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読書感想「グレイヴディッガー」高野 和明

2018年03月04日 08時44分42秒 | 乱読本感想

角川書店(角川グループパブリッシング) 2012年2月25日


★5 2018年3月4日

「13階段」ですごいと思ったのははるか昔。
その流れで読んだ「幽霊人命救助隊」は何これ!?だった。
そして最近「ジェノサイド」を読んだら、やっぱり「13階段」の高野さん!だった。
こんなにすごいのに何で出合いが少ないんだろうと思ったら、発表作品が少ないのね。
たまたま見かけた本書、読み始めてすぐに引き込まれてしまった。
不思議な連続殺人、これって、警察もののミステリーじゃないの?
魔女狩りに関して、中世イングランドの伝説が出てきた。
「ジェノサイド」を読んだばかりなので、これって、ひょっとしたら、また、高野さんの創作!?
一瞬、調べようとしたが、流れに任せて一気読みを選んだ。
何だろう?いかにも創作という感じとやけに緻密な描写のリアリティ。
「ジェノサイド」と同じ感覚。
これはもう、その作り物の世界に身を任せて楽しむしかない。
殺人場面はけっこうエグイんだけど、作り物の世界だと思えばそれほど気にならない。
でも、作り物の世界にいる人たちは、ひとりひとり、心があって、生きている。
事件を追う警察関係者の、“多分”それが正しいのであろう“正義”
“多分”と書いたのは、本書では“正義”を問われる。
正義を口にしつつ悪事を働く警察関係者、悪党なのになぜか命を懸けて人を助けた人、助ける人。
助ける人、悪党なのに子供の命を救おうとする八神俊彦。
この物語、振り返ってみれば、その八神の1日にも満たない、逃亡の物語。
いや、彼を追う悪と警察からは逃げているけれど、逃亡じゃないな、命を救うためにそこに向かう物語。
ハラハラドキドキして、最後は、アメリカ映画みたいに終わる、プチだけど。
そういえば、高野さんは映画関係者だったな。

解説の方、村上貴史さんは高野さんの熱いファンのようだ。
解説の中身も熱いが、冒頭の一文が的を射ていて、高野作品を良く解っていらっしゃる。
【真面目で誠実な法螺吹きが生んだ極上のワンナイトサスペンス】
素晴らしい!

最後に、やはりイングランドの伝説「グレイヴディッガー」は高野さんの創作だとか。
魔女狩りに関して歴史的事実が羅列される中に巧く紛れ込ませてあった。


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コメント
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