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辺野古沖基地建設に係る埋立承認取消処分を巡る国の訴訟について~2

2016年07月24日 15時16分28秒 | 法関係
学習能力が欠如している、安倍政権と訴訟戦略を支えているはずの法務省訟務局及び各省訟務担当官僚たちは、懲りずに無駄な訴訟を提起してきたようなので、反撃を試みることにする。

彼らのような、法を悪用する立場の存在に、どうしても負けるわけにはいかないのだよ。

まず、訴訟の前段階の国地方係争処理委員会の部分から見てみる。


国地方係争処理委員会の審査>http://www.soumu.go.jp/main_sosiki/singi/keisou/

審査の結果>http://www.soumu.go.jp/main_content/000425426.pdf

重要部分は、以下である。

当委員会としては、本件是正の指示にまで立ち至った一連の過程は、国と地方のあるべき関係からみて望ましくないものであり、国と沖縄県は、普天間飛行場の返還という共通の目標の実現に向けて真摯に協議し、双方がそれぞれ納得できる結果を導き出す努力をすることが、問題の解決に向けての最善の道であるとの見解に到達した。

国が窮地に陥ったのは、彼らが和解で「罠」を仕掛けて待っていたはずの、「沖縄県に提訴させる」という計画が狂ったことである(笑)。

国=法務省、防衛省、国土交通省、外務省の連合軍(笑)が勢揃いしても、沖縄県知事の埋立承認取消処分を違法であると立論できる方法が、未だ見つかっていない、というのが最大の弱点であった。代執行請求訴訟では、完敗が確定したので、裁判長に和解を勧められ、不承不承従った、というのが和解までの流れだった。

そこで、国が泣きついた先が、最高裁である。国は、最高裁なら「国が勝訴間違いなし」の判決文をきっと書いてくれるだろう、と期待しているということである。過去の代理署名に関する代執行訴訟では最高裁判決で勝利した経験があり、二匹目のどぜう(笑)を狙ったものだったろう。
とにかく、代執行訴訟では大失敗したので、別建ての訴訟ルートを利用することに方針変更したわけだ。
それが、係争委の審査結果からの、沖縄県が国を提訴する、という筋書きだった。しかし、その愚劣な思考は、再度の失敗を呼び込むことになった。


代執行訴訟での和解内容は、以下のようなもので、一部を書き出す。


◇和解の内容(別紙1,p9)

・(国交大臣の)是正の指示に不服があれば指示があった日から1週間以内に当委員会に審査の申出を行う

当委員会が是正の指示を違法でないと判断した場合に、審査申出人(沖縄県)に不服があれば、審査申出人は、審査の結果の通知があった日から1週間以内に地方自治法第251条の5第1項第1号に基づき是正の指示の取消訴訟を提起する

当委員会が是正の指示を違法であると判断した場合に、勧告に定められた期間内に相手方が勧告に応じた措置を取らないときは、審査申出人は、その期間が経過した日から1週間以内に同法第251条の5第1項第4号に基づき是正の指示の取消訴訟を提起する

・審査申出人及び沖縄防衛局長と相手方は、是正の指示の取消訴訟判決確定まで普天間飛行場の返還及び埋立事業に関する円満解決に向けた協議を行う

=======

話を見通し易くする為、県が国を訴える条件というのをまとめると、2つになる。

国(国交大臣)の是正指示が

 a)違法でない(=国が正しい)
   ⇒県は指示に従って「承認取消処分」を取り消せ

 b)違法である(=国が間違い)
   ⇒国は委員会勧告に従って措置をせよ
  (けど、国は措置する気は毛頭ないので、措置しないよ)


いずれの場合にも、沖縄県側が不服と思うはずなのだから、訴訟提起せよ、と。
a)は、国の指示に従いたくないので「是正の指示」の取消訴訟、b)は国が措置をしないという不作為を止めて措置せよ(違法確認訴訟)と。

どちらも原告が県、被告が国となる。この目論見がうまく行かなかったというのが、係争処理委員会の結果だったというわけである。


和解条件からすると、沖縄県が訴える条件には該当してないので、和解を尊重するなら、県側が訴訟提起するというのはあり得ないだろう。係争委もきちんと協議せよ、と言っているわけだし。

しかし、国としては、何が何でも早急に白黒つけたい、ということで、法務官僚諸君がまさに「汚名」挽回の機会とばかりに、国が提訴したというわけである。普通は挽回すべきは名誉らしいが、訟務局あたりになると随分と違うものらしい。次期大統領が何を言い出すか不安なので、強引に既成事実を生み出す為の工事推進を何が何でもやっておくという魂胆でもあるのか?


ここまでの流れは、国が思い描いていた、和解での「次の訴訟プラン」が崩れた、ということである。代執行訴訟での完全崩壊に続いて、又しても失敗、と。

で、和解の沖縄県側が提訴する条件には該当しなかったので、県が提訴しなかったから、仕方なく、国が違法確認訴訟(県が大臣の出した是正指示に従って処分取消を行わない(=不作為)のは違法である)を提起した、というものである。

今回も代執行訴訟で指揮したのと同じ多見谷寿郎裁判長が担当らしい。今度こそ、の目論見でもって待ち構えていたことだろう。だって、和解に至ったというのは、本来的にそういうことですので(笑)。


違法確認訴訟の国側の落ち度について、次の点を指摘しておく。

1)和解条件からの逸脱

和解の文書を読めば分かる通り、訴訟提起は沖縄県が行うものとされている。国は、その根底から誤っている。提訴可能な場合とは、

 ア)国地方係争処理委員会の審査結果が前記a)で、不服の場合
 イ)同係争委の結果がb)で、勧告の措置をとらず国の不作為の場合

である。係争委の結論は、ア)、イ)のいずれでもないので、提訴条件に該当しない。


2)国地方係争処理委員会の結論は、「勧告」ではない

細かいことを言うようだが、地方自治法に定められる「勧告」が出されてない。

○地方自治法 250条の十四
2  委員会は、法定受託事務に関する国の関与について前条第一項の規定による審査の申出があつた場合においては、審査を行い、相手方である国の行政庁の行つた国の関与が違法でないと認めるときは、理由を付してその旨を当該審査の申出をした普通地方公共団体の長その他の執行機関及び当該国の行政庁に通知するとともに、これを公表し、当該国の行政庁の行つた国の関与が違法であると認めるときは、当該国の行政庁に対し、理由を付し、かつ、期間を示して、必要な措置を講ずべきことを勧告するとともに、当該勧告の内容を当該普通地方公共団体の長その他の執行機関に通知し、かつ、これを公表しなければならない。


訟務局のアタマのレベルとは違う。いずれにも加担しないという注意を払って審査結果が出されたものである。これは、言わば「伝達文書」のようなものであって、法的な意味としては拘束力が乏しく、同法250条の十四 第2項にある「勧告」ではない、ということだ。恐らく、悩みに悩み抜いて出された、苦渋の結論だったろうと思う。

そして、勧告ではないから、国が措置をとらない場合という不作為にもなり得ないので、同法251条の五 1項4号の適用は不可能となる。また、1項1号の「結果の通知又は勧告に不服」条件にも該当しない(係争委は、国が正しいので沖縄県の処分を取り消せとは求めておらず、県はこれを不服とせず係争委の見解に従い協議を申し出ている)ので、適用されない。


○地方自治法第251条の五  
第二百五十条の十三第一項又は第二項の規定による審査の申出をした普通地方公共団体の長その他の執行機関は、次の各号のいずれかに該当するときは、高等裁判所に対し、当該審査の申出の相手方となつた国の行政庁(国の関与があつた後又は申請等が行われた後に当該行政庁の権限が他の行政庁に承継されたときは、当該他の行政庁)を被告として、訴えをもつて当該審査の申出に係る違法な国の関与の取消し又は当該審査の申出に係る国の不作為の違法の確認を求めることができる。ただし、違法な国の関与の取消しを求める訴えを提起する場合において、被告とすべき行政庁がないときは、当該訴えは、国を被告として提起しなければならない。
一  第二百五十条の十四第一項から第三項までの規定による委員会の審査の結果又は勧告に不服があるとき。
二  第二百五十条の十八第一項の規定による国の行政庁の措置に不服があるとき。
三  当該審査の申出をした日から九十日を経過しても、委員会が第二百五十条の十四第一項から第三項までの規定による審査又は勧告を行わないとき。
四  国の行政庁が第二百五十条の十八第一項の規定による措置を講じないとき。




4号規定の措置とは、次の条文によるものである。

○地方自治法 第250条の十八
第二百五十条の十四第一項から第三項までの規定による委員会の勧告があつたときは、当該勧告を受けた国の行政庁は、当該勧告に示された期間内に、当該勧告に即して必要な措置を講ずるとともに、その旨を委員会に通知しなければならない。この場合においては、委員会は、当該通知に係る事項を当該勧告に係る審査の申出をした普通地方公共団体の長その他の執行機関に通知し、かつ、これを公表しなければならない。


従って、同法251条の5第1項の規定は、1号も4号も本件では該当していない。


3)国が違法確認訴訟を提起できる条件とは

自治体が訴訟提起せず、指示にも従わないというような場合に、国側から提訴できる。


○地方自治法 第251条の七  
第二百四十五条の五第一項若しくは第四項の規定による是正の要求又は第二百四十五条の七第一項若しくは第四項の規定による指示を行つた各大臣は、次の各号のいずれかに該当するときは、高等裁判所に対し、当該是正の要求又は指示を受けた普通地方公共団体の不作為(是正の要求又は指示を受けた普通地方公共団体の行政庁が、相当の期間内に是正の要求に応じた措置又は指示に係る措置を講じなければならないにもかかわらず、これを講じないことをいう。以下この項、次条及び第二百五十二条の十七の四第三項において同じ。)に係る普通地方公共団体の行政庁(当該是正の要求又は指示があつた後に当該行政庁の権限が他の行政庁に承継されたときは、当該他の行政庁)を被告として、訴えをもつて当該普通地方公共団体の不作為の違法の確認を求めることができる。

一  普通地方公共団体の長その他の執行機関が当該是正の要求又は指示に関する第二百五十条の十三第一項の規定による審査の申出をせず(審査の申出後に第二百五十条の十七第一項の規定により当該審査の申出が取り下げられた場合を含む。)、かつ、当該是正の要求に応じた措置又は指示に係る措置を講じないとき。

二  普通地方公共団体の長その他の執行機関が当該是正の要求又は指示に関する第二百五十条の十三第一項の規定による審査の申出をした場合において、次に掲げるとき。

イ 委員会が第二百五十条の十四第一項又は第二項の規定による審査の結果又は勧告の内容の通知をした場合において、当該普通地方公共団体の長その他の執行機関が第二百五十一条の五第一項の規定による当該是正の要求又は指示の取消しを求める訴えの提起をせず(訴えの提起後に当該訴えが取り下げられた場合を含む。ロにおいて同じ。)、かつ、当該是正の要求に応じた措置又は指示に係る措置を講じないとき。

ロ 委員会が当該審査の申出をした日から九十日を経過しても第二百五十条の十四第一項又は第二項の規定による審査又は勧告を行わない場合において、当該普通地方公共団体の長その他の執行機関が第二百五十一条の五第一項の規定による当該是正の要求又は指示の取消しを求める訴えの提起をせず、かつ、当該是正の要求に応じた措置又は指示に係る措置を講じないとき。

2  前項の訴えは、次に掲げる期間が経過するまでは、提起することができない。

一  前項第一号の場合は、第二百五十条の十三第四項本文の期間
二  前項第二号イの場合は、第二百五十一条の五第二項第一号、第二号又は第四号に掲げる期間
三  前項第二号ロの場合は、第二百五十一条の五第二項第三号に掲げる期間


(以下略)


国が提訴できる条件とは、本件であれば、

 ウ)国地方係争処理委員会の審査結果で、「国は正しい(=違法がない)」こと
 エ)にも関わらず、自治体が指示の取消訴訟を提起せず、
 オ)指示にも従わないでいること

が全て成立している場合である。


それが、同法251条の七 1項2号のイの規定である。
しかし、本件で見れば、係争委の結果が、国が正当であることなど一度も言っておらず、従って法251条の五 1項(1号及び4号)の沖縄県が訴訟を発動する要件を満たすことができないので(必然的に沖縄県が提訴しないということになる)、本条「2号のイ」規定に基づいて国が不作為につき提訴できる前提を欠いている。
同時に、本件提訴は和解の条件からも、導き出すことができない。


4)国は訴えの利益を自ら放棄した

最もバカバカしいのが、この論点であろう。国は、自らの権限と義務を放棄したのだから、訴えの利益は、自分で既に喪失させたのである。
にも関わらず、今回の提訴というのは、いかなる法益があるのか?


①沖縄防衛局が行政不服審査法に基づく審査請求、執行停止申立て
②国交大臣が請求受理、執行停止決定

この時点で、審査庁たる国交省が「沖縄県の取消処分は違法、よって知事のした埋立承認取消処分を取り消せ」と裁決を出せば、それで答えは出せていたものである。
審査庁は国交省&大臣、処分庁=沖縄県&知事であり、誰がどう見たって、後から出した
「地方自治法245条の七の指示」
よりも、
「国交大臣の裁決」
の方が法的拘束力が確定的であり、処分庁(沖縄県)は従わなければならない。次の裁判へのステップも高裁からということで、本件訴訟のような遠回りの過程は回避できていたはずだ。


にも関わらず、代執行の着手を閣議で決めたわけだ。
③地方自治法245条の八の勧告、是正指示
④大間違いが発覚し、和解


そして、どういうわけか知らないが、①と②を国は放棄した。
法的拘束力が確定しており、大臣から処分庁への命令に等しい「裁決」を自ら棄てたということ。何故?審査庁が持つ、権限と義務を放棄したい、と国が自ら望んだから、ということしか言いようがないですね。


代執行訴訟前の勧告と是正指示は、恐らく残存したままにしながら、新たに「245条の七に基づく指示」を発出、という、迷路のような堂々巡りの行政行為を連発。
裁決なら国交大臣が審査権を行使するはずのところ、これを敢えて国地方係争処理委員会に審査させることを「和解条件」として国が自ら同意。
今度は、国が審査結果に不満だということで、本件提訴となったわけだ。


国のやったことは、最初に行政不服審査での国交大臣の権限を行使せず、代執行訴訟と和解後の指示では、国交大臣権限を前面に出してきて、国の指示が正しいことを争う、と。
けど、和解では裁決の権限を放棄した、と。


このように、大臣なり国の権限として法律上行使が許されるものを、正しく用いることが出来ておらず、自ら放棄を宣言してみたりしている、原告たる国には、どのような守るべき法益があるのか?

本件訴訟で保護されるべき法益が仮にあるなら、最初から国が受理をした審査請求の結果として裁決を出せば済んだことである。審査の時間が足りないなどというのは、理由にならない。現に、代執行訴訟の顛末も、国地方係争処理委員会の結果も、6か月も経過することなく答えが出せている。
そもそも、執行停止決定に国自身が挙げた理由は、「重大な損害を回避するのに緊急を要する」から、ということであったのだから、90日もかからずに裁決結果を出せばそれで済んだこと。その権限を放棄したのは、誰あろう、国自身である。

自ら国が放棄した権限を、何故、裁判所が国の代わりに「権限の保護」をしなければならないのか?愚かにも程がある。

不服審査の請求を受理した以上、審査庁は原則として裁決を出す義務がある。その義務を果たすことなく、司法に肩代わりをさせようというのが、本件裁判の意味である。その前提としての国地方係争処理委員会での審査も、本来なら国交大臣がすべき審査を、沖縄県を通じてさせた挙句に、次なる答えを求めて裁判所に願い出たというのが、これまでの実態である。
国は、自らなすべき義務を果たすことなく、権限も放棄しておきながら、裁判所に「権限の裏付け」を依願しているに等しい。



国の本件訴訟は、訴訟の入口に立つ資格さえない。


辺野古沖基地建設に係る埋立承認取消処分を巡る国の訴訟について(追記あり)

2016年07月22日 12時49分29秒 | 法関係
和解以降の計画通り、国が沖縄県を提訴することになった。

>http://ryukyushimpo.jp/news/entry-321027.html


裁判での論点について述べる前に、まず、個人的感想を書いておきたい。

安倍政権は、平成27年11月に代執行訴訟を提起したが、裁判での敗北が確定的となったことを受けて、和解へと逃げ込むことにしたのである。当初より、代執行訴訟では「100%勝てる」と豪語していたにも関わらず、出鱈目な法の運用を行ったことにより、国自身が出していた、行政不服審査法に基づく審査請求及び執行停止申立てを「国自身の手により取り下げる」結果をもたらし、更に勝訴間違いなしと確信していた代執行訴訟の両方を同時に失ったのである。

本件経緯から明らかに分かることは、国が、自分勝手に一人相撲を取り続けていたというものである。
国が、審査請求と執行停止を行い、代執行訴訟を仕掛け、いずれも「なかったことにしたい」ということで、全部取りやめになってしまったということである。

こうした国の姿勢が示すものは、根本的な法の無知である。法制度を正しく理解し運用する、という基本原則から大きく外れているということである。それが、国の制度濫用や濫訴を生じたものであると言えよう。

国は、行政不服審査法や地方自治法の趣旨、制度の意義などを理解できていないばかりか、本来国自身が正確に運用するべき義務を負っているのに、代執行の手続を正しく行うことすらできなかったということである。

そのような国が、「国の主張は正しい、国の手続きは合法的だ」と言うわけであるが、どこまで信用できるのだろうか?これまで、散々間違いを犯し続けてきた国が、「最初からずっと国の方が正しいのだ」と主張すること自体、信ずるに値しないものとしか思われない。
専門外の素人以下の程度でしか、手続を理解できていなかった国が、今回の訴訟に限っては正確に合法性が理解できるということも解せないわけである。なら、最初から正しく理解できていたであろうはずだから、だ。


国は、恥も外聞もなく、代執行訴訟での失当を判決で指摘されることを回避するべく、和解へと逃げ込んだだけである。しかも、その和解の道筋というのは、本件訴訟で見られる通りに、最終的には「砂川判決や過去の代執行訴訟での判決の場合と同様に、最高裁が国側勝訴に味方してくれる」ということを、期待してのものである。まさしく、法も裁判所も、政治で動かせる、と軽視していることの表れであり、真意は「代執行訴訟での失敗を隠して、別の訴訟の枠組みへと誘導したい」ということでしかない。


国にとって、訴訟そのものは、単に形式的に体裁を整えておけばよいと考えており、それ故、国が「是正指示をする」という意味のない手続を踏んだものである。「代執行訴訟のルート」を国自身の手で潰してしまったので、今度は「別ルート」を開拓すべく、少し後戻り(国交大臣の是正指示→国地方係争処理委の審査)して「形式を満たせば」新たな訴訟を開始でき、最高裁へ持ち込むことさえできれば「今度こそ、最高裁が味方してくれるので必ず勝てる」と胸算用している、ということである。


こうした発想は、法秩序への挑戦であり、国の裁判制度を根底から覆すに等しいものだ。安倍政権の本件争訴の道のりは、将に「法」を踏みにじり、裁判所を蔑ろにするという、言うなれば「法への叛逆」行為である。

それが証拠に、代執行訴訟は「閣議了承」の下、実施されたものであり、行政の日本最高レベルでの意思決定をしたにも関わらず、「誰一人」それが不当ないし失当であることを気付くことができない程度であることを実証したのである。


15年11月>http://blog.goo.ne.jp/critic11110/e/7b0feab3b9353f848a4a03473e5eff49

閉会中審査の安倍総理の弁を再掲しておこう。

『普天間の返還は一日も早く実現しなければならない。この基本的な考え方の上に立って、移設作業の事業者である沖縄防衛局長は、一刻も早く移設作業を再開するため、迅速な手続きである審査請求を行うとともに、執行停止の申立を行なった。これを受けて国土交通大臣は沖縄県の意見を聴取した上で重大な損害を避けるために、緊急の必要性がある等の判断のもとに行政不服審査法に則り、執行停止の決定を行なったものであります。一方、このようなプロセスの中で政府として改めて検討した結果、翁長知事による埋め立て承認の取り消しは違法であり、著しく法益を害するものであることから、この問題の解決を図るためには、最終的に司法の判断を得ることができる代執行等の手続きに着手することがより適切な手段であると判断され閣議において政府の一致した方針として了解されたものであります。』


閣議了承で政府の一致した方針だったはずの、代執行訴訟が崩壊したということですね(笑)。
どうしても、別の手続きに乗せるよりなかった、と。

挙句の果てには、騙し半分の和解文書を根拠に、ロクに仕事もできない訟務局に再び提訴をお任せした、と。愚か者が集団になると、愚かな決断を繰り返すということの典型例でしょうか。



(時間がないので、とりあえず。後で追加します。)

追記は以下です。


国の訴状を見ることができないので、とりあえず、国の主張と本件訴訟提起について、反論の一例を示しておきたい。


1)国の主張の根本は、「取消処分は違法」という言い切りのみ

ブレずに変わっていないのが、これである。県知事の取消処分以後、そのことだけを主張していた。沖縄防衛局の審査請求でも、代執行訴訟でも、和解後でも、国地方係争処理委員会の審査でも、そして、現在でも、ずうーっと同じである。
そして、審査請求後でも執行停止決定でも、代執行訴訟や係争委審査でも、大臣の是正指示でも、どの時点においても、「違法である」ことの論証が皆無である。

つまり、国の主張点は、中身がない。あるのは、反論することだけ。しかも、無駄に長文を連ねているだけ(無用な官僚の頭数だけは大勢おり、意味も中身もない作文だけは得意)で、国の主張は簡潔にして明瞭ということが一切ないのである。


普通、「知事の処分は違法である。何故なら~これこれこういう理由だから」と簡潔に示すことができるだろう。拙ブログですら、国の代執行訴訟は要件を満たしてないことの理由を、挙げて説明しているのに、だ(笑)。
唯一出された論点は、昭和43年最高裁判例のみ、である。

参考:
>http://blog.goo.ne.jp/critic11110/e/6285ad6c968ae5b68fe319db1ccd4eeb
>http://blog.goo.ne.jp/critic11110/e/f47d48e0f48a0e42a0d3a549597c70f3


この論点でさえ、判例の理解不足と適用不備があり、仮に判例に基づき不利益の比較衡量を行った場合でも「取消処分が違法」であることの立論は不可能である。定塚誠訟務局長(以下その他官僚諸君)は、利益不利益の重大性・程度等の比較さえ満足にできていない。
口で断言するだけなら、どんなことだって言い切れる。「代執行訴訟は100%勝てる」と全く同じである。これに続くのは、「何故なら取消処分は違法だから」ですかね(笑)。それは、訟務局の俺ら基準ではそうだからだ、ということだけですね。恐らく、今回の裁判においても、次の主張は同じであろう。

翁長沖縄県知事のした、埋立承認取消処分は違法だ
→違法だから、大臣が「是正の指示」
→よって「是正の指示」は適法だ=国が正しい(今ココ)


形式的には、是正の指示が適法なもので、何らの理由もなく県知事がその大臣指示に従わないのであれば、国が正しいかのように言うことができるわけだが、実際には「国が正しい(適法である)」ことの証明は、どこにも存在していない。国が、自分自身でそう言っているだけ、である。


和解後に出した、国の是正指示には、違法と国が判断した根拠及び理由が記載されていなかった。単なる、言い切りのみ。通常、理由を附して是正の指示をするべきところ、その論証を国土交通大臣は一度も行っていない。違法と認定するなら、それが説明できないわけがない。何故、違法であることの論証を国自身が実施しないのか?

理由がないから、であろう。説明の根拠を有していないから、ということだ。だって、あるなら、最初から、その旨指摘できるからである。つまり、是正指示の前提となるべき「埋立承認取消処分は違法」の論証を、国は一度もできていないということである。

参考までに、拙ブログにおいて、大臣が是正指示を行った場合には、大臣のした処分違反を違法性の理由として挙げることが可能な場合がある、ということを例示した。

15年11月>http://blog.goo.ne.jp/critic11110/e/bf7e5efbaafe1bec40232961a216b126

「論点12」である。あくまで素人考えで書いた是正指示の文書の雛型を書いてみたのであるが、本件の国交大臣指示文書「国水政第98号」は、大差ない出来栄えだったようで、しかも説示すべき理由が記載されていないものだった(笑)。調べていくうちに知ったのであるが、これもあまりに不備だったもんで、撤回文書が出され(国水政第101号)、別に文書が出された(国水政第102号)らしい。ここでも、法に基づく適正な手続や運用が全くなっていない、ということだろう。いわゆる「入口論」で何度も失敗しているのは、霞が関官僚自身であるということだ。お粗末極まりない。

剽窃以下のレベルでは、官僚のお仕事の意味がない。


2)国は「常に正しいことしか言わない」はず

まさか、この原則さえ成り立たない、ということか?(笑)
ペテン師や詐欺師のような口先だけの組織ではないはずであろう?国の主張というのは、常に適法であり正しい、という原則が必須のはずだ。

審査請求、訴訟、係争委審査を通じて、国がどのような主張をしてきたか、それを以下に概略をまとめてみた。


◇国のこれまでの主張

ア)知事の埋立承認取消処分は違法
イ)本件埋立工事が実現できないと、
―1;回復不可能な「重大な損害」を生じる
―2;重大な損害を避けるため「緊急の必要がある」
ウ)イ)の要件を満たすので執行停止を決定(=執行停止は適法)
オ)原則として行政庁は授益的処分の取消ができず、例外的な場合のみ
カ)授益的処分の取消の際は、不利益の比較衡量が不可欠
キ)防衛局は「私人同等」である(故に審査請求ができる)



これらから、いくつかの矛盾点について、指摘しておく。

(a)
徹頭徹尾、国が現在でも主張し続けているのがア)であり、それが正しいなら和解する理由も意味もなく、国(防衛省)が審査請求を取り下げる理由がない
(=どうして和解し、また取り下げたか、その理由を言え)

(b)
イ)-1及び2が正しいなら、執行停止を取消する理由がない
(=執行停止を取消できるなら、その事実そのものが、最初からイ)の要件は成立していなかった(つまり国は嘘を言った)ことの証明となる)

(c)
執行停止期間は、消滅しない。事実、平成27年10月29日より、埋立工事を防衛省が実施していた。和解しようと、沖縄防衛局が申し出を取り下げようと、執行停止決定は効力を発揮し、執行停止決定を取り消すまでは有効だった。
行政不服審査法34条2項[処分庁の上級行政庁である審査庁は、必要があると認めるときは、審査請求人の申立てにより又は職権で、処分の効力、処分の執行又は手続の続行の全部又は一部の停止その他の措置(以下「執行停止」という。)をすることができる。]により、執行停止を職権により維持は可能だった。

ならば、執行停止を取り消す理由がない。
(=どうして、執行停止を取消たのか、理由を言え)

(d)
執行停止により工事再開ができていたことから、国交大臣の行った「執行停止」決定は防衛省にとっての授益的処分であった。すると、国はオ)と主張していたのであるから、原則として執行停止を取り消すことができない。
もし取り消すならカ)の比較衡量により、「執行停止を維持した場合の不利益」と「執行停止の取消した場合の不利益」では、執行停止を維持した場合の不利益が大であるので「取り消した」としか言うことができない。

国は、オ)やカ)を主張していたのであるから、その原則に基づいて行動するよりなく、従って、「執行停止を維持」した場合の不利益が甚大につき、執行停止を取り消すに至った、というのが必然となろう。
申立て者が取り下げたので、執行停止を維持する利益(根拠)がなくなったから、というのは、理由になっていない。
何故なら、執行停止決定事由たるイ)は「国が重大な損害を受ける」からであって、申立ての取り下げで維持する利益を喪失しているなら、国自身に執行停止の理由は元々存在しないということになるからだ。

この不整合を説明できる方法は、恐らく国側にはない。その場しのぎの、言い分を積み上げてきただけだから、である。

(e)
キ)の通りに私人同等なら、沖縄県条例や知事の指示にまずは従うべき。岩礁破砕措置の場合においても、知事の指示には従っていない。都合のよい、国と私人の使い分けに過ぎない。


3)審査庁は裁決を一度も出していない

これも代執行訴訟の時から指摘してきたことだが、審査請求の後に、裁決を出す権限は審査庁にあり、審査結果は行政庁を拘束する。
そもそも、代執行訴訟などをせずとも、審査請求に対する審査を迅速に行い、その結果を出せば済むことである。
大臣指示も見当外れであって、国が最初から主張してきた「知事の処分は違法である」ことの立証を、裁決の中で完璧に行えば、それで事足りていたことであった。

大臣が是正指示など出す必要性などなく、審査庁たる国土交通省が処分庁(沖縄県及び知事)に裁決で示せばよかっただけだ。
これを国がわざわざ回避しており、最初から裁決を出す気など毛頭なかったものと見るしかない。無知によるものか、裁決で示すべき「承認取消処分は違法」の立論が不可能だったので回避したのか、分からないが、国が自らの権限と義務を放棄したのは間違いない。


しかも、代執行訴訟と和解案に関係なく、平成27年3月30日に農林水産大臣の出した執行停止通知書も効力を有するのであり、「沖縄県指令第1381号」は知事権限が停止されたままだった。
代執行訴訟と主務官庁も異なるのに、緊急性があるとして執行停止を決定しておきながら裁決を出すことなく漫然と長期間放置し、審査庁の持つ権限を放棄したことは明らかだ。


質問主意書においても、取り上げられたものである。

>http://www.shugiin.go.jp/internet/itdb_shitsumon.nsf/html/shitsumon/b189322.htm


国の答弁は以下の通り(一部引用)。

行政不服審査法による執行停止については、本案である審査請求に係る裁決があるまでの間、審査請求人の権利保全のために行われる暫定的な措置であるため、同法第三十四条第七項において「すみやかに、執行停止をするかどうかを決定しなければならない」とされているところ、本件指示において「海底面の現状を変更する行為」を「停止した旨の報告を、本書受領後七日以内に行うこと」及び「この指示に従わない場合は、許可を取り消すことがある」とされていたことから、農林水産大臣は、本件指示の日から七日後の平成二十七年三月三十日に、本件決定を行ったものである。
 これに対して、同法による審査請求については、同法上、裁決までの期限は定められておらず、現在、農林水産省において、審査請求人及び処分庁の主張等の内容を精査し、本件指示の適法性も含めて審査しているところであることから、裁決の時期及び内容に関する答弁は差し控えたい。



要するに、国は、自ら審査請求できると言うだけ、口で言ってもろくに審査せず、本来なら裁決を出せる権限を有しているにも関わらず、これを漫然と放置した挙句に、代執行訴訟に打ってでるも、法制度を満足に理解しておらず、失敗に終わったということである。

失敗しただけならまだしも、次なる訴訟を求めて、本件提訴を行ったものであり、審査庁の義務(1審判決に相当する過程であろう)を果たさないばかりか、国が期待している国側勝訴判決が出るまでは濫訴も辞さずの姿勢が顕著となったものである。


4)小括

少なくとも、国地方係争処理委員会の通知が、国の主張を取り入れて「国が適法であり、沖縄県が違法である」といった結論を出しているものではないことは明らかであり、その理由について国はよく考えるべきである。

国がやっていることは、国地方係争処理委員会の審査過程を、沖縄県に提訴させる道具として利用しているに過ぎず、和解条件のいずれにも該当しないことが判明するや否や、今度は政府自らが提訴する新たな攻撃材料を探すのに利用した。

和解で示した「是正の指示」は、自らの代執行訴訟の失当をなかったことにして、次の訴訟への道を開く為の方便として用いられた形式的文書であり、このような国の行為を、裁量権の濫用と呼ぶのである。

この期に及んで、国が法を弄ぶのは言語道断である。

国が行ったことは、沖縄県知事のした「埋立承認取消処分」に係る代執行の権限を、県と和解することにより権利放棄したに等しい。
国交大臣が代執行で「埋立承認取消処分」の取消を行うのも、同じく大臣の「是正の指示」で本件処分の取消を行わせるのも、権力行使の形態が異なるだけで、実質は同じである。
代執行訴訟の失敗を糊塗すべく、和解という口車を使って、本件訴訟へと土俵を移し替えただけのものである。本当に国の言い分が正しかったのなら、代執行訴訟で判決を受ければ済んだ話である。それを和解に逃げ込んでおきながら、本件提訴に至ったことは沖縄県を騙したに等しい。
国は代執行訴訟について和解したとしても、地方自治法245条の八第1項に基づく大臣の勧告、同法245条の八第2項に基づく大臣の是正指示がなされた事実は消滅しない。
国は大臣の是正指示に従わなかった沖縄県に対し、代執行訴訟を提起し、これを放棄したものであるから、同内容の是正指示を同法245条の七第1項に基づいて発出したとしても、訴えを取り下げることを確約した同一人である国が、再び同じことを指示してこれについて訴訟提起するというのは、訴えの利益がない。
それならば、最初から和解などせずに、大臣のした是正勧告や指示の合法性について、判決を受ければよかったのだ。敗訴を回避するべく、和解したから無理な話だったわけだが。


結局のところ、国がやっていることは、法の趣旨も制度も無視し、あちこちを乱食いして、順序も手続も滅茶苦茶で、出鱈目を繰り返しているというだけである。



バーナンキ来日で財務省と日銀が恐れるヘリマネ議論?

2016年07月14日 21時00分34秒 | 経済関連
日本の経済学者が殆ど役に立たないという、惨憺たる状況になってしまっているので、当てにされるのは海外の経済学者ということになりましょうか。

>http://jp.reuters.com/article/idJPL4N1A02E6


<15:25> ドル105円半ばまで上昇、バーナンキ氏が永久債発行を議論との報道

ドルは105.47円付近で一時105.50円まで上昇し、6月24日以来約3週間ぶりの高値を付けた。買いの主体は海外勢。105円付近にあった損失確定のドル買い戻しオーダーを巻き込んで、上昇が勢い付いた。

市場では、駐スイス大使の本田悦郎氏が4月に訪米した際、バーナンキ前米連邦準備理事会(FRB)議長と永久債の発行について議論したとのブルームバーグの報道が、短期筋による当初のドル買いの手掛かりになったという。

ブルームバーグが本田氏の話として伝えたところでは、バーナンキ氏は、日本政府が非市場性永久債を発行し日銀がそれを直接引き受けるというヘリコプターマネーは日本がデフレを克服する最強のツールになり得ると述べたという。

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だそうですよ(笑)。

というかですね、これまで日本人の学者諸君は何をやってきたのだろうな、と本当に心の底から思うわけです。20年も何ら進歩もなく、議論の質が高まるわけでもなく、無為無策が続いてきたということに、本当に驚かされるわけです。素人の拙ブログから見ても、あまりに酷いのではないかと。


つい数年前にも、アベノミクスがスタートして間もない時期から、危ないよって注意喚起をしたでしょう?

13年3月25日>http://blog.goo.ne.jp/critic11110/e/6890b766733008cae666b26deca52197


無暗に浮かれているからダメなのですよ。できもしないのに、まだ手探り状態なのに、大きなことを言って啖呵を切るからダメなんですよ。よくよく考えて、慎重に事を運ばないと失敗するんです。足を掬われるんですよ。


要するに、日本の「経済学」界隈というのは、専門家という肩書の人々であろうとも、学者も実務家もエコノミストも大半が素人レベルとか、素人以上に害悪の大きい、無能集団の寄せ集め、みたいなものではなかろうかと思えるわけです。そうじゃなければ、これほど長期に経済がダメになるってことが信じ難いです。



バーナンキ来日に合わせて、というわけではないけれども、「バーナンキの背理法」関連記事で面白いのがあった。

日本にいたであろう、日本独特の、学問の域にすら到達しない「リフレ派」への批判がこちら
>http://www.anlyznews.com/2016/07/blog-post_9.html



一応、拙ブログの見解は、もう何回も取り上げてきましたが、またしても再掲しておきたいと思います。あくまで素人見解ですので。

09年2月>http://blog.goo.ne.jp/critic11110/e/95a947676d5f04d2bd68c06a03b5051c

09年3月>http://blog.goo.ne.jp/critic11110/e/53921c05d13b88d64294044476e0f385




量的緩和策の意義、時間軸効果などについて

10年3月>http://blog.goo.ne.jp/critic11110/e/dbde02567bdebbe3892934be9b6c205b


貨幣数量説への懐疑について

13年3月>http://blog.goo.ne.jp/critic11110/e/95a768efa153ef4e66e04cb3eb323e45




前の記事に追加だけど~外貨資産購入のこと

2016年07月06日 19時43分42秒 | 政治って?
経済学や法学の学者って、世間知らずなのか何なのか分からないけど、一見すると他人に「そうなのかな」と思わせるような意見を言うのだが、実のところはダメダメだったり、嘘を言ってたりする。


学者ではない著名人でも、それなりに立派な肩書があっても、トンデモな意見を平気で言うわけだ。どうしてなのか、全く分からないけど。それを商売にしてる人もいるし(笑)。


例えばこんな人>http://blog.goo.ne.jp/critic11110/e/a0d94cde47517d1616fe741b2b0006e6

何で経済学に関しては、こういう出鱈目論者を野放しにしておくのですかね?たった一つのSTAP細胞の件には、人殺しでもした犯罪者みたいに、徹底追及して、仕事さえできなくさせるまで、叩き潰すのに。


つまりは、経済学の連中というのは、胡散臭いだけで、インチキだろうとペテンだろうとなんでもアリでよい、ってことなのですわ。

貸金の上限金利問題の時にも、同じ。
経済学の理論(爆笑)を掲げて、政策として間違いだと反対論陣を張ってた連中は、どうしたの?


無能の、しかし、経済学という「学問の装い」だけしてる、トンデモ連中がさも自分は「正しい答えを知っている」かのように、振る舞っていただけでしょう?あれから、彼らは前進したかと言えば、それもない。検証一つもできない。知的怠慢とかいうレベルではない。失敗を隠したいだけ。


その程度の無能連中が、別のことについて、またしても「学問的に正しい意見」みたいなのをかざしているわけだ。それがあまりに滑稽である。まずは、己の主張の正しさの一部でも、見せてみたらどうなのだね?できないでしょう?

そりゃ、そうだ。その程度の連中しかいないから、だ。これは、まあいい。


素人の考えることではないだろうが、一応、自分自身の見解について、述べておく。世間知らずの無能学者も大勢いるようだしな。


英国のEU離脱は、どういう結果をもたらすのかは、よく分からない。
ただ、EU批判をする人たちがいて、それはギリシャ債務危機の時にも、そうした傾向が見られたはずだ。


経済学という学問上だと、EUは間違いなのか?それは、どういう理屈で?
当時にも、その意味が全く分からなかったわけだが、その後、経済学の論文でも出たのでしょうか?そして、世界の経済学者のコンセンサスとして「EUの統合は経済学上、誤りである」との結論にもで達したのかな?よく知らんが。そんな理論はあるのですか?


11年10月>http://blog.goo.ne.jp/critic11110/e/7640553f2a96434abfc026a81f80ee8d

当時にも、疑問に思っていたわけだが、経済学は答えを出せたのでしょうか?
経済学の屁理屈って、全世界どこでも同じ価格とか同じ賃金とかが普通なわけでしょう?それなら、EUのような統一通貨・市場でもいいのでは?


EUが経済学的に間違ってる、みたいに言うなら、米国だって各州の憲法まで備えてて財政も別だし裁判所も別なのだし連銀も別にあるし、人口規模も各州に分けた方がよいのではないですかね?何故ドルの統一通貨であるべきなのか、経済学の理屈で説明できるでしょう?
それができないのかね?どうして?(笑)


因みに、拙ブログでは、欧州危機の際に、ドルを売ってユーロを買え、と言っておきました。

11年9月>http://blog.goo.ne.jp/critic11110/e/2ce48bd8df6b454d479c4aebf013b1d0

記事当時のユーロ円は、103.4円くらいだった(その後更に下げた)ので、当時買っていれば、今でもまだ耐えられていたことでしょう。

ユーロ発足当初は、120円くらいだったのですが、1年くらいで100円程度(90円台もあり)にユーロ安となりました。
ですので、発足後から1~2年程度で買えば、ユーロ円の平均買いレートが110円台でも不思議ではなく、1999年121.6円、2000年99.6円で買っていたとしてもそう大損にはなっていないでしょう。


仮に、2000年に120円でユーロを買い、ドイツIB10年物でも買っていれば、約4~5%の利息収入が得られる。
10000ユーロのドイツ債券購入で10年間利息は年450ユーロとして、10年で4500ユーロの利息収入となる。元利合計14500ユーロで、また債券を買うか預金でもしたとして、2011年からは金利が2%に落ちていても、1740ユーロの利息を得ていたであろう。すると、現時点でのユーロ保有高は16240ユーロとなる。円換算で16240×111円=1802640円の現在高となっているであろう、ということ(日本円の国債買いか定期預金の運用では、全然増えてないだろう)。


よって、余程の高値で買わない限りは、そう大損になるということでもないはずなのだが、14年10月以降のアベのポートフォリオ変更で、14年10~11月はユーロの直近の高値圏となっており(笑)、10/17には136.4円だったのが12/5日には149円と、GPIFの「大人買い」で高値掴みだったのでは?

日銀も財務省も、機動的に売買ができないので、投資はタイミングが全て、みたいな面があるはずなので、逃さず行動することを可能にするしかないのでは、と思う。


11年11月26日>http://blog.goo.ne.jp/critic11110/e/66ea8b7cdaccf2331e49cb29c73aacc6


当時、ユーロ圏の国債金利は軒並み急騰していたはずで、拙ブログでは、ドルをユーロを買って、その金でイタリア国債やスペイン国債を買っておけ、って言ったでしょ?

(再掲)

2)対策をどうするか

以前にも提案したことがある(ユーロ危機は誰にとって好都合なのか?)が、ユーロを買う、ということになるであろう。
日本の対応として、次のような手法を提案したい。


外貨準備で保有するドル資金が約1兆ドルある。これを一部売却し、ユーロ買い資金に充てる、ということである。ユーロでイタリア国債やスペイン国債を買う、といったことになるであろう。もし、ギリシャ国債のようなリスクの高い国債も買ってくれ、ということになる場合には、条件付きとする。



今の価格がどうなってるかは、見てないけど、確か金利が3%以下にまで低下してたはずで、国債価格が大幅に上昇していたのでは?
あの時、買っておけばなー、ということなんですわ。オレの個人資産では、それは無理だけど(笑)、機動的な巨額資金を有する覆面投資家なら、きっとできていたはずなんだよなー、と思うわけですわ。


ま、日本の学者連中の多くは、学問の屁理屈をこねまわすことだけはできるのかもしれないが、実践能力が皆無に等しく、数字も読めず、知識を現実にきちんと適用したり応用したりということが、全くできてないわけだよ。


そんな連中に限って、己ですら役立てることができもしないのに、「本を嫁」とか「教科書嫁」とか「自著を買え」とか言うわけだよ。最後のは言ってないかもしれんけど(笑)。君達は、何の為に本を読んできたのだね?無能を晒す為ですか?社会に役に立たない、学問の風味だけを装った嘘や出鱈目言説を流し続け、そのくせ他人に説教を垂れることだけは得意ということについて、自分自身で反省できない限り決して進歩することなどあり得ないだろう。


10年前から、拙ブログで書いてきたことは、本当だったでしょう?
現に今の君達が、その実証例だということです。あなた方自身の存在こそが、当方の直観を強力に立証してくれたということなのですよ。



本当に必要な構造改革~3 国こそ自助努力

2016年07月04日 13時55分06秒 | 政治って?
どうも円高はつらい、という声が輸出系の大企業界隈から出ているようである。経済低迷だ、とか。しかし、円高を歓迎することができなければ、いつまで経っても「強い通貨」(笑)を目指せないでしょう。

強い通貨こそが、世界の信用が高いということなのです。その証なのです。


けれども、日本人はどうしても守りの姿勢が強いので、稼げません(笑)。その具体的な対策を提案します。荒唐無稽と笑うかもしれませんが、騙されたと思ってやってみて下さい。

まず、外貨建資産の購入を日銀がやれ、とか押し付けられても、それは可哀想というものだ。無茶ができないし、限界がある。中央銀行だからね。


そこで、政治の役割(笑)でしょ?
何の為の政治なのですか、と。政治が責任を負うんです。国だからこそ、できることもある、ということです。以下に、概要を書いてみます。


・国が100%出資する投資会社(特殊会社)を作る(SWFのようなもの)
・投資会社に投資指示を行って、外貨建資産を購入させる
・投資会社に指示を出す部署を内閣府か財務省に設置
・政府資産運用局とか政策投資課とか、適当な名称をお願いします
・投資指示の専門員を財務、経産、外務、等各省庁のエース級を配置
・専門員の人事異動はあまり頻繁でなく、少ない方が望ましい


1)資金調達と資産購入

国は、無期限債券(表面利率年1%、1回利払い)を発行する。これを日銀に買い取らせる。直接引き受けではないか、との批判は甘受します。為替介入の際と同じ意味合いと考えて下さい。介入資金の場合には、短期債券で行っていたのですが、この場合では、無期限債を用いることにするのです。

初期費用はとりあえず10兆円とします。日銀は無期限債を受け取る代わりに、10兆円を政府に支払います。政府は、この10兆円を先の投資会社に入金し、これを原資として海外資産購入を実行してもらいます。

購入資産の対象は、政策投資課のエース級の人たちに選定してもらいます。
名目上は、投資会社の資産購入資金となっていますが、円高が昂じている時に、外貨を買うわけですから、実質的に円売り介入に等しい効果が得られるのです。当面は、国債等で持っておくか、外貨預金として分けておいてもいいです。どの通貨を買うのか、という点でも、投資判断の対象となっていることを忘れずに。

例えば、今なら、ポンド買いという選択肢もあるというようなことです。
投資対象として、換金性の高い、海外の株式を購入してもよいでしょう。例えば、各国の基幹企業などは換金性とか長期保有資産としてのメリットはあり得ると思います。VW、シーメンス、フィリップス、BP、等の巨大企業など、倒産リスクの小さいと思われる会社の株は、十分に考えられるということです。ドル買いなら、アルファベットやアップルやアマゾンの株式も対象となり得るでしょう。

投資対象が高い局面なら、国債投資でもかまいません。そういうことを、円売り資金で実行するということです。


2)政策の効果とは?

これは、投機的動きでの円高が行き過ぎると、介入資金が円売りをしてくるだろう、ということになるわけです。円売り資金は、日銀が「創造したお金」ですから、国民の懐は痛まないわけです。無期限債券なので、永久の借金じゃないか、ということになりますが、その通りです。
けれど、政府の投資資産が増えているわけで、誰も困りません。投資対象からの配当金等は、全て政府収益として還元することとします。
円安局面では、逆に保有資産を売却(=外貨売り円買い)して、政府債務を減額することだって可能ですし、政府予算の国債発行額の調節にも使えます。金利が高止まりしている局面では、新規国債発行額を抑制する効果が期待できます。


一方、日銀はどうするのか?
無期限債券は、ずっと持っていてもいいですし、市中に売却しても良いということになります。
それはどういうことか?
インフレ率が上がっている場面だと、市中資金を吸い上げるべく、無期限債を売ればいいのです。入札すれば、その時点での利回りが必然的に算出されるので、投資家たちが「買ってもよい」水準の価格が自動的に決まるということです。

額面100万円の1%利息付無期限債が90万円で売れたら、その時点での割引現在価値が決まり、その金額分が市中から吸い上げられるオペ効果が発生する、ということです。


3)円高になったら損するのをどうするのか?

極端なことを言えば、円高を阻止することは理論上必ずできます。何故なら、ある水準の円高が発生すれば、日銀が貨幣を生み出すことは無尽蔵に可能ですので、円高が止まるまでずっと投資会社が外貨買いを続ければいいだけです。極端な話、海外株式市場の半分とかを買い占めることだって、できてしまうようになるでしょう。

そんなことが現実に可能になると思いますか?
あり得ないでしょう。円をそんなに必要として買う人が現れるとも思えませんからね。円を買うことで、世界中の資産が買い占められるのを黙って見ている人はいませんから、みんなは円売りをしてくるでしょう。なので、円高は止まることになります。

円高が止まるまで政府が買い続けた資産は、まるまるお得に買物ができたに等しいので、その収益は政府の税収を補ってくれるわけで、まことに円高は有難いことです、円高さまさまです、ということになりますね。

日本国民の多くが怒るのは、まるで「自分のお金(=税金)」で、投機の博打をやるからであって、自分の腹が痛まずに、かえって減税効果をもたらしてくれるなら、反対などしないでしょう。

日本は為替操作国だ、とか米国が文句を言うのかもしれませんが、これはあくまで経済的な活動に過ぎず、投資対象を購入するだけなのですから、文句を言われる筋合いなどない、と突っぱねることは簡単です。ただ、逆鱗に触れて、もっと別な嫌がらせとかをやられる可能性があるかもしれませんが。


4)日本の財政破綻を招くのではないか?

ほぼあり得ないでしょう。そんな国の通貨を何処の誰が買いますかね?
円売りが殺到するなら、日本の持つ1兆ドル級の米国債とか、これまでの対外純資産が猛烈な価値を発生しますし、輸出企業群の企業利益は円表示で何倍かに膨れ上がりますから、やっぱり大儲けでしょうね。そういう国は財政破綻なんかしないんですよ。

金利が上がるのでは、ということはありますよね。
実は、その狙いがあるのです。
無期限債券は市場に放出されると、価値がゼロになることもない(その場合円は崩壊し日銀は存在してないでしょう)し、無限に大きくなることもありません。どんなに高くなったとしても、値が付くのですよ。今のマイナス金利となっている国債市場を緩和する効果が出てくるはずです。短期債が枯渇してるので、それ以外の調節手段としても活用できますし。


年金資金で50兆円規模の外貨建債券や株式購入をしましたが、それでも円高になってますでしょう?
となると、30兆円や50兆円程度、投資会社が海外資産を購入したとしても、大した円安効果なんかないのでは?
けれど、円安になるまで購入を継続すると他の投資家たちが知ったらどうなるでしょう?為替市場のルールが変わるのでは?


さて、これは、勝つまでやる円売り外貨買いであり、その結果、日本での税収は大幅に改善し、増税は必要なくなります。日銀の刷ったお金で購入した資産ですから、円高で元本割れになったとしても、痛くも痒くもないです。


国債金利が反転し、10年債が2%とか4%とかになってゆくなら、名目GDP成長率が相応のプラスに到達しているはずであり、インフレ率も上がってきているはずで、日銀はそこでいくらでも国債売りで引き締めることは簡単にできるのですよ。

金利が高い時期には、政府の新規国債発行額をガンガン減らしても、無期限債の流通がある限りにおいて、調節機能維持はある程度可能ですし。

円安になったらなったで、資産価値が上がって儲けるはずだし、日本という国自体の「老齢国家」移行で、利息や配当収入という「過去の資産」から所得を得るという生活になってゆくのもしょうがないのでは。

ドル円が仮に200円とかになったとしても、日本の生産力は割と高いので、輸入品を避けて国産に切り替えることはそう難しいことでもなく、石油等のエネルギー関連部門の不安が少しあるという程度ではないかな。本気でそう思ってるなら、投資会社は国家に役立つ資産を購入するはずだしね。


5)規律はどうなるの?

毎年度に、保有資産の情報開示をするべき。収益率とか収益額も勿論である。ただし、投資内容そのものの個別の銘柄とかは伏せておいた方がよい場合もあるので、銘柄と保有株式数は公開すべきではない。場合により、売却する時などに色々と揉める原因となりかねないので。

資産クラスと保有残高くらいは、開示した方がよいでしょう。実物資産についても、個別の場所とかはいいとして、どんなものを買ったかは公開した方がよいのでは。例えば「ロックフェラーセンタービル」とかは、個別に言わない方がいいでしょ?


一番重要なのは、毎年会計検査院の検査を受けるようにすること。本来であれば、監査法人等の監査ということになるかと思うが、情報漏れの問題とかあると困るので、会計検査院の検査とする。国家の戦略的な投資政策ということになるので、慎重な情報管理が求められる。しかも、50年とか100年単位の長期的視野と展望が要求されるし、一方では、機動的な運用も必要とされる。プロを凌ぐ力量を発揮できる人材を発掘するしかない。専従班のノンキャリアに特殊才能の人を入れるとか。


それこそリーマンショック級の経済ショックが襲ってきたら、一時に資産価値暴落を招くかもしれないが、そこで慌てる必要はなく、むしろ買い場の可能性を考えるべきということになろう。

本当に、日本最強レベルのエース級の力が必要となるので、常日頃からの情報収集とか、投資対象のヤバい面がないかといったブラック情報を集める能力とか、流動性の程度とか、あらゆる面での実力が必要とされ、その成否は国家予算の毎年の数兆円に軽く反映されるという、まさに、一騎当千どころか「一人数兆」レベルでの働きが求められる。資金投入のタイミングとか、そういうのもあるし。


こうした方法であると、バラマキだ、という批判も回避できる。単発の刺激策に過ぎない、という批判も同様。未来に、将来の子世代にも残せるもの、それを選ぶんだ。輸出系の大企業の人たちだって、喜ぶ方法のはずだと思うが。
単に「利益を生むもの」を探すのではなく、国民を救うべく「国家財源として貢献できるもの、税収の一部として利益を生むもの」を、死に物狂いで探すんだ。これを、どういうタイミングで仕掛けるとか、全く秘匿したまま、こっそりと買い入れておくということなんだ。秘密、というのが本当に何よりも大事。


ああ、外貨資産購入は、物価が安定的に上がってゆくまで、国債金利が日銀の金利調節可能なプラス圏(1~2%程度?)に行けるまで、諦めずに買い続けることになるでしょう。



追記:

これは、ある種の財政出動策ですが、輸出企業にだけ恩恵が多くて、円高で恩恵を受けやすい中小零細企業や、降雪地帯(暖房費とかロードヒーティングとかガソリン代とか)にとって、かなり不利となりますので、国が獲得した収益を「円安影響補正」で配分する必要がありますね。

国が一律に円高を阻止するわけですが、その結果、有利不利ができてしまうので、国が獲得した収益から、毎年定常的に「円安打撃緩和措置」として税を投入するということになりますね。

具体的には、

・原価に占める為替の影響度を業界ごとに平均的な値(緩和係数のようなもの)を算出して、法人税の減免か納付すべき社会保険料との相殺をする
・地方自治体への交付金等で、円安打撃の大きい地域に多く配分し、円安で恩恵を受ける大企業やその社員の多い地域には逆に減らす、といった措置
・寒冷地に補助する為に指定する自治体に交付金を配分、その同額を住民税か社会保険料(国民健康保険料や介護保険料)軽減財源に充てる

などを考えてもらえれば。

これは、ある年だけ突出して収入が増減するのではなく、ある程度一定水準を保てるよう、よく考えてもらいたい。購入資産からの収益のうち、例えば平均収益額の50%をまず円安打撃緩和用の予算として除外、残りを一般会計財源のうち、教育・社会保障部分に充当、とか。仮に年間2兆円の収益金を国庫に納めるとして、毎年打撃緩和用予算を1兆円、残りは一般会計に繰り入れ、とします。

経済情勢により、この収益金が半減したとしますか。その場合にも、緩和措置用に1兆円投入して一般会計には入らない、ということになります。円高が来るかこないかは、事前に分からないのと、円高時の恩恵は全く受けられない側の不満というのはあるわけで、10年で10兆円くらい円高恩恵組に使わせろよ、とは思いますわな。だって、外貨建資産購入の為に、既に10兆円は使ってしまっているわけですから。これは円安恩恵組の為に、最初に使われたお金ですので。


なので、円安緩和措置には、相応の額の投入を必要とするということです。



本当に必要な構造改革~2 金融取引の課税を強化せよ

2016年07月03日 12時40分29秒 | 経済関連
金融自由化という規制緩和政策の結果が、今のような状況をもたらしたのである。

これを改善するべく、リーマンショック後に世界中で金融規制の見直し作業が行われてきたはずだが、日本ではあまり議論されているようには見えない。


そこで、いくつかの提案をしたい。


1)株式投資の課税強化

・保有1年以内の売買益に対し投資主体の別なく一律40%課税
・日計り売買益に対し投資主体の別なく一律50%課税
・保有1年以上の売買益は従来通り
・配当金収入が1000万円以上の者は総合課税
・配当金収入が30万円未満の個人は源泉税5%に軽減
・連結子会社からの配当金に法人税課税
・信用売建1単位につき、10円+金額×0.5%
・信用買建1単位につき、10円
・市場外売買や譲渡の報告義務、売買実行者は匿名で可、銘柄数量と価格を公表
・株主の国内外比率、人数を有価証券報告書に記載し、公表
・東証は年度末に上場株式を1兆円以上保有する株主の所在地、名称、個人法人の別、保有金額につき、公表
・個人投資家にも、給与所得等から売却損を通算できるよう緩和(高額所得者有利との批判があるなら、例えば年100万円まで、とか)
・ETF等、類似の金融商品もこれに準ずる


ポイント:
巨額投資を実施する株主の明確化、頻回取引や信用売に課税強化、売買益に課税することで取引にマーキングし海外資金逃避を阻害、投機的取引抑制



2)為替(FX)取引の課税強化

・取引利益に対し投資主体の別なく一律50%課税
・金利収入が1000万円以上の者は総合課税
・建玉1枚につき、100円課税
・銀行間取引、決済用資金、外貨預金用資金、貿易に要する資金は課税しない



大雑把に考えてみたが、こうした取引課税により、投機的売買は若干は抑制されるのではないかと思う。財務省の税収アップにも貢献できる上、多くの日本国民の懐には打撃を与えないはずだ。
主として、投機的売買を頻繁に行っている海外ファンド勢にとっては、博打の参加費が上がるので、痛手を蒙ることになるだろう。大金持ちが少々苦しんだとしても、大勢に影響はない。



本当に必要な構造改革~1 蔓延するインチキ取引

2016年07月02日 18時52分43秒 | 経済関連
※3日朝
さっき読み直してみたら、おかしなことを書いているな、という部分があったので、一部削除しました。



昨今の経済統計の信頼性の低下というのは、かなり危機的である。日本の統計処理についても、GDP統計の速報値などでは、いかがわしい操作が疑われる数字が出たりしたこともあるので、非常に嘆かわしい限りである。


中国の統計数字は、どうも怪しいとか言うレベルではなく、日本であろうと、米国であろうと、データの捏造疑惑というのは付いて回るだろう。
米中の統計に比べれば、日本はまだマシということだとは思う。


平成27(2015)年度の国際収支が出ましたよね。

>http://www.mof.go.jp/international_policy/reference/balance_of_payments/preliminary/bpfy2015.pdf


速報値なので、まだ今後に変動するかもよ、ということだとは思いますが、過去の傾向と異なっていることがありますよね。
それは、何だと思いますか?


経常黒字の額はそこそこだったのに、外貨準備が減ったということですね。これは、円安だったものが巻き戻って、円高になった為というのが最も考えられるかと思います。ただ、円高になったとて、外貨準備が増加してきたというのが、傾向だったわけです。
それから、誤差脱漏の額が、異様に大きい。経常収支の4割が誤差だと、統計の信憑性ってどうなんでしょうね。

以前だと2兆円程度だったように記憶していたのですが、随分とワケの分からん資金移動が増えたということですかね?


あんなに、米国が資金移動の監視を厳しくやって、過去最強の監視体制を敷いているというのに、電子化された今の方が、「帳簿の記載漏れ」が増えたとでも言うつもりなのでしょうかね?


原因が、米国さまの裏取引が活発になって、帳尻が合わなくなってる、ということであると、監視役が帳簿記載漏れの原因を生みだしているなら、ああそうかと頷けるものですけどね。これはまあ、いいですわ。


それから、金融収支ですがね、巨額の「対外投資」増加ということになっていますよね。直接投資16.3兆円、証券投資約30兆円です。これらは、日本円を外貨建資産購入の為に外貨を買った、ということを意味しており、円売の純流出額が24兆円以上あった、ということです。海外からの対内投資(円買い)をはるかに超える、2倍程度の円売りがなされたにも関わらず円高になったのだ、ということ。





それから、対外資産の統計ですね。

>http://www.mof.go.jp/international_policy/reference/iip/2015.htm


この一覧表も大変勉強になるわけです。

まず、2015年度は海外勢は株式を売り越していましたよね?東証把握のデータからでも、3兆円以上、日銀統計でも4.2兆円の「売り越し」だったはずなのですね。


ところが、です。
平成26年度と27年度の差額で見ると、海外勢の株式保有残高は、明らかに増加してますね。その額、何と17兆7560億円!

その主体は、銀行や証券会社(その他金融機関)などではなく、「その他」なんですよ!これって、誰だか分からないわけです。租税回避地ということなのかもしれませんが、正体不明の部分に、殆どを買われて、持たれている、ということです。ヘンだと思いませんか?


東証では売り越されているのに、その預かり知らない場所で、どういう取引がなされているのか不明なのに、もっと持ち高が増えているのですよ?海外市場で上場している企業とかの分が、162兆円分もあると言うのでしょうか?どんだけ巨額投資しているんだ!


しかも、円高になったにも関わらず、16兆円も持ち高が増えている!どうやって買ったの?どこで?
円高になった分だけ、買い越し額がないと、為替変動の分だけで10兆円以上は目減りする。株価値上がりがあったにせよ、日本企業でそんなに時価総額の大きい企業群はない。しかも、時価総額上位企業は、殆どが大幅に株価が下がった。

なので、為替の円高の分+株価下落分を、まるまる「日本株買い」に投入しないと、昨年度末より16兆円も増やすことなど不可能なのです。


円の巨額資金を海外に持っていて、円買いをすることなく日本株をこれほど買い越せる存在って、誰かいるのか?日本政府?(笑)
「その他」という、謎の覆面投資家が、日本株を160兆円以上も保有しているんだぞ?民間投資家を装った政府機関とか?
誰なんだよ、それは。


因みに、主に日本国債(短期、中長期、財投債等)を昨年度に最も購入したのは、海外の一般政府であり、約16兆円買い越している。


それにしても、海外金融機関の売った額がこの程度でしかなくて、こんなに巨額の日本株買い越しだったなら、相場がこれほど下がるというのは考えられないだろ。2013年に個人投資家や国内金融機関が数兆円を売っていたものの、海外勢が15兆円買い越したということで、株価指数が上がったんだぞ?

なのに、海外の謎の覆面投資家「その他」が20兆円以上は軽々と買い越しても、大幅に相場が下がるのはおかしいでしょう。市場外取引が、デタラメ級に存在してないと、あり得ないですね。しかも、日本の投資家達が、そのようなインチキ紛いの取引が海外で行われており、東京市場とは全く別の独立した価格形成となっている、ということで、その情報は全く閉じられており、あり得ない取引が可能、ということでしょうな。


それから、国際収支とは異なり、こっちの外貨準備高は、2兆5270億円のマイナスになっていますね。政府の損失が最大で、約2兆円のマイナスを食らいました、とさ。まあ円高になれば、そうなるわな。



あと、資金循環を見ると、やっぱり毎年海外への資金流出が観察されており、その規模は、

2011年  14兆円  
2012   26.9
2013   12.7
2014   23.3
2015   17

だった(日銀資金循環)。

つまり、対外投資がこれだけ毎年上回っていたということであり、日本株買い(円買い)要因というのは、どこにも見出せないわけである。


日本の統計がおかしいのか?

それとも、もっと別の何かが狂っているのか?


当然、疑われるのは、為替市場の不可解な動きである。
東証が大幅に下げた上に円高だったにも関わらず、株式資産残高が16兆円も増やせる投資主体が、どうやってそれを実現できたのか?株券を直接手渡しとか、株券を盗んだとか、それくらいしか思いつかないが。