動前の14時52分頃で、既にかなり落ち着いており、冷やしてもいないのに安定的なんてことはあり得ない。

手術中の人間の循環変動だって、収縮期-拡張期の動脈圧と心拍数とを描記したら、ギザギザグラフで変動幅が出るだろう。


(続く)
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