久々に中嶋氏を見かけたら、また何か言ってるみたいですね。
>http://bylines.news.yahoo.co.jp/nakajimayoshifumi/20151222-00052686/?utm_content=bufferb83c5&utm_medium=social&utm_source=twitter.com&utm_campaign=buffer
ま、デモの主催者に言っているだけなので、当方には無関係なのですがね。以前、訴えられそうになった身としては、関わりたくもないのですが、何も言わないというのも残念な気がするので。記事に書いておきたいと思います。
以前、中嶋氏に問いかけたものの、何ら具体的反論がなかったので、一部再掲しておきますか。当方は、指摘されたからといって、自ら発言をなかったことにするような手を使いませんので。
>http://blog.goo.ne.jp/critic11110/e/3b828eef2a27c37c632f5020e04689e7
(一部再掲)
こちらは具体的論拠を提示していますよ。
日本が同様の事態に陥らないと考えるか、と中嶋さんに尋ねているのであるのに、反対派が証明しろ、という返答は見当違いですね。
「日本はアメリカの事例のように違法業者跋扈という事態にはならないだろう、何故なら~」と以下理由を返答すべきところでは、ということです。
その理由が明確に説明できないとすれば、規制緩和の結果「違法業者跋扈という事態」を生じうるということを支持することになり、そのような政策変更が望ましいという意見は傍から見ればおかしいでしょう、という話ですね。
(中略)
そして、ネット販売が日本よりも進んでいたアメリカにおいては、現実に「偽薬」横行となっているわけで(具体例としてバイアグラを提示している)、それはネット販売と旧来販売方式の比較という点において、ネット販売を増加させた結果生じ得ると推測されるというものである。
そのようなデメリットがある場合には、ネット販売推進で得られる利益と生じる不利益の比較衡量が妥当なはずであろう。つまり、本当に論理的ないし合理的判断を求めるという主張をする人であるなら、得られるであろう利益と生じるであろう不利益を並べて検討するはず。
(中略)
中嶋さんが立論すべきは、例えば
「日本では違法業者跋扈という事態は生じない、何故なら~」以下
ですね、という話を前の記事で書いたんですよ。
========
今回の中嶋氏の記述は、似てる部分があると思いませんか?(笑)
例えば次の部分。
『上記の通り、自分は前回の記事を否定しかねない不利な情報も自ら紹介しました。建設的な議論を行うには、フェアな立場でメリットとデメリット、両方を並べて検討する必要があるからです。自らの意見を否定する情報や根拠については、本人よりも意見が対立している相手の方が詳しいはずですから、デモを批判する記事がたくさん読まれていると分かった時点でエキタスさんの側が本来提示すべき情報です(なので文章で反論をお願いしました)。異なる意見がぶつかればより良いアイディアが生まれると自分は考えていますので、自分の意見が否定されてもそれはそれで構いません。
主義主張はどんなに偏っても自由ですが今回のデモに欠けているのはそういった謙虚で客観的な姿勢です。自分の意見が中立公正であるとは全く思っていません。偏っている事は重々承知していますが、必ず客観的なデータで意見の裏付けをするように記事を書いています。』
まあ当方の勘違いでしょう(笑)。
12/29>http://twilog.org/valuefp/date-151229
自分が見た限り、確かに社会保障の強化は重要だけど最低賃金の引き上げも実施すべきである、なぜなら、、、というまともな反論は1つもなかった。1つもですよ。
さっきシェアした感情の劣化というのはこう言うことなのかね( ノД`)… 皆日常生活送れてるのか心配なレベルですよ。
=======
以前、反論できなかったのは、ご自身も、ではないのでしょうか。ま、過去は過去なので、しょうがないか。
自分より弱そうな相手を見つけては、あれこれ赤ペン入れることに長けてる人物にとっては、反論をする対象を選ぶというのは常套手段なのかもしれませんな。
まず、最も根本的な点について、指摘しておきたいと思います。
教科書的記述、マンキュー先生のお説、といったことは、勿論尊重されるべきことです。基礎的な考え方が書かれているから、です。実証研究では、米国において最低賃金が必ずしも教科書に書かれていたような結果をもたらす、というものではないかもしれない、という見解は経済学の世界においては、突飛な話ではなくなっています。
が、これを除いたとしても、重要な視点が欠けているのです。
それは、経済学の教科書的な記述の多くは、正常な反応、というものです。こうすればこうなる、の関係性というのは、結果を予測する上で意味があるでしょうが、正常かどうかは大きな問題なのです。
例えば医学的な基礎知識であっても、生理学のようなものはまず「正常な状態」を基準として結果を知るわけです。健康体なり動物実験なりの反応はこうなる、ということをまず知る、ということです。経済学の教科書はそういうものであり、マンキュー先生の本でも、同じようなものでしょう。
「賃金が上がれば、失業が増える」というのは、そのほんの僅かな断面をまるで絶対的な「公理」が如くに、採用しているものでしょう。
成り手(供給)が少なければ人が集まらないから、賃金を上げざるを得ないということは現実でもよく観察されることです。土建業界が敬遠(新規参入障壁が高い、と考えられているのかもしれないし)されてしまい、募集しても人が来ないとなると賃金は上がります。だからといって、失業率が上昇する、という単純なものではありません。他産業の状況はまた別でしょう。
労働市場は国によって異なる条件なので、現実の結果はどう出てくるのかというのは、一意では決定できないものであろう、というのが拙ブログでの見解です。規制当局が完璧であると、いわゆる脱法的雇用主の企業は存続できないので、労働条件は守られ、人件費は正当なものとできるかもしれない。が、労働規制が守られないと、潜脱を繰り返す企業が現れる。違法薬物のネット販売をする企業と原理は同じなのだ。違法企業には応分のコストを支払わせるか、規制当局の強化という別のコストが発生することになる。失業給付や生活保護を強化する場合には、税や雇用保険負担が増大するという政策コストについて、国民の賛成が必要となる。単純に政策コストだけ考えれば、最低賃金引き上げは目に見える政府のコストは発生しないが雇用主が負担することとなり、税とかが圧迫されないので実現のハードルは高いわけではない。
上限金利規制の場合にも似ているのだ。
学者さんは、「個人のカウンセリングを充実すべき」とかいう意見があったが、借入申込者全員に借入適正試験を実施して免許制にしたりすれば、確かに上限金利を設けなくともいいのかもしれない。これの政策コストがどれほど必要になるのか、というのが問題なのである。多重借入者に面談方式のカウンセリングや指導を実施するというのは、かなりのコストが発生することになるわけだから。
労働者の交渉力が強い国柄と、そうでもない日本では、比較が難しい。人件費上昇率の高い国、通常は高インフレの国とか組合の力の強い国とか中国人みたいにケチで抜け目ない国(あくまで印象です)とか、そういう国と日本は同一の理論を適用するのが難しいように思う。経済学の教科書にはそんなことは書かれていない(笑)。
そして何よりも大問題なのが、デフレ、である。
マンキュー先生をもってしても、日本のデフレを解決できる治療方法は確立できていない。デフレというのは、まるで糖尿病に似ていて、幅広い疾患や症状の原因となってしまうものなのだ。代謝異常、末梢循環異常といったことで多様な症状を呈する。これに近いのがデフレ経済なのである。デフレ下で最低賃金を操作した場合の反応というものについて、世界中の経済学者で明確な答えを持っている人など、恐らく皆無に等しいのではないかと思う。
先にも書いたが、正常な健康体の人の反応と病気の人の生体反応は異なる。いかに生理学の教科書にこう書いてある、といっても、それは病態生理学ではないからだ。日本は、そういう意味において、極めて特殊な環境下にあるということであり、これの理論的帰結を知っている学者さんは恐らく存在しないだろう。
次はちょっと細かい話に。
輸出製造業が円安で得をすることになったが、輸出物価の調節性は鈍く劣っていることが多いと思われる(顧客との契約関係もあって、急には納入価格を変えられないということもあるのかもしれないが、デフレ圧力として作用することとなった)。
>http://www.itochu.co.jp/ja/business/economic_monitor/files/20130514_2013-088_J_ULC.pdf
国内賃金が上昇するなら、製品価格(ドル建て)に転嫁するべきところが、これを据え置くことによりコスト削減の向かう先が、人件費ということになりがちである、ということだ。
経済学の基本的考え方において、価格転嫁されないことは想定されていない。仮想の世界では、きっちり数学的に結果が生じるものだからだ。
仮に、円高により輸出物価が上昇するのであれば販売価格が値上がりする。それは需要を減退させ、価格下落要因として作用することになる。さらに需要量減少により供給が過剰になるから、労働者減少をもたらすことになろう。賃金低下が必然かどうかは別であり、余剰人員は他産業へと移転してゆくこととなる。円高により需要増大となる産業分野が必ず生じるから、である。
ただ現実世界では、これら調節過程が理論値通りに生じるわけではなく、うまくいかない部分は決して少なくない。
デフレ期間であった2000年代では、ULCは低下し続けてきた。賃金低下要因は、物価下落を助長する作用を有していたものと考えられる。
>http://www5.cao.go.jp/keizai3/2012/1222nk/pdf/12-2-3.pdf
拙ブログにおける最低賃金についての考え方は、例えば以下のような記事を書いてきた。最低賃金のシリーズである。
09年12月>http://blog.goo.ne.jp/critic11110/e/99e9c190457dba2c705e38e02ca1da5a
経済学の権威的存在のマンキュー教授に対する意見も書いたことがある。
13年11月>http://blog.goo.ne.jp/critic11110/e/4a179a2882353c1a11bef530d1f50816
最低賃金の持続的引き上げについても、何度も提言してきた。
09年11月>http://blog.goo.ne.jp/critic11110/e/24e2e6eca3a4aced413260d90dec6e79
日本における雇用や賃金の調整速度が以前より早くなったということについても、先に示した内閣府の2012年の労働経済白書でも述べられていた。想像していたのと近いイメージだった。
2010年11月>http://blog.goo.ne.jp/critic11110/e/d24920135c2830d7f0ec3c167a848b35
日本においては、現在のような輸出企業が大儲けし、内需型企業が苦戦を強いられるのだとすると、為替レートと価格(物価や、労働の価格すなわち賃金)がズレており、適正な(理論通りの)価格改定が行われていない、ということを意味するだろう。
日本においては、特に、非製造業での賃金上昇がデフレ脱却と賃金上昇率の抑制の影響が大きいという印象なので、最低賃金引き上げ自体は意味があると考える。
>http://bylines.news.yahoo.co.jp/nakajimayoshifumi/20151222-00052686/?utm_content=bufferb83c5&utm_medium=social&utm_source=twitter.com&utm_campaign=buffer
ま、デモの主催者に言っているだけなので、当方には無関係なのですがね。以前、訴えられそうになった身としては、関わりたくもないのですが、何も言わないというのも残念な気がするので。記事に書いておきたいと思います。
以前、中嶋氏に問いかけたものの、何ら具体的反論がなかったので、一部再掲しておきますか。当方は、指摘されたからといって、自ら発言をなかったことにするような手を使いませんので。
>http://blog.goo.ne.jp/critic11110/e/3b828eef2a27c37c632f5020e04689e7
(一部再掲)
こちらは具体的論拠を提示していますよ。
日本が同様の事態に陥らないと考えるか、と中嶋さんに尋ねているのであるのに、反対派が証明しろ、という返答は見当違いですね。
「日本はアメリカの事例のように違法業者跋扈という事態にはならないだろう、何故なら~」と以下理由を返答すべきところでは、ということです。
その理由が明確に説明できないとすれば、規制緩和の結果「違法業者跋扈という事態」を生じうるということを支持することになり、そのような政策変更が望ましいという意見は傍から見ればおかしいでしょう、という話ですね。
(中略)
そして、ネット販売が日本よりも進んでいたアメリカにおいては、現実に「偽薬」横行となっているわけで(具体例としてバイアグラを提示している)、それはネット販売と旧来販売方式の比較という点において、ネット販売を増加させた結果生じ得ると推測されるというものである。
そのようなデメリットがある場合には、ネット販売推進で得られる利益と生じる不利益の比較衡量が妥当なはずであろう。つまり、本当に論理的ないし合理的判断を求めるという主張をする人であるなら、得られるであろう利益と生じるであろう不利益を並べて検討するはず。
(中略)
中嶋さんが立論すべきは、例えば
「日本では違法業者跋扈という事態は生じない、何故なら~」以下
ですね、という話を前の記事で書いたんですよ。
========
今回の中嶋氏の記述は、似てる部分があると思いませんか?(笑)
例えば次の部分。
『上記の通り、自分は前回の記事を否定しかねない不利な情報も自ら紹介しました。建設的な議論を行うには、フェアな立場でメリットとデメリット、両方を並べて検討する必要があるからです。自らの意見を否定する情報や根拠については、本人よりも意見が対立している相手の方が詳しいはずですから、デモを批判する記事がたくさん読まれていると分かった時点でエキタスさんの側が本来提示すべき情報です(なので文章で反論をお願いしました)。異なる意見がぶつかればより良いアイディアが生まれると自分は考えていますので、自分の意見が否定されてもそれはそれで構いません。
主義主張はどんなに偏っても自由ですが今回のデモに欠けているのはそういった謙虚で客観的な姿勢です。自分の意見が中立公正であるとは全く思っていません。偏っている事は重々承知していますが、必ず客観的なデータで意見の裏付けをするように記事を書いています。』
まあ当方の勘違いでしょう(笑)。
12/29>http://twilog.org/valuefp/date-151229
自分が見た限り、確かに社会保障の強化は重要だけど最低賃金の引き上げも実施すべきである、なぜなら、、、というまともな反論は1つもなかった。1つもですよ。
さっきシェアした感情の劣化というのはこう言うことなのかね( ノД`)… 皆日常生活送れてるのか心配なレベルですよ。
=======
以前、反論できなかったのは、ご自身も、ではないのでしょうか。ま、過去は過去なので、しょうがないか。
自分より弱そうな相手を見つけては、あれこれ赤ペン入れることに長けてる人物にとっては、反論をする対象を選ぶというのは常套手段なのかもしれませんな。
まず、最も根本的な点について、指摘しておきたいと思います。
教科書的記述、マンキュー先生のお説、といったことは、勿論尊重されるべきことです。基礎的な考え方が書かれているから、です。実証研究では、米国において最低賃金が必ずしも教科書に書かれていたような結果をもたらす、というものではないかもしれない、という見解は経済学の世界においては、突飛な話ではなくなっています。
が、これを除いたとしても、重要な視点が欠けているのです。
それは、経済学の教科書的な記述の多くは、正常な反応、というものです。こうすればこうなる、の関係性というのは、結果を予測する上で意味があるでしょうが、正常かどうかは大きな問題なのです。
例えば医学的な基礎知識であっても、生理学のようなものはまず「正常な状態」を基準として結果を知るわけです。健康体なり動物実験なりの反応はこうなる、ということをまず知る、ということです。経済学の教科書はそういうものであり、マンキュー先生の本でも、同じようなものでしょう。
「賃金が上がれば、失業が増える」というのは、そのほんの僅かな断面をまるで絶対的な「公理」が如くに、採用しているものでしょう。
成り手(供給)が少なければ人が集まらないから、賃金を上げざるを得ないということは現実でもよく観察されることです。土建業界が敬遠(新規参入障壁が高い、と考えられているのかもしれないし)されてしまい、募集しても人が来ないとなると賃金は上がります。だからといって、失業率が上昇する、という単純なものではありません。他産業の状況はまた別でしょう。
労働市場は国によって異なる条件なので、現実の結果はどう出てくるのかというのは、一意では決定できないものであろう、というのが拙ブログでの見解です。規制当局が完璧であると、いわゆる脱法的雇用主の企業は存続できないので、労働条件は守られ、人件費は正当なものとできるかもしれない。が、労働規制が守られないと、潜脱を繰り返す企業が現れる。違法薬物のネット販売をする企業と原理は同じなのだ。違法企業には応分のコストを支払わせるか、規制当局の強化という別のコストが発生することになる。失業給付や生活保護を強化する場合には、税や雇用保険負担が増大するという政策コストについて、国民の賛成が必要となる。単純に政策コストだけ考えれば、最低賃金引き上げは目に見える政府のコストは発生しないが雇用主が負担することとなり、税とかが圧迫されないので実現のハードルは高いわけではない。
上限金利規制の場合にも似ているのだ。
学者さんは、「個人のカウンセリングを充実すべき」とかいう意見があったが、借入申込者全員に借入適正試験を実施して免許制にしたりすれば、確かに上限金利を設けなくともいいのかもしれない。これの政策コストがどれほど必要になるのか、というのが問題なのである。多重借入者に面談方式のカウンセリングや指導を実施するというのは、かなりのコストが発生することになるわけだから。
労働者の交渉力が強い国柄と、そうでもない日本では、比較が難しい。人件費上昇率の高い国、通常は高インフレの国とか組合の力の強い国とか中国人みたいにケチで抜け目ない国(あくまで印象です)とか、そういう国と日本は同一の理論を適用するのが難しいように思う。経済学の教科書にはそんなことは書かれていない(笑)。
そして何よりも大問題なのが、デフレ、である。
マンキュー先生をもってしても、日本のデフレを解決できる治療方法は確立できていない。デフレというのは、まるで糖尿病に似ていて、幅広い疾患や症状の原因となってしまうものなのだ。代謝異常、末梢循環異常といったことで多様な症状を呈する。これに近いのがデフレ経済なのである。デフレ下で最低賃金を操作した場合の反応というものについて、世界中の経済学者で明確な答えを持っている人など、恐らく皆無に等しいのではないかと思う。
先にも書いたが、正常な健康体の人の反応と病気の人の生体反応は異なる。いかに生理学の教科書にこう書いてある、といっても、それは病態生理学ではないからだ。日本は、そういう意味において、極めて特殊な環境下にあるということであり、これの理論的帰結を知っている学者さんは恐らく存在しないだろう。
次はちょっと細かい話に。
輸出製造業が円安で得をすることになったが、輸出物価の調節性は鈍く劣っていることが多いと思われる(顧客との契約関係もあって、急には納入価格を変えられないということもあるのかもしれないが、デフレ圧力として作用することとなった)。
>http://www.itochu.co.jp/ja/business/economic_monitor/files/20130514_2013-088_J_ULC.pdf
国内賃金が上昇するなら、製品価格(ドル建て)に転嫁するべきところが、これを据え置くことによりコスト削減の向かう先が、人件費ということになりがちである、ということだ。
経済学の基本的考え方において、価格転嫁されないことは想定されていない。仮想の世界では、きっちり数学的に結果が生じるものだからだ。
仮に、円高により輸出物価が上昇するのであれば販売価格が値上がりする。それは需要を減退させ、価格下落要因として作用することになる。さらに需要量減少により供給が過剰になるから、労働者減少をもたらすことになろう。賃金低下が必然かどうかは別であり、余剰人員は他産業へと移転してゆくこととなる。円高により需要増大となる産業分野が必ず生じるから、である。
ただ現実世界では、これら調節過程が理論値通りに生じるわけではなく、うまくいかない部分は決して少なくない。
デフレ期間であった2000年代では、ULCは低下し続けてきた。賃金低下要因は、物価下落を助長する作用を有していたものと考えられる。
>http://www5.cao.go.jp/keizai3/2012/1222nk/pdf/12-2-3.pdf
拙ブログにおける最低賃金についての考え方は、例えば以下のような記事を書いてきた。最低賃金のシリーズである。
09年12月>http://blog.goo.ne.jp/critic11110/e/99e9c190457dba2c705e38e02ca1da5a
経済学の権威的存在のマンキュー教授に対する意見も書いたことがある。
13年11月>http://blog.goo.ne.jp/critic11110/e/4a179a2882353c1a11bef530d1f50816
最低賃金の持続的引き上げについても、何度も提言してきた。
09年11月>http://blog.goo.ne.jp/critic11110/e/24e2e6eca3a4aced413260d90dec6e79
日本における雇用や賃金の調整速度が以前より早くなったということについても、先に示した内閣府の2012年の労働経済白書でも述べられていた。想像していたのと近いイメージだった。
2010年11月>http://blog.goo.ne.jp/critic11110/e/d24920135c2830d7f0ec3c167a848b35
日本においては、現在のような輸出企業が大儲けし、内需型企業が苦戦を強いられるのだとすると、為替レートと価格(物価や、労働の価格すなわち賃金)がズレており、適正な(理論通りの)価格改定が行われていない、ということを意味するだろう。
日本においては、特に、非製造業での賃金上昇がデフレ脱却と賃金上昇率の抑制の影響が大きいという印象なので、最低賃金引き上げ自体は意味があると考える。