こたなたよりこんなこと

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組み立て式望遠鏡3種比較。

2020年10月26日 | 天文・科学

 火星の最接近から天候が良い日が少なく、「天文自然クラブ」で見ていないとの事で、土曜日に天文自然クラブの集まりがありました。

 予定通りに「火星」を見たのですが、最接近から20日近くが経過していますが、それでもまだ明るく、10cm口径の屈折式で見ると火星の模様も良く見えますね。極冠は現時点ではかなり小さいようで、確認はできませんでしたが、それでも近いだけあり良くは見えましたよ。

 そして、10月22日に「学研」より「科学と学習PRESENTSシリーズ」の新刊「天体望遠鏡ウルトラムーン」が販売され、価格が2500円と手軽で、52mm口径の組み立て式という事で現時点で、販売されいるメジャー処の「組み立て式入門者向け天体望遠鏡」の比較もする事にしたのです。

 今回比較したのは、入門者向け組み立て式天体望遠鏡のパイオニアかつ、最も有名でと思われる「星の手帳社」の「10分で完成!組立天体望遠鏡15倍」と、「国立天文台」がプロデュースした「一家に一台天体望遠鏡キット」と、先ほど書いた「科学と学習PRESENTS 天体望遠鏡ウルトラムーン」の3つです。以下は「星の手帳社」の「10分で完成!組立天体望遠鏡15倍」を「星の手帳」、「国立天文台」の「一家に一台天体望遠鏡キット」は「国立天文台」、「科学と学習PRESENTS 天体望遠鏡ウルトラムーン」は「学研」と記します。

 まずは、簡単なスペックから。

 星の手帳社は「対物レンズ 直径40mmガラス製2枚アクロマート」「倍率 15倍」「接眼レンズ 3群3枚プラスチックレンズ」、「価格 1,925円(税込み)」。特徴としては10分で組み立てられると、小学生でも作れる手軽さ。

 国立天文台は「対物レンズ 直径50mm2枚組アクロマート」「焦点距離 399mm」「 倍率 16倍/66倍(アイピース交換式)」「アイピース 25mm(ホイヘンス式)/6mm(プレスル式)」「価格 5,280円(税込)」。特徴としては土星の環や金星の満ち欠けが観測できるのを前提として作られており、この3つの中では一番大きく値段も高い。

 学研は「対物レンズ 直径52mm光学ガラス製アクロマートレンズ」、「倍率 12倍/25倍(アイピース交換式)」「価格 2,750円(税込み)」。特徴としてはこの価格でアイピース交換式で、この3つの中で対物レンズが一番大きい。

 どれも通販で購入する事が可能で、「国立天文台」以外は「書籍扱い」なので書店でも購入可能です。「学研」は販売されて間もないのですが、「学研サイト」でも売り切れており「amazon」では「転売屋」がほぼ倍額をつけて販売していますね。

 鏡筒は「星の手帳」と「国立天文台」は「プラスチック」で半円を合わせる「モナカ式」。「国立天文台」は「付属の+ドライバー」を使用してカッチリ締める本格派。「学研」は「紙製」で筒をはめ込む方式で、中心のジョイント部分の緩みが気にはなりますので対策が必要でしょうね。また、どれも組み立てはそんなに複雑ではありませんね。

 「国立天文台」と「学研」は「接眼レンズ」が交換式で、交換方法は「国立天文台」は「はめ込み」、「学研」は「ねじ式」です。

 なお、3つとも「脚」は別売りの「カメラ三脚」を使用します。

 まずは一番見やすい「月」を見てみます。

 「星の手帳社」は視野の70%くらいの月全体が見える感じですかね。「国立天台」は16倍なら全体が見え、66倍では一部を拡大して見る事になります。「学研」ですと「12倍」だと月を見ても小さい感じで、25倍を使用するとほぼ視野いっぱいに月が入ります。

 ピント合わせはどれも「ネジ式」ですが、「星の手帳社」と「国立天文台」は「ネジピッチ」が細かいので、かなりグルグル回すことになり、しかも「モナカ式」の欠点である、合わせ部分でネジが引っかかる事もあります。学研はネジピッチが大きいので1回転でのストロークが大きく、モナカ式ではないので引っ掛かりが無く個人的には良い印象です。ただ、「学研」には「接眼レンズ」に倍率表記がされていませんので、どっちがどっちなのかわからないのが欠点です。

 ファインダーは「星の手帳社」と「学研」は「山型サイト」を使用し、「国立天文台」は前方は山で後方が「円」ですが、前方の山が低いので意外と合わせづらいです。ただ、慣れている人なら、筒の向きである程度は合わせる事ができるので、そこまで重要でもなかったりしますけどね。

 さて、月は良好でしたので、今度は観望会でも人気がある「土星」を見てみる事に。

 「星の手帳社」は15倍と正直土星を見るには相当小さく見えてキツイ状態です。もはや「環」の識別は出来ず、楕円の天体がある?と言った状態で、見慣れていれば「土星だね」と脳内補正で認識できるレベル。次に最高倍率が高い「学研」では「25倍」を使用。さすがに「25倍」ですから「星の手帳社」よりも見えますが、それでも「何とか環があるように見える」状態で、環と土星、本星との隙間がかろうじて見えるくらいで、観測には向いているとは言えません。また、鏡筒が筒をはめ込む方式ですので、筒のズレによる「フレア」が出てしまっているのも土星が見えづらい要因でもありますね。最後に「国立天文台」。さすがに「66倍」とこの3つでは最高倍率を誇るだけあり環と本星が認識はできます。ただ解像度は本格的な望遠鏡に比べると落ちますので、「環がある」との認識が精いっぱいって感じでした。

 まぁ「星の手帳社」も「学研」も「月」を見る事が前提ですので、「土星を見る」のはさすがに酷でした。「国立天文台」は商品解説に「従来の組立式小型望遠鏡では難しかった「金星の満ち欠け」の観察や土星の環の観察も可能です。」と書いてあるだけあり、「見る」事は可能ですね。それと3つとも「木星」の「ガリレオ衛星」は見る事はできましたね。

 と、3種類の組み立て式望遠鏡を比較してみましたが、どれが一番いいと言う事は用途、コスト、使用者の年齢などを考えれば一長一短で、小学校低学年で、遊びがてらに見るのなら「星の手帳社」が最適ですし、本格的に興味を持ちだして、「望遠鏡」に強く関心があれば「国立天文台」が良いでしょう。小学校中高学年で、天体にある程度興味があって月以外、惑星や星団を見てみたいとなると「学研」が良いでしょう。

 それでは、本日の登場人物は「天文自然クラブ」な話でしたので、この方。「非公認」の「久喜天体自然クラブ」のパッチに登場しているキャラクターである「天体」が好きで「宇宙」に憧れる「桜宮 ツアイシア」さん、通称「シア」さんです。天文自然クラブにて「組み立て式入門用天体望遠鏡」3種類を比較してみた「シア」さん。その感想は…。

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