未だに「そもそも論」を持ち出す議員が多い。野田元郵政相も、恐らくこのカラクリについて熟知しているくせに、「技術論に終始している。何故民営化なのかわからない」というコメントを述べていた。無論知らない訳がないのだ(「野田」だけに、駄洒落すみません)。
だが、テレビでの解説でも、番組参加のコメンテーターから、「よくわからない」「民営対官営しか見えてこない」「小泉と抵抗勢力の構図が強調されてるだけ」といった意見も多く聞かれた。この期に及んでもなお、こうした「そもそも論」が出るというのは、やはり明快な説明方法がなかなかないことが原因かもしれない(それほど行政の複雑化したシステムということ)。そこで、説明方法をもう一度考えて書いてみます。
郵政公社の運営構図は今までの記事に書いてきました。参考記事ついても読んでみて下さい。
郵政民営化の考察1、考察2、考察3、考察4、考察5、
考察6、考察7、考察8、考察9、考察10、
もはや・・・、「そもそも論」の大義、国会空洞化現象、民営化綱引き合戦、
行き詰まり法案の懸念、郵政民営化は山場へ、平ちゃんの立往生?
国民から集めたお金は郵便局に集まる。貸付原資となる郵貯と簡保ですね。この運用先の主力が、預託金収入と国債等の金利収入である。借り手を見てみましょう。①公庫公団に財政投融資資金として供給される、②国債として国が借金、③自治体が借入、といったところが、収入源の上位ですね。特に大きなウェイトを占めるのは、①と②で、収入の殆どはこれで賄われているといっても過言ではありません。
これらの運営主体を考えてみましょう。①は実質的に政府と同様です。政府が債務保証を付けて借入してますから。②は当然国ですし、③もほぼ国と同様ですね(赤字で財政再建団体に陥れば、国の管理となります)。従って、郵政に金利を払っているのは誰か?結論は国(=政府)です。これはどういうことか?当然国のお金の出所は、全て国民から集められた税金です。つまり、国民が政府に一時預けたお金(=税金)は、①~③のような形をとりながら使われていますが、実質的に『国民の税金で郵政に利息を払っている』のです。郵政は元々国と一体でしたが、国の組織内部に税金を浪費するシステムが長年かけて作られたのです。利息を払えば払うほど、税金は無駄に消えていくことは明白でしょう。国民が郵政に拠出した資金(郵貯、簡保)に付いてくる利息は、郵政で浪費された残りカスから払われているのですよ。国民を1人の人間とすると、自分が払った税金の一部から、郵貯利息を自分に払っているんですよ。これで、「利息が貰えた」と言って喜べる訳がないでしょう。「預けてお金が増えた」というのは全くの幻想です。マクロ的には大幅に減少しており、騙されているようなものです。
もう一度整理しますと、金利負担の原資となるべくお金の流れは、国民→国→公庫公団(国、自治体)→郵政ということになり、今まで郵政がどんなに非効率であっても借り手(公庫公団、国、自治体)が延々と金利を払い続けるので、絶対に困ることなどなかったのです。この構図を変えない限り、郵政自体が困ることなど有り得ない(反対派はこれをもって、「郵政公社は黒字だ、国から人件費を貰ってない」という主張を続ける)のです。しかし、国の借金が限りなく危険水準となっている以上、国→公庫公団(自治体)の部分をこれから相当な覚悟で絞っていかねばなりません。これを本気で実行すると、公庫公団や郵政は倒れます。今まで労せずして金利負担を続けてくれた借り手の借金を減らそう、ということなのですから。主な収益源であった、財政投融資の利息収入3.7兆円が大きく減少すれば、郵政の経営は困窮を極めるようになるでしょう。
もう一点は、郵便事業の将来についてです。今までは一体経営で目立たなかったのと、ほぼ独占的事業として漫然と行われてきました。ですが、事業構造としては、郵貯・簡保で集めたお金の利息収益を、不採算な郵便事業に回すことによって郵便事業が成り立っていたのです。しかし、ネットやメールの発達・普及で、今後郵便需要の減少傾向は否めません。ここ数年来、民間企業の参入やはがき・手紙そのものの減少によって、このトレンドは明らかです。郵便事業が構造的赤字の不採算事業であるということです。ただ、郵便事業そのものは国民生活に必要とされているのですから、これが収益性の高い事業である必要もなく、公益性重視であってもよいのです。その為に全国の郵便事業についてのユニバーサルサービスの維持を掲げているのです。その代わり、それを持続可能にする運営効率化の手法として、郵政民営化があるのです。郵政事業に従事する人員調整(必ずしもリストラということではありません)や経営自由度の確保と自己の経営努力によって、より効率的な運営を行えるように整備するのが目的です。赤字事業であるとしても、できるだけ赤字幅を圧縮することが求められることは当然であり、それが実体化されたのが民営化という手法なのです。
国債を引き受け先となっていることが一部で問題視されていますが、単純にそういう訳ではないでしょう。今までは緩衝的役割を果たして来ており、引き受け自体は問題ないですね。引き受け先の自由度が低かった(個人が少額で購入したりできなかった)のですが、国債発行増加を見越して債券購入環境の整備が進み、個人向け国債にかなりの資金が向かうようになりました。今後は海外市場でも売買されるでしょう。郵政の保有する国債は約150兆円くらいで、全体の4分の1程度で、この半分が個人国債に回ったとしても、特に問題はないでしょう。個人金融資産1400兆円として、このうち高々5%程度ですから。だが、これには落とし穴があるのだ。
あなたが百万円を持っており、投資先を考えることにしよう。もしも、郵貯に預けると利息は0.06%くらいですから、利息は6百円。ところが同額の国債を買うと、利回り約1.6%として16000円です。この差額、15400円は何処へいったか?勿論郵政公社が使っているんですよ。この差額分が郵政に飲み込まれているんですよ。これが約150兆円分積み重なっているんですから。これがどういうことかわかりますか?郵政を肥えさせる為に使われ続けてきたんですよ(簡保分約50兆円もあるので全てではないにせよ、かなりの部分は使われる)。このシステムは、財投資金である預託金にも同じ現象が見られるのですよ。あなたが郵貯に預けた百万円は、公庫公団に貸付られ、その利払い分(同じ位の貸付金利ですので、16000円)は国民の納めた税金が大量に投入されている公庫公団から郵政に支払われるが、あなたの手元には6百円となって返ってくるんですよ。郵政はどの時代にも利ザヤを確実にとってきており、2%程度のサヤがあれば、巨額資金経営によって十分なのです。
先に書いた金利負担のお金の流れで言うと、国民が直接国債を買うと、国民→国→国民となります。
例えば国民Aと国民Bの2人がいて、Aは所得税(税金)を払うが資産がない、Bは所得がないから所得税を払わないが百万円持ってる高齢者だとしよう。すると、金利負担分の金の流れは、国民A→国→国民Bとなって、所得(お金)移転が自動的に行われる。今までは、途中に公庫公団や郵政が介在して、消えていった(必然的に搾取された)お金です。
これらのようなカラクリを理解してもらえれば、多くの国民が民営化を支持してくれると思います。
誰か簡潔に説明してもらえんかね?
だが、テレビでの解説でも、番組参加のコメンテーターから、「よくわからない」「民営対官営しか見えてこない」「小泉と抵抗勢力の構図が強調されてるだけ」といった意見も多く聞かれた。この期に及んでもなお、こうした「そもそも論」が出るというのは、やはり明快な説明方法がなかなかないことが原因かもしれない(それほど行政の複雑化したシステムということ)。そこで、説明方法をもう一度考えて書いてみます。
郵政公社の運営構図は今までの記事に書いてきました。参考記事ついても読んでみて下さい。
郵政民営化の考察1、考察2、考察3、考察4、考察5、
考察6、考察7、考察8、考察9、考察10、
もはや・・・、「そもそも論」の大義、国会空洞化現象、民営化綱引き合戦、
行き詰まり法案の懸念、郵政民営化は山場へ、平ちゃんの立往生?
国民から集めたお金は郵便局に集まる。貸付原資となる郵貯と簡保ですね。この運用先の主力が、預託金収入と国債等の金利収入である。借り手を見てみましょう。①公庫公団に財政投融資資金として供給される、②国債として国が借金、③自治体が借入、といったところが、収入源の上位ですね。特に大きなウェイトを占めるのは、①と②で、収入の殆どはこれで賄われているといっても過言ではありません。
これらの運営主体を考えてみましょう。①は実質的に政府と同様です。政府が債務保証を付けて借入してますから。②は当然国ですし、③もほぼ国と同様ですね(赤字で財政再建団体に陥れば、国の管理となります)。従って、郵政に金利を払っているのは誰か?結論は国(=政府)です。これはどういうことか?当然国のお金の出所は、全て国民から集められた税金です。つまり、国民が政府に一時預けたお金(=税金)は、①~③のような形をとりながら使われていますが、実質的に『国民の税金で郵政に利息を払っている』のです。郵政は元々国と一体でしたが、国の組織内部に税金を浪費するシステムが長年かけて作られたのです。利息を払えば払うほど、税金は無駄に消えていくことは明白でしょう。国民が郵政に拠出した資金(郵貯、簡保)に付いてくる利息は、郵政で浪費された残りカスから払われているのですよ。国民を1人の人間とすると、自分が払った税金の一部から、郵貯利息を自分に払っているんですよ。これで、「利息が貰えた」と言って喜べる訳がないでしょう。「預けてお金が増えた」というのは全くの幻想です。マクロ的には大幅に減少しており、騙されているようなものです。
もう一度整理しますと、金利負担の原資となるべくお金の流れは、国民→国→公庫公団(国、自治体)→郵政ということになり、今まで郵政がどんなに非効率であっても借り手(公庫公団、国、自治体)が延々と金利を払い続けるので、絶対に困ることなどなかったのです。この構図を変えない限り、郵政自体が困ることなど有り得ない(反対派はこれをもって、「郵政公社は黒字だ、国から人件費を貰ってない」という主張を続ける)のです。しかし、国の借金が限りなく危険水準となっている以上、国→公庫公団(自治体)の部分をこれから相当な覚悟で絞っていかねばなりません。これを本気で実行すると、公庫公団や郵政は倒れます。今まで労せずして金利負担を続けてくれた借り手の借金を減らそう、ということなのですから。主な収益源であった、財政投融資の利息収入3.7兆円が大きく減少すれば、郵政の経営は困窮を極めるようになるでしょう。
もう一点は、郵便事業の将来についてです。今までは一体経営で目立たなかったのと、ほぼ独占的事業として漫然と行われてきました。ですが、事業構造としては、郵貯・簡保で集めたお金の利息収益を、不採算な郵便事業に回すことによって郵便事業が成り立っていたのです。しかし、ネットやメールの発達・普及で、今後郵便需要の減少傾向は否めません。ここ数年来、民間企業の参入やはがき・手紙そのものの減少によって、このトレンドは明らかです。郵便事業が構造的赤字の不採算事業であるということです。ただ、郵便事業そのものは国民生活に必要とされているのですから、これが収益性の高い事業である必要もなく、公益性重視であってもよいのです。その為に全国の郵便事業についてのユニバーサルサービスの維持を掲げているのです。その代わり、それを持続可能にする運営効率化の手法として、郵政民営化があるのです。郵政事業に従事する人員調整(必ずしもリストラということではありません)や経営自由度の確保と自己の経営努力によって、より効率的な運営を行えるように整備するのが目的です。赤字事業であるとしても、できるだけ赤字幅を圧縮することが求められることは当然であり、それが実体化されたのが民営化という手法なのです。
国債を引き受け先となっていることが一部で問題視されていますが、単純にそういう訳ではないでしょう。今までは緩衝的役割を果たして来ており、引き受け自体は問題ないですね。引き受け先の自由度が低かった(個人が少額で購入したりできなかった)のですが、国債発行増加を見越して債券購入環境の整備が進み、個人向け国債にかなりの資金が向かうようになりました。今後は海外市場でも売買されるでしょう。郵政の保有する国債は約150兆円くらいで、全体の4分の1程度で、この半分が個人国債に回ったとしても、特に問題はないでしょう。個人金融資産1400兆円として、このうち高々5%程度ですから。だが、これには落とし穴があるのだ。
あなたが百万円を持っており、投資先を考えることにしよう。もしも、郵貯に預けると利息は0.06%くらいですから、利息は6百円。ところが同額の国債を買うと、利回り約1.6%として16000円です。この差額、15400円は何処へいったか?勿論郵政公社が使っているんですよ。この差額分が郵政に飲み込まれているんですよ。これが約150兆円分積み重なっているんですから。これがどういうことかわかりますか?郵政を肥えさせる為に使われ続けてきたんですよ(簡保分約50兆円もあるので全てではないにせよ、かなりの部分は使われる)。このシステムは、財投資金である預託金にも同じ現象が見られるのですよ。あなたが郵貯に預けた百万円は、公庫公団に貸付られ、その利払い分(同じ位の貸付金利ですので、16000円)は国民の納めた税金が大量に投入されている公庫公団から郵政に支払われるが、あなたの手元には6百円となって返ってくるんですよ。郵政はどの時代にも利ザヤを確実にとってきており、2%程度のサヤがあれば、巨額資金経営によって十分なのです。
先に書いた金利負担のお金の流れで言うと、国民が直接国債を買うと、国民→国→国民となります。
例えば国民Aと国民Bの2人がいて、Aは所得税(税金)を払うが資産がない、Bは所得がないから所得税を払わないが百万円持ってる高齢者だとしよう。すると、金利負担分の金の流れは、国民A→国→国民Bとなって、所得(お金)移転が自動的に行われる。今までは、途中に公庫公団や郵政が介在して、消えていった(必然的に搾取された)お金です。
これらのようなカラクリを理解してもらえれば、多くの国民が民営化を支持してくれると思います。
誰か簡潔に説明してもらえんかね?