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読書感想「アンチェルの蝶」

2017年09月19日 14時11分01秒 | 乱読本感想
アンチェルの蝶
遠田 潤子
光文社 2014年1月20日

★3 
2017年9月19日

少し前に「雪の鉄樹」という作品を読んだ。
読んでいて楽しいという内容では無かったけれど、妙に引きつけられる作品で、正直『何だ?これ!!!』と思った。
後日、書店で本書を見かけたので迷わず買ってきた。
この作品は遠田潤子さんの2作目だそうだ、「雪の鉄樹」は4作目。
内容は、「雪の鉄樹」と同じように暗い。
孤独に暮らす40歳の藤太の元に突然連れてこられた10歳の女の子、ほづみ。
連れてきたのは秋雄で、ほづみはいづみの娘だとか。
幼なじみの3人、藤太、秋雄、いづみ、彼らの子供時代の出来事、そして、それを引きずって大人になって・・・泥の中で蠢く様な彼らの人生が語られる。
見たくないが、泥の中に引っ張り込まれる。


ここからはちょっとネタバレ


悲惨な状況の中から彼らが救われるならこの重苦しい話も我慢できる。
「雪の鉄樹」のような結末なら良いのにと思いながら読んだ。
私は作り物の世界は嘘くさくてもハッピーエンドが良いといつも思っている。
が、
結末は「理不尽」な結果に。
作者の遠田さんは「理不尽な何か」に惹かれて創作活動を始めた方だそうだ。
ハッピーエンドという嘘くさい結末でなかったおかげか、3人のそれぞれ思う人への“思い”をより真摯に感じた。
それだけに、それぞれの結末が悲しい。
最後に“飛べた”ほづみに希望を託せたのが救いだ。

藤太のお店「まつ」は、「待つ」だったんだなぁ~



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