これには色々な理由があるのだろうと思いますけれども、一部には泡を食っている向きもあるようです。
英米国債が格下げになるのではないか、などいう憶測記事も流れたりして、そういう影響を心配している人々もいるらしいです。ま、そんなに格付けの信頼性が高かったのであれば、例の「クソ債券」に最上級格付けが与えられることなど有り得なかったのではありませんか?それとも、その「最上級」という評価が、いかに当てにならないものであるか、ということを証明したに過ぎないのでは。
つまり、評価能力が高く信頼性の高い格付け機関であるなら、「トリプルAとは、一夜にして”クソ債券”に早変わりするものをいう」という程度のものであるということが証明されただけですよ(笑)。いやいや、評価能力が高くなくて信頼性にも欠ける機関だから、という意見もあるのかもしれませんな。そうであるなら、「”クソ債券”をトリプルAと思い込んで最上級を付けることがある」ということでしょう。
どっちにしろ、「トリプルAと呼ばれる格付けは、信頼性があんまりないね」ということが判るだけでは。そんな程度のものを喜ぶのはどうかしている。あるワイン専門家が「これは最上級のワインだ」という評価をつけたとしても、近所のコンビニで売られる安物のワインであったりするようなものだな。そんな専門家のご託宣など、だれも有り難がらない(笑)。
だが、現実の金融ビジネスの世界では、何故かこういうご託宣が有り難がられていたりするわけだ。だからこそ、三流ワインに「最上級」のラベルが貼られるだけで、「これはいいワインだ」ってな話になり、飛ぶように売れるわけで。これはまあいいか。
米国債の指標金利が上昇している、という話に戻るが、要因が複数あるだろうと思うので、「決定的な原因はこれだ」というような単純な話にはならないでしょう。ドルが売りまくられて遂にはドルが崩壊する、ということが原因とも思えませんな。かつて、日本にも同じように言っていた崇拝者だかカブレ者たちだかが大勢わいてきていて、ボウフラか蛆みたいなもんですわ。そのココロは、「どこにでもわいてくる」。冗談だけど。
でも、「円は暴落して、200円になる」とか散々焚きつけていた連中がいたんですよ、本当に。
「2008年問題」とか適当に作って、国債の借換ができなくなる、そして日本国債は暴落する、円は暴落してドル円が200円とか250円にまで落ちる、とか、まあ「国家破綻」「財政破綻」とか破滅的イメージをこれでもかってくらいに植えつけて「商売の種」にしていた連中が大勢いたんですわ。
そういう言い分がどれくらい本当であったか、というのは、あまり検証されてないかもしれませんが、殆どがウソかデマみたいなもんですわ。
今の米国債の指標金利上昇も、同じような側面で語られている部分があるでしょうね。けど、大きな崩壊局面というのは、ほぼやってこないでしょうね。
日本国債なんて、今の米国債の金利上昇率をはるかに超える変化を経験しましたけれども、全然平気でしたよ(笑)。
例えば、03年の時。これも幾度か取り上げたことがあるけど、何と10年国債の金利が「0.5%割れ」まで買い進まれたのですよね。この年はやや特殊な年で、為替では円安誘導があったのと、金利低下が02年から継続していたんだけれども、03年6月には0.440%まで低下したんですよ。そこまで買う人たちがいるんですか、ってなもんですわな。
でも、その後には国債価格が急落。
9月には1.630%まで金利が上昇したんです。まあ、あんまりにも国債が買われ過ぎた、という面があったでしょうな。株価の落ち込みもあったわけですし。けど、3倍以上の金利になってしまったんですよ。3ヶ月で1%以上もの金利上昇って、(国債価格は)かなりの暴落だったんですよ。「竹中不況」とかも言われていましたがね、当事は。金融機関への締め付けがハンパじゃなかったわけですし。
まあ、国債の需給という面、資金退避先という面、不良債権問題や金融庁による締め上げといった心理的側面、日米金利差などの国際的な相対関係、為替水準、等々のさまざまな要因の結果であったのだろうとは思いましたな。元々が、02年初頭で1%台半ば程度の金利水準で、そこから03年6月までは下がる一方で来ていましたし、デフレ水準が最悪期だったこともありましたしね。企業業績の悪化も、失業率の悪化も、全ての面で「金利低下」は不思議でも何でもなかったと思えます。けれど、03年後半以降には、世界経済の立ち直りが見え始めて、日本企業の業績回復の道筋も見え始めたわけです。そうすると、それまで変われ過ぎていた国債の価格が急落し、一方では株価の回復基調が出始めていきました。ある意味、国債価格の水準是正、みたいなものが働いたのかもしれません。ひいては、指標金利の適正化が起こった、と見ることもできましょう。
03年よりも以前だと、98~99年頃にも国債金利急上昇ということがありました。
90年代後半に入って、日本のデフレ基調が定着してきていた時期でもありました。97年から98年にかけての金融危機や、国際的にみてもアジア通貨危機、ロシア危機とLTCM破綻などが矢継ぎ早に起こっていた時期でした。そういう状況でしたから、金利が上がる要因というのは殆どなくて、下がる一方というのは同じですね。
で、98年終わりに近づいていた頃には、0.8%程度という1%を切る水準まで指標金利低下が起こっていたわけです。が、99年以降の所謂「ITバブル」局面を迎えるにあたり、株価回復前にも関わらず国債指標金利は2%くらいまで急上昇したのです。まあ当時は為替の混乱などが相当あったので、そういった部分の影響などもあったかもしれませんが、それでも2倍以上の水準にまで金利が上昇するというのは、かなり大きな変化と思われます。
でも、日本では特別に経済が破壊されるほどの大混乱には至ることはありませんでした。
長期金利の上昇という変化が起こることはあるけれども、それには複合要因があって、何かの特別な意味を見極めるというのは普通は困難だろうと思います。
が、国債取引に関わるポジションを形成している投資主体とか、何かのヘッジ目的でポジションを構築しているとか、運用対象が「トリプルA」格の債券に限るといったような条件のあるファンドとか、関係する範囲はそれなりに多いだろうと思うので、そういう投資家たちは自分の意思や考えには関係なく「米国債を売らねばならない」といったこともあるかもしれません。そうすると、やはり国債金利は上昇してしまうことはあるでしょう。日本での変化に比べれば、まだ「変化率は小さいよ」ということはあるかと思います。これは、円が国際取引に占めるウェイトが小さいから、ということもあるだろうと思います。ドルの市場規模は円に比べて相当大きいので、それだけ大きく動くにはかなりのエネルギーが必要になりますからね。
英米国債が格下げになるのではないか、などいう憶測記事も流れたりして、そういう影響を心配している人々もいるらしいです。ま、そんなに格付けの信頼性が高かったのであれば、例の「クソ債券」に最上級格付けが与えられることなど有り得なかったのではありませんか?それとも、その「最上級」という評価が、いかに当てにならないものであるか、ということを証明したに過ぎないのでは。
つまり、評価能力が高く信頼性の高い格付け機関であるなら、「トリプルAとは、一夜にして”クソ債券”に早変わりするものをいう」という程度のものであるということが証明されただけですよ(笑)。いやいや、評価能力が高くなくて信頼性にも欠ける機関だから、という意見もあるのかもしれませんな。そうであるなら、「”クソ債券”をトリプルAと思い込んで最上級を付けることがある」ということでしょう。
どっちにしろ、「トリプルAと呼ばれる格付けは、信頼性があんまりないね」ということが判るだけでは。そんな程度のものを喜ぶのはどうかしている。あるワイン専門家が「これは最上級のワインだ」という評価をつけたとしても、近所のコンビニで売られる安物のワインであったりするようなものだな。そんな専門家のご託宣など、だれも有り難がらない(笑)。
だが、現実の金融ビジネスの世界では、何故かこういうご託宣が有り難がられていたりするわけだ。だからこそ、三流ワインに「最上級」のラベルが貼られるだけで、「これはいいワインだ」ってな話になり、飛ぶように売れるわけで。これはまあいいか。
米国債の指標金利が上昇している、という話に戻るが、要因が複数あるだろうと思うので、「決定的な原因はこれだ」というような単純な話にはならないでしょう。ドルが売りまくられて遂にはドルが崩壊する、ということが原因とも思えませんな。かつて、日本にも同じように言っていた崇拝者だかカブレ者たちだかが大勢わいてきていて、ボウフラか蛆みたいなもんですわ。そのココロは、「どこにでもわいてくる」。冗談だけど。
でも、「円は暴落して、200円になる」とか散々焚きつけていた連中がいたんですよ、本当に。
「2008年問題」とか適当に作って、国債の借換ができなくなる、そして日本国債は暴落する、円は暴落してドル円が200円とか250円にまで落ちる、とか、まあ「国家破綻」「財政破綻」とか破滅的イメージをこれでもかってくらいに植えつけて「商売の種」にしていた連中が大勢いたんですわ。
そういう言い分がどれくらい本当であったか、というのは、あまり検証されてないかもしれませんが、殆どがウソかデマみたいなもんですわ。
今の米国債の指標金利上昇も、同じような側面で語られている部分があるでしょうね。けど、大きな崩壊局面というのは、ほぼやってこないでしょうね。
日本国債なんて、今の米国債の金利上昇率をはるかに超える変化を経験しましたけれども、全然平気でしたよ(笑)。
例えば、03年の時。これも幾度か取り上げたことがあるけど、何と10年国債の金利が「0.5%割れ」まで買い進まれたのですよね。この年はやや特殊な年で、為替では円安誘導があったのと、金利低下が02年から継続していたんだけれども、03年6月には0.440%まで低下したんですよ。そこまで買う人たちがいるんですか、ってなもんですわな。
でも、その後には国債価格が急落。
9月には1.630%まで金利が上昇したんです。まあ、あんまりにも国債が買われ過ぎた、という面があったでしょうな。株価の落ち込みもあったわけですし。けど、3倍以上の金利になってしまったんですよ。3ヶ月で1%以上もの金利上昇って、(国債価格は)かなりの暴落だったんですよ。「竹中不況」とかも言われていましたがね、当事は。金融機関への締め付けがハンパじゃなかったわけですし。
まあ、国債の需給という面、資金退避先という面、不良債権問題や金融庁による締め上げといった心理的側面、日米金利差などの国際的な相対関係、為替水準、等々のさまざまな要因の結果であったのだろうとは思いましたな。元々が、02年初頭で1%台半ば程度の金利水準で、そこから03年6月までは下がる一方で来ていましたし、デフレ水準が最悪期だったこともありましたしね。企業業績の悪化も、失業率の悪化も、全ての面で「金利低下」は不思議でも何でもなかったと思えます。けれど、03年後半以降には、世界経済の立ち直りが見え始めて、日本企業の業績回復の道筋も見え始めたわけです。そうすると、それまで変われ過ぎていた国債の価格が急落し、一方では株価の回復基調が出始めていきました。ある意味、国債価格の水準是正、みたいなものが働いたのかもしれません。ひいては、指標金利の適正化が起こった、と見ることもできましょう。
03年よりも以前だと、98~99年頃にも国債金利急上昇ということがありました。
90年代後半に入って、日本のデフレ基調が定着してきていた時期でもありました。97年から98年にかけての金融危機や、国際的にみてもアジア通貨危機、ロシア危機とLTCM破綻などが矢継ぎ早に起こっていた時期でした。そういう状況でしたから、金利が上がる要因というのは殆どなくて、下がる一方というのは同じですね。
で、98年終わりに近づいていた頃には、0.8%程度という1%を切る水準まで指標金利低下が起こっていたわけです。が、99年以降の所謂「ITバブル」局面を迎えるにあたり、株価回復前にも関わらず国債指標金利は2%くらいまで急上昇したのです。まあ当時は為替の混乱などが相当あったので、そういった部分の影響などもあったかもしれませんが、それでも2倍以上の水準にまで金利が上昇するというのは、かなり大きな変化と思われます。
でも、日本では特別に経済が破壊されるほどの大混乱には至ることはありませんでした。
長期金利の上昇という変化が起こることはあるけれども、それには複合要因があって、何かの特別な意味を見極めるというのは普通は困難だろうと思います。
が、国債取引に関わるポジションを形成している投資主体とか、何かのヘッジ目的でポジションを構築しているとか、運用対象が「トリプルA」格の債券に限るといったような条件のあるファンドとか、関係する範囲はそれなりに多いだろうと思うので、そういう投資家たちは自分の意思や考えには関係なく「米国債を売らねばならない」といったこともあるかもしれません。そうすると、やはり国債金利は上昇してしまうことはあるでしょう。日本での変化に比べれば、まだ「変化率は小さいよ」ということはあるかと思います。これは、円が国際取引に占めるウェイトが小さいから、ということもあるだろうと思います。ドルの市場規模は円に比べて相当大きいので、それだけ大きく動くにはかなりのエネルギーが必要になりますからね。