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紅麹騒動に見る、法制度を完全無視した官僚機構の狂気に等しい劣化

2024年04月02日 18時14分27秒 | 法関係
ここ最近マスコミを賑わせてる小林製薬の紅麹製品について、いくつか書いてきたわけだが、さっきふと気になって調べてみたんだが、どうも法律や行政手続とか運用が滅茶苦茶になっているようなのだ。


発端は、厚労省の紅麹工場への立入検査の報道だったわけだが、一緒に「大阪市職員」も立入調査に参加した、という話が疑問に思えたからだ。

行政権限による立入調査って、多くが「中央省庁の職員」か「都道府県知事(都道府県職員)」というのが通例だったように思ったわけだが、今回は何故か最初から大阪市がしゃしゃり出てきており、どういう権限なのだろうか、と。

以下、調べたことをメモがてら書いてみる。


1)大阪市の公表について

こちらのHPに記載がある。

>https://www.city.osaka.lg.jp/hodoshiryo/kenko/0000623818.html

要点として

 a) 根拠法は食品衛生法
 b) 事業者が大阪市保健所に製品回収の届出
 c) 大阪市は食品衛生法6条2号違反と断定
 d) 同法59条の権限により廃棄命令等の措置を講ずるよう連絡あり

ここで、疑問点を挙げる。根拠法はまあ「そうですか、初めて知りました」とw

大阪市が登場してきた理由は、b)の回収の届出があったから、のようだ。市町村長に管理監督権限があるのか?

後述するが、市町村長にはそんな権限は有してないww自治体の長に権限がないのに、何故末端の市職員に権限が委任されているのか?
通常の法規範では原則としてあり得ない。

HP上での記載がある通り、c)の違反事実は、未だ一つの事実も認定されていない。にも関わらず、何故大阪市が勝手に認定機関の如く振る舞い、違反と公表しているのか?越権行為も甚だしい。既成事実化を狙った、杜撰な措置である。

d)の廃棄命令を出す措置、これについても、市町村長にそんな権限があるのか?
普通はないわけです。


一言で言えば、この国の法規範も、行政法の運用も、条文の解釈・適用も、何から何まで杜撰と言うに尽きる。最初から、全部デタラメで出来ている。法律制定で設計された制度として、全く機能してない。滅茶苦茶な、場当たり的運用である。


アベ政治で法規範の破壊とか、行政法がほぼデタラメとなり、条文解釈や適用が嘘八百で通用するようになって、省庁の人間すら全部最初から嘘で誤魔化す無能ばかりになったということだ。


2)食品衛生法と安全管理や監督の制度は本来どういうものか?

条文はこちら
>https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=322AC0000000233


c)に関連の条文は以下。


第六条 次に掲げる食品又は添加物は、これを販売し(不特定又は多数の者に授与する販売以外の場合を含む。以下同じ。)、又は販売の用に供するために、採取し、製造し、輸入し、加工し、使用し、調理し、貯蔵し、若しくは陳列してはならない。

一 腐敗し、若しくは変敗したもの又は未熟であるもの。ただし、一般に人の健康を損なうおそれがなく飲食に適すると認められているものは、この限りでない。
二 有毒な、若しくは有害な物質が含まれ、若しくは付着し、又はこれらの疑いがあるもの。ただし、人の健康を損なうおそれがない場合として厚生労働大臣が定める場合においては、この限りでない。
三 病原微生物により汚染され、又はその疑いがあり、人の健康を損なうおそれがあるもの。
四 不潔、異物の混入又は添加その他の事由により、人の健康を損なうおそれがあるもの。



有毒・有害な物質かその疑いがある、ということで、販売禁止や製造禁止等の措置は、話としては分かる。
が、この事実は市町村長の管轄(管理)下にはないので、大阪市が違反を宣言する権限はなく、HP上に断定の記述をするのはおかしい。


上記d)に関しては、59条。


第五十九条 

厚生労働大臣又は都道府県知事は、営業者が第六条、第十条から第十二条まで、第十三条第二項若しくは第三項、第十六条若しくは第十八条第二項若しくは第三項の規定に違反した場合又は第九条第一項若しくは第十七条第一項の規定による禁止に違反した場合においては、営業者若しくは当該職員にその食品、添加物、器具若しくは容器包装を廃棄させ、又はその他営業者に対し食品衛生上の危害を除去するために必要な処置をとることを命ずることができる。

(2項 略)

危険な食品を廃棄等の処分をしろ、という命令権限がある、という規定である。
ここで重要点は、命令権限の発令者は

厚労大臣か都道府県知事

であって、市町村長ではない。すなわち、大阪市長には命令権限がないので、やってはいけない。
なのに、大阪市HPには、『廃棄命令等の措置を講ずるよう連絡』と書かれていた。全くの出鱈目である。

そもそも「連絡」が来る、ってどういうことか説明できるのか?
省庁が命令できるわけじゃないんだぞ?
廃棄命令を出すよう「連絡」って、行政法上の権限か効力について、説明してみ?
厚労省の局長通知とか、普通はそういう形式論があるわけだろ?

食品衛生法上で、廃棄命令等の措置を講ずる「連絡」って、一体全体、誰のどういう権限・所掌事務なんだ?

鍵となるのは、8条の条文である。

第八条 
食品衛生上の危害の発生を防止する見地から特別の注意を必要とする成分又は物であつて、厚生労働大臣及び内閣総理大臣が食品衛生基準審議会の意見を聴いて指定したもの(第三項及び第七十条第五項において「指定成分等」という。)を含む食品(以下この項において「指定成分等含有食品」という。)を取り扱う営業者は、その取り扱う指定成分等含有食品が人の健康に被害を生じ、又は生じさせるおそれがある旨の情報を得た場合は、当該情報を、厚生労働省令で定めるところにより、遅滞なく、都道府県知事、保健所を設置する市の市長又は特別区の区長(以下「都道府県知事等」という。)に届け出なければならない。

② 都道府県知事等は、前項の規定による届出があつたときは、当該届出に係る事項を厚生労働大臣に報告しなければならない。

(以下略)


製品製造の事業者が、指定成分等含有食品の健康被害等を生ずる危険情報を得た場合には、「都道府県知事か、保健所設置の市長か特別区区長」に届出しろ、という規定である。

紅麹が指定成分なのかもしれないが、事業者は大阪市保健所に届出したのは、この規定に従ったからであろう。
都道府県や市長・区長は厚労大臣に「これこれの情報を得ました」ということを報告せよ(2項)、ということになっているわけである。


ここで、条文上の取り扱いとして、

都道府県知事

都道府県知事等

は定義が異なる為、食品衛生法上では別個のものとして取り扱われる。

その為、先に見た59条規定の都道府県知事が有する「命令権限」は知事にはあるが、市町村長には「無い」のだよ。

事業者の届出先は、「保健所のある市長か区長」でOKだが、管理監督権限(各種命令権限や立入調査権、等)は知事にしかないものだろ。
それなのに、何故大阪市が出しゃばってきて、市職員が立入調査をやるわけ?ww

行政手続の基本となる立入調査の実施を通知した文書に、根拠法の条文を記載するはずだが?
そこには、何て書いてあったんだ?
見せてみろ。


もし59条の廃棄命令を出す場合であっても、正当な手続を経ない限りは、好き勝手に命令を発出できないぞ?


第二十六条 

都道府県知事は、次の各号に掲げる食品、添加物、器具又は容器包装を発見した場合において、これらを製造し、又は加工した者の検査の能力等からみて、その者が製造し、又は加工する食品、添加物、器具又は容器包装がその後引き続き当該各号に掲げる食品、添加物、器具又は容器包装に該当するおそれがあり、食品衛生上の危害の発生を防止するため必要があると認めるときは、政令で定める要件及び手続に従い、その者に対し、当該食品、添加物、器具又は容器包装について、当該都道府県知事又は登録検査機関の行う検査を受けるべきことを命ずることができる

一 第六条第二号又は第三号に掲げる食品又は添加物

(以下略)

有害物質が混入している可能性があると言う場合でも、大阪市が命令できるのではなく、知事が「サプリ錠剤の内容物の検査をしなさい」と所定手続に則り、命令できるのだ。


また、販売禁止や摂取禁止命令についても、例えば7条3項の

厚生労働大臣は、食品によるものと疑われる人の健康に係る重大な被害が生じた場合において、当該被害の態様からみて当該食品に当該被害を生ずるおそれのある一般に飲食に供されることがなかつた物が含まれていることが疑われる場合において、食品衛生上の危害の発生を防止するため必要があると認めるときは、厚生科学審議会の意見を聴いて、その食品を販売することを禁止することができる


や、9条の


厚生労働大臣は、特定の国若しくは地域において採取され、製造され、加工され、調理され、若しくは貯蔵され、又は特定の者により採取され、製造され、加工され、調理され、若しくは貯蔵される特定の食品又は添加物について、第二十六条第一項から第三項まで又は第二十八条第一項の規定による検査の結果次に掲げる食品又は添加物に該当するものが相当数発見されたこと、生産地における食品衛生上の管理の状況その他の厚生労働省令で定める事由からみて次に掲げる食品又は添加物に該当するものが相当程度含まれるおそれがあると認められる場合において、人の健康を損なうおそれの程度その他の厚生労働省令で定める事項を勘案して、当該特定の食品又は添加物に起因する食品衛生上の危害の発生を防止するため特に必要があると認めるときは、厚生科学審議会の意見を聴いて、当該特定の食品又は添加物を販売し、又は販売の用に供するために、採取し、製造し、輸入し、加工し、使用し、若しくは調理することを禁止することができる。

一 第六条各号に掲げる食品又は添加物
二 第十二条に規定する食品
三 第十三条第一項の規定により定められた規格に合わない食品又は添加物

(以下略)


の如く、厚生科学審議会の意見を聴取した上で、厚労大臣が危険な添加物等の禁止を命令できる、という建て付けになっているのだよ。


これまで、小林製薬の製品について、例えばプべルル酸の詳細について厚生科学審議会の意見を大臣が聴取したのか?
あるなら、厚労省が公表できるだろ。


「薬事・食品衛生審議会」は厚生科学審議会とは別物なので、意見聴取の代用とはできないはずでは?
厚生科学審議会は設置法により規定されているため、杜撰な国家戦略特区WGみたいな杜撰組織とは異なり、厳格な組織として規定されてきたはずではないのか?


一方で、アリバイ作りでやったかのような、不自然な会議体は何なの?

コレ
>https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_39396.html

薬事・食品衛生審議会 
食品衛生分科会 新開発食品調査部会 

新開発食品評価調査会及び指定成分等含有食品等との関連が疑われる健康被害情報への対応ワーキンググループ


肩書だか名称だかは異様に長くて覚えていられないw
何の「やったフリ」だよww


また、会議で提示された「厚生労働省健康・生活衛生局食品監視安全課長」名による『健生食監発 0326 第6号(令 和 6 年 3 月 26 日)』は何なの?

>https://www.mhlw.go.jp/content/12401000/001236934.pdf

『当該事業者が取り扱う下記の食品については、食品衛生法(昭和22年法律第233号)第6条第2号に該当するものとして取り扱い、同法第59条に基づく廃棄命令等の措置を講じていただくようお願いします』

って、ヒラの課長がお願い文書を出して、厚労大臣命令(権限)を勝手に盗んでるに等しいだろ?
このインチキ行政は、一体全体何なのか?


マスコミを大騒ぎさせて、空気で「製品を禁止させろ」というように持って行こうということをやってるだけだ。


厚労官僚は責任を一切負いたくないから、大阪市のボンクラ役人に「廃棄命令を出せ」という「連絡メール」(正式な行政文書とは程遠い、ただの連絡メモだろ?)を送った程度で、正規手続を踏んでやる、ということは面倒だからやらないか無知無能ゆえ杜撰処理をやってるのだよ。


少しは、正当な行政手続に則って、きちんと段階を踏んで仕事をやれや。
クズ役人どもが。

大阪市長が特別な対策班を設置、って何の権限、根拠法で行政権限を行使してるのだ?
>https://www3.nhk.or.jp/news/html/20240401/k10014409441000.html

目立ちたがりのド素人を操縦して、紅麹問題を大きく育てようという魂胆がミエミエだろうに。




法的根拠がないマスク強制を合法と言い張る最高裁

2024年01月31日 12時21分04秒 | 法関係
民衆裁判を支持する裁判所ならば、判事なんぞ存在する意義がないw


「マスク原理教」の神話維持を優先し、人権蹂躙・抑圧を正当化する裁判所の愚

>https://note.com/hamagiku11110/n/n460b8cd11259



日本全国で嫌がらせを継続する盗人山賊の米軍が、何故か屋久島空港の緊急着陸の際には不可解な行動をとっていた。


屋久島沖で墜落した米軍オスプレイの謎行動

>https://note.com/hamagiku11110/n/nfac38be66934



羽田衝突事故(JAL機と海保機)の説明困難な不自然な点も残り続けている。


海保機の焼け跡の謎

>https://note.com/hamagiku11110/n/n0b75fb4ef855


辺野古沖埋立の2015年代執行訴訟ついて

2023年12月23日 09時52分02秒 | 法関係
最近になって、辺野古の基地建設に関して、政府が代執行訴訟を提起し高裁判決が出たが、霞が関お得意の「歴史・記憶書き換え」戦術であろうことは容易に想像がつく。

昨日、ツイートでざっと書いたのだが、現時点で表示されないしw
タイムラインからも排除されてるっぽいので、こちらに書いておくことにした。

何としても目に触れさせぬ作戦ですかね?w

前回のアベ政権のやった代執行訴訟は、政府(国)側が圧倒的不利な状況に陥ってw大失敗のミスで敗北が確定的となりw
福岡高裁那覇支部の和解勧告を受け入れて和解したんですよw
(行政法のプロw霞が関エリート官僚が勢揃いしw最高裁事務総局まで味方に付けててもあのザマだったw)


概略を書くと

 2015年10月 翁長沖縄県知事が辺野古の「埋立承認」を取消
  →防衛局が審査請求
  →国交大臣が取消処分の「執行停止」

 11月
  →政府が代執行訴訟の提訴

 2016年3月
  高裁の勧告で和解成立
  →代執行訴訟取り下げ
  →国交大臣の「執行停止」の取消・防衛局の審査請求取り下げ


簡単に言えば、16年3月時点で国交大臣が「執行停止」で凍結してた、沖縄県知事の「埋立承認の取消」は完全に復活したんですよ。
国が和解した時点で、知事のした取消処分は法的効力を有し、合法となっているんですよ。

何故なら、埋立承認の上級庁たる国交大臣が「執行停止」を取消した上、防衛局の出した審査請求に対する「裁決」権限も放棄したからだ。

もし知事の承認取消が、本当に「違法な処分」だと認識している場合には、国交大臣が「執行停止」を取り消したり「裁決」権限を放棄することなど到底あり得ないから、である。

大臣が自らの職権で取消で法的効力を消滅させない限り、執行停止も裁決権も法的効力が残存し続けるのだから。


また、代執行訴訟提訴を前提として国交大臣から「是正指示」を出してるが、和解の受け入れでこの指示を無効化した以上、同じ内容・理由・根拠での「是正指示」は違法である(アベ政権はこれをやった)。


裁判で一事不再理の原則があるのと同じく、国や自治体の場合にも「同一の関与」禁止原則がある(「関与」には定義がある)。
国が自治体に勧告したり指示したり法的係争となった事柄について、同一内容での是正指示は無効だということです。


参考:

>https://trapds.hatenablog.com/entry/20161221/1482304102

>https://trapds.hatenablog.com/entry/2019/10/24/182702


和解直後に国が新たに是正指示を発出し、別件の違法確認訴訟で最高裁判決が出されて、承認取消が無効とされた。
まあ、イカサマ最高裁判決ですねw
現知事の権限を一切検討せず、前知事の承認時点で「書類上の違法がない」と断定したのみ。


当該判例によれば「違法がなければ取消処分はできない」そうなのでww
国交大臣の出してた「執行停止」や地方自治法245条の八に基づく「是正指示」を取り消したのだから、これを違法だと認めたも同然ではないかw


自ら取り消した同一内容の「是正指示」を和解直後に出したアベ政治のw
極悪無法ぶりは異常だったがw裁判所はこれを全面支援して勝たせたのだww


出発点からして、論理矛盾が酷く、法解釈論でもデタラメ三昧のわが国は、司法崩壊と呼べる程度には腐敗してるということです。


この敗北の「黒歴史w」を隠蔽すべくwペテンの霞が関がやったことは、今回の別な代執行訴訟だけじゃないんだぞ?

アベ官邸の総力を挙げてのw「行政不服審査法」の丸ごと改竄作業w(まあボンクラ議員による普通の法改正、の体ではあるが)

こいつらが得意なのは、歴史改竄や証拠隠滅ww
・ネット上のリンク先を消滅させる(システム更新名目w)
・法令や通達、内規などの「まるっと作りかえ」
・不都合な情報を遮断


頭の悪い愚劣官僚どもの考える手口ってのはww20年米国大統領選挙で悪事を重ねた連中と同じw

汚点を無かったことにするべく、卑怯な方法を考えることにだけは長けてるw


シドニー・パウエル(Sidney Powell)弁護士の司法取引についての雑感

2023年10月21日 13時16分07秒 | 法関係
パウエル弁護士がジョージア州から起訴されていた裁判で、司法取引に応じたとの報道を受けて、喜びに沸く人々もいるようである。トランプ前大統領の窮地と指摘する発言も見られる。


当方は選挙直後からパウエル弁護士を擁護する立場を取ってきたし、現在でも2020年大統領選挙での不正集計が行われたものと推測している。


それはGAのような激戦州の結果だけでなく、Bellwether(County)の勝敗結果はトランプが圧勝(95%獲得)、下院選挙でもcompetitive選挙区での共和党の勝率は民主党を圧倒していたし、総得票数の不一致なども不正な得票操作が行われた可能性を疑う理由である。


その上で、パウエル弁護士のGA州が起訴した事件について、述べてみたい。


まず、パウエル弁護士が有罪を認めたとする内容については、次のようである。

司法取引の文書

>https://www.documentcloud.org/documents/24041644-23sc190370-criminal-accusation


6項目について有罪を認め署名した、ということです。

簡単に言えば、GA州フルトン郡・コーヒー郡の投票機器類のデータやスキャン済の投票用紙データにアクセスした行為が州や郡(管理者のハンプトン氏、他)の選挙管理業務を妨げており、その行為をデジタル・フォレンジック能力を有する会社に指示した(=共謀と位置づけられている)パウエル弁護士は有罪、という結論です。

摘要条文は次の通り。

>https://law.justia.com/codes/georgia/2022/title-21/chapter-2/article-15/section-21-2-597/

GA Code: §21-2-597
Any person who intentionally interferes with, hinders, or delays or -attempts to interfere with, hinder, or delay any other person in the -performance of any act or duty authorized or imposed by this chapter shall be guilty of a misdemeanor.


当方の理解で簡単に言えば、選挙管理業務に対し、意図的に遅延や妨害を行った者は「軽犯罪」に該当する、という条文です。選挙に関する連邦犯罪に匹敵するような重罪ではありません。

また本条文の更新自体が2022年であり、犯罪行為の時点でも類似条文は存在してきたのでしょうけれど、恐らく当時には存在してないコード§21-2-597を適用して起訴・有罪とするのは、不遡及原則に反するような印象を受けますね。


もう一つの条文がこちら

>https://law.justia.com/codes/georgia/2020/title-16/chapter-4/section-16-4-8/

A person commits the offense of conspiracy to commit a crime when he together with one or more persons conspires to commit any crime and any one or more of such persons does any overt act to effect the object of the conspiracy.

A person convicted of the offense of criminal conspiracy to commit a felony shall be punished by imprisonment for not less than one year nor more than one-half the maximum period of time for which he could have been sentenced if he had been convicted of the crime conspired to have been committed, by one-half the maximum fine to which he could have been subjected if he had been convicted of such crime, or both.

A person convicted of the offense of criminal conspiracy to commit a misdemeanor shall be punished as for a misdemeanor.

A person convicted of the offense of criminal conspiracy to commit a crime punishable by death or by life imprisonment shall be punished by imprisonment for not less than one year nor more than ten years.



関係する部分だけを簡単に言えば、「軽犯罪の共謀罪は、軽犯罪と同様に罰する」ということです。
前記の軽犯罪法違反容疑が別に起訴された被告において同じく『司法取引により有罪』だったので、パウエル被告も軽犯罪の共謀として罰せられる、ということでしょう。

罰金6000ドルと謝罪レター(学校の生徒が罰として校長先生に書かされる反省文みたいなもの?)等の刑罰となったようです。


さて、ここまでで「トランプ前大統領を追い込めるぞ」とか「選挙結果に疑問を呈する陰謀論は完敗した」とか、そういう話は一切関係がないわけです。

むしろ、簡単に釣られるバカを判別する、何とかホイホイの役割を果たしていることでしょうw


事件後制定(改正?)の§21-2-597の旧コードを起訴状や判決で用いてない米国裁判の慣習(?慣例?)には、かなりの違和感がありますね。

それだけではありません。

第1に、司法取引の対象は、起訴内容の「2020年12月1日~21年1月7日」までという、これまた微妙な期間だったことです。

何故なら、トランプ陣営が当時「パウエル弁護士は弁護団の人間ではない」と宣言(解任?)したのは20年11月中頃であり、トランプ陣営の訴訟活動とは何ら関係がなかったからです。

例えばこちら
>https://www.bbc.com/japanese/55039335


もし最終標的をトランプ大統領に定めているなら、同じく共謀容疑で起訴できそうな11月中を含めて起訴・有罪を取りに行くのでは?なのに、敢えて起訴内容として12月1日を開始日としていることは不自然です。

投票結果に不正の疑いが濃厚とトランプ大統領が言い出したのは開票直後からであり、ドミニオンの投票機の脆弱性などが指摘されたのも11月10日過ぎ頃からでしょう?


第2に、違法とされた行為を実施した日が、何と21年1月7日だったことです。
例の国会議事堂襲撃事件で大揺れだった時の翌日に、敢えてGA州の選挙管理事務所に出向き、ドミニオン機器にアクセスし改竄を試みたという謎の行動なのですよ。選挙管理の役人がまるで議事堂にトランプ支持者たちを招き入れた議会警官と同じように、会社の担当者らを入れたらしいのです。

トランプ批判が頂点に達していた時に、ですよ?
トランプの肩を持ったり擁護しようものなら、人間ではないかのようにバッシングされた時ですよ?

トランプによるクーデターだの重罪の連邦犯罪の可能性だと言われてて、コーヒー郡の投票機データ程度では、到底覆しようのない情勢だったでしょう?

仮にそこでの不正データが解明できたとて、トランプ大統領が議事堂襲撃の重罪で有罪となれば、何の役にも立たないでしょう?

更には、GA州全体の得票総数を逆転できる票差が証明できなければ、これまた徒労に終わるのですよ?

どう見ても、「危ない橋を渡る」(=ドミニオン機に不正にアクセスする)には状況が悪過ぎる日が実行日に選ばれており、応対した選挙管理側も普通なら「昨日あんな大事件があった直後だから、ちょっとタイミング悪いので勘弁して」とか断りそうなものでは?

なのに、何故この日が選ばれたのか?


更に資料を追加しましょう。
>https://www.lawfaremedia.org/article/what-the-heck-happened-in-coffee-county-georgia


この記事によると、パウエル弁護士がGA州ドミニオン機のデータを取るべく動き出していたのは11月中からで、被疑会社と契約していた。
が、直ぐにはGA州に調査には向かっていない。

12月21日に、別件ミシガン州の裁判所命令で投票機にアクセスできた検証データを被疑会社に送信するよう、パウエルが指示したらしい。

これ程の長い期間を何もせず待っていたのに、何故か1月7日という稀に見る悪条件の日に限って、GA州コーヒー郡の投票・集計機にアクセスしに向かい、不正操作を行った、というのがあまりに不自然では。


また、管理者のハンプトン氏は11月10日頃に「管理権者の立場を利用すると、トランプとバイデンの得票を簡単に入れ替えることができる」という動画を作成して公開したらしく(マスコミがyoutubeにアップしたが、その後検閲され削除された)、ドミニオン機に対しる不安があるとの発言内容も、選挙管理委員会の会議の席上で述べたとされている(一般的にいう内部告発者的な立場か?)。


これらは11月中に起こっていたことで、パウエル弁護士の起訴内容の12月1日以降というのは、ドミニオン機の疑惑解明には何ら進展がなかった時期なのですよ。

トランプ大統領との繋がりも、大して関係がなかった。


加えて、もし投票機を用いた不正行為を働いた犯罪者側なら、11月から騒ぎになっていたのに年明けまでにそうした証拠をわざわざ残しておく程のバカとも思えないでしょう?

証拠隠滅後で何も残ってないドミニオン機を相手に、敢えて襲撃事件翌日の1月7日を選んで「改竄操作をしにわざわざ訪問する」理由は、殆ど思いつかないでしょうw


ということで、パウエル弁護士は高々6千ドルなら罰金を払って、裁判継続の無駄なコストを回避するのが妥当と考えたから司法取引に応じたわけで、これをもって「2020年大統領選挙に不正はなかった」ことの証明には何ら役に立たず、些かの影響も与えていないw


逆に、不自然さの方が目立つw

種々の交渉(脅し?)等で「転ぶ」方を選び、仕込みに協力してしまう人が出たとしても、仕方がないことでしょうね。人間は生活し、どうにかして生きていかねばなりませんから。


パウエル弁護士がそうだと言いたいわけではありません。
1月7日の行為には、直接関与してないですから。


トランプ元大統領の主張する「自動的な機密指定解除は可能」に関する考察

2022年09月15日 16時52分53秒 | 法関係
これまで、米国法に精通した大勢の識者たちが、そんなことは不可能だ、できない、トランプの妄想だ、などと罵倒を続けてきた。

が、当の司法省(DOJ)やFBIらは、大統領の機密指定解除権限が無効であったことは示せず、家宅捜索差押令状は「機密指定情報」とは無関係だ、と公言するに至った。


機密指定解除の根拠について、トランプ側の主張が示されてないとDOJが泣き言を言う(=自力では分からないから、教えてくれw)ので、当方の個人的見解について、説明を試みることにした。


CNN記事はタイトルからして、罵倒レベルが凄いw

"'Ludicrous.' 'Ridiculous.' 'A complete fiction.': Former Trump officials say his claim of 'standing order' to declassify is nonsense"

>https://edition.cnn.com/2022/08/18/politics/trump-claim-standing-order-declassify-nonsense-patently-false-former-officials/index.html

曰く
"But 18 former top Trump administration officials tell CNN they never heard any such order issued during their time working for Trump, and that they believe the claim to be patently false."


そんな命令は存在せず、嘘だ、と言う言葉が投げつけられた。

また、

"Even if Trump had sought to broadly declassify documents, there is a specific process that the president is supposed to follow, the officials said. Declassification must be memorialized and includes careful reviews and notifying agencies such as the CIA, NSA, Department of Energy, State Department and Defense Department."


ということで、大統領が従うべき解除プロセスがあり、各連邦機関側が審査し通知されるのだ、と。

だったら、DOJがそのプロセスとやらの「根拠法」を示してみろ、と要求したのだが、連中は一切の返答を拒んでいるw


連邦法に精通した司法省が、不可能だ、ナンセンスだ、妄言だ、という主張に与するのだから、これはただ事ではない。

が、検討した結果、トランプ元大統領の主張の方が正当である、との結論に至ったので、当方のような法学素人が対抗できるわけではないが、一応、説明をしたいと思うw



まず、普通のプロセスについて、概説された条文がこちら。


5 CFR §1312.1~37

>https://www.law.cornell.edu/cfr/text/5/part-1312



各サブパート毎に、細かい条文と記述があるので、各自ご確認をお願いします。

で、これ以外にも重要法令として、「大統領令E.O.13526」があり、これも細かく規定がある。

>https://www.archives.gov/isoo/policy-documents/cnsi-eo.html


先の 「5 CFR §1312.1~37」と大統領令の対応表、及び実務例が書かれているのがこちら

https://www.ecfr.gov/current/title-32/subtitle-B/chapter-XX/part-2001



分量が多いと読むのが大変なので、殆どの人々は読まずに「答えだけさっさと書け」と言うと思うんだよね。仕方がないことだけどw

最後の対応表のリンク先を読むと

§ 2001.21 Original classification.

の項に、 (4)Declassification instructions の

(i)A date or event for declassification that corresponds to the lapse of the information's national security sensitivity, which is equal to or less than 10 years from the date of the original decision. The duration of classification would be marked as:

Classified By: David Smith, Chief, Division 5, Department of Good Works, Office of Administration
Reason: 1.4(g)
Declassify On: 20201014 or
Declassify On: Completion of Operation



とある。
機密指定と理由の番号を記載、更に、解除条件として、日付か「EVENT」の内容を記載する、という指定ができるのだよ。
イベントは、明示的で紛れのない条件であれば許容されるのである。これがポイント。


話を戻すが、大統領権限の解除に関してはどうなのか、E.O.13526で確認すると


◆セクション1.3の分類権者、大統領が最高権威である

"The authority to classify information originally may be exercised only by:
(1) the President"



以下略


◆セクション1.5  Duration of Classification.で

"(a) At the time of original classification, the original classification authority shall establish a specific date or event for declassification based on the duration of the national security sensitivity of the information. Upon reaching the date or event, the information shall be automatically declassified.

Except for information that should clearly and demonstrably be expected to reveal the identity of a confidential human source or a human intelligence source or key design concepts of weapons of mass destruction, the date or event shall not exceed the time frame established in paragraph


とある。

原則として、"Upon reaching the date or event, the information shall be automatically declassified. "

なので、イベントの設定により、自動解除できるのだよ。
これは、魔法の呪文じゃないぜ?w
法令の文章だよww

こんなものも読めないの?w
米国の法律学者だか、大統領府に精通する専門家だか、マスコミ記者諸君はww

嘘だと言ってた奴等は、脳味噌が腐ってるのか?w



次に、解除プロセスを見てみる。

◆セクション3.5 Mandatory Declassification Review.

機密解除の必須手順として
Except as provided in paragraph (b)

という除外規定以外は、定型的な手順を踏む義務があるが、


(b)Information originated by the incumbent President or the incumbent Vice President; the incumbent President’s White House Staff or the incumbent Vice President’s Staff; committees, commissions, or boards appointed by the incumbent President; or other entities within the Executive Office of the President that solely advise and assist the incumbent President is exempted from the provisions of paragraph (a) of this section.

However, the Archivist shall have the authority to review, downgrade, and declassify papers or records of former Presidents and Vice Presidents under the control of the Archivist pursuant to 44 U.S.C. 2107, 2111, 2111 note, or 2203.



現職大統領の発信した情報(例えばあの衛星画像w)は、レビューが免除されるだろ。

他にも、作成した者が大統領以外の副大統領、補佐官らWHスタッフ、顧問やアドバイザー、その他大統領府の職員らであっても同様にレビュー手順の義務からは除外されるんだよ。


また元大統領の、アーキビストの所有・管理下にある"declassify papers or records " は、アーキビスト(NARA)が機密指定期間やレビュー権限がある、と書かれており、CIAや国防総省などが決めるわけじゃない。

文書(情報)の取扱いはNARAに権限があり、内容的に「指定水準が問題だ、決定に不満がある、秘匿期間を延ばせ」などの文句がある連中は、ISOOなりに申し出て、粉争解決のパネル設置(以前は、国家安全保障会議 National Security Council(NSC)で裁定してた)で揉めるか(まずはISOO局長が仲裁して各機関に決定を通知)、最終判断は大統領への上訴、となっている。

機密指定の水準や期間などに文句があるヤツは、まずは「名乗り出る」はずなんだよw
NARAの通知が気に入らない、と手を挙げるんだよ。

ODNI やDOJがレビューするわけじゃないって、最初から言ってるだろw



ここまで、まとめると、

・自動的な機密指定解除はできる
・イベント指定でも解除可能
・義務的解除手順は大統領と関連スタッフには適用されない
・大統領による指定解除に文句があるなら、直ちに名乗り出ろ
(NARA、ISOOの裁定や、パネル設置・大統領裁決)



では、話を更に戻して、初期の例示を書くねw

§ 2001.21 Original classification の

’ Declassify On:  ’の項に何て書くか、の問題では?

ここに例えば「大統領執務室からの持ち出し」とか「ホワイトハウスからの持ち出し」と指定すれば、部屋(or 建物)から出た途端に機密指定は解除される。


これを誰が作成するか?
大統領府のスタッフだろうね、多分w


情報が、
元の情報A ~CIAがオリジナル情報を管理
元の情報B ~DoDがオリジナル情報を管理

などにあり、メールで大統領補佐官らに資料が送られて来て、それを基に大統領への説明文書Cがスタッフにより作成されたら、文書Cがオリジナル情報となるでしょ?

その解除条件を「部屋から持ち出したら機密指定解除」とDeclassify On:  に指定していると、それは自動的に発動する。


元の情報AやBは、一部公開になるかもしれないが、オリジナル情報は何ら損害を受けてはいないわけで。
公開したのは大統領なので、最高決定権者が決めた分類だからねw


もし仮に、CIAの高官が「直接CIAで作成した文書を紙で持参」してトランプに渡した場合だと、自動的な指定解除にはならないが、情報管理側はCIAの担当者になるはずなので、提供者側で機密情報か解除済かが、分からないわけがないだろw
「紙が返却されなかった」事実は確実に把握されるだろw
ならば、返却を申し出るとか、必ず応答があるはずだが?ww



トランプ大統領が就任後に、自力でこうした機密指定解除条件とか、レビュー手順とかを知ったわけではなく、恐らく誰か精通した人が解説して教えてあげたのではないかと思う。

その人は、法令に基づき「本当のこと」を話したのだろうね。
それを受けて、トランプ大統領が「自動的に機密指定を解除するよう条件設定をしろ」と命令したはずなので、首席補佐官とかが全く知らないというのも、どういうことなのかと疑問に感じるよねw


つか、大マスコミに登場する解説者って、殆ど無能の役立たずで、デタラメ解説を並べるしかできぬ法律音痴しかおらんのかな、と驚いたわw

ああ、上述した解釈はオレの素人判断なので、間違いかもしれませんのでwwあんまりデカい態度にはなれないんだけどさw



CNN記事で指摘してた

”there is a specific process that the president is supposed to follow”

とやらの、大統領が従わなければならない必須手順があるんだろ?ww

CIAやODNIらが、大統領にも課してると主張する「義務的手順」なんだろ?ww

それを、さっさと出してみろw

条文も書けよ?w



※一部、誤記を訂正しましたw

DOD→DOJ
国家安全会議→国家安全保障会議


トランプ元大統領の家宅捜索におけるDOJ/FBI の異常さ

2022年09月10日 12時27分28秒 | 法関係
司法省やFBI の主張がいかに狂ってるのか、という点について、説明してみたい。


機密情報の取扱いについての話なので、分かり難いことが多い。そこで、簡略化した本と図書館の例で説明をしてみようと思う。


DOJの主張する、最高機密(外国軍隊の核に関する情報)が「トランプによって違法に盗まれたものだ」ということが本当なのかどうか。


喩えが何かを次に列記する。

1)図書館

これは各連邦機関のことである。元となる機密情報を管理している場所、でもある。以下のように呼ぶ。

・国防総省:国防図書館
・CIA:CIA図書館
・国務省:国務図書館
・ODNI:情報図書館
・NARA:公文書館

古くなった本(機密情報)は現在の業務に不要とか機密低下の為、各図書館からNARAの公文書館に送られ、情報公開対象となる。非公開期間は本のレベルによる。


2)本

機密情報のこと。とりあえず、DOJ主張に従い、TOP SECRETの最高機密情報だけを考える。この情報のオリジナルを

・トップシークレット:本A

と呼ぶ。これは世界にこの「1冊」しか存在しない。
本Aには、「外国軍隊の核に関する情報」が書かれている。

本(機密情報)には類似のものが存在し、それらは便宜的に「本X」と本の後にアルファベットを付記して呼ぶことにする。


3)特級司書

各図書館(連邦機関)に配置されている、トップシークレットの情報管理者のことを、こう呼ぶことにする。

DOJの言う本Aの管理者は、WP紙によると "a designated control officer"と呼ぶ情報管理者がいるそうですww(ホントかよ?w)

また、本Aは、大統領や閣僚級、許可された特定政府高官しか読むことができない、特別な本だそうです。


4)ブックカバー

本には、「○○書店」と書かれたブックカバーがかけられているので、こう呼ぶ。

これはFBI が言うTOP SECRET、SECRET 、Confidentialなどと書かれたファイルかフォルダーを指す。
要するに、中身を保護(カバー)するもの、だね。
FBI が言うには、家宅捜索で大量に押収したのが、このブックカバーだった、ということです。



もう一度、DOJ/FBI の主張をザックリ書くと、

ア)トランプは「本A」を盗んで違法に保管した
イ)FBI がトランプ邸から押収した文書は、「本A」だ
ウ)トランプ邸には大量にブックカバーが残っていた、だから、まだ「本X」などを何冊も隠してる
エ)「本A」を外部に漏らしたスパイだ
オ)本は政府の所有物だ、他の本も違法に棄てた

付随して、トランプが本Aを盗んだのはスパイだからだ、とか難癖を言ってるわけですねw


一方、トランプ側の反論は

カ)「本A」は盗んでないし、漏らしてない、紙は誰かが運んだだけ
キ)そもそも押収物の紙は、「本」ではない
ク)ブックカバーは情報じゃない、誰が運びそこに置いたか不明だよ
ケ)大統領退任前に機密指定解除したので、機密漏洩にはならない
コ)邸内にある押収物等の「紙」は「本」ではない、本の一部の参照用コピーだ



DOJや大マスコミの言う、ゲームチェンジャーがブックカバーだ(主張ウ))、という妄言があるが、例えば「お菓子の空箱」机の引き出しに入っていた、という事実をもって、「さてはお前がお菓子を万引きしてたんだろ、中身のお菓子をまだ隠し持ってるだろ、早く出せ」などと濡れ衣を着せて、難癖つけてるようなもんだw

それで家宅捜索は合法だ、って言うバカがいたら、遭ってみたいわww


DOJ/FBI が嫌疑を吹っかけてきてる主張の根本的な問題として、トランプ邸に存在した紙類が、全部「本だ」というものがある。

本とは、各連邦機関が所有・管理しているオリジナルのことであって、
"offical records"
でなければならない。


それに、各図書館には特級司書がいて、情報の全アクセス者を見張っているのだが?

本が紛失した場合、特級司書が毎年チェックしてるから、これほどの長期間に渡り紛失が発覚しない方がおかしい。
存在が確認できないことが判明したら、図書館の側から、「本Aがない」という申立てが出るはずだが?

もし国防図書館の本だったなら、そこの特級司書から「本Aが盗まれた」と申告されるだろ?

だが、DOJは「本A」がどの図書館の本なのか、というのを誤魔化しているのだ。自分たち(ODNIも)で勝手にreviewしてた、と言ったのだ。

それに、国防機密と言っておきながら、「本A」が国防図書館のものかどうかを確認してもらう為に、国防総省の特級司書を呼んで現物確認の手続きさえしてないのである。


トランプ側主張のキ)及びコ)は、除外規定たる

44 U.S. Code § 2201

"does not include any documentary materials that are…
(iv) extra copies of documents produced only for convenience of reference, when such copies are clearly so identified."



に基づく主張である。

参照用のコピー紙は、確実に「本」ではない。

ニューヨーク・タイムズ紙がトランプ大統領の現役時代のエピソードとして、CIA高官が配布した「紙の資料」を、面白いからという理由で「貰っていいか」と要求されてOKしてしまい、それを回収しなかった、と言った。
その時点で、CIAが説明用資料として「複製物を配布」(しかも複数人に)したものであって、それはオリジナルの機密情報ではない。

オリジナルはあくまで「offical records」である。それは通常、各連邦機関のサーバー内に保管されているもの、だ。


主張ケ)についても、機密指定解除に係る大統領の権限は広範な裁量権が認められているので、個別の図書館側から阻止できる場合は殆どない。

例えば、大統領補佐官とそのスタッフが、国防やODNI図書館の本を読んで得た知識(機密情報)を基にして、大統領に対する説明用文書を作成し、それをコピーしてたとしよう。
トランプがそれに手書きで何かを書いており、NARAが本だと認定(=Presidencial records)しても、文書内容に関する機密指定は解除されているので、違法性は問われれない。


これをスパイだ、違法だ、と騒いでいるのが、DOJ/FBI だけなのである。
彼らには、情報管理元(図書館)が有する機密の指定をしたり解除したりする権限は与えられておらず、唯一あるのはDOJの現行法体系の条文解釈を答えたり述べたりする権限だけである。

そもそも、特級司書に文書を見せず、裁判所に呼びもしないのに、何が分かると言うのか。本の貸出先管理もやってる特級司書なのに、「いつトランプに貸し出したか、どの本を貸したか」さえ誰も知らない、なんてことが有り得るわけがないだろうにw
トランプが勝手に本を借りたまま、ずっと返却してない、って、そんなマヌケなことがそうそうあるわけがないだろうにw


更に問題なのが、トランプ大統領が「機密指定を解除した」と主張しても、特別なトップシークレットは情報の管理元たる、国防総省やCIAらが反対したら解除できないのだ、みたいな主張をしているのが、DOJ/FBI とか擁護者たち(法曹資格者も含まれる)や大マスコミの記者連中なのだ。

この連中は、「トランプが機密指定を解除をしても、それは無効だ」という主張の法的根拠を示したことが一度でもあったか?w

誰が、そんな「独自ルール」を決めたのかね?w


根拠法を示してみろ、と何度も要求してるのだが、提示してるのを一度も見たことがない。

トランプ側主張ケ)に対する、反論の根拠となる法令及び条文を示してみろ。


出せなければ、それは嘘を言った、ということだ。

法的根拠のない主張をしたと認めたということなんだよ。これを、言いがかりとか難癖とか、ペテンと呼ぶのでは?ww


えっ?
同じくケ)の根拠法を先に言え、って?

嫌だねww
DOJが無効だ、の論拠を言わない限り、答えないw


DOJには強い味方、"a designated control officer" が付いてるんだろうから、オレみたいなド素人に尋ねるまでもなく、即、分かるだろうにww

オレが指摘したCIPAも知らなかった、アホ連中には教える義務なんざ、あるわけないだろww


司法省はCIPA及び付随する裁判所規則に違反してトランプ元大統領の捜査を行った

2022年09月05日 15時55分04秒 | 法関係
DOJ(司法省)がトランプ邸の家宅捜索をやった後、またまた墓穴を掘ってくれたw

それは、裁判所の許可や押収物リストが開示される前に、無断で「押収物の証拠写真」を公開したことだ。
この写真撮影は、FBI 捜査の証拠採取の際に「定型的に実施」されるそうで、公判前の捜査記録(日本では「書類」と呼ぶ)に該当し、一般的な刑事訴訟手続では開示は違法とされる。


DOJの犯罪は、これだけではない。

機密情報に関連する刑事事件の手続法に、CIPAがあるが、それに違反している可能性が高いのだ。


"18a U.S. Code Compiled Act 96-456 - CLASSIFIED INFORMATION PROCEDURES ACT"

>https://www.law.cornell.edu/uscode/text/18a/compiledact-96-456



通常は、機密情報に関連する刑事事件の起訴・公判についての手続きとなるが、起訴前及び不起訴事件においてもこれに準ずる手続となるはずだ。

何故なら、不起訴事件の場合でも司法長官は議会報告義務が課せられており、起訴事件以外のものは、不起訴事件か起訴前事件なので、不起訴事件の時にはCIPAを無視して手続できる、ということは機密情報保護の観点からも、想定し難い。

従って、不起訴事件及び起訴前においても、同等の機密情報の保護義務が課せられていると考えるべきであろう。


また、これに付随して、連邦最高裁判所が規則を制定する義務が課せられている。

>https://www.law.cornell.edu/uscode/text/18a/compiledact-96-456/section-9


CIPAの要請に従い、1981年に次の裁判所規則(部分的に改訂されてきた)が作られた。それがこちら

"Security Procedures Established Pursuant to Pub. L. 96–456, 94 Stat. 2025 , by the Chief Justice of the United States for the Protection of Classified Information"

>https://www.brennancenter.org/sites/default/files/Security%20Procedures%20Established%20Pursuant%20to%20PL%2096-456.pdf



当方の見解では、DOJはこの規則にも違反して、トランプ邸の家宅捜索後の情報開示を行い、違法に押収物の「保管、管理」を行ったものであると言える。

以下に、その見解を述べる。


1)DOJ/FBI の主張している事実

端的に言えば、トランプが大統領退任後に保管していた「紙束」(NARAが回収、またはFBIが差押えたもの)が、NARAの所有物か機密指定解除されてない「機密情報」であって、個人宅に存在してるのが違法だ、と。

主張点
ア)紙束は、核文書や国防等の機密情報だ
(=だからトランプは指定解除できないぞ、隠匿所持も違法だぞ)

イ)紙束は、連邦政府の所有物だ
(=国防省やCIA等の各機関が所有する機密情報だ)
(※もしNARAが所有すべき記録の場合だと、CIPAの適用となる機密情報ではない可能性が高まる)



2)CIPAのいう機密情報とは

DOJが主張ア)をもって、トランプがスパイ防止法違反だ、隠匿の罪§1519にも違反してるぞ、と言うのだから、「機密情報」crassified information(以下、CIと呼ぶ)に該当すると見做すのは当然である。


定義はこちら

>https://www.law.cornell.edu/uscode/text/18a/compiledact-96-456/section-1

条文中の
"to require protection against unauthorized disclosure for reasons of national security and any restricted data"

の通り、いくらトランプが指定解除だと言おうが、DOJにとっては「無許可の情報開示から保護されなければならない、CI なのだ」ということでしょうね。



3)FBI が家宅捜索で差し押さえた押収物がCI の場合、何が問題か

裁判所規則の2に以下の記述がある。


In any proceeding in a criminal case or appeal therefrom in which classified information is within, or is reasonably expected to be within, the custody of the court, the court will designate a "classified information security officer."


裁判所の管理下にある、或いは管理下に置かれるであろうことが合理的に予想される刑事事件、機密情報が含まれる、或いは、含まれることが合理的に予想される事件、という点である。

本件は、刑事訴訟手続に則り、FBI が家宅捜索差押令状の交付を受けたものであるので、間違いなく刑事事件である。更に、起訴前であっても起訴が予想できる裁判所の管理下にある事件の場合であれば、本条の適用を受ける、ということだ。

※17時頃: 条文の日本語解釈がおかしかったことに気付いたので、修正を加えました


即ち、"classified information security officer"  機密情報管理官(正式名称分からないので、とりあえず、命名、以下CISOと呼ぶ)の選任が必要だということ。

司法省は、この選任を怠って、逆に、裁判所に対し「押収物の開示請求」を行っているのだから、規則違反の誹りは免れまい。


同様に、押収した機密情報の文書類(materials)の保管についても、厳しい条件が課されているのである。


例えば7のB

"Classified information submitted to the court must be placed in the custody of the classified information security officer or appropriately cleared court personnel who will then be responsible for its safekeeping. "

保管の責任者はCISOが負うので、そもそも選任していない時点で規則違反ですねw
司法長官または代理担当者が、裁判所にCISOの候補者を推薦し、裁判所が選任しなければならないので、DOJはそれを怠った過失が認められる。

トランプ邸の保管状況が劣悪だとか言う前にw司法長官が自ら違法を犯したんだよ。


規則3のSecure Locationでも、

"The classified information security officer must make necessary arrangements to ensure that the security requirements of the Executive Branch applicable to the level and category of classified information involved are met and must conduct or arrange for such inspection of the secure location as may be necessary. "

と、裁判所内の手続を行う安全な場所の確保が必要だ。CISOがいないのに、どうやって安全性を確認できたの?w


”the security requirements of the Executive Branch applicable”

とあるように、機密情報のレベルやカテゴリー等により、情報管理元たる行政機関が「要求する水準」の安全性が必要なのに、押収物が「どの行政機関の管理する機密情報なのか」すら特定してないだろ?


4)DOJは何故CIPAの手続を適用(準用)をしなかったのか

DOJ及び司法長官は、CIPAにおけるDOJの履行義務について、熟知していた。所管官庁なので、それは当然だ。

CIPAに伴う最高裁判所規則も、制定権は連邦最高裁判所長官にあるが、規則改定には
司法長官(DOJ)・国防長官(DoD)・国家情報長官(ODNI)
が意見を述べることができ(事実上の合意事項ということかな?)、機密情報に係る訴訟手続においては、DOJの果たす役割が大きいことを知っていたはずだ。


DOJは最初から、何もかも知った上で、トランプ邸の家宅捜索と押収物の杜撰な取扱いをやったのさ。素人でもあるまいし、よもや知らなかった、などという言い逃れはできないぞ?w


ここまでの所、DOJの主張ア)が真実である場合、DOJのやった手続は違法である。

機密情報の保全措置を履行すべき義務があったにも関わらず、それら全てを無視した重大な懈怠がある。


だが、もし主張ア)が真実ではない場合、DOJ及び司法長官は、CIPA上の法的義務を負わない。何故なら、トランプが保管してた紙が「CIではない」からだ。

つまり、CIPAの適用条件を熟知していたDOJがこれを適用してなかったのは、トランプ邸からの押収物が"classified information"ではない、と知っていた可能性が高い。



主に機密漏洩だと馬鹿騒ぎしてるのは、アーキビストでもないしCISOでもなく、DOJ/FBI(の特定官僚?)とNYTimesや大手マスコミなんだぞ?

殆どの機密情報の管理元たる国防総省やODNI が、大慌てで情報保護を訴え出てないのもおかしいだろ?


犯罪と疑惑のでっち上げ効果を狙い、大手マスコミと一体となってDOJ/FBIが仕掛けた国策捜査の可能性が示唆されよう。


トランプ元大統領をスパイ容疑等で強制捜査したFBI/司法省の違法な暴力

2022年08月29日 17時36分55秒 | 法関係
何としてもトランプ・バッシングのキャンペーンを展開したい民主党とFBIが権力暴走の象徴として、スパイ活動防止法などの適用で家宅捜索を強行した。


これには、バイデン民主党支持の急先鋒、NYTimesもトランプを訴追すべし、との暴論を掲げて躍起になっている。

>https://www.mashupreporter.com/nyt-opinion-trump-not-above-the-law/


当方は、無理筋の違法捜査であると考えてきたが、トランプ邸からNARA(米国国立公文書記録管理院)が機密と書かれた文書等を持ち帰った、という事実を基にして犯罪のでっち上げを行おうとしているようにしか見えない。

「大量の紙」がそこに存在していることで、犯罪を問えるわけではないのである。

さて、FBI/DOJが開示したとする宣誓供述書は、以下のリンクである。

>https://storage.courtlistener.com/recap/gov.uscourts.flsd.617854/gov.uscourts.flsd.617854.102.1.pdf


フロリダのトランプ邸、通称Mar-a-Lago(PREMISES)から、各種の最高機密文書等が発見された、という事実から、トランプがスパイ疑惑であるとか、公文書毀棄とか、極秘文書の隠匿などの嫌疑を主張しているのがFBI である。


例えば、文書の分類として

Sensitive Compartmented Information (SCI)
Special Intelligence (SI)
HUMINT Control System (HCS)

と区分されていたものがあるから違法な文書の所持なんだ、他にもNOFORNもあるぞ、などと言ってるのだが、これらはFBI が主張するのみで、NARAの公式見解は不明のままである。

宣誓供述書には、公開部分に「物理的証拠」や「客観的な証拠」は見て取れない。


端的に言って、FBI 捜査官が「スパイ捜査に精通、熟知したオレの勘で、トランプが犯罪者だと思う」という主張を繰り広げているようにしか見えない。

それが『SOURCE OF EVIDENCE 』の項にある

"The facts set forth in this affidavit are based on my personal knowledge, knowledge obtained during my participation in this investigation, and information obtained from other FBI and U.S. Government personnel. "

『この宣誓供述書に記載された事実は、私の個人的な知識、この捜査への参加中に得た知識、および他のFBIおよび米国政府関係者から得た情報に基づいています。』(DeepL訳)
である。

宣誓供述書には、「スパイ活動を実行していた(しようと企んだ)トランプ」の実態を示す客観的な根拠は、断片すら含まれていない。


さて、法解釈論から考えてみたい。
大統領記録法とは、ザックリ言うと、公文書等を記録して保存し、適切な期間に応じて情報開示をするというもので、その基本部分は次の条文である。

>https://www.law.cornell.edu/uscode/text/44/3301


で、本件に重要となるのが、

(B)does not include—
(i)library and museum material made or acquired and preserved solely for reference or exhibition purposes; or
(ii)duplicate copies of records preserved only for convenience.


という除外規定である。また


(2)Recorded information defined.—
For purposes of paragraph (1), the term “recorded information” includes all traditional forms of records, regardless of physical form or characteristics, including information created, manipulated, communicated, or stored in digital or electronic form.

(b)Determination of Definition.—
The Archivist’s determination whether recorded information, regardless of whether it exists in physical, digital, or electronic form, is a record as defined in subsection (a) shall be binding on all Federal agencies.



の通り、デジタル形式の記録はデジタルのまま、という点と、(b)のアーキビストが記録と認定すれば、その決定が他の全ての連邦機関を拘束する、という点である。


では、問題。
PREMISESからFBIが押収した機密文書類は、「記録」なのか?

恐らく殆どが違うだろう。何故なら、押収物のほぼ全部が「紙」に印刷されていたものだったから、だ。

現在の連邦機関の業務の殆どは、電子的かデジタルデータで存在する文書だろう。紙で物理的に存在する「オリジナル」文書は、かなり昔のものくらいだろう。

現に、公文書館からデジタル式でやって、というお達しが全省庁に行ってるだろう?


そうすると、「記録」に該当するのは、例えば司法省、国防総省やCIAにある、「デジタルで保存されているもの」であって、それをコピーした「説明・閲覧用の配布資料」などではない、ということだ。
トランプが大統領として読んでいたものは、ほぼ全部それだ。


ここで除外規定の
"(ii)duplicate copies of records preserved only for convenience."の意味が分かる。


'records'ではないものは、§2071の適用を受けるのかね?
トランプが自分で保管していた、「記録」の一部分の「写しの紙」が本当に機密文書に該当するのか?

もし、軍やCIAが「最重要機密だ」と主張するなら、トランプに与えた資料を回収せず、情報アクセスの管理をもしてなかった時点で重大な過失であろうにw


「記録」(オリジナル)が存在するのは、DoDで例示すると

国防総省(「記録」の所有権を持つ)
→トランプ大統領に閲覧用資料(「記録」ではない)を複製し「紙」で配布
→トランプが退任後、機密指定期間の解除して私邸に「紙」を保管

FBI はこの保管を「違法だ、スパイだ、妨害工作の§1519だ」と喚いているわけだ。


NARAが保管すべき「記録」なのであれば、

国防総省(「記録」の所有権を持つ)
→NARAへ移管(「記録」の所有権が移転)
→非公開(情報秘匿義務)の期間を協議し決める
 ・30年超
 ・15~30年
 ・短い期間

NARAが情報管理元の省庁に対し「この情報は重要なので、30年以上にしろ」とか命令・指図できる権限があるわけではないのでしょう?


NARAが回収してる時点で、それは「移管された記録」であって、移管前のオリジナル(情報管理元の所有)ではないし、トランプが所有してた「紙」に印刷された情報は「記録」(オリジナル)ではない。


また、仮にトランプ大統領(一種の連邦機関ですよね?)が持ってる「記録」(オリジナル)があったとしても

合衆国大統領(「記録」の所有権を持つ)
→NARAへ移管(「記録」の所有権が移転)
→非公開(情報秘匿義務)の期間を協議し決める
=トランプ自身が「最短」の期間を指定した(=機密解除済)ので秘匿義務は生じない


NARAが回収すべき義務を負う、トランプ大統領が「手書きで紙ナプキンに書いた、極秘メモ」をアーキビストが「これは『記録』である」を認定したら、公文書館に保管せねばならない、ということですよね?

トランプがPREMISESに段ボール箱に入った「写しの紙」を保管しているだけでは、機密漏洩の容疑など不当の一語に尽きる。


NARAに所有権が移転してしまう移管対象となっている記録は、原則として

・現在の業務遂行上の必要性
・時間経過により機密性が低下

等を考慮して、情報(記録)をNARAに移管せよ、ということになっている。


つまり、「機密性が低下」したからNARAが保管するわけで、そんなに重大な機密情報ならNARAではなく、情報管理元の政府機関が保持しとるだろw


傲慢なFBI/DOJは、自分たちが「情報の非公開の年限を判断する権限がある」かのように装っているが、そんな権限は有してない。

決定権を持つのは、アーキビストのみであって、NARAが判断するのだよ。そして、保管状況が違法だとかもFBIが言い出すが、そんな判断権限もFBI捜査官は持ってない。


宣誓供述書に開示されていた、以下の部分


There is Probable Cause to Believe That Documents Containing Classified ND/ and Presidential Records Remain at tile Premises

77. Based upon this investigation, I believe that the STORAGE ROOM, FPOTUS's residential suite, Pine Hall, the "45 Office," and other spaces within the PREMISES are not cunently authorized locations for the storage of classified information or NDI.

Similarly, based upon this investigation, I do not believe that any spaces within the PREMISES have been authorized for the storage of classified information at least since the end of FPOTUS 's Presidential Administration on January 20, 2021.

78. As described above, evidence of the SUBJECT OFFENSES has been stored in multiple locations at the PREMISES.



これぞまさしく、越権行為w

FBI捜査官が想定する「独自の判断基準」では、NARAが保管すべき「紙」がPREMISESに残ってるから、全部返せと言っても返さないので「犯罪捜査の別件逮捕権限を用いて、「紙」を回収すると共に、不届きな管理状況であると思い知らせてやる」という決意を表明しているようなものだ。

権力濫用も甚だしい。

適用条文も根底から誤っている。

PREMISES保管の「紙」が全部"records"に合致してるものであることを、立証してみろ。

FBI長官の言った、'nuclear documents'の管理元の政府機関はどこで、何の「記録」(オリジナル)がトランプに奪取され、秘匿期間を守らずに情報漏洩されたのか、説明してみろ。


イマドキのDoDの連中が、「紙」でしか保管してないオリジナルがあるとでも?ww
しかも、NARA移管前の情報だぞ?


FBIも司法省も、殆どデタラメな法律論に基づいて、杜撰かつ滅茶苦茶な捜査権の濫用を平気で行っている、ということだ。


政治的野心の為に、NYTimes らと一緒になってイカサマ同然の法解釈を適用し、「起訴しろ」と絶叫しているのだ。


バイデン民主党支持層は、警察国家こそ良しとする、ファシストになっている。
ワクチンパスの強制、ワクチン接種の義務化を強力に推進してるのも、同じ考え方によるのである。


イラク戦争の米英を擁護した者は、ロシアを批判できるのか

2022年04月01日 19時02分57秒 | 法関係
ロシアのウクライナ侵攻を批判する気持ちは、よく分かる。
だが、上辺だけを見ていては判断を誤る可能性がある。


ロシアの軍事攻撃によって、民間人の犠牲者を出しており、難民も多い。
これは非難されて然るべきである。


だが、ゼレンスキー政権のウクライナが欧米の支援を受けて、対ロシア急先鋒勢力として軍事的拡大をするのが良いとも思わない。

ウクライナがエスカレートすると、再び欧州全体を巻き込んだ世界大戦へと進展する危険性は考慮しておく必要がある。


では本題に入ろう。

イラク戦争では、国連安保理や国連のイラクへの武力攻撃に対する正統性を与える根拠はなかった。ただ単に、米英が集団的自衛権行使だと叫んで、「イラクには大量破壊兵器がある」との理由から武力攻撃を開始した。

当時、世界中が反戦運動を繰り広げ、イラク攻撃を非難した。

安保理でも、常任理事国のフランスやロシアはイラク攻撃に反対した(中国は棄権)。ドイツも反対し、連合軍に加わらなかった。

にもかかわらず、米国と英国を中心とした連合軍はイラクへ武力攻撃を実行したのだ。
しかも、完全に嘘の理由で、だ。

後日、米英の情報当局が「間違った情報」を政府中枢に出したせいだ、と言ったが、誰がどう見ても「戦争を開始したい連中が、意図的に嘘を言った」としか思えなかった。


簡略化して書くと次のようになる。


◆イラク戦争での米英の言い分:

「生物、化学兵器が存在する」 → 武力攻撃は正しい

事実は「生物兵器は存在しなかった」。

だが、米国、英国や連合軍参加国に懲罰や制裁などは与えられなかった。
嘘を言った米英は、賠償もなし。



◆ウクライナ侵攻でのロシアの言い分:

「生物兵器研究施設が存在する」 → 武力攻撃は正しい

欧米等制裁参加諸国は、ロシアの言い分を嘘だと断じて武力攻撃を違法と糾弾している。
ロシア自身が生物兵器を使う偽旗作戦なのだ、と。


ここで、「ウクライナに生物兵器研究施設が存在するか」ということを確認すると、これは事実である。


何故、真っ赤な嘘を言った米国や英国が何らの懲罰も代償をなくて済むのに、事実を指摘したロシアには非難轟轟となるのか?w

イラク戦争時の米英のハッタリの集団的自衛権行使を認めていた者どもが、ウクライナの生物兵器施設を解明し追及したロシアには同じく集団的自衛権行使を認めないのか?

つまり、二重基準ということである。


ヌーランド国務次官の発言は、ウクライナの生物兵器研究施設が存在し、米国等が支援してきたということを認めている。

>https://www.afpbb.com/articles/-/3394178

【3月9日 AFP】米国務省ナンバー3のビクトリア・ヌーランド(Victoria Nuland)次官(政治担当)は8日、ロシア軍が侵攻したウクライナにある生物学研究施設を掌握する可能性について懸念を示すとともに、これを阻止するためにウクライナ軍と連携していると表明した。

 ヌーランド次官は議会上院外交委員会の公聴会で、ウクライナが生物兵器を保持しているかとの質問に対し、「ウクライナには生物学研究施設があり、ロシア軍が掌握しようと試みるのではないかと深く懸念している」と語った。

(中略)

ロシア外務省は6日、米国防総省が資金援助したウクライナの軍事的な生物兵器プログラムの証拠を隠滅した形跡を、ロシア軍が発見したとツイッター(Twitter)に投稿していた。



「生物学」と言ってるが、元はといえば「旧ソ連」の化学兵器等の安全な処理を支援するという名目だったはずだが、現実には「兵器転用」可能な微生物の怪しげな研究である。何ら後ろめたいことがないのなら、ウクライナも支援してきた米国・国務省や国防総省が情報開示できるはずなのだ。


しかし、国際社会に対して、一切の情報提供を拒んでいる。


更に、WHOも生物兵器研究に関連すると思しき声明を公表した。

>https://jp.reuters.com/article/ukraine-crisis-who-pathogens-idJPKCN2L80HJ


[10日 ロイター] - 世界保健機関(WHO)が、ウクライナ国内の公衆衛生研究所から危険度の高い病原体が流出するのを防ぐため廃棄を助言していたことが分かった。ロイターに10日明らかにした。

バイオセキュリティーの専門家は、ロシアの進軍や都市部への爆撃を受け、研究所に被害が及べば病原体が流出するリスクが高くなっていると指摘する。

ウクライナには多くの国と同様、感染症リスクの軽減を研究する研究所があり、米国や欧州連合(EU)、WHOから支援を受けている。

WHOはロシアの軍事侵攻前および侵攻後のウクライナとの取り組みについて、「偶発的または意図的な病原体流出」を防ぐ安全面の慣行を促進するため、同国の公衆衛生研究所と数年にわたり協力してきたと説明。

「この一環として、ウクライナ保健省など責任を負う機関に対し、流出の可能性を防ぐため危険度の高い病原体を廃棄するよう強く勧告した」と述べた。

勧告した時期や、ウクライナの研究所にある病原体や毒物などの詳細は明らかにせず、ウクライナが勧告に従ったかについても返答しなかった。



ロシアに施設を掌握されたりすると、『危険度の高い病原体が流出』する危険性があるから、事前に廃棄しておけ、とWHOが勧告したわけだw

ウクライナには「生物兵器」同等の『危険度の高い病原体』が存在することを、WHOも米国もEUも熟知していた、ということが示されたということ。


何も発見できなかったイラクとは大違いだぞ?ww


ヌーランド国務次官の発言といい、WHOの廃棄勧告といい、ロシア側の言い分を補強する証言が揃っているではないかw


・ウクライナには、生物(兵器)研究施設がある
・『危険度の高い病原体』を保持している
・それは流出の危険性がある
・米国やEUが支援してきた


イラク戦争の文脈に当てはめて言えば、

・ウクライナは生物兵器と見做せる『危険度の高い病原体』が存在するテロ国家の可能性
・米国やEUはテロ支援国家

ということで、ロシアは集団的自衛権を行使したのだ、と主張されたら、どう答えるのかね?w


ロシアはドンバス人民共和国(DPR)とルガンスク人民共和国(LPR)の承認をしており、それらの国への攻撃がロシアの安全保障を脅かすという主張は、米国が過去に武力攻撃を繰り返してきたのと同じように可能なのでは?w


或いは、ウクライナの研究施設において作製されたウイルスが、現実のCOVID-19の変異株として世界各国に「バイオテロ」攻撃を仕掛けた、との情報を有している(米英がイラク戦争時に諜報機関情報があると言ったのと同じ)と主張されたら、ロシアの集団的自衛権行使を認めるのでしょう?w


だって、米国も英国も、イラク戦争時の連合国軍はその理屈で戦争をやったわけだろ?w


ならば、ロシアの時だけこれを否定するのは、理屈が通らないんじゃないの?w


イラクは「炭疽菌も天然痘も存在しなかった」のに、米英に「存在する」と難癖をつけられて、攻め込まれ滅ぼされた。


ウクライナにはWHOが廃棄を勧告するほどに危険な『危険度の高い病原体X』が存在し、ロシアがそれを指摘・追及したら「フェイクだ、偽旗だ」と米英を中心とした欧米(主にNATO・EU勢)が非難する、というわけねw

ヌーランド国務次官が存在を認める研究施設があるのに?w


どこからどう見ても、極悪は米国&英国であり、100%嘘を言い、デタラメの根拠でイラクを攻め滅ぼした。イラク大統領だったサダム・フセインを、悪の独裁者として処刑した。


この大嘘つきの卑怯者が、事実を指摘しているロシアに対し、「ロシアの主張は全部フェイクだ、嘘だ、偽旗だ」と言うのだが、その証言の信憑性はどうなのか?w


米英の立場を擁護する者が、イラク戦争での法的根拠を曖昧にしたり、戦争の重大犯罪を見て見ぬふりをしていながら、ロシアのウクライナ侵攻をそれよりも圧倒的に悪いかのように主張するのは、筋が通らないとしか思えないよねww




日本学術会議会員の任命権についての雑考

2020年10月13日 13時58分41秒 | 法関係
内閣総理大臣の任命権について様々な意見が出ているようですが、当方の個人的見解について述べてみたいと思います(法学素人の意見ですので、ご注意をw)。


まず、恐らく内閣府や内閣官房で混同してるであろう(何故なら「日本学術会議の会員は非常勤の国家公務員だ、だから任命拒否はできる」と当初言ってたらしいので)、任命権及び任命権者の関係について、分かり易い国家公務員の任命を例にして考えてみたい。


官僚などの国家公務員採用を短く書けば、

採用試験合格→採用「候補者名簿」作成
→各省庁の大臣が名簿登載者から採用者を自由に決定し、任命

つまり、提示されてる名簿はあくまで「候補一覧」に過ぎず、そこから誰を任命するかは、任命権者である大臣の一存で自由に決められる、ということである。


これを日本学術会議の場合で並べてみると、

日本学術会議内の選考合格→「会員推薦者名簿」作成
→内閣総理大臣が任命


ということで、総理は任命権者なので「名簿から自由に選べるはずだ」とのクソ論法ではないかと想像。

これがデタラメ論法であることを述べてみたい。


まずは、「任命権者」とか「候補者名簿」などの誤解・混同の元になってると思われる国家公務員の制度から。


1)国家公務員法ではどうなっているか

次の条文による。


国家公務員法 第五十五条 

任命権は、法律に別段の定めのある場合を除いては、内閣、各大臣(内閣総理大臣及び各省大臣をいう。以下同じ。)、会計検査院長及び人事院総裁並びに宮内庁長官及び各外局の長に属するものとする。これらの機関の長の有する任命権は、その部内の機関に属する官職に限られ、内閣の有する任命権は、その直属する機関(内閣府を除く。)に属する官職に限られる。ただし、外局の長(国家行政組織法第七条第五項に規定する実施庁以外の庁にあつては、外局の幹部職)に対する任命権は、各大臣に属する。

○2 前項に規定する機関の長たる任命権者は、幹部職以外の官職(内閣が任命権を有する場合にあつては、幹部職を含む。)の任命権を、その部内の上級の国家公務員(内閣が任命権を有する幹部職にあつては、内閣総理大臣又は国務大臣)に限り委任することができる。この委任は、その効力が発生する日の前に、書面をもつて、これを人事院に提示しなければならない。



第五十六条 
採用候補者名簿による職員の採用は、任命権者が、当該採用候補者名簿に記載された者の中から、面接を行い、その結果を考慮して行うものとする。


簡単に言えば、55条1項で、任命権は各大臣(や機関の長)に属しており、採用候補者名簿から大臣が好きに選べる(56条)という意味合いである。

また大臣の任命権は、部下である上級公務員に権限が委任されており、大臣が採用試験をやらずに済む、ということ。
いちいち大臣が全員を面接なんかできないでしょ?


大事な点は、大臣権限が部下に委任されてる場合には法律に規定がある、ということだ。橋下徹みたいな輩の言う「首長の部下がやるのが当然」などの暴論ではなく、そういう場合であっても任命権の委任が条文に書かれている、というのが法的根拠のある理由なのだよ。

役人が勝手に大臣(首長)権限を行使できる立場にあるわけじゃないってこと。

小括1
・採用候補者名簿の中から、大臣(実質的には部下たる採用担当者)が自由に選べる
・大臣権限の委任が条文によって規定されている(ので、部下が選んでよく、採用者を任命する時だけ大臣のハンコで任命が確定する)


2)各省庁大臣の任命行為(権限)は、設置法に書かれていない

ここでも例で見てみよう。財務省の場合だと、


財務省設置法 第三条 

財務省は、健全な財政の確保、適正かつ公平な課税の実現、税関業務の適正な運営、国庫の適正な管理、通貨に対する信頼の維持及び外国為替の安定の確保を図ることを任務とする。


こうなっているだけで、財務省の長たる財務大臣がどうして新しい国家公務員を任命できるのかは、任務の条文上ではあまり明確ではない。

ただ、職員の採用、任用や昇任等の差配というのが、「財務省は、~」以下の任務(事務)に関することなので、「やっていい」ということであろう。


4条の「所掌事務」一覧でも、「国家公務員の任命」に関する条文は出てこない。
けれど、現実には財務大臣が任命権を行使してるわけだから、任務の一部と見做してよいだろう。


小括2
・行政組織の任務(=大臣に与えられた権限)の条文からは、任命権行使の根拠というのは明示的ではないが、任務に含まれていると考えてよいだろう。


3)会員候補者選定の権限は日本学術会議法の3条に含まれる

前項で見たように、各省庁設置法には組織を構成する職員の任命権が「任務」や「所掌事務」の条文上では明確に登場してこないが、大臣権限として認められていることから、含まれると考える(小括2)としたので、これを日本学術会議法で見てみる。


第三条 日本学術会議は、独立して左の職務を行う。
一 科学に関する重要事項を審議し、その実現を図ること。
二 科学に関する研究の連絡を図り、その能率を向上させること。



実際、日本学術会議で会員候補を推薦する権限が認められてきたので、職務の一部と考える以外にはないだろう。

すると、推薦書の作成という行為に対しても「独立して左の職務を行う」は適用されると言える。外部からの干渉を受けない、と、そういう意味である。


小括3
・会員候補選定の権限は3条に含まれるとみなしてよい
・条文の「独立して」は選定行為にも適用される


4)日本学術会議法3条の「独立して」とは、どのような立法趣旨か

専門家があまり説明を出してこないので、当方が素人考えを出すことにしましたよw

参考となる国会答弁が次の部分。


第2回国会 衆議院 文教委員会 第21号 昭和23年6月30日

○高津正道 委員長代理 

第三條の第一項「日本学術会議は、独立して左の職務を行う。」と書いてありますが、この「独立して」というのはどういう意味であるか。第十六條には「日本学術会議に、事務局を置き、翌本学術会議に関する事務を処理させる。」とあります。その事務局は官吏がやるという政府の説明であるが、そうすれば独立してやるといつても、官吏がずつとやつておるのであつて「独立して」というのはどういう意味であるか、その点をお伺いしたいと思います。


○清水勤二政府委員(文部事務官)

日本学術会議は、第一條第二項にありますように、内閣総理大臣の所管になつております。しかし学術のことにつきましては、この日本学術会議が各省の制肘を受けないで、独立した形において自由にその職務を行うという考えでございます。もちろん第十六條にありますように間接のものでございますから、事務局は官吏がこれを行うのでございますけれども、その職務につきましては、政府各省の制肘を受けないというような建前と考えます。


ここでのポイントは、内閣総理大臣の所管になっているが、「政府各省の制肘を受けない」というのが建前である、と。

前項小括3で見たように、会員推薦(当時は会員選挙)は3条の職務の一部をなすので、これが「政府(各省)の制肘を受けない」というのが原則だということだ。


5)日本学術会議の会員候補者推薦書から総理が自由に任命者を選べるか

問題となっているのが、これですね。
日本学術会議法の条文上からは任命することは分かるが、落とすことができるのかは定かではない。

83年政府答弁では、形式的任命に過ぎないので(選挙から推薦に変えても)大丈夫だ、という説明だった。


根本的な論点としては、総理の任命権が部下に委任されていないので、内閣官房の幹部らが総理に提示する前に推薦書から任意で会員を振り落とす行為は、確実に違法である。

もし仮に任命権者たる総理が任命権を行使できるとしても、それが唯一許されているのは総理自身であって、官房長官や内閣府官房長などといった部下(上級公務員)ではない。


この点が小括1で見たように、「国家公務員採用の任命権」行使と混同しているのではないかとしか思えないわけである。


日本学術会議から正式な推薦書が上がってきてしまうと、任命権者の総理が83年答弁の通りに「形式的任命」をする以外にはなく、それは83年改正時の趣旨がそうだったとしか考えられないだろう。

また04年改正以後、学協会推薦から会員推薦に変更されたが、この改正も日本学術会議内部の手続き変更であって、総理の任命権に変更は及ばない。


日本学術会議法3条の「独立して」の趣旨を法改正で変更するなら話は別だが、これまでの法改正の趣旨説明でそうした政府方針が示されたことはない。


従って、形式的には「任命権者は総理」なので国家公務員の任命権と類似の権限行使が可能な解釈はあり得るかもしれないが、現実には発動されたことがなかったわけである。

天皇の大臣その他公務員の任命と似ており、拒否権が行使されたら大問題となるのは当然である。任命行為が「形式的なもの」と国会でも確約してきた政府が、それを無視して解釈を変更したとなれば、国会への説明責任を踏みにじったのと同じだからだ。


たとえ内閣総理大臣の任命権が「発動可能」であるとしても(解釈を変更すればよい)、事実上それが許されてこなかったというのが、日本学術会議法を巡る背景であろう。長期渡る慣習は、十分「法源たりえる」はずだが、これを一顧だにしない無法国家・違法三昧政権は尋常ではないな。


最後に、日本学術会議がどういう思いで設立されたのかが分かる答弁があったので、紹介しておきたい。



第2回国会 衆議院 文教委員会 第12号 昭和23年6月19日

○森戸辰男 國務(文部)大臣

この法案は、わが國の新学術体制の立案、企画を目的として昨年八月結成せられました学術体制刷新委員会におきまして、約七箇月にわたり愼重審議を重ねた成案をもとといたしまして、ほとんどこれを変更することなく、政府において立法化したものであります。この意味におきまして、本法案は、わが國科学者の総意を反映して民主的に立案された眞に歴史的なものと称し得るのでありまして、日本学術会議の成立は、全國科学者の切望するところであると信じます。



当時の学術界でよく吟味し、科学者たちの総意でほぼ変更なく立案されたはずの日本学術会議法が、今では軽んじられてしまうようになったということだ。

それにこの団体設立のアドバイスしてたのは、当時の米国の科学者団体だったのですがねえ。


愚か者たちが支配側に都合よく改変を迫るというのが、よく分かることでしょうw
弱体化させるには、障害となる部分を取り除けばよいのさ。

基本原則を破壊することで、それも容易になるのだよw


日本学術会議の推薦した新会員を総理は任命拒否できるのか

2020年10月05日 18時07分44秒 | 法関係
スガ内閣で初っ端から揉め事ですか。

既に報道されてるように、日本学術会議側から新規会員の推薦名簿を総理に提出した処、スガ総理が「6名の会員について任命拒否」と伝達した、とのこと。正式な手続を経た決定かどうかは、とりあえず分かりません。


そこで、今回の総理権限(任命拒否)について検討してみたい。
(素人の個人的見解ですw)


(1)日本学術会議は「審議会」と同じではない

権限の前に、団体の性格について見てみた。
まず、よくテレビ解説等で登場する識者連中の言う「審議会と同じなんだから、委員の差し替えや人選は行政側にある」という意見はハズレだと思います。

審議会だと事務局(所管する行政側)が自由に学識・有識(財界経営)者等を選ぶことができる場合が多いでしょう。
中には、例えば中教審や中医協のように、関係団体からの推薦委員を多数入れることになっている会議もあるでしょう。が、日本学術会議はこれら審議会とは一線を画していると思われます。

法律上の区分としては国家行政組織法に基づくものだろうと思います。

(審議会等)
第八条 
第三条の国の行政機関には、法律の定める所掌事務の範囲内で、法律又は政令の定めるところにより、重要事項に関する調査審議、不服審査その他学識経験を有する者等の合議により処理することが適当な事務をつかさどらせるための合議制の機関を置くことができる。

(施設等機関)
第八条の二 
第三条の国の行政機関には、法律の定める所掌事務の範囲内で、法律又は政令の定めるところにより、試験研究機関、検査検定機関、文教研修施設(これらに類する機関及び施設を含む。)、医療更生施設、矯正収容施設及び作業施設を置くことができる。

(特別の機関)
第八条の三 
第三条の国の行政機関には、特に必要がある場合においては、前二条に規定するもののほか、法律の定める所掌事務の範囲内で、法律の定めるところにより、特別の機関を置くことができる。



一般的な審議会は「国家行政組織法8条」で、日本学術会議は「法8の3」に規定される機関でしょう。「特別の機関」であって審議会等ではありません。あしからずw

橋下徹弁護士はこの点からして、論者として不適切ではw


(2)日本学術会議の会員はかつて選挙制だった

発足当初は会員を選ぶのは選挙制でしたが、その後中曽根政権下で日本学術会議法の改正があり、推薦方式へと変化した。
(所管省庁も、総理府→総務省→内閣府と流転したらしい)
推薦は各種学術団体からの人選によることになったが、小泉政権下でまた法改正があり、団体からの推薦ではなく、現会員・連携会員からの推薦方式となったようだ。

1983年の法改正の際、中曽根総理の国会答弁が今回の争点になってくるので、それは後述する。


(3)日本学術会議法ではどのようになっているか

一部から「独立の機関だ」という意見もありますが、(1)で見たように行政府から独立した機関(例えば裁判所)のような立場ではありませんし、日本学術会議法上でも総理の所轄とされていますね(完全独立説は否定的かと思います)。

第1条
2 日本学術会議は、内閣総理大臣の所轄とする。



また、総理の任命権は7条2項の通り。

第7条
2 会員は、第十七条の規定による推薦に基づいて、内閣総理大臣が任命する。


17条規定とは

第17条 
日本学術会議は、規則で定めるところにより、優れた研究又は業績がある科学者のうちから会員の候補者を選考し、内閣府令で定めるところにより、内閣総理大臣に推薦するものとする。



なので、日本学術会議が推薦した会員候補者を総理が任命する、ということになっています。


ここで、総理の任命権で「拒否権を発動できるのか」というのが問題となっています。


(4)過去の立法趣旨や経緯はどうなのか

原則的には、1980年代まで総理の任命拒否というのが、明示的に許されるという解釈は登場してないと思います。

国会答弁では、以下のような例があります。


第98回国会 参議院 文教委員会 第8号 1983年5月12日

○前島英三郎君 
代表が選挙によって選ばれるということが国のいろいろな審議機関に見られないわけですけれども、この中では、いままで選挙によって選ばれてまいりました。これはやっぱり大変重要な特質でありまして、この原則が守られなければ本会議の存在理由もまたあり得ないというふうな気がするんですけれども、今後この学術会議は、たとえば他の諮問機関のような形に変わっていくのでしょうか。その辺はどうなんでしょうか。


○中曽根康弘君 
これは、学会やらあるいは学術集団から推薦に基づいて行われるので、政府が行うのは形式的任命にすぎません。したがって、実態は各学会なり学術集団が推薦権を握っているようなもので、政府の行為は形式的行為であるとお考えくだされば、学問の自由独立というものはあくまで保障されるものと考えております。


○前島英三郎君
そういう意味では、政府案を私ずっと聞いておりましても、学術会議の存在理由をなくすというふうな危険性をも一面感じているのですけれども、その辺は、全く自主独立、そういう介入する意図はあり得ない、こういうことで理解してよろしいですか。


○中曽根康弘君
昔のような学術会議はなくなってくると思います。つまり、学者が選挙運動に狂奔して、郵便を配ったりいろいろやっておると。学問の権威というものは票数にかかわるものではないという面があるのであって、そういう意味において、生きた人間同士が生きた人間の権威者を選ぶという方がより真実に学問の場合は近いと私は考えております。


さすが大勲位中曽根と言われるかもしれません。不沈空母発言のタカ派と言われた中曽根総理は現代政治家たちよりは断然まともで、見識もあったということですね。

『政府が行うのは形式的任命』『政府の行為は形式的行為』にすぎないと、繰り返し述べており、総理が任命拒否を行う実態というのは想定されてない、と言っているわけです。


他にも、今で言う内閣府の大臣の答弁。


第100回国会 参議院 文教委員会 第2号 1983年11月24日

総理府総務長官 丹羽 兵助君

今回の改革そのものは、学術会議が先生のおっしゃいましたように真に科学者の代表機関としてその本来の機能を十分果たすことができるようにするため会員の選出方法等を改めるものでございまして、その会員の選出方法も、いまお話がありましたが、内閣総理大臣による会員の任命行為というものはあくまでも形式的なものでございまして、会員の任命に当たりましては、学協会等における自主的な選出結果を十分尊重し、推薦された者をそのまま会員として任命するということにしております。

 だから、会員の選出方法等を改めるということであって、その心配はないと思いまするし、いまお話がありましたように、学術会議の性格、目的、任務等に少しも変更を加えるものではない。

 特に、総理のもとに置く、総理府に置くよりは文部省の方に移した方がいいではないか、こういう先生の御意見もございます。先生はそういう御意見でございましょうし、そういう考えを持っていらっしゃる方もあるでしょうが、私の方としては、先ほど申し上げましたように、政府としては、学術会議が真に科学者の代表機関としてということでございますから、そうした専門的な文部省の所管よりは政府である内閣に、総理府の、総理のもとに置いた方が代表機関としての権限がある、また責任を大きく感じていただける、そういう意味で私どもは従来どおりの総理府に置かしていただきたい、こういう考えでございます



要するに、

『内閣総理大臣による会員の任命行為というものはあくまでも形式的なもの』

『会員の任命に当たりましては、学協会等における自主的な選出結果を十分尊重し、推薦された者をそのまま会員として任命する』

と所管大臣が答弁しているわけで、これを覆すにはそれなりの理由と説明が必要である。


(5)まとめ

条文上では拒否権発動は不明瞭だが、機関自体は総理の所轄下にある。ただし「特別の機関」として、独立性が担保されてきた経緯がある。

会員推薦は日本学術会議の自主性が尊重され、総理任命は形式的なものに過ぎないというのが政府方針だった。

これを覆したのがスガ総理であり、かつて同じ手法を用いたのが例の「解釈改憲」である。説明もできず理由も不明だが、過去からの行政解釈をひっくり返した、ということだ。

言うなれば、最高裁が判例変更を何の理由も言わず、説明もできず、けれどもある日突然最高裁判例を覆して違う結論を出した、というのと同じ。


アベスガ政治の本質は、こういう部分にあるのだ。彼らにとって、法や規範は無視できる。何より優先されるのは、「オレの意思」である。

嫌だから嫌、言いたくないから言わない、こうしたいからそうする、つまり幼児同然w


これを野放しにしてきたのは、愚かな日本国民ということだね。有権者が懲らしめないから、いつまでもこんな馬鹿げたことが継続されるのだよ。

「懲らしめる」とは何か?
与党の議席を激減させる、ということだ。

たとえ野党が政権取れずとも、議席が減れば政治責任が痛感されるというのが、選挙であり政治だろうに。そんな簡単なことすら分かってないのが、今の日本の有権者たちということ。だから政府が増長するし、法を無視した理不尽な支配が続けられるのである。


辺野古埋立承認撤回に関する国交大臣のした執行停止決定及び裁決は違法

2019年10月24日 18時23分07秒 | 法関係
昨日、沖縄県の提訴した裁判の判決が出されたとの事。いつもの如く、沖縄県の敗訴と報じられた。

判決文はこちら

>https://www.pref.okinawa.lg.jp/site/chijiko/henoko/documents/191023hanketsu.pdf



率直に言えば、高等裁判所をしてこれか、と。まるで不出来な学生の丸写しレポートのような出来栄え。
裁判所の役割放棄に等しいのではないかと思うほどである。


国地方係争処理委員会の審査結果の低劣なコピーかと思ったよw

>http://www.soumu.go.jp/main_content/000601070.pdf



係争委の判断は間違っていると思っていたが、裁判所はどういう考え方を出すかは分からなかったので、静観しているしかなかった。


拙ブログでは、以前から取り上げてきた話である。

>https://blog.goo.ne.jp/critic11110/e/1433db8cd9cb193ce989e3ac3d478552


今回出された判決につき、批判的に指摘をしておきたい。


1)沖縄防衛局は一般私人同然か

福岡高裁那覇支部も国地方係争処理委員会も、国の主張を受け入れている最大の誤りは、国の機関たる「沖縄防衛局」が私人と立論している点である。


沖縄防衛局がやっていることで、一般私人ではできないものとして

・埋立計画の根拠を所謂「日米安保条約」「日米地位協定」としていること
・埋立周辺海域について、制限区域を設定し一般人の通航等を公権力の暴力を用いて完全排除していること
・県が条例違反だと指摘しているにも関わらず、岩礁破砕許可申請をせず工事を強行していること
・沖縄県知事の指示に全く従わないこと
・立入検査も拒否していること

など、枚挙に暇がない。


また、最高裁判決(平成28年12月20日 最二小)でも次のように判示している。

>http://www.courts.go.jp/app/files/hanrei_jp/358/086358_hanrei.pdf

(便宜的にa)~h)の記号を当方が振っているが、一文中の記述である)


a)本件埋立事業は普天間飛行場の代替施設(本件新施設等)を設置するために実施されるもの

であり,前知事は,

b)同飛行場の使用状況

や,

c)同飛行場の返還及び代替施設の設置に関する我が国と米国との間の交渉経過等

を踏まえた上で,前記第1の2(4)イのとおり,

d)騒音被害等により同飛行場の周辺住民の生活に深刻な影響が生じていること

や,

e)同飛行場の危険性の除去が喫緊の課題であること

を前提に,

f)①本件新施設等の面積や埋立面積が同飛行場の施設面積と比較して相当程度縮小されること,

g)②沿岸域を埋め立てて滑走路延長線上を海域とすることにより航空機が住宅地の上空を飛行することが回避されること

及び

h)本件新施設等が既に米軍に提供されているキャンプ・シュワブの一部を利用して設置されるものであること


このような埋立地の利用を計画する者は、一般私人においては存在し得ない。いずれも、一般私人の埋立免許申請において考慮が必要となる事項ではない。日本国政府のやっていることである。

これを一般私人と同じ、とする国地方係争処理委員会や高裁判事は、詭弁を通り越して単なる「国の主張に沿う為だけの屁理屈」を言うに等しい。


最高裁判決において、沖縄県知事が埋立承認時にした「判断」を適切だと評価しておきながら、本件高裁判決では埋立後の利用・事情の考慮など県知事の判断すべきことでない、というような断罪の仕方は、最高裁を無視するが如き暴論であろうww


また国は代執行訴訟時には

『国家間の約束事を実現できず、今後の諸外国との外交関係の基礎となるべき、国際社会からの信頼の低下などの我が国が受ける不利益』

と自らが主張していたのであるから、一般私人が外交関係や国際社会云々を埋立工事で考慮するべき理由などないし、本件埋立が国の事業であって私人の事業と同等でないことは疑いの余地がない。

他にも

執行停止決定書(平成26年3月30日 26水管第2801号  林芳正 農林水産大臣)には、

『普天間飛行場代替施設建設事業が大幅に遅れることとなるため、普天間飛行場周辺住民に対する危険性や騒音の継続による損害、日米両国間の信頼関係への悪影響による外交・防衛上の損害等といった回復困難で重大な障害が生じ、当該損害を避ける緊急性がある』

このような主張を必要とする一般私人がどこに存在すると言うのか。

屁理屈以下の主張をする国、裁判所、国地方係争処理委員会、いずれも杜撰な論立てである。


2)現行行政不服審査法の施行後、国の機関は審査請求ができない

H16年4月以降に本件審査請求が出されたのであるから、行審法7条2項は沖縄防衛局に対して適用される。よって、審査請求が違法な手続であり、これを受けて審査結果を出した国地方係争処理委員会もまた違法がある。

執行停止決定を出した国土交通大臣と共に、国の工事強行をひたすら実現させるべく、出鱈目の法解釈論を並べているに過ぎない。現行行審法
改正の趣旨は、固有の資格での国の機関の審査請求を明示的に否定したものである。


3)公有水面埋立法で、国と私人では取扱に明確な違いがある

一般私人や地方公共団体の場合には「免許」、国は「承認」と条文上でも各種の手続上でも明確に区分されており、沖縄県の主張通りである。行政通達上も、公有水面埋立法の免許は行政手続法の適用範囲だが、承認は除外されていた。

これを私人と同等である、という主張は、こじつけ程度の暴論だ。


4)行政不服審査法の手続を骨抜きにする国と裁判所

公有水面埋立法の知事権限による「承認」は1号法定受託事務であるから、審査庁は国交大臣ということになる。裁決において、どんなこじつけであろうとも、国の暴力による強引な埋立事業を実現しようとすれば、常に国交大臣のオーバールールが使えることになり、事実上知事権限を剥奪するに等しい。今、アベ政権がやっていることは、そういう無法である。


知事が国の埋立事業を承認しない・或いは承認取消

→「国の機関」が私人になりすまし審査請求

→国交大臣が審査請求を受ける・執行停止決定や裁決を出す

→知事の判断・権限を全部否定でき、どんな国の埋立事業でも実現できる


今の国のやってる所業は、何重にも及ぶ脱法の繰り返しであり、これを権力に都合よく擁護するだけの存在として国地方係争処理委員会と裁判所、ということになっているのだ。

これほど違法と脱法をあらゆる分野で積み重ねてくる、日本の政府組織というのは一体何なのか。対抗すべき司法権さえもが、この無法の片棒担ぎしかしないというのは、どういうことなのか。


5)国交大臣は「執行停止決定」を自身の職権で取り消した

15年11月の代執行訴訟に先立ち、沖縄防衛局は10/13に審査請求と執行停止を申出た。10/27には石井国交大臣が執行停止決定をしたものである。これらは、16年3月の和解成立後に全て取り消されたのだ。


沖縄防衛局:埋立承認取消処分の審査請求の取り上げ

国交大臣:「執行停止決定」を大臣権限で取消、裁決権の放棄(審査庁は職権で裁決を出せた)


代執行訴訟の取り下げは、提起した訴訟の「和解による取り下げ」ということで理解可能だが、審査請求や裁決権を放棄する理由はないものである。現に、国交大臣が行った執行停止決定は発動され、たとえ防衛局が審査請求を取り下げたとしても、大臣が自ら執行停止決定を取消さない限り残り続けるものなのだ。


これを自分で取り消したのであるから、本件の執行停止決定も審査請求後の裁決も、保護すべき理由は残されていない。本当に保護が必要だったのなら、取り消さないはずだからだ。

国交大臣は裁判所命令や強制力が働いて取り消したものではない。勿論、取り下げた防衛局も同様だ。
自らの意志で取り消したんだぞ。



この国においては、法解釈も司法判断も、ほぼ滅茶苦茶な屁理屈だけで出来ている、ということだ。行政法は死んだのだよ。

徹頭徹尾、基地利権と米軍に都合よくなるよう、出鱈目の立論が出されてくるのである。


こんな国家には、法など無意味である。

屁理屈とネット詭弁士程度の連中があれば、それで済むということだ。


もう杜撰などというレベルではない。

国の根幹からして、崩壊しておるのだよ。


日本国政府による辺野古埋立という犯罪~3

2019年03月31日 18時42分49秒 | 法関係
沖縄県が訴訟を取り下げた、との報道があり、敗訴が確定したとの事。
で、久しぶりに眺めなおしてみた。


福岡高裁那覇支部の判決文がこちら

>https://www.pref.okinawa.jp/site/chijiko/henoko/documents/kousoshinhanketsu.pdf


かなり杜撰な出来栄えかと。

わざと分かり難くしているかのよう。文章を改めるのに、わざと最終的にどういう文言になったのかを「全部書かない」方式にしてある、ってことさ。まるで赤ペン修正したようなものでは?

ということは、法律改正案の文言を書いてる人が考えたかのよう、ってか?

対照表でも添付されてないと、高裁判決文だけ読んだ人には「結局、何が書かれたのかがよく分からない」っていうふうにしてある、ってことさ。
卑劣なクソ官僚あたりが考えそうな手口なのでは、って話ですね。早い話が、読ませたくない、ってことだわな。


元の地裁判決がコレ

>https://www.pref.okinawa.jp/site/chijiko/henoko/documents/01honanhanketsu.pdf

特徴的な部分を示すと、次の通り。

争訟の相手方が個々の国民であるか、国又は地方公共団体という行政主体であるかを問わず、一般的に、行政主体が、法規の適用の適正ないし一般公益の保護のためではなく、自己の主観的な権利利益に基づき保護救済を求める場合に限り、当該訴訟が法律上の争訟に該当する旨を判示したものと解される。

平成8年最高裁判決は、…当該事案においては、市が市道の機能管理権(公物としての機能維持)のみならず財産管理権(不動産の所有権ないし占有権に基づく財貨的管理)を有していたのであるから、同判決は、地方公共団体が自己の財産上の権利利益の保護救済を求めることができると判示したものを解される。

行政主体が自己の主観的な権利利益に基づき保護救済を求める場合を除き、行政主体による行政上の義務の履行を求める訴訟の法律上の争訟該当性を否定したものと解されるところ、国又は地方公共団体が履行を求める公法上の義務が、行政処分ではなく法令により課されたものであったとしても、法規の適用の適正ないし一般公益の保護を目的として提起された訴訟である限り、自己の主観的な権利利益に基づき保護救済を求める場合に当たらないことは明らかといわざるを得ない。

原告が私人とは異なる公益の代表者としての立場で提起したものであって、私人と対等な当事者として裁判所に助力を求めているものとは解されないから、自己の主観的な権利利益に基づき保護救済を求める場合には当たらない。


国側主張にまんまとしてやられてるかと。
争点は、最高裁判例の解釈や適用の論争ではないはずが、絡め取られてる。


追及すべき点が違ってる。

・名護漁協のしたとされる漁業権の放棄
=国のいう「漁場でない、だから岩礁破砕許可は不要」論

これは大間違いなのに、ここを徹底攻撃しないと。
ここでも漁業法22条とか解釈論に収束してるのが勝ち目を遠ざけてるかと。裁判所側が国の味方につくのは想定通りなので、知事権限が強固な条文で勝負しないと言い負ける。


・争訟

国も地裁も「争訟でない、だから裁判所の審理対象でない」に逃げ込もうとしているのだから、その反対根拠を示せばいいのに、しなかったのね。
H14年の最高裁判例とか8年判例とかで見解の相違、って逃げを許すとこうなる。

向こう(国や裁判所内部)は、事前に検討会みたいなのをやって、恐らく今回は複数の行政法学者wの見解も集めたわけでしょ?w
辺野古代執行訴訟では過信した官僚どもが大失態のヘマをしでかしたのでw失敗をなるべく回避するように注意していたんでしょうね。


どういう法理?法学理論でもって、地裁判決の言うような争訟該当性の論理みたいなのが出てきたのか、まるで分からん。どこの独特な論理なの?

例えば最近でも
>https://www.bbc.com/japanese/47288025

違憲性を争うべく、州政府(州司法長官)が連邦政府・大統領を提訴しているわけで、何故日本では自治体が国を訴えることさえできぬのか、おかしいと思わないですかね?

日本独自の判例体系だから?w
どんな法学理論なんだよ。


前置きがあれこれと話が飛んだが、各論的に以下に述べる。


漁業権の論点は、昨年に書いた通りである。

>https://blog.goo.ne.jp/critic11110/e/21334b80111b971d046ec6d5a653d1aa

>https://blog.goo.ne.jp/critic11110/e/e99e2a511c5cde3a9d7ceba8cf29f1ad


名護漁協の漁業権についての免許は13年9月1日、仲井真元知事の埋立承認前である13年3月11日に当該海域の漁業権一部消滅の特別決議を行い、埋立同意を得たことになっていた(なので、13年12月に埋立承認が表明された)。

14年7月11日に、岩礁破砕許可申請が出された。
これが後に故翁長知事により行政指導的な工事停止要請となるが、防衛省は行政不服審査法に基づく審査請求と執行停止を申立てた。
農水大臣は15年3月に知事権限を執行停止とした。理由は「知事権限には処分性がある、工事が停止すると重大な損害を蒙る」ということだった。漁業権が放棄されてるから「岩礁破砕許可は必要ない、知事権限は及ばない」などという理由ではなかった。かえって、知事権限を法的に認め、それを執行停止しないと「工事ができない」と防衛省が主張したのを全面的に認めたのが農水大臣の執行停止決定だ。

日本政府は、『合法的に取得した岩礁破砕等の許可の効力を期限を限ることなく実質的に停止させ、岩礁破砕等を行おうとする者の権利義務を変動させるものである』と文書で言ったのだぞ?

嘘つきは次々と主張を変えるんだよw嘘で誤魔化そうとするw
なので、沖縄県は農水大臣の執行停止決定通知書や防衛局の申立書を証拠として提出し、国の主張の矛盾を突けばよかったのに、そうしなかったみたい。何故かは不明だけど。


漁業法22条の変更がどうってのも、国の主張に付き合う必要性がないかと。
むしろ漁業法8条2項の漁業権行使規則を徹底して言うべきなのだよ。

「当該漁業権又は入漁権の内容たる漁業につき、漁業を営むべき区域」が規定されてるから。

国の言う当該海域の「漁業権の放棄」が効力を持つには、漁業権の区域の規定をする必要がある。それは漁業権行使規則の変更以外には「規定できない」はずなのだよ。
「漁業を営むべき区域」は漁師たちが自分勝手に定めても、それだけで直ちに有効にできるという法体系にはなっていないから、だ。


同法8条6項で、
「漁業権行使規則又は入漁権行使規則は、都道府県知事の認可を受けなければ、その効力を生じない。」

ときっちり書かれているのだから、その点を追及すればいいものを、放棄だ変更だいや違うだの国や裁判所の誤魔化し戦術に引っ掛けられてしまってるわけ。

ドサクサ紛れで、国も裁判所も適当な屁理屈を並べているだけw


海域に対しての知事の管理権限は水産資源保護法等で一部にはあるが、財産権がないとか裁判所が言うわけだが、どうなんでしょうか。


15年11月21日 衆院予算委(閉会中審査)

○石井国務大臣 お答えをさせていただきます。
 一般私人が埋め立てを行う場合には、もとより一般私人は公有水面を埋め立てることはできませんけれども、国が埋め立てを行う場合には、国が所有する公有水面をみずから埋め立てるというものでございまして、本来的には、この所有権に基づき埋め立てを行うことができるというふうに解されております。
 このように、国が行う埋め立てはみずからが所有する公有水面を埋め立てるものであることから、埋立法は、承認、免許という文言を区別して、適用される条文も異なっているにすぎません。
 いずれにしましても、一般私人であろうが国であろうが、ともに知事の免許または承認を得なければ適法に埋め立てをすることができない、また、知事が免許または承認の審査を行うに当たっての基準も同じ基準
であるということから、国、この場合沖縄防衛局長が、一般私人が立ち得ない特別の立場、固有の立場において承認を受けているものとは解されないというふうに考えております。



国に所有権がある、との主務たる石井国交大臣答弁だ。
所有権は財貨管理的な権限ではないけれども、財産権の一部なのでは?

そして、この権限は法定受託事務として、知事に権限が委任(?、用語が正確には分からないです)されているわけでしょう?

しかも海岸法では一般公共海岸区域に該当し、知事に管理権がある。

海岸法 第三十七条の三 
一般公共海岸区域の管理は、当該一般公共海岸区域の存する地域を統括する都道府県知事が行うものとする。


また、海岸の国有地は地方自治体への無償貸付となっている。

第四十条の三 

国の所有する公共海岸の土地は、国有財産法(昭和二十三年法律第七十三号)第十八条の規定にかかわらず、当該土地の存する海岸保全区域等を管理する海岸管理者の属する地方公共団体に無償で貸し付けられたものとみなす。


これはキャンプシュワブの海岸でも同じだろう。
埋立区域の海岸と水面は連続的なので、知事の管理権限が及ぶのだよ。高潮線では自治体管理(国有地の無償貸付)地の上に水面が来るはずでしょう?

連接する水面(法3条)により水産資源保護法は適用されるだろう。財産的権利利益があるものと見る。

参考記事:
15年11月>https://blog.goo.ne.jp/critic11110/e/00e28f084ca20667f4350615f488dd07



次に争訟の該当性云々である。
国と裁判所が言うには、

「一般的に、行政主体が、法規の適用の適正ないし一般公益の保護のためではなく、自己の主観的な権利利益に基づき保護救済を求める場合に限り、当該訴訟が法律上の争訟に該当する」

らしい(笑)。他にも

「行政主体による行政上の義務の履行を求める訴訟の法律上の争訟該当性を否定したもの」
「法規の適用の適正ないし一般公益の保護を目的として提起された訴訟である限り、自己の主観的な権利利益に基づき保護救済を求める場合に当たらないことは明らか」

おいおい、これは以前の国が翁長沖縄県知事に対して提訴した違法確認訴訟を根底から覆す見解でしょう?ww


裁判所ってのは、耄碌が激しいのですか?

16年12月最高裁判決>https://blog.goo.ne.jp/critic11110/e/e4bcdcb3274486fbcf93097821843a54

「平成28年12月20日 最二小 平成28年(行ヒ)394号」


あんたら、この裁判は誰がやったの?w
国でしょう?原告は国土交通大臣がやったんでしょ?w


15年11月21日 衆院予算委

○安倍内閣総理大臣 
防衛大臣からも答弁をいたしましたように、普天間の返還は一日も早く実現しなければならない、まず、この基本的な考え方の上に立って、このため、移設作業の事業者である沖縄防衛局長は、一刻も早く移設事業を再開するため、迅速な手続である審査請求を行うとともに、執行停止の申し立てを行ったものであります。これを受けて国土交通大臣は、沖縄県の意見を聴取した上で、重大な損害を避けるために緊急の必要性がある等の判断のもとに、行政不服審査法にのっとり執行停止の決定を行ったものであります。

 一方、このようなプロセスの中で政府として改めて検討した結果、翁長知事による埋立承認の取り消しは違法であり、著しく公益を害するものであることから、この問題の解決を図るためには、最終的に司法の判断を得ることができる代執行等の手続に着手することがより適切な手段であると判断され、閣議において政府の一致した方針として了解されたものであります。



提訴理由として言ったのは、

・重大な損害を避けるために緊急の必要性がある
・著しく公益を害するものである

だよね?


これは違法確認訴訟の時点でも、取消処分は違法だ、工事停止で公益を害するって国は散々言ったろ?
これは和解で取り下げたけど、国地方係争処理委員会の結果を受けて、沖縄県が提訴もせず取消処分を撤回もしない、との理由で、国交大臣が違法確認訴訟をしたでしょう?


この訴訟では、国交大臣の主観的権利利益なんか問題になってないでしょうに。
沖縄防衛局が「一私人同等の事業者」としての利益を問題にしただけであって、石井国交大臣の個人的利益なんか、全く関係ないんだよ。

そして、公有水面埋立法の適用を「適正にせよ」と裁判に訴えたわけだろ?
公有水面埋立法の規定からすると翁長知事のした承認取消処分は適正な適用ではない、だから違法だ、の論法なんだろ?


地方自治法251条の7第1項は、国地方係争処理委員会の判断が国の関与が違法の勧告か合法なら自治体が指示に従え、か、どちらかの場合にしか適用されない。当時の係争委の結果は、どちらでもなかっただろ。沖縄県は係争委の通知に従っただけではないか。
にも関わらず、最高裁は無条件に国の提訴を認めやがった。
出来レースだったから、だろ?


そして、国交大臣を原告とする違法確認訴訟は、上の地裁判決で言う所の、自己の保護救済を求めるものではないし、公水法の適正なる適用を指示した大臣が行政上の義務履行(取消処分の撤回)を求めたものだろ。
その目的は公益の保護だって総理自らが答弁しとるだろ。裁判で提出した文書にも、何遍も国は公益だ公益だって言ったんじゃないか。


それは「争訟」該当性に欠けているから、最高裁は基地外だ異常だおかしい、って教えてやれよ。


この国の司法は、本当に、とことん腐り切ってる。

出してくる屁理屈も、支離滅裂のものばかり。これを誰しも「当然だ」と考える狂った司法なんだとよ。



沖縄県の国地方係争処理委員会への申し出は全く無意味で危険

2018年12月01日 12時03分00秒 | 法関係
沖縄県側が、又しても、罠にハマって「意図的に負ける道」を選んだようだ。


>https://ryukyushimpo.jp/editorial/entry-842164.html

地方自治体に対する国の関与を巡り、争いが生じた際にその妥当性を審査する第三者機関が係争委だ。3度目の今回は国の決定が法的に正しいのかを踏み込んで判断してほしい。

 県は係争委への審査申出書で(1)沖縄防衛局は行政不服審査制度で執行停止を申し立てることはできない(2)国交相は内閣の一員であり、防衛局の申し立てに対して判断できる立場にない―と指摘した。

 国の機関である沖縄防衛局が、本来は私人(国民)の権利救済を目的とする行政不服審査制度を使って国交相に承認撤回の効力停止を申し立てた。これに対し全国の行政法研究者110人が「違法行為にほかならない」と声明の中で断じている。さらに国交相がそれを審査するというのも、身内のお手盛り以外の何物でもない。結論ありきの出来レースだった。

 係争委による過去2回の判断のうち、15年は翁長雄志知事が取り消した辺野古の埋め立て承認を国交相が効力停止にしたことが審査された。係争委は防衛局を「私人と同じ立場」とする国交相の解釈に疑問を呈しながらも、「審査の対象に該当するとは認められない」と知事の申し出を却下した。

 16年には、国交相が知事による「埋め立て承認取り消し」を取り消すよう是正の指示を出したことを受けて、翁長知事が、国による「是正の指示」を取り消すべきだとして審査を申し出た。係争委は国と県の協議を促し「普天間飛行場の返還という共通の目標の実現に向けて、納得できる結論を導き出す努力をすることが最善の道」との見解を示したものの、国の是正の指示が適法か否かは判断しなかった。


=========


気持ちは分かる。国のした行政不服審査法上の審査請求は、法7条2項の条文の通りに除外されているという解釈が当然だ。そのことと、今回の係争委への申し出は、別の話である。沖縄県側が、自ら法律上の「誤り」を実行するのはおかしい、ということだ。


そもそも、何度も指摘しているが、国地方係争処理委員会の役割には範囲・限度があり、何でも審査対象となるわけではない、ってことなのですよ。どうして、そこを見ないのですか?


直近でも、記事で指摘しましたでしょう?

10月>https://blog.goo.ne.jp/critic11110/e/3468d4aaf9ff4dc3e11b7c5f7db2244c


地方自治法 245条には、次の号があります。


三 前二号に掲げる行為のほか、一定の行政目的を実現するため普通地方公共団体に対して具体的かつ個別的に関わる行為(相反する利害を有する者の間の利害の調整を目的としてされる裁定その他の行為(その双方を名あて人とするものに限る。)及び審査請求その他の不服申立てに対する裁決、決定その他の行為を除く。)



15年の執行停止決定について、同様に審査の申し出をしたものの、「門前払い」だったのはおかしい、とかいう話ではなく、条文上でそのように決められているわけですから、係争委は「執行停止や裁決」といった事項については審査対象とできない、って言っているんですよ。


国地方係争処理委員会は、第三者機関だから、みたいに思って、何でも審査してくれて返答をするのが当然って思っているのかもしれませんが、それは間違いです。顧問弁護士みたいなものとは違うんですよ。


執行停止という国交大臣「決定」は、審査から除外される、というのが、地方自治法で定められているんですよ。法に基づき職務をやれ、って県側が求めるのに、どうして自らがそれを破り冒すわけですか?


執行停止決定について、係争委が審査対象ではない、と返答するのは、法律上は全く正しく、その通りなんですよ。「踏み込んで判断してほしい」って社説子は述べるが、そんなことを言うと国に都合のいい解釈だけを出してこられたら、どうするんですかね?


沖縄県側の主張を言いたいのなら、執行停止についての取消訴訟を提起して、裁判上でやるべきですよ。それは行政事件訴訟法上で、有効な手段だから、だ。


しかし、国地方係争処理委員会に対する申し出は、無効なんだってことが、一目瞭然で審査するまでもなく、簡単に分かることなのに、どうしてその無意味な行為をするんでしょう?


和解後の新たな「是正の指示」は、明らかに罠であり係争委は「同一の関与」として否定すべきものだったし、国が裁決権をも消滅させたのに是正指示を認めることは異常だったのに、国に対して違法の「勧告」を出せなかったような連中なのですよ?


係争委は、沖縄県の味方なんかしてくれる組織ではないんですよ。
防衛局のした審査請求は「有効」って万が一示されたら、その時はどうするんですか?

これを裁判で争う、ということの意味を考えているのか?
被告は、国交省ではなくなるんですぞ?
係争委が被告になるのでは?

その意味が分かっているのか。
防衛省や国交省のした違法行為は、裁判上でどのように取り扱われることになるのだね?


どうして、これが分からないのか?

本気で、勝つ気があるのか。

よく考えて下さいよ。

係争委の出した結果如何で、その先の不利益がどうなるか、裁判ではどうなるのか、何を争えるのかよく考えるべきだ。



戦い方を間違っていますよ。

このままでは、前回の和解で騙されて、その後の裁判で煮え湯を飲まされた時の二の舞ですよ。


直ちに、係争委に出した申し出を取り下げるべき。
裁判所で争う方が、まだマシです。


続・出鱈目アベ政権のインチキ執行停止決定

2018年11月03日 10時42分52秒 | 法関係
前からの続きです。

まずは、石井国交大臣の出した執行停止決定の続きから。


3 執行停止の要件該当性について

(1)本件埋立てでは、日米間の合意の下に、普天間基地代替施設として提供する飛行場の建設を目的として、約1.6平方キロメートルを埋め立てるというものである。本件撤回は、埋立てをなし得る法的地位を喪失させ、その効力が維持される限り本件埋立てを行うことができないという損害を事業者たる地位にある申立人に生じさせるものである。

 こうした状態が継続することにより、埋立地の利用価値も含めた工事を停止せざるを得ないことにより生じる経済的損失ばかりでなく、普天間飛行場周辺に居住する住民等が被る航空機による事故等の危険性の除去や騒音等の被害の防止を早期に実現することが困難となるほか、日米間の信頼関係や同盟関係等にも悪影響を及ぼしかねないという外交・防衛上の不利益が生ずることから、「処分、処分の執行停止又は手続の続行により生ずる重大な損害を避けるために緊急の必要があると認めるとき」に該当するという申立人の主張には理由がある。

 よって、本件撤回の効力を停止する必要性は高いといえ、行審法第25条第4項の要件を充足するとともに、処分の効力の停止以外の措置によって目的を達することができるとき(同条第6項)には当たらないものと認められる。

========

執行停止理由として、

ク)埋立地利用価値等の経済的損失
ケ)普天間飛行場周辺住民の事故の危険性や騒音被害
コ)日米同盟等信頼関係(外交・防衛上)の不利益

を言うものであるが、これは前回H27年10月に防衛局が執行停止申立て及び審査請求した時と同じ内容であり、審査庁たる国交省のいう執行停止の決定理由も同じであった。
つまり、石井国交大臣が自らの手で一度した「執行停止決定」の理由はク)~コ)であって、それを「敢えて」わざわざ自分の手で取り消したのである。

代執行訴訟の和解は、裁判上の和解であって、審査請求の取下げが和解の必然ではないことは明らかで、少なくとも審査庁には「職権で」執行停止は継続できる権限を有していたし、防衛省が審査請求を取り下げるべき理由もなかった。

国が言うように、ク)~コ)が真実であり、本件埋立事業の停止が本当に「重大な損害を避けるために緊急の必要がある」というのであれば、執行停止決定を石井国交大臣が自ら取り消す理由もなければ、防衛局が審査請求を取り下げる必然性もなかったのである。

しかし、国が自らのした執行停止を取り消した以上、それを再度決定するには、同一の理由はあり得ない。そのような潜脱が行政や法の安定性を破壊してるのだ。


以前に国が主張した内容は、まるで変わりがない。

代執行訴訟時点(15年11月)の国の主張
>https://blog.goo.ne.jp/critic11110/e/d9f5c109c70e3acdc78a38513a62f3ec


普天間飛行場周辺の被害については、防衛局の審査請求でも代執行訴訟の訴状でも、何ら変わることなく述べられていたのであり、これを同一の理由として、国が自分で棄てた権限・利益(和解後、全部取下げて、取り消し)なのだから、請求できるわけがないのだ。

国曰く

『普天間飛行場における航空機による訓練では飛行経路が市街地上空で、普天間飛行場の周辺住民や上記各施設の利用者等は航空機事故の危険性や騒音等の被害にさらされる事態が常態化している。万一、航空機による事故が発生すれば周辺住民等の生命・身体に甚大な被害を及ぼす危険性が高くその危険は具体的なものとして現に存在しているといえる』

というのだから、日本国政府は住民の危険性を十分認識していながら、何らの対策を措置することなく漫然と20年以上も放置をしてきたことは明白であり、住民の安全確保は、「海面の埋立」とは無関係に早急に措置されるべきことであって、国は不作為の謗りを免れない。

危険性の除去は、埋立事業とは全く独立の事柄であって、国には放置を正当化できる理由がない。



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 なお、処分庁は、申立人が本件撤回から1箇月半以上の期間にわたり本件審査請求及び本件申立てをしなかったことなどを指摘して、行審法第25条第4項の「重大な損害を避けるために緊急の必要がある」とはいえないなどと主張するが、前記の損害の内容等に照らせば、本件撤回から本件審査請求及び本件申立てが行われるまで1箇月半以上が経過したからといって、引き続き生じる損害の重大性やその回避の必要性に何ら変わるところはなく、その他指摘するところを踏まえても、行審法第25条第4項の要件該当性は否定されるものではないと解される。

(2)処分庁は、行審法第25条第4項ただし書の「公共の福祉に重大な影響を及ぼすおそれがあるとき」に該当する旨主張するが、これに該当するか否かは、処分によって生ずる損害と比較較量して、なお公共の福祉を保護する必要があるかという見地から判断されるところ、前記(1)のような損害に比較してなお、「公共の福祉」として優先すべき事項があるとまでは認められない。
 また現段階で、同項ただし書の「本案について理由がないとみえるとき」にも当たるとまでは認められない。
(3)以上より、本件撤回の効力を停止する必要はあると認められる。


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全部、自分に都合のいいことだけを並べてみたよ、という内容である。過日、公表された最高裁の所謂「ラストストロー判決」みたいなものだ。誰からも覆されることがない、という圧倒的有利な立場を利用しているに過ぎない。

「緊急性がある」というなら、前回執行停止の時だって、取り消すことなどできなだろうに。バカが政府にも司法にも浸透してしまうと、理由とか論拠とか論理的整合性には無関係に、「批判には当たらない」論法でもって、全部否定でき自分が好きな言いたいことだけを並べると、それでいいことにできてしまう、という愚劣国家になっておるのだよ。


信じられないほどの巨大な矛盾があろうとも、「知らない」って言えば全部流せる、なかったことにできる、って程度に、狂気の世界となっているわけだよ。そのような輩が「国際法が!」とか「最高裁判例で合憲だ!」とか、インチキの出鱈目だけを言い続けるという、本物のバカとクズの支配する国になっているわけですわ。

あるのは、開き直りだけw
「別にかまわない、だって、どうせ誰も罰することができないので」


理由も説明もなくても、単なる決め付けだけで文書作成ができるのだから、これはまあ、本物のバカの無能官僚でも簡単に作れる、という代物だろうな、ということである。法の支配、完全崩壊ww