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JALの企業年金は減額できるか?~少し補足

2009年10月31日 18時33分24秒 | 法関係
調べていたら、法令検索のデータベースが少し変だったよ。

索引検索結果一覧画面

これって、法律の名称が、昭和二十一年法律第二十四号(~)ということなんでしょうか?
入力を間違えたんじゃないかとしか思えないわけですが、どうなんでしょうか。もし間違いなら、正しく入れるようにしてくれるといいのですけれども。あと、短い名称を必ず作って、略称を同時に表示してもらえると有り難いのですが。法令名をピンポイントで知ってるとか、探せるというのは結構難しいと思いますので。
個人的に略称を考えるとすれば、とりあえず「政府財政援助制限法」とでも呼びますか(笑)。


条文は短くて、次の通り。

法人に対する政府の財政援助の制限に関する法律
(昭和二十一年九月二十五日法律第二十四号)

第一条  会社その他の法人は、他の法令又は定款にかかはらず、政府の所有する株式又は出資に対して、政府以外の者の所有する株式又は出資に対すると同一の条件を以て、利益又は剰余金の配当又は分配をしなければならない。

第二条  政府は、他の法令又は契約にかかはらず、会社その他の法人に対し、毎事業年度における配当又は分配することができる利益又は剰余金の額を払込済株金額又は出資金額に対して一定の割合に達せしめるための補給金は、これを交付しない。

○2  前項の規定によつて補給金の交付を受けることのできない会社その他の法人について、法令、契約又は定款に特別の配当準備のための積立をすることを必要とする旨の規定があるときは、その規定は効力を失ふ。

第三条  政府又は地方公共団体は、会社その他の法人の債務については、保証契約をすることができない。ただし、財務大臣(地方公共団体のする保証契約にあつては、総務大臣)の指定する会社その他の法人の債務については、この限りでない。

=====


この法律の何が大事なのか、ということになりますが、政府保証は財務大臣の指定がなければできない(第3条)という大原則はそうなんですけれども、使えるんじゃないかなと思ったのは、実は第2条第2項の条文です。

第1項は、政府が会社等法人に対して、配当又は分配できる利益として一定額に達する為の補給金を交付しません、ということですな。この交付を禁止されている法人においては、ある規定の効力が無効となりますよ、というのが第2項なのである。問題はここだ。

『法令、契約又は定款に特別の配当準備のための積立をすることを必要とする旨の規定』
というのが、確定給付企業年金の積立金に適用されるか、という話である。
素直に条文を読めば、「特別の配当準備」というのが、一般的にいう株主への配当金充当目的というのはあるとして、賃金ではない企業年金部分については一種の配当のようなものであるとするなら、この積立規定はその「効力を失ふ」という解釈が可能なのではなかろうか、と。

従って、政府が債務保証を行う法人に対しては、財務大臣が指定すれば可能ではあるが、その対象法人において「特別の配当準備金」に該当する規定は無効となり、すなわち企業年金の賃金又は退職金以外の部分については「積立規定は効力を失う」ということに解釈できるのではないか、ということです。


ちょっと、というか、かなり強引にも見えるウルトラ●難度っぽい解釈論かもしれませんが、「特別の配当準備のための積立」が賃金を観念できない企業年金部分とかを含む、という行政側の法解釈があれば通せる話ではあるかと思います。これを行政訴訟で訴えてくる可能性はありますけれども、普通は難しいのではないかと思えます。
この解釈が通るなら、積立規定が「法令」「契約」「定款」のいずれであっても、無効化できるという比較的強力な条文となっているので、これから事後的立法を考える、とかいう話よりはマシではないでしょうか。

案外使えるんじゃないか?
略して、「政府財政援助制限法」は。
(本当の略称名は何と言うのですか?誰か教えて下さい)


あと、前の記事にコメントを頂戴していますが、これは、後ほど回答したいと思います。


追加です(19時頃):

まず、山ちゃんさんのコメントから。

>日本航空(株)と日航企業年金は独立した異なる法人です。またOBは、退職時に数百万円~1千数百万円、退職金から拠出しています。この拠出金はどうなるのでしょうか?


年金基金の法人については、確定給付企業年金法で規定されており、その法の支配を受けると思います。実施事業所の事業主が脱退したとしても、維持運営ができるのであれば基金としての存続は不可能ではありません。が、実質的に本体の企業が破綻すると事業主が拠出するべき資金というのが大幅に不足しますので、維持運営は困難になる場合は多いでしょう。この積立不足金自体が、基金が債権者となっているだけですので、その他債権者たちとの分配ということになってしまうでしょう。既に基金にあるお金を、その他の債権者と分け合え、ということではありません。

仮に退職金を2千万円貰えるところ1千万円だけ受取り、残り1千万円を出して年金として10年間分割で受取るという形になっている場合、退職金部分は1千万円ですので、保護の比較的強い共益債権となるのはその3分の1ということですし、それ以外の部分は更生債権、利率の上乗せ部分も更生債権になってしまうでしょう。毎月定額で受取額が月9万円であれば、その3分の1である3万円が共益債権部分となり(定期金も3分の1なので)、残りは更生債権とされるでしょう。他の銀行や企業の債権よりも保護を受けやすいであろうと思われますけれども、分配できる財産が少なければ、みんなで分け合うしかなくなりますので、退職時に出したお金の残額が戻ってくるかどうかは判りません。

会社更生法の退職金規定というのは、元々が「未払い」となってしまっている退職金(や給与)の取扱いについて規定されており、1円も払ってもらってない人であっても、共益債権として保護されるのは「3分の1しかない」ということなのです。


続いて、macさんのコメント。

>倒産処理手続きでは、特に定めが無い限り、年金債務は労働債権ではなく、一般債権ではないのですか?


古い入社の人であると、月々いくらかを積み立ててきた社員の方がいると思いますが、その場合ですと「賃金の一部」を積み立ててきたことになりますから、賃金の一部と見なされるでしょう。即ち、一般更生債権ではなく、共益債権部分はある、ということになるかと思います。これが労働債権としての性格を持つ、ということかと思います。厚生年金基金のような場合もほぼ同様ではないでしょうか。

一般更生債権となるのは、記事中の最後の方に触れていますが、恐らく企業側が全額拠出するような、私的性格の強い適格企業年金のような場合ではないかと思います。労働者自身が自分の賃金の一部を積み立てるという性質のものではなく、企業側の拠出のみ、というようなものでしょう。

あと、書いておられた分割スキームがよく判らなかったのですが、仮に、「グッド日航」と「バッドJAL」に会社分割したとして、「グッド日航」が「バッドJAL」に払うお金で年金を払ったり融資の返済を継続できる、ということなら、敢えて分割せずとも年金を払い返済もできる、ということになるかと思います。お書きの「融資と資本でまかなう」という額を投入すればよい、ということになるでしょうから。

もし「バッドJAL」が行き詰まって破綻すれば、やはり年金受給者は受取れなくなるし、未返済部分は全て焦げ付き貸し倒れると言う結果になることに違いはないでしょう。これは「グッド日航」が国営であろうと民営であろうと関係なく、そうなのであれば分割などしなくとも最初から破産法適用か会社更生法適用でもいいんじゃないか、ということになるかと思います。


ponponさんのコメントの通り、どうなることやら、と。


阿久根市職員懲戒免職事件と竹原市長の横暴

2009年10月30日 21時41分07秒 | 法関係
選挙に勝てば、首長が独裁者みたいになれると考えている御仁がいるのかもしれないが、それは大きな間違いであろう。

実は事件についてよく知らなかったのであるが、例の市職員の給与をブログに勝手に公開したらしい市長さん、というのは見かけたことがあった。その市長が張り紙を剥がしたというだけで懲戒免職処分というのは、どう見ても権限の濫用としか思われないので、書いておくことにした。

事件の概要はこちら>阿久根市長、人件費張り紙はがした職員を懲戒免 阿久根対立 ニュース特集 九州発 YOMIURI ONLINE(読売新聞)

記事から市長側の主張を引用してみる。

・竹原市長は「行財政改革を支持する市民に対する挑戦的な行為」と説明
・処分は地方公務員法29条の「職務上の義務に違反し、又は職務を怠った場合」「全体の奉仕者たるにふさわしくない非行のあった場合」に該当する、としている。
・竹原市長は「人件費削減を公約としており、張り紙は公約実現の手段の一つとして行った。職員から提出された顛末(てんまつ)書にも反省は見られない」と説明。「市役所の指揮、命令機能の危機的状況を明らかにした。事件の重大性にかんがみ、処分することにした」と述べた。

言ってることが、どうもヘンなんですよね。


この問題についてはいくつかの論点があるかと思うが、勝手に挙げてみるよ。

①張り紙の正当性の根拠について

竹原市長曰く、「行財政改革支持の市民に対する挑戦的行為」「人件費削減という公約実現の手段」ということらしい。まずやるべきことは、竹原市長の言い分が本当に正当性のあるものであるか、ということを、市長側が立論するべきである。

例えば、「人件費の張り紙を市民が希望している」とか、「張り紙をすれば公約が実現できる」といった、具体的正当性を説明できなければならないはずである。だからこそ、市長の職務命令ということになるわけで。

具体例としては、
 ア)行財政改革支持の市民は張り紙を実行することを支持している
 イ)人件費金額を書いた張り紙によって人件費削減の公約が実現できる
といった事実を、竹原市長が説明できればいいのである。

個人的予想では、恐らくア)もイ)も、立証できないだろうと思いますね。
ア)についてであるが、市民にそうしたアンケートを行った実績はあるか、あるなら示せるはずだが、多分ないだろう。また、多数の市民が張り紙を希望します、といった意見を市役所に寄せていた、などの実態はあったのか?というと、多分ないだろう。あるなら、どれくらいの数の市民が「張り紙をしてくれ」と希望していたか、ということを示せばよい。
次のイ)についてであるが、竹原市長の公約が人件費削減であるとして、張り紙をするとそれが達成されるのであろうか?人件費総額を書いた紙を壁に張るだけで、アラ不思議と人件費が減るという効果を実証せねばなるまい。
参考までに、市の財政についてなのだから、市職員側の抵抗というのはあるだろうけれども、本質的には「市議会」での予算可決という基本的手続を経なければ実現できないのではないかと思料するが、いかがであろうか。市議会が可決する、という手続が本質なのであって、その達成の為にこの張り紙が一体全体どういった効果を生むというのであろうか?竹原市長ならば、説明ができることであろう。外見的に見る限りにおいては、単なる職員への嫌がらせとしか見えないが。何故張り紙が市議会での可決に繋がるのか、甚だ疑問である。


②張り紙を剥がす行為が、地方公務員法第29条2号ないし3号規定に該当するか

張り紙そのものの正当性は立証されてはないものの、とりあえず、今度は行為を見てみる。

○地方公務員法 第29条
職員が次の各号の一に該当する場合においては、これに対し懲戒処分として戒告、減給、停職又は免職の処分をすることができる。
一  この法律若しくは第五十七条に規定する特例を定めた法律又はこれに基く条例、地方公共団体の規則若しくは地方公共団体の機関の定める規程に違反した場合
二  職務上の義務に違反し、又は職務を怠つた場合
三  全体の奉仕者たるにふさわしくない非行のあつた場合


さて、剥がすという行為自体が、職務義務違反、職務懈怠、非行行為、のいずれかの要件を構成しているかどうか、ということである。
・職務上の上司は、そうした要件を構成しているという判断を下さなかった
・賞罰委員会においても、該当しているという評価にはならなかった
これが事実である。社会通念上では、そのように判断されるであろう、ということである。判断が異なっているのは、これまでのところ竹原市長だけである。

例えば洗面台の前に「手を洗つて」という張り紙(笑、映画『県庁の星』に出てきたヤツだな)をするよう、市長が命じた場合、これを剥がせば「義務違反」「職務懈怠」「非行行為」とされる、ということになるわけである。何という恐怖の職場なのか。
竹原市長は、独自の論理を用いてでも(笑)、これら要件に該当するということを立証できねばならない。そうでなければ処分できないからである。懲戒免職事由に該当するということを立論できなければならない、ということである。

普通に見れば、懲戒免職事由に該当するとは到底考えられない。
むしろ、懲戒権濫用である。任命権者の裁量権を大きく逸脱していると言わねばなるまい。現に、賞罰委員会は市長に意見を述べているわけであって、処分程度についての社会通念上の判断を示しているわけである。これを敢えて無視してまで、竹原市長独自の判断によって懲戒免職処分としたわけであるから、訴訟で敗訴した場合には当然のことながら損害賠償請求を食らってしまう可能性はあるであろう。処分取消訴訟だけではなく、精神的苦痛を与えられたということで損害賠償請求も可能であろう。

張り紙を剥がしただけで、懲戒免職処分というのは、どう見てもおかしい。少なくとも、例えば元通りに回復しなさい、などといった他の職務命令を取りえるわけだし、市長の命令には従うようにという注意を幾度か与えるなどの改善努力をするのが懲戒権発動前に求められるだろう。それらの改善努力を行った形跡もないのに、突如として懲戒免職というのは濫用と言わざるを得ない。普通の会社であっても、懲戒解雇に至るには幾度かの注意や改善努力を行った上で、それでもなお改善が見られず当人にもその意思がないというのが明らかであれば、解雇処分も止むを得ないということになるのだから。そういう過程を一切飛ばして、たとえば一度命令に背いたという理由だけで「ハイ、お前はクビな、解雇だから、会社に来なくていいぞ」などとやったら、不当解雇認定されること請け合いである。


③職員側から見た張り紙

かねてより、職員間では張り紙について、極めて不評であり強いて言えばストレッサーとなっていたであろうことは窺われるわけである。それより前にも、ネットのブログ上で個人の給与明細公開を独断で行っているので、度重なる嫌がらせとしか思えない、という評価は十分に考えられるであろう。

張り紙の正当性が立証されない上に、効果もなく、公約実現にも役立たないものであれば、単なる「便所の張り紙」との違いはないようにも思われる。また、職場の環境として見てみると、張り紙があることにより、かえって能率低下や萎縮を招いている、という当該職員の指摘は頷けるものである。もし裁判になったりする場合には、他の職員の証言も必要になるだろうが、張り紙によって「多大なストレスを感じた」とか、「職務に当たって訪問者の目が気になり集中できなくなった」とか、「作業効率が低下した」というようなことが多数出されるなら、処分を受けた職員だけの問題ではなかった、ということが明らかにできるだろう。

そもそも守るべき法として、労働基準法がある。

○労働基準法 第42条  
労働者の安全及び衛生に関しては、労働安全衛生法 (昭和四十七年法律第五十七号)の定めるところによる。

つまり、職場環境については労働安全衛生法を見よ、ということですな。これは公務員であろうと遵守義務があるのである。更には、

○労働基準法 第112条  
この法律及びこの法律に基いて発する命令は、国、都道府県、市町村その他これに準ずべきものについても適用あるものとする。

とあるので、原則的には適用除外とはなっていないのだ。よく公務員は労働基準法等の法令適用が外れている、ということが言われたりするが、部分的に適用除外規定はあるものの、基本的には適用されているのである。

今度は労働安全衛生法を見てみる。

○労働安全衛生法 第71条の三  

厚生労働大臣は、前条の事業者が講ずべき快適な職場環境の形成のための措置に関して、その適切かつ有効な実施を図るため必要な指針を公表するものとする。
2  (以下略)

このように、指針を定めているのだ。で、指針はどうなっているかというと、次の通り。

安全衛生情報センター 事業者が講ずべき快適な職場環境の形成のための措置に関する指針

(以下に一部引用)

労働安全衛生法(昭和47年法律第57号)第71条の3第1項の規定に基づき、事業者が講ずべき快適な職場環境の形成のための措置に関する指針を次のとおり定めたので、同項の規定に基づき公表する。
 (中略)
第3 快適な職場環境の形成のための措置の実施に関し、考慮すべき事項
1(略)

2 労働者の意見の反映
職場環境の影響を最も受けるのは、その職場で働く労働者であることにかんがみ、快適な職場環境の形成のための措置の実施に関し、例えば安全衛生委員会を活用する等により、その職場で働く労働者の意見ができるだけ反映されるよう必要な措置を講ずること。

3 個人差への配慮
労働者が作業をするに当たっての温度、照明等の職場の環境条件についての感じ方や作業から受ける心身の負担についての感じ方等には、その労働者の年齢等による差を始めとして個人差があることから、そのような個人差を考慮して必要な措置を講ずること。

4 潤いへの配慮
職場は、仕事の場として効率性や機能性が求められることは言うまでもないが、同時に、労働者が一定の時間を過ごしてそこで働くものであることから、生活の場としての潤いを持たせ、緊張をほぐすよう配慮すること。

=====

ここにある通りである。
労働者の意見をできるだけ反映せよ、という措置は講じられたか?
心身の負担についての感じ方、その個人差などに配慮はあったのか?
生活の場としての潤いや緊張をほぐす配慮はどうだったのか?

少なくとも、竹原市長にはそうした視点は一切ないであろう。職員は軍隊式の絶対命令服従主義、とでも思っているのであろうか。旧日本軍のワケのわからん上官みたいなのを思い起こすよ。

別な見方として、当該職員の剥がした行為についてである。
一応、竹原市長が在職中には剥がしていなかった、市長選に入るので剥がした、ということらしい。で、市長が再び当選して戻ってきてみると、「誰が剥がしたんだ」という話になったわけで、市長退任後に剥がす行為は職務命令に違反するのか、ということもある。だったら、前任者のやったことや命令は永続することになってしまい、それらを止めると全て懲戒免職に該当するとでも言うのか?
職場環境改善の為に行った行為であるなら、別に問題とも思われないが。
市長の指摘する「顛末書でも反省が見られない」というのは、あくまで主観的評価であって、それをもって処分というのも問題であると思われるが。何らかの客観性が保たれているわけでもないなら、「お前は反省してないだろ」と一方的に責めることが可能になってしまうよ。どんな労働者であろうと、自分が気に入らない相手には「お前は反省してないな」ということで、いくらでも首切りできるということになってしまう。そういう恣意性みたいなものは、権限行使のできる側に制限が課せられないと裁量権濫用ということになるわけで。


結局、張り紙自体の正当性とか根拠が疑問、剥がす行為が懲戒免職事由に該当するという判断が疑問、労働安全衛生法上の職場環境の措置としても疑問、ということで、裁判所の懲戒免職停止決定は当然ではないかな。
職場復帰を意図的に妨げるというのも、不利益処分に該当するだろうと思うので、違法認定してもらえばいいのではないか。


首長は独裁者ではないぞ。
これに類する首長はいるような気もするが、限度というものがあるだろう。




JALの企業年金は減額できるか?

2009年10月30日 16時18分23秒 | 法関係
これまでにも、何度も書いてきた通りに、拙ブログの結論としては「減額できる」というものである。
日本の法学関係者?なのか、一部弁護士の解説なのか不明であるが、どうも「でまかせ」的な解説が広まっているようであるが、それは誰に聞いたのか?本当なのだろうか?
法科大学院の惨状が指摘されている昨今、法学教育が心配ですな。

あくまで法学素人の私見であるが、書いてみる。

ありがちな解説、よく流通している説がこれ>日本航空:再建問題 年金が焦点 積み立て不足3314億円、再建を左右 - 毎日jp毎日新聞

(以下に一部引用)

企業年金は賃金の後払いの性格があるため、受給権は強力に保護されている。法的整理の場合も、強制的に減額が可能なのは破産だけで、民事再生法や会社更生法では減額されない可能性が高い。また、企業年金の解散は、確定給付型に移行した日航では事実上困難。こうした事情から、政府内の一部には年金受給額を強制減額する特別立法を模索する動きもあるが、財産権の侵害になりかねないため慎重論が強い。
=====


このような解説がマスコミに大体行き渡っているわけです。他の新聞なんかでも似たようなものなんですね。これは、一体どこの誰が言ったのですか?
もし専門家がそう述べたとか、解説したということなら、出典を明らかにしてもらいたいもんですね。
日航の年金は、どうやら確定給付型企業年金ということらしいです。これについて検討してみますから。

まあ、順に見てゆくことにするよ。


(1)確定給付型企業年金は減額不可能か?

いいえ、減額可能です。
ただ、それには一定の条件が課されているのであって、その条件のクリアは「ハードルが低いものではない」というだけです。これは、労働条件変更にほぼ準ずる性格のものとして考えられているからであろうと思われます。確定給付型企業年金は一部労働対価という観念が存在している為であろうと思われます。具体的には、法の定めによる、ということになります。

確定給付企業年金法第6条で規約変更の規定があり、同施行令に次の規定があります。


確定給付企業年金法施行令(平成十三年十二月二十一日政令第四百二十四号)
○第4条

二 加入者等の確定給付企業年金の給付(以下「給付」という。)の額を減額することを内容とする確定給付企業年金に係る規約(以下「規約」という。)の変更をしようとするときは、当該規約の変更の承認の申請が、当該規約の変更をしなければ確定給付企業年金の事業の継続が困難となることその他の厚生労働省令で定める理由がある場合において、厚生労働省令で定める手続を経て行われるものであること。


つまり、決められた手続に則り規約変更して厚生労働省に承認されると、減額変更は可能である、ということです。具体的には、同施行規則にあります。


確定給付企業年金法施行規則(平成十四年三月五日厚生労働省令第二十二号)

○第5条  
令第四条第二号 の厚生労働省令で定める理由は、次のとおりとする。ただし、加入者である受給権者(給付を受ける権利(以下「受給権」という。)を有する者をいう。以下同じ。)及び加入者であった者(以下「受給権者等」という。)の給付(加入者である受給権者にあっては、当該受給権に係る給付に限る。)の額を減額する場合にあっては、第二号及び第三号に掲げる理由とする。

一  確定給付企業年金を実施する厚生年金適用事業所(以下「実施事業所」という。)において労働協約等が変更され、その変更に基づき給付の設計の見直しを行う必要があること。

二  実施事業所の経営の状況が悪化したことにより、給付の額を減額することがやむを得ないこと。

三  給付の額を減額しなければ、掛金の額が大幅に上昇し、事業主が掛金を拠出することが困難になると見込まれるため、給付の額を減額することがやむを得ないこと。

(以下略)


日航の場合には、上記各号に適合すると考えるのは十分可能です。特に、経営破綻危機状況ですので2号規定は問題なく、給付水準を保つとすれば職員の大量リストラで掛金の大幅上昇の可能性が高いので3号も要件に該当します。なので、減額理由の合理性は十分と考えてよいと思います。

また、手続は、同6条に規定されています。


○第六条  
令第四条第二号 の厚生労働省令で定める手続は、次のとおりとする。

一  規約の変更についての次の同意を得ること。

イ 加入者(給付の額の減額に係る受給権者を除く。以下この号及び次項において同じ。)の三分の一以上で組織する労働組合があるときは、当該労働組合の同意

ロ 加入者の三分の二以上の同意(ただし、加入者の三分の二以上で組織する労働組合があるときは、当該労働組合の同意をもって、これに代えることができる。)

二  受給権者等の給付の額を減額する場合にあっては、次に掲げる手続を経ること。

イ 給付の額の減額について、受給権者等の三分の二以上の同意を得ること。

ロ 受給権者等のうち希望する者に対し、給付の額の減額に係る規約の変更が効力を有することとなる日を法第六十条第三項 に規定する事業年度の末日とみなし、かつ、当該規約の変更による給付の額の減額がないものとして同項 の規定に基づき算定した当該受給権者等に係る最低積立基準額を一時金として支給することその他の当該最低積立基準額が確保される措置を講じていること。


つまり、1号規定では規約変更同意の条件(加入者or労組)、2号規定では「受給権者等の3分の2」ルールと更には最低積立基準額確保の措置、といったことです。これらが満たされていれば、減額は可能、ということです。今から別な法律を立法せずとも、現行法内でも減額可能ということです。
これら施行令及び施行規則以外には、実務上のガイドライン的な行政側の疑義解釈としては、「年発第0329008号(H14.3.29)」や「年発0530001号(H15.5.30)」などがあります(所謂「通知」というやつですな)。

ですので、確定給付企業年金であっても減額は可能です。ただし、JALの場合には、最後の規約変更が08年に行われており、その前にも代行返上やJASとの合併などの変更が度重なってきているので、またか、という面は否めません。上記厚労省通知では、概ね5年以上経過してから変更しろよ、という文言があるので厚労省側が「規約変更は認められません、ガイドラインに反するから」と拒否すれば変更できなくなります。しかし、これは絶対的な基準でもなく法でもないので、実務上の留意点ということで今回の特例的取扱いということにすれば、変更は可能です。

これには、加入者及び受給権者の同意が欠かせないのは当然なのですけれどもね。これは次項以降でも触れたいと思います。


(2)会社更生法適用でも、既受給者の年金は守られるのか?

いいえ、必ずしもそうではありません。
確定給付企業年金は「給与の一部である」、とか「退職金の一部である」といった主張があり、仮にそれを認めたとしても、「全額が保護されているということにはなりません」。

毎日新聞の記事にあったような、「強力に保護されている」ということにはなりません。保護されているには違いありませんが、強力かどうかは別問題です(笑)。ましてや、破産だけが減額可能で、「会社更生法では減額されない可能性が高い」ということになるかどうかは疑問でしょう。


結論から言えば、従業員給与の場合には「開始決定前6ヶ月分」が共益債権として保護されます。それを超過する部分は優先的更生債権です。開始決定前に退職した場合の未払退職金についても、「給与6ヶ月分か退職金の3分の1」の多い方が共益債権として保護されますが、それを超える部分は同じく優先的更生債権となります。
年金のような定期金も同じく、定期金の3分の1相当額が共益債権であり、それを超える部分は優先的更生債権となります。条文で確認してみますと、次の通り。


○会社更生法 第130条  

株式会社について更生手続開始の決定があった場合において、更生手続開始前六月間の当該株式会社の使用人の給料の請求権及び更生手続開始前の原因に基づいて生じた当該株式会社の使用人の身元保証金の返還請求権は、共益債権とする。

2  前項に規定する場合において、更生計画認可の決定前に退職した当該株式会社の使用人の退職手当の請求権は、退職前六月間の給料の総額に相当する額又はその退職手当の額の三分の一に相当する額のいずれか多い額を共益債権とする。

3  前項の退職手当の請求権で定期金債権であるものは、同項の規定にかかわらず、各期における定期金につき、その額の三分の一に相当する額を共益債権とする。

4  前二項の規定は、第百二十七条の規定により共益債権とされる退職手当の請求権については、適用しない。

5  第一項に規定する場合において、更生手続開始前の原因に基づいて生じた当該株式会社の使用人の預り金の返還請求権は、更生手続開始前六月間の給料の総額に相当する額又はその預り金の額の三分の一に相当する額のいずれか多い額を共益債権とする。


この共益債権というのは、他の更生債権や取引債権などに優先して払われますから、この部分だけは「強力に保護されている」と考えられますけれども、受給権全体の3分の1ですとか給与6か月分という額に留まるので、債権額全てが受給権者に与えられるわけではありません。

では、超過部分が他の一般更生債権と同列かというと、議論の分かれる余地はあるかもしれませんが、あくまで更生計画の範囲内ということになりますから、全額が保護されるかどうかは判りません。他の債権者や額とのバランスということになるかと思われます。先取特権として、民法上で規定があります。

○民法 第306条  
次に掲げる原因によって生じた債権を有する者は、債務者の総財産について先取特権を有する。

一  共益の費用
二  雇用関係
三  葬式の費用
四  日用品の供給

○民法 第308条  
雇用関係の先取特権は、給料その他債務者と使用人との間の雇用関係に基づいて生じた債権について存在する。


これが、他の債権に優先するよ、という主張の根拠となっているのかもしれませんが、雇用(労働)債権があるとしても、それが更生計画によって権利変更を受けることがない、ということにはならないでしょう。現に、会社更生法上では他に優先される共益債権といえども、按分になってしまう場合はあるわけで。


○会社更生法 第133条  
更生会社財産が共益債権の総額を弁済するのに足りないことが明らかになった場合における共益債権の弁済は、法令に定める優先権にかかわらず、債権額の割合による。ただし、共益債権について存する留置権、特別の先取特権、質権及び抵当権の効力を妨げない。


なお、民事再生法適用であると、一般優先債権として年金受給権が扱われる可能性はあるでしょう。会社更生法上では必ずしも確定給付企業年金の受給権が特別に強力な保護を受けているとは考えにくいでしょう。あるのは、一部だけです。

もし年金減額や規約改正に応じない、ということになれば、自動的に破綻処理へと移行させるよりなく、会社更生法なり破産法適用ということになると、現在の債権額よりも小さな債権額しか保護されない可能性があります。共益債権となるのは、一部分だけですので。他の部分は更生債権になってしまう為、受給権者たちが回収できる額ははるかに小さくなってしまう可能性があります。
(厚生年金基金であれば租税債権といった考え方がありますが、これが適格企業年金のような場合で退職金や給与の一部を構成していないようなものであると、一般更生債権と同じ扱いになってしまうことも考えられるのです。企業年金は制度間の違いなどによって、一概には言えない部分はあるようです。)


年金減額訴訟はいくつかあり、早大の減額訴訟では妥当、という判決になったようですね。

年金減額訴訟:早大元教職員ら逆転敗訴 東京高裁 - 毎日jp毎日新聞



鶴の恩返し~その3

2009年10月29日 20時08分00秒 | 政治って?
結局のところ、「JAL再生タスクフォース」の法的根拠はどうなったんでしょうか?(笑)
彼らの権限は何に基づくもので、根拠法は何でしたか?

日本航空の出した自主再建計画案を、前原大臣は「白紙撤回」として突っぱねましたよね?
では、代わりに何の大臣権限を発動したのですか?

復習がてら、もう一度タスクフォースの設置について見てみましょうか。
国土交通省の発表は次の通り(便宜的に、ア~エを割り振っています)。


・再生計画は、日本航空が自主再建を図るための計画であり、日本航空自らが策定し実行する(ア)。
・日本航空は、再生計画策定のために、新たに、本タスクフォースが妥当と認めた外部専門家と、日本航空の社内スタッフを選定する(イ)。
・日本航空は、本タスクフォースの直接の指導・助言のもとで、再生計画立案のための調査と策定作業を行う(ウ)。
・国土交通大臣は、上述の手順を経て提出された再生計画案について、日本政策投資銀行及び関係民間金融機関の意見聴取を行い、本タスクフォースによる妥当性評価報告を受けた上で、再生計画の妥当性の確認を行い、その実行について日本航空を指導・監督する(エ)。

国土交通大臣とタスクフォースは、何の、どういった根拠で「指導・助言」とか、「指導・監督」といった権限行使を行うのでしょうか?
元々は(ア)にあるように、日航側の自由意思でもって再建計画策定とそれを実施する、ということなら、国交大臣権限なんて何もないと思いますけど。

6月に資金投入が決まったのは、前政権下であったわけですが、所謂危機対応融資の枠組みか何かだったのではないでしょうか。
そもそも本タスクフォースは如何なる法の根拠でもって、日本航空とかその他銀行等にも意見聴取や命令だか指示だかを行っていたのか、というのが全く不透明。

企業再生支援機構を使う、ということでならば、支援機構に事前相談が必要ということになりますわな。
因みに、機構の案内によれば、

『事前相談の段階で企業名等を公表することは一切ありません』

って書かれていましたけれども、JALは思いっきりバレバレにされてしまいましたけれども。おかしくないですか?(笑)

タスクフォースのヤツラが、どの法を使うか、救済の枠組みをどうするか、みたいなことが判ってないなら、はじめっから「非公式協議」という形をとって、日航側の申出に応じて調整しています、というのが当たり前なんじゃないのか?
企業再生支援機構を利用する場合でも、事前相談というのは厳密に言えば非公式な協議なので、いきなり国交大臣が登場してくるというのはちょっとおかしい。最初から機構の利用が判らなかったから、というのがあるとしても、それなら尚更「将来の不確実性」というのがあるのだから、慎重さが必要だったであろう。


前原大臣が白紙にした日航側の再建計画案は、何に基づく申請だったのかが気になるな。
もしも「産業活力の再生及び産業活動の革新に関する特別措置法」ということであったのであれば、所管大臣の権限というのはあることにはあるが、これも特定事業活動として産業革新機構の利用ということを考える、ということになるだろうか。正しい略称が法令検索には出てなかったので判らんのですが、とりあえず「産業活力再生特措法」と短めにしてみるよ。

○産業活力再生特措法 第2条第14項

この法律において「特定事業活動」とは、自らの経営資源以外の経営資源を活用し、高い生産性が見込まれる事業を行うこと又は新たな事業の開拓を行うことを目指した事業活動及び当該事業活動を支援する事業活動をいう。

他にも色々な場合(事業再構築とか)があるが、特定事業活動の支援ということであれば、やれないことはないのかもしれないが、これは経済産業省の色が濃いということになるので、イマイチ賛同が得られなかったということなのかな?
あと、再生ADRとか利用といっても、政府が金を出すか保証を付けるという枠組みがない、ということで、これも頓挫したわけだ。

で、結局、企業再生支援機構を利用するしか残った手がない、ということに行き着いたんじゃないですかね。
マヌケだな。


条文を見てみると、次の通り。


○株式会社企業再生支援機構法 第25条
(前略)

7  機構は、再生支援をするかどうかを決定しようとするときは、あらかじめ、主務大臣にその旨を通知し、相当の期間を定めて、意見を述べる機会を与えなければならない。

8  主務大臣は、前項の規定による通知を受けたときは、遅滞なく、その内容を事業所管大臣及び第六十一条に規定する場合における同条の各省各庁の長(次項において「事業所管大臣等」という。)に通知するものとする。

9  事業所管大臣等は、前項の規定による通知を受けた場合において、過剰供給構造(供給能力が需要に照らし著しく過剰であり、かつ、その状態が長期にわたり継続することが見込まれる事業分野の状態をいう。)その他の当該事業者の属する事業分野の実態を考慮して必要があると認めるときは、第七項の期間内に、機構に対して意見を述べることができる。


ここから判ることは、国土交通大臣は事業所管大臣としての権限は行使可能であるが、それは支援決定前に主務大臣に通知、それが事業所管大臣に通知(まるで伝言ゲームだな、笑)され、そこで初めて国交大臣が意見を述べる機会が生ずる、ということである。

なので、

機構に事前相談
→主務大臣に通知
→事業所管大臣に通知
→事業所管大臣は意見を機構に述べる

ということだ。
日航や銀行団などが機構に事前相談する前なのに、どうして事業所管大臣が色々と口出しをするのか、という話になるわな。ましてや、タスクフォースの連中なんて単なる部外者でしかない。

上記(エ)の国交大臣が指導監督を行う、みたいな話って、一体何に基づくものを想定していたんでしょうか?


因みに主務大臣というのは、原則的には、総理、総務大臣、財務大臣、経産大臣の4名(部分的に厚生労働大臣も含め5名)、ということになってるわけだ。どこに国土交通大臣が入っているのか?(笑)
しかも、企業再生支援機構の設置関係の事務が内閣府に置かれていたことで判るように、総務大臣、財務大臣、経済産業大臣というのは関与してはいるものの、実質的なモロモロ関係は内閣府でやるってなことになってたわけで。総理が主務なんだけど、これは実質的に金融庁担当大臣へとなってるわけだ。つまりは、亀井さん。こんなところにも、亀井大臣の強権が関与してしまうわけだ(笑)。

なので、企業再生支援機構を使おうと考えていたのであれば、真っ先に前原大臣の所などではなく、亀井大臣の下へと急がねばならなかった、というわけです。

これは、条文上でも明らかなんですよ。

○第58条

この法律における主務大臣は、内閣総理大臣、総務大臣、財務大臣及び経済産業大臣とする。ただし、第二十四条、第二十五条第七項、第八項及び第十項、第二十八条第四項、第三十一条第二項、第三十三条第一項及び第二項、第四十五条並びに第四十六条第一項に規定する主務大臣は、内閣総理大臣、総務大臣、財務大臣、厚生労働大臣及び経済産業大臣とする。

2  第四十六条第一項に規定する主務大臣の権限は、前項ただし書の規定にかかわらず、内閣総理大臣、総務大臣、財務大臣、厚生労働大臣又は経済産業大臣がそれぞれ単独に行使することを妨げない。

3  この法律における主務省令は、内閣府令・総務省令・財務省令・経済産業省令とする。


○第59条  内閣総理大臣は、前章の規定による権限を金融庁長官に委任する。


ほらね。
だとすると、前原大臣は一体全体、何の権限で日航に介入していったのか、タスクフォースの面々は何を根拠に日航内部の社長解任を求めるとか帳簿類をひっくり返してたりしたのか、説明をするべきだろうね。


あの、中間報告みたいな報道にあったのは、一体何だったんでしょうか?

もの忘れの酷い大臣やタスクフォースの連中の為に、再掲しておきますか?



【日航、新再建計画のポイント】

 一、2500億円超の債権放棄を主力銀行に要請

 一、公的資金と民間出資で約1500億円の資本増強を実施

 一、人員削減を9千人超に拡大

 一、西松遥社長は退任。最高経営責任者(CEO)は外部から招き、最高執行責任者(COO)は日本航空内部から昇格させる

 一、3千億円超の新規融資を要請

 一、企業年金関連債務を1千億円に圧縮する


で、高木と冨山が役員入りでしたか?(笑)


参考記事:

鶴の恩返し~その2

混迷するJAL問題~前原大臣の”逆噴射”



グー・チョキ・パー国防論~3

2009年10月29日 12時28分29秒 | 防衛問題
旧来の考え方に凝り固まる人たちは、どうして比較検討ということをしないのか不思議だな。まあ、それがごく普通のことなんだろうけど。そうであれば、戦争に変化はやってこないわな。同じ戦闘が続くだけ。

現代においてでさえ、騎馬武者は殺傷力がそれなりにあるよ(笑)。
列車砲だって、破壊力を持つよ。


「~~ができる」というのは保有の正当化にはならない、ってことの意味が、本当に判ってないな。有限の金なり資源なりを割り当てるのだから、それをどう有効に使うか、という話をしない限り、「戦車にはこんな性能があります」「過去の戦いではこんなことがありました」という、単発の事実の指摘だけを並べても、それは事実であっても「正当化の理由」とはなり得ない。それとも、高速鉄道網を生かした巨大列車砲でもつくるか?(笑)


ブコメにもあったが、過去の実戦で成果を上げた方策を重視、というのが一番考えなくていい楽な方法だな。常に、過去にだけ囚われてしまうということだ。

発想が違い過ぎるな。
現代戦、或いは近未来戦で最も重視するのは、情報である。一番判りやすいのは、「見えるか見えないか」というのが決定的違いを生む、ということだ。敵戦車が上陸して、民間人だろうと殺戮だけを目的としてやってくるなら、もっと簡単に空爆なり巡航ミサイルなり、容易な方法はいくらでも選べるのである。敵戦車は現代において、多くの場合にそういう目的を持ってやってきたりはしない。戦車必要論を説く連中の言い分では、歩兵戦力あぶり出しの為に来るということだそうだ。歩兵部隊が戦車を守り、戦車は歩兵部隊を守る、という発想なのだ。

これが今後の戦闘に本当に役立つかどうか、ということは考えられていない。


当方の主張としては、防衛戦で最も重視すべきは、こちら側が「見える」けれども、敵には「見えない」という状況を常に作れるようにすべし、ということである。特に市街地戦のような障害物の多い地形では、敵側に見える、というのが難しい局面は多いだろう。

はっきり言って、ロシア軍みたいに、ビルやビル街のブロック毎に、建物をまるごと破壊とか殲滅掃討作戦をとりつつ前進しようなんていう、気の遠くなるような作戦を考えている時点で、甚だ疑問なのだ。

戦車最強だか言ってる連中は、見えている、というのが、どういう意味なのか考えていないのではないか。
敵には見えず、こっちが見えている、というのは、ほぼ100%で必勝なんだわ。米軍がイラク戦争などで圧倒的であったのは、米側には丸見えなのに、イラク軍側には見えない、ということで、一方的にやられるに決まっているのだ。つまり、見えるか見えないか、というのが勝敗をほぼ分ける、ということになる。だから、敵側にはこっちの正体が見えず、こっちからは見えている、というのが、断然有利になるに決まっているのである。

想像力に乏しい人たちは、戦争というと歩兵とか戦車とか、そういう「固定観念」に囚われて掃討作戦をやってくるだろう。その為には戦車が必要なんだ、みたいな発想だし。しかし、倒すべき相手が、どうして「人間の形」をしていなければならないのか?何故、「戦車」のような戦闘車両の形状でなければならないのか?敵側がそういう形状のものを捜索しているのであれば、全然違う形のものを用意しておけばいい、ということだろ(笑)。

それは、案山子でもいいし、信号機でも郵便ポストでもいい、ということなのではないのか?(笑)
何故、生身の人間が最前線の弾丸飛び交う中に晒されて戦わねばならない?そんな決まりでもあるのか?

判ってないな。
防衛側は、そんな戦闘を選択する必要性なんて、必ずしもないんだよ。別に、案山子を配備しておいたって、全然かまいやしないじゃないか。何故、自動車爆弾が有効で、イラク戦争やパキスタンやアフガンでも使われたかというと、「戦車の形をしていないから」だろ(笑)。つまり、自動車というありふれた形をしているから、だろ。で、テロ側には「見えている」けれども、米軍には「敵が見えないから」殺傷力を発揮するのだろ。人間の自爆テロでも同じ。これはごく当たり前のことなんだって。

だから、

防衛側:見えている
侵攻側:見えない

という状況を常に生み出せるような方法が望ましいんだ、って言ってるの。
侵攻側が戦車+歩兵でやってきたとして、こっちに「探し出すべき戦車や歩兵」を簡単に見つけられなかったとしたら?戦車なんてそんなに持ってないよ、とか、普通の「歩兵の容姿」をしてないよ、とかだったら、発見が困難になるだろう?

つまり、敵を倒すべき兵器の形状なんかは、別に戦車である必然性なんかないの。機関銃を発射できる装置にしても、郵便ポストみたいに置かれていたとしても、火点が直ぐに発見されないようにできるなら簡単には排除されないんじゃないのか?狙撃手だって、狙撃側からは見えているけれども、標的側からは見えない、だからこそ、意味があるわけで。

なので、対戦車兵器はごく普通の乗用車が運搬体であるとしても、それが市街地なりに設置されていたら、相手側に発見されない限り、十分有効なんだって。自動車爆弾と基本原理は同じだろ。こちらが迫撃砲であったとしても、一方的に敵が見えている状況下では、圧倒的に有利。

掃討作戦とかは、敵が簡単には見えないからこそ行われる作業なので、侵攻側は大変なんだろうと思うよ。
だが、防衛側としては、既に存在する市街地のカメラとか、簡易設置可能な設備や装置なんかを利用可能なので、見える状況を作るのは比較的容易と考えられる。そういう戦い考えるならば、案山子型だろうと、自動車型だろうと、ビルの清掃ゴンドラ型であろうと、攻撃兵器+遠隔操作機器のような組み合わせで、敵に直ぐには発見され難く攻撃の成功可能性を高めることは可能である。敵側はいちいちそれらトラップ設置を全て除去しなければならない、ということになるからね。まして、攻撃兵器ではなくカメラ類やセンサー類ということになると、発見そのものが困難になってゆくだろう。そうなると、どこを戦場としても、こちらが見えるけれど、相手側には見えない状況を生み出せる可能性は高まるはずである。


こちら側以上に相手側が見えているとすれば、戦車があろうとなかろうとほぼ関係ないだろうね。一方的に破壊されるだけ。戦車の威力が発揮される場面なんてやって来ない(笑)。
歩兵がいきなり全廃できる、とか、そうはならないに決まっているけれども、戦車の重要度は下がるであろう、というのが将来的予測である。


戦車が他の○○よりも優先して必要だ、ということの説得的意見はこれまでのところ皆無であるな。



あなたには言われたくない~by 鳩山総理

2009年10月28日 19時19分34秒 | 政治って?
鳩山総理と民主党の論理は、「あなたが悪かったから、こちらもうまくできないんだ」というようなものだ。

何と愚かな大人なのだろうか。
こうした幼稚な言い回しを平気で用いる総理もそうだが、原稿に文字を起こす周囲の人間の程度が低すぎる。


「自公政権がうまくできなかった」から、国民は政権交代を求め、民主党に「じゃあ、代わりにうまくやってくれよ」ということなのではないのか?

皮肉を言うにしても、それは後に続く「責任ある回答」があることは最低限の前提ではないのか?答えることができもしないのに、皮肉だけ一丁前に言うネット上の釣り師なんかを見かけるが、そういうのと一緒なのはないのか?

答えられないのなら、そう言えばいいのに(笑)。


民主党の答えによく見られるのは、自民から「きちんと出来てないじゃないか」というように言われると、「何をおっしゃいます、あなた方だって出来てなかったよ、我々と同じじゃないか(=同じあなたには言われたくない)」みたいな言い草だな。

何、バカなこと言ってんだ。
そんなんじゃ、永遠に進歩がないじゃないか。アホか。


ある家があって、男には先妻がいたとしよう。先妻は、家計の切り盛りや家の運営、炊事、掃除、洗濯等々、うまくできてなかったとするか。別な女が、以前から「私だったら、もっとうまくできるわ、だから私と結婚して、できる自信があるもの」と言っていたんだ。
すると、ある時先妻さんは亡くなり、別な女にチャンスが巡ってきたわけだ。で、後妻として入ってみたら、事前に口で言っていた程には、全然うまくできなかった、というわけだ。

そのことを指摘されると、「あーら、前の奥さんだって、うまくできてなかったじゃないの、そんなのおんなじよ」と、悪びれもせずに自分ができてないことを棚に上げて、先妻の不備や欠点を笑っているのである。

だったら、自分がやればもっとうまくできる、とか豪語するんじゃない。
これも何度も言ってるが、できないんだ、ってことをまず認めろ。国民にもその説明をするべきだ。

こんな女が後妻で来たら、どうする?


うまくできないのは、何でもかんでも、先妻が悪かったからだ、ということで片付けようとする姿勢は、事前の自分の言動を全て否定するのと同じだ。
こんな社会人がいるか?
責任ある立場の人間が吐く言葉か?


料理が出来てないよ、掃除も不十分だよ、と指摘されたら、料理は○○を習得しこれこれこのように改善するよう努めます、とか、掃除が行き届かない部分はこうします、或いは外注のダスキンにも依頼します、とか、解決策について答えるのが筋だろ。

それが答えられないのは、稚拙な政権であり政策決定が予定通りにできてないからだ。幼稚な大人たち、ということ。



旧郵政官僚の復活劇?

2009年10月28日 00時21分27秒 | 政治って?
清水元局長が室長で復活とな。

郵政改革推進室長に清水氏=元総務官僚、小泉政権で更迭(時事通信) - Yahooニュース

(以下に一部引用)

清水氏は総務省郵政行政局長だった2005年5月、担当局長にもかかわらず、小泉純一郎首相(当時)が進めた郵政民営化に反対するよう一部議員に働き掛けたとして更迭された。07年に総務審議官を最後に総務省を辞職した後は、「ゆうちょ財団」理事長を26日まで務めていた。

=====

因みに、清水さんもモロに「渡り」なんじゃございませんの?(笑)
まあ、小泉政権時代の不遇を今になって少し取り戻してあげましょう、ということがあるのかもしれませんが、外見的にはちょっと理解できませんわね。鳩山さんが相当に説得的な説明をきちんとするか、それともかつての(例えば日銀総裁選びの時の武藤に×印)民主党の主張は行き過ぎたものだった、みたいな謝罪をするべきなんでは。これは、まあ、本題ではないからいいか。


かつて、清水郵政行政局長が更迭された時の話ね。

05年5月>総務省の内紛?

清水氏更迭後、鈴木康雄氏が局長就任となったが、直後にはこのタクシーチケット事件のタレコミってことですわな。しかもデムパ行政、じゃなかった、電気通信事業部長時代にNTTコミュから受領しちゃったらしい、ということだそうな。ま、NHKじゃないけど、タクシーチケットだとか、霞ヶ関の居酒屋タクシーだとか、色々と大都会は大変なんだね。これはまあいいけど、鈴木氏って、いつの間にか事務次官になってたのな(どこの誰なのか全く知らないし、無関係なんだけど)。旧郵政省出身で、かつてタスキ掛け人事の順番を飛ばされちゃって、日陰組というか冷や飯食いだった郵政官僚たちが、今は総務省内で続々復活してきた、っちゅうことですかね。


ちょっと前だけど、清水局長が更迭された事件のことを思い出して、記事に書いていたもんね。

コレ>郵政公社時代に遡れ

この中で次のように書いた。

『郵政選挙の少し前には、総務省官僚への極めて厳しい攻撃が行われたことがあった。
それは局長クラスの更迭だった。郵政行政局長と審議官の降格、配置転換が行われた。彼らが郵政族の手先だったとか、邪魔をする人たちだったのか、ということは、私には判らない。だが、総務省内部ではな何かが起こっていたのかもしれない。』

あの当時の更迭理由というのが、未だによく判らないんですよね。
倒閣運動に手を貸したからだ、みたいな、何かがあったんでしょうか?
発表された話からだけでは、事情というのが見えないんですね。後任の鈴木さんは、その後に事務次官まで登ってこれたわけですし、別に郵政省出身だからということで不遇だったかどうかは判りませんしね(小泉さんがいなくなったから事務次官になれた、という見方もできますか)。

05年のあの時期ですと、自民党内の総務会での紛糾が連休前にあったわけです。小泉さんがGW中には外遊に出るので、その前までに決着をつけておく必要があった、と。法案提出を間に合わせる為、ということですわな。この直前に、郵政族議員への働きかけとか、ご注進?とかがあったから、みたいな理由なんでしょうかね。当時の麻生総務大臣の頭越しで、官邸からの「更迭」決定ということだったはずなんですね。あの時、何があったのか?それが知りたいわけなんですよ。

自治―郵政―総務の事務次官ポストの順番が、05年当時には郵政省の番だったのを飛ばされてしまったんですから。その頃の局長人事が、この更迭事件だったんですから。総務省内部では何が起こっていたのか、それが気になるのです。

で、今回清水氏を復活させた理由というか、その意図が判らんのよね、これが。
誰のヒキで上がってきたのかな?、と。まさか、亀さん?
他の議員?官邸の誰か?デーンの人?
出世話とか、霞ヶ関の競争とか、全然関係ないし、別にいいんだけどさ。

まあ、郵政界隈には官僚の復活組といいますか、民主党的表現をすれば「渡り」部隊が続々と舞い戻ってきたようでございます(笑)。



グー・チョキ・パー国防論~2

2009年10月27日 13時30分59秒 | 防衛問題
新たに書かれたみたいなので、急遽書くことにした。

はてなブックマーク - なぜ日本に戦車が必要か?part2 日本の地形と戦車 - リアリズムと防衛を学ぶ


この前の続きです。

コレ>グー・チョキ・パー国防論


きっと何か画期的な説明が付けられるのではないかと思って期待してみたが、全然そんなことはなかった。何とか板、みたいなのにある「まとめ」的なものの域を出ていないのではないかな、とは思ったよ、見たことないけど。

一体何を解説しているかというと、端的に言えば「戦車は歩兵に勝てる」みたいなもんだな。要するに、グーはチョキに勝てる、という解説だけ。

そりゃあ、生身の歩兵よりは戦車の方が頑丈なんじゃないか?
一切役に立たない、なんてことは言ってないことが多いんじゃないかと思うけど。


いくつかの代表的意見について考えてみるよ。

①日本が戦車を配備しているだけで相手側の侵攻コストを上げる

その効果がどの程度なのか疑問だ、というのが当方の意見である。前回も書いたが、日本に戦車があってもなくても侵攻側が戦車を持ってくる、ということであるなら、相手側の侵攻コストは同じ。持ってくる量が変わる、ということはあるかもしれないが、それがどの程度の違いを生むのか、ということだな。

侵攻側の上陸作戦コストに比べて微々たる影響力しか持たない場合には、必須と考えるのは疑問である。
防衛側の歩兵戦力(=チョキ)に対抗する、ということで戦車(=グー)を用意するということであるなら、こっちに歩兵戦力(チョキ)がある限り持ってくる、ということだ。なので、侵攻側コストを上げるということには貢献しない、ということになる。


②戦車は歩兵の盾としての役割がある

「歩兵の盾」が敵の何に対してなのか、ということがあるだろう。主として敵の歩兵戦力からの攻撃に対して、盾の能力を必要とする、という場合であると、歩兵携行兵器に対抗できる程度の盾であればよい、ということになるので、例えば小銃弾や機関銃弾に耐えられる性能であればよい、ということになる。仮に、12.7mm機関銃程度の耐弾性を有していればよい、という程度であれば、装輪装甲車でも可能ではある。価格の問題はあると思うが、戦車ほどの値段にならないのであれば車両数を多く配備できるので、むしろ「盾の数」は増加させることが可能になる。これが有効ではないという場面は、これ以上の攻撃力を相手側が有している場合、ということになるが、その可能性はどれくらいあるか、ということである。

心理的な要因、という意見もあるようだが、自衛隊内の教育によって意識改革に取り組めばいいんじゃないのかな(笑)。敵側に戦車+歩兵で侵攻してくる可能性よりも非対称戦を主に考えるということであれば、なおのこと戦車よりも装甲車で数を補う方が有利であると考えるのが妥当ではないか。


③イラク戦争やグルジア紛争の防御側戦車はどうなったか

イラクもグルジア軍も戦車を持っていたが、結果的には航空支援のない戦車は敵側の航空機や誘導兵器の餌食にされたり、使えなくなったか乗り捨てで置き去りにされたみたいですけど。

稜線射撃云々という話も、侵攻側に航空支援が十分であると、主砲の威力を発揮する以前に航空機に攻撃されるのではないか。「戦車は○○ができる」という話って、別に保有の正当化の為にはあんまり役立たないと思うけど。そんなこと言うなら、「対戦車ミサイルは曲がることができる」というので十分、みたいな理屈になってしまうよ。

トーチカだか塹壕だか固定砲台化して使うというのも、最後の一兵まで立て籠もって戦う、というのであれば、まあやってみるという人がいるのかもしれませんが、本当にやるんでしょうか。現代版の硫黄島、ですか。日本全土で?
湾岸戦争のイラク軍戦車は、その多くが多国籍軍戦車と対決する以前に撃破されたらしい。埋めてもダメなものはダメだった、ということではないかな。

防御側が戦車を配備していても、それが単に「破壊目標とされる」ということ以上の効果があまり判りませんな。これが、戦車ではなく装甲車両であったならどう違うのでしょうか?大きく違わない場合であると、安上がりな装甲車両で済ます、というのは、選択肢として十分考えられるように思えます。


④将来性はどうなのか

日本は、少子高齢化が進展するのであるから、若年層の数というのは貴重になってくるわけである。そうすると、方向性としては、自衛隊員の「長寿化」を必要とする、ということになるだろう。また、隊員の確保は過去に比べて、一層困難が増す可能性は高くなるだろう、ということだ。

簡単に言うと、以前なら若い20代の隊員を順繰り入れ替えて隊の精強さを維持してきた、ということになるが、将来的には一人の隊員の錬度を上げて長期間任務に従事できるように考える必要がある、ということだ。20代の数年で除隊、というようなことではなく、50代まで従事してくれ、という方向に行く、ということである。
しかし、肉体的には50代なのだから、以前の20代の隊員と同じ働きを求めるのは困難になる。そこで、やはり戦闘の無人化・誘導化・ロボット化という方向へと進むだろう。器械操作や誘導といった任務であると、自分の肉体を直接的に酷使する必要性がなくなるので、熟練が活かせるし年齢の壁をある程度カバーすることが可能になるだろう。

そうなると、兵器の小型化や無人化が進むから、戦場での兵士の死亡はかなり少なくなってゆくだろう。特に侵攻側ではなく、防御側というのは無人化には向いていると思うのである。国内のインフラを防御側が利用できるからだ。

そういう点から考えても、衛星や小型偵察機、誘導技術、映像・画像とコンピュータとの連動、強力な通信技術、などの重要性が高まり、人的被害最小化を考えるなら無人化が促進されてゆくのではないか。主力は誘導兵器ということになるだろう。運搬体は、別に戦車じゃなくてもいい、ということだ。侵攻側にはもっと特殊な事情があるので(相手側の装備によるので)、すぐには廃れてはいかないだろうと思うけれども、大艦巨砲主義が消えていったようにいずれ必要度は大幅に低下してゆくだろう、と考えている。


今となっては、騎兵隊だって廃れたし、銃剣突撃だって行われてないよ。
戦車戦そのものがかなり少ないというのが現代戦ではないか。いや、ゼロじゃないけど。その「極めて少ないもの」に多額の費用をかけようという発想が、どうにも理解できんのだな。



頭の中が混乱

2009年10月26日 23時41分20秒 | 俺のそれ
いつも、かもしれないがw、いろいろとあって、うまく書けない。
時間も取れてないし。


関係ないけど、愚痴などを。

裁判所の判決文を全文掲載してないのは、どうしてなんだろうね。
下級裁判所も、高裁も、きっちり全文を掲載してくれ。

最高裁だけあっても、その前が出てないと、調べられないんだもの。
そんなに公開されて、批評に晒されるのがマズイ、ということなのか?

判決文をネット上に載せられない理由というものが、全く分からない。

法務省はこれを義務化すべきだろ。


ちょっと急いでるから、このへんで。




日本航空は再建されるか

2009年10月25日 15時09分31秒 | 政治って?
JAL再生タスクフォースのプランには疑義があるとか、彼らの窮状が見えてきたのではないか?

国土交通大臣の強権というのがあるにせよ、それは万能の神通力でも何でもないことくらい、どうしてJAL再生タスクフォースの連中には判らないんだろうね。それは、「他人の権力」をかさにきただけなんじゃないのか?(笑)

ま、いい。どうせ当てにはならないもんね。

とりあえず、個人的考え方を書いてみるから。


①企業年金の強制減額を特別立法で、というのは無理じゃないの?

今朝の新聞報道などにあったが、企業年金をこれから立法して強制的に減額させる、という大技を考えているらしい、ということのようだ。これは、本当に法律家とかプロが考えたことなんでしょうか?素人考えで申し訳ないが、普通には無理っぽいとは思いますわな。

事後的立法措置で、民間が運営する企業年金の変更が可能なのかどうかは、疑問の余地はあるかもしれない。
元々のJALの年金制度には、年金額の改廃規定が置かれていたのだとすると、これは有効と考えられる可能性はあるかもしれないが。ただ、国の立法で、「お前のところだけ、年金契約の内容について、このように変えろ」とするのは、違憲立法になってしまいかねないという主張も有り得るだろう。

松下の年金訴訟は幾度か取り上げたはずだよ>恩給・職域加算の減額は憲法違反か?その2

NTTの年金訴訟に関しての高裁判決がよく言われるが、あれは厚生労働省の決定が妥当かどうかを見るというものであって、年金を減額できないという判決ではないだろう(後で調べてみます)。

もし、年金債務が減額できなかった場合、

→銀行団は追加融資を拒否、既融資分についての債権回収
→政府保証債務も回収、新規政府保証不可

となるのは明白なので、納得してもらうよりないだろう。
年金減額に応じずに債務超過に陥らせ、年金受取が不可能になるのがいいか、年金減額に応じるか、どちらを選びますか、という話だな。現行法体系において、減額が不可能という判断には必ずしもならないのではないか、というのが私の見解(役に立つかどうかは不明ですけど)である。「年金が減額できない、ということはない」、たとえ3分の2以上の賛同を得るとか経営状況や経済環境といった条件が判例に倣って残されたとしても、クリア可能なものだ、ということです。

経営破綻を回避せずに年金受給権を法的に優先保護しなければならない、などということを支持する合理的理由など、到底思い浮かぶものではありませんが。むしろ、年金受給者を保護する意味においても、通常の債権者保護の観点と同じように対応を考え、債務者及び債権者等その他関係者の最大利益となるようにするのが本筋ではないか。

なので、余計な立法措置は必要ない、というのが、拙ブログにおける結論となる。


②株主責任について

銀行団から減資という意見が出されている、というのは報じられていた。これは、拙ブログでも書いた通りである。上場企業なのであるから、当然のことながら株主責任というものは発生するだろう。交渉に応じない、というのであれば、政府保証を今後付けることはできない、という態度を明らかにするべきである。要するに、株主責任については通常の法的手続に従って下さい、ということになるな。それが嫌なら、交渉に応じて下さいよ、と。

06年に7.5億株、08年には6.14億株と、13.64億株を僅か2年間にやっており、発行済み株式数の半分くらいを占めているわけである。で、09年初めには資金繰り悪化となり、政府保証付き資金を要請し、協調融資ということになったわけだ。このような株主資本を優先的に保護する意味合いは、あまりないように思われるが。当然のことながら、倒産企業等と同じように株主責任を負って頂く必要がありますね、ということになるね。応じられない、という大株主には、是非とも倒産してもらって全損を食らっちゃってもらっていいですよ、ということになりますわな。


③再生の道筋をどう考えるか

大まかに言って、大きいものをまず考えていくから。
債務とかって厳密な区分がきっと決まっているんだろうけれど、私の頭の中ではそうそう細かい話は判らないので、言ってみれば「金をこっちに返せ、よこせ」みたいに主張する、利害関係者という視点で考えるから。大まかに挙げると、こんな感じ。

ハードルが高そうとか、合意形成に欠かせられないのが、
・DBJ
・銀行団
・その他融資している機関
・年金受給者たち
・株主
である。
取引先や短期資金の債権者たちには、どうにか資金手当てをして優先的に債務を返済できるのではないかと思うので(あんまりにも多額の未払金とかがあると難しくなる場合もあるかもしれんが)、ここでは主要な関係者から除外する。

再建に必要なお金ということで考えると、

ア)これまでの長期借入金、社債
イ)年金債務
ウ)株主資本(旧株)
エ)新規資金

ということで、ア)やイ)がJALが耐えられないほどの規模にまで膨らんでしまっている、ということであろう。

まず、キャッシュになりそうなものを売却し、金をかき集める必要があるが、これは交渉相手などによるので、やや時間がかかるとか不確実な部分はありそうかも。JALカード関係とか、ホテル関係、空港などの売店関係や通販事業とか、色々手広くやってきたであろうと思うので、そういうのも身売りをすることを考慮するよりないだろう。マイレージなんかも提携先が広いので、カード事業の売却先を探すことも考えるべきでは。目処がすぐに立たないのであれば、政府保証の一部に担保としてカウントし、売却先が決まれば売却代金を国に優先的に返済してもらえるというような特約をつけておくとか。


イ)についてであるが、現役世代の企業年金は条件を減額して残す、既受給者たちには減額受入か一時金で清算を選択してもらうが、できるだけ清算の方がよいかもしれない。この一時金の計算方法であるが、約束している金利水準がどの程度なのか知らないけれど、仮に5%とかであったのであれば今後の受取条件の際には国債指標金利ないし+0~1%程度のイロを付けて計算、というようなことにすればいい。元本部分まで全損を食らうわけでなければ、こうした減額に応じられる人は増えるのではないかな。

ウ)については、新株発行に伴って旧株の株主資本を圧縮するような形になるであろう。ゼロにする、というのではないのだから、まだマシと思ってもらうよりない。


6月末時点の決算短信を参考に、借金とかを大雑把に整理すると、次のような感じ(あくまで私の理解の為の分け方です)。
長妻大臣風な表現をすれば、「アラアラ(粗粗)の数字」ってやつですな。


【流動(短期的)債務】(=日々の営業活動なんかに使う金)

 a)営業未払金+短期借入  2000億円
 b)その他 2600億円   

【固定(長期的)債務】

 c)長期借入金+社債 6400億円
 d)年内の借入+償還社債 1840億円
 e)年金清算金 2500億円?
 f)新規資金貸付分 X億円?
 g)旧株主純資産 1700億円?


流動債務のその他ってのが、何で2600億円もあるのか私には判らないんだけれども、まあいいや。で、日々の営業活動での資金繰りは、5千億円規模で必要、ということか?これは、大きすぎると思うので、圧縮した方がいいと思う。2000億円~3000億円規模で考えれば、将来の稼ぎ(今後の営業で入ってくるお金ってことだ)で回る程度にしないとダメなんじゃないのかな。そうなると、仮に2千億円の圧縮が必要、ということになるね。手持ち現金が1200億円弱、未収収益等で1800億円程度しかないのだから、ざっと3000億円の流動資産しかないわけで、それ以下の流動負債規模となるようにした方がいいんじゃないの?

で、どうするとキレイになるか、というと、

短期債務圧縮分の2000億円、年内に支払わねばならない1840億円、合計3840億円、で、大雑把に4000億円必要。
この他に、年金清算金の2500億円、新規資金がいくらか、長期債務圧縮分、ということになるわけだが、新規資金は早期退職などの処理や運転資金等で2千億円とするか。長期債務圧縮は1400億円で、できれば借換などをやった方がいいかもしれない。長期債に持ち替える、みたいな。

そうすると、4千億円+千4百億円+2千億円+2千5百億円=9900億円、也。笑
約1兆円規模、ということになってしまうね。

g)の旧株主資本はずっと過小だろうと思うけど、便宜的に新株割当ということを考えた場合、旧株27億株には1700億円分、その他の旧債務や新規資金等に入れる資金にはその資金割合に応じた新株を割当る、ということになるかな。

新たな形だとどうなるか、ざっと書いてみると、

【流動負債】 

 a)営業未払金+短期借入  1000億円
 b)その他 1500億円   

【固定負債】

 c)長期借入金+社債 5000億円
 d)年内の借入+償還社債 ほぼゼロ
 e)年金清算金 ゼロ

となります。


新規融資分は長期融資ということにして、旧来の長期借入金や社債の金利条件などは借換で軽減できるものは軽減し、旧長期借入金+社債部分を5千億円まで圧縮します。すると、2千億円を新たに入れて、6400億円だった借入を5000億円に落とすわけですから、新株割当分としては3400億円の旧債権に対して、ということになりますか。

つまり、これまでの6400億円分は3000億円と3400億円に分離され、

長期借入金=新規融資分2000億円+旧債務分3000億円

ということになります。


新株発行の割当は、旧債務のDES分3400億円(金融機関等が保有)、年金清算金2500億円+年内返済分1840億円(政府が保有)、ということになりますか。そうすると、7740億円と旧株主分(とりあえず1700億円?)に金額の大きさに合わせて株式数の割当となりますでしょうか。

結局、政府が払うお金は、年金清算金2500億円分、年内返済分1840億円、ひょっとして新規融資2000億円の一部、ということになりますか。事業売却代金の優先的返済という特約が付くのであれば、新規融資分を政府保証としておいてもいいので(新株割当からは除外する)、DBJを通じて融資してもよい。

新規融資分の2000億円は、3400億円の旧債権の比率に応じて、各銀行に割り当てることでいい。この新規2000億円には政府保証付きということになるので、貸し手側には助かる、という話でして、DBJとその他銀行団で配分を決めてもいいと思う。3400億円の債権を新株割当に応じるよう求められるというデメリットを受けるので、新規融資資金についてはその不公平が若干取り戻せる(リスク無しの融資なので)ということで、僅かに相殺されるだろう。

5000億円の債務は日航に残るが、これは将来返済してくれ、ということになる。

リストラ費用などがかなりかさむ場合には、新規融資額をもう少し増額する必要性が出てくるかもしれない。また、年金債務の清算がいくらになるのか、これはちょっと不透明かも。
事業売却についても、果たして売れるか、いくらになるか、というのは、不透明だし。

ただ、大手術が必要、というのは当然なので、仕方がないよね。



日ハム、やっぱシリーズ進出一番乗り~

2009年10月24日 18時20分37秒 | いいことないかな
おめでとう。
そして、有難う。

久は、リーグ優勝を決めた時、マウンド上にいることができなかった(延長12回サヨナラだった)から、きっと悔しい思いをしていたんじゃないかな、と思う。

でも、今日はマウンドで優勝を迎えることができて、本当に良かったね。
久がいなければ、今年の安定した成績は難しかったかもしれない。
やはり、抑えがしっかりしていないと、かなり厳しいよね。

西武なんかは、抑え不在の苦しみをモロに受けたんじゃないかな、と思っていたもの。


楽天は粘りを見せてくれたけれど、力尽きたって感じだよね。
アウェー続きの苦しみが重く圧し掛かったかな?

けど、特徴はハッキリしていて、昨日のようなマー君の試合を連続でモノにできていけば勝ちのチャンスがやってくるだろうけど、それも難しい面はあるから。

この4試合は、6回までに楽天が失った点は1戦目から順に、1、1、1、4、と先発がかなり頑張った、ということは判るんですよね。特に3本柱はその働きを存分に見せたわけですよ。

けれど、7回以降の失点は、同じく8、2、1、5、ということで、あまりに差があり過ぎる、ということなんですね。16失点ですから。

ハムは、7回以降の失点が、5、0、0、1、で、6失点、初戦の実戦登板不足を考えれば割り引けるとして(笑)、2戦目以降にも安定して抑えていることが判るのです。先発は楽天に比べると若干悪いですが、3、1、3、3、の合計10点ですので、そこそこの数字を残しています。


結局、楽天投手陣でまずまず使えそう、というコマがやや足りず、どうしても岩隈、田中、永井の先発陣3人と、抑えの福盛、この4人が大車輪で頑張るしかないというチーム事情が割と厳しい、ということだろうと思いますね。

いい先発投手がそれなりに揃っていても、その人たちだけで試合に勝てるというほど野球は甘くない、ということでしょうかね。逆にいえば、そういうチームの力が大事なんだ、という方が楽しいですよね。
単なる個の力にだけ頼っていても勝てない、ということなんですから。単品性能に劣るとしても、力を合わせることができれば、互いが補えるということなんですよ。


今日の最後は、岩隈が力尽きた、という感じでしたね。
人の子なんですよ、岩隈も。ちょっと可哀想だった。


明日の試合を待っていた人たちもいたであろうから、ちょっぴり残念かもしれないけど(笑)、素晴らしい試合を有難う、ということで、次は日本シリーズに向けて気合を入れなおす、と。


おめでとー!



混迷するJAL問題~前原大臣の”逆噴射”

2009年10月24日 13時18分28秒 | 政治って?
公表されたタスクフォースの基本方針は、その後どうなったのか?
タスクフォースのダッチロール状態は続いているようだ。企業年金の強制減額法制化を目指す、とか、一体全体何を言ってるのかな、とは思いますわな。


発端は、前原大臣の逆噴射全開の発言やタスクフォース設置だ。
ダイヤモンド誌の町田徹氏の記事にあったように、乗り込んでいった人員が膨大になり、あっちこっちの人脈なのか何なのか判らないけれども、100人規模の大所帯になったのだそうだ。タスクフォースの名を借りた「10億円のタカリ」ではないか、と見えなくもないわけである。前原大臣の連れてきた「専門家たち」は、どういった権限行使を許されているのか定かではないにも関わらず、勝手に命令したり調べたりしていたようなのだ。


国土交通省大臣の持つ権限を発動するということなのであれば、それはすなわち行政指導ないし行政処分ということになるわけで、その法的根拠を明示するのは当然ではないかと思えるが、件のタスクフォースに関しては設置の根拠法明示もなければ日本航空側への権限行使の法的根拠の説明もないわけである。

例えば金融庁では、このようになっている。
株式会社みちのく銀行、株式会社きらやか銀行及び株式会社第三銀行に対する資本参加の決定について:金融庁

この例を選んだ他意はありませんが、判りやすそうかなと思ったもので。この中では、次のように書かれています。

『本日、金融機能の強化のための特別措置に関する法律第5条第1項の規定に基づき、株式会社みちのく銀行、株式会社きらやか銀行及び株式会社第三銀行に対して、資本参加の決定を行いましたので、同法第6条の規定に基づき、「経営強化計画」等を別添のとおり公表します。』

このように、行政が企業等に介入してゆくのであれば、その権限行使がどういった法に基づくものであるか明示するべきであるし、公的資金を出すということになれば経営計画とかにも関与することになるわけであるから、その根拠となる法についても明示が必要であろう。金融庁では、銀行であろうと、その他金融機関であろうと、ノンバンクや会計事務所であろうと、このような根拠法明示というのは行われていると思う。

ところが、JAL再建タスクフォースというのは、そういった法的根拠を明確にしている様子がないわけである。これは指摘した通りである。
何様のつもり?「JAL再生タスクフォース」(追記)


当方で調べてみたが、国土交通大臣が持つ権限として行使可能と思われるのは、航空法である(あくまで素人考えです)。

(報告徴収及び立入検査 )
第百三十四条  
国土交通大臣は、この法律の施行を確保するため必要があるときは、次に掲げる者に対し、航空機若しくは装備品の設計、製造、整備、改造若しくは検査、航空従事者の養成若しくは知識及び能力の判定、航空身体検査証明、空港等若しくは航空保安施設の工事、管理若しくは使用、航空機の使用、航空業務、航空運送事業、航空機使用事業又は航空運送代理店業に関し報告を求めることができる。
一  航空機又は装備品の設計、製造、整備、改造又は検査をする者
二  国土交通大臣の指定を受けた航空従事者の養成施設の設置者
三  指定航空身体検査医
四  空港等又は航空保安施設の設置者
五  航空従事者
六  航空運送事業又は航空機使用事業を経営する者
七  前号に掲げる者以外の者で航空機を使用するもの
八  航空運送代理店業を経営する者

2  国土交通大臣は、この法律の施行を確保するため必要があるときは、その職員に、前項各号に掲げる者の事務所、工場その他の事業場、空港等、航空保安施設を設置する場所、空港等若しくは航空保安施設の工事を行う場所、航空機の所在する場所又は航空機に立ち入つて、航空機、航空保安施設、帳簿、書類その他の物件を検査させ、又は関係者に質問させることができる。

(以下略)


国土交通省は航空運送事業(国内定期航空運送事業、国際航空運送事業)者等の許認可権を所管することにより、各事業者に対して行政指導や行政処分を行う権限を有していると考えられるわけである。最悪の場合、許認可取消処分ということもある、ということになるわけである。事業者が倒産したような場合であれば、登録抹消などになるのかもしれないが、法の規定のない部分についてまで国土交通大臣の権限は及びませんから。

で、第1項第6号規定にJALが該当するなら、大臣権限として立入検査(航空機、航空保安施設、帳簿、書類その他物件)でき、聞き取り調査(質問)してもいいですよ、ということですから。でも、大臣権限を代わって行使できるのは、「その職員」つまり、国土交通省職員のみに与えられた権限です。タスクフォースのメンバーが職員じゃないとすると、違法行為だわ。
勝手に他人の会社の帳簿を見たり調査できる権限なんて持ってないわけで。タスクフォースの指示を受けた会計士関係とか金融機関の連中なんかも、そう簡単に好き勝手な調査なんかできるわけがないのだ。JAL側が「是非やって下さい」という個別の契約でも締結しているなら別だろうけど。


もし国土交通省がJALに対して「航空法第134条第2項に基づき立入調査を実施します」ということなら、そのようにせよ、ということだな。ところが、タスクフォースにはそんな説明はなされていない。

報道発表資料:「JAL再生タスクフォース」の設置について - 国土交通省

これのどこを読んでも、根拠法の明示がない。

設置趣旨に

・日本航空の自主的な再建を確実に実現することを目的として、専門家集団により構成されるタスクフォースを設置し、その積極的な指導・助言のもと、日本航空の実態を厳しく客観的に把握し、従来のしがらみから自由で、抜本的な再生計画の迅速な策定と実行を主導することが望ましいと判断した。

とあるが、積極的な指導助言は大臣にすべきであって日航にはできないのではないのか?
厳しく客観的に把握するのも、国家公務員である職員が行うのであって、タスクフォースやそいつらのどこぞから引っ張ってきた連中ができることではない。日航側がそれぞれに「会計監査をお願いします」とか言って頼んだのであればいいかもしれんがのう。あるいは、取引先銀行が「経営実態を知りたいので帳簿を見せてくれませんか」ということは可能だわな。融資の際に締結している契約条項に基づき経営状態を知るというのは銀行側にある一般的条項だろうと思うので。

だが、タスクフォースの連中には、それら一切の権限はないはずである。連れてきた連中にも、ないのは当然だ。
要するに、勇み足ってやつでしょうよ。
水面下で、日航側が下準備を進めておく、というのなら、非公式活動ということになるので問題にはならなかったかもしれないが、いきなり「大臣権限でやります、強権発動します」というのでは、問題が大きくなるでしょうよ。


で、今更になって、日本政策投資銀行が融資しているからといって、財務省&財務大臣との協議とか言い出すのは何故なのか?
タスクフォースの高木と冨田を役員で送り込むと大々的に発表してから、DBJ等銀行側からスキーム拒否ということになったからなのではないか?

タスクフォースの面々のはしゃぎっぷりが、手に取るようだな。
そうやって浮かれているから、ハマるわけで。
まず、取り掛かる前に、枠組み全体について慎重にことを運ばねばならなかったはずなのに、打ち上げ花火だけが華々しくて、自分たちの豪腕を過信していたからなんじゃないの?それは、腕がいいのではなく、権力者とのコネを使えるというだけのシロモノであって、実力ということではないんじゃないの?だから、権力者の権限行使が躓けば、自動的にハマるというわけだろ。

ここに至って、処理を進める「法的枠組み」が何なのか、というのが判らないという状態に陥ってしまったのではないのか?(笑)

何の為に弁護士が入っているんだよ。法の裏づけのないものなら、意味ないじゃん。
プロなら、本物のプロらしくやってくれや。


オレ以下のことしか考えられない程度の連中が、設置趣旨の「専門家集団」って笑えるな。




田中マー君に花をもたせただけさ(笑)

2009年10月24日 10時17分42秒 | いいことないかな
昨夜は、緊迫した接戦だったけれども、マー君の鬼気迫る投球が光る試合だった。

ハムにとって、得点チャンスは少なかったが、8回の一打同点の場面を生んだので、惜敗というのが相応しい試合内容だった。


多分一番喜んでいるのは、ノムさん…じゃなくて、ハムの球団関係者だろう(笑)。

おおよその星勘定で、岩隈&マー君に2敗するかもしれんな、と想定すれば、日曜日あたりで決めるのが、最もオイシイ、ということになるんじゃないのかな、と。

いや、勝つのは嬉しいんだけど、球団経営的なことを思うと、やはり土日に主催したいじゃないですか。となれば、昨日で決まってしまっていたら、嬉しいやら「ちょっともったいなかった」という若干の後悔があるやら、で、複雑な気持ちになるもんね。


それに、地方から応援に来る人たちは、週末の試合を楽しみにしていたと思うので、あんまり早くに決まってしまうと、それはそれでファンもがっかり、ということになってしまうからね。でも、今日の試合があるから、大喜びのファンは多かったと思うよ。


マー君は、駒大苫小牧だったこともあって、道内では多分人気があるというのと、「まあ、日本を代表する投手だし、マー君だから、あんまり悔しくないよ」という道民は結構多いはず。これも、王手をかけている側(ハム)の余裕、というところかな(笑)。

昨日、今日と、超満員になるだろうから、球団関係の人たちは嬉しさ倍増、だろうと思いますよ。

昨夜で、菊地の初CS登板も試せたので調整になったし、江尻、林、坂元も揃って抑えたのは大きかったしね。

岩隈、マー君がどんなにいい投手であっても、毎日連投はできるわけじゃないから。でも、ハムの投手陣は、みんなの力を合わせれば、決して遜色なくスーパースターにさえも毎日対行できうる、ということを示しているんだよ。これは、凄いことなんだよ。



そういうわけで、楽天にも一つくらいは勝ってもらわないと困るから、という事情があったんじゃないかな、と。




こういう事業こそムダ

2009年10月23日 16時42分18秒 | おかしいぞ
こういうのは疑問。


<薬害副読本>中学生向け来年度に発行…歴史や副作用学ぶ(毎日新聞) - Yahooニュース

(以下に引用)

厚労省医薬食品局によると、来年度概算要求に薬害教育推進事業費として約2600万円を計上。専門家や過去の薬害被害者の協力を得ながら、内容を詰めるという。

 全国薬害被害者団体連絡協議会によると、社会や保健体育の教科書の大半はサリドマイド(59~69年)やスモン(55~70年)などを取り上げていない。99年には小学校の社会で、エイズ訴訟の記述に文部省(当時)の検定意見が付き、削除される問題も起きた。薬害被害者らは毎年の国との定期交渉で教材作成などを求め、厚労省が設けた薬害肝炎の検証委員会も今年4月、小中学校での教育推進を提言した。

 同協議会の勝村久司副代表は「被害者の10年にわたる交渉が実りうれしい。子供を将来、加害者にも被害者にもしないために、薬害が人災であることを教育で伝えることは、とても意義がある」と話している。【清水健二】

=====


どの事例を取り上げるか、というのは、極めて恣意的では。


副読本なんて、ただ単に配布したからといって何の効果があるんですか?
肝炎問題でも判ったように、過去のこうしたサリドマイドやスモンといった事例は、或いはヒ素ミルク事件とかもそうだけど、社会的にも大きく取り上げられ問題とされたことがあったにも関わらず、その後の人たちには何か学ぶべきものがあったわけですか?

そういう「生きた教材」を目の前にしながら、多くの大人たち(当然当時の子供たちもそうだろう)は、学んでもいなければ当事者以外には「興味もなかった、関係なかった」ということなのではないですか?

つまり、そういうことなんですよ。
情報や知識が目の前にあったって、別に多くの人には無関係、ってこと。
それを目にしたからといって、何かを学べるわけじゃない。
現に、原告に入っていた人たちの殆どが、同時代を生きていたのに何ら知らなかったのではないですか?
肝炎問題だって、過去の薬害被害の歴史を知っていれば、当時から、少なくとも薬害エイズ問題が取り上げられる前か、同時期くらいには判っていたことでしょう?
どうして、現代のような「市民運動」をやらなかったのでしょう?


それが、副読本を配布すれば、小中学生なんかだと学べるんですか?
到底信じることなどできませんな。


単なる自己満足を行政に持ち込まれても困るだけなのでは。

どうしてもやりたいなら、寄附でも集めてやったらよかったのではないですか?200億円以上もらったうちの、千分の1くらいの2千万円超が出せないとも思えませんが。


◇◇◇

話は変わりますが。


かなりの長期間に渡って厚生労働省の委員とか審議会関係とか、そういうところに食い込んでいる人もいるみたいなんですが、こういうのって、族議員たちと一体何が違うのかわからんな。
今後、政府の委員とか、任期を限らないと、癒着構造を生み出す元凶となるよね。

形を変えた族議員とほぼ同じようなもんですわ。しかも、いつも同じ人間に意見を求めてしまうので、偏りが強化される可能性が強まるのでは?こういうのは、極めてよくないよね。まるで、審議会のドン気取りとかになるもの。
で、気に入らない連中の業界は、好き放題に攻撃すればいいだけだし、手の者を使って「訴訟提起」をぶつけていけば圧力を加えることも自由自在。


いやいや、こういう「赤い貴族」系の言論封じ、言論統制みたいな姿勢は、極めて危険。民主主義の否定とも言っていい。一党独裁政権の「資本家どもの財産没収」という思想と、あまりに似ている。そういう連中の基本戦術は、まず洗脳から、だ。特に怖いのは、「教育」と称する洗脳工作だ。



(手法が)似ている、というのは、ただの偶然なんかではないのだよ。



グー・チョキ・パー国防論

2009年10月23日 16時11分02秒 | 防衛問題
切込氏もヤキが回ったか?(笑、冗談冗談)
個人的にはtari-G氏の意見に1票。

実名匿名論争じゃないけど 切込隊長BLOG(ブログ) Lead‐off mans Blogmore


この前、ああ、何か書いてるな、と思って放置しておいたけどな、この意見の大半はウチで書いてた話じゃねーかよ、と(笑)。
例のクラスター爆弾問題の頃の話。


この辺ね:

コメントから学ぶ~3

クラスター爆弾の補足編

クラスター爆弾の補足編・2

防衛省の要求は通らない

対戦車伏撃戦術とスナイパー

日本の地形とか、ウチで書いた話が殆どだよね?
イスラエルの例とか出すのはいいけど、それが日本にも適用できる、とか、同じ条件である、とか、同じ原理原則が使える、ってのを立証なり説明なりができればいいんじゃないか?期待してるよ。

ま、いいんだけどさ。
こんなとこで、敵前逃亡ってのも何だしな、一つ書いておくから。


なんかよく知らんけど、「戦車は必要だ」論を展開中、ということらしいですわ。完結編はまだまだ先みたいなので、待つことにするけどな。
一応、ジャンケンで全部出せばいい、ということらしいですぜ。
こういうのを、真剣に信じるというのだろうか?コストが、グー、チョキ、パーで変わらないとか、効率が変わらないという暗黙の前提があるだけだわな。そんなの軍事の話でも何でもないだろうけど。

因みに、こっちにはグーがない、という状況では、相手は何を出してくると思うか?
普通は、チョキだわな(笑)。主にそうなる。
こっちには、パーかチョキしかないわけだから。
すると、こっちもチョキを出すんじゃないのか?(笑)

面白すぎ。
同時に出すのが一番いい、ってことなら、こっちに「グーがない」という条件下であっても、相手側は「グー、チョキ、パー全部を持ってくる」のか?

だったら、グーを用意しても、しなくても、結局は相手が全部持ってくるんじゃねーの(相手にそれだけの用意をさせる時点で、コストを上げるメリットがある、云々という理由はあんまり使えないんじゃない?)。
すると、こっちはグーのコスト分だけ節約できるってことになるじゃん。因みに、こっちにグーがない時、チョキを出してくるだろうね、ということを相手側が想定すれば、向こうはこっちのチョキに勝てるようにグーを持ってくる、ってわけだろ?裏をかくことを狙えばそうだろうね。
そうするとだな、まだパーが残されているのだから、相手側のグーにはこっちのパーが対抗策として残されているわけ。向こうのグーは完全に安心し切ったグーじゃないんだよ。つまり、チョキとパーだけの装備であったとしても、ある程度は対応可能、ということなんだわ。

もし、相手がグーを用意しない、持ってこない、ということなら、対等ということになるよ。
相手がグーは持ってくるけどパーを持ってこない、ということはあるわな。しかし、それなら、グーとパーのコスト比較ということになるわけで、ぐーちょきぱー全部出す国防論の欠陥が露呈する、ということになるんでは。つまり、こっちにグーがなけりゃ、向こうはチョキとグーでくるよ、ということで、こっちはチョキとパーとなり、似たり寄ったりだわな。参考までに、グー(戦車)を運んでくるのは、パー(歩兵装備の対戦車兵器)より、かなり大変だろうと思うよ。


ガキの頃に、「海戦ゲーム」というか、「艦隊ゲーム」というようなのをやったことがないのか?ww
近頃のガキと来たら…って言いそうになるけどな、各人に「戦艦」「潜水艦」「駆逐艦(又は水雷艦)」などという名称を割当て、対戦ごっこをするだろ?何かの本に書いてあったのを読んだぞ、小学生の時。で、実際ゲームをやったんだぞ(笑)。

戦艦:駆逐艦に勝ち、潜水艦に負け
駆逐艦:潜水艦に勝ち、戦艦に負け
潜水艦:戦艦に勝ち、駆逐艦に負け

つまりは、グー・チョキ・パー国防論そのものだろ(笑)。
戦術に劣るマヌケが多い場合、戦力を生かせないわけだ。戦艦最強、とか、何バカなこと言ってんの?という間に、戦艦に惚れて敗北するみたいなもんだ。


因みに、戦車最強論をぶつのはいいけど、そんなことを言ってたら、昔ながらにファランクス対峙、とか、重装騎兵最強、とか、戦艦の艦隊戦とか、永久に残るだろ。戦車戦も永遠に不滅ですってか?(笑)

戦闘は変わるの。戦争や兵器も変わるんだろ。戦いは、時間と共に変わるし、廃れて行く花形兵器はあるのが、ごく当たり前。戦車はなくせない、という思想は、こういう「戦艦はなくせない」「重装騎兵はなくせない」とか言うのと何ら変わらないんじゃないの?

今の時代に、昔みたいな戦闘とか、やってねーだろ?
変わってゆくのが普通なんじゃないの。
戦争の質が変わってきましたね、というのが、ごくごく普通なんじゃないの?

そういうことを本当に考えているのかな、とは思うね。
次回の論証で、日本には戦車が何故必要なのか、明らかにされるであろう。


因みに、有効性の問題を言う時、コストなり時間なり、何らかの基準で「○は×を装備するよりも有効」を説明してね。

○ワクチンは~に効く、しか言ってないのが、戦車必要論だから。

そうじゃない。
そういう論証じゃないよ。

・「手洗い・うがい実施」よりも「○ワクチン」の方が有効
・「×マスクに300億円」かけるよりも、「○ワクチンに300億円」の方が有効

というように論証せよ、という意味だ。
そういった説明がなされない場合には、日本で本当に必要なのかどうかは不明である。